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2009年
2007

●12月23日
もう1つの期待のニューカマー     Epsilan EuskadiがEE-LMP1-07の風洞実験モデルを公開

Photo:Epsilan Euskadi/Special Thanks:Mike Fuller(mulsanne's corner)

 2年ほど前から、イプシロン・エスカディがLMPプロジェクトを推進していることが知られていた。最初の計画は、“屋根無し”のLMP2カーの販売を目論んでいたようだが、次第に自身のファクトリーチームによるP1プロジェクトに変化して、“屋根付き”のP1カーの開発が進められていた。
 しかし、これまで、イプシロン・エスカディから提供されたのは、コンピューターによって作られた3Dイラストだけだったため、新規参入者の計画の進展具合を確認するのが先と判断していた。

 ところが、彼らは本気だったようだ。2007年から本格的な開発に取り組んみ、チーフデザイナーとしてジョン・トラビスを雇うと、イタリアのエアロラボの風洞で12週間、600時間!に及ぶ風洞実験を行っていた。エアロラボの名前を知らない方々も多いだろうが、ボローギャ近郊のサンタアガタにある旧フォンドメタルの風洞をベースとして、フォンドメタルの後継であるフォンドテックとダラーラのジョイントベンチャーをして誕生した風洞施設だ。ミュルサンヌコーナーのマイク・フラーによると、プジョー908やポルシェRSスパイダーも使用しているらしい。
 600時間とは、新規参入チームでありながら、思い切った決断によって大きな費用を投入したのだろう。

 イラストを見ると判るように、オリジナル路線の童夢と比べると、どうしても屋根を被せたポルシェRSスパイダーの印象は拭い切れないが、非常に細かい部分まで実験してデザインされたのが理解出来る。

 最先端の空力デザインと違って、幾つかの気になる点が存在する。たぶん、新規参入チーム故、彼らがACOレギュレーションを100%解読出来てないのだろうが、モノコックの作り方や形状等に、レギュレーションブックを真っ正直に作った部分が少なくない。そのため、モノコックの完全な後ろにエンジンは取り付けられる。そのため、前後の重量配分が心配となってしまうが、どうやら、ラジエターを前に積んで前後の重量配分を良好に仕立てようとしているようで、サイドカウルのかなり前方に開口部が開けられている。

 組み合わせられるエンジンはジャドのGV5.5S2だ。童夢S102と同じ1月にモノコックが完成して、たぶん、同じ頃にクラッシュテストを行い、2月にシェイクダウンすることとなるだろう。
 カーボンファイーバーコンポジット製モノコックの開発について、ダラーラの関与をうかがわせる意見もあるため、大きな予算によって、確実に開発が進められているのだろう。
 もし、トランスミッションや各種コントロールシステムに致命的な失敗が無いのであれば、童夢と共にガソリンエンジンカーのリーディングカーとなるかもしれない。
 どうやら、2008年のルマンが、大きくレベルアップすることは間違いないようだ。

●12月22日
2008年のアジアでのLMS開催は11月2日の上海!  2009年10月にFUJIで開催!?

Photo:Sports-Car Racing

 11月末ACOは、2009年から日本を中心として、5年か6年の開催を約束出来るアジアのルマンシリーズの体制作りに取り組んでいること公表している。JLMCが復活する際、FUJIスピードウェイとツインリンクもてぎで開催される可能性が高いことも明かとしていた。
 同時に、2008年には単独のイベントとしてFUJIスピードウェイで開催される可能性も示唆した。しかし、9月29日にシンガポールでF1GPが開催されることが決定したため、FUJIスピードウェイでのF1GPは10月12日にスケジュールが移動されてしまった。つまり、どう考えても、10月にFUJIスピードウェイでLMSを開催するのは不可能と思われていた。

 今週エンデュランス・インフォからの連絡によると、非公式であると前置きして、2008年にアジアでのLMS開催は、中国の上海であることを確認したと言う。スケジュールも11月2日に決定したようだ。
 しかし、現在に至っても、ACOはブラジルの主催者と、2007年の後処理を含めた話し合いを行っているため、たぶん、1月まで正式に発表されることはないだろう。

 では、日本での開催はどうなってしまうのか?と言うと、2009年10月にFUJIスピードウェイでの開催を目標として、話し合いは進んでいるようだ。たぶん、2009年の日本F1GPは鈴鹿で行われるため、空いた10月のスケジュールに誘致されるのだろう。
 当方が直接ACOと話合ってないため、エンデュランス・インフォに対して、開催件料について質問したところ、「話し合いが完了してない理由は、そこだろう」と、彼らも同じ意見であることを確認出来た。

 FUJIスピードウェイと上海だけではシリーズとは言えないから、ACOは、それに、もてぎやSUGOを加えたいのだろうが、フェラーリGT1エンジンが有利となっても、即一ツ山レーシングがプロトタイプカーに復帰するとは考え難く、日本国内の冷え込んだ状況を考えると、困難が予想される。
 2008年の上海での開催について、ALMS(アジアンルマンシリーズ)やCLMS(チャイナルマンシリーズ)等、名前は上がっているらしいが、1回の開催でシリーズを名乗るのは無理がある。参加チームのほとんどがLMSから遠征するため、現実的には、2007年のブラジルのようにLMSの1戦となるだろう。
 と言う事は、それにFUJIスピードウェイを加えれば、事実上の世界選手権が実現する。

 可能性の話しとなってしまうが、このNEWSが知らされた時、ちょうど童夢がS101.5を使ったテストをSUGOで行っていた。その時、当方は開催される場所が上海であることを確認してなかったが、童夢の鮒子田寛ディレクターは、童夢が上海のLMSへ遠征する可能性が高いことを認めていた。
 もちろん、その際に中国へ上陸するのは、最新スペックのS102クーペとなる。

●12月22日
童夢が再びS101.5を使ったシステム開発テストを実施

Photo:Sports-Car Racing

 童夢は、11月にSUGOとFUJIスピードウェイで、S101.5を使って、S102クーペのためのシステム開発テストを行っている。このテストの最大のテーマは、パドルシフトシステムだった。しかし、その時はパドルシフトシステムについて、充分な成果を上げることが出来なかったようだ。

 S102クーペには、ザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムとXトラック製Type529をベースとした専用のトランスミッション、そして、現在最強のP1ガソリンエンジンであるジャドのGV5.5S2 5.5リットルV10エンジンが使われる。しかし、Xトラック製トランスミッションとジャドエンジンは、これまでザイテックの電磁石を使ったパドルシフトシステムと組み合わせられたことがなかった。
 データを収集するためには、必要不可欠なテストだったのだろう。

 11月のテストの後、慎重に開発を行って、やっと彼らは終了試験に臨むこととなった。
 しかし、FUJIスピードウェイや岡山等は、スケジュールが一杯で、コースを借りられなかったため、雪の不安はあるものの、19日と20日SUGOでテストは行われた。

 12月後半のSUGOであるから、当たり前かもしれないが、非常に低温の中でのテストとなった。しかし、天気に恵まれたことから、順調にテストは行われた。テストドライバーは片岡達也が担当した。
 1日目、まだ、シフトチェンジのタイミングとエンジンコントロールが完全に一致しないようで、彼方此方のコーナーで片岡達也が、慌てる場面もあった。しかし、次第にタイミングは一致するようになって、2日目になると、全開での走行も可能となった。

 非常に低温であるため、タイヤもマッチしている訳がないが、連続走行を行いながら、片岡達也の操るS101.5は非公式のコースレコードを樹立している。

詳しいテストの状況は、こちらをご覧ください。
http://www.dome.co.jp/news/racereport/dt_370.html

 システム開発テストが一段落したため、次ぎのテストは、たぶんS102クーペのシェイクダウンとなる。
 9月にディメンションを公開した後、細かい部分の開発が本格的に行われるようになったため、外側のデザインだけでなく、様々な部分が変わっている。例えば、9月にホイールベースを2,950mmと発表しているが、その後の開発によって2,900mmまで短縮されている。他にも多くの点で進化している。
 現在モノコックの製作が進んでいるため、予定通りであれば、1月末にクラッシュテストを行って、その後組み立てを行い、2月末に日本国内でシェイクダウンテストは行われる。
 現在40%スケールモデルを使った風洞実験が行われて、細かい部分の煮詰めが進んでいるため、先週公開された風洞実験モデルから、さらに細かいデザインは手が加えられることとなるだろう。

●12月22日
ACOが2008年レギュレーションを発表    最も有利なLMP1エンジンはフェラーリ550用V12か!

Photo:Sports-Car Racing

 これまでの状況を知らない方には理解出来ないかもしれないが、来年の3月には、このレギュレーションを使った最初のレースが行われるにも関わらず、ACOは、昨日2008年のレギュレーションを発表した。しかし、新しいレギュレーションの総てが非公開だった訳ではない。大筋では、9月にACOが公表した内容と考えても間違いないだろう。GT1とGT2カーに大きな変更はなく、大きくモデファイされたのは、LMP1とLMP2の2つのプロトタイプクラスに集中している。

 LMP1は、車重が25kg軽い900kgとなる。さらに、ガソリンエンジンカーは、リストリクターの大きさを3%大きくされる。LMP2は、逆に50kg重い825kgの車重となる。燃料タンクの容量も10リットル小さい80リットルとされる。
 これらの変更は、1.7%のラップタイムの差を設けて作られたにも関わらず、LMP2クラスの方が有利と判断されたことから、LMP2を遅くする一方、LMP1クラスに限ると、ガソリンエンジンカーが大きく不利であることから、ガソリンエンジンカーの性能の引き上げを目標としている。

 同時にLMP2にも、ディーゼルターボエンジンの項目が追加された。LMP2の場合、LMP1と違って、プロダクションエンジンのパーツを使うことが条件で、排気量も4.4リットルまで許される。BMWやメルセデス等、DTM用のレーシングエンジンと基本設計が同じプロダクションディーゼルV8ターボエンジンを持つメーカーが幾つか存在するため、今後採用するチームが増えることだろう。
 また、バイオ燃料についても、取り敢えず燃料タンクの項目が追加された。バイオ燃料を使う場合、LMP1とLMP2が、それぞれ規定の燃料タンクの大きさを10%大きく出来る。

 ところが、昨日発表されたレギュレーションブックを良く読んでみると、最も大きなポイントは違うページに書かれていることが明かとなった。

 ファクトリーチームが望んでいるディーゼルターボエンジンは、メーカーの参加を促進するACOによって、同じ大きさのガソリンエンジンと比べると、理論上200馬力近く大きな出力を発生することが出来る。2007年の場合、その差は100馬力以上であったと考えられている。
 もちろん、ガソリンエンジンを使うレーシングチーム(多くはプライベートチームだ)から、大きな不満の声が聞かれたため、ACOは、ガソリンエンジンのリストリクターを3%だけ大きくした。
 しかし、ガソリンエンジンを使うプライベートチームのポテンシャルアップを構想する課程で、ACOは、非常に面白い方法を編み出した。

 ちょっとだけ見る方向を変えてみると、現在GT1クラスには非常に魅力的なエンジンが存在している。6リットルから7リットルの大排気量から600馬力前後を絞り出して、高性能と信頼性を両立している。しかも、これらのGT1エンジンは、一部の人々しか知らない、ジャドやAERと言った、レース業界のエンジニアリング会社の名前でなく、フェラーリやアストンマーティンと言った、スポーツカーファンでなくても、誰でも知っている魅力的な名前が付けられている。

 しかし、これらのGT1エンジンは、レース専用で作られた訳ではないため、大きく重いだけでなく、LMPカーに求められる、エンジンをフレームとして活用することも配慮されていない。
 そこで、ACOは、GT1エンジンをLMP1カーに使う場合、極端に大きなリストリクターを与えた。
 どれくらい大きいかと言うと、現在最強のガソリンP1エンジンと考えられるジャドの5.5リットルV10に与えられるリストリクターが32.9mm×2(それでも2007年と比べて0.5mm拡大)であるのに対して、同じ5.5リットルのGT1エンジンは33.7mm×2まで拡大される。
 33.7mm×2のリストリクターは充分に700馬力を発生可能と考えられる。つまり、純レーシングエンジンであるジャドV10より、フェラーリやアストンマーティンに積まれているGT1エンジンをベースとすると、約50馬力大きな出力を得ることが可能となる。

 それでもディーゼルターボより少ないことは事実だが、5.5リットルV12のディーゼルターボエンジンは、補器類を総て含めると250kg以上の重さとなるため、生産エンジンの発展型と言っても、GT1エンジンには大きなアドバンテージが存在するのは明かだろう。

 明かに有利な内容だが、事実上のレーシングエンジンを積むGTレースカーも存在するため、同時にACOは、GT1エンジンの概念をホモロゲイションエンジンとして明かとした。あまり知られていないが、これまでもLMP2では、純レーシングエンジンとは別にホモロゲイションエンジンの項目が存在した。LMP2用のホモロゲイションエンジンは、純レーシングエンジンが3.4リットルであるのに対して、600cc大きい4リットルが許されていた。ホモロゲイションエンジンは、年間1000機以上生産されるプロダクションエンジンをベースとしていると同時に、ストレスマウント出来ないことが条件となっている。このホモロゲイションエンジンのレギュレーションが、今回明確に規定された。

 しかし、現在のGT1クラスの最大排気量が8リットルであるのに対して、LMP1に使う場合6リットルに制限される。
 他にも幾つかの工夫が盛り込まれているが、フェラーリ550や575、そしてアストンマーティンDBR9の6リットルV12、排気量を6リットルに減らしたコルベットやサリーンのプッシュロッドV8が、一躍注目の存在としてクローズアップされたのは言うまでもない。

 詳しいことは判らないが、GT1エンジンをLMP1へ導入するプランについては、元々2010年に新しいLMPカーとして、1990年代のかつてのGT1カーのようなレギュレーションを導入するのに合わせて、水面下で構想されていることが知られていた。しかし、それが突然現れた理由は不明だ。
 しかも、ACOに近い人々の間でも知られてなかったようだ。なぜなら、先週ORECAは、2008年にORACAクラージュにジャドV10を積むことを公表しているのだ。ORECAは、2006年からサリーンS7R用としてフォードV8の開発を行っている。もし、ド・ショーナックがこのことを知っていたら、間違いなく、2008年にORECAクラージュにはフォードのプッシュロッドV8を積んだことだろう。
 12月末に発表されても、エンジン本体のモデファイは間に合ったとしても、ストレスマウントでないGT1エンジン故、LMPカーには強固なサブフレームを追加しなければならないのだ。どんなに優秀なコンストラクターであっても、6月までに仕事を完了出来るとは思えない。

 もしかしたら、現在ORECAはジャドとの契約を解約して、フォードのプッシュロッドV8を積むため、リアのサブフレームのデザインを開始したかもしれないし、未だにデリバリー先を発表しないローラの“屋根付き”のLMP1カーは、フェラーリ550エンジンを積むのかもしれない。

●12月15日
21世紀の童夢デザイン   童夢がS102の風洞実験モデルを公開

Photo:Dome
 左が25%スケールモデルによる風洞実験、右が40%スケールモデルによる風洞実験だ。見たいところを巧妙に隠しているが、童夢
デザインの先進性は明かだ。


 9月に公開されたS102のイメージスケッチは、非常に怪しいものだった。たぶん、ACOのレギュレーション通りの寸法をシュミレーションした3Dイメージをベースとして作成されたものだっただろう。しかし、フロントノーズ等、細かなデザインは何も手を加えられてないだけでなく、最も不可解だったのは、このイメージスケッチには童夢らしさが、まったく感じられないことだった。そのため、当方も、このイラストに対して、かなりの部分がカモフラージュされているという説明を加えて、掲載しなければならなかった。

 どうやら、その頃、決まっていたのは基本的なディメンションだけで、25%風洞モデルによる風洞実験のが盛んに行われて、毎日S102のカタチは変化していたようだ。
 11月に入って、やっとS102基本的なカタチは決定して、40%風洞モデルによる風洞実験も始まった。現在、童夢では25%スケールモデルと40%スケールモデルの両方を使って風洞実験が行われている。

 S102の基本的なデザインが決まったところで、大まかなS102の性格が見えてきたようだ。
 掲載した写真は、S102デザインのポイントを巧妙にカモフラージュしている。何処がポイントであるかは、ルマンカーを開発して苦労したエンジニアでなければ判らないだろうが、フロントノーズ床下から、どうような方法で空気を吸い出すのか? 誰もが気になるポイントだろう。
 S101時代とは違って、童夢は相当ライバル達、特にメーカーを警戒しているようで、2ヶ月後にS102の1号車が完成するまで、詳しいデザインの公開を拒んでいる。しかし、S101Hbで苦労してS101.5を作って、プジョー908の実験まで行った童夢が、中途半端なデザインを行うことはないだろう。
 このような童夢の地道な勉強や苦労は、ルマンへの参加を臭わせながら、10年近くの間何も行わないでいる日本のメーカーも見習うべきだろう。

 また、風洞実験モデルの公開と同時に、S102の正体が、ほんの少しだけ明かとなった。現在ACOレギュレーションは、ディーゼルエンジンに対してガソリンエンジンより100馬力以上大きな出力を与えている。100馬力少ないガソリンエンジンが成功するポイントは、素晴らしい空力性能と圧倒的に優れたシャシー性能にあると考えられている。圧倒的なシャシー性能のポイントが、フロントタイヤに大きな仕事をさせることであるのは明かだろう。もちろん、フロントタイヤに大きな仕事をさせるためには、前後の重量配分を大きくフロント寄りとすることとが課題となる。
 どうやら、優れた空力性能だけでなく、S102クーペは、画期的なフレーム構造を実現して、前後の重量配分を前よりとすることに成功しているようだ。

 既にカーボンマジックでは、“屋根付き”のモノコックの製作が始まっている。来週には、システム開発のため、再びS101.5を使ったテストも行われる。2ヶ月後にS102が完成するまで、童夢の動向から目を離せないようだ。

12月11日
●ローラB08クーペのシェイクダウンは1月に延期


Illustration:Lola Cars/Photo:Sports-Car Racing

 ローラは、12月第1週にB08-60(P1)とB08-80(P2)の2つのB08クーペのシェイクダウンを予定していた。しかし、細かな設計変更を理由として、1月までマシンが完成しないことを認めた。
 どのような部分の設計変更であるのか?ローラは明らかにしていないが、11月末に予定されていたクラッシュテストも行われていないらしく、プロジェクト全体が遅れているのだろう。

 また、これらのB08クーペが誰にデリバリーされるのか?についても、ローラは明らかにしていない。
 6月にP1カーのB08-60を発表した時、最初に作られるクルマはターボエンジンを積む、と言われた。そのため、アウディとの契約が残っているスイススピリット、ダイソンからAER V8ターボ用マウントのB06-10を買って、今年後半のALMSで走らせたCYTOスポーツとインタースポーツのいずれか?であると考えられていた。AERは、ALMS最終戦の際、排気量を3.6リットルから4リットルに拡大した改良エンジンを登場させて、見違えるようなパフォーマンスを見せつけている。ヨーロッパのLMSでは4リットルバージョンは登場しなかったが、チェンバレンがAER V8ターボ付きのB06-10を走らせているため、こちらへも営業活動は行われているだろう。

 11月になって、考えてもなかった2008年のルマンへの招待状を手渡されたオートコーンは、彼らが走らせたクリエイションCA06HハイブリッドカーがALMS以外で走ることは出来ないため、ローラとクリエイションの間で売り込み合戦が繰り広げられていた。しかし、どうやら、クリエイションCA07を導入することを決心したらしい。彼らがクリエイションを選んだ大きな理由は、サスペンションやリカード製トランスミッション等がほとんど同じであるだけでなく、価格にあると言われている。

 最初はメーカー同士の紳士協定として、GT1カーの価格は65万ドルに制限された。しかし、FIASCCのオーガナイザーだったジョン・マンゴレッティの働きかけによって、その後FIAは、レギュレーションで、SR1カーのマシン価格の上限を64万5千ドルに制限した。そのため、現在のP1カーの価格も同程度であると考えている方々が多いようだ。

 残念ながら、2004年レギュレーションを遵守して、定められたクラッシュテストに耐えるマシンを作ると、到底64万5千ドルで売ることは不可能だ。特に“屋根付き”の場合、転倒した際の耐クラッシュ性能を実現するのが難しいため、より高価となってしまう。“屋根付き”のローラB08-60は、エンジンを含まない完全な状態の場合は2億円以上、手持ちのB05やB06のパーツを使ってアップデイトするとしても、追加で買わなければならないモノコックやボディカウルだけで1億円を超えると言われている。

 現在最も有力なローラB08カスタマーはインタースポーツだ。しかし、彼らはジャドエンジンを望んでいるようで、シーズンスタート時点でB05-40 P2カーか、今年後半走らせたB06-10 P1カーを走らせて、途中からジャドV10付きのB08-60 P1カーを走らせる計画を望んでいる。そのための風洞実験を含む設計変更と考えるのが、最も自然なように思える。しかし、B08-80 P2カーの方も引取先が決まってないようで、ローラは、インタースポーツに対して、既に完成している、ジャドV8付きのB08-80 P2カーを走らせるプランも提示しているようだ。

12月10日
●2008年ルマン24時間レースの前座にグループC/GTPレース

Photo:Sports-Car Racing
  2004年ルマンの前座として開催されたグループC/GTPレース。
現役時代であればあり得ないが、1990年のIMSA GTPのニッサン
NPT90と1987年のランチアLC2グループCカーが競った。

 ヨーロッパではGroupC/GTP、アメリカではHSRによって、1993年までのグループCとIMSA GTPカーのレースが行われている。アマチュアドライバーによる趣味としてのレースだが、GroupC/GTPでは各種TWRジャガーがレギュラー参加しているし、HSRにはザウバーメルセデスC11が参加したこともある。
 そのため、観客にとっても人気のレースシリーズに成長しつつある。

 2004年のルマン24時間レースの際、ACOはグループCとIMSA GTPカーによるレースを開催した。大きな話題となったレースだったが、GroupC/GTPの主催団体はイギリスにあった。これまで、ACOのCERを取り仕切るパトリック・ペーターは、1978年までのスポーツカーレースを開催していた。そのため、微妙に住み分けが出来ていた。パトリック・ペーター自身、ルマン24時間やLMSの前座で917やフォードGT40のレースを開催しようとしたため、GroupC/GTPは、その後違うカレンダーを組んで活動していた。最近は、ルマンで24時間レースが行われている、同じ日にニュルブルクリンクやスパでGroupC/GTPレースが行われていた。

 現在のスポーツカーレースに参加しているプライベートチームの多くは、ヒストリックカーレースに参加しているミリオネラ達の支援によって成り立っている、それらのヒストリックカーレースに参加するエンスージャストはチームオーナーである場合も少なくない。
 ルマンと同じ日にGroupC/GTPが開催されたのでは、大きなマイナスとなる。そこで、現在2008年のルマン24時間レースの前座として、人気のグループCとIMSA GTPレースを開催する方向で話し合いが行われている。既にACOは、マツダ757やランチアLC2が参加することを公表している。

 しかし、これまでパトリック・ペーターが誘致していた1960年代から1970年代のスポーツカーレースのエントラント達も、1年に1度の楽しみであるため、従来通りレースを開催することを望んでいる。
 現在のルマンは非常にタイトなスケジュールであるため、土曜日に前座のレースを2つ行うことは難しい。もし両方を開催するのであれば、金曜日に決勝レースは行われることとなるだろう。

12月8日
●時代はポルシェからフェラーリへ

Photo:Sports-Car Racing

 2007年のALMSのGT2クラスには、フライングラザード、タッフェル、トランスポーツ、ファルンバッハ・ロール、レイホール・レッターマンから、7台のポルシェ997GT3RSRが参加した。しかし、フェラーリ430GT2の圧倒的な強さの前に、シーズン半ばを過ぎるまで、ポルシェは1度も勝つことが出来なかった。
 シーズン後半になって、セッティングが進んだこともあって、場合によってはポルシェがフェラーリの前を走る姿もしばしば見られた。

 このような状況にあって、再びポルシェを走らせようと考えるレーシングチームが居るだろうか?
 最終戦ラグナセカが終了すると、直ぐにトランスポーツは997GT3RSRを売りに出した。そして、どうやら、8月にオーダーしたらしく、今週タッフェルは、フェラーリ430GT2を受け取った。ラグナセカでボビー・レイホールは、2008年にLMP2カーを走らせることを発表している。
 ファルンバッハ・ロールは、元々ジェントルマンドライバーのために活動していたため、残るフライングラザードの動向が気になるが、現在のところ、彼らも2008年の計画を公表出来ないらしい。

 ポルシェ自身、RSスパイダーが好調であるため、GT2のテコ入れに積極的ではないらしい。もしかしたら、2008年のALMSでは、GT2クラスのポルシェが1台も走らないレースがあるかもしれない。

12月7日
●LMSスパーフランコルシャンが1週間前に移動

Photo:Sports-Car Racing

 既に知らせたように、ルマン前に行われる3つのLMSとALMSのカレンダーがバッティングしている問題について、取り敢えずACOは、5月18日に開催を予定していたLMS第3戦スパ-フランコルシャンを、1週間前の5月11日に移動してレースを行うと発表した。これによって、ALMSソルトレイクシティとのバッティングは回避されることとなった。
 残る2つのカレンダーのバッティング問題も、ALMS側がSt.ピータースバーグとヒューストンの市街地コースで開催されることから、事実上カレンダーの変更が不可能であるため、LMSのバルセロナとモンツァのスケジュールが変更される可能性が高いだろう。

**変更後のスケジュール
5月10〜11日  LMSB スパ-フランコルシャン(B)

12月6日
●LMSのカレンダーが変更される理由

Photo:Sports-Car Racing

 先週アウディは、アメリカで行われているALMSとヨーロッパが中心のLMSの両方に参加することを発表した。ところが、現在発表されているALMSとLMSのカレンダーは、3つのイベントが同じ週末に行われる。LMSに至っては、ルマン前に行われる3つのレースの総てがALMSと同じ週末に予定されている。

 アウディは、この2つのシリーズに2台のR10を走らせて、リナンド・カペロ、アラン・マクニッシュ、マルコ・ヴェルナー、ルーカス・ロールの4人がレギュラードライバーであることを公表しただけだった。これらの3つのスケジュールが、総てルマンの前であるため、もしかしたら、アウディは、重なっている3つのイベントで、どちらか一方だけに参加するのか、あるいは、イベントのスケジュールが重なる時、どちらかのイベントでは他のアウディドライバーが代役を務めるのだろうと思われていた。

 ところが、先週のエッセンでの発表の後、アウディは、ALMSとLMSの総てのレースに、既に発表した6人のドライバーによって参加することを公表した。
 つまり、バッティングしている、2つのシリーズの3つのカレンダーが変更されることとなる。

 どのように変更されるのかは判らない。しかし、ALMSによると、市街地コースで行われるSt.ピータースバーグとヒューストンはスケジュールの移動は不可能と言っている。同時に、ALMSが2008年のカレンダーを発表したのは9月のことで、LMSはその2ヶ月も後に発表している。既に、この時にはアウディのLMS参加は周知の事実であったため、ACOやパトリック・ペーターの考えが理解出来ないとも言う。
  どうやら、ALMSのカレンダーはそのままで、LMSのカレンダーが変更されることとなりそうだ。

4月5日(土) ALMSA St.ピータースバーグ(US)
4月6日    LMS@ バルセロナ(E)

4月26日(土)ALMS B ヒューストン(US)
4月27日   LMS A モンツァ(I)

5月18日  ALMS C ソルトレイクシティ(US)
5月18日  LMSB スパ-フランコルシャン(B)

12月5日
●2009年にJLMCが復活  取り敢えず2008年にLMSが中国に遠征する!

Photo:Sports-Car Racing

 SEROが諦めた後、ACOが独自に各サーキットとJLMC開催の話し合いを行っていたことは、既に掲載した通りだ。しかし、あまりにも行動する時期が遅すぎた。結局日本での開催を諦め、同時に話し合っていた中国での開催の実現に向けて、全力で取り組んでいる。もちろん、実現したとしても、たった1つだけの開催ではシリーズとは言えないため、その取り扱いに興味があつまっていた。

 今年LMSは、ヨーロッパを離れてブラジルで最終戦を行った。しかし、様々なトラブルが発生したようで、アメリカから遠征するチームの総てが参加を諦めている。
 どうやら、現在ACOは、ブラジルに替わって、中国でLMS最終戦を行う考えのようだ。

 ブラジルでの開催は、ヨーロッパから遠征するチームのマシンと人員の輸送代金を、ブラジルのオーガナイザーが負担することを前提として実現している。そのため、中国のオーガナイザーに対しても、同様の資金を負担するよう、要求しているらしい。
 しかし、12月に入っても、正式に発表出来ないだけでなく、その場所すら公表されてない。
 場所については、上海かツーハイのどちらかであるのは明かだが、2008年に中国ではオリンピックが開催される。そのため、開催したくても、中国の方にも事情はあるだろう。

 一方でACOは、2009年にはJLMCを復活させると宣言している。ACOによると、5年〜6年間程度の開催を約束出来るプランを構想していると言う。2009年に復活するJLMCは、中国では1つだけで、それ以外の総てのレースを日本で開催する方向で構想しているようだ。そのため、もしかしたら、アジアでの開催であっても、JLMCの名前が、そのまま使われるのかもしれない。

12月5日
●東海大学がルマン参戦を発表    Tokai Univ will go to LeMans!

Photo:Sports-Car Racing

 長い間ルマン参戦を目標としたプロジェクトを進めている東海大学は、とうとう2008年のルマン24時間レースへエントリーすることを発表した。

 これまでに何度か紹介したように、東海大学の計画は、山形のYGKと共に行われている。少なくとも、今年初めの段階では、エンジンと共に車体も自分達で開発して参加する計画だった。
 そのクルマのデザインスタディや図面が公開されていたが、正直なところ、どうひいきめに見ても、トップクラスの速さを発揮出来るとは思えなかった。しかし、その図面を作成したのが東海大学の学生であることを考えると、誰もが、将来楽しみな計画と判断していた。

 ところが、大学と言っても、何時までも、絵に描いた餅のような状態でプロジェクトを放置することは出来ないし、共同でプロジェクトに取り組んでいるYGKは、企業として許せる状況ではないだろう。
 そのため東海大学では、これまでも、既存のシャシーコンストラクターやレーシングチームにエンジンを提供して、ルマンに挑戦する試みを行っている。残念ながら、実績のないエンジンを使うレーシングチームはなかったようで、いつの間にか話しは途絶えてしまった。

 その後、既存のコンストラクターからマシンを買って、自分達のエンジンを搭載するだけの計画に切り替える話しが伝えられた。2年ほど前、我々は、既存のシャシーコンストラクターからマシンを購入する話しを知った。しかし、その後TWRジャガーXJR15を改造したテストカーによる走行テストが始まったことから、我々も、既存のシャシーコンストラクターからマシンを買う話しを忘れてしまっていた。

 ところが、TWRジャガーの改造車を走らせながら、その頃東海大学は、次々と4つのシャシーコンストラクターを訪問して、シャシー購入についての話し合いを行っていた。
 これまで東海大学が公表していたマシンはクローズドカーだった。既にローラ、ラディカル、クリエイションがクローズドカーを発表しており、これらの“屋根付き”のプロトタイプカーは、金を出せば、誰でも手に入れることが可能だった。もしかしたら、AIMと提携したクリエイションは難しいかもしれないが、ローラとラディカルは充分に実現可能な話しと考えられていた。

 しかし、LMP900時代と違って、最新のLMPカーは非常に高価で、特にクラッシュテストが厳しくなったため、転倒した際の耐クラッシュ構造の開発が難しいクローズドカーは高価となっている。
 一般のプライベートチームと比べると、東海大学の予算は相当大きいように思えるが、シャシー単体で1億円にも達するクローズドカーの価格は認められるものではなかったのだろう。
 結果として、9月にORECAが買収したばかりのクラージュからLC70を購入することとなった。

 どうしてクラージュなのか? との質問に対して、明確な答えは得られなかった。しかし、もし、中古車まで対象とするのであれば、現在中古市場に何台かローラが出回っている。ところが、新車となると、昨年散々な評判をちょうだいしてしまったクラージュLC70が、現在では最も安いかもしれない。

 東海大学がORECAクラージュから買うのは、LC70のモノコック、ノーズの耐クラッシュ構造、前後のサスペンションで、LC70の評判を落とした理由の1つであるミッションは、2006年バージョンのヒューランド製でなく、最新のXトラック製Type529となる。Type529はパドルシフトと組み合わせることを前提として開発されているから、メガラインかイアン・フォーリーのパドルシフトも導入されるだろう。

 そして、ボディ外側の多くのパネルは、東海大学のスタッフが、群馬の矢島工業の1/4風洞を使って開発してデザインされる。矢島工業の風洞は、元々童夢が作った風洞で、童夢が1/2風洞を完成させたため、矢島工業に販売されている。1/4という小さなサイズから、実験に使うスケールモデルが安価ですむため、現在でも初期開発の段階で、当の童夢も使っている優秀な風洞だ。
 詳しいデータは判らないが、全長が4,550mmと短いため、相当ダウンフォースを削っているようだ。
 ボディ側面に開けられた開口部の前側の大きな部分は、ノーズ床下の空気を吸い出すものだが、その直後の開口部は、内側の構造から推測すると、ラジエターかインタークーラー用らしい。前後の重量配分を考慮したためか、通常より、相当前よりであるのが判る。

Photo:Tokai Univ

 東海大学にとって、最も大きなハードルは、果たしてACOにエントリーを受け付けられるのか?と言う事だろう。ACOにエントリーを受け付けられた後、他のレーシングチームと同じように、ヨーロッパでテストを行うようだが、状況が許すのであれば、LMSにも参加することを検討している。
 エントリーが受け付けられたとしても、東海大学には大きなハードルが待ちかまえている。
 東海大学では、3分44秒のラップタイムを想定して、シュミレーションを行っている。しかし、先週アウディのウルフガング・ウルリッヒは、2008年のポールポジションのタイムを3分25秒以下と語っているため、アウディが3分25秒で走ってしまうと、107%ルールから3分39秒以下で走らなければ、予選を通過することが出来ない。
 今後の東海大学の頑張りに期待しよう。

12月3日
●プジョーもALMS参戦!?    カスタマーチームも!?

Photo:Sports-Car Racing

 先週アウディは、2008年にALMSとLMSの両方に参戦することを発表した。つまり、少なくともヨーロッパでは、6月のルマンだけでなく、シーズンを通してアウディとプジョーは闘うことが明かとなった。

 対するプジョーの動向が注目されるが、プジョーは、2007年に実現しなかったALMS参戦を計画しているようだ。
 エンデュランスインフォのクロード・フーボルトによると、2008年のプジョーは、少なくとも2回ALMSに参加する計画であると言う。この2つのレースが、どのレースであるか? フーボルトも、知らされてないそうだが、3月に行われるセブリング12時間、10月にロードアトランタで行われる“プチ-ルマン”10時間、その2週間後に行われるラグナセカの3つの内の2つであることは容易に想像出来る。
 これらのレースは、2007年もプジョーが参加するとの噂があった。しかも、最初の計画では、プジョーはセブリングに参加する予定だった。

 ところが、ALMSにおけるペンスキーのような、手強いP2チームが居なかったため、プジョーのワンサイドゲームに終始したLMSに対しては、少々参戦プログラムに変化があるようだ。プジョー自身「総てのLMSに参加することはないだろう」と発言したことから、どうやら、ヨーロッパ内で行われる5つのLMSだけに参加して、曖昧なブラジルをパスするのではないか、と考えられている。

 プジョーは最初から2008年にカスタマーチームが存在すると思われていた。もちろん、ほとんどの噂は、そのチームはペスカロロとなっていた。しかし、ペスカロロが独自に活動することを宣言したため、少なくとも2008年に、表だってペスカロロがプジョーを走らせることはない。
 にも関わらずカスタマーチームの噂は絶えない。一部では、ローラと決別したシュロースレーシングが、2008年にプジョーを走らせるとされている。しかし、シュロースレーシングの母体は、チェコのスコダのディーラーグループであるため、同じVWグループのアウディならともかく、ライバルであるプジョーを走らせるとは考え難い。もしかしたら、ヨーロッパのチームではなく、北アメリカでALMSを闘うチームと交渉しているのかもしれない。

 いずれにしても、2008年のスポーツカーレースで、にアウディとプジョーが、ヨーロッパとアメリカの両方で熾烈な闘いを展開するのは間違いないだろう。


11月30日
●2008年のアウディは、ALMSに加えてLMSにも参戦

Photo:Sports-Car Racing

 本日エッセンモーターショーで、アウディは、2008年のスポーツカープログラムを発表する。現在プレスコンファレンスが行われているため、取り敢えず、2008年の参戦プランだけを公表しよう。

 2008年のアウディは、従来通りアウディスポーツノースアメリカによってALMSに2台、そして、これまで参加しなかったLMSにもラインホルト・ヨーストのチームによって、2台のR10を送り込む。
 ルマンへは、3台のR10が挑戦することとなる。

 ALMSとLMSに参加するレギュラドライバーは、ディンド(リナンド)・カペロ、アラン・マクニッシュ、マルコ・ヴェルナー、そしてルーカス・ロールの4人となる。長い間ファクトリードライバーとして活躍したフランク・ビエラとエマニュエロ・ピロについては、彼らの素晴らしい経験を活かして、再びルマンでR10と共に活動することとなる。ルマンでは、もちろんトム・クリステンセンも参加する他、アレクサンダー・プレマとマイク・ロッケンフェラーがチームに加入する。

 気になる2008年モデルのR10は、エンジン、トランスミッション、空力の3つにポイントを絞って開発されている。残念ながら、詳しい内容については、もう数時間待たなければならない。

11月29日
●結局2010年にはGT1が復活?

Photo:Sports-Car Racing

 先週インデュランスインフォのクロード・フーボルトは、ACOの人間から興味深い話しを打ち明けられた。会食等の非公式の場であるから、もちろん、非公式な発言だが、どうやら、9月に2008年の施行を諦めたGT1復活について、ACOは未練を残しているようだ。そして、2010年に新しいレギュレーションが施行されるのに併せて、モデファイしたGT1(注:通称)カーを導入する意向であるのを明かとした。

 非公式と言っても、具体的な数値まで上げて説明したため、ACOがエンデュランスインフォを使って、情報を流そうとしたことは明かだ。逆の見方をすると、少なくとも現在のところ、ほとんどのメーカーやコンストラクターの承認を得ていないため、外部の反響を知りたい、と言うのが本音だろう。

 9月に消滅したGT1構想が、一部のメーカーの要望を受け入れて、それぞれのメーカーのクルマのカタチのプロトタイプカーを走らせようとしたのに対して、新しいGT1構想は、タイヤがカバーされているフォーミュラと化した現在のLMPカーへの反省から、よりクルマらしくすることを目標としている。そのため、現在施行されている“屋根付き”のLMPカーとの互換性はない。つまり、現在“屋根付き”のLMPカーを作っても、2010年には、再び新制GT1カーを開発しなければならない。

 少なくともP1クラスの場合、2009年まで現行の“屋根無し”のLMPカーが走れるため、純粋にコストの面からだけ見るのであれば、今“屋根付き”のLMPを作るのでなく、2009年まで“屋根無し”を走らせて、2010年に作る方が得と言えるのかもしれない。

 ところが、特にガソリンエンジンを使うのであれば、“屋根付き”のアドバンテージは大きい。しかも、クロード・フーボルトの質問に対して、ACOの人物は、今後“屋根無し”に対して段階的にハンデを課すことを発言していることから、流れが“屋根付き”に傾いていることは間違いないようだ。
 ちなみに、以前噂された日本のメーカーの可能性はなくなったらしい。
 詳しい内容はSports-Car Racing Vol.18で掲載しています。

11月28日
●ラルブルコンペティションがアストンマーティンからORECAサリーンへ

Photo:Sports-Car Racing

 9月にORECAはクラージュ買収を発表した。その時ド・ショーナックは、2008年に最低2台のORECAクラージュプロトタイプカーを走らせることを公言していた。ところが、ORECAは2006年からサリーンと共にORECAサリーンプロジェクトを展開しており、当然ながら、この有望なプロジェクトは継続中だった。そのため、ORECAが両方をプロジェクトを展開するのは難しいとの意見も少なくなかった。
 予想通り、ORECAはサリーンを走らせる有望なレーシングチームを探していた。

 一方で、一時のブームが去った後、大きく重い6リットルV12エンジンをノーズに積むアストンマーティンDBR9が、それほど高性能でないことが明かになって、必要とされるコストの高さは、アストンマーティンDBR9を走らせるレーシングチームにとって大きな負担となっていた。場合によっては、プロトタイプカーを超えるコストが必要とされるようになったことから、スクーデリアイタリアのように、プロトタイプクラスへの復帰を目論むチームも現れ始めていた。
 2006年にORECAサリーンが登場して、コルベット以外の選択肢が現れたこともあって、プロトタイプクラスでなくGT1にも可能性が残っていることが判明した。

 そのような状況の中、今年アストンマーティンの有力チームとして活動したラルブルコンペティションは、2008年に2台のORECAサリーンを走らせることを決定した。
 この契約は、ORECAの委託によって、ラルブルコンペティションがORECAサリーンを走らせるものではない。あくまでもラルブルコンペティションによるプロジェクトだ。しかし、ORECAにとっても、ラルブルコンペティションにとっても、望んでいたプランであることは間違いないだろう。
 2008年のラルブルコンペティションの計画は、ルマン24時間、LMS、そしてFFSA GTで2台のORECAサリーンを走らせる。詳しい発表は、1月22日に行われる。

 10月末にパリで発表される予定だったORECAの2008年の計画は、未だに明かではない。噂では、ORECAクラージュの活動は非常に小規模で、ORECA自身もサリーンを走らせる可能性があるようだ。
 しかし、ORECAとペスカロロを中心として、フランスにおけるスポーツカーレースの勢力分布図が大きく変わろうとしていることだけは間違いないだろう。現在GTカーを走らせているチームが、ORECAクラージュやペスカロロと共同戦線を築く可能性も少なくないようだ。

11月27日
●オートコーンが選ばれた理由は?

Photo:Sports-Car Racing

 先週ACOは、2008年ルマン24時間レースの招待チームのリストを発表した。そのリストの中で、誰もが驚いたのは、ALMSに参加していたオートコーンチームが含まれていたことだった。
 まず、ACOが翌年のルマンに招待する基準は、ルマン24時間と“プチ-ルマン”の各クラス上位2台、ALMS、LMS、そしてFIAGTの各クラス上位2台としている。ところが、オートコーンはALMSの3位で、この基準に当てはまらない。ACOは発表した時、オートコーンの欄にはALMS2位と記載されていた。
 2007年のALMSのP1クラスの1位と2位はアウディスポーツノースアメリカで、3位がオートコーンクリエイションである。 単純にACOが間違えてしまったのだろうか?

 2005年、ACOは、手違いを理由として、ルマンのエントリーリストにザイテックを記載するのを忘れてしまった。その後ACOはザイテックのビル・ギブソンに丁重に謝ったことは言うまでもない。
 選択されたオートコーン自身驚いているようだが、もし、ACOが、オートコーンを選んだ何らかの理由があるとすると、ダントツにアウディが強かったとしても、2台のアウディは共に同じアウディスポーツノースアメリカであるため、チームタイトルとなると、オートコーンが2位となることだろう。

 現在、オートコーンは2008年のルマン24時間へ参加するべく、準備を進めている。しかし、2007年のALMSで彼らが走らせたのは、ルマンには参加出来ないクリエイションのハイブリッドカーだった。そのため、2008年のルマンに参加するには、完全なP1カーを導入することが前提となる。
 そのため、現在クリエイションとローラの間で、熾烈な誘致合戦が勃発している。両者共、非常に魅力的なプランをオートコーンに提示しているようだ。

11月19日
●ACOが、2008年のルマンの招待リストを公表

Photo:Sports-Car Racing

LM P1 :
AUDI SPORT NORTH AMERICA (1st 24 Heures du Mans)
AUDI SPORT NORTH AMERICA (1st ALMS et Petit Le Mans)
PEUGEOT TOTAL (2nd 24 Heures du Mans)
PEUGEOT TOTAL (1st LMS)
PESCAROLO SPORT (2nd LMS)
AUTOCON MOTORSPORT (2nd ALMS)

LM P2 :
PENSKE RACING (1st ALMS)
PENSKE RACING (1st Petit Le Mans)
BINNIE MOTORSPORT (1st 24 Heures du Mans)
RML (1st LMS)
QUIFEL ASM (2nd LMS)
BARAZI EPSILON SPORT (2nd 24 Heures du Mans)

LM GT 1 :
CORVETTE RACING (1st Petit Le Mans)
CORVETTE RACING (2nd 24 Heures du Mans)
ORECA (1st LMS)
LUC ALPHAND AVENTURES (2nd LMS)
VITAPHONE (1st FIA GT)
ASTON MARTIN RACING (1st 24 Heures du Mans)
SCUDERIA PLAYTEAM SARAFREE (2nd FIA GT)

LM GT 2 :
IMSA PERFORMANCE MATMUT (1st 24 Heures du Mans)
RISI COMPETIZIONE (2nd 24 Heures du Mans)
RISI COMPETIZIONE (1st ALMS)
VIRGO MOTORSPORT (1st LMS)
FELBERMAYR-PROTON (2nd LMS)
FLYING LIZARD MOTORSPORT (1st Petit Le Mans)
AF CORSE (1st FIA GT)
BMS SCUDERIA ITALIA (2nd FIA GT)

11月16日
●2008年のアキュラは4台?  AGRはクリスチャン・フィッテパルディと契約

Photo:Sports-Car Racing

 2008年のアキュラは、2008年のアキュラは、最大4台体制を築くことを目標としているらしい。もちろん、AGRとフェルナンデスが中心となるのは変わらない。3つ目のハイクロフトは、何と2台体制を目論んでいた。1台はエースカーとして優勝を狙って走って、もう1台にオーナードライバーのダンカン・デイトンが乗り組む計画だったようだ。しかし、既にホンダは、ダンカン・デイトンの計画を断ったらしく、今のところハイクロフトは1台だけを走らせることとなりそうだ。

 しかし、4台目のアキュラの噂は以前として存在する。ラグナセカでは、ボビー・レイホールが、2008年にP2カーを走らせることを公表した。アキュラと噂されたが、相当前アキュラは、レイホールを門前払いしているようだ。その後ボビー・レイホールは、ポルシェと話し合っているらしい。
 現在のところ4台目のアキュラは謎のままだ。

 エイドリアン・フェルナンデスは、2008年にローラに代えてザイテックを買って、それにアキュラV8を積む意向を示していた。しかし、2008年のアキュラは、総てのチームが、クラージュLC75のモノコックを使って、ニック・ワースが作り替えたアキュラARX-01bを走らせる方針だ。クラージュを買収したORECAにとって、最初の大きな収入源となるだろう。噂が本当であるなら、これらのシャシーは、アキュラの持ち物ではなく、参加チームが自身で購入しなければならないらしい。

 元々、AGRは、先週行われたLMSブラジルラウンドへ参加する計画だった。しかし、その後、詳細は不明ながら、ブラジルの主催者との間で行き違いがあって、総てのALMSチームが参加を取り消す一方、当のLMSとの間でも、何らかの金銭的な問題が生じている。実現しなかったブラジル遠征の際、AGRアキュラの3人目のドライバーとして乗り込むと見られていたのがクリスチャン・フェッティパルディだった。

 9月にAGRは、ダリオ・フランキティとの契約を早めに打ち切った。そのため、2008年はブライアン・ハータとトニー・カナーンのペアでALMSに参加すると思われていた。しかし、トニー・カナーンが乗り組むのは一部のレースだけで、クリスチャン・フィッティパルディがブライアン・ハータとペアを組む。
 1月にセブリングで行われるALMSテストで総てのアキュラチームは姿を見せることとなるだろう。

11月15日
●2008年LMSスケジュール

Photo:Sports-Car Racing

3月2-3日 Test Days ポールリカール(F)
4月6日@バルセロナ(E)
4月27日Aモンツァ(I)
5月18日Bスパ-フランコルシャン(B)
8月17日Cニュルブリクリンク(D)
9月14日Dシルバーストーン(GB)
TBAEインテルラゴス or ブルーノ

11月13日
●童夢がS102のための先行テストを開始

Photo:Sports-Car Racing

 期待のS102の完成はもう少し先となるようだが、童夢は、S102に盛り込まれる新しいシステムを先行して開発するため、テストを開始した。使われたのは、Racing for Hollandから戻ってきたS101.5の1号車で、9日にSUGO、12日に富士スピードウエィで走行テストは行われた。

 今回のテストのメインメニューは、ザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトの開発だったようだ。S102にはザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトが使われる。これまでザイテックの電磁石を使ったパドルシフトとXトラックのミッションが組み合わせられることはなかった。しかも、EFIユーロのコンピューターを使うジャドエンジンとも組み合わせられたことはなかった。
 そのため、先行してテストを行うこととなったのだろう。
 ピットでは、通常考えられないジャドとザイテックのエンジニアが並んで作業を行う姿が見られた。
 
 テストドライバーを務めたのは伊藤大輔と片岡龍也で、LMPカーを経験している伊藤大輔が中心となってテストは行われた。
 パドルシフトの開発がメインメニューであるため、通常のS101.5では考えられないような、コーナーの相当手前でブレーキングして、シフトチェンジが行われた。そのため、ラップタイムを期待することは出来ないが、2日目となった富士スピードウェイでは、非公式ながら、コースレコードを樹立している。

11月7日
●2008年のALMSのP2カーの車重は825kgより軽い?

Photo:Sports-Car Racing

 6月ACOは、2008年レギュレーションでP2カーの車重を50kg重い825kgとすることを公表した。
 少なくとも8月まで、IMSAは、2008年のP1とP2カーのレギュレーションは、基本的にACOと同じであると公表していた。その頃P2のポルシェRSスパイダーが、アウディのP1ディーゼルカーを圧倒して連戦連勝していたため、50kgの増加は当然のものと考えられていた。
 ところが、9月になると、ACOは、P1の車重を25kg軽い900kgとする一方、総てのガソリンエンジンカーのリストリクターを3%大きくする旨のコメントを公表した。

 ポルシェのP2カーが50kg重くなるのに対して、アウディのディーゼルエンジンカーは25kg軽くなると言う事は、150kgもあった車重の差が、たった75kgとなることを意味する。3%大きいリストリクターによって、P2カーは余分に15馬力を得ることが可能となっても、P2がP1に勝つ可能性はほとんどないだろう。

 ガソリンエンジンカーを走らせる有力なP1チームにとって、このレギュレーションは大きな可能性となる。しかし、ALMSの場合、ガソリンエンジンカーを走らせる有力なP1チームが、新たに参加する可能性はほとんどないことから、少々困った状況となっていた。

 先週、IMSAのダグ・ロビンソンは非公式なコメントとして、P2カーの車重について、2008年から50kg増加させるのでなく、2年の間段階的に増加させるべく、話し合っていることを明かとした。
 どれくらいの車重が妥当であるのか? ダグ・ロビンソンは明かとしなかった。しかし、P2の車重について、P2のポルシェやアキュラ、そして、P1のアウディと話し合っているらしい。

 つまり、2008年のALMSでもアウディvsポルシェの闘いが見られることとなりそうだ。たぶん、アキュラが、ポルシェと共にアウディと熾烈な闘いを繰り広げるのだろう。


10月30日
●無限クラージュの行方

Photo:Sports-Car Racing

 余程の大逆転でもない限り、JLMC復活は難しい。そこで、これまでJLMCに参加したLMPカーの行方を探ってみよう。チャンピオンに輝いた一ツ山レーシングのザイテック05Sは、2005年のレギュレーションに基づいたLMP675カーであるため、そのままの状態では、基本的に今後世界中のスポーツカーレースに参加することは出来ない。そのため、現在のところ、今後他のレースに参加する話し合いは行われていない。

 しかし、ALMSは今後もハイブリッドカーの参加を認める方向であるため、昨年LMSに参加した06Sハイブリッドカーのパーツを使って、ハイブリッドカーに改造されるのであれば、ALMSがターゲットとなる。
 昨年LMSを走った06Sは、P1ハイブリッドカーだった。しかし、軽いP2が注目を浴びていることから、わざわざエンジンを載せ替えたり、太いタイヤを履くためリアカウルを改造しないで、P2ハイブリッドカーに仕立てることで、充分なポテンシャルを発揮することだろう。

 一方無限クラージュC70については、複数のレーシングチームから引き合いがあるようだ。中でも、最も有力な話しは、来年のルマンに参戦するもので、既に金額の話し合いが行われている。
 しかし、Mテックがクラージュを売却してしまう訳ではなく、マシンのレンタル、あるいはチームをレンタルする方向で話し合いは進められているようだ。
 また、新チームがマシンを買い取るのであれば、マシンにも自由に手を加えることが出来るが、現在進められている話は、いずれもレンタルを前提としている。そのため、Mテックとしては、無限の4リットルV8の使用を条件としている。新チームが、開発コストを負担するのであれば、3.4リットルに作り替えて、P2クラスへの参加も可能となるが、残念ながら安い金額ではないようだ。
 新チームには、ルマンのビックネームも関わっているらしく、実現することを願いたい。

10月28日
●2008年もクラシックレーシングジャパン(CRJ)は開催

Photo:Sports-Car Racing

 SEROが手を引いた後、JLMCの復活は難しい状況だが、現在ダブルヘッダーとしてSEROが開催しているクラシックレーシングジャパンは、来年以降も開催される見込みだ。
 しかし、JLMCが本当に開催されないのであれば、何処か他のイベントと連携しない限り、CRJ単独でイベントを行わなければならない。現在SEROによって、どのようなカタチでイベントを実施するのか? 彼方此方のオーガナイザーと話し合いが行われているようだ。

10月27日
●ACOが異例のコメントを発表  ルマンで何があったのか?

Photo:Sports-Car Racing

 ペスカロロオートモビルが誕生した2日後、25日ACOは異例のコメントを公表した。
 最初に「ACOは、ペスカロロオートモビルの誕生に対して、暖かく歓迎します」と述べた後、「ACOはルマン24時間レースの主催者として、これまで、新規参入者に対して、その参入を妨げる意図はありませんでした。それが、どの国のどのような規模だったとしても」と付け加えている。
 いったいルマンで何があったのだろうか?

 つい1ヶ月前、ORECAのクラージュ買収劇には、ACOの助言!があったことは知られている。その時、最初にクラージュが合併を持ちかけたのはペスカロロだった。当たり前だと思うが、もちろんペスカロロはクラージュとの合併を断った。その結果ORECAがクラージュを買収することとなる。
 そして23日アンリ・ペスカロロは、支援者のジャック・ニコレと共にペスカロロオートモビル誕生を発表した。しかし、従来のペスカロロスポーツは、レース活動を行うだけでなく、優秀なマシンを作って、幾つかのレーシングチームに販売してきたのであるから、基本的に行うことは変わらない。グループを幾つかに分け、資金的なバックアップを明かにしたことだけが違うだけだ。
 体制の強化を、世界中に発表するのは大きな意味があるだろう。しかし、商品であるニューマシンが公開された訳でもないのに、この時期にペスカロロが大々的に発表したのか? 少々謎だった。

 どうやら、ACOはアンリ・ペスカロロを怒らせてしまったことだけは間違いないのだろう。そのため、ACOは異例のコメントを発表したようだ。ルマンで何があったのだろうか?
*注:Sports-Car Racing Vol.18をご覧下さい

10月25日
●2008年FIAGTカレンダーと2010年の新制FIAGT決定   GT1復活? 2010年にGT1世界選手権?

Photo:FIAGT/DPPI

◆2010年にFIA GT1世界選手権を実施する
 先週予告したように、ステファン・ラテルは、FIAGTのフューチャープランを発表した。
 FIAGTからの発表は以下の通り。

 10月24日FIAワールドモータースポーツカウンシルは、FIAGTから提案された「2010年にGT1カーによる世界選手権とGT2カーによるヨーロッパ選手権」の実施を承認した。
 これらの2つの選手権に参加するクルマは、共に新しいテクニカルレギュレーションに基づいて作られる。12月に行われるワールドカウンシルの際、詳細は公表される。

 新しいレギュレーションは、ACOによっても承認され、最小生産台数を300台としている。しかし、生産台数を満たしても、極端に過激と判断されるクルマについては、FIAが拒否する権利を有する。
 マニファクチュラーとコンストラクターは、従来通りの台数(*注:大メーカー25台、小メーカー12台)のGTレースカーを作ることで、FIAGTへの参加資格を得ることが可能となる。
 トラクションコントロール等は禁止する意向で、統一したECUの装着を義務着けることで、同等のエンジン出力とトルクを実現するよう、性能をコントロールする。基本的に量産されているエンジンの使用を徹底されるため、エンジンについては、5000台以上生産されていることが使用の条件となる。
 基本的な改造規定については、現在のFIAレギュレーションが使われる。

 GT1カーは排気量5.5リットル以上をガイドラインとして、650馬力の出力と1300kgの車重、または600馬力の出力と1250kgの車重のどちらかの組み合わせ選ぶことが出来る。
 GT2カーは、排気量5リットル未満をガイドラインとして、500馬力の出力と1250kgの車重、または450馬力の出力と1200kgの車重のどちらかを選ぶことが出来る。
 5リットルと5.5リットルの間の排気量のエンジンを使用する場合、自分達の都合に合わせて、どちらかを選んでホモロゲイション申請することが出来る。しかし、同じクルマでGT1とGT2の両方にホモロゲイション申請することは出来ない。
 GT3については、従来のレギュレーションを堅持する。

 つまり、たった1ヶ月前ラテルが主張して、同じFIAワールドモータースポーツカウンシルに提案した「GT1とGT2を廃止して、GT3とGT4によってレースを行う」と言うプランは、完全に消滅している。
 新たに設けられたGT1とGT2は、基本的に従来のものと変わらない。違うのは、従来自分達で都合の良い車重とエンジン出力を自由に選ぶことが出来たが、新しいレギュレーションでは2種類しか選べないこと。そして、統一したECUの装着を義務着けて、性能のコントロールをすることだけだ。

 現在のFIAGTが抱える最も大きな問題は、GT1とGT2カーのコストが高騰していることだ。このことを理由として、1ヶ月前ラテルは、GT3とGT4による新制GTプランを公表している。ところが、たった1ヶ月で逆戻りしてしまっただけでなく、肝心なコスト削減についてのプランは姿を消してしまった。
 2010年のFIAGTが、1999年の寂しいFIAGTの再現とならないことを願うしかない。

◆2008 FIA GT Championship Calendar
4月20日 @Silverstone(GB)
5月18日 AMonza(I)
6月21日 BAdria(I)
7月6日  COschersleben(D)
8月3日  DTotal 24 Hours of Spa(B)
8月31日 EBucarest(RO)
9月14日 FBrno(CZ)
9月28日 GNogaro(F)
10月18日 HZolder(B)
11月23日 ISan Luis(AR)

10月24日
●ペスカロロオートモビル誕生  フランスはORECAとペスカロロの二大勢力に再編成!

Photo:Sports-Car Racing

 少なくとも2008年にペスカロロがプジョーを走らせることは無いようだ。
 10月23日アンリ・ペスカロロとジャック・ニコレは記者会見を開いて、共同でペスカロロオートモビルを設立したことを発表した。アンリ・ペスカロロを知らないスポーツカーファンは居ないだろうが、もう1人のジャック・ニコレは、たくさんのショッピングセンターを持つGroup Altareaを率いており、ヒストリックカーレースのエントラントとして知られていた。2人は2006年9月に出会った。

 ジャック・ニコレは、スイススピリットと破談に終わったセルジュ・セルニエに求めに応じて、2007年1月セルニエのレーシングチームを買収している。元々セルニエは、2007年ペスカロロモノコックを使って参戦する計画だった。しかし、スイススピリットから訴えられそうになって、計画をキャンセルした。
 ニコレがチームを手に入れた後、ペスカロロとの話し合いが復活して、その課程で、マシンを買うだけでなく、共同でコンストラクターを運営することとなった。

 交通整理すると、新たに設立されるペスカロロオートモビルは、従来のペスカロロスポーツのマシン開発部門を中心として設立される。つまり、完全なコンストラクターであって、マシンの開発と製作、そして販売が仕事だ。2008年に向けて、既にP1とP2カーの開発に取りかかっている。
 ペスカロロスポーツは、レーシングチームとして存続する。2008年はペスカロロオートモビルが作るP1カーによってルマン24時間レースとルマンシリーズに参戦する。
 一方セルニエレーシングは、ペスカロロオートモビルが作るP2カーを走らせる。
 もちろん、カスタマーカーの販売も行う計画で、今年販売したP1のサービスも継続される。

 1ヶ月前ORECAによるクラージュ買収が発表されている。ペスカロロオートモビルが誕生したことによって、フランスにおけるスポーツカーの勢力は二分されることとなった。

 少々不可解なのは、ペスカロロとプジョーとの繋がりが明かでないことだろう。
 7月にペスカロロは、プジョーを走らせる旨のコメントを公表している。ORECAによるクラージュ買収劇を含んで、たった3ヶ月の間に、ペスカロロの周囲は大きく動いている。
 ペスカロロスポーツが走らせるP1カーのエンジンについては、何も発表されなかった。2008年にジャドは、AIMエンジンを開発するだけだ。もし、ジャドを使うとすると、2007年バージョンの5.5リットル72度V10しか買うことが出来ない。たぶん、まだペスカロロとプジョーの話し合いは続いているのだろう。

10月24日
●ローラが“屋根付き”のB08-80 P2カーを発表   目標は打倒ポルシェ!


Photo:Lola Cars
 上がB08-80 P2カー。サイドボディから空気を取り入れるのはB05-40とまったく同じ。下がB08-60 P1カー。逆にサイドボディから、ラジエターを冷やした空気を排出する。

 ローラは1月に“屋根付き”のP1カー計画をあらためて発表している。6月にはデザインスタディも公開した。そのため、ローラの最重要課題が“屋根付き”のP1カーであると考えられていた。ところが、ヨーロッパでは、ザイテックやペスカロロによって市場を奪われ、ヨーロッパで2007年に新たに参入したP2チームの総てがローラを選ばなかった。北アメリカでは、もっと深刻な状況に陥っていた。辛うじてマツダとフェルナンデスがローラを購入した。しかし、ポルシェRSスパイダーが快進撃する中、今後ローラのテリトリーが激減することは明かだった。

 プライベートチームに販売することでローラの商売は成り立っている。その中心がP2であるのは言うまでもない。そこで、ポルシェをターゲットとしたP2プロジェクトがスタートすることとなった。と言っても、既に開発が進んでいたB08-60 P1カーの“屋根付き”のモノコックを使うことを前提として計画は進められた。そうして、9月までにデザインがまとめられた。
 詳細は未発表ながら、ローラが公開した風洞実験モデルから判断する限り、B08-60 P1カーのモノコックを使った“屋根付き”で、それにB05-40のサイドボディを組み合わせただけのように見える。
 もしかしたら、B05-40 P2カーを走らせている既存のチームへの販売を見込んで、新しい“屋根付き”のモノコック等を買うだけで、コンバート可能なような工夫がされているのかもしれない。

 B06-10 P1カーと違って、サイドボディから空気を取り入れ、テイルエンドから排出するB05-40の空力デザインは成功であると言われている。残念ながら、この方法は、冷却のキャパシティが大きいP1では採用出来ないデザインだが、少なくともP2カーは素晴らしい空力性能を持つのかもしれない。
 もちろん、エアコンが装着されるため、大きなリストリクターの使用を前提としてシュミレーションは行われている。超高速のルマンだけでなく、先週行われたラグナセカのように低い気温の中でレースが行われるのであれば、エアコンのスイッチを切ることが可能なため、大きなアドバンテージとなるだろう。

 ポイントは、ローラがエンジンを明かしないことだ。ポルシェの速さはシャシーだけでなく、ポルシェのV8エンジンの優秀さがあってのことだ。ポルシェV8に対抗出来るP2エンジンはアキュラとザイテックしかないため、アキュラがエンジンを販売しないのであれば、ザイテックを積むこととなるだろう。

 来週最初のモノコックが完成する予定で、12月の最初の週にシェイクダウンを予定している。
 しかし、B08-60 P1カープロジェクトがキャンセルされた訳ではなく、12月に行われるシェイクダウンはP1とP2がほとんど同時に行われるらしい。何処にデリバリーされるか?ローラは明かにしないが、その後スペインに移動じて本格的なテストは行われると言う。

10月20日
●迷走するFIAGT  GT1とGT2が復活??  GT3とGT4プランは何処へ??

Photo:FIAGT/DPPI

 ステファン・ラテルは、8月のFIAのワーキンググループから、2年後を目処として、現在GT1とGT2で行われているFIAGTを、GT3とGT4で行うことを提案していた。正面から反対意見を述べたのはポルシェだけだったため、ラテルのプランは、大筋で認められると思われた。ところが、現在アメリカではGMとクライスラーがGT2カーの開発を推進しており、ACOは彼らの行動を支持した。
 元々、ラテルの主張の背景には、GT1とGT2カーのコストの高騰だけでなく、GT3とGT4を走らせたいと考える幾つかの意見が存在した。ところが、GT3とGT4を走らせたいを言う意見の中に、メーカーは存在してなかった。GT3カーやGT4カーを作るコンストラクター等、自分達の利益のための発言に過ぎなかった。
 そこでラテルは、大きく軌道修正を余儀なくされることとなった。

 ゾルダーでラテルが明かにしたことによると、新しいレギュレーションは、「FIAだけでなく、ACOの認可も受けることが大切である」と前置きした。そして、GT1とGT2を堅持する方向であることも明かとした。一応プランであると前置きしながら、GT1カーのパフォーマンスについて、車重1250kgと600馬力をボーダーラインとして、ロードカーの証明として300台の生産を義務付けることを検討している。
 FIAGTについては、2009年に新しいレギュレーションのクルマを導入する一方、2010年にはワールドGT1チャンピオンシップとヨーロピアンGT2チャンピオンシップを実施する計画であるとも語った。
 たった1ヶ月前、強調したGT3とGT4について、ラテルは一言も語らなかった。

 少なくとも2007年のFIAGTは、ヨーロッパ内のイベントに限ると、非常に上手く運営されているように思える。しかし、GT1とGT2だけで20台のエントリーしか集まらない状況を見ても、1998年のFIAGTがそうだったように、実情は非常に苦しいのかもしれない。
 もちろん、そのため、好評なGT3とGT4を柱とした新フォーマットを構築しようと目論んだのだろうが、現在世界の中心であるACOに反対され、メーカーの支持も失いかけて、大幅に軌道修正したのだろう。
 ラテルは、来週詳しい内容を公表するとしているが、たぶん、再びモデファイされることだろう。

 1999年のFIAGTは、メルセデスのGTPカーとプライベートチームが走らせる“屋根無し”のプロトタイプカーが闘うとラテルは公表していた。しかし、周囲の支持を得られなかったため、ほとんどがプライベートチームが走らせるGT2カーだけの、寂しいシリーズとして行われた。
 このことを、まだ誰も忘れては居ない。

10月20日
●スーパーチャージャー付きのスーパーコルベット登場!

Photo:Sports-Car Racing

 ALMS最終戦が行われているラグナセカに、GMは近い将来生産される予定のコルベットのプロトタイプカーを持ち込んだ。そして、ラグナセカに集まった大観衆の前で実際に走行した。詳しい内容は未発表ながら、このコルベットプロトタイプカーは、現行のC6をベースとしたもので、LS6スモールブロックV8にスーパーチャージャーを組み合わせている。
 これ以上の内容は何も公表されなかったが、スタンダードのZ06でさえ400馬力以上であることから、500馬力をターゲットとしていると噂されている。つまり、フェラーリやポルシェのトップレンジに対抗することが可能なスーパーコルベットとなる。

 しかし、GMによると、このクルマが噂のGT2コルベットではないと言う。ロードカーとしてのフラグシップであって、可能性としてスピードビジョンカップ等への参加はあるらしいが、レースカーではない。
  GT2コルベットは、ロードアトランタで公表した通り、来年ライリーテクノロジー製が登場する。もちろん、GMのバックアップによってライリーテクノロジーは開発するが、それが最後ではないらしい。どうやら、コルベットレーシングを支えるプラット&ミラー製のGT2カー!も存在するらしい。

10月16日
●JLMCの運命

Photo:Sports-Car Racing

 今年JLMCを開催しているSEROは、7月に自分達がJLMCを開催するのは今年限りであることを発表した。つまり、SERO以外の誰が、JLMCを開催するのか? が問題となっていた。
 直ぐにACOと寺田陽次郎氏が話し合っていることが明かとなった。そして、寺田陽次郎氏とACOがSUGOと接触したことも判明している。さらに、ACOはホンダを経由して、モテギとも話し合っている。
 確認出来ないが、ACOは富士スピードウェイとも話し合ったことだろう。
 さらに、ACOが公表したように、日本以外のアジアのサーキットの幾つかともACOは接触している。
 しかし、これらの話し合いは順調に進んでいる訳ではないらしい。各サーキットがACOとの契約に消極的である理由は、ACOが開催件料を各サーキットに要求していることにあるようだ。

 ACOが、これまで存在しなかった開催件料を主張するようになった理由は、たぶん、LMSのブラジルの主催者が、渡航費用の提供を承諾したことにあるだろう。
 元々FIAGTを誘致する際、ステファン・ラテルは、高額の開催件料を要求している。であるから、ACOが開催件料を要求したとしても、何ら不当な要求ではない。
 ところが、JLMCに対して、ACOは開催件料を要求するだけだ。例えば、その開催件によって、何台かのLMS勢が日本にやって来る、と言った条件は契約書に何も盛り込まれていない。

 既に10月も半ばを過ぎていることを考慮すると、もし、2008年にJLMCかALMCが開催されるとしても、各国のシリーズが終了した後、たぶん、10月か11月に、LMS勢を招いて1回だけとなる可能性が高いだろう。
 その場所が、日本であることを望むしかない。

10月16日
●2008年のルマン24時間レースは6月14〜15日に開催される

Photo:Sports-Car Racing

 これまで、ACOは2008年のルマンのカレンダーを発表してなかった。2007年と同じ6月の第3週目であるなら6月14〜15日となるが、1週間早い6月の第2週に行われる、との噂が絶えなかった。しかし、もし、6月の第2週に決勝レースを行うのであれば、テストディを5月に行わなければならない。
 この噂が広まった理由は、ルマンに遠征したチームが戻った後、その後のカレンダーを組まなければならないALMSの事情が関係しているようだ。2008年のALMSは、7月から連続して5つのイベントを行う。その内3つはIRLとChampcarとのダブルヘッダーであるため、ALMS側の都合でカレンダーを決めるのは難しい。
 そこで、ルマン24時間レースそのものを1週間早く開催することを求めていたようだ。
 と言っても、当のACOは変更するつもりは無かったようだ。しかし、いつものように、正式発表を遅らせたため、噂が広まることとなったのだろう。
 と言う事で、2008年のルマン24時間レースは6月14〜15日に開催されることが確定した。

10月9日
●ブラジルへ行くLMSチームは25台

Photo:Sports-Car Racing

 11月にLMS最終戦がブラジルのミル-ミルハスで行われる。LMSのシリーズの1戦だが、遠いブラジルで行われるため、幾つかのチームは参加しないと思われていた。そのため、ブラジルの主催者は、マシンと機材の輸送代金やスタッフ分の航空券等の提供を申し出ていた。しかし、足代をもらったとしても、実際にクルマを走らせる金はかかるため、総てのチームが参加するとは考えられなかった。
 昨日LMSは、LMSからブラジルへ行くチームを公表した。予想通りヨーロッパで行われるLMSが50台も居るのに対して、その半分である25台だけがヨーロッパからブラジルへ行くようだ。
 まだ、ALMSは発表してないが、既に計画を公表したAGR等7チーム総てがブラジルへ行くのであれば、32台でミル-ミルハスは行われることとなる。

P1
No.7 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP Marc Gené/Nicolas Minassian
No.8 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP Pedro Lamy/Stéphane Sarrazin
No.9 Creation Autosportif Creation CA07 Judd Jamie Campbell-Walter/Felipe Ortiz/TBA/TBA
No.16 Pescarolo Sport Pescarolo Judd Emmanuel Collard/Jean-Christophe Boullion/Harold Primat

P2
No.20 Pierre Bruneau Pilbeam MP93 Judd Marc Rostan/Pierre Bruneau/TBA/TBA
No.32 Barazi-Epsilon Zytek 07S Juan Barazi/Michael Vergers/Karim Ojjeh
No.45 Embassy Racing Radical SR9 Judd Warren Hughes/Darren Manning/Mario Haberfeld

GT1
No.51 AMR Larbre Competition Aston Martin DBR9 Gregor Fisken/Steve Zacchia/TBA
No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6.R Oliver Gavin/Patrice Goueslard/Jérôme Policand/Luc Alphand

GT2
No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR Marc Lieb/Xavier Pompidou/Marc Basseng
No.79 Team Felbermayr Proton Porsche 996 GT3 RSR Horst Felbermayr Sr/Gerold Ried/Philip Collin
No.85 Spyker Squadron Spyker C8 Spyder GT2R Peter Kox/Jarek Janis
No.88 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR Horst Felbermayr Jr/Christian Ried/Johannes Stück
No.89 Team Markland Racing Corvette C6 Z06 Kurt Thiim/Henrik Møller Sorensen
No.90 Farnbacher Racing Porsche 997 GT3 RSR Dirk Werner/Pierre Ehret/Lars Erik Nielsen/TBA
No.92 Thiery Perrier Porsche 997 GT3 RSR Philippe Hesnault/TBA/TBA/TBA
No.94 Speedy Racing Team Spyker C8 Spyder GT2R Andrea Belicchi/Andrea Chiesa/Jonny Kane
No.95 James Watt Automotive Porsche 997 GT3 RSR TBA/TBA/TBA/TBA
No.97 GPC Sport Ferrari F430 GT Fabrizio De Simone/Luca Drudi/Matteo Bobbi/Yves Lambert
No.99 JMB Racing Ferrari F430 GT Maurice Basso/Bo McCormick/Peter Kutemann

10月9日
●2008年に新たに登場するポルシェRSスパイダーは6台?

Photo:ALMS

 先週“プチ-ルマン”が行われたロードアトランタで、フレディー・リーエンハルトは、自身のホルガレーシングが、来年ポルシェRSスパイダーを走らせることを公表した。しかも、早くも11月にはデリバリーされることを明かとした。しかし、ALMSをターゲットとするのでなく、ヨーロッパで行われるLMSとルマンが中心となるようだ。しかし、セブリング12時間と“プチ-ルマン”には参加する予定だ。
 ドライバーは、お馴染みのフレディー・リーエンハルトとディディエ・テイズに加えて、もう1人を選定の上、契約することを明かとしている。
 ポルシェRSスパイダー導入に合わせて、これまで走らせていたローラB05-40は売りに出される。“プチ-ルマン”でケビン・ドランと共同で走らせたマセラッティMC12については、今後の計画は白紙だ。

 1年前ポルシェは2007年に8台のRSスパイダーを製作することを明かとしている。その内行き先がハッキリしているのは、ペンスキー、ダイソンへ手渡された4台だけだ。CETがRSスパイダーを購入したのは明かだが、既に手渡されたのは1台だけと考えられている。つまり、しばしばショーで展示されている1台を除いても、最低1台が余っている。この1台がフレディー・リーエンハルトにデリバリーされるのだろう。
 そう考えると、相当早い11月にデリバリーされることも納得出来る。

 しかし、7月にはオランダのエキップ・フェルシュアーがポルシェRSスパイダーを走らせることを明かにしているから、新たに何台かが生産されることは間違いないようだ。
 まだ、発表した訳ではないが、今年初めからスクーデリアイタリアが、2008年にはRSスパイダーを走らせることを、再三にわたってアナウンスしている。
 また、先週ALMSと3年計画を結んだスピードビジョンは、同じ日に開いたプレスコンファレンスで、現在IRLに参加している2つのチームが、2008年にポルシェRSスパイダーを走らせることを公表している。
 つまり、現在フロリダのガレージで眠ったままとなっているCETの1台を含めると、2008年には新たに6台のポルシェRSスパイダーが登場するらしい。
 もし、本当にこんなにたくさんのRSスパイダーが登場するのであれば、現在ローラを走らせているプライベートチームは、2008年にほとんどチャンスがなくなってしまう。

 ちなみに2週間前ACOが、口を滑らせて、ほんの少し内容が明かとなった2008年のレギュレーションによると、P2の最低車重は、既報通り、今年より50kg重い825kgとなることは確認された。しかし、ACOは、総てのガソリンエンジンカーのリストリクターを3%拡大すると語っている。P1だけではないのだ。
 2008年にP2の速さが大きく阻害されるとは思えない。現在がRSスパイダーの買い時であるのだろう。

10月7日
●2008年のALMS    12レース、GT2を堅持、スピードビジョンと3年契約

Photo:ALMS

◆自動車メーカーにとって魅力のあるシリーズ
 10月5日“プチ-ルマン”が行われているロードアトランタで、スコット・アタートンは恒例の記者会見を行った。最初にアタートンは、自動車メーカーやスポンサーにとって魅力のあるシリーズを目標としていることを前置きした。そして、ALMSが2010年まで3年間のスピードビジョンとの放映権契約を行ったことを公表した。スピードビジョンはカナダの500万世帯を含めると7,000万世帯が加入する一大ケーブルTVであるため、プロモーションの重要性を考慮したアタートンが、強調したポイントだった。
 今年のALMSは、10%エタノールを含有したE10ガソリンと、硫黄を除いた綺麗なディーゼル燃料を使用している。新しい燃料によって、何にも問題が発生してないことから、今後エタノールの含有量を85%まで拡大したE85の導入を目指す一方、ディーゼルについてはバイオディーゼルへの転換を検討していることを明かとした。アウディとプジョーの興味を惹くことは間違いないだろう。
 また、同時にハイブリッドカーのメーカーとも話し合っていることを明かとした。

◆ルマンはGT2を堅持する?
 8月からFIAではステファン・ラテルの提案によって、今後GT1とGT2を廃して、GT3とGT4によってGTレースを行う話し合いが行われている。ところが、FIAによる大規模なシリーズはFIAGTしかなく、それ以外の大々的なシリーズはACOレギュレーションで行われている。そのため、ルマンも近い将来GT1とGT2を廃してGT3とGT4のレースとなると思われていた。
 しかし、ロードアトランタの記者会見によって、どうやら、ステファン・ラテルの目論みとは違う方向をACOが見ていることが明らかとなった。

 アタートンは、2008年のALMSのGT2クラスに、新たに3種類のクルマが登場することを明かとした。1つはライリーテクノロジーが開発しているコルベットC6 GT2カーだ。その直後にビル・ライリーもコメントを公表して、ルイジ・リオッティによって、2台のGT2コルベットを走らせることが明かとした。430馬力のエンジンはCRDが開発していることも明かとなった。

 クライスラーもヴァイパーGT2を登場させるようだ。現在、ジョエル・ファインバーグのプライムタイム・レース・グループではヴァイパーGT2の開発が行われており、今年中に何台かのGT2ヴァイパーがデリバリーされる明かとなった。
 もう1つは、ドランエンタープライズがフォードGTの製作に取りかかっていることだ。ケビン・ドランはフォードのバックアップについては明かとしなかったが、2008年のALMSで走ることを明言した。
 これら3つのニューGT2カーは、1月28日から30日のウインターテストに登場する。

◆2008 ALMS
 2008年のALMSは12レースが行われる。その内チャンプカーとインディリーグと、それぞれ3つがダブルヘッダーとして行われる。

3月15日 Mobil 1 Twelve Hours of Sebring, Sebring, FL
4月5日 Acura Sports Car Challenge, St. Petersburg, FL   *IRLと併催
4月19日 Grand Prix of Long Beach, Long Beach, CA *Champcarと併催
4月26日 Lone Star Grand Prix presented by MSR Houston, Houston, TX   *Champcarと併催
5月18日 Utah Grand Prix, Salt Lake City, UT
7月12日 Northeast Grand Prix/Lime Rock, Lakeville, CT
7月19日 Acura Sports Car Challenge/Mid-Ohio, Lexington, OH  *IRLと併催
8月9日 Generac 500/Road America, Elkhart Lake, WI   *Champcarと併催
8月24日 Grand Prix of Mosport, Bowmanville, ON
8月30日 Detroit Sports Car Challenge, Detroit, MI  *IRLと併催
10月4日 Petit Le Mans, Braselton, GA
10月18日 Monterey Sports Car Championships, Monterey, CA


9月29日
●ACOがルマンのレギュレーションの不均衡を是正! ガソリンエンジンP1カーが有利に?

Photo:Sports-Car Racing

 現在のルマンのプロトタイプカーのレギュレーションは、P1クラスの場合、総てのクルマの最低車重は925kgだ。しかし、理論上ディーゼルエンジンが800馬力以上を許されるのに対して、ガソリンエンジンは650馬力程度が限界のリストリクターに制限されている。もちろん、同じ車重で150馬力も大きな差を付けられたら、ガソリンエンジンP1カーのエンジニアやドライバーがどんなに優秀でも、ディーゼルエンジンP1カーに勝つのは不可能と言うべきだろう。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの間の150馬力以上の差は、現在のACOレギュレーション最大の不均衡だった。

 ガソリンエンジンP1カーが不振となって、大きくクローズアップされたのは、P2カーのアドバンテージが予想以上大きいことだった。元々出力が約500馬力に制限されても、P1カーより150kgも軽い775kgの車重のP2カーは、理論上P1カーに匹敵するポテンシャルを持つ。2005年にP2カーの勉強を始めたポルシェが、今年完全なニューマシンを開発した結果、P2のアドバンテージを証明する結果となった。そのため、ALMSでは、中盤以降ポルシェのP2カーが、アウディのP1カー相手に8連勝している。
 P1とP2の逆転現象は大問題だったため、既に2008年のレギュレーションで、P2の最低車重を50kg重い825kgとすることが発表されていた。

 しかし、これまでP1ガソリンカーの不利な状況に対して、これまでACOは改善しようとしなかった。
 この状況に対して、P1ガソリンカーを走らせる多くのレーシングチームは、P1を止めてP2へのコンバートを示唆する一方、たくさんのガソリンエンジンP1カーが走っているLMSを諦め、独自にガソリンエンジンP1カーに有利なレギュレーションを設けているALMSへの参加を検討するようになっていた。

 この状況の改善に、やっとACOは取り組むこととなったようだ。28日ACOは、2008年のレギュレーションで、総てのP1カーの車重を900kgに引き下げる一方、ガソリンエンジンP1カーのリストリクターを3%大きくすることを公表した。3%が、直径を意味するのか? 面積であるのか? 明記していないが、もし、面積である場合、20馬力程度のパワーアップを意味する。エアコンのレギュレーションを活用して30馬力を得ることが出来るのであれば、ガソリンエンジンP1カーは最大700馬力程度が可能となる。

 まだ、ディーゼルエンジンとは100馬力も大きな差があるじゃないか、と考えるかもしれない。
 しかし、車重が25kg軽くなることで、その差も帳消しとなるかもしれない。

 現在のところ、ディーゼルエンジンで大出力を得る場合、5.5リットルの12気筒はマストであるため、エンジンが大きく、そして重くなってしまう。そのため、アウディとプジョーのディーゼルエンジンP1カーの前後の重量配分はテイルヘビーとなっている。現在のところ、出来る限りクルマを軽く仕立てて、出来る限り多くの重りを詰めるようにして、その重りをクルマの前方に積んで、前後の重量配分を多少なりよも前よりに仕立てている。ところが、車重が25kg軽くなることで、重りを積むことが難しくなって、よりテイルヘビーとなってしまう。

 この新しいレギュレーションが、そのまま施行されるのであれば、ガソリンエンジンP1カーは、大きく速さを増すだろう。逆にアウディとプジョーのディーゼルエンジンP1カーは、より一層開発に精を出さない限り、今年のP2カーに代わって、2008年はガソリンエンジンP1カーに負けるかもしれない。

9月16日
●クリエイションとザイテックが終盤のALMSに参戦  ALMSはガソリンエンジンP1カーに好条件を提示

Photo:Sports-Car Racing  前がザイテック07S P1、後ろがクリエイションCH07

 いよいよヨーロッパで行われるLMSは最終戦を迎えた。11月にブラジルで行われる前、幾つかのチームは、ALMS“プチルマン”とラグナセカに参戦する。しかし、ALMSでは、特にプロトタイプカテゴリーの場合、基本となるACOのレギュレーションとは少々違う内容のルールで行われている。ヨーロッパでは走れないハイプリッドカーが、今年も走れるだけでなく、明かに速いディーゼルターボカーに対して、ガソリンエンジンカーが劣勢であるため、ガソリンエンジンP1カーに有利なレギュレーションを設けている。

 元々、今年初めにIMSAが公表したガソリンエンジンP1カーのレギュレーションは、ACOルールより25kg軽い900kgの最低車重を許していた。しかし、P1クラスでは、圧倒的にアウディのディーゼルエンジンカーが速いだけでなく、最低車重が775kgのP2カーが、本来の速さを発揮しているため、ガソリンエンジンのP1カーは、まったく勝負権の無い状況が続いていた。

 元々IMSAは、シーズン中の性能調整を公言しており、その場合、ガソリンエンジンP1カーの最低車重は875kgまで軽くする予定だった。さらに、性能調整が必要な場合、ディーゼルエンジンカーの車重を重くする予定だった。ところが、150kg軽いP2カーが速すぎるため、アウディのディーゼルエンジンカーを重くすることは、到底出来ない状況となっている。
 そこで、クリエイションワークスとザイテックからの参加申請が出たことをきっかけとして、IMSAは、ガソリンエンジンのP1カーのルールを見直すこととなった。

 元々現在のP1ルールの場合、875kgの最低車重は非常に難しい。そこで、最低車重を880kgとすることとした。しかし、この880kgが可能なのはザイテックだけと考えられている。

 そこで、一方のクリエイションに対して、ACOルールの場合、搭載するジャドのGV5.5S2 5.5リットルエンジンは直径32.4mmのリストリクターを2つ装着することを義務付けられているが、シーズン前半のインタースポーツの情けないリザルトを考慮して、クリエイションの5.5リットルジャドエンジンに対して、ザイテックの4リットルV8と同じ33.4mm×2のリストリクターを装着することをIMSAは許可した。

 しかし、少々複雑なのは、現在IMSAが公表したのは、ハイブリッドカーのクリエイションCH06Hに対する性能調整のルールであって、正真正銘のP1カーであるCH07に対するものではないと言うことだ。
 クリエイションは、CH07の方が新しくても、P1レギュレーションの2つのロールバーを備えるため、重く、重心が高いことから、ハイブリッドカーと同じルールの適用を要求している。

 有利なレギュレーションによって、ザイテックとクリエイションは、アウディのディーゼルエンジンP1カーや775kgのポルシェP2カーに勝てるのだろうか?

9月14日
●ORECAがクラージュを買収!

Photo:Sports-Car Racing

 近年のクラージュは、まるで綱渡りをしているようで、何時落ちてしまうか? 危ない状況が続いていた。しかも、鳴り物入りで登場させたLC70とLC75は、その意気込みと違って、古いC60やC65のパーツを多用して作られ、C60とC65の弱点を引き継いでいただけでなく、新たに作ったモノコックの剛性も低かった。そのため、返品騒動が彼方此方で起きる始末だった。

 そのため、これまで、何度も強かに深刻な危機を迂回してきたクラージュも、ついに姿を消すと囁かれていた。しかし、どんなにクラージュの経済状態が悪くても、債権者の多くは、ルマン市やサルテ県の有力者であり、優秀な誰かが、買い取ることで存続するものと噂されていた。
 特に、同じルマンのテクノパルクに工場を構えるペスカロロは、有力な買い手だった。

 しかし、昨年クラージュLC70とLC75が失敗作であることが明かとなった後、ペスカロロは、クラージュを買うのではなく、独自にLC70やLC75にも使うことが出来るペスカロロP1モノコックを作った。これによって、もちろん、ペスカロロP1モノコックは素晴らしい出来だったため、ペスカロロP1に買い手が殺到して、クラージュを買うレーシングチームは、無くなってしまった。

 それでも、例えばペスカロロがクラージュを買えば、ペスカロロP1モノコックを使って、LC70やLC75を再生させることが可能であるため、ペスカロロによる買収が望まれていた。ところが、あまりにも近い場所に居ることから、ペスカロロとクラージュは、決して仲が良いとは言えなかったようだ。イブ・クラージュにも意地があったのだろうが、高値での買い取り、あるいは、債権も含めた買収等、悪い条件を提示していたらしい。もちろん、アンリ・ペスカロロは、クラージュ買収を断った。

 そうこうしている間、クラージュの状態は益々悪くなった。そうして、先週になって、突然ORECAとの間で買収話しが持ち上がり、今週あっと言う間に基本的な合意に達した。

 金曜日シルバーストーンで、ORECAによるクラージュ買収が発表された。
 ORECAの拠点は、南フランスのポールリカールに近いシグネスで、エンジン部門だけがマニクールに存在している。そのため、クラージュから買い取ったプロトタイプカー部門もシグネスに移動するのかと思ったが、これまで通り、ルマンのテクノパルクで仕事を続けることが明かとなった。

 2002年クライスラーからの、ほんの少しの支援を頼りとして、ダラーラに委託してORCAダラーラLMPを作ったORECAが、スポーツカーレースのトップカテゴリーへの復帰を目論んでいることは、広く知られていた。昨年から行っているサリーンS7Rプロジェクトも、そのためのステップと考えられていた。
 11月初めまでに、今後の計画はまとめられる予定だが、ORECAは、新しいクルマとチームのプロモーションを10月末に予定しているため、その時にほとんどの内容は明らかとなるだろう。

 それ以外で、公表された内容は、来年に登場させることを目標として、新しいプロトタイプカーを開発すること、そのクルマが完成した時、クラージュ/ORECAと呼ばれること、そして、ORECAのファクトリーチームが走らせるだけでなく、カスタマーカーを作ることだけだった。
 つまり、クラージュ/ORECAは、P1とP2のどちらのクラスのクルマであるのか? ORECAのファクトリーチームは参戦するのか? その場合のエンジンは何なのか? そして、クラージュが販売したLC70とLC75の改良は行うのか? と言った、基本的なテーマについては、何も公表されていない。

 また、この買収の裏には、相当な話し合いがあったようで、フィクサーが居るようだ。Sports-Car Racing Vol.18に詳しい内容を掲載する予定です。

9月12日
●ACOがGTPシルエットフォーミュラを断念!  童夢がS102プロジェクトの発表を遅らせた理由

Photo:Sports-Car Racing

 ACOは、6月のルマン24時間レースの際、ロードカーと似たスタイルでありながら、トップカテゴリーのP1カーと同じ速さで走ることが出来る新制GTPカーを提案している。その発表の席で、GMのコルベットとニッサンR390を掛け合わせたような予想イラストまで公開されている。
 そのため、GMとニッサンの要求によって、ACOが構想したものと思われていた。

 その後、高度なP1カーに対して、ロードカーと似たスタイルのクルマを、どのようにして、同じ速さで走らせるのか? が興味の中心だった。多くの意見は、P1とGTPの車重が同じだとしても、最低100馬力大きな出力と大きなオーバーハング、つまり理論的に高い空力性能を与えない限り、GTPカーが、最先端のP1カーと同じ速さで走ることは不可能としていた。
 ところが、現在のP1カーに搭載されるディーゼルターボエンジンは、既に750馬力を超える圧倒的な出力を持っている。2008年には、レギュレーションがそのままであるなら、リストリクターが許す850馬力に迫ることも不可能ではないと考えられている。
 と言う事は、900馬力!を超える出力が必要となってしまう。

 さらに、その後、GMとニッサンが、実際に「ロードカーと似たクルマであれば、参加出来るだろう」と発言していたことが明かとなった。しかし、この発言は、毎年ACOから招待状を受け取ってルマンを訪れながら、参加もしないのでは、ACOに見捨てられて、招待状が来なくなることを心配した担当者が、何も計画が存在しないにも関わらず、会社の意向を無視して、勝手に言っただけだったらしい。

 では、このような可能性のないメーカーではなく、実際に、誰がGTPプランを望んだのだろうか?
 最近になって、どうやら、プジョーであるらしいことが明かとなってきた。

 しかし、プジョーは既に908クーペを開発している。しかも、そこそこの速さを披露している。わざわざ、ロードカーに似たGTPカーを欲しがるとは思えなかった。しかし、最近になって、プジョー本社が、ロードカーに似たクルマを望んでいたことが明かとなってきた。元々プジョーはラリーに参加していたことでも明かなように、ロードカーと同じカタチはマストと判断していた。しかし、環境問題を考慮すると、今後ラリーに参加していることは、逆にマイナスイメージとなってしまう。そこで、新たなターゲットとなったのがルマンだった。その際ACOに求めていたのがGTPプランであるらしい。

 その後プジョーが“屋根付き”のP1カーを決定した後も、ACOはGTPプランを続行していたようだ。
 ACOにとっては、GMとニッサンの要求も満足出来る一石二鳥の妙案だったかもしれない。そうして、今年の6月GTPシルエットフォーミュラは公表された。
 驚いたのは、それまで、招待状へのエクスキューズとして発言していた2つのメーカーだっただろう。

 ところが、GTPシルエットフォーミュラは、思わぬところに影響を与えた。現在幾つかのメーカーがルマンをターゲットとしたプロジェクトをスタートしている。純粋な研究段階であるメーカーもあれば、既に様々な実験を行っているメーカーも存在する。
 もし、通常のP1よりGTPシルエットフォーミュラの方が有利であれば、現在彼らが行っている研究や実験は無駄なものとなってしまう。

 元々童夢は7月頃S102クーペのプロジェクトを発表する予定だった。ご存じのように、様々なメーカーが童夢にコンタクトしている。それらのメーカーの多くが、もし、少なくともGTPシルエットフォーミュラがP1と同じ速さであるなら、GTPシルエットフォーミュラを走らせることを望んでいる。
 そのため、長かった“屋根付き”と“屋根なし”の論争のトンネルの出口が見え始めて、“屋根付き”を選択した童夢も、身動きすることが出来なくなってしまった。

 ところが、プジョーは“屋根付き”のP1カーを登場させ、GMとニッサンが黙ってしまった結果、わざわざ難しい、GTPシルエットフォーミュラとP1カーの性能のすりあわせを行う理由はなくなった。
 そこで、ACOは、今月中に発表する新しいレギュレーションブックから、GTPシルエットフォーミュラプランの項目を削除することを決定した。
 こうして、童夢は、やっとS102クーペプロジェクトを発表することが可能となった。

*注:近日中に童夢S102クーペプロジェクトについて掲載する予定です。

9月11日
●FIAGTからGT1とGT2が姿を消す   20011年のFIAGTはGT3とGT4で行われる

Photo:FIAGT3/DPPI

 10年前と違って、現在のFIAGTは、プライベートチームが走らせるGT1とGT2カーによって行われている。しかも、現在GT1と言われているカテゴリーはかつてのGT2で、GT2は10年前には存在しなかったGT3カーだ。にも関わらず、現在GT1クラスの中心であるアストンマーティンDBR9は、10年前の正真正銘のGT1カーであるポルシェGT1やマクラーレンF1GTRよりも高価なクルマとなっている。それどころか、GT2クラスのポルシェ997GT3RSRとフェラーリ430GT2は、共に5,000万円前後のプライスタグをぶら下げている。ほとんどのプライベートチームにとって、GT1とGT2の価格高騰は、手に負えない状況となりつつある。

 2年前アストンマーティンがDBR9を販売した時、このことは既に明かだった。しかし、アストンマーティンブランドを望んで、世界中のたくさんのミリオネラ達が、DBR9を注文したため、表面化しなかった。
 しかし、状況が好転した訳ではなく、裕福なジェントルマンドライバーでFIAの世界選手権を行う訳にはいかないため、ステファン・ラテルは、ジェントルマンドライバーのため、シタロンカップを設立すると共に、一般的なスポーツカーによるGT3とGT4カーのレースシリーズを次々と実行した。

 2006年に設けられたGT3カーのシリーズは、アマチュアを対象として、ハンデキャップレギュレーションによって、どのクルマにも可能性を持たせている。元々ポルシェやフェラーリのワンメークレースカーがたくさん存在したこともあって、最初の年から非常に盛況なエントリーを集めたため、FIA Cupのタイトルを与えて、その多くはFIAGTと同じ日程で行われた。
 続いて行われたGT4Cupは、より普遍的なスポーツカーによるシリーズで、より多くのエントリーを集めている。GT3とGT4カーは、現在ヨーロッパ中のサーキットで溢れており、新たなボーダーラインとなっている。この程度の価格のクルマのレースであれば、レーシングチームが歓迎することの証明だろう。

 そこで、8月に行われたFIAのGTとツーリングカーのワーキンググループのミーティングの際、ステファン・ラテルは、現在GT1とGT2で行われているFIAGTからGT1とGT2を排除して、新たにGT3とGT4カーで行うことを提案した。2009年からの実施を提案しながら、一応2009年から2011年を移行期間としていた。もちろん、従来のGT3を新しいGT1に、GT4を新しいGT2と改名することも盛り込まれていた。

 このワーキンググループのミーティングの際、反対したのはポルシェだけだった。ポルシェは、現在GT2カーの997GT3RSRを5,000〜7,000万円で販売している。それに対してGT3カーである997GT3Cupは2,000万円以下であるため、もし、GT3とGT4カーが中心となってしまうと、ポルシェは、大きな収入源を失ってしまう。ポルシェ自身、商売の場を失うことを、反対の理由としていた。

 現在スポーツカーレースの中心は、FIAだけなくACOである。仮にFIAからGT1とGT2カーが居なくなっても、LMSやALMSで走っていたら、メーカーはもちろん、裕福なジェントルマンドライバーやスポンサーは、FIAGTを見捨ててしまうのではないだろうか?
 ところが、8月のミーティングの際、一応ACOは態度を保留したものの、反対はしなかった。
 なぜなら、ステファン・ラテルは、コストダウンだけでなく、車種のバラエティを富ませることをを理由としていたからだ。これまでもACOは、車種のバラエティを富ませることを優先しており、ルマン24時間レースのエントリーを受け付ける時、山のように送られてくるポルシェとフェラーリのレーシングチームからのエントリー申請については、厳選した1つか2つだけを認める一方、スパイカーやパノスを走らせるレーシングチームに対しては、ほとんど無条件でエントリーを認めている。

Photo:FIAGT3/DPPI

 先週アドリアで行われたFIAGTの際、ステファン・ラテルはプレスコンファレンスを開き、2009年からGT3とGT4によってFIAGTを行う意向であることを発表した。
 クルマについては、GT3とGT4と言っても、現在のGT3とGT4そのままではなく、サスペンションやギアボックスのルールを緩やかにするようで、直ぐにレギュレーションを公表するようだ。また、現在GT4の公認を受けているクルマであっても、排気量が3.8リットル以上の場合、GT3とすることを明かとした。出来ることならば、基本的に3.8リットル上下でGT3とGT4を分けたいようだが、排気量が小さくても、コースによっては速いクルマは存在するし、排気量が大きくても、それほど速くないGTカーも存在する。そのため、2011年までを移行期間として、問題のすりあわせを行いたいようだ。

 ACOとのすりあわせについても、FIAとACOが共同でレギュレーションを構想することを公表している。実質的にはパトリック・ペーターが行っていても、LMSの主催者もステファン・ラテルであるから、ここら辺の根回しは、事前に行われていたのだろう。

 現在の“エキサイティング”GT1カーについては、2009年まで参加を認める考えで、“エキサイティング”GT2カーについては、2008年に別途ヨーロピアンチャンピオンシップを設けることが公表された。
 しかし、これらの“エキサイティング”GTカーについての選手権は、走らせるレーシングチームが存在する場合の話しと考えるべきだろう。2011年には完全に新しいルールに移行したい考えのようだ。

 10月19日再びGTとツーリングカーのワーキンググループのミーティングが行われる。この席で、8月の提案について、各メーカーが正式な回答をすることとなっている。その後、テクニカルレギュレーションが作られて、12月24日FIAのモータースポーツワールドカウンシルで審議され、正式に決定する。

9月11日
●クリエイションに黒沢治樹が加入 その裏に存在する最近のレースの悲しい事情

Photo:Sports-Car Racing

 これまで、クリエイションには中野信治が乗り組んでいた。しかし、今年のクリエイションは、裕福なパッケージを組み立てることが出来なかったため、フェリーペ・オルティスが持ち込む資金によって、活動を行っているようだ。そのため、中野信治は決して良い待遇を与えられていたように見えなかった。

 前回のLMSスパの際、中野信治がドライブするクリエイションは、周回遅れのポルシェGT2カーと絡んでリタイヤしている。ポルシェのドライバーは、ほとんど初めてもビックレースだったようで、コースアウトした際クリエイションを巻き添えにしただけのように思えた。少なくとも、ほとんどのレーシングチームはそう判断していた。しかし、不慣れなポルシェのジェントルマンドライバーは、呆れたことに、自分が被害者であるとして、抗議を行った。まるで、一般公道での事故の際、自分の立場を主張するような行動だが、ポルシェのGT2カーでレースを行うジェントルマンドライバーは、裕福な金持ちで、ほとんどの場合、何処かの有力者であることを忘れてはならない。

 そのため、監視カメラの映像が不鮮明であることもあって、中野信治とクリエイションの主張は認められず、他の多くのレーシングチームの意見と違って、スパの主催者は、ポルシェのジェントルマンドライバーの主張を門前払いとすることが出来なかった。
 正式結果は場を改めて審議するとしていたが、それではレース全体の正式結果が出なくなってしまう。そのため、可哀想な中野信治は、スパの正式結果から除外されてしまった。

 この件について、LMSとACOは審議を行っていると思われていた。
 裕福なポルシェのジェントルマンドライバーが、何をクリエイションに要求したのかは判らない。しかし、クリエイションは、ACOの結果を待てなかったようで、今週末のLMSシルバーストーンの際、取り敢えず中野信治に代わるドライバーを乗せることとなった。
 クリエイションは、2008年にAIMの資金によってAIMとジャドが開発中の、AIMジャド90度V10バイオエンジンを搭載する。日本のAIMへの手前もあって、日本人の有力ドライバーを求めた結果、黒沢治樹にドライブを要請することとなった。

 日本のSUPER GTでも、ジェントルマンドライバーが原因のアクシデントが度々発生している。5月の富士スピードウェイでは、NSXが火災を起こす大きなアクシデントに発生したし、先週もてぎでも、ジェントルマンドライバーの乗るクルマのスピンによって、NSXとZをリタイヤさせ、Zは火災を起こしている。
 プロとアマチュアの領域をハッキリと線引きすることは、世界中のスポーツカーレースにとって、今後真剣に考えなければならない重要な課題だろう。

9月11日
●2台目のザイテック07SはLNTからLMSシルバーストーンへ参戦

Photo:Sports-Car Racing

 ルマンでエイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹が乗り組んで走った、2台目ザイテック07Sは、バラジ-イプシロンが既に手一杯であるため、その後売りに出されて、一旦は売買契約が成立した。しかし、その後期日までに支払いが完了しなかったことから、契約は白紙に戻された。そのため、日本のJLMC最終戦岡山へやって来ることが、ほとんど決まっていた。ところが、その後、SEROが今年限りでJLMCから手を引くことを公表したため、話し合いは宙に浮いたままとなっていた。

 ザイテック自身は、当然ながら、他のレーシングチームとも話し合いを行っており、今週末シルバーストーンで行われるLMS第5戦では、パノスを走らせていたLNTから参戦することが決定した。
 LNTは、2年前からパノスを走らせてLMSやルマンに参戦している。新興チームでありながら、そこそこの活動予算とを捻出して、セブリングテストやセブリング12時間へも遠征している。2006年はルマン24時間レースでクラス優勝も成し遂げている。

 しかし、売買契約が成立した訳ではないようで、今後もLNTはパノスによる参戦を継続する一方、ザイテック自身は、07Sの買い手を捜しているようだ。
 もしかしたら、レンタル扱いで、このザイテック07SがJLMC岡山に登場するのかもしれない。その場合最新のP2カーであるザイテック07Sは、岡山でP1カーを圧倒する速さを見せることは間違いないだろう。

9月4日
●インタースポーツがローラ/AERにスイッチ、しかし、クリエイションは2台体制でALMSへ参戦

Photo:Sports-Car Racing

 今年開幕直前になって、ローラB05-40/AER P2カーから、クリエイションCH06/ジャド P1カーにスイッチしたインタースポーツは、クムホタイヤと共に苦労のシーズンを過ごしてきた。ほとんどの場合アウディやポルシェの3秒から4秒も遅いラップタイムで走ることしか出来なかった。インタースポーツは、クリエイションやKWM(実際にマシンを開発した)に対して、マシンの改良やバックアップを要求していた。
 昨年、クリエイションCH-06は、素晴らしい速さを披露している。CH-06は助手席にロールバーを持たないハイブリッドカーであるため、新しいCH-07 P1カーと比べて、重心の高さが低い。しかも、今年インタースポーツへデリバリーする前、クリエイションはCH-06のフロントフェンダーを作り直して、CH-07と同じ大きなタイヤが装着可能となっている。そのため、純粋な速さだけを比較するのであれば、CH-07よりCH-06の方が有利と考えられている。
 であるから、CH-06そのもののポテンシャルが劣っているのではない。そのため、インタースポーツに改良を要求されても、クリエイションやKWMは困った状態となっていたようだ。

 しかし、クムホの立場もあって、インタースポーツが、何らかの行動をしなければならないことは判るだろう。一時は再びローラB05-40を走らせるプランもあったらしい。しかし、ポルシェとアキュラが熾烈な闘いを繰り広げるP2カテゴリーに、プライベートチームは参加する意味はほとんどない。
 そこで、インタースポーツが扱いなれたローラのP1バージョンに白羽の矢が立てられた。
 昨年ダイソンが走らせたローラB06-10 P1カーは、ダイソンがポルシェRSスパイダーを走らせるようになった後もダイソンが保有している。ダイソンを話し合って、インタースポーツはローラB06-10の1台を譲り受けることとなった。エンジンもダイソンと同じAER製3.6リットルV8ターボを使用する。

 しかし、クリエイションCH-06ハイブリッドカーの姿が見られなくなるのではないらしい。インタースポーツは、10月6日に行われるALMS“プチルマン”からローラ/AERを走らせる。その“プチルマン”へ、クリエイションは、2台体制で参加する計画を立てている。1台はLMSで走っているCH-07だが、もう1台はインタースポーツが所有するCH-06ハイブリッドカーだ。まだ、完全に決定した訳ではないようだが、クリエイションは、“プチルマン”と最終戦ラグナセカを2台体制で参戦する計画であるようだ。

 CH-06の所有権はインタースポーツのままであるらしく、どのような交通整理が行われているのかは不明。しかし、現在、ローラとクリエイションが、インタースポーツに次期マシンを売り込むため、セールス合戦を繰り広げていることは明かだ。インタースポーツにとっては、どちらか可能性の高い方を2008年に走らせれば良い訳であるから、ローラとクリエイションも必死だろう。


8月29日
●ALMS“プチルマン”に参加するLMS勢は7台?

Photo:Sports-Car Racing                       Photo:AUDI AG

 9月16日ヨーロッパで今年最後のLMSがシルバーストーンで行われる。その後11月にブラジルのミルミルハスで最終戦が行われるまで、1ヶ月以上スケジュールが空くため、ブラジルへ行く途中、アトランタで途中下車して、ALMSの終盤の2レースへ参加するチームが多いと考えられていた。先週モスポートでALMSは記者会見を行って、“プチルマン”に参加するLMSチームを7台と見積もっていることを明かとした。

 では、誰が参加するか?気になるが、スコット・アタートンは、その内訳については語らなかった。もちろん、プジョーの参加について質問が寄せられた。残念なことに、現在のところ、プジョーから確認をもらってないことを明かとした。6週間前となって確認出来ない、とは、難しいと考えるべきだろう。

 しかし、スコット・アタートンはクリエイションの名前を出して説明した。このことでも明かなように、幾つかのP1チームがアトランタにやって来ることは間違いないようだ。
 噂通りであれば、ペスカロロ、ザイテック、ビニーローラ等が、参加することとなるだろう。
 クリエイション、ペスカロロ、ザイテックがやって来るのであれば、ALMSのローカルルールによって、875kgの車重で走ることが出来るため、面白いレースが実現するかもしれない。

 同時に既存のALMSチームにも変化があることを公表した。終盤の2つのレースのどちらかに2台の追加エントリーがあることを認めた。最終戦ラグナセカには、チームは明かとしなかったが、昨年ダイソンが走らせたローラB06-10/AER P1カーが参加するだけでなく、早ければ“プチルマン”でも走るらしい。もう1台もローラであるらしいが、詳細は明かとしなかった。
 CETのポルシェRSスパイダーについては、参加の連絡を受けていないことも明かとなった。

8月24日
●LMS最終戦ブラジルにAGRアキュラが参加表明

Photo:ALMS

 ヨーロッパがテリトリーでも、今年のLMSの最終戦は11月にブラジルのミルミルハスで行われる。ヨーロッパラウンドの最終戦は9月16日にシルバーストーンで行われるため、10月に行われる“プチルマン”とラグナセカのALMS終盤戦に対して、LMSを走ったクルマがブラジルへ行く途中、北アメリカでレースを行うようALMSは求めていた。実際、クリエイション、ザイテック、ペスカロロ等が興味を示していた。

 しかし、それだけでは一方通行であるため、ルマンでLMSのチームやACO内部から不満が表明されたことから、6月末になって、ALMSは、ALMSチームが、ブラジルへ遠征する案内を示していた。詳しい内容は明らかではないが、ALMSのチームがブラジルまで遠征する場合の条件は、ヨーロッパのLMSチームが遠征する場合と同様、クルマと機材の輸送代金と6名分の航空チケットと言われている。

 誰もが、スコット・アタートンのエクスキューズとしか考えていなかった提案だったが、先週アンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)が参加を表明した。同時にALMSは、他にも2〜3チームが遠征を検討していることも公表した。
 AGRでは、トニー・カナーンとブライアン・ハータがドライブすることを公表しており、3人目としてフランキティ兄弟のどちらかがドライブすることを明かとしている。

 当のLMSチームの方は、ブラジルの主催者から提供される内容が小さすぎ、自分達の負担が大きいことに対して不満が出ている。そのため、既に脱落したRacing for HollandとSwiss Spiritだけでなく、幾つかのチームはブラジル遠征を諦めて、11月には来年の計画を練りたいと考えている。

 しかし、AGRがブラジルへ遠征することで、LMSで速いザイテックとの一騎打ちだけでなく、場合によってはプジョーの対抗馬としても、AGRのパフォーマンスは期待出来る。
 誰もが考えなかった好レースが実現するかもしれない。

8月5日
●Racing for HollandとSwiss Spiritが活動中止

Photo:Sports-Car Racing

 今年童夢とジョイントしてルマンを闘ったRacing for Hollandが、活動を休止したことが明かとなった。今年Racing for Hollandは童夢と提携して、S101の発展型であるS101.5を走らせていた。当初の計画では、ルマン24時間レースとLMS全戦に参加して、最終戦ブラジルへも遠征する予定だった。
 以前から、Racing for Hollandは、童夢の2008年構想から外れていることが確認されていた。しかし、少なくとも、童夢からS101.5を借り受けて、同様の活動を行うと考えられていた。残念ながら、2週間後のスパ1000kmへの参加は取りやめられ、今年後半の総ての活動はキャンセルされている。
 Racing for Hollandは、スポーツカーレース以外でも、A1GPやBMWのZ4グループNカーの仕事を請け負っており、これらの活動は継続すると思われる。そのため、完全に活動を停止する訳ではない。もしかしたら、今後の情勢次第で、2008年の活動が復活することもあるだろう。

 もう1つの残念なニュースは、スイススピリットが活動を停止したことだ。
 昨年クラージュとの計画は完全な失敗だった。しかし、今年計画を見直して、アウディを口説き落とす一方、R8の3.6リットルV8ターボエンジンを手に入れ、ローラと組み合わせた。豊富な資金によって、充分な開発期間が無かったにも関わらず、そこそこの活躍を披露していた。
 アウディとの契約が3年であること、充分な資金を持っていると思われることから、活動が停止した正確な理由は判らない。しかし、ペスカロロと同様、スイススピリットでマネージャーを務めるフレッド・スタドラーは、ファクトリーチームが使うディーゼルエンジンとの100馬力の差を埋めるのが、ほとんど不可能であると公言していたため、根本的な計画の見直しが行われることは間違いないだろう。
 スイススピリットは、ローラの2008年構想に入っており、B08クーペの1号車は、アウディのV8ターボを積んでスイススピリットにデリバリーされると考えられていた。
 今後も総合優勝を狙うようなトップチームの中から、ペスカロロやスイススピリットと同じようなチームが現れることとなるかもしれない。


7月31日
●2007JLMC最終戦岡山に最新のザイテックスポーツカーが登場!?

Photo:Sports-Car Racing

 2週間前、SEROによるJLMC開催が今年限りであることがアナウンスされた。しかし、SEROの状況には関わらず、2008年以降を見越してJLMCを目指すチャレンジャーの計画は進んでいるようだ。
 昨年、ヨチヨチ歩きでJLMCがスタートした時から一ツ山レーシングのザイテック05Sが参加している。と言うより、最初に行われたSUGOのレースに登場した本物のLMPカーは、この1台だけだった。2007年にJLMCを走ったザイテック05Sは、最後のLMP675レギュレーションである05Sスペックボディ(10%幅の狭いリアウイング)であるが、2004年レギュレーションの大きなリストリクターを装着していた。この車体が、2005年末ALMSに参加した後、日本に持ち込まれたことから、2005年のALMSが許していた(2004年LMSと同じ)大きなリストリクターを備えていたためだった。
 と言うより、この頃、この1台しか本物のLMPカーは居なかったため、元に戻す理由がなかった。

 その後夏のもてぎと最終戦岡山に、現在のLMP1レギュレーションのM-TECのクラージュが参加したため、2007年のJLMCでは、2005年のLMSやルマン24時間と同じように、1段階小さなリストリクターを装着すると共に10%小さい81リットルの燃料タンクを備えて参加している。

 2006年のルマン24時間とLMSでLMP675カー(とLMP900カー)の出走が不可能となると、ザイテックは05Sのモノコックを使ったハイブリッドP1カーを開発した。それが06Sで925kgの車重と4リットルエンジンを積む。完全に新しいP1カーと比べると、助手席のロールバーが無いため重心が低く、ほんの少しだが、前面投影面積が小さいため、理論上P1カーより速い可能性も持っている。

 今年ルマン24時間とLMSでハイブリッドカーの出走が不可能となったため、ザイテックは、完全に新しいレギュレーションに合致するモノコックを開発して07Sを作り上げた。
 07Sは、LMP675と同じ3.4リットルエンジンを積むP2バージョンと、4リットルエンジンを積むP1バージョンが存在して、P1バージョンはアレーナに、P2バージョンはバラジ-イプシロンにデリバリーされた。
 バラジ-イプシロンは07Sを2台オーダーしていた。しかし、完全なレースパッケージを組み立てることが出来なかったため、今年のルマンで、2台目の07Sは、ザイテックの勧めによって、と言うよりザイテックの関与によって参戦している。そして、来年アキュラと共にルマンに参戦するエイドリアン・フェルナンデス、黒沢治樹、ロビー・カーが乗り組んだ。
 バラジ-イプシロンの2台目の07Sは、ルマン後売りに出された。もちろん、彼方此方から引き合いがあって、たくさんのライバルを押しのけ、ボブ・ベリッジに販売されることが伝えられた

 その頃ザイテック自身は、JLMCに06Sハイブリッドカーを持ち込むことを目論んでいた。と言っても、ザイテック自身が自腹を切って走らせるのは不可能であるため、日本のレーシングチームやスポンサーと話し合いを行っていた。そして、岡山で行われる最終戦で06Sを走らせることが決まりかけていた。
 その時に、SEROが撤退することが明かとなった。
 彼らにとって、寝耳に水の話だったかもしれない。
 しかし、06Sを日本に持ち込む話が消滅した訳ではないようだ。しかも、イギリスでは、07Sを買ったはずのボブ・ベリッジからの入金が遅れているため、2007年中の出走が難しい状況が生じていた。

 そのため、再び最新のザイテックスポーツカーを日本で走らせる計画が進行している。
 現在だけを考えるのであれば、重心が低い06Sハイブリッドカーが有利だろう。しかし、07Sは2010年まで世界中で走ることが可能だ。しかも、07S P2カーは、しばしばP1カーより速いラップタイムを記録しているため、日本でも大活躍を披露することは間違いない。
 どちらを走らせるにしても、まだ、計画が決定された訳ではない。しかし、混沌としたJLMCの状況にあって、新たな動きが存在することを覚えておくべきだろう。

7月30日
●2008年にヨーロッパでもアウディR10とポルシェRSスパイダーが走る

Photo:AUDI AG

 先週FIAGTスパ24時間レースが行われていたスパ-フランコルシャンで、ステファン・ラテルとパトリック・ペーターはLMSについてのプレスコンファレンスを開催した。
 2008年のカレンダーの発表は8月となるらしいが、今年8月に行われるLMSスパラウンドについて、2008年は従来通り5月に行われることを明かとした。そして、噂となっているアウディR10のLMS参戦について、来月(9月)行われるシルバーストーンに参戦する可能性が高いことを認めた。
 しかも、2008年にアウディが、ヨーロッパでも1つのR10チームを走らせる予定であることを公表した。
 先週ヘルムート・クリステンが口を滑らせたため、明かとなってしまったVMモータースポーツのポルシェRSスパイダーについても、既に確認していることを認めた。

 つまり、2008年LMSでプジョーとアウディが直接対決すると共に、ALMSでアウディが手こずっているポルシェRSスパイダーというダークホースが登場する。このニュースは、P1クラスのレーシングチームだけでなく、現在平穏な生活を送っているP2クラスのプライベートチームにとっても、今後大々的なテコ入れを行わない限り、2008年の平和が維持出来ないことを意味している。
 と言う事は、1億5,000万円を用意出来ないレーシングチームの多くによって、現在ヨーロッパで最強のP2カーであるザイテック07Sがたくさん注文されるのだろうか?

7月29日
●ヨーロッパで最初のポルシェRSスパイダーはオランダへ

Photo:ALMS

 今年から販売されているポルシェRSスパイダーは、元々北米ポルシェのオーダーによって開発されたため、ポルシェは北米での販売を優先することを公表していた。そのため、当初ポルシェは、ALMSへ参加することを購入の条件としようとしたほどだった。しかし、約1億5,000万円という高価格もあって、飛ぶように売れている訳ではない。限りなくポルシェが関わっているペンスキーを除くと、ロブ・ダイソンだけが2007年シーズン開幕前に購入しただけだった。シーズンが進むにつれ、2つのレーシングチームがポルシェRSスパイダーを購入したことを公表したが、どちらも、現在のところ参加している訳ではない。

 このような販売状況であることもあって、ポルシェは、これまで積極的でなかった、ヨーロッパのレーシングチームに対するRSスパイダーの販売について、動き出しているようだ。もちろん2008年のプランについてだが、7月20日ポルシェAGのヘルムート・クリステンは「2008年ヨーロッパでもRSスパイダーが走る」と宣言した。その数時間後には、オランダのフランツ・フェルシャーが、RSスパイダーを購入したことが明かとなった。その頃フランツ・フェルシャーはALMSミッドオハイオを訪れており、急遽自身の2008年のプロジェクトについて、彼方此方で質問攻めに合うこととなった。
 それによると、RSスパイダーを購入したのは、フランツ・フェルシャーが率いるエキップ・フェルシャーで、エキップ・フェルシャーが運営するレーシングチームであるVMモータースポーツが走らせる。2008年ルマン24時間とLMS全戦に、3人のオランダ人ドライバーによって参加することを計画している。
 現在これ以上計画は進展してないようだが、週明けになると、ポルシェAGのヘルムート・クリステン自身が、フランツ・フェルシャーの計画をポルシェがバックアップしていることを明かとした。つまり、30年近くスポーツカーレースでは忘れられていたペンスキーの名前が2年前に登場したように、フランツ・フィッシャーのプロジェクトはヘルムート・クリステンが深く関わっている。

7月21日
●SEROによるJLMC開催は今年限り? しかし、ACOは2008年以降アジアへの展開を公表!

Photo:Sports-Car Racing

 昨年からスタートした全日本スポーツカー耐久選手権は、日本では初めてとなるACOレギュレーションによるスポーツカーレースとして注目された。現在事実上全世界で共通なスポーツカーレースのレギュレーションは、ACOレギュレーションだけであるだけでなく、ルマンとの融合が最大の売りだった。
 しかし、FIAでなくACOレギュレーションを使いながら、JAFの認定を受けて全日本のタイトルを掲げる、少々複雑なシリーズとして誕生した。そのため、正式名称は全日本スポーツカー耐久選手権でありながら、プロモーターのSEROは、ジャパン・ルマン・チャレンジ(JLMC)と名付けていた。

 日本では、日本独自のJAF-GTレギュレーションによるSUPER GTが盛んだったこともあって、ACOレギュレーションに基づいて作られたスポーツカーはほとんど存在しない。そのため、期待のスポーツカーレースシリーズでありながら、ほんの僅かなエントリーしか集めることが出来なかった。特に日本では13年の間プロトタイプスポーツカーのレースが行われてなかったことから、シリーズの目玉となるP1とP2カーはほとんど勧誘することが出来なかった。このままではシリーズを立ち上げることさえ難しいため、ACOレギュレーションとは違う、シングルシーターのGC21やRSの参加を認めることとなった。
 そうして、JLMCが誕生した。しかし、アイデンティティが曖昧になったこともあって、ACOレギュレーションのマシンのエントリーが増えることはなかった。

 この状況に対して、全日本スポーツカー耐久選手権のタイトルを与えたJAFは、SEROに対して、SUPER GTに参加しているGT300マシンのためのクラスを設けるよう要求した。しかし、元々日本に存在しないカテゴリーであるP1やP2であれば、暫定的にGC21やRSの参加を認めても、ACOルールには存在しないGT300クラスを設ける事に対してACOが認めるとは考え難かった。
 SEROは、JAFとACOの間で苦しい話し合いを続けることとなった。
 ACOは、2008年には完全なACOルールへの移行を期待していた。とても、新たに日本のローカルルールであるGT300のクラスを認めることは難しいと判断しなかればならなかった。
 もちろん、2008年にACOレギュレーションのマシンがたくさんJLMCにエントリーするのであれば、SEROの苦労もなくなるが、現在の状況を考えると、急激にエントリーが増えるとは考えられなかった。
 そこで、7月13日SEROとACOは話し合って、SEROによる2008年のJLMC開催を見送ることを決定した。

Photo:Sports-Car Racing

 状況を整理してみよう。まず、全日本選手権の場合、通常6月までに翌年のカレンダー申請を行わなければならない。そのため、既にSEROは、2008年の幾つかのイベントのカレンダー申請を行っていた。これらのイベントについては、あらためて、申請を辞退することとなった。
 つまり、この段階で2008年の全日本スポーツカー選手権の開催はなくなった。しかし、2008年にJLMCが開催されないとは言い切れないようだ。

 SEROが開催を諦めた後、ACOは様々な可能性を探って多方面と話し合っている。そうして、2008年に好感触を得ることが出来たらしい。そして今日(7月21日午後1時)SEROが発表する半日前(7月21日午前1時)、「2008年にSEROによるJLMSは開催されない。しかし、ACOはアジアへ展開する」と発表した。
 もちろん、SEROが「2008年にJLMC開催を断念する」旨の発表を行えば、ほとんどの人々は「2008年にJLMCが開催されない」と判断してしまう。そのため、「SEROが開催しなくても、2008年にもJLMCは開催される」ことをアピールするため、大急ぎでACOが発表したことは間違いないだろう。

 しかし、では、2008年に誰がJLMCのプロモーターを務めるのか?現在のところ、まったく判らない。
 ACOと親しい日本人の名前が漏れ伝えられているが、その人物はレースシリーズのプロモーターの経験もなければ、現在のところ、その体制も持っていない。
 また、SEROにとって、最も困難だったのは、JAFによる全日本選手権のタイトルであって、今後、JAFの全日本選手権のタイトルを返上して、ACOレギュレーションを使う独自のシリーズとして、再びSEROとACOが契約する可能性も残されている。しかも、JLMCの開催は返上しても、併催されているクラシック・レーシング・ジャパン(CRJ)のプロモーターは、2008年以降も継続する。
 半日前ACOが発表した内容は、アジアへの展開と書かれていることからも、非常に曖昧だ。再建への道を歩むSUPER GTの状況もあって、もう少し、様子を見なければならないだろう。

7月20日
●2008年にペスカロロがプジョーを走らせる!?

Photo:Sports-Car Racing

 現在アウディとプジョーのファクトリーチームを除くと、最も優秀なスポーツカーチームがペスカロロであるのは誰もが認めている。アンリ・ペスカロロがペスカロロスポーツを設立した時、プジョーが強力にバックアップしていた。もちろん、ソデモ製のプジョーV6ターボが供給されていた。しかし、ソデモのV6ターボエンジンは非力で、ペスカロロとプジョーは話し合った末、2005年から、プジョーのバックアップはそのまま、ペスカロロはジャドのV10を積むようになった。

 当時2007年からプジョーが登場することは周知の事実だった。もちろん、ペスカロロがプジョー908を走らせるか、ペスカロロシャシーにプジョーのV12エンジンが積まれると考えられていた。
 実際ペスカロロとプジョーは、話し合いを行っていた。今年の初め、つまり、プジョー自身によってスポーツカープロジェクトが推進されるようになっった後、アンリ・ペスカロロは、「プジョーとは、ほとんど合意していた」と述べて、フランス人達を驚かせたことがあった。

 しかし、100馬力も大きなディーゼルターボエンジンを積む908に対して、ペスカロロが走らせるS01は、C60の発展型であるにも関わらず、巧妙なレース戦略によって、しばしばプジョーを出し抜く活躍を披露している。逆にセルジュ・セルニエのF3チームのスタッフを中心として集められたプジョーは、プアーなピットワークを曝して、批判を浴びることとなった。プジョーの判断は間違いと囁かれたが、プジョーとペスカロロの話し合いは継続していたようだ。

 LMSニュルブルクリンクの際、2008年の計画について、ペスカロロは「ALMSに参加するかもしれない」と語っていた。ニュルブルクリンクでは、シュロースローラのリストリクター違反事件があったことから、ペスカロロの発言は、誰もが重要なものとは考えずに、どちらかと言うと忘れてしまっていた。
 ALMSの場合、純粋なACOレギュレーションではなく、P1クラスのガソリンエンジンカーの最低車重は、特別な場合を除いて875kgである。そのため、有能なスポーツカーチームが参加するのであれば、アウディのディーゼルエンジンカーと対抗することが可能と考えられている。そのため、ACOレギュレーションに反対する姿勢を示すためのペスカロロの行動とも考えられていた。

 ところが、最近になって、ペスカロロは、2008年にプジョーのディーゼルエンジンカーを走らせるか、ALMSに参戦するか、2つの選択を検討中であることを明かとした。既にイギリスのオートスポーツ誌が、ペスカロロに対して、再度コメントを求めて、それを確認する記事を掲載している。
 どうやら、ペスカロロが圧力をかけていたのは、ACOだけでなくプジョーもだったらしい。

 現在のところ、ペスカロロから、どちらを望むのか。あるいは、どちらに決定するのか、についての追加の発表はない。同様にプジョーも何も公表してないが、もし、プジョーがペスカロロの要求を承諾するのであれば、LMSは興味深いレースを実現することが出来る一方、P1クラスからガソリンエンジンカーを追い出すこととなるかもしれない。プジョーがペスカロロの要求を断って、ペスカロロがALMSに参戦する場合、ALMSのP1クラスは、久しぶりにまともなレースを実現することが出来る。しかし、LMSは強力なレーシングチームを失いこととなってしまう。

7月5日
●疑惑は続く LMS Rd3 Nurburgring Modena AstonMartin失格

Photo:Sports-Car Racing

 先週行われたLMS Rd3ニュルブルクリンクの予選で、大きなリストリクターと装着していたことを理由として、No.15シュロースローラが予選タイムを抹消され、最後尾グリッドからスタートしたことは既報の通り。その後決勝レース終了後に行われた車検によって、GT1クラスの2位でフィニッシュしたNo.59モデナアストンマーティンは、燃料タンク容量が、レギュレーションが定める90リットルより0.8リットル大きかったとして、レースから除外されることとなった。
 しかし、たった0.8リットルオーバーであること、そして、レース終了後3日も経って、公表されたことに対して、当然ながら不信の声が上がっている。


6月29日
●ALMSはP2のリストリクターが、本来のレギュレーション通りに小さくされる
ポルシェとアキュラの活躍は終了

Photo:Sports-Car Racing

 今年のALMSは、アウディのワークスチームを除くと、充分なポテンシャルを持ったP1チームのエントリーがなかった。そこでIMSAは、ポルシェとアキュラによって、熾烈な闘いが繰り広げられることが明かだったP2クラスに目をつけて、P2クラスのリストリクターを1段階大きくして、P1クラスのアウディと総合優勝争いを行わせようとした。IMSAの目論み以上にポルシェとアキュラは速さを発揮して、しばしば、アウディを破って総合優勝してしまったことは、ご存じの通り。

 しかし、この本末転倒な状況に対して、アウディスポーツのウルフガング・ウルリッヒは猛烈に反論を表明していた。一時はセブリング12時間の後、ALMS参加をキャンセルすることまで噂されていた。
 アウディが、ルマン終了後ヨーロッパのLMS参加を噂されるようになって、やっとIMSAは、自分たちのローカルルールを撤廃することを決心した。

 来週ライムロックで行われる第6戦から、P2クラスのクルマは、ACOの2007年レギュレーションに従って、一段階小さなリストリクターの装着が義務つけられる。しかし、P2カーの中で、アウディのP1カーに太刀打ち出来るのは、アキュラとポルシェだけであるため、取り敢えずアキュラとポルシェが使う3.4リットルV8だけ、本来の2007年スペックに戻して、それ以外の2リットルターボエンジンを使うP2カーは、大きなリストリクターの使用を継続させることとしている。ちなみに、現在の2リットルターボエンジンは、2006年後半45mm×1の大きなリストリクターの使用が許されているため、ライムロック以降、ポルシェやアキュラの3.4リットルV8より2段階も大きなリストリクターの使用が許される。

 また、マツダの4気筒ターボエンジンが使用する電気スロットルについて、既にACOは、レギュレーションに抵触するとの判断を示していたが、2007年最終戦まで、このまま認められることとなった。

6月15日
●Qualifying2  第二ラウンドはアウディ1-2、ポールポジションはプジョー

Photo:Sports-Car Racing

 昨日、雨と赤旗によって、ほとんどのレーシングチームは、満足な予選を行うことが出来なかった。しかし、もし、木曜日も同じようなコンディションあったら、タイムアタックを行うことが出来ないと考えたレーシングチームもあって、No.18ロールセンターペスカロロは、終了間際に予選タイヤに履き替えて、8位で初日を終了している。1日目の予選で、予選タイヤを使ったトップチームは、このロールセンターとクラージュだけだったらしい。
 どうやら、ロールセンターやクラージュの判断は正しかったようだ。

 木曜日になって、天気は回復するどころか、益々不安定になってきた。午前中は雨が降り続いて、昼頃一旦回復したものの、午後になると、時折激しい雨が降り始めた。夕方になって、雨は止んだが、1950年代から1960年代のレーシングスポーツカーによるルマンレジェンドの予選の途中から再び降り始めた。そのため、ヒストリックカー特有のオイル処理に時間を要して、30分遅れの午後7時30分から、2回目の予選はスタートすることとなった。

 午後7時30分グリーンフラッグが降られた時、再び雨が降り始めた。しかも、これまで無かったような激しさで雨はサルテサーキットを襲った。そのため、総てのクルマは、1周か、せいぜい2周走っただけでピットに戻ってきた。No.7プジョーだけが、直ぐにコースへ復帰するが、ほとんど前は見なく、しかも、コースの彼方此方が水に浸かる状況であるため、1周走っただけでピットに戻ってきた。
 開始40分を過ぎる頃になって、やっと雨が止んだため、次々とレーシングスポーツカーがコースに出てきた。しかし、ほとんどのチームはコースコンディションを確認するだけで、ほとんど走ることなくマシンをピットに呼び戻して、早々と走行を終了するチームも出てきた。

 このような状況の中でも、プジョーとアウディは闘い続けていた。
 もちろん、スターティンググリッドは、昨日ドライコンディションで記録したラップタイムで決定されるため、プジョーのポールポジションは変わらないが、プジョーとアウディは闘い続けた。
 最も大きな理由は、もし、決勝レースが、同じようなコンディションになった場合を想定して、ヘビーレインのセッティングを施すためだ。しかも、速く走ることだけでなく、雨によってトラブルを発生させないことが大きな目的となっているようだ。特にクローズドクーペのプジョーは、ピットインする度様々なチェックを慎重に行っている。アウディは、雨が降った時のメニューが決められているようで、慌てることなく、ヘビーレインのセッティングを慎重に行っている。

Photo:Sports-Car Racing

 昨日ドライコンディションでも、ほんの少しだけアウディの方が最高速度が速かった。しかし、その違いはほんの僅かで、アウディの334km/hに対して、プジョーは1km/h遅い333km/hだった。つまり、プジョーはアウディよりコーナーを速く走って、昨日トップタイムを記録している。
 今日になって、ヘビーレインとなると、アウディはさらにストレート重視のセッティングを行ったのに対して、プジョーはダウンフォースをつけてコーナー重視のセッティングを進めた。その結果、最高速度の差はさらに広がることとなった。その時のコンディションの差があるため、ACOが公表した第一シケイン前での最高速度のデータは少々曖昧だが、漏れ伝え聞く情報によると、アウディはプジョーより4km/h速い最高速度を記録しているらしい。
 最高速度で4km/hの差を取り戻そうとすると、ドライバーは、コーナーリングで相当頑張らなければならない。巨大な5.5リットル100度V12ディーゼルターボを積みながら、プジョー908は俊敏な運動性を実現しているが、ドライバーには過酷であるようで、しばしばコースアウトすることとなった。

 それでも、プジョーとアウディは、ほとんど同じラップタイムで彼らだけの闘いを続けている。アウディが4分7秒台に突入すると、その直後にはプジョーも4分7秒台を記録して、互いに譲らない。
 マルコ・ヴェルナーの操るNo.1アウディR10が4分5秒465を記録して、最初の2時間は終了した。
 インターバルを挟んで最後のセッションとなっても、アウディとプジョーはタイム争いを繰り広げている。しかし、アウディが次々とタイムアップしたのに対して、プジョーは40分後アルナージュでマルク・ジェネの操るNo.7プジョー908がコースアウトして、フロントセクションに大きなダメージを追ってしまった。プジョーはNo.8にセバスチャン・ボーディーを乗り組ませて、アタックを続けるが、アラン・マクニッシュの乗り組んだNo.2アウディR10が記録した4分1秒257のトップタイムから約0.7秒遅れの3番手のタイムを記録しただけだった。

*注:ACOデータでは、雨の中でのNo.1アウディの最高速度は318km/h、対するNo.7プジョーは309km/hで、9km/h差。

スターティンググリッド *総て1日目の予選によるタイム
1 P1@No.8 Team Peugeot Total Peugeot908 P LAMY/ST SARRAZIN/S BOURDAIS 3:26.344
2 P1 No.2 Audi Sport North America AUDI R10 A McNISH/R CAPELLO/M ROCKENFELLER 3:26.916
3 P1 No.7 Team Peugeot Total Peugeot908 M GENE/N MINASSIAN/J VILLENEUVE 3:27.724
4 P1 No.1 Audi Sport North America AUDI R10 E PIRRO/F BIELA/M WERNER 3:28.301
5 P1 No.3 Audi Sport Team Joest AUDI R10 L LUHR/M EKSTROM/A PREMAT 3:29.736
6 P1 No.16 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd E COLLARD/JC BOULLION/R DUMAS 3:33.590
7 P1 No.13 Courage Competition CourageLC70/AER J M GOUNON/G MOREAU 3:35.171
8 P1 No.18 Rollcentre Racing Pescarolo S01/Judd J BARBOSA/ST HALL/M SHORT 3:35.599
9 P1 No.14 Racing For Holland 童夢S101.5/Judd J LAMMERS/D HART/J BLEEKEMOLEN 3:35.660
10 P1 No.9 Creation Autosportif Ltd Creation CA07S/Judd 中野信治/J CAMPBELL-WALTER/F ORTIZ S 3:36.279
11 P1 No.15 Charouz Racing Lola-B07-17/Judd A YOONG/ST MÜCKE/J CHAROUZ 3:37.737
12 P1 No.12 Courage Competition CourageLC70/AER  A FREI/J COCHET/B BESSONCOCHET 3:38.371
13 P1 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd H PRIMAT/CH TINSEAU/B TRELUYER 3:38.753
14 P1 No.5 Swiss Spirit LolaB07-10/AUDI J D DELETRAZ/M FASSLER/I ALEXANDER 3:42.626
15 P2@No.33 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  A FERNANDEZ/H KUROSAWA/R KERR 3:44.158
16 P1 No.19 Chamberlain Synergy LolaB06-10/AER G EVANS/B BERRIDGE/P OWENBERRIDGE 3:44.721
17 P2 No.40 Quifel ASM Team LolaB05-40/AER M AMARAL/M DE CASTRO/W HUGHESAMARAL 3:45.838
18 P2 No.31 Binnie Motorsports LolaB05-40/ZYTEK  B BINNIE/A TIMPANY/CH BUNCOMBE 3:48.172
19 P2 No.21 Bruichladdich Radical RADICAL SR9/AER  T GREAVES/ST MOSELEY/R LIDDELL 3:48.332
20 P2 No.32 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  J BARAZI/M VERGERS/K OJJEHVERGERS 3:48.935
21 P2 No.25 RML LolaB05-40/AER T ERDOS/M NEWTON/A WALLACE 3:49.217
22 P2 No.35 Saulnier Racing CourageLC75/AER B JOUANNY/J NICOLET/A FILHOL 3:49.621
23 GT1@No.008 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 C BOUCHUT/F GOLLIN/C ELGAARD 3:50.761
24 GT1 No.55 Team Oreca Saleen S7R N PROST/S AYARI/N LAPIERRE 3:51240
25 P2 No.20 Pierre Bruneau PilbeamMP93/Judd M ROSTAN/G PICKERING/H.MACALLISTER 3:51.342
26 GT1 No.64 Corvette Racing Corvette C6R O BERETTA/O GAVIN/M PAPIS 3:52.130
27 GT1 No.009 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 D BRABHAM/R RYDELL 3:52.471
28 P2 No.44 Kruse Motorsport Pescarolo S01/Judd  T BURGESS/J de POURTALES/N.SIEDLER 3:52.552
29 GT1 No.63 Corvette Racing Corvette C6R  J O'CONNELL/J MAGNUSSEN/R FELLOWS 3:52.657
30 GT1 No.59 Team Modena AstonMartin DBR9 A GARCIA/J MENTEN/CH FITTIPALDI 3:53.727
31 GT1 No.54 Team Oreca Saleen S7R L GROPPI/N PROST/J P BELLOC 3:54.718
32 GT1 No.100 AMR BMS AstonMartin DBR9 F BABINI/J DAVIES/M MALUCELLI 3:55.141
33 GT1 No.72 Alphand Aventures Corvett C6R J POLICAND/P GOUESLARD 3:55.668
34 GT1 No.007 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 T ENGE/J HERBERT/P KOX 3:55.718
35 GT1 No.70 PSI Experience Corvette C6R D HALLYDAY/C Y GOSSELIN/PH PETER 3:56.922
36 P2 No.24 Noel Del Bello CourrageLC75/AER V PETROV/L HALLIDAY/R IANETTA 3:57.566
37 GT1 No.73 Alphand Aventures Corvette C5R J L BLANCHEMAIN/V VOSSE/D ANDRE 3:59.068
38 GT1 No.006 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 P BORNHAUSER/R BERVILLE/G FISKEN 4:01.674
39 GT2@No.87 Scuderia Ecosse FerrariF430GT2 CH NIARCHOS/A KIRKALDY/T MULLEN 4:04.185
40 GT2 No.76 Imsa Performance Porsche997GT3RSR  R NARAC/R LIETZ 4:04.622
41 GT2 No.97 Risi Competizione FerrariF430GT2  M SALO/J MELO/J.MOWLEM 4:05.358
42 GT2 No.80 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR J van OVERBEEK/J BERGMEISTER/S NEIMAN 4:05.588
43 GT2 No.93 Autorlando Sport Porsche997GT3RSR  L E NIELSEN/A SIMONSEN 4:08.211
44 GT2 No.99 Risi Competizione Ferrari F430GT2 T KROHN/N JONSSON/C BRAUN 4:09.065
45 GT1 No.67 Convers Menx Team FERRARI 550 MARANELLO  A VASILIEV/T KOSTKA 4:09.088
46 GT2 No.85 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER A BELICCHI/A CAFFI/A CHIESA 4:10.719
47 GT2 No.81 Team LNT PANOZ ESPERANTE T KIMBER-SMITH/D WATTS/T MILNER 4:11.025
48 GT2 No.86 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER  J JANIS/M HEZEMANS/J KANE 4:11.598
49 GT2 No.82 Team LNT PANOZ ESPERANTE  L TOMLINSON/R DEAN/R BELL 4:13.049
50 GT2 No.83 GPC Sport FerrariF430GT2 M MARSH/J VILLARROEL/C ROSENBLAD 4:15.669
51 GT2 No.71 Seikel Motorsport Porsche997GT3RSR  PH COLLIN/H FELBERMAYR Senior/H FELBERMAYR Junior 4:17.750
52 GT2 No.78 AF Corse FerrariF430GT2  J MACARI/B AUCOTT/A.NEWEY 4:21.714
53 P2 No.29 T2M Motorsport 童夢S101.5/Mader R LONGECHAL/山岸大/寺田陽次郎 4:53.983


6月14日
●Qualifying1  第一ラウンドはプジョー

Photo:Sports-Car Racing

 水曜日になって、ルマン地方の天気はいよいよ怪しくなってきた。昼頃雷を伴って激しい雨が降った後、雨は止み、午後7時に1回目の予選が開始される頃になると晴れ間も見え始めた。
 グリーンフラッグが提示されると、ルック・アルファンのコルベットC6Rを先頭にして、54台のレーシングスポーツカーがコースインした。No.2アウディR10には、月曜日になって参加が決定したトム・クリステンセンが乗り組んでいる。テストディをパスしたクリステンセンにとっては、新しいサルテサーキットを走る最初の機会となった。

 開始12分後アレックス・ユーンが乗り組んだNo.15シュロースローラがテルトルルージュでスピンしてしまった。その5分後には、コースインしたばかりのロビン・ロンジュシェルが乗り組むNo.29T2M童夢/マーダーが、ダンロップブリッジの先でスピンしてしまった。エンジンを止めてしまっただけでなく、スターターモーターのトラブルでエンジンを再始動出来ないため、イエロー童夢はトレーラーに乗せられてパドックまで戻されてきた。同じ頃、ラルブルコンペティションのNo.006アストンマーティンDBR9は、1周走っただけで、燃料漏れでピットに張り付いている。

 GT1クラスのポールポジション争いは、最初No.55ORECAサリーンとNo.64ワークスコルベットの間で繰り広げられた。アストンマーティン勢は、セッティングを確認するとタイムアタックを試みて、アストンマーティンレーシングのNo.009が3分55秒099を記録して上回る。しかし、直ぐにORECAサリーンが巻き返しに出て、No.54とNo.55がGT1クラスの1-2を占める。

Photo:Sports-Car Racing

 最初に3分30秒を切ったのはアウディだった。No.1とNo.2のR10が次々と3分30秒の壁を突破してタイムボードの上位を占める。プジョーはピットインを繰り返して、慎重にセッティングを行っていたが、午後7時47分ニコラス・ミナシアンの操るNo.7が3分29秒801を記録して、アウディを追った。

 P2クラスはエイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹が乗り組むNo.33ザイテックの独壇場となっている。しかし、ラップタイムは平凡で3分47秒台に過ぎない。

 ガソリンエンジンクラスは、2つのダンパーを付け替えてセッティングを確認していたNo.16ペスカロロがトップに立っている。2番手はRacing for Holland童夢S101.5だ。RfH童夢はローダウンフォースパッケージをセットアップ中で、空力だけでなく、様々な部分を次々と変更しながら走行しているが、このような段階でも、既に3分35秒台までタイムアップしてきた。

 午後8時6分第一シケインでNo.53JLOCランボルギーニがクラッシュして、火災が発生した。ドライブしていたマルコ・アピチェラは無事脱出したが、ムルシエラゴはスクラップとなってしまった。
 このアクシデントを処理するため、赤旗が提示され45分間セッションは中断された。
 セッションが中断されている間、ミュルサンヌで雷と伴った激しい雨が降り始めた。 午後8時50分予選は再開され、10分間だけ延長されたが、誰もタイムアップすることは出来なかった。

 インターバルを挟んで、午後10時1日目後半の2時間の予選が始まった。
 雨が降ったのはミュルサンヌから第2シケイン付近だけだったが、総てのクルマがウェットタイヤを装着してコースインした。ラップタイムは期待出来ないが、ほとんどのクルマはコースインした。
 しかし、開始30分No.5スイススピリットのローラ/アウディが第一シケインでクラッシュしてしまった。そのため2度目の赤旗が提示され、15分間セッションが中断された。

 セッションが再開されても、コースは濡れたままだったが、午後11時を過ぎる頃になると、次第にスリックタイヤに履き替えるようになった。
 マーク・オルソンによるカラーリングを施されたNo.9クリエイションは、電気系トラブルによって、彼方此方にトラブルが発生している。

 空力パッケージのセッティングを行っていたRfH童夢は、ある程度ダウンフォースをつけた方が良いと判断したようで、赤旗が提示されてセッションが中断されている間、多少ダウンフォースをつけた状態に合わせるため、ほんの少し低い6速ギアに組み替えた。しかし、コースコンンディションが回復しないことから、新しいサスペンションの評価を行っている。

Photo:Sports-Car Racing

 GT1クラスは、ラルブルコンペティションアストンマーティンが、ORECAサリーンを抜いてトップタイむを叩き出した。GT2クラスは、スクーデリアエコッセのフェラーリF430がリードしているが、全体的にラップタイムが遅く、テストディでトップタイムを記録したIMSAポルシェは、テストディより4秒も遅いラップタイムを記録しているに過ぎない。

Photo:Sports-Car Racing

 終了直前レコードラインが乾いてきたため、アウディとプジョーは次々とタイムアタックを行うようになった。最初3分27秒台で闘いは始まった。終了18分前アラン・マクニッシュが乗り組むNo.2アウディR10が3分26秒916を叩き出した。アウディが1日目のポールポジションを獲得したと思われたが、終了7分前になってステファン・サラザンの操るNo.8プジョー908が3分26秒344を叩き出した。
 プジョーvsアウディの第一ラウンドは、プジョーが制することとなった。

1 P1@No.8 Team Peugeot Total Peugeot908 P LAMY/ST SARRAZIN/S BOURDAIS 3:26.344
2 P1 No.2 Audi Sport North America AUDI R10 A McNISH/R CAPELLO/M ROCKENFELLER 3:26.916
3 P1 No.7 Team Peugeot Total Peugeot908 M GENE/N MINASSIAN/J VILLENEUVE 3:27.724
4 P1 No.1 Audi Sport North America AUDI R10 E PIRRO/F BIELA/M WERNER 3:28.301
5 P1 No.3 Audi Sport Team Joest AUDI R10 L LUHR/M EKSTROM/A PREMAT 3:29.736
6 P1 No.16 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd E COLLARD/JC BOULLION/R DUMAS 3:33.590
7 P1 No.13 Courage Competition CourageLC70/AER J M GOUNON/G MOREAU 3:35.171
8 P1 No.18 Rollcentre Racing Pescarolo S01/Judd J BARBOSA/ST HALL/M SHORT 3:35.599
9 P1 No.14 Racing For Holland 童夢S101.5/Judd J LAMMERS/D HART/J BLEEKEMOLEN 3:35.660
10 P1 No.9 Creation Autosportif Ltd Creation CA07S/Judd 中野信治/J CAMPBELL-WALTER/F ORTIZ S 3:36.279
11 P1 No.15 Charouz Racing Lola-B07-17/Judd A YOONG/ST MÜCKE/J CHAROUZ 3:37.737
12 P1 No.12 Courage Competition CourageLC70/AER  A FREI/J COCHET/B BESSONCOCHET 3:38.371
13 P1 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd H PRIMAT/CH TINSEAU/B TRELUYER 3:38.753
14 P1 No.5 Swiss Spirit LolaB07-10/AUDI J D DELETRAZ/M FASSLER/I ALEXANDER 3:42.626
15 P2@No.33 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  A FERNANDEZ/H KUROSAWA/R KERR 3:44.158
16 P1 No.19 Chamberlain Synergy LolaB06-10/AER G EVANS/B BERRIDGE/P OWENBERRIDGE 3:44.721
17 P2 No.40 Quifel ASM Team LolaB05-40/AER M AMARAL/M DE CASTRO/W HUGHESAMARAL 3:45.838
18 P2 No.31 Binnie Motorsports LolaB05-40/ZYTEK  B BINNIE/A TIMPANY/CH BUNCOMBE 3:48.172
19 P2 No.21 Bruichladdich Radical RADICAL SR9/AER  T GREAVES/ST MOSELEY/R LIDDELL 3:48.332
20 P2 No.32 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  J BARAZI/M VERGERS/K OJJEHVERGERS 3:48.935
21 P2 No.25 RML LolaB05-40/AER T ERDOS/M NEWTON/A WALLACE 3:49.217
22 P2 No.35 Saulnier Racing CourageLC75/AER B JOUANNY/J NICOLET/A FILHOL 3:49.621
23 GT1@No.008 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 C BOUCHUT/F GOLLIN/C ELGAARD 3:50.761
24 GT1 No.55 Team Oreca Saleen S7R N PROST/S AYARI/N LAPIERRE 3:51240
25 P2 No.20 Pierre Bruneau PilbeamMP93/Judd M ROSTAN/G PICKERING/H.MACALLISTER 3:51.342
26 GT1 No.64 Corvette Racing Corvette C6R O BERETTA/O GAVIN/M PAPIS 3:52.130
27 GT1 No.009 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 D BRABHAM/R RYDELL 3:52.471
28 P2 No.44 Kruse Motorsport Pescarolo S01/Judd  T BURGESS/J de POURTALES/N.SIEDLER 3:52.552
29 GT1 No.63 Corvette Racing Corvette C6R  J O'CONNELL/J MAGNUSSEN/R FELLOWS 3:52.657
30 GT1 No.59 Team Modena AstonMartin DBR9 A GARCIA/J MENTEN/CH FITTIPALDI 3:53.727
31 GT1 No.54 Team Oreca Saleen S7R L GROPPI/N PROST/J P BELLOC 3:54.718
32 GT1 No.100 AMR BMS AstonMartin DBR9 F BABINI/J DAVIES/M MALUCELLI 3:55.141
33 GT1 No.72 Alphand Aventures Corvett C6R J POLICAND/P GOUESLARD 3:55.668
34 GT1 No.007 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 T ENGE/J HERBERT/P KOX 3:55.718
35 GT1 No.70 PSI Experience Corvette C6R D HALLYDAY/C Y GOSSELIN/PH PETER 3:56.922
36 P2 No.24 Noel Del Bello CourrageLC75/AER V PETROV/L HALLIDAY/R IANETTA 3:57.566
37 GT1 No.73 Alphand Aventures Corvette C5R J L BLANCHEMAIN/V VOSSE/D ANDRE 3:59.068
38 GT1 No.006 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 P BORNHAUSER/R BERVILLE/G FISKEN 4:01.674
39 GT2@No.87 Scuderia Ecosse FerrariF430GT2 CH NIARCHOS/A KIRKALDY/T MULLEN 4:04.185
40 GT2 No.76 Imsa Performance Porsche997GT3RSR  R NARAC/R LIETZ 4:04.622
41 GT2 No.97 Risi Competizione FerrariF430GT2  M SALO/J MELO/J.MOWLEM 4:05.358
42 GT2 No.80 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR J van OVERBEEK/J BERGMEISTER/S NEIMAN 4:05.588
43 GT1 No.53 JLOC Isao Noritake LAMBORGHINI MURCIELAGO M APICELLA/余郷敦 4:06.223
44 GT2 No.93 Autorlando Sport Porsche997GT3RSR  L E NIELSEN/A SIMONSEN 4:08.211
45 GT2 No.99 Risi Competizione Ferrari F430GT2 T KROHN/N JONSSON/C BRAUN 4:09.065
46 GT1 No.67 Convers Menx Team FERRARI 550 MARANELLO  A VASILIEV/T KOSTKA 4:09.088
47 GT2 No.85 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER A BELICCHI/A CAFFI/A CHIESA 4:10.719
48 GT2 No.81 Team LNT PANOZ ESPERANTE T KIMBER-SMITH/D WATTS/T MILNER 4:11.025
49 GT2 No.86 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER  J JANIS/M HEZEMANS/J KANE 4:11.598
50 GT2 No.82 Team LNT PANOZ ESPERANTE  L TOMLINSON/R DEAN/R BELL 4:13.049
51 GT2 No.83 GPC Sport FerrariF430GT2 M MARSH/J VILLARROEL/C ROSENBLAD 4:15.669
52 GT2 No.71 Seikel Motorsport Porsche997GT3RSR  PH COLLIN/H FELBERMAYR Senior/H FELBERMAYR Junior 4:17.750
53 GT2 No.78 AF Corse FerrariF430GT2  J MACARI/B AUCOTT/A.NEWEY 4:21.714
54 P2 No.29 T2M Motorsport 童夢S101.5/Mader R LONGECHAL/山岸大/寺田陽次郎 4:53.983


6月12日
●今年のルマンのダークホースが続々登場
    
Photo:Sports-Car Racing

 2日目となって、2007年のルマンを闘うレーシングスポーツカーが次々とジャコバン広場に登場している。朝1番に地元のペスカロロが登場すると、たくさんのサポーター達によって、大きな歓声と共に迎えられた。車検の際、実際に予選と決勝レースで使われるパーツを取り付けるか、提出することが求められている。そのため、ペスカロロは、2台で違うリアウイングを取り付けて現れた。No.16が上下に薄いタイプ、No.17は上下に厚く、2枚目のフラップ部分が大きな迎え角をつけられている。
 もちろん、No.16がロードラッグの空力パッケージ、No.17がハイダウンフォースの空力パッケージだ。テストディの際、No.16がロードラッグパッケージで好タイムを記録している。もちろん、No.17もロードラッグパッケージを試みているが、何らかの違いがあるのかもしれない。

 午前10時10分になると、中野信治が乗り組むクリエイションが登場した。テストディのたった2週間前に完成したにも関わらず、クリエイションは深刻なトラブル無しで順調に開発を進めてきている。しかし、どうしても間に合わなかったのが、マーク・オルソンによるカラーリングだった。
 写真で明かなように、マーク・オルソンが描いた斬新なカラーリングは、人気を集めた。
 充分なテストを行っていないにも関わらず、クリエイションは、ダウンフォースとドラッグのバランスが良いようで、テルトルルージュ手前からユノディエールの3つのストレートを挟んで、インディアナポリスの手前までのセクター2、そして、ポルシェカーブやメゾンブランシェを含むセクター3で好タイムを記録した。このまま順調にセットアップが進むのであれば、侮れない存在となるだろう。

Photo:Sports-Car Racing

 クリエイションに続いてRacing for Hollandが走らせる童夢S101.5/Juddが登場した。新たにS101.5には、タイの童夢コンポジットタイランド製のボディカウルが取り付けられているが、日本の童夢カーボンマジック製と比べても非常に高度な仕上がりで、もはや変わらないレベルを実現しているように見える。 これまでの混乱から脱して、童夢は本来の状態を取り戻しつつあるようで、テストディの後、童夢はロードラッグの空力パッケージの風洞実験を慎重に行っていたようだ。漏れ伝え聞く情報によると、新たに見出したロードラッグの空力パッケージによって、童夢は、セクター2とセクター3で大幅なタイムアップを狙っているらしい。既にシュミレーションは終了して、新しい空力パッケージは決定している。13,629kmものサルテサーキット長さから考えると、タイトコーナーが連続するセクター1の占めるパーセンテージは、大きいとは言えないかもしれない。しかし、セクター1での速さをどれくらい犠牲にしないかが、成功のポイントとなっているようだ。

 現在のレギュレーションによって、100馬力も大きなパワーを与えられているディーゼルエンジンカーが有利なのは当たり前だ。逆に100馬力のハンデを跳ね返そうとして努力を続けている、ペスカロロ、クリエイション、童夢の活躍に期待したい。

6月12日
●Lola B08-60 Coupe公開

Photo:Lola Cars

 元々ローラは2007年に“屋根付き”のB07クーペをデビューさせる計画だった。ところが、カスタマーチームからのオーダーに従って、ローラは“屋根無し”でB07-10を完成させた。しかし、“屋根付き”のLMP1カーの開発を諦めた訳ではなかった。2007年1月ローラでは、空力エンジニアのフィル・ティラーによって、B05系の次の世代のスポーツカーのデザインが始まった。開発チームには、ピーター・エラリーと共にベントレーSpeed8を開発したジェネ・ヴァニラが加わっている。

 既に基本デザインは完成しており、6月末に風洞実験も開始される。CADデータを見てもらうと判るように、新世代と言うものの、基本的にB05系のデザインコンセプトを踏襲している。たぶん、ボディパネルの一部もB06やB07のものを使用することを前提としてデザインを進めているのだろう。
 しかし、“屋根付き”のキャビンを備えたモノコックには、様々な工夫が盛り込まれている。キャビンの下半分と上半分で、大きく大きさが違って、サイドウインドー部分に、途中で段差が存在するようなデザインとなっているのに注意。CADデータが本当のデザインであるのであれば、内部に設けられるロールフープの形状は、何らかの工夫が盛り込まなければならない。もしくは、新たなレギュレーション解釈の方法を見出したのかもしれない。

 既に5月に明かにしているように、ローラはB08-60にアウディV8ターボを組み合わせることを前提として開発を進めている。もちろん、今年アウディV8ターボを使っているスイススピリットや、彼らに続いてアウディV8ターボを使うチームが現れることを想定しているためだ。
 予定通りであれば、秋にB08-60クーペは走り出すことだろう。

6月11日
●2007LeMans Race Week Start

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ、2007年のルマン24時間レースのレースウィークに突入した。
 先週がそうだったように、今週のルマンも不安定な気圧配置で、朝方雨が降ったと思うと、昼頃になると太陽が顔を出して、気温が上昇し始めた。
 午後2時30分ルマン市内中央部のジャコバン広場で恒例の公開車検が始まった。先週行われたテストディの際、既に車検が行われているため、今週ジャコバン広場で2日間に渡って行われる車検は、プレイベントを主な目的としていることは言うまでもない。最初にジャコバン広場に姿を現したのは、2007年のルマンの一方の看板役者であるプジョーの908クーペだった。14年ぶりにルマンへ復活するプジョーを勇姿を見るため、たくさんの観客がジャコバン広場に集まった。
 続いて5台のコルベットが、GMワークスのコルベットレーシングを先頭にして次々とジャコバン広場に入ってきた。今日行われるのは17台だけで、残りの38台の車検は明日行われる。

Photo:Sports-Car Racing

 明日午前8時30分からペスカロロ、10時10分から中野信治のクリエイション、続いて10時20分からRfH童夢、11時40分から、エイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹のバラジ-イプシロン、午後2時からアウディ、2時30分からJLOC、3時30分からT2M童夢が登場する。
 明日ルマン地方の天気は雨のち曇りと予想されている。その後も予選が行われる水曜日と木曜日が雨のち晴れと安定しない。週末になって雨雲は姿を消す予報となっている。
 この不安定な気圧配置を見方につけるのは、誰だろうか?

6月8日
●トム・クリステンセンのルマン参加は11日に決定

Photo:AUDI AG

 現在ルマンで最多7勝を記録しているトム・クリステンセンは、今年DTM開幕戦ホッケンハイムにおけるアクシデントによって、活動を休止している。3日に行われたルマンテストディでは、もし、トム・クリステンセンが参加出来ない場合を考慮して、アウディはNo.2とNo.3のドライバーの組み合わせを変更してテストを行った。今週末DTMは、ブランズハッチに遠征してレースが行うため、ブランズハッチで、トム・クリステンセンのルマン参戦が発表されると思われていた。ところが、それは楽観的な見方だったようで、現在に至るもトム・クリステンセンのルマン参戦は決定されていない。

 今日アウディが公表したスケジュールによると、11日月曜日ヒルトンコペンハーゲンエアポートホテルにおいて、12時からトム・クリステンセンのルマン参戦についての記者会見が行われる。トム・クリステンセン、アウディスポーツのジークフリード・クラウス、そして担当医が出席する。
 つまり、ぎりぎりまで体調を観察して、参戦を決定することとなる。
 もし、ルマン参戦が決定されるのであれば、そのままコペンハーゲン空港からルマンへ向かうこととなる。翌日にはジャコバン広場に姿を現すこととなるだろう。

6月2日
●ルマンテストレポート1 寺田陽次郎はT2M童夢に乗り込む

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ2007年のルマンテストウィークが始まった。6月1日と6月2日サルテサーキット内で車検を行ない、6月3日決勝レース前たった1度だけサルテサーキットを走ることが出来るテストが行われる。
 昨日最初の車検が行われ、ルック・アルファンの2台のコルベットを先頭にして、ルマンテストウィークがスタートした。1日目の看板スターは、6番目に登場した2台のプジョー908クーペだった。
 ヴァレンシアを走った時と比べると、リアウイング周辺等にさらに手が加えられていた。
 続いてスイススピリットのローラアウディとシュロースレーシングのローラジャドが登場して、サルテサーキットは華やかな雰囲気に包まれた。

 しかし、今週ルマン地方は非常に不安定な気圧配置で、低温が続き、昼頃激しい雨が降り始めて、雷まで鳴り始めた。そのため、一旦車検は中断され、30分後再開された。

午後3時を過ぎるとザイテック勢が登場した。黒沢治樹とエイドリアン・フェルナンデスが乗り組むバラジイプシロンには、ノーズ左右に新しいデザインのカナードウイングが取り付けられていた。

Photo:Sports-Car Racing

 アストンマーティン勢を間に挟んで、中野信治が乗るクリエイションCA07Sが登場した。マーク・オルソンのカラーリングは来週になるらしく、黒一色に塗られている。続いてRacing for Hollandの童夢S101.5/Juddが登場した。大きなエンジンカウルと黒いカラーリングが凄味を利かせて人だかりが出来た。
 いずれも、既に今年LMSやALMSに参加しているため、混乱なく車検は行われた。

 2日目になって、一番目にワークスコルベットは登場した。アメリカから参加する唯一のワークスチームとあって、今年コルベットレーシング関連の設備は、何処も厳しいセキュリティが行われている。時勢を考えれば当たり前かもしれない。車検場に入るため、ピットロードを押されて行く時、黄色いコルベットには、大勢のファンに囲まれた。この時だけはセキュリティ無しで、ファンはワークスコルベットGTレースカーに接することが出来ただろう。

 フェラーリを挟んで、3台のアウディR10が登場した。2年目となっても、アウディのディーゼルエンジンカーに対する関心は高い。昨年アウディは、ピットの床下を加工して油圧ジャッキを設置して、我々を驚かせてくれた。その後、油圧ジャッキが設置された45番と46番ピットの運命が心配されていたが、今年アウディが使う3つのピットは、その総ての床下に油圧ジャッキが設置されている。
 アウディは、午後4時から6時までホームストレートの向い側にある飛行場を使って、テストを行うらしい。エンジンやパドルシフトの作動確認と共に電気系のチェックを目的としているようだ。

 終了3台前、T2Mが走らせる、P2バージョンの童夢S101.5/マーダーが登場した。綺麗なイエローにカラーリングされたS101.5は、RfHが走らせるP1バージョンがジャド5.5リットルV10を積むのに対して、マーダー3.4リットルV8エンジンを積んでいる。もちろん、様々なシステムが違うことから、P1バージョンと同じ、イアン・フォーリーのイクイップメイク製パドルシフトを使うと言っても、新たにセットアップしなければならない。これまで、パドルシフトのセットアップが遅れていたため、明日のテスト走行を前にして、夕方7時から隣の飛行場でテストを行うこととなった。

Photo:Sports-Car Racing

 今日になって、T2Mは、ミスタールマンこと寺田陽次郎が、明日のテストでT2M童夢に乗り組むことを発表した。今日の段階では、それ以上公表出来ないらしいが、寺田陽次郎の2007年も始まったようだ。

6月1日
●Creation CA07S登場 中野信治ルマンに復活

Photo:Sports-Car Racing

 クリエイションは、22日スネッタートンでCA07Sのシェイクダウンテストを行った。ジェレミー・キャンベル・ウォールター、フィリーペ・オルテス、そして中野信治が乗り組み、シェイクダウンでありながら、トブルフリーだったことから、順調に周回を重ねて、一緒に走っていたアレーナザイテック(P1)と遜色ないラップタイムを記録した。翌23日、本格的なテストを行うため、クリエイションはドニントンに移動した。残念ながら、遅いクルマも一緒に走行したため、ラップタイムに見るべきものはなかったが、何一つ深刻なトラブルなく、マイレッジを稼ぐこととなった。
 一旦工場に戻ってチェックを行った後、29日クリエイションはマニクールで夜間テストを行った。そのままイギリスに帰らず、チームはルマンへ乗り込んできた。

 クリエイションは、元々“屋根付き”でCA07Sをデザインしていた。しかし、今年になって急遽計画を変更して、“屋根無し”でCA07Sは完成することとなった。どのような事情があったのか? 正確な理由は判らないが、ザイテックと非常に似たデザインのモノコックだったことから、先週公表された時、ザイテックからモノコックを買ったと噂されていた。
 しかし、助手席のヘッドレストに設けられた2つのリストリクターで明かなように、ザイテックのものとは違って、CA07Sのモノコックは、クリエイション/KWM体制が独自にデザインしている。

 ルマン本番の3週間前に完成したため、誰もが、期待出来ないと思っていたかもしれない。しかし、新しいのはモノコックだけで、しかも、床下等、大きく性能に影響する部分は、CA06Hハイブリッドカーと大きく変更されていない。もちろん、機械的な部分も変わらないことから、CA06Hハイブリッドカーのセッティングをそのまま活用することが出来るため、即戦力となるだろう。トラブルフリーでテストが進行したことだけでなく、容易にポテンシャルを引き出せると考えられている。

 今年クリエイションは、新たにダンロップタイヤと契約した。最も心配されている部分だったが、今年ダンロップはロールセンターと提携して、1月からペスカロロを使ってタイヤの開発を行っている。ロールセンターペスカロロが、素晴らしい速さを発揮しているのを見ても、ダンロップタイヤの開発が急ピッチで進められていることが判るだろう。ロールセンターが開発したタイヤを使うことが出来ることから、この面でも、クリエイションはラッキーだったと言えるだろう。
 突然急旋回して、心配されていたクリエイションだったが、このような理由から、たった1週間で、大きく遅れを挽回しようとしている。中野信治が、素晴らしい速さを披露する可能性は高いだろう。


5月29日
●2007“24 HEURES DU MANS”Sucedule

Illustration:ACO

●TEST DAY
6月1日(金)
午前10.00〜午後6.00:参加申請、車検 *場所:サーキット

6月2日(土)
午前9.00〜午後3.00:参加申請、車検 *場所:サーキット
午後4.00:ドライバー&マネージャーブリーフィング

*車検スケジュール
http://www.lemans.org/sport/sport/reglements/ressources/auto_2007/verif_administratives_techniques_jt.pdf

6月3日(日)
午前9.00〜1.00/ 午後2.00〜午後6.00: Test day "24 Heures du Mans"  

●24 HEURES DU MANS
6月11日(月)
午後2.30〜6.00:参加申請、車検 *場所:市内ジャコバン広場

6月12日(火)
午前8.30〜午後5.00:参加申請、車検 *場所:市内ジャコバン広場

*車検スケジュール
http://www.lemans.org/sport/sport/reglements/ressources/auto_2007/verif_administratives_techniques_24h.pdf

6月13日(水)
午前10.00:マネージャーブリーフィング
午後4.00:ドライバーブリーフィング
午後7.00〜9.00: "24 Heures du Mans" 予選1回目
午後10.00〜12.00: "24 Heures du Mans" 予選1回目

6月14日(木)
午前9.00〜午後1.00:“Le Mans Legend”参加申請、車検 *場所:市内ジャコバン広場
午後3.00:“Le Mans Legend”ドライバーブリーフィング
午後5.30〜6.30:“Le Mans Legend” 予選
午後7.00〜9.00: "24 Heures du Mans"   予選2回目
午後10.00〜12.00: "24 Heures du Mans"  予選2回目

6月15日(金)
午前10.00〜午後8.00: ピットウォーク
午後6.00〜7.00: ドライバーパレード  *場所:市内ジャコバン広場スタート市内中心部

6月16日(土)
午前9.00〜9.45:  "24 Heures du Mans" ウォームアップ走行
午前10.15: "Le Mans Legend"レース
午後2.22:"24 Heures du Mans"スターティングセレモニー   
午後3.00:The 75th "24 Heures du Mans"レーススタート

6月17日(日)
午後3.00:The 75th "24 Heures du Mans" レースフィニッシュ
 

5月28日
●童夢を指名したT2Mの挑戦

Illustration:T2M
開発を優先するため、これまでT2M童夢はカラーリングすらされてなかった。一応テストが終了したことから、このようなイエローのカラーリングへの塗り替えが進められている。 

 昨年までルマンとLMSのGT2クラスでポルシェを走らせていたT2Mは、今年童夢S101.5を導入して一挙にLMP2クラスへのステップアップを目論んだ。
 しかし、S101.5はP1カーとして開発されているため、P2カーとして見た場合オーバークオリティである部分が多い。例えばP1カーの車重は925kgだがP2の場合150kg軽い775kgとなる。P1からP2となった場合、単純に軽くなる部分はエンジンとタイヤ/ホイールくらいしかない。ホイールベースが同じであるなら、エンジンが5.5リットルのジャドV10から軽量コンパクトなマーダーV8となっても、エンジンとトランスミッションを継ぐベルハウジングは、逆に延びるため、極端な軽量化は難しい。
 童夢はベルハウジングをカーボンファイバーで製作するプランを提案したが、少々高価であるため、T2Mは初年度はアルミニウム製のベルハウジングでスタートすることとなった。
 他にもP1とP2ではタイヤ幅が2インチ違うことから、P2ではよりスリムなボディワークも可能となる。

 このように、P2カーとして新たに開発しなければならない部分も少なくないため、T2Mでは複数年でマシンを開発して成績を残すことを前提として計画を進めている。
 取り敢えず今年はP2カテゴリーに参戦して、P2カテゴリーを勉強することが目標となるだろう。
 2年目の来年、T2Mにとっての大きな目標が、軽量化であることは言うまでもないだろう。

Photo:T2M/Anthony Megevand-Endurance-Info.com

 T2M童夢P2カーは、マーダー3.4リットルV8エンジンを搭載するが、現在マーダーはメガクローム傘下にある。数年前クラージュからメガクロームへの支払い遅延問題が発覚して、メガクロームが新たな提携先を探していた時、その頃ポルシェのGT2カーを走らせていたT2Mの名前が噂されたことがある。もしかしたら、その頃からT2Mはメガクロームと話し合いを行っていたのかもしれない。
 様々なパーツの製作の遅れから、メガクロームではマーダー3.4リットルV8エンジンの最後のベンチテストを行うのが遅れてしまった。セットアップ不足によって、デビュー戦となったヴァレンシアでは、最初エンジンが6,000回転以上回らない困った状態に苦しめられることとなった。現在ではサイレンサーを装着しても、マーダーV8エンジンは、10,500回転で480馬力を発生するまで開発は進んでいる。

 T2Mは、元々ドイツのシュツットガルトに拠点を構えていた。そのためポルシェとの繋がりも強かった。P2プロジェクトを推進するにあたって、サーキットに隣接する地域を探し求めた結果、T2Mは拠点をフランス南部のアレスに移すこととなった。わざわざ遠いフランス南部へファクトリーを移動した理由は、アレスの地方自治体からの協力が見込めることであるらしい。アレスには市が管理するポールメカニックサーキットが存在し、T2M童夢のテストも、そのサーキットで行われている。
 もしかしたら、フランス製のメガクローム(マーダー)エンジンとミシュランタイヤとの契約は、このような背景からマストな条件だったかもしれない。

 先週22日と23日アレスで行われたテストでは、ドイツ時代の繋がりから、ポルシェのファクトリードライバーで、アレス出身のロマ・デュマがテストドライバーを務めていた。
 エンジンは本来のポテンシャルを発揮するようになっても、先週のテストでもシフトチェンジの不具合が発生する等、未だたくさんの課題を抱えている。ミッション本体の問題でないため、今後早期に解決されることが予想されるが、やっとT2Mが最初の一歩を踏み出したことの証明と言える苦労だろう。
 既に発表されているように、2007年のルマンとLMSでT2M童夢には、ロビン・ロンジュシャルと日本の山岸大が乗り組む。3人目は今週末に発表されることとなるだろう。
  
5月27日
●2台目のバラジイプシロンザイテックがシェイクダウン    残された最後のパズルが埋まった *訂正

Photo:Zytek

 2週間前一躍ダークホースとして注目されるようになった、2台目のバラジイプシロンザイテックが、先週いよいよ活動を開始した。ソルトレイクシティでのALMS第5戦を闘ったエイドリアン・フェルナンデスは、23日早速イギリスのザイテックの工場を訪れて、シート合わせを行った。翌日黒沢治樹のシート合わせも行われ、25日バラジイプシロンが走らせるザイテック07Sはシルバーストーンへ持ち込まれ、ショートコース(通称ストーサーキット)で黒沢治樹によってシェイクダウンテストが行われた。

 ザイテック07S P2バージョンは、大活躍した04S LMP675カーと同じ3.4リットルV8を積み、定評ある電磁石を使ったパドルシフトシステムを組み合わせているため、トラブルが起きるはずはないが、2005年Jotaザイテック04Sで活躍した黒沢治樹によって、順調にテストは行われた。
 2台目のバラジイプシロンザイテックが活動を開始したため、2007年のスポーツカーレースにおける、残されていた最後のパズルのマスが埋められることとなった。
 3人目のドライバーとして、3年前ザイテック04Sを駆って、シルバーストーンでアウディからポールポジションを奪い取ったロビー・カーが加入することも決まった。

5月24日
●童夢勢は、ルマン本番前のテストを終了  S101.5がスパの非公式コースレコードを記録 *追記あり

Photo:Sports-Car Racing

 21日から23日にかけて、童夢勢が相次いでルマン前の最後のテストを行った。今年もRacing for Hollandと共に参戦する童夢自身は、22日スパ-フランコルシャンで、カスタマーチームであるT2Mは、フランス南部のアレスで22日から23日にかけてテストを行った。

 22日スパ-フランコルシャンに持ち込まれたS101.5/ジャド5.5は、これまで明かとなった問題点の対策によって、全身つぎはぎだらけのボディカウルが取り付けられていた。特に熱の問題の対策と、これまでの現象をシュミレーションするため、このようなボディを使うこととなったらしい。
 今年突然童夢を襲った熱の問題は、3月から行われたテストと2度のレース参戦によって、ほとんど対策を終了している。スパでは、その対策の確認と、特にヴァレンシアで発生したオルタネータートラブルについて、その時の現象をシュミレーションすることに力を注いでいた。
 温度が上がった場合、オルタネーターの電圧が下がる症状が確認されたため、犯人が熱であることは明かだが、大きな問題ではないと判断されたようだ。

 童夢がこのような寛大な判断を行うには理由があるようだ。今年の童夢は、ヤン・ラマースのRacing for Hollandとジョイントすることによって、スポーツカープログラムを推進している。必要となる予算のかなりの部分は童夢が支出して、直接レース活動に要する費用はRfHが負担している。しかし、決して充分と言える金額ではないため、徹底して予算を切りつめて活動を行っている。
 もちろん、ルマン本番で節約するのは難しい。逆にルマン前のレースは、ルマンのためのテストと言う側面が大きいことから、より節約したくなるのも、理解出来るだろう。
 そのため、モンツァとヴァレンシアで走ったS101.5には、去年S101Hbiに使われた様々なパーツが、そのまま使われている。決して安くないラジエターやヒートエクスチェンジャーも、そのまま流用されていた。もちろん、ルマン前に新品に交換することとなっているが、去年S101Hbiは、ルマンの決勝レースで、2日目の明け方アレックス・ユーンがユノディエールの第1シケインでクラッシュして3位からリタイヤしている。このクラッシュによって、ノーズの耐クラッシュ構造が完全に破壊されたほどであるから、ラジエターやヒートエクスチェンジャーにダメージが無かったとは考え難い。
 このような事情があったため、既に熱の問題はクリアしたと判断しているようだ。

 これまで熱の問題を抱えながら実戦に参加しなければならなかったため、むしろ、スパ-フランコルシャンでは、速さを追求するための開発の方が大きな目的となったようだ。
 ルマンを想定して、ローダウンフォースパッケージとしても、ミシュランタイヤの性能を徹底的に引き出すためのセッティングが追求される一方、より短い距離でブレーキング出来るように、ブレーキ性能を引き出すため、大きな冷却能力を与えることが目標となっている。
 つぎはぎだらけのボディの理由は、ブレーキを最も効果的に冷やす方法を追求していたためだった。

Photo:Sports-Car Racing

 今回のスパ-フランコルシャンテストは、スパのサーキットの改修が一段落して、最初に行われる大がかりなイベントで、朝9時から夕方6時まで、昼休みの12時から1時を除き、8時間に渡って様々なカテゴリーのクルマが、セッション毎に走行した。都合良くLMPカーが1台だけだったことから、RfH童夢は総てのセッションで走行することが許されたため、効果的なテストとなったようだ。
 ヤン・ラマースだけでなく、ヨルン・ブリークモーレンとデビッド・ハートのフルメンバーがテストに参加した。RfHにとって、今年の秘密兵器はヨルン・ブリークモーレンと言えるだろう。A1GPでの活躍から想像出来るかもしれないが、ヤン・ラマースと遜色ない速さで走ることが可能だ。
 スパ-フランコルシャンのコースが改修されているため、これまでのラップタイムとの比較は不可能だが、特にオールージュや長い下り区間では、大きく速さを増している。
 改修されたことによって、1秒程度ラップタイムは遅くなることが予想されているが、非公式ながら、しかもルマンパッケージで童夢S101.5が記録した2分6秒5は、従来のコースレコードより0.18秒速い。
  林みのる御大も一安心といったところだろうか?

 南フランスのアレスで行われたT2MのP2カーのテストは、T2Mにとって、最初の大規模なテストとなった。彼らにとっての課題は、S101.5本体と言うより、マーダーエンジンの開発を同時に進めることだろう。
 マーダーエンジンは、現在メガクロームの傘下にあって、大々的な開発が行われているらしい。アレスでもマーダーエンジンの開発が、大きなパーセンテージを占めたようだ。

*テストの詳細については、こちらをご覧ください。
 http://www.dome.co.jp/news/racereport/dt_338.html
 
5月20日
●FIAGT Rd3 Bucharest Qualifying FIAGTにとって10年ぶりのストリートレース マセラッティが1-2-3

Photo:FIAGT/DPPI

 1997年最初のFIAGTが行われた際、フィンランドのヘルシンキで公道レースが行われたが、その後10年間FIAGTは公道サーキットでレースを開催することはなかった。様々な改革を推進する中、しばしば、公道レースが提案されたが、これまで適当な場所が見つからなかったため、先送りされていた。今年新たにブカレストが公道コースでの開催を申し出た時、ステファン・ラテルは、公道レース復活を決心した。

 10年ぶり、しかも大都会で行われる公道レースであるため、ルマンがそうであるように、1日中公道を閉鎖することは出来ないことから、予選は午後5時45分から行われた。
 公道を閉鎖してコースを設ける場合、どうしてもストップ&ゴーのレイアウトとなり易い。そのため、俊敏な運動性よりも、大きなパワーと優れたトラクションがポイントとなるため、GT2クラスで、負け続けるポルシェ997GT3RSRが、常勝フェラーリF430GT2に勝つチャンスと考えられていた。
 予想通り、エマニュエル・コラールの操るNo.97BMSスクーデリアイタリアポルシェは、最初のアタックで1分18秒830のトップタイムを叩き出した。マルク・リーブとショーン・エドワード(共にポルシェ)が追いかけるが、エマニュエル・コラールは1分18秒175までタイムを上げて、ポールポジションを確定した。

Photo:FIAGT/DPPI

 続いてGT1クラスのタイムアタックが行われた。最初にリーダーとなったのは、フリープラクテスから速さを発揮しているアンソニー・クッペンのNo.5PKカースポートコルベットC5Rだった。PKカースポートの走らせる、もう1台のNo.5コルベットC6Rは、フリープラクティスでトップタイムを記録したが、混んだコース状況によって、満足なタイムアタックを行うことが出来ない。
 いつもと少々違ったのは、スクーデリアPlayteamのマセラッテイが、順調にタイムアップしたことで、No.11アンドレア・ベルトリーニがコルベットを抜いてリーダーに躍り出た。

 アストンマーティン勢は、性能調整の効果が出ているようで、No.36ジェタリアンスとNo.23BMSスクーデリアイタリアがポールポジション争いに加わっている。
 スクーデリアPlayteamの好調さは変わらず、セクタータイムでも2台のスクーデリアPlayteamマセラッティが次々とトップタイムを更新した。そして、アンドレア・ピエル・グイディの操るNo.12マセラッティMC12がポールポジションを獲得した。トップ3はマセラッティが独占した。

Photo:FIAGT/DPPI

Qualifying Result
1 GT1@No.12 Giannoccaro/Pier Guidi Maserati MC12 1分14秒214
2 GT1 No.11 Bertolini/Piccini Maserati MC12 GT1 1分14秒587
3 GT1 No.2 Ramos/Montanari Maserati MC12 1分14秒697
4 GT1 No.36 Lichtner-Hoyer/Lechner Aston Martin DBR9 1分15秒329
5 GT1 No.4 Kumpen/Longin Corvette C5R 1分15秒371
6 GT1 No.33 Wendlinger/Sharp Aston Martin DBR9 1分15秒469
7 GT1 No.1 Gollin/Biagi Maserati MC12 1分15秒493
8 GT1 No.8 Menten/Kox Lamborghini Murcielago 1分15秒512
9 GT1 No.7 Basseng/Mucke Lamborghini Murcielago 1分15秒601
10 GT1 No.5 Deletraz/Hezemans Corvette C6R 1分15秒754
11 GT1 No.23 Babini/Davies Aston Martin DBR9 1分15秒867
12 GT1 No.22 Toccacelo/Monfardini Aston Martin DBR9 1分16秒780
13 GT2@No.97 Collard/Malucelli Porsche 997GT3RSR 1分18秒175
14 GT2 No.99 MacHitski/Edwards Porsche 997GT3RSR 1分18秒474
15 GT2 No.63 Niarchos/Mansell Ferrari F430GT2 1分18秒684
16 GT2 No.74 Busnelli/Zani Porsche 997GT3RSR 1分18秒776
17 GT2 No.62 Mullen/Kirkaldy Ferrari F430GT2 1分19秒097
18 GT1 No.16 MacAri/Aucott Maserati MC12 1分19秒663
19 GT1 No.18 Cloet/Kuismanen Corvette C5R 1分19秒774
20 GT2 No.53 Cressoni/Rugolo Ferrari F430GT2 1分19秒832
21 G2@No.101 Leinders/Kuppens Gillet Vertigo 1分21秒082
22 GT1 No.15 Waaijenberg/Kutemann Maserati MC12 1分28秒272

5月19日
●ALMS Rd5 Utah Grand Prix Qualifying  P2カーが上位独占 アウディのP1カーは8番グリッド!
 
Photo:Sports-Car Racing

 3レース続けてストリートサーキットで闘った後、2ヶ月ぶりにALMSはパーマネントサーキットに戻ってきた。しかし、回り込んだコーナーが連続する、ソルトレイクシティのミラーモーターパークであるから、アウディの面々は、スコット・アタートンの老練な戦略を恨んでいたかもしれない。
 予想通り木曜日にフリープラクティスが始まると、ポルシェとアキュラのP2カーが快走した。特に2台のペンスキーポルシェは絶好調で、常にタイムボードの1-2位を占め続けた。

 もちろん、ペンスキーを中心として予選は行われた。最初にアタックしたアキュラ勢が2分20秒台だったのに対して、2台のペンスキーは、あっという間に20秒の壁を破って18秒台で一騎打ちを始めた。結局ティモ・ベルンハルトのドライブしたNo.7が、2分18秒128でポールポジションを獲得した。
 2台のペンスキーポルシェに続いて、3位にはエイドリアン・フェルナンデスのローラ/アキュラが入った。戻ってきたフェルナンデスは、ニック・ワースがボディを作り直したクラージュが、既にローラよりも優れていることを認めながらも、ピッチングの少なさ等ローラのメリットを述べた。

 驚いたことに、リナンド・カペロがドライブしたNo.1アウディR10は、ペンスキーポルシェの3秒遅れのタイムを記録することしか出来なかった。重い90度V12ディーゼルターボエンジンを積むため、R10はテイルヘビーで仕立て上げることとなった。しかし、テイルヘビーによる、基本的にアンダーステアな特性は、タイトコーナーが連続するコースで、大きな弱点となっている。現在のアウディは、ルマンでプジョーを破ることを最優先しているため、このような改良を行う余裕はないのかもしれない。

 P1クラスの性能調整によって875kgの車重で走行することが許されたクリエイションとローラは、インタースポーツが、トランスミッションのパーツの到着が遅れて、木曜日に走れなかった。オートコーンは、やっと走らせ方を学んでいる状況だ。ベロシティのローラは、結局やって来なかった。

 GT2クラスは復帰してきたトーマス・エンゲが、素晴らしい速さを発揮してポールポジションを獲得した。大きなリストリクターを与えられたパノスの活躍が期待されたが、スコット・マックスウェルを持ってしても、PTGパノスはフェラーリの3秒遅れのタイムを記録しただけだった。

1 P2@No.7 Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder  2:18.128
2 P2 No.6 Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 2:18.808
3 P2 No.15 Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 2:19.443
4 P2 No.20 Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 2:20.097
5 P2 No.9 Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 2:20.389
6 P2 No.26 AGR Bryan Herta/Marino Franchitti Acura/ARX-01a 2:20.648
7 P2 No.16 Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 2:20.720
8 P1@No.1 Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi AG/R10/TDI 2:21.043
9 P1 No.2 Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI 2:21.450
10 P2 No.8 BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 2:24.923
11 P1 No.37 Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 2:29.573
12 P1 No.12 AutoCon Michael Lewis/Bryan Willman Creation/CA06H/Judd 2:35.174
13 GT1@No.4 Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 2:35.697
14 GT1 No.3 Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 2:38.689
15 GT2@No.31 Petersen/WhightLightning Darren Turner/Tomas Enge/Michael Petersen Ferrari F430GT2 2:43.226
16 GT2 No.62 Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 2:43.541
17 GT2 No.45 Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 2:44.162
18 GT2 No.18 Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 2:45.382
19 GT2 No.71 Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 2:45.635
20 GT2 No.48 Corsa Rui Aguas/Steve Pruitt/Maurizio Mediani Ferrari F430GT2 2:45.896
21 GT2 No.44 Flying Lizard Darren Law/Seth Neiman Porsche 997GT3RSR 2:46.249
22 GT2 No.22 Panoz Team PTG Ross Smith/Scott Maxwell/Bryan Sellers Panoz Esperante GTLM 2:46.763
23 GT2 No.61 Petersen/WhightLightning Nic Jonsson/Eric Helary Ferrari F430GT2 2:46.769
24 GT2 No.73 Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR 2:47.091
25 GT2 No.54 Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR 2:47.825
26 GT2 No.21 Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 2:47.952


5月19日
●エイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹がバラジイプシロンザイテックでルマンへ

Photo:Sports-Car Racing

 昨年LMSのP2チャンピオンチームであるバラジイプシロンが、ルマンへ2台目のザイテックを用意していることが知られていた。もちろん、P2チャンピオンチームであるため、ACOも2台目のエントリーを承諾していた。しかし、これまで、ドライバーラインナップは公表されていなかった。
 そのため、あまり期待されてないエントリーとさえ考えられていた。

 ところが、昨日公表されたドライバーラインナップは、エイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹が上げられ、アキュラローラと同じLowe'sがスポンサーすることも明かとなった。
 今年ALMSを闘う3台のアキュラP2カーは、ザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムが使われており、機関銃のような素早く、しかも確実なシフトチェンジは、アキュラ勢にとって大きなアドバンテージとなっている。そのため、評判の悪い2台のクラージュでさえ、大きな信頼性を発揮している。
 ここら辺は縁となっての契約であるらしい。

 バラジイプシロンのP2ザイテックは、ヴァレンシアで予選4位に食い込む速さを披露している。エイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹の加入によって、一躍注目の存在となった。

 中野信治と黒沢治樹は、共に22日からのスネッタートンテストで、ニューマシンを初顔合わせする。しかし、もちろん、彼らは6月3日のルマン公式テストにも参加するため、JLMCを闘う無限クラージュは、第2戦富士1000kmでドライバーを2人共失うこととなってしまった。最終決定ではないが、どうやら、富士1000kmでは荒聖治と伊藤大輔が無限クラージュを操ることとなりそうだ。 

5月18日            
●IMSAはP1の性能調整を拡大 Creationのハイブリッドカーの車重を軽減

Photo:ALMS

 ALMSのP1クラスは、アウディのワークスチームが圧倒的な強さを発揮したため、今年シーズン開始の時点で、(特別に参加を認めたオートコーンのLMP675カーを除く)他の総てのP1カーは、ガソリンエンジンであることを理由として、であることを理由として、アウディより35kg軽い890kgの車重で走ることを認められた。しかし、クリエイションのCA06HハイブリッドカーとローラB06-10は、それでもアウディやP2カーと太刀打ち出来なかったため、IMSAは、今週末ソルトレイクシティで行われる第5戦から、これらのガソリンエンジンのP1カーに対して、さらに性能調整を加え、車重を875kgまで軽減されることとなった。

 第5戦ソルトレイクシティには、これまで特別に参加を認められていたオートコーンのLMP675のMGローラが姿を消して、オートコーンはクリエイションのCA06Hハイブリッドカーを走らせる。彼らも、最初のレースから875kgの車重で走ることが認められる。
 IMSAは、当初決められていたように、オートコーンのLMP675カーが居なくなったため、1年遅れでACOルールを施行出来たことを宣言している。しかし、もし、誰かがLMP675やLMP900を持ち込んだ場合、IMSAが参加を拒否するとは考えられない。

5月17日
●Creationに何が起こったのか? Creationが“屋根無し”のP1カーを発表 ドライバーは中野信冶

Photo:Creation Autosportif

 クリエイションは、昨年活躍したCA06Hハイブリッドカーをベースとして、P1レギュレーションに合わせて、モノコックを入れ替えたCA07Sを開発していた。実際の開発はキエロン・サルターのKWMに任されたが、モノコックを入れ替える際、“屋根付き”として、完全に違うモノコックを導入する予定だった。
 ところが、昨年11月に完成する予定だったCA07Sクーペは、いつの間にかニュースが途絶えてしまった。12月になると、2007年にCA07Sクーペを走らせることだけが、イラスト付きで公表された。

 ところが、その後何かがあったらしい。クリエイションが所有していた2台のCA06Hハイブリッドカーは次々と北アメリカに売られてしまった。最初の予定では、それらの1台を使って、クリエイション自身が、ALMSにエントリーすることとなっていたのにだ。

 3月になっても、CA07Sクーペは登場しなかった。それどころか、ポールリカール合同テスト、LMS第1戦モンツァ、第2戦ヴァレンシアが、いずれも、直前になってエントリーが取りやめられた。
 そして、5月15日ロンドンのニュージーランドハウスで発表されることだけが知らされた。
 5月15日ニュージーランドハウスで公開されたのは、何と“屋根無し”のP1カーだった。
 写真で明かなように、ニュージーランド出身のアーティストであるマーク・オルソンがカラーリングを担当して、その縁もあって、発表の場がニュージーランドハウスとなったらしい。

 “屋根無し”どころか、ほとんどザイテックと変わらないデザインであることが判るだろう。いったい何がクリエイションに起こったのだろうか? それとも、ニュージーランドハウスで公開されたマシンはモックアップであって、本当のシャシーは別にあるのだろうか?
 詳しい状況については、近日中にお知らせすることが出来るだろうが、22日にスネッタートンでシェイクダウンすることが予定されている。スネッタートンテストは、ザイテック勢との合同テストだが、もし、クリエイションが、ニュージーランドハウスと同じ“屋根無し”のマシンを持ち込むのであれば、何らかの大きな出来事(理由)があったことは間違いないだろう。

 明るい話題は、この派手なカラーリングの“屋根無し”のP1カーに中野信冶が乗り組むことだろう。昨年LMSで好走を披露した中野信冶の活躍に期待したい。
*Sports-Car Racing Vol.17を参照してください

5月9日
●IMSAがGT2にも性能調整を導入 パノスのリストリクターを拡大

Photo:Sports-Car Racing

 ALMSは基本的にACOレギュレーションで行われている。と言うより、世界統一ルールを目指して、ACOレギュレーションによって1999年にスタートしている。しかし、勝てないマシンやチームは撤退してしまい、P1やGT1クラスのように崩壊の危機に曝されているカテゴリーも現れている。
 そこで、新しいP1とP2レギュレーションを導入するため、2004年ACOが段階的にレギュレーションを変更し始めた時、IMSAは独自の判断で性能調整を行うことを決心した。

 今年P1カテゴリーが、事実上アウディのファクトリーチームだけとなってしまうと、IMSAは、少しだけテコ入れすれば、P1に対抗出来るP2のリストリクターを大きくして、アウディのP1カーと総合優勝争いを行うことを実現してしまった。ロングビーチやヒューストンのストリートサーキットにやって来た観客達に対して、IMSAは、表面上素晴らしいレースを見せることが出来ただろう。

 続いてGT2クラスに手をつけることを、シーズン前からIMSAは表明していた。しかし、4連勝中のフェラーリの性能を引き下げたり、フェラーリに4連敗したポルシェにテコ入れするのでない。地道に努力を続けているパノスの性能を引き上げることをIMSAは計画していた。

 今年のシーズン開幕前、既にIMSAはパノスのリストリクターを拡大しようとしていた。しかし、その頃、世界的にGT1クラスにおいて、コルベットやサリーンが搭載する2バルブエンジンに対するリストリクターが大き過ぎる、との意見が出されていたため、IMSAはパノスを底上げ出来なかった。
 今年パノスのGT2カーは、トム・ミルナーのPTGが走らせている。あのBMWで大活躍したPTGが走らせて、フェラーリやポルシェに太刀打ち出来ないのであれば、充分にテコ入れする理由となった。
 開幕から4レースを経過してもPTGパノスは、1度もトップ争いに参加出来ないだけでなく、常にリザルトの下の方に低迷したため、ついにIMSAはパノスへのテコ入れを決心した。

 ソルトレイクシティで行われる第5戦から、パノスエスペランテGTLMは29.9mm×2のリストリクターの使用が許される。もちろん、パワーが大きくなると、その分燃費も悪くなるが、世界的な2バルブレギュレーションへの非難をかわす意味もあって、5リットル小さい95リットル燃料タンクを義務つけている。

5月5日
●LMS Rd2 Silverstone Qualifying  性能調整後初レース コルベットがポールポジション

Photo:FIAGT/DPPI


 FIAGT第2戦として、今週末伝統のツーリストトロフィーがシルバーストーンで行われる。ツーリストトロフィーの最初の行事は、5月4日土曜日ロンドンのバッキンガム宮殿からシルバーストーンまで、ツーリストトロフィーを運ぶことから始まる。RAC会長のティム・キーオンとDr ステファン・ハマートンが乗り組んだジャガーXKRにツーリストトロフィーは積まれて、それを護衛する35台のスーパーカーに守られて、シルバーストーンまでスーパーカーの隊列はツアーを行った。

 中国のツーハイで行われた第1戦の結果、マセラッティMC12が有利であるとの判断から、性能調整を行うことがアナウンスされていた。同時にコルベット勢が好調であるため、これら以外のマシンの底上げを行うこととなった。その結果、総てのアストンマーティンDBR9は、昨年と同じ31.2mm×2のリストリクターの装着が許される一方、マセラッティMC12には25kgのウエイトハンデが課せられている。
 最初のフリープラクティスで、カール・ヴェントリンガーが乗り組むジェタリアンスチームのアストンマーティンDBR9がトップタイムを記録して、レギュレーション変更の効果が証明された。

 しかし、2回目のフリープラクティスではPKカースポーツの2台のコルベットが上位を独占して、アストンマーティン勢は3位と4位となってしまった。コルベットの優勢は変わらなくても、マセラッティMC12は確実にポテンシャルが低下しているようで、ミハエル・バルテルスに代わってヴィータフォンチームのマシンに乗り組んだミカ・サロは8位のラップタイムを記録するのが精一杯だった。

 GT3CupやGT4Cup等、今週末シルバーストーンはイベントが盛りだくさんであるため、FIAGTの予選は、夕方5時45分から15分づつ合計30分間だけ行われた。
 最初にGT2のタイムアタックが行われた。エマニュエル・コラールのポルシェ、そして、今回レースに復帰したナイジェル・マンセルが乗り組むフェラーリF430GT2等が次々とコースインした。ブランクを感じさせない速さでマンセルはコラールを追いかけた。しかし、ほんの僅か及ばず、最初のリーダーはコラールとなった。それをテック9のポルシェ997GT3RSRが上回って、5時間前に行われたLMSヴァレンシアに続いて、ポルシェがGT2クラスのポールポジションを獲得すると思われた。しかし、残り5分で、スクーデリアエコッセとAFコルセの2台のフェラーリF430GT2が破って、結局フェラーリがフロントローを獲得した。

Photo:FIAGT/DPPI

 続いて行われたGT1のタイムアタックは、マイク・ヘゼマンズのPKコルベット、マックス・ビアジのヴィータフォンマセラッティMC12、ジェイミー・デイビスのBMSスクーデリアイタリアアストンマーティンDBR9が、熾烈なタイム争いを展開した。コルベット優位で予選が行われた。後半に入ると、カール・ベントリンガーのジェタリアンスアストンマーティンDBR9がコルベットに挑戦して、次々とタイムを上げたが、0.241秒届かず、2位で予選を終了することとなった。
 多少コルベットが優位な傾向はあるかもしれない。しかし、少なくとも、コルベット、アストンマーティン、マセラッティの3車のポテンシャルが拮抗していることは間違いないだろう。

Qualifying Result
1@GT1 No.5 Deletraz/Hezemans Corvette C6R 1分43秒504
2 GT1 No.33 Wendlinger/Sharp Aston Martin DBR9 1分43秒745
3 GT1 No.1 Salo/Biagi Maserati MC12 1分44秒035
4 GT1 No.23 Babini/Davies Aston Martin DBR9 1分44秒313
5 GT1 No.11 Bertolini/Piccini Maserati MC12 GT1 1分44秒446
6 GT1 No.12 Giannoccaro/Pier Guidi Maserati MC12 1分44秒667
7 GT1 No.4 Kumpen/Longin Corvette C5R 1分44秒960
8 GT1 No.2 Ramos/Montanari Maserati MC12 1分45秒511
9 GT1 No.17 Johnson/Cocker Aston Martin DBR9 1分45秒568
10 GT1 No.22 Toccacelo/Monfardini Aston Martin DBR9 1分45秒616
11 GT1 No.8 Menten/Kox Lamborghini Murcielago 1分45秒625
12 GT1 No.36 Lichtner-Hoyer/Lechner Aston Martin DBR9 1分45秒927
13 GT1 No.19 Hines/Peter Corvette C6R 1分46秒064
14 GT1 No.7 Basseng/Mucke Lamborghini Murcielago 1分46秒373
15@GT2 No.62 Mullen/Kirkaldy Ferrari F430GT2 1分49秒052
16 GT2 No.51 Bruni/Melo Ferrari F430GT2 1分49秒419
17@GT1 No.18 Cloet/Kuismanen Corvette C5R 1分49秒625 *Citation Cup
18 GT2 No.99 MacHitski/Edwards Porsche 997GT3RSR 1分49秒857
19 GT2 No.97 Collard/Malucelli Porsche 997GT3RSR 1分49秒964
20 GT2 No.52 Ruberti/Pasini Ferrari F430GT2 1分50秒004
21 GT2 No.50 Vilander/Muller Ferrari F430GT2 1分50秒100
22 GT2 No.74 Busnelli/Zani Porsche 997GT3RSR 1分50秒319
23 GT1 No.16 MacAri/Aucott Maserati MC12 1分50秒694
24 GT2 No.53 Cressoni/Rugolo Ferrari F430GT2 1分50秒775
25 GT2 No.63 Niarchos/Mansell Ferrari F430GT2 1分51秒480
26 GT1 No.21 Kessel/Cattori Ferrari F575M 1分51秒610
27 GT1 No.14 Jakubowski/Labhardt Ferrari 550 GTS 1分52秒071
28@G2 No.101 Leinders/Kuppens Gillet Vertigo 1分53秒038
29 GT1 No.15 Waaijenberg/Kutemann Maserati MC12 1分54秒254
30 G2 No.102 Carcon/Stepec Viper GTSR 2分00秒450


5月5日
●LMS Rd2 Valencia Qualifying  ザイテック3位 P2カーが上位に進出  *追記有り

Photo:Peugeot-Media

 LMS第2戦が行われるヴァレンシアは、ピットの数が少なく、コースレイアウトが曲がりくねっていることから、出走台数が46台に制限している。モンツァに間に合わなかったスイススピリットのローラ/アウディやアレーナのP1ザイテック、T2MのP2童夢がデビューするため、このローカルルールの適応を受ける。そのため、3週間前に行われたモンツァの成績によって、GT2カーの何台かが足切りされている。

 このようなローカルルールが存在することでも判るように、タイトコーナーが連続するヴァレンシアは、大きな空力性能より、優れたメカニカルグリップがポイントとなるコースだ。ちょうど3レース連続でストリートコースで行われたALMSが、P2カーに席巻されたのと同様の状況となっている。
 80馬力のアドバンテージを持つプジョーが速いのは当然だが、軽量コンパクトな4リットルV8を積むザイテックは、予想通りヴァレンシアで素晴らしい速さを披露した。アレーナザイテックは、プジョーの1秒遅れで3位グリッドを獲得した。もちろん、バラジイプシロンが走らせるP2ザイテックは、ほとんどのP1カーを出し抜いて、総合4位のタイムを叩き出した。6位にもRMLのP2ローラが入った。

 モンツァで2台のプジョーの間に割って入って2位を獲得したペスカロロは、No.16がRMLローラの前の5番グリッドを獲得した。同じモノコックを使いながら、昨年バージョンの重いミッションを使うロールセンターも、巧妙にセッティングをまとめて9位のタイムを記録している。
 しかし、No.16のペスカロロS01は、金曜日にクラッシュして、メカニックが徹夜で修理して土曜日の走行に間に合わせている。その甲斐あって、上位グリッドを獲得した。

 逆にハイブリッドカーをベースとしてP1モノコックを実現した童夢S101.5は、高い重心によって、ヴァレンシアのテクニカルコースに苦しめられている。
 RfHが走らせるP1童夢の場合、大きな5.5リットルジャドV10を積むことも、不振の理由かもしれない。しかし、モンツァで苦しめられた熱の問題は、たった3週間の間に解決することに成功したようで、やっと細かいセッティングを試みることが出来るようになっている。
 童夢を巡る話題としては、T2Mが走らせるP2バージョンのS101.5がデビューした。しかし、搭載するマーダーエンジンが不調で、6,000回転以上で運転出来ない状況となっている。

Photo:LMS-Media

 話題のスイススピリットのローラ/アウディも、ヴァレンシアでデビューした。しかし、2台のP2カーの後塵を拝することとなった。2週間前に走り始めたマシンに多くは期待できないが、モンツァで速さを見せたシュロースローラがそうであるように、アウディ云々と言うより、ローラのP1カーも、ヴァレンシアに向いたシャシーではないのかもしれない。

 GT1は、ORECAサリーンがポールポジションを獲得した。GT2では、フェラーリを破って、100kg重いポルシェがポールポジションを獲得した。

Qualifying Result
1@P1 No.7 TeamPeugeotTotal  GENE Marc/MINASSIAN Nicolas  Peugeot 908 Hdi FAP 1分23秒489
2 P1 No.8 TeamPeugeotTotal  LAMY Pedro/SARRAZIN Stephane  Peugeot 908 Hdi FAP 1分23秒930
3 P1 No.10 ArenaMotorsport  JOHANSSON Stefan/SHIMODA Hayanari Zytek 07S/Zytek 1分24秒594
4@P2 No.32 BaraziEpsilon  BARAZI Juan/VERGERS Michael/OJJEH Karim  Zytek 07S/Zytek 1分25秒606
5 P1 No.16 PescaroloSport  BOULLION Jean-Christophe/DUMAS Romain  PescaroloS01/Judd 1分25秒617
6 P2 No.25 RML ERDOS Thomas/NEWTON Mike MG Lola EX264(B05-40)/AER 1分25秒946
7 P1 No.15 CharouzRacing  CHAROUZ Jan/MUCKE Stefan/YOONG A Lola B07-17/Judd 1分26秒084
8 P1 No.5 SwissSpirit  DELETRAZ Jean-Denis/FASSLER Marcel/ALEXANDER Iradj Lola B07-10/Audi 1分26秒334
9 P1 No.18 RollcentreRacing BARBOSA Joao/HALL Stuart/SHORT Martin PescaroloS01/Judd 1分26秒521
10 P2 No.40 Quifel ASM Team  AMARAL Miguel/DE CASTRO Miguel Angel/BURGENO Angel Lola B05-40/AER 1分26秒721
11 P2 No.21 BruichladdichRadical GREAVES Tim/MOSELEY Stuart/LIDDELL Robin Radical SR9/AER 1分26秒920
12 P1 No.12 CourageCompetition  FREI Alexander/COCHET Jonathan/BESSON Bruno Courage LC70/AER 1分26秒961
13 P2 No.31 Binnie Motorsports BINNIE Bill/TIMPANY Allen/BUNCOMBE Chris Lola B05-40/Zytek 1分27秒178
14 P1 No.17 Pescarolo Sport  PRIMAT Harold/TINSEAU Christophe PescaroloS01/Judd 1分27秒459 
15 P2 No.24 Noel Del Bello Racing  PETROV Vitaly/GOUNON Jean-Marc Courage LC75/AER 1分27秒559
16 P1 No.14 Racing for Holland  LAMMERS Jan/HART David/BLEEKEMOLEN Jeroen 童夢S101.5/Judd 1分27秒654
17 P2 No.44 Kruse Motorsport  BURGESS Tony/DE POURTALES Jean/SIEDLER Norbert PescaroloS01/Judd 1分27秒947
18 P2 No.45 Embassy Racing  HUGHES Warren/CUNNINGHAM Neil Radical SR9/Judd 1分28秒060
19 P1 No.19 Chamberlain Synergy  EVANS Gareth/BERRIDGE Bob/OWEN Peter Lola B06-10/AER 1分28秒074
20 P2 No.35 Saulnier Racing  NICOLET Jacques/FILHOL Alain/JOUANNY Bruce Courage LC75/AER 1分28秒136
21 P2 No.27 Horag Racing  LIENHARD Fredy/THEYS Didier/VAN DE POELE Eric Lola B05-40/Judd 1分28秒843
22 P2 No.20 Pierre Bruneau  ROSTAN Marc/BRUNEAU Pierre/PULLAN Simon Pilbeam MP93/Judd 1分31秒224
23@GT1 No.55 Team Oreca  ORTELLI Stephane/AYARI Soheil Saleen S7R 1分31秒953
24 GT1 No.61 Racing Box  PERAZZINI Pier Giuseppe/CIOCI Marco/TAVANO Salvatore Saleen S7R 1分32秒654
25 GT1 No.72 Alphand Aventures  ALPHAND Luc/POLICAND Jerome/GOUESLARD Patrice Corvette C6R 1分32秒943
26 GT1 No.59 Team Modena  GARCIA Antonio/HALLIDAY Liz/FITTIPALDI Christian AstonMartin DBR9 1分33秒391
27 GT1 No.73 Alphand Aventures  BLANCHEMAIN Jean-Luc/DUMEZ Sebastien/ANDRE Didier Corvette C5R 1分33秒586
28 GT1 No.50 AMR Larbre  BOUCHUT Christophe/GARDEL Gabriel/GOLLIN Fabrizio AstonMartin DBR9 1分33秒885
29 GT1 No.51 AMR Larbre  FISKEN Gregor/ZACCHIA Steve/FRANCHI Gregory AstonMartin DBR9 1分34秒892
30@GT2 No.76 Imsa Performance  NARAC Raymond/LIETZ Richard Porsche 997GT3RSR 1分36秒704
31 GT2 No.90 Farnbacher Racing  WERNER Dirck/EHRET Pierre/NIELSEN Lars Erik Porsche 997GT3RSR 1分36秒848
32 GT2 No.77 Felbermayr-Proton  LIEB Marc/POMPIDOU Xavier Porsche 997GT3RSR 1分37秒305
33 GT2 No.96 Virgo Motorsport  BELL Robert/SIMONSEN Allan Ferrari F430GT2 1分37秒708
34 GT2 No.78 Scuderia Villorba  CAFFI Alex/ZARDO Denny Ferrari F430GT2 1分37秒865
35 GT2 No.97 GPC Sport  DE SIMONE Fabrizio/HERNANDEZ S/BONETTI Alessandro Ferrari F430GT2 1分37秒926
36 GT2 No.92 Thierry Perrier  HESNAULT Philippe/SMITH Nigel/BELTOISE Anthony Porsche 997 GT3RSR 1分37秒968
37 GT2 No.98 Ice Pol Racing Team  LAMBERT Yves/LEFORT Christian/PALTTALA Markus Ferrari F430GT2 1分38秒129
38 GT2 No.81 Team LNT  KIMBER-SMITH Tom/WATTS Danny Panoz Esperante GTLM 1分38秒514
39 GT2 No.88 Felbermayr-Proton  RIED Christian/FELBERMAYR Horst Jr/GRUBER Thomas Porsche 997GT3RSR 1分38秒537
40 GT2 No.85 Spyker Squadron  JANIS Jarek/VAN ES Sander Spyker C8 Spyder GT2R 1分38秒549
41 GT2 No.94 Speedy Racing Team  BELICCHI Andrea/CHIESA Andrea/KANE Jonny Spyker C8 Spyder GT2R 1分38秒761
42 GT2 No.83 GPC Sport  DRUDI Luca/ROSA Gabrio/MOWLEM Johnny Ferrari F430GT2 1分38秒829
43 GT2 No.82 Team LNT  DEAN Richard/MILNER Tom Panoz Esperante GTLM 1分39秒804
44 GT2 No.84 Chad Peninsula Panoz  HARTSHORNE John/McINERNEY Sean/McINERNEY Michael Panoz Esperante GTLM 1分42秒164
45 GT2 No.79 Felbermayr-Proton  FELBERMAYR Horst Sr/RIED Gerold Porsche 996 GT3RSR 1分43秒508
46 GT2 No.99 JMB Racing  BASSO Maurice/McCORMICK Bo Ferrari F430GT2 1分43秒770
47 P2 No.29 T2M Motorsport  LONGECHAL Robin/山岸大 童夢S101.5/Mader 1分49秒987



4月30日
●4月30日現在の2007年ルマンエントリーリスト

Illustration:ACO

 2月27日にACOが今年のルマンのエントリーリストを公表した後、予想通り幾つかのチームが脱落したため、エントリーリストは変更されている。さすがにP1カテゴリーには変更はないが、P2では、ロールセンターがP1に集中するため、エントリーを諦めたことから、GT1クラスのPSIコルベットのエントリーが認められた。GT2クラスでは、ALMSでの熾烈な闘いに集中するため、ピーターセンとホワイトライトニングの連合軍がキャンセルした結果、同じフェラーリF430GT2を走らせるGTCが入り込んだ。
 エントリーを認められたチームの中にも、シェイクダウンを行っていないチームも存在することから、まだ、変更される可能性も残されている。困ったことに、リザースリストに残されているのはGT2カーだけであるため、P1やP2チームが脱落しないことをACOは祈っていることろう。
 また、2月27日に発表された時、それぞれのゼッケンは、暫定的に調整したものだったが、その後キチント各のチーム間での調整が行われた結果、幾つかの変更が行われている。

Le Mans Entry List *4/30現在

LMP1
1 AUDI SPORT NORTH AMERICA DEU AUDI R10 5499T
2 AUDI SPORT NORTH AMERICA DEU AUDI R10 5499T
3 AUDI SPORT TEAM JOEST DEU AUDI R10 5499T
5 SWISS SPIRIT CHE LOLA AUDI B07-10 3596T
7 TEAM PEUGEOT TOTAL FRA PEUGEOT 908 5500T
8 TEAM PEUGEOT TOTAL FRA PEUGEOT 908 5500T
9 CREATION AUTOSPORTIF LTD GBR CREATION JUDD CA07 5496A
10 ARENA INTERNATIONAL MOTORSPORT GBR ZYTEK 07S 3997A
12 COURAGE COMPETITION FRA COURAGE AER LC70 3596T
13 COURAGE COMPETITION FRA COURAGE AER LC70 3596T
14 RACING FOR HOLLAND BV NLD 童夢JUDD S101.5 5496A
15 CHAROUZ RACING SYSTEM CZE LOLA JUDD B07-17 5496A
16 PESCAROLO SPORT FRA PESCAROLO JUDD 5496A
17 PESCAROLO SPORT FRA PESCAROLO JUDD 5496A
18 ROLLCENTRE RACING GBR PESCAROLO JUDD 5496A
19 CHAMBERLAIN - SYNERGY MOTORSPORT GBR LOLA AER B06-10 3596T

LMP2
20 PIERRE BRUNEAU FRA PILBEAM JUDD MP93 3397A
24 BINNIE MOTORSPORTS USA LOLA ZYTEK B05-40 3396A
25 RML GBR LOLA AER B05-40 1995T
28 TEAM BRUICHLADDICH RADICAL GBR RADICAL AER SR9 1995T
29 T2M MOTORSPORT JPN 童夢MADER S101.5 3393A
31 NOEL DEL BELLO FRA COURAGE - AER LC75 1995A
32 BARAZI EPSILON FRA ZYTEK 07S/2 3396A
33 BARAZI EPSILON FRA ZYTEK 07S/2 3396A
35 SAULNIER RACING ESP COURAGE AER LC75 1995T
40 QUIFEL - ASM TEAM PRT LOLA AER B05-40 1995T
44 KRUSE MOTORSPORT DEU PESCAROLO JUDD 3395A
 *22 ROLLCENTRE RACING GBR RADICAL JUDD 3395A  *4/2out

GT1
006 A.M.R. LARBRE COMPETITION FRA ASTON MARTIN DBR9 5993A
007 ASTON MARTIN RACING GBR ASTON MARTIN DBR9 5993A
008 A.M.R. LARBRE COMPETITION FRA ASTON MARTIN DBR9 5993A
009 ASTON MARTIN RACING GBR ASTON MARTIN DBR9 5993A
53 JLOC ISAO NORITAKE JPN LAMBORGHINI MURCIELAGO 5990A
54 TEAM ORECA FRA SALEEN S7R 6998A
55 TEAM ORECA FRA SALEEN S7R 6998A
59 TEAM MODENA GBR ASTON MARTIN DBR9 5993A
63 CORVETTE RACING USA CORVETTE C6.R 6993A
64 CORVETTE RACING USA CORVETTE C6.R 6993A
67 CONVERS MENX TEAM RUS FERRARI 550 MARANELLO 5853A
*70 R1 PSI EXPERIENCE BEL CORVETTE C6-R 6993A *4/2in
72 LUC ALPHAND AVENTURES FRA CORVETTE C6.R 6993A
73 LUC ALPHAND AVENTURES FRA CORVETTE C5-R 6993A
100 ASTON MARTIN RACING BMS ITA ASTON MARTIN DBR9 5993A

GT2
71 SEIKEL MOTORSPORT DEU PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A
76 IMSA PERFORMANCE MATMUT FRA PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A
78 AF CORSE ITA FERRARI F 430 GT 3996A
80 FLYING LIZARD MOTORSPORT USA PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A
81 TEAM LNT GBR PANOZ ESPERANTE 4600A
82 TEAM LNT GBR PANOZ ESPERANTE 4600A
*83 R2 GPC SPORT SRL ITA FERRARI F 430 GT 3996A *4/12in
85 SPYKER SQUADRON b.v. NLD SPYKER C8 SPYDER 3782A
86 SPYKER SQUADRON b.v. NLD SPYKER C8 SPYDER 3782A
87 SCUDERIA ECOSSE GBR FERRARI F 430 GT 3996A
93 AUTORLANDO SPORT ITA PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A
97 RISI COMPETIZIONE USA FERRARI F 430 GT 3996A
99 RISI COMPETIZIONE USA FERRARI F 430 GT 3996A
 *90 WHITE LIGHTNING RACING USA FERRARI F 430 GT 3996A *4/12out

Reserves
98 R1 ICE POL RACING TEAM BEL FERRARI F 430 GT 3996A
77 R2 TEAM FELBERMAYR-PROTON DEU PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A
92 R3 THIERRY PERRIER FRA PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A
84 R4 CHAD PENINSULA PANOZ GBR PANOZ ESPERANTE 4600A
86 R5 IMSA PERFORMANCE MATMUT FRA PORSCHE 911 GT3 RSR (997) 3795A

4月29日
●ポールリカール24時間テスト  プジョー、アストンマーティン、アレーナザイテックが参加

Photo:Peugeot-Media

 プジョースポールは、4月26日から28日にポールリカールで24時間テストを予定していた。この時期は、多くのチームが、集中テストを行う場所を求めているため、早い段階からミシュランが間に入って、他のチームに対して、合同テストが可能なことをアナウンスしていた。RfH童夢やスイススピリットアウディ等も当初参加を予定していた。しかし、RfH童夢はエンジンのローテーションが間に合わなかったため諦めて、スイススピリットアウディは、アウディのメンテナンスが間に合わないため、参加を諦めて25日にレデノンでテストを行った。結局26日から28日にポールリカールへやってきたのは、プジョースポール、アレーナザイテック、アストンマーティンレーシングだった。

 アレーナは、遅れていたザイテック07S P1カーのシェイクダウンテストを行った。今週LMS第2戦ヴァレンシアでデビューすることを考えると、駆け込みセーフと言うべきだろう。アレーナがポールリカールで行ったのは、本当のシェイクダウンテストで、終了後そのままヴァレンシアに出発した。

 アストンマーティンレーシングは、プロドライブによるルマンチームが、ルマンを想定した24時間テストを行った。ジョニー・ハーバート、リカルド・リデル、ダレン・ターナー、デビッド・ブラバム、キャスパー・エルガド(元デンブラエビス)が乗り組んで、耐久テストが行われた。
 エンデュランスインフォのクロード・フーボルトからの連絡によると、アストンマーティンレーシングは、ドライバーのコミュニケーションを含めた、純粋な24時間テストを行い、マシンの改良についてのテストは、何も行わなかったと言う。

 プジョーにとって3回目の耐久テストだが、3月末のテストと同じように、テスト専用と考えられる908の3号車を持ち込んできた。これまでと違って、プジョースポールは初めて本格的な耐久テストを行っている。そして、15時間!の連続走行を行ったことが確認されている。
 しかし、その後、ピットのシャッターが閉められて、長い間908は姿を現さなかった。次に908が姿を現すまで、何処を修理して、何を交換したのかは不明だが、非公式ながら、プジョースポールは、エンジンの何かが壊れたことを認めている。
 既に30時間テストを行っているアウディには適わないものの、プジョースポールが、大きな進歩を遂げていることは間違いないだろう。

4月29日
●アストンマーティンのリストリクターが大きくなる

Photo:FIAGT/DPPI

 今年ACOに合わせるカタチで、FIAGTでもリストリクターのサイズの見直しが行われ、GT1とGT2の総てのマシンが、ほぼ1段階小さいリストリクターを装着することとなった。排気量6リットルのNAエンジンを搭載するアストンマーティンDBR9は、1,100kgから1,049kgの車重を選択した場合、それまで31.2mm×2だったリストリクターは30.4mm×2となった。

 このレギュレーションが施行された際、ステファン・ラテルは、性能調整を行う意向があることを明かとしていた。既に2004年から、本来参加できないハズのマセラッティMC12を走らせるため、ラテルは性能調整を行っていた。しかし、2005年と2006年にFIAGTチャンピオンを獲得したのは、ヴィータフォンの走らせたマセラッティMC12だった。そのため、性能調整は当然行われるべきと思われていた。

 当初マセラッッティMC12の車重やリストリクターの大きさが見直されると思われていたが、ALMSやLMSを見ても判るように、コルベットやサリーンが積む2バルブエンジンに対するリストリクターが大き過ぎるとの意見が多数寄せられたことから、それ以外のGT1カーの方を変更することとなった。

 それ以外のGT1カーは、アストンマーティンDBR9、CAREフェラーリ550GTS、ランボルギーニムリシエラゴが存在しているが、CAREフェラーリ550GTSを走らせていたチームの多くはアストンマーティンDBR9に買い換えている他、開幕戦ツーハイでランボルギーニは優勝していたことから、取り敢えずアストンマーティンDBR9のリストリクターだけが見直されることとなった。今週末シルバーストーンでFIAGT第2戦として行われる、伝統のRACツーリストトロフィーから、参加する5台のアストンマーティンDBR9は、昨年と同じ31.2mm×2のリストリクターの使用を許されると考えられている。

 しかし、新しいレギュレーションは正式発表された訳ではない。先週エストリルでピレリがテストした際、BMSスクーデリアイタリアが、口を滑らせたため、明かとなってしまった。
 既に、BMSスクーデリアイタリアがエストリルに持ち込んだ2台のアストンマーティンDBR9には、31.2mm×2のリストリクターが装着されていた。
 水曜日にRACツーリストトロフィーのイベントが、ロンドンのバッキンガム宮殿で行われる前、あるいは、その際、新しいレギュレーションは発表され、木曜日の車検で確認されることとなるだろう。

4月27日
●KUMHOの挑戦

Photo:ALMS

 昨年まで、控えめにALMSのP2カテゴリーにタイヤを供給していたクンホタイヤは、同じP2カテゴリーながら、今年インタースポーツとBKモータースポーツと契約して、ステップアップを目論んだ。
 最初の計画では、インタースポーツは、ローラB05-40/AERを、BKモータースポーツはローラB07/40/マツダをP2カテゴリーで走らせる予定だった。

 ところが、2007年のALMSのP2カテゴリーは、アキュラが強力にバックアップする3つのレーシングチームが登場している。しかも、ポルシェは強力なRSスパイダーを登場させて、それを、事実上のセミワークスチームであるペンスキーと、プライベートチームながら強力なダイソンが走らせる。
 そのため、アキュラとポルシェの間で、熾烈な闘いが繰り広げられることは明かだった。
 他のP2カテゴリーのレーシングチームは、辛い闘いを強いられることとなった。

 BKモータースポーツは、北米マツダのサポートを受けている。北米マツダは、ロータリーに代えて、新たにAERと共に4気筒ターボエンジンを開発したばかりで、やっとスタートラインに着いた状態だった。彼らは、辛い闘いを強いられたとしても、P2カテゴリーを離れるつもりはなかった。
 完全なプライベートチームであるインタースポーツには、そのような柵はなかった。1月のセブリングテストの際、IMSAの指導によって、(IMSAがプライベートチームに与える予定だった)1段階大きなリストリクターを装着してインタースポーツは参加した。しかし、それでも、ポルシェやアキュラに対抗することは、完全に不可能だった。そこでインタースポーツは、アウディのワークスチームを除くと、弱々しいプライベートチームが居るだけのP1カテゴリー転向することを決心した。
 そうして、売り込んでいたクリエイションから、大急ぎでCA-06Hハイブリッドカーを買い入れ、セブリングのスターティンググリッドに並べることとなった。

 しかし、クンホはP2用の幅14インチのタイヤしかなかったため、そこで、セブリングでインタースポーツのクリエイションP1カーが履いたタイヤはP2用タイヤだった。クンホは、慌てて幅16インチのP1タイヤをStピータースバーグに持ち込んだ。しかし、誰が考えても判るだろうが、短時間にクンホに出来ることは、幅が2インチ広いタイヤを作り上げたことだけだった。そのため、インタースポーツのクリエイションP1カーは、プロトタイプクラスの最後尾を走らなければならなかった。

 レーシングチームの事情に振り回されたクンホは、大きな迷惑だったかもしれない。しかし、彼らは、既に2種類の構造のタイヤを作り上げており、先週行われた第4戦ヒューストンには、新しいサイドウォールと新しいコンパウンドのタイヤを持ち込んでいる。

Photo:ALMS

 P2に留まったBKモータースポーツは、最初AER製の4気筒ターボエンジンの開発を優先しなければならなかったが、第3戦ロングビーチでは、大幅に速さを増して、電気系のトラブルがなければ、アキュラとポルシェに割って入ることも不可能ではなかった。

 これまで連戦が続いたため、テストを行うことが出来なかった。しかし、第5戦ソルトレイクシティまで、4週間あることから、クンホは、5月3日ミッドオハイオで集中テストを行うこととなった。

 クンホのマネージャーであるルディ・コンソレーションによると、「インタースポーツとBKモータースポーツは、それぞれ、違う方向の開発を要求している。そのため、我々はミッドオハイオに6〜8種類の違う構造とコンパウンドのタイヤを持ち込む予定だ。もちろん、基本的な開発だけでなく、ソルテレイクシティで使うタイヤの選定も行う予定」と明かにした。
 インタースポーツのクリント・フィールドは、「より柔らかいコンパウンドを我々は求めている。開発が始まったばかりで、クンホは日々進歩しているため、我々が速さを発揮する日は近い」と語っている。

 昨年限りでピレリが撤退したため、ALMSでタイヤを供給しているタイヤメーカーはミシュラン、ヨコハマ、そしてクンホだけとなってしまった。クンホのポテンシャルが向上することは、パノスやIMSAだけでなく、ライバルメーカーにとっても、歓迎すべき出来事だろう。

4月25日
●Citation GT1 Cupに6台がエントリー

Photo:FIAGT/DPPI
  中国のツーハイで行われたFIAGT開幕戦では、Citation GT1 Cupが設けられなかったことから、JMBが走らせた2台のマセラッティMC12は、苦戦することとなった。写真はモンツァで行われたテストディの時のもので、プロドライバーが走らせるGT2クラスのポルシェ997GT3RSRの激しい攻撃を受けている。

 来週行われるFIAGT第2戦シルバーストーンでは、FIAGT3CupやGT4Cupと共に、今年からアマチュア向けのカテゴリーとして設けられたCitation Cupも開催される。
 少々Citation Cupについておさらいすると、FIAGTと言っても、エントリーの少なくない割合で、アマチュアドライバーが乗り組んでいる。裕福なアマチュアドライバーが持ち込む資金によって運営されているレーシングチームも少なくないだろう。ところが、これらのアマチュアドライバー達は、プロドライバー達と競い合って勝てる訳ではない。そこで、これらの裕福なアマチュアドライバー達を対象として構想されたカテゴリーがCitation Cupだった。

 同時にアストンマーティンDBR9やコルベットC6Rの登場によって、これまで中心だったCAREフェラーリ550GTSやフェラーリ575M、コルベットC5R等がたくさん余るようになったことから、これらを活用する方法が求められていたことから、Citation CupはGT1カーで行われることとなった。
*2月6日Newsを参照して下さい

 最初ステファン・ラテルは、ほんの少し古くなったGT1カーのカテゴリーとしてCitation GT1 Cupを構想したが、結局アマチュアドライバーが乗り組むことを条件として、最新のGT1カーの参加も認めた。そのため、JMBレーシングは2台のマセラッティMC12での参加を申請した。
 ライリー&スコットで活躍したソリューションFは、CAREフェラーリ550GTSを走らせる。スイスのカッセルレーシングは、フェラーリ575Mでの参加を決心した。
 ベルギーのチームSRTはコルベットC5Rでの参加を登録した。そしてフランスのレッドレーシンングは、クライスラーヴァイパーGTS-Rを走らせる。
 取り敢えず、これらの6台のGT1カーがシルバーストーンにやって来る。

 15年前パトリック・ペーターとユルゲン・バースと共にBPRシリーズを推進したステファン・ラテルにとって、当時パトリック・ペーターが構想した通りのGTレースがCitation GT1 Cupと言えるだろう。

4月25日
●Lola/Audiシェイクダウン 2007年のダークホースか?

Photo:John Brooks
 昨年ダイソンが走らせたB06-10と似ているが、詳しく観察すると、サイドボディ後方のエアアウトレットの形状がまったく違うことに気づく。ここら辺にアウディが関わっていることは間違いないだろう。

 22日シルバーストーンショートコース(通称ストーサーキット)で、今年スイススピリットが走らせるローラB07-10/アウディのシェイクダウンテストが行われた。マルセル・ファスラーのドライブによって、1度のトラブルもなく75周を周回した。

 スイススピリットのローラ/アウディは、数年前までポルシェ962Cや993GT2を走らせていたフレッド・スタドラーが、レースマネージメントを担当して、トラックエンジニアとしてヤーン・カザボーン、もちろん、(B05シリーズをデザインした)ローラのジュリアン・ソールもエンジニアリングを担当する。つまり、ローラにとっても、今年最も大きな期待のプロジェクトと考えられている。

 既に掲載したように、このプロジェクトは、アウディスポーツが密接に関わっている。R8と同じ3.6リットルV8ターボエンジンの搭載について、エンジンのフィッティングだけでなく、冷熱関係も含めて、アウディスポーツが関わっている。アウディスポーツにおいて、トーマス・マーダーがローラプロジェクトを担当しており、ボッシュのエンジニアと共に、シルバーストーンにも姿を見せている。

 当初、先週モンツァで開幕したLMS全戦への参加を目論んでいたが、モンツァをパスした理由も、確実に走らせることを目指したことにあるようだ。現在南フランスのレデノン(?)で2日間にわたってテストを行っており、速さを求めた、本格的なテストが行われているのだろう。

 近々、ジョン・ブルックスからの詳細なレポートと写真を掲載する予定。

4月21日
●ALMS Rd4 Houston Grand Prix Qualifying report
 ポールポジションはデビッド・ブラバムのハイクロフトアキュラ
 
Photo:ALMS

 先週のロングビーチに続いて、ALMSは3レース続けてストリートサーキットでレースが行われる。しかも、カリフォルニアから東に3,000km離れたテキサスのヒューストンにALMSはやって来た。しかし、ロングビーチと違って、ヒューストンのストリートサーキットは、極端にスピードを落とさなければ、アウディのP1がクリア出来ないタイトコーナーは存在しない。そのため、150kg軽いP2に有利であることは変わらないものの、アウディにもチャンスがあるレースと考えられている。

 Stピータースバーグやロングビーチ同様、公道を使うことから、事前にテストが行えないだけでなく、予選前、たった1度だけ行われるフリープラクティスでセッティングをまとめなければならない。
 老練なアウディスポーツのエンジニアの努力によって、アラン・マクニッシュは、巧妙にNo.1 AUDI R10TDIのセッティングをまとめ上げた。しかし、狭いストリートサーキット故、不慮のアクシデントが予想されることから、予選が開始されると、真っ先にコースに飛び出していった。

 マクニッシュの予想は的中した。予選開始早々、ブッチ・ライツィンガーの操るNo.16ダイソンポルシェがターン3でスピンして、コースを半分塞いでしまった。幸い、ダイソンポルシェは直ぐに立ち直って復帰することが出来た。そのため、タイムアタックを継続したマクニッシュは、その直後1分3秒156を叩き出して、最初のリーダーとなった。

 しばらく、誰もマクニッシュを上回ることは出来なかった。有利と思われるP2カー達は、ライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェがマクニッシュを追い上げていた。そして、マクニッシュを上回る1分2秒307を記録する。ところが、その直後マクニッシュは1分1秒895を叩き出して応戦した。
 マクニッシュは最後のアタックで1分1秒830までタイムを縮めた。

 ブリスコーはタイムアタックを終了して、代わってロマ・デュマのNo.7ペンスキーポルシェがマクニッシュに挑戦したが、1分1秒876デマクニッシュには及ばない。終了時間が近づいて、誰もがマクニッシュのポールポジションを確信した時、伏兵が現れて、ポールポジションを奪い取った。

 3台のアキュラ勢の中にあって、今年初めてHPDと共に仕事を行うハイクロフトは、少々分が悪いと思われてきたが、スポーツカーレースのベテランであるデビッド・ブラバムは、最後のアタックで1分1秒824を叩き出して、ポールポジションを獲得した。ブラバムにとっては7回目、アキュラにとっては2周連続のポールポジションだった。
 しかし、トップ5は0.5秒以内で、明日行われる決勝レースは熾烈な闘いが予想される。

 GT2クラスは、ピーターセンとホワイトライトニングの連合軍とジェゼッペ・リシーによるフェラーリF430GT2同士の闘いが繰り広げられた。そして、ミカ・サロのリシーコンペティションフェラーリが、ディレク・ミューラーのピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリに競り勝った。

1 P2@No.9 Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 1:01.824
2 P1@No.1 Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi AG/R10/TDI 1:01.830
3 P2 No.7 Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder  1:01.876, 97.90
4 P2 No.6 Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 1:01.987, 97.73
5 P2 No.26 AGR Bryan Herta/Dario Franchitti Acura/ARX-01a 1:02.331
6 P1 No.2 Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI 1:02.541
7 P2 No.15 Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 1:02.935
8 P2 No.20 Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 1:03.102
9 P2 No.16 Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 1:03.566
10 P2 No.8 BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 1:03.828
11 P1 No.37 Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 1:05.481
12 GT1@No.4 Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 1:06.963
13 GT1 No.3 Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 1:07.143
14 GT2@No.62 Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 1:09.419
15 GT2 No.31 Petersen/WhightLightning Jarek Janis/Dirk Meuller Ferrari F430GT2 1:09.810
16 GT2 No.45 Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 1:09.954
17 GT2 No.44 Flying Lizard Darren Law/Seth Neiman Porsche 997GT3RSR 1:10.375
18 GT2 No.71 Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 1:10.657
19 GT2 No.18 Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 1:10.984
20 GT2 No.21 Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 1:11.349
21 GT2 No.22 Panoz Team PTG Ross Smith/Scott Maxwell/Bryan Sellers Panoz Esperante GTLM 1:11.993
22 GT2 No.61 Petersen/WhightLightning Nic Jonsson/Tracy Krohn Ferrari F430GT2 1:12.543
23 GT2 No.54 Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR No Time
24 GT2 No.73 Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR No Time

4月21日
●Lola B08 Coupeが10月に登場

Illustration:Lola Cars

 新しいプロトタイプカーのレギュレーションに合わせて、2005年ローラはB05-40 P2カーを送り出した。2006年になると、B05-40をベースとしてB06-10 P1カーも登場させている。これらのローラプロトタイプスポーツカーは、2007年最初のマイナーチェンジを行って、共にB07と名付けられた。現在では、それぞれ搭載するエンジンに合わせたボディワークによって、幾つかのバリエイションも存在する。

 元々ローラは、“屋根付き”でP1バージョンを開発する計画だった。しかし、その頃のレギュレーションは、“屋根付き”でも“屋根無し”でも、まったく同じリストリクターだったことから、ローラスポーツカーを買って走らせるレーシングチームは“屋根無し”を望んだため、P2カーだったB05-40をベースとして“屋根無し”でP1バージョンのB06-10は開発されることとなった。

 しかし、2005年末エアコンのレギュレーションが導入され、その後P1カーは“屋根付き”が義務つけられることとなったため、ローラは“屋根付き”のP1カーの開発をスタートした。
 既にB05-40系スポーツカーの様々な弱点が指摘され、改良が進んでいることもあって、ローラは、完全に白紙の状態から、新しい“屋根付き”のP1カーをデザインすることとなった。
 6月に50%スケールモデルによる風洞実験をスタートして、10月にはシェイクダウンを予定している。

 ローラらしく、様々なエンジンの搭載を前提として開発されるようだが、どうやら、最初に完成するシャシーは、アウディのV8ターボが組み合わせられるようだ。当然ながら、納品先の最有力候補はスイススピリットと思われるが、現在のところ、公表することは出来ないそうだ。

 イラストは未完成に終わったB710クーペ(B07-10)のもの。この頃のローラは、2週間後に登場するクリエイションがそうであるように、モノコックを交換するだけで、“屋根無し”と“屋根付き”の2つのクルマを実現しようとしたことが良くわかる。

4月20日
●FIA GT3Cup最終テスト  

Photo:FIAGT3/DPPI

 2週間後、いよいよ2007年のFIAGT3Cupがシルバーストーンで開幕する。これらのレースはハンデキャップカテゴリーであるため、事前に慎重にテストを行ってパフォーマンスを見極めて、各車に応じたハンデキャップを設けることで、拮抗したレースを実現している。2007年のパフォーマンスバランスを見極める最後のテストが、4月17日にアドリアで、4月18日と19日にディジョンで行われた。

 アドリアに登場したのは、モーガンAERO8とフォードGTだった。FIAGTのパフォーマンステストドライバーを務めるクリストフ・ブシェーは、それで1分17秒951と1分17秒997のラップタイムを記録した。既にパフォーマンスバランスが施されていることもあって、非常に拮抗した速さを実現している。

Photo:FIAGT3/DPPI

  続いて行われたディジョンテストへは、ほとんどのマシンが登場した。新しいフォードGT、フォードマスタングFR500GTやジャガーXKRGT3、リバーサイドコルベットZ06RGT3、モーガンAERO8等のパフォーマンスバランスを見極める最後のチャンスだった。
 しかし、基本となるアストンマーティンDBRS9が早々とクラッシュしてしまい、ボーダーラインを失ってしまっただけでなく、リバーサイドコルベットZ06RGT3とジャガーXKRGT3は、エンジンが不調だった。モーガンAERO8は、初めてジャック・ラフィーがドライブ中、エンジンブローしてしまった。

Photo:FIAGT3/DPPI

 それでもクリストフ・ブシェーは、数多くの判定を行った。
 昨年ハンデは大き過ぎた反省から、フェラーリF430のハンデが見直されることが決定した。ダッジバイパーには、新たにハンデが追加される見込みだ。
 残念だったのは、モーガンAERO8とジャガーXKRGT3について、クリストフ・ブシェーが最終判断することが出来なかったことだった。これらについては、再度判定を行うこととなるようだ。
 これらのハンデについては、エントリーリストと共に公表されることとなるだろう。

4月15日
●LMS Rd1 Monza Qualifying  プジョーが初めて700馬力を披露した!

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ2007年のLMS開幕戦を迎えた。2007年のLMSには50台ものスポーツカーがエントリーしているため、ピットの数が足りなくなることが予想されていた。しかし、マシンの完成が遅れているT2M童夢やリスターはエントリーを取り消して、ニュースが途絶えたままのクリエイションは、もちろん、モンツァには姿を見せなかった。リスターのエントリーはルマン終了後となるらしい。
 T2M童夢やクリエイションだけでなく、スイススピリットのローラ/アウディとアレーナのP1ザイテックも直前にエントリーを取り消した。彼らが使う予定だったピットは、前座のフォーミュラルノーの一部のチームに割り当てられたが、パドックの混雑が緩和された訳ではない。

 これらのエントリー取り消し組の中で、スイススピリットのローラ/アウディは、来週シルバーストーンでシェイクダウンする予定だ。サイテックは2週間後となるらしい。消息不明だったクリエイションは、大幅に遅れたものの、4月中の完成を目指してプロジェクトは継続しているようだ。
 彼らは、5月4日にバレンシアで行われる第2戦で登場することとなるだろう。

 モンツァの目玉が2台のプジョー908であることは明かだろう。プジョーは2週間前のポールリカールテストの後、ノーズ部分をモデファイしてモンツァにやって来た。フロントフェンダーアーチ内側に張り付いて設けられていたブレーキ冷却用のダクトが、大きく削ぎ落とされて、ダクトと言うより空気取り入れ口に過ぎなくなっている。もしかしたら、ブレーキにきついスパ等では、再び大きなブレーキ冷却ダクトが使われるのかもしれないが、取り敢えず、オーバークオリティと判断したのだろう。

 木曜日に行われた車検の際、プジョーは、高い位置に設けられたフェンダーミラーのスティに対してクレームがついたらしい。結果的に車検をクリアしたが、フェンダーミラーや、そのスティは、空力的効果を持たないことが、レギュレーションブックには記載されている。素人目にも、高い位置に設けられたフェンダーミラーの長いスティが、何も空力的効果を持たないとは考え難い。

Photo:Sports-Car Racing

 ポールリカールで走った童夢S101.5は、どうやら暫定モデルだったようだ。予定通り、前方の開口部が大きくなった、新しいデザインのサイドポンツーンが取り付けられ、リア周りの軽量化を目指して、センターマウントのリアウイングを採用した他、リアカウル上面に排出されるエキゾーストを持つ。
 開幕戦がモンツァでなかったら、そのままだったかもしれない。しかし、住宅地に隣接して、しかも公園の中にあるモンツァで行われることから、慎重に音量を計測していたACOから、音量制限スレスレであるとのクレームがついてしまった。そこで、金曜の夜になって、急遽従来と同じ後方排気に戻した。

 ペスカロロは2号車が完成して、シェイクダウンしただけでモンツァにやって来た。ペスカロロスポーツ自身が使うS01は、2台共完全な07スペックで、新しいXトラックのトランスミッションとKYB製のEPS電動パワーステアリングを備えている。

Photo:Sports-Car Racing

 ポールリカールで最も大きな驚きだったシュロースローラは、どうやら、ロールフープ内のリストリクターを正式に認めさせることに成功したようだ。19才のヤン・シュロースと共にステファン・モカ(*モックでなくモカが正しい読み方)が、素晴らしい速さを発揮することが予想されている。

 金曜日、昼に行われた最初のフリープラクティスで、トップタイムを記録したのは、ステファン・モカが操るシュロースローラだった。2台のプジョーは、No.7が、ピットでタービントラブルから漏れたオイルに火がついて、派手に黒煙を上げることとなった。
 期待されたRfH童夢S101.5は、エンジントラブルによって、セッション後半ピットに張り付いた。今日の朝行われた3回目のフリープラクティスで、童夢S101.5は、やっと速さを発揮した。しかし、開発スケジュールに遅れが出ているようで、本格的なセッティングを行う余裕はないようだ。
 ペスカロロ勢は、ポールリカールで好タイムを記録したロールセンターが後退して、ペスカロロスポーツが上位に顔を出している。しかし、ペスカロロは、未だやり残したことがたくさんあるようで、様々なセッティングに追われることとなった。
 金曜日、夕方に行われた2回目のフリープラクティスで、プジョーは辛うじてトップタイムを記録した。しかし、ポールリカールと同じように、プジョーはストレートスピードと高速コーナーで遅いことから、とても700馬力もあるとは思えない状況となっている。

 そうして、2007年最初の予選が始まった。次々とコースインする中、プジョーはピットから出ようとはしなかった。開始7分、やっとプジョーがコースインした。灯油のような強い揮発油の臭いをまき散らしながら、2台のプジョー908クーペは、タイムアタックを開始した。
 2台のプジョーは、それまでとは全く違って、速いストレートスピードを発揮した。そして、ニコラス・ミナシアンは、総てのライバル達を1.5秒以上引き離す1分34秒503を叩き出した。

 プジョー打倒に燃えて、エンジニアのフランク・コパックと慎重に作戦を練って予選に臨んだステファン・モカは、2回タイムアタックしただけで、ピットに戻ってきた。
 ペスカロロと童夢は最後までアタックを続けた。しかし、彼らは、開発が遅れていることから、少しでもデータを求めたため、走り続けたのかもしれない。

 ポールリカールでエンジンが壊れたように、どうやら、プジョーは、未だ開発段階から脱していないようで、700馬力を常に発揮することは出来ないのかもしれない。そのため、連続走行の際ストレートスピードが遅くなってしまうのだろうか?しかし、700馬力を発揮出来るようになれば、圧倒的な速さを発揮出来ることを証明出来たことだろう。

 P2クラスは、ASMローラとバラジ-イプシロンのザイテックが、P1カーを蹴散らす勢いでポールポジション争いを行った。そして、1分39秒271を記録したASMローラがトップタイムを叩き出した。
 GT1クラスは、予想通りORECAサリーンがアストンマーティン勢を打ち破った。
 GT2クラスは、1分50秒台で激しい争いが繰り広げられたが、Imsaパフォーマンスの997GT3RSRが、GPCフェラーリを破ってポールポジションを奪取した。

1 P1 No.7 Team Peugeot Total Peugeot908HDI FAP 1分34秒503
2 P1 No.8 Team Peugeot Total Peugeot908HDI FAP 1分34秒680
3 P1 No.15 Charouz racing system Lola B07-17/Judd 1分36秒187
4 P1 No.16 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd 1分37秒349
5 P1 No.12 Courage Competition Courage LC70/AER 1分37秒650
6 P1 No.13 Courage Competition Courage LC70/AER 1分37秒834
7 P1 No.14 Racing for Holland 童夢S101.5/Judd 1分37秒986
8 P1 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd 1分38秒469
9 P1 No.19 Chamberlain synergy Lola B06-10/AER 1分39秒216
10 P2 No.40 ASM Lola B05-40/AER 1分39秒271
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20 GT1 No.55 ORECA Saleen S7R 1分45秒443
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28 GT2 No.76 Imsa Performance Porsche997GT3RSR 1分50秒381


4月14日
●2007 ALMS Rd3 Long Beach Qualifying

Photo:ALMS


Photo:AUDI AG

 フロリダ半島での2連戦を終了したALMSは、アメリカ大陸を横断して南カリフォルニアへやって来た。ロングビーチのストリートコースでは1980年代からF1GPが開催され、その後IMSAのシリーズの1戦として人気のイベントだった。エンターテイメントとしてALMSを振興させることを目論んだスコット・アタートンによって、Stピータースバーグ等と共に、新制ALMSのポイントとなるイベントだ。

 Stピータースバーグと同じように、アキュラやポルシェのP2カーより150kg重い925kgの車重のアウディにとっては、非常に辛いレースが予想されている。Stピータースバーグで活躍したアラン・マクニッシュに代わって、No.1 AUDI R10はリナンド・カペロがタイムアタックを担当した。重い車重だけでなく、3m近いロングホイールベースのR10にとって、曲がることが難しいタイトコーナーが連続するため、果敢にアタックを行ったカペロは、R10に4位グリッドを与えるのが精一杯だった。

 アウディがこのような状況であることから、もちろん、ポールポジション争いはアキュラのポルシェのP2カーによって行われた。最初2台のペンスキーポルシェがタイムボードの上位を占め続けた。それをダリオ・フランキティのAGRアキュラが追いかけた。フランキティの集中力は素晴らしく、4回目のアタックでライアン・ブリスコーのペンスキーポルシェのタイムを0.306秒上回る1分11秒838を叩き出してポールポジションを奪取した。

 Stピータースバーグでピータセン/ホワイトライトニングのフェラーリがクラッシュして、エースのトーマス・エンゲが入院したため、GT2クラスは、ジョゼッペ・リシーのフェラーリF430GT2の独壇場となった。ミカ・サロは、フライング・ラザードの2台のポルシェ相手に0.293秒差でポールポジションを獲得した。これまでと違って、GT2クラスはトップ8台が1秒以内にひしめき合う激戦区となっている。

1. Bryan Herta, Dario Franchitti, AGR Acura/ARX-01a (P2), 1:11.838, 98.64
2. Ryan Briscoe, Sascha Maassen, Penske Porsche RS Spyder (P2), 1:12.144, 98.22
3. Romain Dumas, Timo Bernhard,Penske  Porsche RS Spyder (P2), 1:12.247, 98.08
4. Allan McNish, Rinaldo Capello, Audi Sport North America Audi AG/R10/TDI (P1), 1:12.713, 97.45
5. David Brabham, Stefan Johansson, Duncan Dayton, Highcroft Acura/ARX-01a (P2), 1:12.844, 97.28
6. Marco Werner, Emanuele Pirro, Audi Sport North America Audi AG/R10/TDI (P1), 1:12.911, 97.19
7. Luis Diaz, Adrian Fernandez, Fernandez  Lola/B06-43/Acura (P2), 1:13.148, 96.88
8. Butch Leitzinger, Andy Wallace, Dyson Porsche RS Spyder (P2), 1:13.417, 96.52
9. Guy Smith, Chris Dyson, Dyson Porsche RS Spyder (P2), 1:14.006, 95.75
10. Michael Lewis, Chris McMurry, Autocon Lola/EX257 AER (P1), 1:17.158, 91.84
11. Olivier Beretta, Oliver Gavin, Corvette Racing Corvette C6.R (GT1), 1:18.145, 90.68
12. Clint Field, Richard Berry, Jon Field, Intersport Creation/CA06H/Judd (P1), 1:18.337, 90.46
13. Johnny O`Connell, Jan Magnussen, Corvette Racing Corvette C6.R (GT1), 1:18.364, 90.43
14. Jaime Melo, Mika Salo, Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta (GT2), 1:20.916, 87.58
15. Darren Law, Patrick Long, Flying Lizard Porsche 911 GT3 RSR (GT2), 1:21.209, 87.26
16. Johannes van Overbeek, Jorg Bergmeister, Flying Lizard Porsche 911 GT3 RSR (GT2), 1:21.239, 87.23
17. Tim Bergmeister, Dirk Meuller, Petersen/WhightLightning Ferrari 430GT (GT2), 1:21.392, 87.06
18. Wolf Henzler, Robin Liddell, Tafel Porsche 911 GT3 RSR (GT2), 1:21.563, 86.88
19. Nic Jonsson, Anthony Lazzaro, Petersen/WhightLightning Ferrari 430GT Berlinetta (GT2), 1:21.620, 86.82
20. Ralf Kelleners, Tom Milner, Rahal Letterman Porsche 911 GT3 RSR (GT2), 1:21.749, 86.68
21. Dominik Farnbacher, Jim Tafel, Tafel Porsche 911 GT3 RSR (GT2), 1:21.804, 86.62
22. Joey Hand, Bill Auberlen, Panoz Team PTG Panoz Esperante GTLM (GT2), 1:22.083, 86.33
23. Ross Smith, Scott Maxwell, Bryan Sellers, Panoz Team PTG Panoz Esperante GTLM (GT2), 1:22.620, 85.77
24. Klaus Graf, Greg Pickett, Lola B06/10 AER (P1), 1:25.014, 83.35
25. Tim Pappas, Terry Borcheller, Team Trans Sport Porsche 911 GT3 RSR (GT2), 1:25.211, 83.16
26. Jamie Bach, Ben Devlin, BK Motorsport Lola/B07-40/Mazda (P2), No Time


4月10日
●アウディが30時間テストを実施

Photo:AUDI AG

 10日前Stピータースバーグで衝撃的な勝利を飾ったアウディは、ロングビーチへ行く前に、4月6日〜7日 ポールリカールで今年最初の耐久テストを行った。今回のテストは、2007年バージョンR10による最初の耐久テストであるだけでなく、新らたにR10に乗り組むマティアス・エクストレム、ルーカス・ロール、アレクサンダー・プレマト、マイク・ロッケンフェラーにとって、最初の本格的なテストとなった。

 この4人は、今年アウディA4によってDTMを闘う。4月22日ホッケンハイムでDTMへデビューする直前に行われた大仕事だった。元々今回のテストは2日間にわたって30時間の予定で行われた。
 詳しいテストの内容は伝わってきていないが、アウディスポーツは、深刻なトラブル無しで24時間を走りきって、さらに残りの6時間で1,400kmを走破したことを明かにしている。
 どれくらいのラップタイムで走行したのか不明だが、6時間で1,400kmというのは、鈴鹿1,000kmがだいたい5時間30分であることを考えると、24時間を走りきった後であっても、アウディが相当速いペースでR10を走らせていたことが想像できる。

4月3日
●2007 JLMC SUGO公式合同テスト 4リットルV8を積む無限クラージュ好走 フェラーリvsポルシェ

Photo:Sports-Car Racing

 昨年SUGOでJLMCの公式テストディが行われた。開幕戦が5月に行われることもあって、現在でもエントリーは流動的なようだが、8台のスポーツカーがSUGOに集まった。注目は2台のLMP1カーと、日本でも実現するフェラーリVSポルシェのGT2決戦だ。

 昨年の場合、エントリーが少なかったため、本来のACOレギュレーションでは存在を許されない様々なクルマの出走を認めると共に、LMP1クラスは、取り敢えず参加を表明したマシンのスペックを優先することとなった。
 M-TECが持ち込んだクラージュLC70は。新たにオーダーされたマシンであるため、もちろん、現在のACOレギュレーションに基づいたマシンだった。ところが、最初に参加を表明した一ツ山レーシングのザイテックは、2004年のLMP675レギュレーションに従ったスペックだった。

 少々この辺りの事情を述べると、2004年にACOは新しいプロトタイプカーのレギュレーションを発表している。しかし、完全に新しいレギュレーションへ移行するのは2007年からで、それまでの3年間を移行期間として、2つの方法で従来のLMP900とLMP675マシンの出走を認めた。

 1つは、従来のマシンをベースとして、新しいレギュレーションによって作り替えたマシンで、童夢やペスカロロを中心として、昨年までヨーロッパで主流のプロトタイプカーだった。2つのレギュレーションの折衷案であるためハイブリッドカーと呼ばれた。2006年までハイブリッドカーの出走は許された。

 もう1つの方法が、従来のLMP900とLMP675に対して、直接ハンデを課すことによって出走を認めたもので、2004年には10%幅の狭いリアウイングを、2005年には1段階小さなリストリクターと重量ハンデ、そして10リットル少ない80リットルの燃料タンクを義務付けて、2005年まで出走を認めた。

 ザイテックの場合LMP675であるため745kgの最低車重が義務付けられた。2005年LMESとルマンに参加するため、ザイテックチームは04Sに対してこれらのモデファイを施して05Sと名付けた。しかし、ヨーロッパのシリーズが終了した後、彼らはALMSにも参加することとなった。
 ところが、ALMSでは、2005年どころか2003年までのレギュレーションが使われていたため、ザイテックチームは、重りを取り外して大きな燃料タンクに戻して、大きなリストリクターを取り付けて“プチ-ルマン”とラグナセカへ出走した。
 シーズン終了後、ラグナセカを走った状態のまま、そのマシンは日本へ送られてしまった。

 新しいレギュレーションのマシンが増えるに伴って、ACOは段階的に移行したが、本来新しいレギュレーションと釣り合う古いレギュレーションのマシンは2005年のスペックであるため、2007年のJLMCは旧レギュレーションのマシンに対して、2005年のスペックとすることを求めている。

 この決定によって、SUGOにやって来たザイテックは、2005年スペックの小さなリストリクターを装着していた。2005年の場合LMP675カーの最低車重は745kgだ。しかし、LMP675と言っても、675kgは不可能な数字で、元々710kg程度の車重であることから、取り敢えず重りは積まずにテストを行った。

 野田英樹の操るザイテック05Sは、なかなか、無限クラージュのタイムを上回ることが出来なかった。午後になって、ダンロップが持ち込んだ柔らかいタイヤを使ったところ、3/1000だけ無限を上回るトップタイムを記録した。
 この時使用したタイヤは、到底レースでは使えない予選専用タイヤであることから、今後重りを積んで、10リットル小さい燃料タンクとした場合、ザイテックは、無限クラージュに対抗するのは難しいと考えられている。
 そのため、現在、SEROと話し合いが行われている。

 昨年散々なデビューとなったM-TECのクラージュは、様々なモデファイを加えてSUGOへやって来た。
 もっとも大きな違いは、昨年使われた4.5リットルエンジンを取り外して、2年前の4リットルバージョンをベースとして開発したエンジンが積まれていることだ。他にもパドルシフトシステムのコンピュータープログラムの組み替えや、ミシュランの新しい大径フロントタイヤが盛り込まれている。

 これらの改良によって、昨年には考えられなかったように、順調に無限クラージュは走行した。午前中ザイテックに対して常に1秒のアドバンテージを築く速さを披露した。一ツ山レーシングが、レースでは絶対に使えない柔らかいタイヤを持ち出した理由は、この1秒の差を詰めるためだった。

 今回のテストで、無限クラージュには、荒聖二と黒澤治樹と共に中野信治が乗り組んだ。このまま、よほどのことが無い限り、3人でシーズンを闘うことになるようだ。

 今年JLMCにとって、もう一つの目玉となりそうなのが、GT2クラスでのフェラーリVSポルシェの一騎打ちだろう。この闘いは、少々複雑な経緯を経て実現している。
 元々、昨年JLMCのGT2タイトルを獲得したチームタワムラは、ポルシェ997GT3RSRを導入する計画だった。しかし、ヨーロッパと北アメリカでフェラーリF430GTが好調であるため、急遽ポルシェをキャンセルしてフェラーリをオーダーしている。
 それに対して、一ツ山レーシングは、GT1クラスでプロドライブ製のフェラーリ550を走らせていることもあって、フェラーリF430GTを導入する計画だった。実際2006年にミカ・サロが乗り組んで走ったシャシーを購入する予定で計画は進められていた。
 ところが、チームカワムラがポルシェを止めてフェラーリに切り替えたことが判明したため、急遽ポルシェ997GT3RSRを購入することを決定したと言う。

 最初の顔合わせとなった、今回のテストは、一ツ山ポルシェが完全なシェイクダウンであるのに対して、カワムラフェラーリが、イタリアでシェイクダウンを行い、日本でも2回目の走行であることもあって、フェラーリの圧倒的な速さが目立つこととなった。
 4秒差は驚きだが、世界中のポルシェユーザーと同じように、これからの開発によって、どこまでポルシェが詰められるか? 興味深いシーズンとなるだろう。


Photo:Sports-Car Racing

1 P1 No.22 Zytec 05S HITOTSUYAMA RACING 野田英樹 1分13秒947*登録ドライバーのタイム
2 P1 No.16 COURAGE LC70/無限 M-TEC 荒聖二/黒澤治樹/中野信治 1分13秒950
3 P2 No.18 GC2-1 AIM SPORTs 麻生裕二/山下雅之 1分19秒785
4 GT1 No.21 Ferrari 550Maranello GT1 HITOTSUYAMA RACING 1分21秒954 飯田章
5 GT2 No.27 Ferrari F430GT TEAM KAWAMURA 青山光司/高木真一/新田守男 1分22秒227
6 GT2 No.20 Porsche 997GT3RSR HITOTSUYAMA RACING 福山英朗/宮川やすお/山崎信介 1分25秒913
7 GT2 No.910 Porsche996GT3RSR 910RACING DRAGON/吉田基良/砂子塾長 1分26秒056
8 GT2 No.17 Porsche 996GT3RS SCUDERIA FORME 1分31秒665



3月31日
●2007 ALMS Rd2 St Petersburg Qualifying  ポルシェRSスパイダーがフロントロー独占

Photo:ALMS

 ALMS第2戦は、セブリングから南に下ったStピータースバーグのストリートコースで行われる。海に面したリゾート地であるStピータースバーグで行われるストリートレースあるから、間違いなく観客を集めることが可能なイベントだが、セブリング12時間終了後、特にGT2クラスのチームの多くが体制を縮小したため、たった25台がStピータースバーグへやって来た。GT1クラスに至っては、モデナアストンマーティンがヨーロッパへ引き上げたため、2台のGMワークスのコルベットだけとなってしまった。

 ストリートコースから想像出来るように、Stピータースバーグでは、大きなパワーより軽い車重がアドバンテージとなる。それを予測してか、タイトルスポンサーにはアキュラがついていた。
 金曜日の朝行われた最初のフリープラクティスでは、1分5秒台でペンスキーポルシェが1-2位、その後ろに3台のアキュラ勢が付けて、アウディの重戦車は1分7秒台で完全に圧倒されてしまった。
 トップタイムを記録したにも関わらず、ペンスキーの2台のポルシェRSスパイダーは、高速コーナーでアンダーステアであるため、午後さらにタイムアップする可能性を述べていた。
 このプラクティスで、ジョゼッペ・リシーが持ち込んだフェラーリF430GT2の1台がコンクリートウォールへクラッシュしてしまい、決勝レースへの出走を取り止めた。

 午後30℃の気温の中2回目のフリープラクティスが行われた。気温が上がったにも関わらず、ペンスキーとアキュラは次々と1分4秒台に突入した。No.6ペンスキーポルシェのライアン・ブリスコーは1分4秒741、続くNo.7ペンスキーポルシェのロマ・デュマが1分4秒856で、再びペンスキーポルシェの1-2と思われたが、終了7分前になって、アラン・マクニッシュが1分4秒094を記録してトップで終了した。

 GT2クラスは、リシーフェラーリの1台が姿を消した結果もう1台のリシーとピーターセンとホワイトライトニングの連合軍が走らせる2台のフェラーリの闘いとなっている。


Photo:ALMS

 そして予選が始まった。150kg軽いP2勢にアドバンテージがあるコースだったが、40℃を超える高い路面温度を考慮すると、大パワーのアウディにもチャンスがあると考えられていた。
 しかし、完璧にセッティングをまとめたペンスキーポルシェの速さは圧倒的だった。ロマ・デュマが乗り組んだNo.7ペンスキーポルシェとライアン・ブリスコーが乗り組んだNo.6ペンスキーポルシェは、次々と1分3秒台に突入して、最終的にロマ・デュマが1分3秒039でポールポジションを獲得した。
 ペンスキーポルシェは素晴らしい速さでフロントローを独占した。
 アラン・マクニッシュのNo.1アウディR10は、0.4秒遅れの3位が精一杯だった。
 マクニッシュの後ろには3台のアキュラが続いて、もう1台のアウディは、その後ろとなった。

 GT2クラスは、予想通りピーターセンとホワイトライトニングの連合軍が走らせるフェラーリF430GT2が、リシーのフェラーリF430GT2と一騎打ちを繰り広げた。ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリにはトーマス・エンゲ乗り組んで、1分12秒025を叩き出した。対するリシーフェラーリは、ミカ・サロでなくジェイミー・メローが乗り組んでタイムアタックを行ったが、0.25秒差でエンゲが勝った。
 2台のフェラーリの後ろから、またしてもポルシェの大群はスタートすることとなった。

Proto
1 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 1分03秒039
2 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 1分03秒189
3 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分03秒415
4 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 1分03秒432
5 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 1分03秒746
6 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 1分03秒807
7 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分04秒136
8 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 1分04秒376
9 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 1分04秒845
10 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 1分08秒536
11 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 1分08秒844
12 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 1分08秒991

GT1
1 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 1分09秒531
2 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 1分10秒212

GT2
1 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 1分12秒025
2 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 1分12秒246
3 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 1分12秒738
4 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 1分12秒937
5 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 1分13秒217
6 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 1分13秒438
7 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 1分13秒440
8 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 1分14秒400
9 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 1分17秒622
10 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman No Time


3月23日
●ポールリカールテスト情報  童夢S101.5初公開!

Photo:Dome                    
 左の写真は、昨日ポールリカールへ向かう直前にRacing for Hollandの工場で撮影されたS101.5の1号車。2つのモノコック構造のロールバー、そして、低い位置に設けられたリストリクター、ミシュランの大径タイヤに合わせて、大きくなったフロントフェンダーが大きく違っている。ブレーキダクト等、その他にも多くの部分が新たにデザインされている。現在でも風洞実験が続けられており、1月に公表したイラストと違うボディとなりつつある。どうやら、ポールリカールで走るボディは、最初のバリエイションに過ぎないようだ。


 今週末日曜日(25日)から月曜日(26日)にかけて、いよいよポールリカールテストが行われる。
 既にエントリーリストは公表されているが、直前になって、幾つか変更されている。2台をエントリーしていたプジョーは、既報通り最新スペックの908を1台だけ運び込む。1台となっても、ポールリカールテストの看板役者がプジョーであることは変わらない。

 2007年ヨーロッパで走れないハイブリッドカーを持ち込む予定だったクリエイションは、インタースポーツへ販売したCA-06Hハイブリッドカーが、先週セブリングでクラッシュしたため、そのサポートを行うことから、参加をキャンセルした。つまり、先週末セブリングの決勝レースを走ったマシンのボディワークは、ポールリカールで走る予定のマシンから剥ぎ取られたと言うことだろう。
 元々、今年ヨーロッパで走ることが出来ないハイブリッドカーを持ち込むことに対して、誰の目にも理由が見つからなかったため、当然の成り行きと言えるかもしれない。

 クリエイションの最初の予定では、昨年11月に“屋根付き”のCA-07 P1カーは完成するハズだった。“屋根付き”と言っても、CA-07は、童夢S101.5やペスカロロS01と同じように、ハイブリッドカーをベースとしてP1レギュレーションのモノコックと交換したマシンで、新たに作られたモノコックが“屋根付き”となるだけだった。であるから、比較的低コストで開発可能と考えられていた。

 その後、CA-07の開発についての情報が途絶えてしまった。それどころか、クリエイションは、2007年にヨーロッパで走ることが出来ないCA-06Hハイブリッドカーに対して、大きなフロントタイヤを履くことが可能な改良ボディを作っていた。CA-07の開発はストップしてしまったのだろうか?

 ペスカロロは、自身による1台とロールセンターに販売した1台の2台のS01が登場する。
 4台目のS01をオーダーしたクルースモータースポーツへは、現在パーツを組み合わせたダミーモノコックだけがデリバリーされており、3月末にモノコックが完成次第送られて、クルースモータースポーツのメカニックによって組み立てられることとなる。

 ローラは、アウディエンジンを積むスイススピリットは間に合わないが、先週完成したシュロースレーシングシステムのB07-17は予定通りポールリカールへ向かっている。
 ロールフープの内側のリストリクターに対して、ACOがどのような判定を行うのだろうか?

 AERエンジンを積んだクラージュLC70も、本格的なテストは今回が初めてとなる。クラージュは、何と24時間テストの申し込みも行っている。
 自分はプジョーで働いていても、セルジュ・サルニエのレーシングチームが走らせるクラージュLC75は完成した。昨年バラジ-イプシロンが走らせたC65ハイブリッドカーのパーツを使って、新しいモノコックと組み合わせたようで、こちらもシェイクダウンとなる。

 サルニエにC65を売り払ったバラジ-イプシロンは、今シーズン2台のザイテック07S P2バージョンを走らせる予定だが、既に受け取った1台目のザイテック07Sをポールリカールに持ち込む。
 ザイテックS07のP1バージョンはアレーナモータースポーツが走らせる。アレーナが07Sを受け取るのは、モンツァで開幕戦が行われる直前となるようだ。

 Racing for Hollandがミシュランを履くため、今年ラディカルはダンロップとの関係を強めている。24時間テストは行わないが、タイヤテストのため、夜間走行の申し込みを行っている。

 最初の予定によると、先週ヴァレンシア辺りを走っているハズの童夢S101.5は、完成の遅れから、ポールリカールでシェイクダウンテストを行うこととなった。
 最初童夢は、ボディワークの多くはS101-Hbiのものを使う計画だった。しかし、風洞実験を繰り返した結果、欲が出てきたようで、少々手がかかっても、何らかの手を加えて、ボディワークの多くは使われることとなった。そのため、、そのまま使われるボディワークは、ほとんど無くなってしまった。
 現在でも様々なトライが繰り返し行われており、ポールリカールに現れるS101.5は、暫定的なサイドボディを取り付けて走ることとなるようだ。

 今年Racing for Hollandは、今年デビッド・ハートとヨルン・ブリークモーレンと契約している。しかし、A1GPのメキシコラウンドとバッティングしているため、A1GPオランダチームに所属しているヨルン・ブリークモーレンはポールリカールテストに参加出来ない。そのため、ポールリカールテストは、ヤン・ラマースとデビッド・ハートによって行われる。

 GT1クラスは、フェラーリが1台もやって来ないこととなった。ラルブルコンペティションの2台のアストンマーティン、ORECAのサリーンと、ORECAから最新バージョンのサリーンを買ったレーシングボックスがやって来る。リック・アルファンも予定通り2台のコルベットを持ち込む。

 GT2クラスは、ALMSやFIAGT同様ポルシェショックの真っ直中で、ポルシェ自身が、997GT3RSRに対して何らかの改良を施すのを待っている状況は変わらない。
 逆に元気なのがフェラーリF430GT勢で、JMBはセブリングで走った2006年バージョンと違う、最新の2007年バージョンをポールリカールでシェイクダウンする。

3月22日
●開発が進むプジョー908HDi FAP   プジョーは改良モデルを1台ポールリカールテストに持ち込む

Photo:Peugeot-Media
 写真は3月6日のポールリカールテストでの2号車。1号車と比べると、ヘッドライトが設けられただけでなく、ブレーキ冷却ダクト等、様々な改良が盛り込まれている。フロントフェンダー上面に設けられたスリットは、現在レギュレーションによって設置が義務付けられている。空力バランスを調整するためか、一部が塞がれている。

 プジョー908は12月31日ニコラス・ミナシアンによってシェイクダウンテストを行った。
 最初に姿を現した908は、ヘッドライトすら持たない、完全に間に合わせのボディを纏っていた。間に合わせのボディを組み合わせた1号車を使って、1月6日にポールリカールで本格的な走行を行った後、10日パリ近郊のモルテフォンテーンで908は公開された。
 間に合わせのボディのまま、2月4日ジャック・ヴィルニューブとセバスチャン・ボーディによって、ポールリカールで初めて本格的なテストが行われた。その後暖かいスペインのヴァレンシアに持ち込まれて細かいテストが行われている。

 2月末に、少なくとも本番レースを走れるスペックとして2号車が完成して、3月6日ポールリカールで最初のロングディスタンステストも行われている。
 3月6日のテストは、2号車のシェイクダウンを兼ねて行われたが、一応プジョーは24時間テストも行えるように、夜間もポールリカールのコースを借り切っていた。プジョーは3月6日のテストについて、詳しい内容を公表していないが、エンジン音が聞こえたのは10時頃までで、夜中にはプジョーのスタッフも引き上げて、翌日に走行を再開している。
 しかし、このテストによって、1号車はヴァレンシアと合わせて4,500kmのマイレッジを刻んだ。

 今年プジョーは908を3台作ること公表しているが、このテストの直後3号車が完成した。

 元々、プジョーは3月にセブリングでテストを行う予定だった。先週行われたALMS開幕戦セブリング12時間のレースウィークを通じてテストを行って、もしかしたら、本番レースでも走行すると思われていた。しかし、プジョーは、セブリング12時間の翌日にもポールリカールでのテストを予定していたため、結局セブリング遠征はキャンセルされてしまった。

 詳しい内容は明らかとしないものの、プジョーのテクニカルダイレクターであるブルーノ・ファミンによると、プジョーは再び908のモデファイに取り組んでいるらしい。そのため、セブリング12時間の翌日にポールリカールで予定されていたテストが、現在行われている気配はない。
 それどころか、先週になって、25日と26日に行われるLMSのポールリカール公式テストへも、1台だけ908を持ち込んで、24時間テストは行わないことを明らかとした。

 元々プジョーはLMSポールリカールテストへ2台をエントリーしていた。内訳は1号車と3号車で、1号車でマイレッジを稼いで、3号車によって各種の開発が行われるものと思われていた。
 ブルーノ・ファミンは、ポールリカールテストに現れる908について、「様々な改良を盛り込んで、新しいカラーリングで登場する」と発言しているから、さらに新しいボディがデザインされたのだろう。

Photo:Peugeot-Media
 左が2月4日ジャック・ヴィルニューブによって走行する1号車。右が3月6日に走行する2号車。共に場所はポールリカールだ。サイドボディに開けられたエアアウトレットに注意。改良ボディの2号車の方が半分ほどのエアアウトレットしか持たない。25日に走行する際、さらに改良されたボディで登場することが予想されている。

*1月31日Newsで、908のシェイクダウンは12月31日にポールリカールで行われたと掲載しました。しかし、先週になって、プジョーによって、12月31日にシェイクダウンを行った場所は、パリ近郊のヴェルシー・ヴァコウベイにあるフランス陸軍の飛行場であったことが確認されました。

3月19日
●セブリング12時間ナイトプラクティス  No.1アウディクラッシュ

Photo:AUDI AG

 予選終了後夜ナイトプラクティスが行われる。元々のスケジュールでは7時45分から予定されていたが、夕方雨が降ったことから、8時30分から行われた
 セブリングの場合、昼間でもコースが乾き難いことから、終始レインタイヤを履いての走行となった。

 タイムを競う必要はないが、3周の義務周回が義務付けられていることから、全車が走行した。

 慎重に各車はコースインしたが、開始早々ターン12でNo.22 PTGパノスがストップしてしまった。パノスをピットに戻すため、一旦走行を中断して、8時43分走行を再開した。

 残り30分となった頃、リナンド・カペロの操るNo.1 AUDI R10TDIがターン11でクラッシュしてしまった。ターン12のコース上にストップしたため、再び走行が中断された。
 アウディのダメージは大きく、ノーズの耐クラッシュ構造は残されているものの、サイドポンツーンとフロントサスペンションは完全に破壊されてしまった。

 インタースポーツが撤退したため、P1クラスはたった3台となってしまったことから、クラッシュしたリナンド・カペロのアウディがトップタイムを記録した。
 P2クラスは、アキュラ勢が、初めてポルシェを破って1-2のタイムを記録した。

*上位3位まで
1 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 2分1秒602
2 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 2分1秒711
3 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 2分15秒868

1 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 2分2秒030
2 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 2分4秒855
3 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 2分6秒758

1 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 2分18秒433
1 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 2分20秒971
2 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 2分26秒539

1 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 2分18秒330
2 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 2分18秒809
3 GT2 No.32 Ferrari F430GT Corsa/WhightLightning 2分21秒465


3月17日
●セブリング12時間ポールポジションはマルコ・ベルナーのAUDI R10  *3月18日追記

Photo:AUDI AG                                         Photo:ALMS

アウディが1-2  P2クラスがペンスキーポルシェ ハイクロフトが4位

 通常のALMSの予選は、GTとプロトタイプに分けて、それぞれ1回だけ25分ずつ行われる。そのため、せいぜい2回か3回しかタイムアタックを行うことは出来ない。

 GT1クラスはたった3台しかエントリーが無いが、2台のワークスコルベット同士の争いが行われた。結局ヤン・マグヌッセンの操るNo.3 Corvette C-6Rが1分57秒061でポールポジションを獲得した。

 フェラーリとポルシェの熾烈な争いが行われているGT2クラスは、ジェイミー・メローの操るリシーのNo.62 Ferrari F430GTとトーマス・エンゲの操るピーターセンとホワイトライトニングの連合軍のNo.31 Ferrari F430GTが先行して、それをヨルグ・ベルグマイスターの操るフラングラザードのNo.45 Porsche 997GT3RSRとレーホール/レッターマンのNo.18 Porsche 997GT3RSRが追った。
 最初ポルシェは対等の闘いを展開すると思われたが、次第にフェラーリが先行して、フェラーリ勢は次々と2分2秒台に突入したのに対して、ポルシェは2分3秒台が精一杯だった。

 GTに続いてプロトタイプクラスの予選が開始された。しかし、開始3分後、インタースポーツのクリエイションCA06H/ジャドがターン17でタイヤバリアにクラッシュしてしまった。リアエンドが完全に破壊されており、インタースポーツはセブリングから引き上げることを決心した。

 タイム争いは、リナンド・カペロのNo.1 AUDI R10TDIとマルコ・ヴェルナーのNo.2 AUDI R10TDIがリードする一方、P2クラスのポルシェ勢が挑戦した。アンディ・ウォーレスの操るダイソンのNo.16 Porsche RS Spyder、ティモ・ベルンハルトの操るペンスキーのNo.7 Porsche RS Spyderとサッシャ・マッセンの操るNo.6 Porsche RS SpyderがP2クラスのトップ争いを展開した。アキュラ勢は、予想に反して、デビッド・ブラバムの操るハイクロフトのNo.9 Acura ARX-01aがポルシェと闘っている。

 1分44秒974を叩き出したマルコ・ベルナーが、リナンド・カペロを突き放した。
 P2クラスは、ティモ・ベルンハルトが1分46秒046でポールポジションを獲得した。

Proto
1 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分44秒974
2 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分45秒326
3 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 1分46秒046
4 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 1分47秒109
5 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 1分47秒130
6 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 1分47秒423
7 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 1分48秒175
8 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 1分48秒417
9 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 1分50秒185
10 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 1分50秒312
11 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 1分53秒125
12 P2 No.27 Lola B05/40 Judd Horg 1分53秒594
13 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 10分27秒341

GT
1 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 1分57秒061
2 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 1分57秒480
3 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 1分58秒241

1 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分2秒439
2 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 2分2秒701
3 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分3秒043
4 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒338
5 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒652
6 GT2 No.61 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分3秒811
7 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分3秒997
8 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 2分4秒001
9 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 2分4秒654
10 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分4秒686
11 GT2 No.86 Spyker C8 Spyker Squadon 2分4秒758
12 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分4秒897
13 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 2分6秒811
14 GT2 No.24 Ferrari F430GT JMB 2分7秒062
15 GT2 No.53 Panoz Esperante GTLM Robertson 2分11秒529
16 GT2 No.10 Porsche 997GT3RSR Konrad 2分13秒056
16 GT2 No.77 Porsche 996GT3RS Autoracing Bratislava 2分15秒693


3月16日
●セブリング12時間レースウィーク3日目 P1 AUDI/P2 Porsche/GT1 Corvette/GT2 Ferrari

Photo:AUDI AG                                Photo:ALMS
  新たにニック・ワースがデザインしたボディは、よりノーズ先端が持ち上げられて、床下へ多くの空気の流れを取り込むことが出来るようだ。後ろのポルシェと比べても、その違いは明らか。しかし、ピッチングの多さは、ほんの少し少なくなった程度で、ほとんど変わらないらしい。


  プロトタイプクラスはアウディが1-2に復帰  P2クラスのペンスキーポルシェ AGR上位をキープ

 最後のフリープライクティスは、どのチームも本番で使うタイヤの選定を終了して、最適のタイヤに合ったセッティングを確認するために走行する。2台のアウディR10は共に1分45秒台を記録して、P2クラスのポルシェRSスパイダーを寄せ付けない。

 P2クラスは、ペンスキーのポルシェRSスパイダーのトップは変わらないが、4台のRSスパイダーの間にAGRのアキュラが定位置を占めようとしている。
 AGRとハイクロフトは、ニック・ワースがデザインしたボディを使用しており、少なくともクラージュオリジナルより速く走れることを証明したようだ。
 テストで好タイムを記録したフェルナンデスローラは、昨日に続いて、新しいハイノーズと旧タイプのノーズを取り替えながら走行している。

 フェラーリの速さばかりが目立つGT2クラスは、初日好タイムを記録して上位争うを行っていたCorsaとデイル・ホワイトの連合軍のF430GTが、最終コーナーでクラッシュしたため、エントリーを取り止めた。しかし、リシー、そして、1台だけとなったピーターセンとホワイトライトニング連合軍の走らせる2台のF430GTが、相変わらずトップタイムを争っている。

Proto
1 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分45秒026
2 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分45秒038
3 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 1分46秒630
4 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 1分46秒665
5 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 1分47秒240
6 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 1分47秒709
7 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 1分47秒898
8 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 1分48秒170
9 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 1分48秒247
10 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 1分51秒121
11 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 1分51秒435
12 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 1分53秒995
13 P2 No.27 Lola B05/40 Judd Horg 1分54秒502

GT
1 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 1分57秒516
2 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 1分57秒631
3 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 1分59秒048

1 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分2秒017
2 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 2分2秒182
3 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分2秒882
4 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒227
5 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒566
6 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 2分3秒575
7 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分3秒902
8 GT2 No.61 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分4秒024
9 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分4秒993
10 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分5秒166
11 GT2 No.86 Spyker C8 Spyker Squadon 2分5秒390
12 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 2分6秒385
13 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 2分6秒829
14 GT2 No.24 Ferrari F430GT JMB 2分8秒009
15 GT2 No.10 Porsche 997GT3RSR Konrad 2分12秒429
16 GT2 No.53 Panoz Esperante GTLM Robertson 2分14秒108



3月15日
●セブリング12時間レースウィーク2日目 P1 AUDI/P2 Porsche/GT1 Corvette/GT2 Ferrari

Photo:AUDI AG                                    Photo:ALMS
 アウディR10のサイドボディに注意。先週発表された2007年バージョンと違う、大きなエアアウトレットが設けられてる。もちろん、セブリングの暑さ対策のためだが、2006年バージョンとも違う、斜めにスリットは設けられている。
 後ろに見えるのは、隣接するセブリング空港のターミナル施設。
 右は、インタースポーツのクリエイションC1-06Hハイブリッドカー。現在のところアウディの唯一の対抗馬。

◆プロトタイプクラスはアウディがトップを守る  P2クラスのペンスキーポルシェが2-3位
 2日目となって、マルコ・ヴェルナーの操るNo.2 アウディR10がトップタイムを記録した。しかし、気温が上がったことから、ラップタイムそのものは昨日のものより遅くなった。
 4台のポルシェ勢がタイムアップして、ペンスキーポルシェが、僅差で2-3位のタイムを記録した。

 先週アウディは、2007年バージョンのR10を発表している。2007年バージョンの最も大きな違いは、サイドボディに開けられたエアアウトレットが小さくなっていることだった。しかし、セブリングで走っている2台のR10は、去年のものより、むしろ大きなアウトレットがサイドボディに設けられている。

 2日目となって、BKモータースポーツのローラ/マツダも走り出した。
 ローラ勢では、フェルナンデスのアキュラローラが、07用の新しいハイノーズだけでなく、旧タイプのノーズに取り替えて走行している。好評価の新ノーズに、何らかの不具合があるのだろうか?

 たった3台のGT1クラスは、相変わらず僅差のタイム争いが続いている。
 GT2クラスのトップはフェラーリのままだが、リシーに変わってホワイトライトニングフェラーリがトップに浮上した。2台のフェラーリは、ポルシェ勢を1秒引き離す2分2秒台の争いを続けている。

 ご存じのように、ピーターセンとホワイトライトニングの連合軍は、長い間ポルシェを走らせて、ルマンでもクラス優勝を成し遂げている。あのボブ・ウォレクが、最後に契約したレーシングチームも、ピーターセンとホワイトライトニングの連合軍だった。
 その老舗のポルシェユーザーがフェラーリに乗り換えたことは、他のポルシェユーザーに衝撃を与えたが、どうやら、彼らが正しかったことが証明されようとしている。

Proto
1 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分46秒270
2 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 1分46秒827
3 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 1分46秒851
4 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分47秒110
5 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 1分47秒421
6 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 1分47秒896  *名称変更
7 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 1分48秒809
8 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 1分49秒901 *名称変更
9 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 1分50秒626
10 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 1分50秒704
11 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 1分53秒026
12 P2 No.27 Lola B05/40 Judd Horg 1分54秒186
13 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 1分54秒933

GT
1 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 1分57秒361
2 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 1分57秒421
3 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 1分57秒877

1 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 2分2秒694
2 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分2秒947
3 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒931
4 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒956
5 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分3秒958
6 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 2分4秒103
7 GT2 No.86 Spyker C8 Spyker Squadon 2分5秒216
8 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分5秒236
9 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分5秒567
10 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分5秒680
11 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 2分6秒420
12 GT2 No.61 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分7秒792
13 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 2分8秒458
14 GT2 No.24 Ferrari F430GT JMB 2分9秒212
15 GT2 No.53 Panoz Esperante GTLM Robertson 2分10秒956
16 GT2 No.10 Porsche 997GT3RSR Konrad 2分12秒183


3月15日
●シュローズLola B07-10/Judd5.5シェイクダウン  暫定ボディ?

Photo:Lola Cars
 どうして、ロールバーの内側にリストリクターを設けることが可能となったのだろうか? しかも、NAエンジンでありながら、ターボのためのインテイクやエアアウトレットを備える等、不可解なボディに注意。
 

 昨日シュローズレーシングシステムにデリバリーされたローラB07-10/Juddが、ペンブリーでシェイクダウンテストを行った。ステファン・モックのドライブで、システムの確認のため38周を周回した。

 完全なカタチのローラB07-10は、初めて公開されるが、幾つか不可解な部分が存在する。

 新たにデザインされたフロントノーズは、既にフェルナンデスローラに装着されて走行しているものと変わらない。しかし、ボディサイドからリア周りに目を移すと、不思議な部分が幾つか存在している。

 昨年B05系P1バージョンとしてB06-10が開発されている。昨年の場合、作られた3台のB06-10の総てがAER製3.6リットルV8ターボエンジンを搭載したことから、ラジエターに加えてインタークーラーを装備した。ラジエターを通過した高温の空気は、エンジンルームに進入させないで、リアホイール手前のサイドボディから、外へ排出されていた。
 シュローズレーシングシステムのローラB07-10は、NAのジャドGV5.5 S2エンジンを搭載するため、もちろんインタークーラーはない。ところが、リアホイール手前に空気のアウトレットが存在する。

 最初に登場したB05-40は、この部分に、逆に空気を取り入れるインレットが設けられており、エンジンルームを通過して、テイルエンドに空気を流して、リアウイングによって吸い出すことで、サイドボディの空気の流れを促進して、フロントのディフューザーの効果を高めていた。

 B06-10は、AER製のV8ターボエンジンを搭載するため、B05-40のデザインのポイントだった、サイドボディからエンジンルームを通ってテイルエンドへ空気を流す方法が使えなくなった。それどころか、苦肉の策で、それまで空気を取り入れていたリアホイール手前のサイドボディから、ラジエターを通過した空気を排出されることとなったと考えられていた。そのため、昨年ダイソンが走らせた時、B05-40と違う空力性能(つまり、B05-40に劣る)に悩まされることとなった。

 どうして、ターボエンジンのサイドボディのエアアウトレットがそのままなのか理解し出来ない。

 他にも不可解な部分が存在している。
 改めて言うが、このマシンはNAのジャドGV5.5 S2エンジンを搭載している。リアホイールアーチ手前のボディ上面に注意。昨年AER製V8ターボエンジンを搭載したB06-10で、ターボへの空気を取り入れるために設けられたエアインテイクがそのまま装備されている。
 何のために使われるのだろうか?

 最後の疑問は、2つのロールバーの内側に設けられたリストリクターだ。
 2年前、初めて2004年レギュレーションのプロトタイプカーが登場した時から、ACOのテクニカルダイレクターであるダニエル・フェルドリックスは、転倒時に衝撃吸収部材となる、ロールバー内側にリストリクターを設けることを承諾しなかった。どうしても、高い位置にリストリクターを設けたいのであれば、助手席のヘッドレスト部分に穴を開けて、リストリクターを設けることを求めていた。

 唯一の例外は、昨年のBKモータースポーツのクラージュC65/マツダで、サイドボディ上に大きなインダクションボックスを設けるのに苦労していたことから、IMSAによって、暫定的に、ロールバー内側にリストリクターを設けることが認められた。

 こうして見ると、昨日ペンブリーで走ったマシンは、AER製V8ターボ用のシャシーに手を加えて、ジャドのV10を積んだだけのように思える。本当のB07-10はノーズだけなのではないだろうか?

 ちなみに、シュローズローラには、オーナードライバーのヤン・シュローズとステファン・モックと共に、昨年Racing for Holland童夢を操ったアレックス・ユーンが乗り組み、ルマンとLMSを闘う。


3月14日
●セブリング12時間レースウィークスタート P1 AUDI/P2 Porsche/GT1 Corvette/GT2 Ferrari

Photo:ALMS

◆プロトタイプクラスはアウディが1-2  P2クラスはペンスキーポルシェ
 今年最初の大々的なスポーツカーレースであるセブリング12時間のレースウィークがスタートした。
 決勝レースは17日(土曜日)に行われるが、セブリングの場合、何と月曜日からフリープラクティスとして、走行する機会が与えられている。月曜日午後になると、IMSAも計測を開始した。

 最初のセッションを制したのは、予想通りアウディR10だった。2台のR10が1位と2位のタイムを記録する一方、ペンスキーの走らせるP2クラスのポルシェRSスパイダーが3位のタイムを記録した。他のポルシェRSスパイダーを破って、総合4位、P2クラスの2位に食い込んだのは、AGRの走らせるクラージュ/アキュラだった。もう1台のペンスキーポルシェとアンディ・ウォーレスのダイソンポルシェに続いて、7位(P2クラス5位)にはアキュラ勢の期待を一身に集めるフェルナンデスローラがつけた。
 ダイソンの2台目のRSスパイダーは、初めて本格的な走行を行うことから、少々出遅れている。

 P2クラスのマシンは、昨年と同じ大きなリストリクターを装着しているが、2台のアウディR10の1秒遅れのタイムを記録するのが精一杯なようだ。

 インタースポーツは、先週クリエイションからCA-06Hハイブリッドカーを受け取ったばかりで、取り敢えず走っていることを感謝していることだろう。

 先週スネッタートンでシェイクダウンを行ったBKモータースポーツのローラ/マツダは、やっとマシンの搬入作業が開始されたところで、もちろん走行していない。

Proto
1 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分45秒177
2 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 1分45秒816
3 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 1分46秒988
4 P2 No.26 Courage LC75 Acura AGR 1分47秒077
5 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 1分47秒174
6 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 1分47秒417
7 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 1分47秒544
8 P2 No.9 Courage LC75Acura Highcroft 1分48秒038
9 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 1分49秒987
10 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 1分50秒965
11 P2 No.27 Lola B05/40 Judd Horg 1分53秒072

◆GT1クラスはコルベット GT2クラスはフェラーリがトップ3を独占

Photo:ALMS

 GT1クラスはたった3台しかエントリーが集まらなかった。順当にGMワークスのコルベットが1-2を占めるが、僅差でモデナチームのアストンマーティンが付けている。

 GT2クラスは、フェラーリがトップ3を独占して、ポルシェ勢を圧倒している。リシーのNo.61やJMBのNo.24等、優勝候補でありながら、初日充分に走れなかったにフェラーリもあるため、壊れないのであれば、フェラーリのワンサイドゲームとなる可能性も出てきた。

GT
1 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 1分58秒557
2 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 1分58秒857
3 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 1分58秒929

1 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分2秒880
2 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 2分3秒020
3 GT2 No.32 Ferrari F430GT Corsa/WhightLightning 2分3秒639
4 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 2分3秒661
5 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分3秒718
6 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分3秒835
7 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 2分4秒555
8 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 2分4秒720
9 GT2 No.61 Ferrari F430GT Risi Competizione 2分5秒163
10 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分5秒476
11 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 2分5秒534
12 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 2分5秒851
13 GT2 No.86 Spyker C8 Spyker Squadon 2分6秒572
14 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 2分7秒436
15 GT2 No.24 Ferrari F430GT JMB 2分7秒564
16 GT2 No.53 Panoz Esperante GTLM Robertson 2分15秒725
17 GT2 No.10 Porsche 997GT3RSR Konrad 2分19秒006
18 GT2 No.77 Porsche 996GT3RS Autoracing Club Bratislava No Time



3月13日
●2006年モデルのニッサンZが、スキッドブロック無しでSUPER GT鈴鹿への出走許可を獲得!

Photo:Sports-Car Racing

 2007年のSUPER GTは、速過ぎるGT500マシンの速さを削減する目的で、GT500クラスにスキッドブロックの装着を求める新しいレギュレーションが導入したことが、最も大きな特徴だった。
 GT500の新しいレギュレーションは、厚さ30mmのスキッドブロックを、ホイールベース間の床下に装着することを義務付けたため、走行状態でほとんど0に近かったロードクリアランスが、物理的に30mm以上となるため、路面効果によって獲得していた大きなダウンフォースが発生しないだけでなく、走行状態で30mm重心が高くなる。その結果、ラップタイムを2秒引き下げることを目的としていた。

 ところが、スキッドブロックの装着を考慮していない2006年モデルの床下に30mmのスキッドブロックを取り付けると、ダウンフォースや重心の高さだけでなく、サスペンションジオメトリーが30mmずれてしまう。そのため、2006年モデルを走らせるチームは、フレームを改造して、サスペンションの取り付けポイントを30mm移動して、最適なサスペンションジオメトリーを維持しなければならない。

 重心の高さや減るダウンフォースは、どのクルマにも等しく影響する内容だが、2006年モデルをそのまま走らせる限り、サスペンション性能に致命的な弱点を抱えてしまう。
 実際2006年モデルのトヨタSCを走らせる3つのチームは、TRDが用意したコンバージョンキットによって、フレームを作り直して、最適なサスペンションジオメトリーの維持を目指しているようだ。

 他の2006年モデルは、3台のニッサンZだった。彼らはシーズン途中から、新たに作られる2007年モデルを走らせることから、その行方が注目されていた。
 大方の予想では、2007年モデルを受け取るまで、3台の2006年モデルのニッサンZは最後尾争いを行うものと思われていたが、誰も考えていなかった方法で、優勝戦線への復帰を実現してしまった。

 SUPER GTの場合、他のレギュレーションに従って作られたGTマシンが参加する場合、そのマシンの基のクルマがFIAやJAFのホモロゲイションを持っていたとしても、特認扱いによって、性能調整を行って、参加を認めている。ACOやFIAのレギュレーションに基づいて作られたGTカー、あるいはNASCARやTransAmカー等も、このレギュレーションを活用すると、リストリクターの大きさや車重によって性能調整することで、SUPER GTへ参加が可能となる。

 ところが、2006年までのSUPER GTレギュレーションに従って作られたGTレースカーは、現在のSUPER GTとは違うレギュレーションのGTレースカーであるとの判断から、2007年レギュレーションが求める厚さ30mmのスキッドブロックを装着しないで、特認申請を行うこととなった。

 様々な意見が提案されたらしいが、結局SUPER GTは、3台の2006年モデルのニッサンZに対して条件付きで、2006年のまま、つまり、スキッドブロック無しでレースへの出走を認めることとなった。
 しかし、2006年のままと言うことは、スキッドブロックだけでなく、2007年レギュレーションで幅330mmに制限されたリアウイングも、幅400mmの大きな状態のままであるため、何もハンデキャップが無いのであれば、圧倒的に有利となってしまう。
 苦労して2007年レギュレーションに従ってマシンの開発を進めているレーシングチームの反発は必至であるため、SUPER GTでは50kgのハンデキャップウエイトを積むことを条件としている。

 2007年レギュレーションの骨子は、ラップタイムを2秒遅くすることである。常識的に考えると、50kgのウエイトハンデを積んで2秒も遅くなることは有り得ない。そこで、車両の特認そのものは、2007年末まで有効ながら、性能調整については第2戦まで有効としている。しかも、非常に反対意見が多い特認であることから、第1戦終了後、3車をまとめて、再び特認内容を見直すとしている。

 このアット驚く特認が認められたことによって、見捨てられていた2006年モデルの3台のZは、一躍優勝争いを演じることは間違いないだろう。


3月13日
●モーガンがFIAGT3Cupに挑戦   ドライバーにジャン・ポール・ジャボイユとジャック・ラフィー!

Photo:Morgan
 モーガンがスポーツカーレースに復帰する。右の写真の後ろで談笑している左側が、既にドライブを決心したジャック・ラフィー、右はご存じアラン・プロスト。


 場違いと言われながらも、モーガンは、しばしばモーターレーシングに挑戦している。最近は2004年、AERO8によってセブリングやルマンに参加している。残念ながら、見た目通りの大きなドラッグと未熟なサスペンションによって、素晴らしいパフォーマンスを発揮することは出来なかった。

 昨年FIAGT3Cupがスタートしたことから、モーガンの参加が噂されていたが、Auto GT Racingによって、3台のモーガン アエロ8 GT3がFIAGT3Cupに挑戦することが決定した。

 アエロ8 GT3とは、アエロ8をベースとして開発されている。もちろん、2004年のルマンバージョンと同じ420馬力を発生するBMW製の5リットルV8ドライサンプエンジンを積み、ホリンジャーの6速シーケンシャルミッション、APの6ピストンブレーキを装備する。2004年から大きな進歩を遂げた部分は、カーボンファイバーコンポジット製ボディワークと作り直されたサスペンションだ。

 先週ジュネーブショーで正式にプロジェクトが発表されたが、何とアエロ8 GT3のドライバー陣には、ジャック・ラフィーとジャン・ポール・ジャボイユの名前が掲載されていた。会場には、他にもアラン・プロストが姿を見せる等、華やかな雰囲気に包まれていた。

Photo:Sports-Car Racing
 2004年のルマンに登場したアエロ8は、BMWエンジンの大パワーによって、素晴らしい加速力を発揮したが、見た目通りの大きなドラッグと未熟なサスペンションによって、ルマンに華を添えただけだった。


3月12日
●2007年のClassic Endurance Racing               2008年のクラシックルマンの予選も兼ねる

Photo:Sports-Car Racing
 904や906が参加するイベントはあっても、常に917や908が全開で走るイベントはCERだけだ。

 2004年にLMESがスタートした時、パトリック・ペーターは、最新のスポーツカーによるLMESとダブルヘッダーでヒストリックカーによるClassicEndurance Racing(CER)を開催するを決心した。
 パトリック・ペーターは、復刻版ツール・ド・フランスであるツールオートをはじめとする、トップクラスのヒストリックカーレースのオーガナイザーだったため、理想的な組み合わせと考えられていた。

 ツールオートは、公道も走行することから、スポーツプロトタイプカーが参加する場合、非常に気をつけなければならなかった。そのため、これまで単独イベントでポルシェ917や908が走ることはあっても、レースシリーズとして走ることはなかった。2004年のCERは、初年度からポルシェ917や908がたくさん登場して、見応えのあるレースを展開したため、2005年のLMESが少々寂しい状況となった時、むしろ、CERの方が豪華なエントリーを集めて、観客の興味を惹くこととなった。

 4年目の2007年も、ヨーロッパ内で行われる5つのLMSのイベントで、ダブルヘッダーとしてCERは行われる。2007年の場合、1966年〜1979年までのクルマを対象として、プロトタイプカーと、GTとツーリングカーの2つクラスに分けてレースは行われる。
 従来通り、決勝レースは1時間の時間レースで、1回のピットストップが義務付けられる。しかし、ドライバー交代の義務付けはなく、ドライバーは1人でも2人も可能となっている。

Photo:Sports-Car Racing
 左のデイトナコンペティションは、ジャン・クロード・アンドリューのドライブで活躍したシャルル・ポッジのマシン。右の917は、ご存じジョン・ワイヤのガルフチームのマシン。上の2台の917がスプリントレース用として、低い車高(たぶん当時よりも低い)であるのに対して、ガルフ917は、クルツボディと言ってもルマンスペックで、当時ルマンで走った時と同じ、高い車高であるのに注意。ちなみに、ガルフ917の写真は、2004年モンツァで撮影されたもの。

 クラシックルマンとツールオートが異常な人気を集めているため、これまでは車種と共に、書類選考によって、参加チームを選んでいた。このような事情から、2007年の場合、2008年のクラシックルマンの予選も兼ねて、CERは行われることとなった。CERは1966年から1979年が対象であるため、GTとプロトタイプカーで、1966年〜1972年と1973年〜1979年に分け、それぞれ3台ずつ12台が、2008年のルマンクラシックへエントリーする権利を獲得出来る。

 40年も前に生産されたスポーツプロトタイプカーを全開で走行させるため、CERは、40年前に存在しなかった一部のコンピューターコントロールの使用を許可している。そのため、セッティングの難しい、クーゲルフィッシャーのインジェクションや6連装のウェーバーキャブレターを、現在でも短時間で最適な状態に仕立てて、ポルシェのフラット12やフェラーリのV12を全開で運転することが可能だ。

 先日ローラがT70の再生産を決定した理由の1つは、CERのような高度なヒストリックカーレースが、継続的に行われることとなったためだ。再生産T70は、クラシックルマンへ参加することは出来ないが、CERであれば、条件付きで参加することが可能で、ほとんどの場合、ポイントも与えられる。

2007 Calendar
4月13日〜15日 モンツァ(I)
5月4日〜6日 ヴァレンシア(E)
6月29日〜7月1日 ニュルブルクリンク(D)
8月17日〜19日 スパ-フランコルシャン(B)
9月14日〜16日 シルバーストーン(GB)

3月9日
●ステファン・ラテルがプロデュースするFIAGT3とGT4カップの正体

Photo:FIAGT3
 ノガロに集まったGT4カー。アストンマーティンヴァンテッジはちょっと高級かもしれないが、誰もが考える走りに徹したスポーツカーのレースとしてGT4カップは構想されている。

 今年SRO(ステファン・ラテル・オーガニゼイション)は、FIAGTの幾つかのイベントで、新たにアマチュア向けのエントリーカテゴリーとして、GT4カップを開催する。昨年からSROはFIAGT3カップを開催しているため、その下のカテゴリーであることは容易に想像出来る。しかし、既にGT3カップが存在しているのに、どうして、もう1つ似たようなカテゴリーが必要だったのだろうか?

 少々整理すると、元々FIAにはGT1とGT2の2つのGTカーのカテゴリーが存在している。この2つのカテゴリーは、1998年限りで元々のGT1カテゴリーが消滅した結果、その後しばらくの間、それぞれGTとN-GTと呼ばれていた。正確に言うと、1998年までN-GTはGT3と呼ばれて、国内選手権でしかレースは開催されていなかった。GT1が消滅したままであることから、つい最近になって、それまでのGTをGT1に、N-GTをGT2に、名前だけを格上げすることとなった。
 ポルシェがGT2カーであるにも関わらず、GT3Rと名付けている理由はここにある。
*Sports-Car Racing Vol.16を参照してください

 この2つのカテゴリーは、ロードカーベースと言いながらも、レースのために作り替えられて、GTレースカーとして、ロードカーとは別にホモロゲイションが要求されるレース専用GTだ。

 つまり、ロードカーベースのGTカーのカテゴリーは、しばらくの間、FIAが関わるイベントでは存在しなかった。ナショナルレギュレーションとして運用されているだけだった。
 ところが、世界中でレースに向いているロードゴーイングスポーツカーがたくさん存在していることに目をつけて、昨年アマチュア向けのカテゴリーとして、ステファン・ラテルはGT3カップを構想した。
 FIAGTのイベントの前座として開催することから、FIAGT3カップの名前を与えることにも成功した。

 しかし、いつの間にか、完全なロードカーではなく、常識的な改造を認めることとなった。
 FIAGT3カップのマシンは、ロードカーをベースとして、常識的な範囲で改造を加えたクルマで、日本的に解釈するなら、スーパー耐久マシンと言うべきだろう。

 アストンマーティンDBRS9やコルベットC6Z06、そしてバイパーGTSR等は、GT1カーとほとんど変わらない、550馬力以上の大パワーを持っている。しかし、ロードカーに手を加えただけのサスペンションと重い車重によって、GT3の身分を超える速さを発揮することは出来ない。
 これらのGT3カーは、基本的にメーカー自身か、大規模なコンストラクターによって、まとまって生産や改造が行われている。そのため、車種によって性能を特定し易く、FIAGT3カップが打ち出したハンデキャップルールを実施し易かった。

Photo:FIAGT3
 左のコルベットC6Z06には、引退したクラウス・ルドビクが、モンツァテストで乗り組んだ。右のジャガーXKRは、リチャード・ロイドのAPEXモータースポーツが走らせている。


 ステファン・ラテルがGT3カップを構想した時、相互乗り入れを狙ったのは、北アメリカで行われているスピードビジョンカップと日本のスーパー耐久だった。実際2005年末ポールリカールで行われたFIAGT3カップのイベントにはスーパー耐久バージョンのニッサンZが参加している。

 FIAGT3カップのもう1つの側面は、FIAGTに参加するレーシングチームに対して仕事を与えるためで、ほとんどの場合、GT1かGT2に参加しているレーシングチームが、GT3カーのメンテナンスを請け負っていた。2006年は50台ものエントリーを集めたことから、大成功と言って良いだろう。
 FIAGT3カップは、お金持ちのアマチュアが楽しむためのカテゴリーとして人気を集めた。

Photo:FIAGT3
 左がFIAGT3カップバージョンのマスタングFR500、右がGT4カップバージョン。こうして比べると明らかなように、GT4カップカーはロードカーそのままであるのに対して、FIAGT3カップカーは、特製のサスペンションやエアロパーツによって、それなりに改造が加えられている。

 ところが、元々のロードゴーイングスポーツカーのカテゴリーが存在しなままだったことから、新たにGT4の名前でエントリーカテゴリーを設けることとなった。
 GT4カーは、誰もが考えるロードゴーイングスポーツカーのカテゴリーそのもので、アストンマーティンヴァンテッジ、マスタングFR500、ロータスエクシージ等を対象としている。車種をみても明らかなように、GT3カーの多くが、そのブランドのフラッグシップであるのに対して、走ることを目的とした、どちらかと言うと、軽量コンパクトなクルマが登場する。ナンバー付き車両での参加も可能らしい。

Photo:FIAGT3
 ノガロテストに現れたニッサン350EVO。FIAGT3CUPが説明するように、ニスモバージョンそのもののようだ。

 3月6日と7日にノガロで行われたテストには、ニッサン350EVOも登場している。ニッサン350EVOの詳細は不明だが、FIAGT3CUPの説明によると、ニスモバージョン(Zチューン)を指すらしい。
 2007年の場合、取り敢えず、FIAGTの5つのイベントで併催される。
 FIAGT3カップと違って、GT4カップは、スポーツカーレースにおける純粋なエントリーカテゴリーであることから、現在のポルシェカップのように、GT4カップをスタートとして、GT2やGT1にステップアップするドライバーが現れることを狙っているようだ。

FIAGT3Cup
5月5日 シルバーストーン(GB)
5月20日 ブカレスト(RO)
7月8日 オッシャースレーベン(D)
9月23日 ブルーノ(CZ)
11月10日 ドバイ(UAE)

GT4Cup
5月5日 シルバーストーン(GB)
7月8日 オッシャースレーベン(D)
7月28日 スパ-フランコルシャン24時間(B)
9月8日 アドリア(I)
9月30日 ノガロ(F)
*2月6日、2月23日に関連NEWS有り

3月8日
●ローラ/マツダシェイクダウン

Photo:Lola Cars
 B07系スポーツカー最大の特徴である、持ち上がったノーズ先端に注意。

 今年ALMSでBKモータースポーツが走らせるLola B07-40/マツダのシェイクダウンテストが、スネッタートンで行われた。ステアリングを握ったのはベン・デブリンで、トラブル無しで26周を周回した。しかし、ヘビーウェットのコンディションだったため、本格的なテストは不可能だった。

 写真で判るように、2007年のローラスポーツカーの特徴である、ノーズ先端が持ち上げられ、床下へ大きな空気の流れを導入する他、行き場を失ったブレーキ冷却用のインテークは、ノーズ中央を持ち上げて、その下に設けられている。

 マツダの直列4気筒エンジンをベースとして、AERが開発したマツダMZR-Rターボエンジンを搭載する。MGをベースとしてAERが開発したP07 4気筒ターボエンジンは、現在P2のスタンダードエンジンとなっている。そのため、容易にMGターボと置き換えることが出来ると思っていたら、AERは、P07の次の世代を目指して、様々なトライを行っているそうだ。
 リアカウルに設けられたエアインテークは、MGターボ用の場合、リアのホイールアーチの前に置かれているが、LMP675のMGローラEX257(ローラB01-60)のように、リアカウル上に移動した。
 つまり、エキゾーストとタービンのレイアウトが違う。

 もう1度スネッタートンを走るプランもあるようだが、セブリングでは月曜日から走行することが可能であるため、予定通り来週直接セブリングへ送られて、本格的なテストを行うかもしれない。

*1月19日関連NEWS有り


3月8日
●2007年のアウディR10   セブリング12時間でデビュー決定

Photo:AUDI AG
 ミュンヘンで公開された2007年バージョンのR10は、既にセブリング用の高ダウンフォースパッケージに仕立て上げられていた。段差がついたノーズ部分は、ほんちょっと2006年バージョンと違うらしい。2007年最大の違いは、2002年と同じように、フェンダー上も赤く塗られるようになったカラーリングかもしれない。
 

 月曜日夜ミュンヘンで、アウディは2007年バージョンのR10を発表した。

 アウディR10の大きな弱点は、テイルヘビーな重量配分だった。その大きな理由は、250kgに達する巨大な5.5リットル90度V12ディーゼルターボエンジンだった。

 昨年秋非公式に伝えられた情報によると、2007年バージョンのR10は、50kg!程度エンジンが軽くなると言われていた。例え50kg軽くなっても、まだ重いエンジンであることは変わらないが、本当にアウディが50kgも軽量化を目指すのであれば、エンジン本体のヘッドやブロックを作り替えると考えられていた。

 しかし、我々が想像する以上に、ディーゼルターボエンジンは大きな強度が必要らしく、アウディは、信頼性が確認された、基本的に2006年と同じヘッドとブロックを使って、エンジンの改良を行っていた。
 では、どこで軽量化を実現するのか?と言うと、アウディの発表によると、エンジン後方のオーバーハング部分にレイアウトされているパティキュレートフィルターだ。

 パティキュレートフィルターは、ディーゼルエンジンには不可欠な装備だが、まだ開発途上のアイテムであることから、非常に大きく、当然ながら重かった。
 テイルヘビーな重量配分だけでなく、エンジンルーム後方に位置するため、空気の抜け道を塞いでしまって、熱の問題の理由の1つともなっていた。

 アウディは、パティキュレートフィルターによって、どれくらいの軽量化を達成したのか、明らかとしなかった。しかし、テイルエンドに位置するパティキュレートフィルターの軽量化は、前後の重量配分の改善に大きな効果があることは間違いないだろう。

 2007年ACOの基本レギュレーションは、ガソリンとディーゼルの熱発生量の違いを考慮して、ディーゼルエンジンカーに対して、10%少ない81リットルの燃料タンクを義務付けている。小さな燃料タンクの対策として、ボッシュと共にアウディスポーツは、マネージメントシステムの改良に取り組んでいた。
 その結果650馬力の最大出力はそのままで、燃料消費率を向上させることに成功した。
 650馬力が謙虚な数字であることは言うまでもない。充分過ぎるパワーを維持しながら燃費と向上させたと理解するべきだろう。
*Sports-Car Racing Vol.17を参照してください

 基本的に同じモノコックとボディが使われる。2006年との違いは、ボディサイドに開けられたスリットが小さくなっているだけのように思える。
 このスリットは、昨年予想以上に大きな熱を発生することが明らかとなった後、設けられたもので、ラジエターを通過した空気の一部を、エンジンルームに入れないでボディの外側に排出するためだ。
 もし、パティキュレートフィルターの小型化によって、熱がエンジンルームにこもらなくなった結果であるなら、エンジンの改良は空力にも影響を及ぼす良い例と言えるだろう。

Photo:AUDI AG
 横から眺めると、2006年バージョンとの唯一の違いは、シェルマーク後方に開けられたスリットの数が少なくなっていることだけだ。

 暫定的な2007年バージョンは、昨年11月セブリングで初めて走行した。その後改良が加えられ、今年2月再びセブリングで走って、好印象を与えている。

 2007年のALMSは、アキュラとポルシェによって、P2クラスで激しい闘いが行われるが、P1クラスの有力なエントリーは、アウディだけとなってしまった。既報通り、この状況を憂慮したIMSAは、2007年にACOが縮小したP2のリストリクターを、再び大きくして、P1のアウディと総合優勝争いをさせようと目論んだ。

 本家ACOと違って、近年のIMSAは、拮抗したレースの実現を目的として、遅いクルマを引き上げ、速いクルマの性能を引き下げるため、ALMSでハンデキャップレギュレーションを導入している。2006年の場合、同じP1クラス内で車重に65kgの差が設けた。
 もちろん、重くされたのはアウディだった。

 これまでの性能調整は同じクラス内で行われていた。ところが、2007年IMSAは、格下のP2を引き上げて、P1の対抗馬としようとした。誰だって、同じクラス内で負けることはあっても、格下のクラスのクルマに負けては、格好が付かないだろう。
 そこで、既に2006年12月、アウディは大まかな2007年の計画を公表していたにも関わらず、2月になって、アウディスポーツのウルフガング・ウルリッヒは、「ALMS開幕戦セブリング12時間へは参加する。しかし、その後R10をヨーロッパに引き上げるかもしれない」とコメントして、不満を明らかとしていた。

 残念ながら、ミュンヘンでも、セブリングの後のALMSについての発表はなかった。
 2000年以来アウディは、セブリングで7連勝して、連勝記録もかかっている。
 大方の見方では、セブリング後もアウディはALMS参戦を継続すると見られている。しかし、セブリングでアウディが苦戦して、セブリングの1週間後に行われるLMSポールリカールテストでプジョーが好走するようなことがあれば、ルマンにターゲットを定めて、テストに集中することになるかもしれない。

*1月8日、2月3日、2月9日、2月10日関連NEWS有り

3月7日
●LMSポールリカールテストに38台が参加   プジョーは本番仕様の908を公開

Photo:Peugeot-Media
 ご覧のように、やっと本物のヘッドライトが取り付けられたボディが登場した。ノーズ床下に注意。昨年9月パリサロンで9/10モックアップが公開された時、ノーズ先端には一つ目のヘッドラインプが取り付けられていた。その時は何のために、このようなデザインとなったか?不明だったが、この写真で明らかなように、ノーズ下のフィンを隠すためだったことが判る。しかし、カラーリングと共に、このボディも、最終バージョンであるとは思えない。
 

 今年、ルマンを中心とするヨーロッパのスポーツカーレースが、史上空前の賑わいを見せている。何とLMSは51台のシリーズエントリーを集めている。
 プロトタイプクラスのレギュレーション変更によって、エントリーの減少が心配されていたが、そのような心配は必要なかったかもしれない。

 LMSだけでなく、ルマンのみをターゲットとするレーシングチームにとって、最初のビッグイベントは、3月25日〜26日にポールリカールで行われるLMS合同テストだ。
 今年はACO関連だけでも38台が、ポールリカールテストに参加する。

 ACO関連だけ!と表現したのは、このテストは、毎年、他のカテゴリーからも、走行依頼が寄せられている。支障がない限り、ACOは、これらのチームも受け入れているが、今年はフェラーリのGT3カーとマセラッティが、相乗りを求めている。

 LMSポールリカールテストは、元々2004年にLMS(LMES)が誕生した時、シリーズの振興を目的として実施することが計画された。
 ポールリカールは、決勝レースの1週間目の公式テスト以外走ることが出来ないサルテサーキットを想定したテストが可能な数少ないサーキットだ。そのため、ファクトリーチームや資金に余裕のあるトップチームは、ポールリカールを貸し切って、ルマンをシュミレートした高速耐久テストを行っている。
 そこで、どうせポールリカールでテストするのであれば、プライベートチームにも、ファクトリーチームと同じ、ルマンのサルテサーキットをシュミレートした高速耐久テストの機会を与えることとなった。

 そのため、24時間に渡って走行することも可能だが、ニューマシンが多いことから、24時間テストへの参加を申請したのは3台だけだった。
 エントリーリストと各車の走行時間は、下記に示す、LMSは発表したエントリーリストに掲載されているが、今年の目玉は、もちろんプジョー908クーペだろう。

http://www.lmes.net/2007/uk/essais/liste_engages.asp/

 プジョー908は、シェイクダウンを含めて、これまで2回ポールリカールを走っている。しかし、これまで走行したマシンは、ヘッドライトすら取り付けられていない、暫定的なボディを使用していた。開発に苦労しているのは伺えるが、今回、やっと、本番仕様と思われる、ヘッドライト付きのボディと共に走行することになるようだ。

Photo:Peugeot-Media
 サイドビューにも謎が多い。リアブレーキのクーリンングダクトとエンジンのエアインテークを一体としたインダクションボックスは、2年前のBKモータースポーツのクラージュ/マツダが変更を要求されたように、明らかに突出量が多き過ぎる。レギュレーションをクリアする言い訳が無いのであれば、BKモータースポーツのように、下にスティを設けることとなるかもしれない。

 同じく初公開となるのは、童夢S101.5、ローラB07-10(17)、ペスカロロS01、ザイテック07S/2だ。童夢とザイテックは、このテストがシェイクダウンとなる。

 ローラはジャドV10を搭載するシャロースレーシングシステムのマシンだけが間に合う。ジャドV10付きのローラB07は、-17と名付けられているが、V10搭載に併せて、リア周りをデザインし直したバージョンを-17と呼ぶようだ。

 シュロースレーシングシステムと共に、チェンバレンのB06-10も、B07-10用として開発された、新しいボディを装着して走行する。既にフェルナンデスのアキュラP2ローラに装着して、この新しいボディは走行しているが、10%少ないドラッグと8%大きなダウンフォースを発生すると、ローラは発表している。
 残念ながら、スイススピリットのローラ/アウディは、アウディV8搭載に伴って、様々な変更が加えられているらしく、今回のテストはパスした。
 AERと同じV8ターボであるため、組み合わせるのは容易と思っていたが、完全主義のアウディらしく、いろいろな部分をいじっているのだろう。

 ペスカロロは、既に、本家ペスカロロスポーツとカスタマーのロールセンター共にシェイクダウンテストを済ませているが、本格的な走行は今回が初めてとなる。

 アキュラは、既にクラージュLC75のボディを、ニック・ワースによって作り替えてしまったが、本家クラージュコンペティションは、昨年と同じボディを使用する。
 クラージュは、24時間テストを行う唯一のP1チームだ。

 一旦ペスカロロと仮契約したソルニエレーシングは、既報通りクラージュLC75を走らせる。昨年スイススピリットのレースメンテナンスを担当して、クラージュに懲りているハズのソルニエが、どうしてクラージュに戻ったのか興味深い。

 今年のスポーツカーレースを占う重要なテストとなることは間違いない。


3月6日
頑張れ板東正明    SUPER GTは無くならない

 SUPER GTが大変な状況に陥っている。これが他のカテゴリーであったら、誰も知らないまま、シーズン開幕を迎えることなく、姿を消してしまったことだろう。
 しかし、SUPER GTはたくさんのファンの支援を受けていた。もちろん、レーシングチームは、それらを無視することは出来なかった。

 そうして板東正明のGTエントラント協会(GTE)を中心としたGT再生派は動き出した。ほとんど総てのレーシングチームが、GTEとして結束して改革に乗り出した。
 もちろん、この動きを3つのメーカーも全面的に支援した。

 彼らが素晴らしいのは、問題を生じさせた者達への責任の追及を先送りして、前に進むことを選択したことだ。そのため、先日鈴鹿で無事公式テストも行われた。現在3月18日の開幕戦にむけて、彼らは全力で作業に取り組んでいる。

 新組織が正式に稼働して、問題の再発を防止するため、過去の責任が追及され、確固たる存在を確立するのは、もう少し先の話しとなるだろう。

 読者の方々は、問題の本質を知りたいと思います。しかし、現在、正常化にむけて、たくさんの方々が、全力で努力しています。ほとんど寝ていない方々も少なくありません。彼らがSUPER GT再生に目処をつけるまで、当方は、この問題について、一切掲載することはありません。
 今年の暮れ、過去の笑い話として、ストーリーを掲載出来ることを願っています。

鈴木英紀


3月4日
●6台のルマン優勝アウディが、一同に会して6月17日まで展示される

Photo:AUDI AG
 左から2006年のルマンでディーゼルエンジンカーとして史上初めて優勝したR10、真ん中が2005年に優勝したチャンピオンレーシングのR8、右が2004年に優勝した、ご存じチームゴウのR8。
 写真では見えないが、右側にも2000年から2002年のルマンで優勝した3台のR8が展示されている。

 1999年ルマンに登場したアウディは、翌2000年から圧倒的な強さを発揮して、あっと言う間にR8は三連勝を達成した。三連勝を機会として活動を休止して、アウディスポーツ自身はベントレーのルマンプロジェクトを手伝って、2003年に成功した。しかし、R8の強さが失われた訳ではなく、2004年からプライベートチームの走らせるR8によって、2004年にチームゴウ、2005年にチャンピオンが優勝した。

 2006年になると、アウディは90度V12ディーゼルターボエンジンを開発して、新しいR10に積んでルマンに挑戦した。そして、史上初めてディーゼルエンジンカーとしてルマンに君臨したのは、記憶に新しい。

 これらの6回のルマン優勝マシンは、ほとんどの場合、一旦ルマンのサルテサーキット入り口のルマン博物館で展示された後、彼方此方の様々なイベントに貸し出されている。そのため、これらの6台が一同に会する機会はなかった。

 このほど、インゴルシュタットのアウディ博物館において、これらの6台のルマン優勝マシンが、一つのブースにまとめて展示されることとなった。
 展示される期限は、2007年6月17日! そう、今年のルマンがフィニッシュする日まで、6台のルマンで優勝したアウディスポーツカーは展示される。

 2007年のルマンで、プジョーを破って、再びR10が優勝するのであれば、7台に増えた展示が、再び行われることになるのだろう。



3月1日
●2007年のJimGainerフェラーリ  フロントにもリアと同じ大径タイヤを装着

Photo:Sports-Car Racing

 昨年までSUPER GTで童夢製のフェラーリを2台走らせたJimGainerは、昨年工場が造り替えられて、様々な作業を効率良く進めることが可能となったのに併せて、独自にマシン開発に取り組んでいる。

 ベースとなったのは、昨年活躍したフェラーリ360モデナだ。このマシンは、童夢によって徹底的に風洞実験が行って開発されたが、フェラーリに適したエンジンがなかったため、360スタンダードの3.6リットルエンジンを、戸田レーシングが、レギュレーションの区切りである3.5リットルに縮小して、搭載位置を引き下げるため、エンジンの下半分を作り替えたものが搭載されていた。しかし、それ以上の開発は、プライベートチームの予算では難しかったことから、積極的な開発は諦めなければならなかった。
 不充分なドライバビリティと、燃費の悪さに苦しんだため、2005年後半戦で無限の4.5リットルV8を積んだことはご存じだろう。

 充分な風洞実験による高度な空力性能を活かして、タイヤやエンジン等を最新スペックとするだけで、素晴らしいポテンシャルを発揮することが見込まれていた。

 エンジンとして白羽の矢が立てられたのは、FIAGTやALMSでポルシェを蹴散らして活躍するフェラーリF430GTの4リットルV8だった。
 このエンジンは、360モデナとも同じF131系列で、F430の4.3リットルバージョンをベースとして、昨年フェラーリがレース用として4リットルで作り替えたエンジンだ。昨年F430GT搭載され、世界中のGTレースでポルシェを圧倒するポイントとなった。

 しかし、同じF131系列であっても、360モデナ用がスターターモーターがベルハウジングに取り付けられるのに対して、F430GT用でエンジン本体に取り付けられるため、同じように、エンジンの下半分を作り替えて、低い位置にマウントする場合、より低い位置にエンジンを搭載することが可能となる。しかし、そのためには、リア周りのフレームを作り替えなければならない。

 そこで、F430GT用エンジンの搭載は先送りとして、2段階で計画は進められることとなった。

 最初に現在の360モデナのシャシーの改良が行われた。昨年GT500クラスに登場したNSX-GTが、フロントにもリアと同じ大きなタイヤを履いたことはご存じだろう。JimGainerフェラーリも、リアと同じ直径710mm、幅280mmのタイヤを履くよう、フロント周りが大きく作り替えられた。写真で見ると、特に直径が大きくなったことから、フェンダーアーチが上に盛り上がって、フェンダー後方に行くに従って、下向きのフェンダーラインとなったことが良く判る。

Photo:Sports-Car Racing

 フロントに大きなタイヤを履くことから、タイヤ性能を引き出すため、前後の重量配分をフロントよりに仕立て直されている。
 この改良型360モデナによって2007年のSUPER GTに挑戦する。

 次のステップとして、F430GTのエンジンが組み合わせられる。
 エンジン本体は、現在戸田レーシングで開発中で、FIAやACOのGT2クラスと比べて、SUPER GTのGT300のリストリクターが小さいことから、F430GTと同じ4リットルとするのか? 逆にF430スタンダードの4.3リットルをベースとして、4.5リットルに拡大するのか?現在のところ決定してないようだ。

 また、F430GTは、GTレースカーとして、様々な部分、特にボディ形状に手が加えられているため、F430GTのボディ形状の方が有利と判断した場合、360モデナでなく、F430GTをベースとして、新たに作られる可能性もあるようだ。
 その場合、最終的に童夢で再び風洞実験を行うこととなるようだ。


2月28日
●2007年ルマン24時間レースエントリーリスト発表  55台のスポーツカーが6月16日午後3時にスタート


 2月27日ACOは、2007年のルマン24時間レースのエントリーリストを公表した。

 以前であれば、明らかに怪しいレーシングチームが、ダメもとでルマンの24時間レースの参加を目論んで、ACOにエントリー申請書を送りつけることも少なくなかった。そのため、エントリー総数が100台に達することもあった。その後、ACOが参加資格を厳しくしたため、怪しいエントリーは減ったが、それでも、2007年のルマン24時間へは76台のエントリー申請が行われた。

 今年の場合、ACOは三段階で、ルマン24時間レースのエントリーリストを決定した。最初に前年度の成績によって選定する。次に車種によって選定して、最後に、過去の成績を加味した選定を行って、55台を決定した。

 LMP1クラスの主役は、3台のアウディと2台のプジョーの5台のディーゼルエンジンカーだろう。

 ガソリンエンジンカーは、3台のペスカロロ/ジャド(ペスカロロスポール×2、ロールセンター×1)、それぞれ1台ずつのクリエイション/ジャド、ザイテック、童夢/ジャドが登場する。クリエイションは自分自身で、ザイテックは、2002年アウディUKの名前で、ガルフカラーのアウディR8を走らせたアレーナが、童夢は歴戦のRacing for Hollandが走らせる。これらの6チームは、総てが新しいP1カーを走らせる。

 ローラは、基本的に同じマシンであっても、違うエンジンと違う国のレーシングチームがエントリーしたため、3台のエントリーが認められた。スイススピリットは、注目のアウディエンジンを組み合わせたB07-10を、チェコのシャロズレーシングシステムは、ジャドV10を組み合わせたB07-10を、3台目は、チェンバレンがAER製3.6リットルターボエンジンを組み合わせたB06-10を走らせる。

 25周年を迎えたクラージュコンペティションは、AERエンジンを積んだLC70を2台走らせることが認められた。

 LMP2クラスは、1台のピルビーム/ジャド、2台のラディカル(ジャドとAERターボ)、3台のローラ(ザイテック×1、AERターボ×2、)、1台の童夢/マーダー、2台のクラージュ/AER、2台のザイテック、1台のペスカロロ/ジャドが選ばれた。
 昨年のLMSチャンピオンチームであるバラジイプシロンだけが2台のザイテックを走らせることを認められた。2台のクラージュの1台は、当初ペスカロロモノコックを使うと思われたソルニエレーシングが走らせる。
 日本人にとって注目されるのは、2005年まで寺田陽次朗が乗り組んでいたWRがエントリーを諦めたことだろう。

 GT1クラスは、アストンマーティンレーシング自身が走らせる2台を含む6台のアストンマーティン、ORECAの走らせる2台のサリーン、GMワークスの2台のコルベットC6R、ルック・アルファンドもC6RとC5Rの2台のコルベットを走らせる。ロシアのコンバースチームは、LMSでの活躍と車種選定によって、フェラーリ550マラネロでの参加を認められた。
 2台をエントリー申請したJLOCのランボルギーニムルシアーゴは、1台だけが参加を認められた。

 GT2クラスは、ポルシェに代わってフェラーリが最大勢力となった。5台のフェラーリF430GT、4台のポルシェ997GT3RSR、2台のパノス、2台のスパイカーだ。2台のパノスは、昨年GT2クラスで優勝したLNTチームが走らせる。

http://www.lemans.org/mailing/2007/02_27_invites/datas/jt2007_liste_invites.pdf

 以上の55台が、6月3日の公式テストへ参加する資格を持っているが、エントリーを諦めるチームが出た場合のため、同時にリザーブリストの8台も発表された。

 また、ヨーロッパサッカー選手権とバッティングするため、例年より1時間、昨年と比べると2時間早い、午後3時にスタートすることも決定した。


2月27日
●東海大学の挑戦は続く


Photo:Sports-Car Racing
  TWRジャガーXJR15をベースとして作り上げたテストカーは、4リットルターボエンジンが充分に開発されていることを証明している。現在テスト走行のテーマは、エンジンではなく、車体を開発するための、走行データを収集して、どうすれば、速く走ることが出来るのか?を研究する段階となっている。右は、今回公開された2スロットルの新バージョンエンジン。



 2007年も卒業式の季節となって、東海大学工学部動力機械工学科林・向井研究室の卒業研究発表会が行われた。今年の発表会は、富士スピードウェイで行われ、午前中にルマンをターゲットとして開発中のエンジンを積んだテストカーによる走行テストが行われる充実した内容となった。

 代表的な研究の幾つかが発表されたが、スポーツカーレーシングファンとして、もっとも興味深いルマンカーについては、新たに2スロットルとした最新バージョンが公開されると共に、肝心なシャシーフレームについての研究等が発表された。
 歩みは遅くても、着実に進歩していることは間違いないだろう。

 実際にルマン参戦が実現する場合、山形のYGKと共にマシンは共同開発されることも従来の内容と変わらない。では、一体何時ルマンに挑戦するのか? と言うと、現在のところ、時期については未定とのことである。

 大学にとって、学生の教育を柱としたプロジェクトであることは当然のことだ。であるから、4年毎にメンバーが入れ替わって、しかも、新入生には新たな教育が必要であるため、進歩の遅いのは、別に不思議でもない。それどころか、ほとんどの日本の大学の場合、まったく進歩が見られないことを、企業の方々は嘆いている。この現実を考慮すると、東海大学は、素晴らしい場を学生に提供することに成功している。

 このことを踏まえて、少々現実の話しをさせて頂きたい。

 東海大学が、ルマンプロジェクトの最初の段階として開発した4リットルターボエンジンは、決して最先端の技術のショールームではなく、実際に高性能を発揮することを目標としていた。そのため、初期段階から、順調に開発は行われていた。
 しかし、それは5年前のことであって、現在ターボエンジンの場合、小型軽量化が進む一方、より緻密なコントロールを目指して、直噴は当たり前となっている。

 車体については、彼方此方を少しずつ部分的に研究している段階であって、優れている?とも、劣っている?とも、判断することは不可能だ。

 これは、エンジンやシャシー、そしてタイヤの専門家にとっても同じ意見であるようだ。

 このような勉強の機会を得た学生の方々は、これから社会に出て、もし、童夢やローラ、あるいは、ジャドやAERで、実際にスポーツカーを開発するチャンスに恵まれるのであれば、この時のことを思い出して、頑張って頂きたい。
 最後に、再び言うが、日本で、このような機会を得られるのは、東海大学だけである。卒業生の方々は、このような貴重な経験をしたことに対して感謝して、頑張ってもらいたい。


2月23日   *2月27日追記
●FIAGTモンツァテスト  2007年のFIAGT

Photo:FIAGT
 ステファン・ラテルは、2007年のFIAGTを、誰もが考えるGTレースとすることに成功したようだ。この写真の中で、GT1カーは手前のマセラッティMC12、右側のBMSスクデリアイタリアのアストンマーティンDBR9、その後ろのランボルギーニムルシエラゴの3台。手前のフェラーリ430GTCと、その後ろのポルシェ997GT3RSRがGT2カー。真ん中の黄色いアストンマーティンヴァンテッジが、新しいGT4カー。その周りのジャガー、アスカリ、コルベットはGT3カー。

 3月25日中国のツーハイで、2007年のFIAGTは開幕する。開幕戦を前にして、FIAGTの総てのカテゴリーを対象とした合同テストがモンツァで行われた。

 2007年のFIAGTは、お馴染みのGT1とGT2カーのレースだけでなく、昨年スタートしたGT3カップと、SROベルギーが開催するGT4ヨーロピアンカップが含まれる。

 耳慣れないGT4ヨーロピアンカップとは、昨年GT3カップを開催したところ、500馬力を超えるアストンマーティンDBRS9やランボルギーニガヤルドに対して、どんなに軽かったとしても、ロータスエクシージやマセラッティトロフェオライトは対抗出来ないことが明らかだったことから、GT3カーより小さなパワーのクルマを対象として、ヨーロッパ内でのみ行うシリーズとして構想されている。

 一応、ステファン・ラテルの説明では、GT3カーより少ないパワーのクルマと表現しているが、正確にはGT3カーより遅いクルマと言うべきだろう。
 モンツァで撮影された集合写真を見てもらうと判り易いが、この中でGT4カーは真ん中の黄色いアストンマーティンヴァンテッジだ。よく見ると、このクルマがN24と言うライセンスプレートをぶら下げているのが判ると思う。

 判り易く表現すると、GT3カーが日本のN1だとすると、GT4カーはN0である。
アマチュアのシリーズと言っても、GT3カップが、それなりに本格的なレースシリーズであるのに対して、GT4カップは、ヒストリックカーレースに参加しているような、裕福なスポーツカーレースファンを対象とした、高性能なロードゴーイングスポーツカーによる、サンディレースとして構想されている。

 モンツアテストに登場したGT1カーは、5台のマセラティMC12、4台のアストンマーティンDBR9、3台ランボルギーニムルシエラゴ、そしてパガーニゾンダだった。
 GT2カーは、完全に勢力分布図が一変して、5台のフェラーリ430に対して、ポルシェ997GT3RSRはたった3台がやって来ただけだった。
 1日目BMSスクーデリアイタリアのアストンマーティンが、安定して1分46秒台でトップタイムを記録する一方、GT2クラスでありながら、フェラーリ430は次々と1分50秒台を突破して、何台かのGT1カーを上回る速さを見せつけた。

 GT3とGT4カーはどうかと言うと、ポルシェ997カップカーと997GT3RS、そして、コルベットZ06R(写真の後方に写っているクルマ)、フェラーリ430GT3、アスカリが1分55〜56秒台で拮抗したタイムを記録したのに対して、アストンマーティンDBRS9やランボルギーニは1秒から2秒遅かった。写真で左側に写っているジャガーは、結局走行しなかった。アストンマーティンヴァンテッジGT4カーは、2分6秒台であることから、GT4カーの正体が判るだろう。

 テスト最終日になって、BMSスクーデリアイタリアのアストンマーティンDBR9は、1分45秒台に突入した。GT2クラスは完全にフェラーリ430の独壇場で、スクーデリアアコッセは1分49秒台で走行している。対するポルシェ997GT3RSRは、3秒遅れの1分52秒台だ。時代は完全に変わったと言うべきだろう。

 本番では、さらにマセラッティが増える。昨年大活躍したザクスピードは走らないが、ACEMCOサリーンS7Rが2台登場することから、GT1クラスは賑やかとなる。しかし、GT2離れは深刻なようで、アマチュアの多くは、GT3をターゲットとしているようだ。GT3カップは、ドライバーのキャリアによって、クラス分けがなされることから、豊富なキャリアを積んで、GT3カップで勝ち目が無くならない限り、アマチュアドライバーの多くは、GT3カップから離れないかもしれない。

*2月6日に関連NEWS有り


2月22日
●アキュラが12時間シュミレーションテストを実施 ニューボディのローラが登場

Photo:Lola
 アキュラが行った12時間テストで、初めてB07-10をはじめとする、2007年のローラスポーツカーが使うハイノーズが明らかとなった。写真で明らかなように、ノーズ先端が持ち上げられて、床下へ大きな空気の流れを導入すると共に、ノーズ先端が持ち上げられて、その隙間にブレーキ冷却ダクトが設けられている。ノーズ中央上面に追加された、エキストラのヘッドランプに注意。セブリング、ルマン、そして“プチ-ルマン”だけで使われる、夜間走行用パッケージだ。

 最初のALMSであるセブリング12時間に向けて、今週アキュラは12時間のシュミレーションテストを実施した。

 このテストに参加したのは、新たに開発された2007年バージョンのボディカウルを備えたフェルナンデスチームのローラB05-40(B07-40?)と、アキュラのオーダーによって、ニック・ワースが改良を施したボディワークを備える、AGRとハイクロフトの2台のクラージュだった。クラージュは、あまりにも変更が大きかったようで、既に、クラージュの名前ではエントリーされていないことはご存じだろう。

 結果から報告すると、12時間のシュミレーションテストを一等賞で終了したのは、予想通りフェルナンデスが走らせるローラだった。

 しかし、ノートラブルだったのがフェルナンデスのローラだけで、他の2台クラージュは完走することが出来なかったと言うと、違う判断を下す方々は多いだろう。

 2台のクラージュは、6時間目にAGRがスタータートトラブルでストップして、9時間を過ぎると、もう1台のハイクロフトも、致命的なトラブルでストップした。

 振動の大きい1プレーン90度V8を搭載する以上、剛性の低いシャシーと組み合わせられるのであれば、スターターのトラブルは、充分予想出来る。しかし、アキュラが公表を躊躇った、致命的なトラブルとは尋常ではない。

 このテストのため、ローラとニック・ワースは、それぞれ、現時点で最高の空力パッケージをセブリングに持ち込んだ。たまたまローラからの写真だけが間に合ったが、ご覧のように、フェルナンデスのローラは、最新のハイノーズと、それに伴って、ブレーキ冷却ダクトがノーズ中央に移動した、新しいノーズを備えている。

 ニック・ワースが手がけたクラージュは、残念ながら、ボディ表面だけの改良が加えられただけの状態であるようだ。テストを直接目撃してないことから、間接的に見聞きした情報となってしまうが、1月のウインターテストと比べると、ポーポジングは減っているらしい。しかし、ローラ、そしてポルシェと比べると、明らかに激しいポーポジングと共に、2台のクラージュは走っていたらしい。

 非公式ながら、ハイクロフトのトラブルの原因が、トランスミッションを含む駆動系であることをアキュラは明らかとしている。素直に判断するのであれば、リア回りの剛性が不足していることは、容易に予想出来る。

 たぶん、噂通り、ニック・ワースは、次にモノコック本体の改良を手がけるのだろうが、そこまで改良するのであれば、ニューマシンと言うべきだろう。

 我々の感覚では、クラージュとアキュラ、そして、ニック・ワースの対応は理解し難いが、アキュラの開発が、想像以上のペースで進んでいることは明らかなようだ。


2月21日
●クリエイションはセブリングに参戦する!

Photo:Sports-Car Racing


 2月8日IMSAは、ALMS開幕戦セブリング12時間のエントリーリストを公表している。その際、P1クラスは、ワークスアウディの2台とオートコーンの古いLMP675バージョンのMGローラだけが掲載されていた。

 その際、クリエイションのCA-06HハイブリッドカーでP1クラスにエントリーすると思われたインタースポーツは、間に合わないため、第3戦ロングビーチ頃からP1に参加して、それまではローラB05-40でP2クラスに参加する旨のコメントを発していた。

 この時、インタースポーツ自身は公表しなかったが、最も大きな問題は、マシン本体やエンジンではなく、タイヤだった。

 2007年ALMSをサポートするタイヤメーカーは、ミシュラン、クンホ、ヨコハマの3社だけで、他のタイヤを使う場合、個別に交渉しなければならない。元々グッドイヤーと契約していたインタースポーツは、2007年の活動のため、マツダの新しい4気筒ターボエンジンを使うBKモータースポーツ等と共にクンホと契約した。当然、クンホはP2カー用の幅14インチのタイヤを開発していた。

 新興勢力のクンホにとって、現在のところP2カーがトップカテゴリーだった。いきなり、P1用の16インチタイヤの開発を要求されても、即答するのは難しいだろう。

 最終的にクンホは、3月17日までに16インチタイヤを用意出来ることを約束したため、インタースポーツは、開幕戦からP1クラスへの参戦が可能となった。

 現在のところ、間に合ったとしても、レースウイークと考えられているため、当然ながら、ぶっつけ本番で12時間レースを走ることとなるだろう。

 インタースポーツの走らせるクリエイションは、2006年にクリエイション自身が走らせたシャシーそのもので、直径650mmのフロントタイヤを履くことを前提としてデザインされている。昨年ミシュランが開発した直径680mmのフロントタイヤを履くように、現在改造が進められているが、取り敢えずインタースポーツに手渡されるのは、直径650mmのフロントタイヤに対応した2006年バージョンとなる。
 準備が整い次第、直径680mmのタイヤに合わせた改良パーツが送られるだろう。

 エンジンは、ジャドが、最新型であるGV5.5 S2 5.5リットルエンジンの提供は不可能であることから、GV5 S1 5リットルエンジンを使うことが決定した。

 クリエイション本体は、今週バルセロナで、直径680mmのフロントタイヤを履く改良型CA-06Hハイブリッドカーのテストを行っている。

 エントリーリストには掲載されていないものの、クリエイションはセブリング12時間参戦を公表している。しかし、慌ただしい準備状況から、もしかしたら、セブリング12時間だけ、クリエイション自身の680mmのフロントタイヤを履くCA-06Hを、ミシュランタイヤごとインタースポーツはレンタルするのではないだろうか?


2月18日
●伝説は続く ローラT70 Mk3B再生産

Photo:Lola

 1960年代のスポーツカーレースは、フォード、フェラーリ、そしてポルシェのファクトリーマシンによって熾烈な闘いが繰り広げられた。プライベートチームにとって、唯一の可能性は、ローラからT70を買って走らせることだった。

 これまでも、ローラカーズは、ヒストリックカーレースに参加するT70のため、様々な部品を再生産してきた。ボディーカウルやサスペンションはもちろん、ダメージが大きいクラッシュをした場合、新たにモノコックの製作を注文されることもあった。つまり、ローラカーズは、何時でも、新車のT70を再生産することが可能だった。

 しかし、21世紀に1960年代のT70と寸分違わぬクルマと作ったとしても、通常、それは本物のT70ではなく、T70のレプリカと判定されてしまう。このことは、ジャガーDタイプ等、たくさんの前例を見ても明らかだろう。

 通常T70の歴史は、1969年最後のT70MK3BであるSL76/144がロールアウトして、1971年にトップクラスのスポーツカーレースから引退したと考えられている。しかし、ローラは、T70の生産終了やオーダー受付を、これまで宣言したことがなかった。もし、顧客が新車のT70をオーダーした場合、続くシャシーナンバーを与えることが可能だった。

 生産が途絶えた直後であっても、T70、特にT70クーペのオーダーはあったそうだ。ところが、当時のオーダーは、「ロードカーとしてT70を走らせたい」と言うものがほとんどで、レーシングカーとしてのオーダーではなかった。

 ところが、その後ヒストリックカーレースが盛んに行われるようになると、T70のパーツや修理のオーダーが増えるようになってきた。もちろん、完全な新車のT70を求める顧客も少なくなかった。

 そこで、2006年ローラはT70の再生産を決定すると共に、1969年にロールアウトした最後のT70に続くシャシーナンバーを与えた。そしてヒストリックカーレースを開催している各オーガナイザーやヒストリックカー団体と交渉した。

 現在のトップレベルのヒストリックカーレースの場合、参加するマシンの多くは、最初に工場から出荷されたのが1960年代であっても、過酷なレースを闘うため、新車同様か、場合によっては、新車以上のコンディションに仕立て上げられている場合も多い。
 しかも、見応えのあるレースを実現するため、レースの主催者は、手に入り難い部品を現在のものと交換することを認めたりしている。極端な例は、フラット8ツインカムエンジンのリビルトに手間がかかることから、908の何台かが、911RSRの3リットルフラット6に載せ替えられていることだろう。

 ほとんどのヒストリックカーレースの主催者や団体は、新たにローラが生産するT70に対して、ヒストリックカーとしての資格は与えないものの、ヒストリックカーレースへ参加することは、何ら問題がないことを確認した。

 そうして、ローラはT70の再生産を正式に決定した。

 生産されるのは、T70の最終進化モデルであるT70MK3Bだ。通常T70GTbと呼ばれているクルマだ。好みによって、T70MK3やオリジナルT70のボディカウルをオーダーすることも可能らしい。しかし、オリジナルT70の場合、第二次世界大戦の戦闘機のように、モノコック内側をそのまま燃料タンクとしていることから、燃料が漏れやすいため、フレームそのものはT70MK3Bだけが作られる。

Photo:Lola

 燃料タンクだけでなく、現在の技術で、安全性に配慮して製作されることから、ヒストリックカーレースに参加するドライバーにとって、安心出来る要素となるだろう。

 既に2006年前半、最初のロッドとして5台のT70 Mk3Bが作られている。この5台は、総てが、中身だけでなくボディカウルもT70MK3Bで、シボレーの5リットルスモールブロックV8が組み合わせられる。

 ローラカーズによると、T160カンナムカーやT600、T810GTPカー等、現在でも様々なパーツの出荷が続いているクルマが何台か存在することから、これらのクルマの再生産も不可能ではないと語っている。

Photo:Lola


2月17日              *改訂版エントリーリスト
●ALMS開幕戦セブリング12時間エントリーリスト公表
 アウディは2台のみ、クリエイションは無し、アキュラはクラージュから改名

 
Photo:Sports-Car Racing
 アキュラが導入したクラージュLC75は、アキュラ/ARX-01aの名前でエントリーした。

 先週ALMS開幕戦セブリング12時間のエントリーリストが発表された。詳しくは下記のALMSのホームペイジをご覧いただきたい。

下記が改訂版エントリーリストです。正式にインタースポーツのクリエイションが掲載されています。
http://www.americanlemans.com/Events/Mobil%201%20Twelve%20Hours%20of%20Sebring/2007/Sebring%20Entries.pdf

 予想されたことだったが、P1クラスとGT1クラスは、それぞれ、たった3台のエントリーしか集めることは出来なかった。P1クラスの2台はアウディのファクトリーチームで、GT1クラスの2台もGMワークスのコルベットレーシングだ。深刻な状況であるのが理解出来るだろう。

 1月のウインターテストの後、インタースポーツはクリエイションCA06Hハイブリッドカーを導入してP1クラスへエントリーすることを決心している。クリエイションによると、2007年のALMS参戦のため、2006年に走ったCA06Hハイブリッドカーをベースとして、アウディやペスカロロと同じ直径が大きいフロントタイヤを装着出来るよう、モデファイが進められているそうだ。

 しかし、インタースポーツの決定が遅れたことから、2006年と同じ小さなフロントタイヤのCA06Hを取り敢えずデリバリーする予定だったと言う。
 ところが、今度は組み合わせられるジャドGV5.5 S2 5.5リットルV10が間に合わない。そこで、GV5 S1 5リットルV10を組み合わせることで、話しを進めていたらしい。

 その段階で、2006年にダイソンが走らせたローラB06-10/AERを買い取ることも話し合われた。

 最終的、インタースポーツは、セブリングへは、従来通りローラB05-40/AERでP2からエントリーして、準備が整い次第、クリエイションCA06Hハイブリッドカーを走らせることとなった。

 もし、インタースポーツのクリエイションCA06Hが参加しないのであれば、セブリングの後、アウディのファクトリーチームは、本当にALMSから撤退してしまうような状況となっている。

 悲惨な状況のP1クラスと比べて、P2クラスは華やかなエントリーで賑わっている。
 P2クラスで目を惹くのは、アキュラエンジンを積む2台のクラージュLC75のエントリー名からクラージュの名前が無くなっていることだろう。

 もちろん、AGRとハイクロフトが走らせるマシンはクラージュLC75だ。しかし、同じくアキュラエンジンを搭載するフェルナンデスのローラと共に、アキュラによって様々な部分の開発が行われており、ローラとクラージュの両方が、ザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムを組み合わせられる等、スタンダードのローラとクラージュから大きくモデファイされている。

 フェルナンデスの走らせるローラが、それなりに走るのに対して、2台のクラージュLC75は、そのままでは、まともに走らせることが出来ないことから、イギリスでニック・ワースによって、慎重に風洞実験を行われている。

 1月のセブリングテストの段階では、手を付けられてなかったようだが、頭痛の種のモノコックの剛性不足を解消するため、モノコックをモデファイする計画まで存在しているようだ。
 今後大きく変化することもあって、クラージュの名前を外してしまったらしい。

 しかし、2008年を目指してニック・ワースが開発するアキュラオリジナルのP2カーがクラージュベースとなる訳ではないようだ。そのためのテストと考えると、理解し易いだろう。


2月17日
●2007年のクラージュは、日本と別れて、AERエンジンとミシュランタイヤで

 
Photo:Sports-Car Racing
 昨年無限エンジンとヨコハマタイヤと提携して活動したクラージュコンペティションは、2007年一転して、AER製3.6リットルV8ターボエンジンを積み、ミシュランタイヤを履くこととなった。

 本日(12日)ルマンで行われた発表会で、クラージュコンペティションを率いるイブ・クラージュは、「2007年は大きな改革の年」と言った。
 昨年登場したクラージュLC70は、モノコックの剛性不足やトランスミッションの信頼性不足等、様々な問題に悩まされた。昨年LC70を採用したレーシングチームで、2007年もLC70を使用するのはM-Tecだけであることを見ても、どのような状況であるのか?理解出来るだろう。

 その結果、昨年から噂になっていたように、トランスミッションは(C60と同じ)古いヒューランド製から、ペスカロロと同じXトラック製と交換される。同時にAERエンジンとミシュランと契約した。

 AER自身は優秀なエンジンビルダーでも、新しい3.6リットルV8ターボエンジンは、充分な開発が行われてないため、昨年AERの3.6リットルV8ターボエンジンをローラに組み合わせてALMSを闘ったダイソンは、トップクラスのポテンシャルを発揮することが出来なかった。

 元々クラージュは、フォードを経由してコスワースと話し合っていたことが知られている。クラージュは2005年にコスワースが発表して、アウディV8との類似性で騒がれた3.6リットルV8直噴ターボエンジンの獲得を狙っていた。どのような交通整理が行われたのか?判らないが、コスワースとの提携は、どうやら不発に終わったようだ。その結果AERのV8ターボを採用することとなったらしい。

 ATR製モノコックや空力等、他のたくさんの問題について、イブ・クラージュは何も発言しなかった。

 しかし、2007年にAER製3.6リットルV8ターボを積むP1カーを2台走らせ、既にアレクサンダー・フレイとジョナサン・コシェと契約したことを公表した。

 同時にイブ・クラージュは、ノエル・デル・ベローがAER製の2リットル直列4気筒エンジンを積むLC75によって、P2クラスにエントリーすることを発表した。

 1980年代、ザウバーから手に入れたC8/メルセデスによって活躍したことを覚えているだろうか?

 今日は正式な発表は行われなかったが、クラージュコンペティションは、インド企業と話し合っていることが知られている。既に、「インディアンプロジェクト」としてクラージュ自身が公表しているが、AER製2リットル直列4気筒ターボエンジンを積むP2カーに加えて、P1カー(エンジンは未発表)を走らせることを目論んでいた。しかし、最近になって、ヨーロッパのLMSでインドのレーシングチームが走ることに対して、様々な疑問(反論?)が呈されるようになって、ルマンだけをターゲットとした、1980年代の日本のファクトリーチームのようなプランに切り替えられてしまったらしい。
 もちろん、その後話し合いは進んでいないようだ。


2月10日
●アウディは何を怒っているのか? アウディがALMSからの撤退を示唆!?
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Photo:Sports-Car Racing

 昨年末アウディは、2007年の活動としてALMSをターゲットとすることを発表している。その際、カスタマーチームは存在しないものの、アウディスポーツノースアメリカの2台と共に、3台目の可能性についても否定しなかった。

 ちなみに、アウディが、アウディスポーツノースアメリカと言っているレーシングチームは、2007年の場合、ディレクションはアウディスポーツで、アウディスポーツが派遣するエンジニアと、アウディスポーツのワークスドライバーが乗り組む一方、レースメンテナンスは、デイブ・マラジのチャンピオンレーシングに委託する体制のことと考えられている。もちろん、ラインホルト・ヨーストのヨーストレーシングが、テクニカルダイレクターのラルフ・ユットナー以下関与していることは言うまでもない。

 3台目として、認識されているレーシングチームは、簡単に言うと、2003年のアウディスポーツノースアメリカで、ラインホルト・ヨーストのヨーストレーシングが、単独で組織する体制と考えられていた。

 ところが、元々IMSAがハンデキャップルールを取り入れた結果、2006後半のALMSで、アウディスポーツノースアメリカが走らせるR10は、ダイソンのローラ/AERや、スポット参戦のザイテックやクリエイションのハイブリッドカーより65kgも重い車重で走らなければならなかった。

 それでも、アウディスポーツはIMSAの決定を受け入れて、参戦を続けた。

 その結果、開発段階にあったローラはともかく、有能なザイテックやクリエイションが、アウディスポーツを破ってポールポジションを獲得することとなった。それでも、チーム力に優れるアウディは、決勝レースで巻き返して、2006年のALMSタイトルを獲得した。

 IMSAは、2007年のルールとして、同じクラスで車重に最大75kgのハンデを設けることを発表している。しかも、開幕戦のセブリング12時間の時点で35kgのハンデを設けることも決定した。

 これだけであれば、アウディスポーツは何も言わなかったかもしれない。

 IMSAは、2007年のハンデキャップルールを公表した時、アウディ以外にP1クラスの有望なエントリーが存在しなかったことから、P2クラスのポルシェやアキュラのワークスカーが、アウディのディーゼルエンジンカーより速く走れるよう、P2クラスに対して、大きなリストリクターの使用を許した。

 この決定に対して、アウディスポーツの面々は一斉に反論を展開し始めた。

 同じP1クラスであれば、大きなハンデキャップを課せられた結果、負けることも納得出来たとしても、ハンデによって格上げされた、格下のP2カーに負けるのは、許されることではないようだ。

 今週行われたセブリングテストの際、ウルフガング・ウルリッヒは、目前に迫ったALMS開幕戦セブリング12時間へは2台のR10が参加することを約束した。しかし、その後のALMS参戦について、現在計画を棚上げにしたことを明らかとしている。

 ウルフガング・ウルリッヒが強硬手段に出た理由の1つは、アウディスポーツの訴えに対してALMSサイドが真剣に対応してないこともあるようだ。
 アウディスポーツが訴えている間、IMSAが行ったのは、ガソリンエンジンカー(つまり、アウディ以外の総て)に対して、10%エタノールを含有する燃料を供給することだった。
 アウディスポーツの神経を逆撫でしたことは言うまでもないだろう。

 話し合いが上手く行かない場合、セブリングの後、アウディスポーツはLMSをターゲットとすることが予想される。しかし、2月5日から行われたセブリングテストで、アラン・マクニッシュの操るR10は、ハンデ無しのポルシェRSスパイダーより2秒も速い1分44秒台で走行しているのだ。1.1mm大きいリストリクターを装着したRSスパイダーは、アウディと同じ速さで走れるかもしれないが、勝てると考えるのは、楽観的と言うべきだろう。

 つまり、例え話し合いが上手く行かなくても、アウディスポーツはALMSに参戦することだろう。

 アウディの発表は、LMSに専念するプジョーの面々を、戦々恐々とさせるだけかもしれない。
*1月8日、2月3日、2月9日関連NEWS有り。


2月9日
●2007年ALMSに参加するガソリンエンジンカーは、10%エタノールを含有した燃料を義務付け
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 ALMSのCEOであるスコット・アタートンは、昨日、2007年のALMSに参加するガソリンエンジンカーに対して、10%エタノールを含有した燃料を供給することを明らかとした。

 2年ほど前から、ALMSがエタノール燃料に興味を持っていることは知られていた。しかし、IRLやチャンプカーと違って、異なった様々なクルマ(エンジン)が使われることから、何らかのガイドラインを設けることが、イコールコンディションを維持する条件と考えられていた。

 今年ALMSがエタノール含有燃料の供給に踏み切った理由は、EPIC(エタノール・プロモーション・アンド・インフォーメーション・カウンシル)とパートナーシップを結んだことにある。EPICと共に、既存のエンジンに対するエタノール燃料の影響を検査した結果、EPICが定めるE10規定の採用を決定した。
 EPICのE10規定は、ガソリンに10%エタノールを含有させた燃料のことだ。

  2005年からIRLはEPICとパートナーシップを結んで、今年100%エタノール燃料の使用に踏み切った。もちろん、IRLはアキュラ(ホンダ)1社だけが、同じエンジンを供給いているため、このような決定が可能であるのは容易に理解出来る。

 これに比べると、ALMSの10%エタノール含有燃料は、最初の1歩と言えるかもしれない。しかし、2007年のALMSには、最低12種類の異なったガソリンエンジンが登場することが見込まれている。シーズン終盤LMSからのエントリーが実現するのであれば、さらに増えることとなるだろう。
 これらのたくさんのエンジンへの影響を考えると、取り敢えず10%からと言うことだろう。



2月7日
●ALMSにクリエイションのハイブリッドカーが2台登場する!

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Photo:Sports-Car Racing

 クリエイションは、現在完全なP1カーとして、KWMと共に“屋根付き”のCA07を開発している。しかし、昨年作り上げたCA06Hハイブリッドカーも2台所有している。
 2007年、ルマンやLMSでハイブリッドカーは走れないことから、これらのCA06Hハイブリッドカーは、ALMSに参戦する一方、売却するための話し合いが行われていることが知られていた。

 2台の内訳は、一方はたった1台だけレイナード時代に完成した、元々レイナード02Sだったクルマで、その後IRMやデンブラエビスを経てクリエイションが手に入れたものだ。デンブラエビス時代に取得したテクニカルパスポートからDBS03と呼ばれていた。もう1台は、ザイテックがレイナードの遺産を引き継いだ後完成したクルマで、2004年JOTAにデリバリーされ、2005年末JOTAの活動休止後、CA06Hハイブリッドカープロジェクトのため、クリエイションが手に入れている。

 クリエイションのCA07P1カーは、“屋根付き”と言っても、CA06Hハイブリッドカーのコンポーネンツの多くを利用するため、画期的に違いがある訳ではない。しかも、CA07 P1カーの場合、エアコンを装着することが条件となるため、CA06Hハイブリッドカーの方が優れる場合も出てくるだろう。
*Sports-Car Racing Vol.17を参照して下さい。

 このような事情もあって、ハイブリッドカーの使用が許されるALMSへはCA06Hハイブリッドカーで参加することが予想されていた。実際、3月に行われるALMS開幕戦セブリング12時間へ、クリエイションは、CA06Hハイブリッドカーでの参加を公表していた。

 最近になって、クリエイションの2台のCA06Hハイブリッドカーの売却先が明らかとなった。1つはインタースポーツ、もう1つは、ほとんど知られてないヴェロシティモータースポーツだ。

 1月末セブリングで行われたウインターテストの際、プレスコンファレンスで、ポルシェやアキュラのワークス勢を横にして、今後の計画を求められたインタースポーツのクリント・フィールドは、ニューマシンを導入する計画が存在することを明らかとしている。その時、当方も含めて、ほとんどの人間は、発表直前だったローラB07とラディカルを天秤にかけているものと判断していた。
 ところが、最近インタースポーツは、クリエイションからCA06Hハイブリッドカーを導入することが明らかとなった。

 2007年ALMSのP2クラスは、ポルシェとアキュラによって、激戦が繰り広げられる。セブリングのウインターテストでも明らかなように、それ以外のレーシングチームが太刀打ち出来る状況ではない。
 IMSAはこのことを予想して、ポルシェとアキュラが共にNAの3.4リットルV8を搭載することから、それ以外のAER製のMGとマツダの直列4気筒2リットルターボエンジンに対して、大きい直径45mmのリストリクターの装着と2,700mbrの過給圧を認める方向だった。
*注:先週IMSAが性能調整についてのブルテンを公表した際、曖昧だった部分ですが、その後、2006年最終戦ラグナセカと同じ条件、と言う表現で、IMSAは2リットル4気筒ターボへの優遇処置を発表しました。

 BKモータースポーツのローラ/マツダはマシンが完成していないが、インタースポーツはAER製のMGエンジンを積んでセブリングのウインターテストに参加した。その際、既に直径45mmのリストリクターを装着して、2,700mbrの過給圧で走行していたらしい。
 しかし、どんなにクリント・フィールドが頑張っても、ポルシェとアキュラ勢に太刀打ちすることは出来なかった。ペンスキーポルシェは本格的なタイムアタックを行ってなかったし、アキュラ勢は、今後急ピッチで開発が進むのは間違いなかった。差はどんどん広がると考えられていた。

 ペンスキーはもちろん、強力なダイソンもポルシェとの繋がりが強く、もし、インタースポーツがポルシェを手に入れたとしても、ペンスキーやダイソンと同じ速さで走れるとは考えられなかった。
 セブリングから戻ったインタースポーツは、ポルシェとアキュラが闘うP2カテゴリーを諦めて、アウディのファクトリーチーム以外主立ったエントリーが無いP1カテゴリーへ転向するため、直ぐにクリエイションと連絡を取って、CA06Hハイブリッドカー導入を決定した。

 現在のところ、インタースポーツは、CA06HハイブリッドカーをP1カテゴリーで走らせることを公表しているだけだ。常識的に考えると、昨年ALMS“プチ-ルマン”で、アウディからポールポジションを奪い取る等、活躍したCA06Hハイブリッドカーがそうだったように、ジャドの最新型5.5リットルV10を組み合わせることとなる。しかし、既にインタースポーツは、P2カテゴリーを闘うため、AERの間にMGの4気筒ターボエンジンのリースとメンテナンス契約を結んでいる。AERとの契約を解消しないのであれば、P2とP1の2台を走らせることとなる。
 同様に、インタースポーツはクンホタイヤと契約している。クンホが魔法を使って直ちにP1用タイヤを用意出来るのであれば問題ないだろうが、現在のところクンホ製P1タイヤは存在していない。


 そのため、インタースポーツはクリエイションCA06Hハイブリッドカーを走らせるのは、早くても5月か、6月にルマンが終了した後と考えられている。3月のALMS開幕戦セブリング12時間へは、クリエイション自身がCA06Hハイブリッドカーで参加を表明している。

 先週末に明らかになったヴェロシティモータースポーツの計画は、さらに先の話しと考えられている。 ヴェロシティは、スターマツダシリーズに参加するレーシングチームで、2007年もスターマツダシリーズをターゲットとしている。ところが、急遽クリエイションのCA06Hハイブリッドカーによって、ALMSのP2クラスへ参加する計画を明らかとした。
 CA06HのベースとなったDBA03やザイテック04SはLMP675カーであるため、LMP675時代の小さなタイヤに合わせたリヤカウルと交換し、ザイテックかジャドの3.4リットルV8に積み替えれば、容易にP2へ作り替えることが可能だ。

 であるから、マシンについて、何ら問題はないだろう。
 しかし、これまでワンメイクフォーミュラに参加していたレーシングチームが、直ぐに高度なプロトタイプレーシングカーを走らせることが可能とは考えられない。
 もしかしたら、エントリーはヴェロシティであっても、クリエイションや(マシンを開発する)KWMがバックについて走らせることとなるのだろうか?
 残念ながら、ヴェロシティが公表したのはそれだけで、それ以外の計画は明らかにしていない。

*注:2月4日関連NEWS有り。


2月6日
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●FIAGTがアマチュア向けのGT1クラスを創設     Citation GT1 Cup誕生

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Photo:FIAGT                                                                    Photo:FIAGT3
  左が正真正銘のFIAGT、右がFIAGT3 Cupだ。もちろん、ハイレベルな闘いが繰り広げられているFIAGTと比べると、GT3 Cupのレース内容は未熟であるだろう。しかし、この写真で見ても判るように、GT3 CupはFIAGTに勝るとも劣らない賑やかなレースを実現している。


 昨年FIAGTの幾つかのイベントで、前座レースとしてGT3カップが行われている。このカテゴリーは、名前からGT2カーの下のクラスと想像されるかもしれない。その中身は。GT1とGT2が本格的なレーシングカーであるとすると、ロードカーをベースとしたGTカーがGT3だ。しかも、550馬力のアストンマーティンDBRS9と180馬力のロータスエクシージを一緒に走らせる、興味深いカテゴリーだった。

 もちろん、プロフェッショナルなドライバーが乗り組んで全力で走るのであれば、550馬力のアストンマーティンに対して180馬力のロータスは、ほとんどの場合歯が立たないことは明らかだ。

 このようなレースが実現出来た理由は、FIAGT3カップがアマチュアを対象としたハンデキャップレースだったからだ。参加出来るのはアマチュアだけで、シーズン開幕前何度かテストディを設けて、そのテストのラップタイムによってハンディキャップは決められた。

 ポルシェ、フェラーリ、マセラッティ、ロータスは、それぞれワンメークレース用マシンを、コルベット、ヴァイパー、アストンマーティン、ランボルギーニは、ロードカーをベースとしてGT3バージョンを用意した。最初のテストディにはニッサンの350Zも姿を見せていた。
 もちろん、2006年のFIAGT3カップは大盛況で、40台以上のエントリーを集めた。

 FIAGT3カップの成功をヒントとして、ステファン・ラテルは新たなカテゴリーの創設を目論んだ。

 GT2カテゴリーは、統べたがプライベートチームであるポルシェとフェラーリによって占められ、どちらかが優位な年はあっても、それぞれがモデルチェンジするまで普遍的な闘いが続けられる。
 しかも、極端に大きな出力でなく、アマチュアドライバーでも充分に走らせることが可能であるため、第一線から引退した後も、アマチュアの愛好家へ販売し易い。
 それに対してGT1カテゴリーは、マシンそのものが高価で、買い換えが容易でないだけでなく、600馬力近い大出力によって、第一線を引退した後、買い手を捜すのは容易ではない。

 2006年のFIAGTのGT1クラスは、たくさんのアストンマーティンとコルベット、そして、ヴィータフォンのマセラッティとザクスピードのサリーンによって、非常に賑やかなシリーズとなった。
 賑やかであっても、アストンマーティンDBR9の何台かは、アマチュアドライバーが乗り組んでいることから、ヴィータフォンのマセラッティと対等の闘いを展開出来るわけではない。
 さらに、2003年から2005年までFIAGTで席巻したCAREプロドライブ製のフェラーリ550や、CAREプロドライブ製のフェラーリ550に破れて、たった2年で姿を消してしまったフェラーリ575、ザクスピードやORECAが開発した最新バージョンを除いた初期バージョンのサリーンS7Rは余っていた。

 そこで、ステファン・ラテルは、アマチュアドライバーが乗り組むことを条件とした、ハンデキャップカテゴリーをGT1クラスにも導入することを決心した。

 Citation GT1 Cupと名付けられた新しいカテゴリーは、通常のGT1クラスとは別のクラスとして設けられる。取り敢えず、CAREプロドライブ製フェラーリ550、フェラーリ575M、リスターストームを対象とするが、要望次第で、最初期バージョンのサリーンS7RやコルベットC5Rも参加を認めるようだ。
 GT3カップと同じ運営方法が考えられており、それぞれのキャリアに応じて、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズに認定されて、レースを闘うこととなる。

 お金持ちを相手としたレースであるため、タイトルスポンサーとして、ビジネスジットのCitationが名乗りを上げている他、セスナもサポートを表明しており、GT3の方もCitation GT3 Cupを名乗る。
 Citation GT1 Cupは、スパとツーハイを除く8つのFIAGTで行われる。

 Citation GT1 Cupによって、2007年のFIAGTのコース上が賑やかとなることは間違いない。
 しかし、観客スタンドの方はどうだろうか?

*注:Sports-Car Racing Vol.16に関連記事有り。


2月3日
●IMSAがレギュレーション変更  ポルシェのP2カーがアウディのP1カーに勝つ!
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 ルマンと同じレギュレーションを使うと言っても、ALMSにも事情があることから、最近のIMSAは、性能調整を目的として、ACOのレギュレーションの一部をモデファイして運用している。
 これまで、このモデファイは、同じクラス内での性能を調整するために使われていた。

 ところが、2007年ALMSのP1クラスは、アウディのファクトリーチームを除くと、貧弱なオートコーンのLMP675バージョンのMGローラだけが参加を表明しただけだった。セブリング12時間や、シーズン後半の“プチ-ルマン”やラグナセカには、クリエイションのハイブリッドカーの参加が見込まれていた。もしかしたら、噂通り童夢やペスカロロがやって来るかもしれない。しかし、1月にセブリングで行われたウインターテストを見ても明らかなように、オートコーンはP2カーにさえ太刀打ち出来ないため、シーズンがスタートする前から、アウディの完全制覇が明らかだった。

 2006年のALMSは、暫定モデルと言っても、ポルシェが作り上げたRSスパイダーP2カーは素晴らしいポテンシャルを発揮して、1度とは言え、アウディを破って総合優勝を成し遂げている。
 ところが、P1とP2は別のカテゴリーであるとの判断から、2007年に向けて、ACOは、速さについて、P1>P2>GT1>GT2であることを明確として、P1とP2に明確に1.5%の速さの差を設けるため、レギュレーションをモデファイして、P1とP2カーのリストリクターの大きさに5%の差を設けている。

*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照して下さい。

 この新しいレギュレーションによって、どんなにポルシェが斬新なP2カーを誕生させても、あるいは、どんなにアキュラが万全な開発体制を築いても、ポルシェとアキュラの間で激しいレースが展開されるだけで、アウディを破って総合優勝するのは不可能と考えられていた。

 ところが、ALMSはP2カーだけのレースではないため、レース全体として見た場合、好ましいことではない。そこで、ALMSを統括するIMSAは、ウインターテストの結果を受け、IMSAはP2カーにアウディより速く走る可能性を与えるため、2007年のALMSに参加するP2カーは、2006年と同じ大きなリストリクターの使用を許すことを公表した。

 ACOの2007年レギュレーションでP2カーは、NAエンジンは42.9mm×1、ターボエンジンは42mm×1のリストリクターの装着を義務付けられているが、ALMSに参加する場合、NAエンジンは44mm×1、ターボエンジンは43mm×1の大きなリストリクターが許されることとなった。
 大きなリストリクターを装着したポルシェとアキュラのP2カーは、少なくとも、2006年のアウディR10より速く走ることが可能と考えられている。

 同時にガソリンエンジンを積むP1カー(つまりアウディ以外)のハンデキャップも公表されている。
 1月8日NEWSで掲載したように、IMSAは最大75kgの重量差を設けることを明らかとしているが、開幕戦のセブリング12時間で、ガソリンエンジンのP1カーは、35kg軽い890kgでの出走を認めた。

 本来の予定であれば、本日から3日間、セブリングでアウディがテストを行う予定だった。しかし、先週末以来フロリダ半島中部は竜巻を伴った悪天候に見舞われ、セブリングも豪雨であるらしい。
 このテストで新しいレギュレーションの効果が判断されると考えられているが、少なくとも、2月3日はヘビーレインであることから、アウディR10は走行していない。
*注:1月8日、1月23日、1月24日関連NEWS有り。
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Photo:Sports-Car Racing


2月3日
●クスコの描くSUPER GTで勝つ方程式
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Photo:Sports-Car Racing

 クスコがSUPER GT(JGTC時代も含めて)に参戦するようになって、今年で11年目を迎えた。

 ご存じのように、元々クスコは、ラリーやダートトライアルをテリトリーとしていた。そのため、スバルがAWDと呼ぶ4WDについて、大きな経験を持ち、独自の駆動システムさえ開発していた。

 ところが、クスコがGTレースに参入した頃、GTレースのレギュレーションは、4WDに対して、大きな重量ハンデを課していた。そこでクスコは、得意な4WDを諦め、FRでインプレッサGTレースカーを仕立てて、ポルシェやフェラーリに闘いを挑むこととなった。

 FFベースの4WDの場合、エンジンがフロント車軸より前にオーバーハングしてレイアウトされることから、フロント寄りの重量配分は避けられない。しかし、FRとすることで、フロント車軸を考慮しなくても良いことから、エンジンをホイールベースの内側まで後方に移動することが可能となる。
 そのため、レギュレーションによって大きな重量ハンデを課せられないだけでなく、比較的適正な前後の重量配分を実現することが可能となる。

 こうしてGTレースに登場したクスコインプレッサは、目論見通り素晴らしい操縦性を実現していたが、インプレッサは、ポルシェやフェラーリのようなスポーツカーでなく、純然たるセダンであることから、大きなボディ故、大きな前面投影面積は、空力的に大きな弱点だった。
 クスコは、この空力的な弱点を、どこか他の部分で取り戻さなければならなかった。

 2003年レギュレーションが変更になって、ミッションの位置や方向が自由となると、クスコは、ミッションをデフと一体としたトランスアクスルとした第二世代のインプレッサGTカーを登場させた。より優れた前後の重量配分を実現したが、それはクスコが得意とする4WDではなかった。

 昨年やっと転機が訪れた。4WDカーが1台も居ないこともあって、SUPER GTは、それまで存在した4WDに対する大きな重量ハンデを撤廃した。もちろん、クスコは4WDでのGTレースカーの開発を決心する。
 ところが、ロードカーと同じフロント車軸の前にエンジンがオーバーハングする4WDレイアウトである限り、フロントヘビーの重量配分は避けられない。
 知恵を絞ったクスコは、非常に凝った4WDシステムをデザインすることとなった。

 FRトランスアクスルと同じように、ミッションは、後輪のデフと一体としてリア車軸前にレイアウトされる。エンジンもFR時代と同じく、フロント車軸後方のホイールベース内に存在する。ここまではトランスアクスルFRと変わらない。
 ところが、リアにレイアウトされるミッションには、駆動力を前後に振り分けるセンターデフが備えられており、フロントに位置するエンジンから、プロペラシャフトを経由してリアのミッションに伝えられた駆動力は、変速された後、リアだけでなく、2本目のプロペラシャフトによって、フロントのデフへ駆動力は伝えられる。

 ミッションやデフ等総ての駆動システムがクスコ自製でなければ、実現不可能な凝ったシステムだった。

 こうして、やっとクスコは得意な技術によるGTレースカーを登場させた。少なくとも、それはクスコが持てる技術による最良の方法だった。
 しかし、それはスタートラインに着いたということであって、クスコ自身、勝つためには、これまで行ってなかった様々な努力を行うことが必要であることは理解していた。

 その結果クスコは、2007年これまでと違った動きをすることとなった。
 2輪駆動とはタイヤに対する要求も違うことから、4WD専用のタイヤを開発するタイヤメーカーを求めた結果、新たにダンロップと契約することとなった。
 ドライバーも、レースを闘うにあたって、クスコに足りない部分を構築することを目的として、SUPER GTのGT300クラスで3連覇した山野哲也を口説き落とした。
 独自の方法によってSUPER GTで勝つ方程式を求めるクスコが、成功する日が近づいているようだ。

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Photo:Sports-Car Racing
 4WDインプレッサは、昨年夏に登場したことから、2007年のクスコは、2006年モデルを改良することで、2007年バージョンを開発している。
 外から識別出来る違いは、フロントアンダーボディとリアフェンダーだ。見えない部分に目を移すと、フレーム本体以外の、あらゆる部分に改良の手が加えられている。現在精力的に行われている開発は3つのデフだ。前後の駆動配分はもちろん、速度域に応じたロッキング特性の最適化が慎重に行われている。 



2月1日
●M-TECが2007年JLMCプロジェクトを継続、ルマンとLMSは無し
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Photo:Sports-Car Racing

 M-TECは、2007年もスポーツカープロジェクトを継続させることを決定した。
 しかし、昨年のようにクラージュにMF458Sを供給して、ルマンとLMSを闘う計画は無い。M-TECのワークスチームによって、日本のJLMCでクラージュを走らせる計画だけが行われる。

 JLMCプロジェクトは、実行することが決定した段階で、詳細はこれから詰める状況だが、昨年導入したクラージュLC70に無限V8を組み合わせることは変わらない。

 ご存じのように、昨年スタートしたクラージュLC70と無限をV8を組み合わせるプロジェクトは、様々な苦労と共に実行されていた。最も大きな苦労は、Sports-Car Racing Vol.17で掲載したように、クラージュLC70の低い品質にあった。まともに走らない。走れば壊れる。ツインリンクもてぎで行われたシェイクダウンテストでは、バックストレートでリアウイングのステイが崩壊して、フラップが前後逆向きとなってしまった。もう少しで黒澤治樹は空を飛ぶところだった。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

 M-TECは、2006年のJLMCで、たった2回だけレースを経験しただけだったが、速く走らせる、と言うより、クラージュLC70の低品質を改善することで翻弄されてしまった。
 そこで、2007年を闘うにあたって、M-TECは耐久性の向上を最大のテーマとしている。

 リアウイングのステイが崩壊してしまうような、工業製品として許されない部分は、既に改良されている。2007年に向け、最も望まれる改良は、トランスミッションの信頼性向上であるらしい。

 クラージュLC70には、ヒユーランド製6速トランスミッションとイクイップメイク製の空気圧を使ったパドルシフトシステムが組み合わせられている。
 空気圧は決して強力でないため、多少不具合があっても、ミッションに影響を与えることはない。しかし、何らかの不具合があった場合、シフトチェンジそのものが出来なくなったり、シフトチェンジが期待されるスピードで実行されなくなってしまう。
 クラージュLC70の場合、ミッションそのものなのか? それとも他の部分に問題があるのか? 正確には明らかとなってないが、シフトチェンジの不具合は大きな弱点だった。

 極端な話し、童夢やダラーラから、エンジンから後ろの部分をミッションごと買ってきて、クラージュLC70と交換してしまえば、問題のほとんどは解決してしまう。しかし、この場合、リアサスペンションが含まれることから、サスペンションのセットアップをやり直さなければならない。
 そこで、M-TECでは、ミッショントラブルを解決するため、様々な方法を検討しているようだ。

 組み合わせられる無限V8は、現在総てを見直して開発中だ。当方の「排気量をアップさせるのか?」との質問に対して、M-TECは現在開発中との回答している。つまり、場合によっては、MF458Sのスケールアップバージョンが登場する可能性もあるだろう。

 2007年に使うタイヤと乗り組むドライバーとは現在交渉中だ。同様にスポンサーとも交渉中であることから、カラーリングも変わるだろう。

 非常に不安定なJLMCだが、M-TECが参加を決めたため、2007年も行われることは間違いないだろう。


1月31日
●プジョーのセブリング12時間参戦はキャンセル!                         *3月20追記
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Photo:Peugeot-Media
 写真は1月6日にポールリカールで行われたテストの時のもの。左の写真を見たアウディのエンジニアは、サイドポット上の斜めのパーティーションラインとサイドボディの大きな開口部から、相当大きなラジエターを備えることを解明して、アウディがそうだったように、熱の対策に苦労していることを推測したと言う。 
 *これまで、12月31日のシェイクダウンはポールリカールと伝えられていましたが、フランス陸軍の飛行場で行われたことを3月に公表した。

 1月10日908を公開した際、プジョーは当初のスケジュールを変更して、2週間後に行われるセブリングのウインターテストへ参加しないことを公表した。しかし、3月に行われるALMS開幕戦セブリング12時間へは、テストを目的として参加することを明らかとしていた。

 ところが、セブリング12時間の1週間後には、ポールリカールで合同テストが行われることから、少々無理なスケジュールであると考えられていた。
 逆の見方をすると、プジョーはテストドライバーとしてエリック・エラリーと契約したため、ポールリカールテストはエラリーを中心として行うと考えられていた。

 元々プジョーがセブリング12時間へ行く目的を、レースを闘うことでなく、テストとしていたことでも判るように、現在のプジョー908は開発の最初の段階で、試行錯誤の真っ直中にある。
 セブリング12時間へ参加する理由は、主に北アメリカで908を公開することにあった。

 しかし、発表することが目的だったとしても、たった3台しか存在しない908の1台をフロリダに空輸するだけでなく、開発段階の様々なシステムと共にエンジニアもフロリダに行かなければならない。

 昨日エンデュランスインフォのクロード・フーボルトは、プジョースポールのセルジュ・ソルニエから、908はセブリングに行かないことを打ち明けられた。
 フーボルトによると、正式発表ではないと言うが、新しいスケジュールとして、セブリング12時間の2日後(19日?)にプジョーはポールリカールへ行く予定と言う。LMSのポールリカール合同テストは25日と26日であるから、その前にプジョーは単独でテストを行う計画らしい。

*注:1月11日関連NEWS有り。


1月30日
●ローラ/アウディ誕生 2007年のダークホースか?
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Illustration:Lola Cars
 ノーズ部分が一段持ち上げられているのに注意。その結果ブレーキ冷却用ダクトはノーズ中央に移動している。

 とうとうローラは、B06-10 P1カーの改良モデルを発表した。
 B06-10は、昨年ダイソンとチェンバレンが、AERの3.6リットルV8ターボエンジンと組み合わせて闘った。しかし、ヨーロッパのLMSでも、北アメリカのALMSでも、パットしたポテンシャルを発揮することは出来なかった。性能調整によって、65kgも軽い車重を許され、しかも強力なダイソンが走らせながら、ALMSではP2クラスのポルシェRSスパイダーに抜かれることも珍しくなかった。B06-10の改良モデルの登場は急務だった。

 元々ローラは、B07-10として“屋根付き”のマシンを開発していた。しかし、アドバルーンとして“屋根付き”は魅力であって、何らかの工夫を盛り込まない限り、現在では“屋根無し”の方が有利であることから、“屋根無し”のB06-10の改良型の開発が優先して進められることになった。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

 もちろん、B06-10やP2カーのB05シリーズをベースとしてアップデイト出来ることが望まれたため、開発は楽ではなかっただろうが、結局ノーズ部分を中心として改良を加えたB07-10が誕生した。

 ノースの耐クラッシュ構造は従来のものをそのまま使いながら、ノーズ上面のカウルを若干ハイノーズに手直しして、童夢やペスカロロと同じように、ノーズ中央先端部分にブレーキを冷却するためのインテークを設けている。この結果、ノーズの耐クラッシュ構造を作り替えなくても、ノーズ床下のディフューザーは大きくなっているらしい。その証明として、より多くの空気の流れをノーズ床下へ送り込むため、ノーズ先端が持ち上げられている。この改良によって、ローダウンフォースとミディアムダウンフォースのコースでのポテンシャルが大きく向上しているらしい。
 もう1つの改良は、トランスミッションとサスペンションだが、詳しい情報は入ってきていない。

 このB07-10を走らせるのは、チェコスロバキアのシャロースレーシングシステムと、復活したスイススピリットだ。シャロースレーシングは、プライベートチームにとって、最強のエンジンを考えられているジャドの最新型V10を使うため、大きく盛り上がるリアカウルが新しくデザインされる。
 2つのチーム共、LMS全戦と参加が認められる場合ルマン24時間への参戦を望んでいる。シーズン後半、ALMS“プチ-ルマン”とラグナセカに参戦することも間違いないだろう。

 注目はスイススピリットだ。彼らはB07-10に、何とアウディR8用の3.6リットルV8ターボを組み合わせる。

 チェコスロバキアのレーシングチームの大々的な活動と言うことで、シュロースレーシングも興味深いが、昨年のドタバタから復活したスイススピリットについて説明しよう。

 スイススピリットのローラ/アウディ誕生には、3つのポイントがあったようだ。

 昨年のスイススピリットのプロジェクトは、フランスのセルジュ・ソルニエに活動を委託することで実現している。ソルニエ自身はフランスの有力レーシングチームで、LMSスパでポールポジションを獲得したように、充分な能力を備えている。しかし、選んだクラージュLC70が間違いだった。
 レースを闘うどころか、走ることがやっとのクラージュによって、スイススピリットは完走することさえ出来なかっため、早い段階でクラージュにマシンの大々的な改良を要求する一方、秋になると、マシンの買い戻しを求めた。

 クラージュが返事を延ばしている間、セルジュ・ソルニエ自身もやる気を無くしてしまったようで、プジョーから、チームの運営に加わるよう誘われると、さっさとチームを売却して、プジョーへ加入した。

 そのような状況で、スイススピリットは強力な援軍を得た。元々スイスを代表してスポーツカーレーシングで活躍していたのは、ジャン・デニス・デラトレスだった。もちろん、たくさんのスイス企業もデラトレスを支援していた。そのデラトレスがスイススピリットと連携することとなった。

 デラトレスは、早速高級時計のフランク・ミューラーの支援を取り付けた。

 デラトレスは、1980年代ドイツのSTW(クラス2ツーリングカー)でアウディA4によって活躍したフレッド・スタルダーにスイススピリットの活動について相談した。スタルダーは、2001年と2002年フランスのROCに加入していた時、レイナード01Q/VWによってLMP675クラスで勝った。ROCはアウディスポーツと非常に近い関係にあることはご存じだろう。スタルダーはアウディスポーツと交渉して、R8に積まれた3.6リットルV8ターボエンジンの供給を約束させた。

 2004年以降アウディスポーツは、R8に積まれた3.6リットルV8ターボエンジンを、R8以外のマシンと組み合わせる場合であっても、供給することを否定していなかった。しかし、少々高価だったことから、R8本体同様、アウディスポーツに供給を申し込むチームが現れなかっただけだった。

 アウディスポーツも、自慢のチャンピオンエンジンを、勝手にいじくられたくないため、アウディスポーツによるサポートを含めた契約を、スイススピリットと結んだ。アウディスポーツとスイススピリットの契約は3年間にも及ぶ。

 スイススピリットは、ドライバーとしてデラトレス自身と昨年と同じマルセル・ファスラーが乗り組む。この2人のドライバーを見ても、充分なポテンシャルを持っているだろう。

 10年前、BPRとルマンを闘うマクラーレン“F1”GTRの1台が、フランク・ミューラーの支援を受けていたのを覚えているだろうか? そう、あの時と同じパッケージングと考えると判り易いだろう。
 もし、デラトレスが、充分なチーム体制を構築することが出来、早期に開発に取り組みことが出来るのであれば、童夢やペスカロロにとって、強力なライバルとなることは間違いないだろう。



1月28日
●アウトウニオン TypeDがオークションへ出品される
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Photo:AUDI AG
 写真は、昨年10月ニューヨークで行われた、ルマンで優勝したR10TDIのPRイベントの際、エマニュエロ・ピロのドライブで走行するTypeD。今回オークションに出品されるクルマそのもの。

 アウディが、戦後ドイツの自動車メーカーの幾つかが統合を繰り返した結果誕生したことはご存じだろう。その中心は、戦前メルセデスの対抗馬としてGPレースで活躍したアウトウニオンだった。

 最初アウトウニオンGPレースカーは、あのフェルディナンド・ポルシェによって開発されている。
 1932年に創設されたGPカーのレギュレーションは、俗に750kgルールと呼ばれるように、最大の車重が750kgに制限されるだけで、エンジンを含む、それ以外に何も制限を設けなかった。
 50年後のグループCレギュレーションを思い出した方々も多いことだろう。

 750kgルールを研究したフェルディナンド・ポルシェは、闇雲に高回転を求めず、たった4,500rpmで運転する、バンク角45度のV16を開発することとなった。その代わり大排気量を追求していた。
 最初のTypeAに搭載されたモデルでも4,358ccもあり、1937年のTypeCでは6,330ccまで拡大された。
 ポルシェは、この低回転型45度V16をミッドシップに搭載した。
 そして、メルセデスとの激戦が繰り広げられることとなった。

 メルセデスとアウトウニオンによる過当競争の結果、あまりに高出力になり過ぎたことから、1938年に排気量が3リットルに制限されることとなった。
 その結果誕生したのが、3リットルV12を積むTypeDだった。

 Sports-Car Racing AUDI Specialに掲載されたアウトウニオンストーリー「忘れられた、もう一つのシルバーアロー伝説」は、どうして、バンク角45度のV16が開発されたのか? そして、ボアピッチからクランクシャフト、そしてコンロッドの構造に至るまで、追求しています。60度V12も同様です。
*注:Sports-Car Racing AUDI Specialを参照してください。

 元祖シルバーアローの壮大なストーリーは、AUDI Specialの特集を読んで頂くとして、アウトウニオン自体は、旧東ドイツ地域に拠点を構えていたことから、戦後、そのほとんどの設備とマシンは、旧ソ連によって持ち去られている。アウトウニオンについて取材を行う段階で、我々の感覚では、南太平洋の島から、第二次世界大戦の零戦の残骸を掻き集めて、それを再生させるのと同じように、旧ソ連に何度となく足を運んで、アウトウニオンGPレースカーを探し出して、復活させた人物の存在を知った。
 それがアメリカ人のポール・カラシックだった。

 ポール・カラシックは、ほとんどの場合、残骸同然か、部品として放置されていたアウトウニオンGPレースカーを一つ一つ発見した。中にはTypeDのように、低回転型エンジンの特徴を活かして、トラクターとして使われていた例もあった。ポール・カラシックは、数台のアウトウニオンGPレースカーを西側に運び出すことに成功した。

 これらのアウトウニオンGPレースカーは、イギリスのレストア工場に持ち込まれて、アウディの協力によって、次々と復活した。もちろん、幾つかの部品だけが発見されただけで、足りないモノの方が多かったり、例え見つかった部品でも、使い物にならない場合も多かったことから、それらを基にしたり、アウディが発見した図面や資料を基にして、たくさんの部品を新たに作り直さなければならないこともあった。

 これらのアウトウニオンGPレースカーは、ラグナセカやグッドウッド等、世界中のイベントで走り回ったことから、その姿をご覧になった方々も多いことだろう。

 ポール・カラシックが再生したアウトウニオンGPレースカーの内、何台かはアウディが買い取り、又アウディ自身も、レストアのために新造した部品を使って、レプリカを何台か作っている。
 しかし、ポール・カラシックも高齢であったことから、再生されたアウトウニオンGPレースカーの中で、アウディが買い取らなかったマシンは個人のコレクターに売却されている。

 それらの内の1939年モデルのTypeDは、昨年からクリスティーズのオークションに出品されることが噂されていた。たぶん、値段をつり上げるため、故意に流された情報なのだろうが、2月パリで開催されるレトロモビルのクリスティーズのブースで、そのオークションは行われることが決定した。
 世界でたった2台しか存在しないTypeD、であることから、驚異的な価格が予想されている。

 昨年噂が流れた理由は、ポール・カラシックから1939年型TypeDを買った現在のオーナーが、アウディに買い取るよう、要求していたためらしい。
 1939年型TypeDに付けられた価格は13億円以上と言われている。
 博物館や大企業であれば、10億円以上の歴史的遺産を買い取ることも可能だろう。しかし、それに相応しいアウディ自身は、TypeDを1台所有しているだけでなく、TypeDにTypeCの45度V16を積み、ダブルタイヤを履くTypeC/Dと呼ばれるヒルクライムモデルも所有している。最も望まれるオリジナルTypeCや、スピード記録に挑戦したTypeCストリームライナーは、アウディ自身が作ったレプリカ(と言ってもオリジナルに忠実な新車と言うべき)を所有している。

 TypeCやTypeCストリームライナーが、カラシックも発見出来なかった、旧ソ連の農家の納屋から発見されれば、アウディも13億円を工面するだろうが、既に1台所有しているTypeDに対して、13億円を捻出しなかった。
 その結果、1939年型TypeDはオークションに出品されることとなった。

 アウディは、このオークションに際して、実際にオークションが行われるパリのレトロモビル会場で、一足先に2月12日、アウディ自身が所有する1938年型TypeDを展示する他、オークションにかけられる1939年型TypeDは、1月25日アウディ・フォーラム・ニューヨークで展示される。

 何処かの博物館が買い取るのか? それとも誰も買い手が現れないのだろうか?


1月22日〜24日
●ALMSセブリングウインターテスト最終結果

3日目(SESSION5+SESSION6+SESSION7)
1 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分46秒983
2 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒006
3 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒166
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分47秒386
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分48秒388
6 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分48秒481
7 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分01秒678
8 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分02秒482
9 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒480
10 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒755
11 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒563
12 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒253
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒602
14 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分06秒403

2日目(SESSION3+SESSION4)
1 No.6 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒219
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒447
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒652
4 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分48秒207
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒391
6 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分49秒493
7 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分49秒940
8 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分54秒426
9 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分01秒944
10 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒446
11 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒689
12 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒863
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒029
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分04秒287
15 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒312
16 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒717
17 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒730
18 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒006

1日目(SESSION1+SESSION2)
1 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒228
2 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分49秒894
3 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分50秒156
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分50秒747
5 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分51秒750
6 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分52秒472
7 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分55秒614
8 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒423
9 No.45 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒607
10 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒474
11 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒524
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分05秒616
13 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒960
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分07秒068
15 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒185
16 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 4分26秒848

1月24日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト3日目午後(SESSION7)
 最後に笑ったのはダイソンポルシェだった
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Photo:Sports-Car Racing
 最後の最後になって、ベテランのアウンディ・ウォーレスがドライブするダイソンポルシェがトップタイムを叩き出した。たった1週間前にデリバリーされ、そのシェイクダウンだったにも関わらず、老舗ダイソンとウォーレスは素晴らしい仕事を成し遂げた。

 今回のテストは、2日目と3日目、ALMSの走行の合間をぬって、チャンップカーのテストがショートコースで行われています。パドックから遠い、通常使われないエリアに仮設ピットを設けてテストを行っているため、わざわざ、そこまで行かないと、チャンプカーの状況を知ることは出来ませんが、午後チャンプカーの2回目の走行が始まった頃、一旦雨は止みました。しかし、空模様は不安定なままであることから、SESSION6で、リシーのフェラーリを破ってGT2クラスのトップタイムを記録したタッフェルレーシングは、テストを切り上げて、店じまいしてしまいました。

 ペンスキーは余裕なのでしょうか、最後のセッションとなっても、エマニュエル・コラールが、相変わらず新しいカナードウイングのテストを続けています。ちなみに、この途中で折れ曲がったカナードウイングは、今日初めて使ったのでなく、昨日も途中で付け替えて走っていたそうです。
 空模様はともかく、気温が低いことと、3日間走り続けて路面のラバーグリップが乗ってきていることから、好タイムが出やすい状況は変わりません。

 アキュラ勢は、セッティングがまとまってきたフェルナンデスローラにはエイドリアン・フェルナンデスが育てたルイス・ディアスが乗り組み、常にタイムアタックの体制です。多少解消されたと言っても、激しいピッチングに苦しむAGRとハイクロフトのクラージュもタイムアタックを続けています。

 ポルシェ勢では、ダイソンにアンディ・ウォーレスが乗り組んでタイムアタックの体制です。
 1分47秒前半で闘いは続いています。新しい空力パッケージのテストを行いながらも、エマニュエル・コラールは1分47秒314のタイムを記録していますが、フェルナンデスローラのルイス・ディアスは1分47秒006のトップタイムを叩き出しました。しかし、それ以上タイムアップする気配はありません。

 セッション開始30分過ぎから心配された雨が降り始めました。ちょうどその時、アンディ・ウォーレスの操るダイソンポルシェが、1分47秒の壁を破る1分46秒983を記録しました。
 もちろん、その後、誰もアンディ・ウォーレスのタイムを破ることは出来ませんでした。
 ポルシェvsアキュラの最初の闘いは、ポルシェに軍配が上がりました。

SESSION7
1 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分46秒983
2 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒006
3 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒314
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分47秒386
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分48秒486
6 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分50秒456
7 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒212
8 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒317
9 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒602
10 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分04秒171
11 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒563
12 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分08秒943

1月24日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト3日目昼(SESSION6)
 フェルナンデスのローラ/アキュラがポルシェを破った
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Photo:Sports-Car Racing
 アキュラの開発のテンポは非常に速いようだ。昨日のクラッシュによって、急遽交換した左サイドボディに注意。右はフェラーリを破ってトップタイムを記録したタッフェルポルシェ。やっと997GT3RSRが速さを発揮し始めたようだ。GTクラスのポルシェの場合、セブリングの荒れた路面によって、こんな状況に陥ることも珍しくない。クラージュ/アキュラにとって、セブリングは最も苦手とするコースかもしれない。

 テスト最終日は、3つのセッションに分けてテストは行われます。夕方のセッションが雨となる可能性が高いことから、昼に行われるセッション6が事実上最後の走行となる可能性が出てきました。気温は低いままであることから、タイムアップのチャンスでもありました。

 走行開始15分過ぎ、フェルナンデスのローラ/アキュラが1分47秒503を記録して、初めてポルシェ勢を上回ることに成功しました。タイム的には平凡ですが、ポルシェ勢に大きな刺激を与えました。

 その段階でペンスキーは、午前中に続いてローダウンフォースペッケージのテストを継続していましたが、大急ぎで大きなカナードに付け替えました。しかし、フェルナンデスのタイムを破るだけが目的ではないようで、昨日までとは違う、途中で角度が変わる複雑なカタチのカナードを取り付けています。

 これで、直ぐにポルシェがアキュラを上回るものと思われましたが、ペンスキーの目的は新しいカナードの空力特性にあるようで、しばらくピットインを繰り返しながら走行をしています。ところが、セッション終了まで残り20分となった時、心配された雨が降り始めました。

 慌ててペンスキーもタイムアアタックに入りました。隣のダイソンのピットでは、クリス・ダイソンからアンディ・ウォーレスに交代して、こちらもタイムアタックを開始しました。
 もちろん、3台のアキュラ勢も次々とタイムアタックに入りました。

 しかし、路面コンディションが悪いようで、タイムアップすることが出来ません。
 それでも、ペンスキーポルシェは最後の1周で1分47秒564までタイムアップしましたが、6/100秒差でフェルナンデスのローラ/アキュラに破れることとなりました。

 GTクラスは、タッフェルレーシングのポルシェ997GT3RSRが、昨日リシーのフェラーリが記録した2分1秒944を0.3秒破ってトップに立ちました。
 現在ほんの少し雨が降っているため、夕方のセッションでタイムアップすることは難しい状況です。
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Photo:Sports-Car Racing
 カナードウイングが、途中で折れ曲がっているような複雑な形状であることに注意。

SESSION6
1 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒503
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒564
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分48秒045
4 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分48秒388
5 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分48秒537
6 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分49秒826
7 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分01秒678
8 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒480
9 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分02秒549
10 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒755
11 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒253
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分05秒079
13 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分06秒403
14 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分07秒432


1月24日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト3日目午前(SESSION5)
 アキュラ躍進   ポルシェはローダウンフォースパッケージをテスト
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Photo:Sports-Car Racing
 RSスパイダーのノーズ左右に取り付けられたカナードウイングが、昨日までのものと違って、非常にコンパクトであるのに注意。セブリングで絶対使われることがない、ローダウンフォースパッケージをテストした理由は不明。フェラーリを破ってGT2のトップタイムタッフェルレーシングは、新規参入組ながら、7,000万円もする997GT3RSRを2台もセブリングに持ち込んできた。

 テスト最終日となって、気温が下がったことから、好タイムが出易い状況となった。しかし、ポルシェ勢はRSスパイダーの速さに満足したのか、ペンスキーはNo.6を引っ込めて、3日間走り続けているNo.7を使って、ローダウンフォースパッケージのテストを始めた。ダイソンも、一応セッティングを見出したようで、主にクリス・ダイソンが乗り組んで、連続走行を行っている。

 対するアキュラ勢は、昨日までと違って、やっとピッチングを解消するセッティングの糸口を見出したようで、低い気温もあって、フェルナンデスとAGRは共に1分47秒台を記録した。

 GT2クラスは、ラップタイムはそれほどでないものの、ポルシェが初めてタイムボードのトップに躍り出た。トップタイムを記録したのは、今年新たに参戦するドイツのタッフェルレーシングの997GT3RSRで、間にリシーのフェラーリを挟んで、3位にも、もう1台のタッフェルポルシェが入り込んだ。
 しかし、その差は僅かで、気温が下がって、速いラップタイムが出易いコンディションにも関わらず、昨日リシーのフェラーリが記録したベストタイムより1秒遅い。

SESSION5
1 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒166
2 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒282
3 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分47秒520
4 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒885
5 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分48秒481
6 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒071
7 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒198
8 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分02秒482
9 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒704
10 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒253
11 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒907
12 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒917
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒386
14 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分19秒792



1月24日 **フロリダ時間
●アキュラの野望

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Photo:Sports-Car Racing
 写真はハイクロフトのクラージュLC75、昨年4月の発表会で展示されたシャシーそのもの。アキュラV8はインディV8をベースとして開発されている。ミッションはオリジナルと同じヒューランド製だが、ザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムが組み合わせられている。タイヤの影に半分隠れているが、手前のエキゾースト後方がそれだ。*注:右のエンジン写真はフェルナンデスローラのもの。

 23日ホンダHPDは、アキュラP2プログラムを正式に発表した。既報通りフェルナンデス、アンドレッティ/グリーン(AGR)、ハイクロフトの3つのレーシングチームがローラとクラージュを走らせる。2006年4月、このプログラムが最初に公表された時、HPDは「このプログラムは、将来エンジンとシャシーをパッケージとしたP1プログラムに進化させ、ALMSだけでなくルマン24時間レースをも視野に入れている」と公表している。つまり、現在のP2プログラムは、それに続く勉強段階であるとも言える。

 このような事情から、P2プログラムで使うシャシーはどれでも良かったのかもしれないが、一応、その時点で販売されていたクラージュとローラを買い入れた。ちなみに、最初にHPDのテスト用として買って、昨年4月の発表会で展示されたクラージュもあったことから、ハイクロフトに、そのシャシーを貸し出すこととなって、結局クラージュLC75を2台、ローラB06-43を1台走らせることとなった。

 ハイクロフトは、ダンカン・デイトンが設立したレーシングチームだが、アキュラプログラムについては、ダニー・サリバンがシニアアドバイザーに就任している。
 将来の勉強と割り切ったとしても、童夢やペスカロロを買うのと違って、ローラとクラージュを熟成させるため、アキュラは大きな苦労をしているようだ。

 もちろん、インディ用をベースとした3.4リットルV8は素晴らしいパワーを発生している。同時に最初の段階でシステム開発にも取り組んでおり、それぞれ違うミッションであっても、3台のマシンにはザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムが盛り込まれている。

 たくさんのプライベートチームにデリバリーされたように、ローラの最大の特徴は、それなりのチームであれば、大きな不具合はなく走らせることが可能なことだ。しかし、汎用マシン故、昨年のダイソンがそうだったように、ローラを性能向上させようとすると、容易に限界に直面する。

 それに対して、クラージュの場合、走らせることそのものが難しく、ザイテック製のパドルシフトシステムが無ければ、まともに走ることも不可能だったことだろう。

 ローラとクラージュは、充分詰めた空力開発が行われてないこともあって、セッティングを進めると、ピッチングの発生に悩ませられることとなる。
 セブリングのような、コンクリート舗装のコースの場合、過大なピッチングに悩ませられる。今回のテストでも、ローラは多少マシだったかもしれないが、2台のクラージュは過大なピッチングに苦しんでおり、特にAGRのクラージュは走らせる限界と言えるような状況だった。

 元々、この壮大なプログラムのため、アキュラ自身がニック・ワースを雇って、スポーツカーの空力の開発を行う計画だった。その最初のプログラムとして、ニック・ワースは、ローラとクラージュの空力の改良に取り組んでいるらしい。空力改良プログラムは、インディカーで使われている北アメリカの風洞でなく、ニック・ワース主導によってイギリスで行われている。

 テスト1日目、ハイクロフトのクラージュに見られたオイル漏れは些細な問題だったようで、ミッションそのものは正確に作動しているらしい。
 サスペンションについても、独自に研究を開始しているらしいが、こちらについては、明確な方向の情報を得ることが出来なかった。しかし、ローラの開発にも関わったマルティマチックのエンジニアがやって来ていたことから、もし、彼がローラから依頼されて来たのでなければ、マルティマチック本体か、傘下のダイナミックによって、サスペンションの開発は行われるのだろう。

 開発のテンポは速く、昨年のMテックやスイススピリットのような苦労は既に通り過ぎている。
 過大なピッチングと闘うAGRは不幸としか言いようがないが、テスト2日目フェルナンデスのローラは1秒タイムアップして、ポルシェ勢の1秒差まで追い上げている。

 サム・コリンズ経由でニック・ワースからの情報を得たが、ローラとクラージュの違う2つのクルマの空力を改良するのは難しいと言う。どちらが優れているとは語ってないが、主としてクラージュの改良に取り組んでいることを明らかとしている。
 今後の進歩に期待したいプログラムであることは間違いないだろう。

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Photo:Sports-Car Racing
 左がAGRのクラージュLC75、右がフェルナンデスのローラB06-43。ポルシェ勢と比べると、大きなダウンフォースを得るため、クラージュには異様に大きなカナードが、ローラには左右2枚ずつカナードが追加されている。



1月23日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト2日目(SESSION3+SESSION4)
 フェルナンデスのローラ/アキュラ及ばず  ポルシェRSスパイダーの速さ変わらず
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Photo:Sports-Car Racing
 ライアン・ブリスコーの乗るRSスパイダーがトップを維持した。3月のセブリング12時間では、昨日テスト初日に走ったエリオ・カストノネベスもペンスキーのRSスパイダーに乗り組む。右は先週デリバリーされたダイソンのRSスパイダー。アンディ・ウォーレスとクリス・ダイソンによって、ペンスキーと遜色ないタイムを記録した。


 RSスパイダーの速さは、2日目午後となっても変わらない。既に空力セッティングは完了したようで、3台総てが1分47秒台で順調に走行を続けている。トラブルフリーであるのも大きな戦力だろう。

 アキュラ勢は、1日目終盤、残り30分の時点で、ルイス・ディアスのドライブするフェルナンデスのローラがクラッシュしてしまった。幸いディアスの身体に別状はなかったが、右サイドボディを破壊してしまったことから、2日目はカラーリングしてないスペアカウルを装着して走ることとなった。
 アキュラ勢では、このフェルナンデスのローラがもっとも開発が進んでいて、ポルシェ勢には及ばないものの、2日目午後になって1分48秒台まで1秒ほどタイムアップした。

 GT2は、相変わらずリシーのフェラーリ430が速さを見せつけている。

SESSION3+SESSION4
1 No.6 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒219
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒447
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒652
4 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分48秒207
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒391
6 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分49秒493
7 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分49秒940
8 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分54秒426
9 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分01秒944
10 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒446
11 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒689
12 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒863
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒029
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分04秒287
15 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒312
16 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒717
17 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒730
18 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒006


1月23日 **フロリダ時間
●GT2はフェラーリがトップ  
 1日目はPTGパノスがトップ  14インチタイヤを履くポルシェ997はフェラーリの1秒遅れ
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Photo:Sports-Car Racing

 今回のテストで、ポルシェ997GT3RSRがデビューした。昨年FIAGTとALMSのGT2クラスは、共にフェラーリ430が輝き、ルマンではパノスがGT2クラスを勝ち取った。そのため、新しい997GT3RSRの速さに注目が集まっていた。
   GT2レギュレーションは、1,200kg以上の車重を選択した場合、2インチ太い14インチ幅のタイヤの使用を認めている。選択可能な最も軽い車重は1,125kgであるから、従来ほとんどのクルマは1,125kgの車重を選択していた。ところが、ポルシェは100kg重い車重にメリットを見出したようで、997GT3RSRは1,225kgの車重で登場した。

 1,200kg以上の車重を選択した場合、2インチ太い幅14インチのタイヤを使用出来るだけでなく、重りを積んでクルマの重量バランスを調整することが可能となる。ポルシェは、基本的にテイルヘビーなリアエンジンで、軽量化を進めるほど、この傾向は強まる。逆に重い車重を選択した場合、重りを積むことが出来ることから、重量バランスを改善することが可能となる。

 このような事情から、少なくともポルシェの場合、1,225kgの車重はメリットだった。
 誰だって、997GT3RSRに期待したことは言うまでもないだろう。

 ところが、昨日GT2クラスのトップタイムは、PTGが走らせるパノスがマークした。ご存じのように、PTGは、昨年まで北アメリカにおけるBMWの事実上のセミワークスチームで、その有能なPTGが走らせるため、こちらも期待が集まっていたが、ヨコハマタイヤを履き、予想通りの速さを披露した。

 今日になってジョゼッペ・リシーのフェラーリ430が走り始めると、リシーのフェラーリが、新型ポルシェとアドバンカラーのパノスを抑えて、あっと言う間にトップタイムを更新してしまった。

 P2のポルシェRSスパイダーほどではないが、リシーのフェラーリ430の速さも圧倒的と言うべきで、常にライバル達を1秒以上引き離す速さで走り回った。

 今年ALMSのGT2クラスは、ポルシェ、フェラーリ、パノスの三つ巴の状況で、従来ポルシェを走らせて活躍していたピーターセンとホワイトライトニングの連合軍もフェラーリを導入している。激しい闘いがシーズン終了まで繰り広げられることだろう。

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Photo:Sports-Car Racing

1月23日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト2日目午前(SESSION3)
 RSスパイダーの速さは本物 ポルシェの黄金時代復活か!

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Photo:Sports-Car Racing

 2日目になって、昨日走らなかった2台目のペンスキーポルシェとジョゼッペ・リシーのフェラーリが登場したため、コース上は18台のスポーツカーによって賑わうこととなった。

 昨年のALMSは、P2クラスのポルシェRSスパイダーがアウディを破って総合優勝したこともあるように、優秀なマシンを有能なレーシングチームが走らせるのであれば、P2カテゴリーであっても、P1カーを破って総合優勝出来る不思議な状況だった。ACOはこの状況を是正することを決心して、明確にP1>P2>GT1>GT2となるよう、各クラスに1.5%の速さの差を設けることを目的として、リストリクターの大きさに5%の差を付けることとなった。そのため、2007年のレギュレーションでは、P1クラスのリストリクターは変わらないが、P2クラスは、NAエンジンの場合、従来44mm×1→42.9mm×1に、ターボエンジンの場合43mm×1→42mm×1まで小さくされている。リストリクターの直径が44mmから42.9mmまで小さくなった場合、大体30馬力程度パワーダウンすると考えられている。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

 つまり、2006年より遅くなることが見込まれていた。ところが、2007年バージョンのRSスパイダーは、遅くなるどころか、去年よりも明らかに速くなっている。

 去年の3月のセブリング12時間の際、2006年バージョンのRSスパイダーは、予選で1分47秒台のタイムを記録している。ところが、2007年の場合、不安定なコースコンディションでありながら、1月のウンターテストの段階で去年の予選タイムを破ってしまった。しかも、ダイソンを含む3台総てが、同じような速さで走り回って、アキュラ勢に2秒の差をつけているのだ。20年前の962の時代が復活したと判断しても間違いないだろう。

SESSION3
1 No.6 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒280
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒500
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒652
4 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分49秒346
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒391
6 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分49秒493
7 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分50秒032
8 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分01秒944
9 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒446
10 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒689
11 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒863
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒029
13 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒312
14 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒717
15 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒730
16 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分04秒793
17 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分11秒983
18 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 2分42秒057

1月22日  **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト1日目   ポルシェがアキュラを圧倒

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Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ3日間にわたって行われるセブリングのウインターテストがスタートした。
 17台が参加を申請したが、リシーのフェラーリとペンスキーの2台目のポルシェRSスパイダーを除く総てのチームが1日目から走行を開始した。

 午前8時最初のセッションが開始されると、真っ先に3台のアキュラ勢がコースインした。既に数回のテストを行っているが、まだ、完全に熟成された訳ではないようで、順調に走行を続けたのはフェルナンデスのローラだけで、アンドレッティ/グリーンとハイクロフトのクラージュは、しばしばピットに張り付くこととなった。本当の原因は未確認ながら、事実上のシエイクダウンとなったハイクロフトのクラージュ/アキュラは、ミッション付近からオイルが漏れており、もしかしたら、昨年ヨーロッパで走ったクラージュ/無限がそうだったように、ミッショントラブルを解消出来ないでいるのかもしれない。

 と言っても、フェルナンデスのローラ/アキュラが順調な訳ではなく、クラージュのようなトラブルが無いだけで、しばしば、ピットインして、サスペンションセットの変更に精を出すこととなった。

 アキュラ勢は、3台共パドルシフトシステムを電磁石を使ったザイテック製を導入しており、アキュラV8と統合してコントロールされている。実績のあるザイテック製パドルシフトを、アキュラのエンジニアが、それ専用で開発していることから、パドルシフトそのものは正確に作動している。クラージュ/アキュラの問題は、昨年のクラージュ/無限と同じようなものかもしれない。

 ペンスキーのポルシェRSスパイダーは、ポールリカールで走った後フロリダに送られ、10日前既にセブリングでテストを行っている。そのため、既に初歩的な開発は終了しており、早くも、より早く走るため、サスペンションと空力のセッティングを詰め始めている。
 今回のテストは、ドライバーを明らかにしないで参加しており、インディチームのドライバー達もステアリングを握るらしい。最初の走行は、エリオ・カストロネベスが乗り組んだが、しばしばピットインを繰り返して、細かなセッティングを試みながらも、1分49秒台を記録して、その速さを見せつけた。

 RSスパイダーの最初のカスタマーカーは、先週ダイソンに納品された。バイザッハでRSスパイダーを受け取ったダイソンは、早くもセブリングに乗り込んできた。
 もちろん、バイザッハのテストコース以外を走るのは、今日が初めのハズだが、最初から絶好調で走り回って、アンディ・ウォーレスは、あっと言う間に1分50秒台のタイムを記録した。

 午後1時から2回目のセッションが開始されたが、開始早々にわか雨が降ったことから、インタースポーツのクンホタイヤを履くローラが1周しただけだった。2時過ぎに雨が止んだが、夕方には路面が乾くことが予想されたことから、ハイクロフトのクラージュ/アキュラだけが、テスト不足を補うため、レインタイヤを履いて走っただけだった。

 ハイクロフトは、ダイソンで活躍したダンカン・デイトンが設立したレーシングチームで、2007年はデイトンと共に、デビッド・ブラバムとステファン・ヨハンソンが乗り組む。ドライバー陣を見ても明らかなように、ダークホースとして期待されている。

 3時過ぎコースが乾いてくると、次々にテストを再開した。

 実を言うと、午前中大変なことが起こっていた。今回のテストはIMSAが主催する公式テストであるから、トランスポンダーと呼ばれる計測器を各車に装着することが義務付けられている。ところがペンスキーをはじめとする幾つかのチームは、計測器の装着を拒否した。そのため、フェルナンデスを除く総てのトップチームがトランスポンダーを積まないで走行することとなった。

 この理由は、最近IMSAが行っている性能調整にあるらしい。昨年のアウディがそうだったように、速いことが判明した場合、直ぐに重りを積まされたり、逆にライバル達の車重を軽くされてしまう。その理由を少しでも作らないため、このような行為に出たらしい。

 北アメリカで最有力のレーシングチームであるペンスキーであるから、IMSAも直ぐに拒否出来なかったのだろうが、午後になるとIMSAの説得を受け入れ、ペンスキーをはじめとする総てのトップチームがトランスポンダーを装着して走行することとなった。

 やはり、予想されたように、2007年モデルのポルシェRSスパイダーの速さは圧倒的だった。ペンスキーのRSスパイダーは、雨上がりのコンディションでありながら、1分47秒228で走ってしまった。事実上のシェイクダウンテストだったダイソンでさえ1分49秒台だった。アキュラ勢はフェルナンデスのローラとアンドレッティ/グリーンのクラージュが1分50秒台で、走り始めたばかりのハイクロフトは1分52秒台で、完全にポルシェに完敗することとなった。
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Photo:Sports-Car Racing

1 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒228
2 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分49秒894
3 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分50秒156
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分50秒747
5 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分51秒750
6 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分52秒472
7 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分55秒614
8 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒423
9 No.45 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒607
10 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒474
11 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒524
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分05秒616
13 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒960
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分07秒068
15 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒185
16 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 4分26秒848


1月21日
●ACOが今年のルマン24時間レースのセレクションエントリー24台を発表  マセラッティは無し!
 ヴィータフォンはペスカロロを走らせる!?
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Photo:FIAGT

 様々な意見を取り入れ、ACOは2007年のルマンへ参加可能なチームの選定を試みている。最も新しい決定は、1ヶ月前FIAGTの2つのクラスの上位2台ずつの招待を認めたことだった。ところが、2006年のFIAGTのGT1クラスのチャンピオンは、ヴィータフォンが走らせたマセラッティMC12だった。マセラッティMC12は世界中のどのホモロゲイションも持たないGTレースカーで、様々なハンデを課した上で、特別にFIAGTへの参加を認められた。そのため、ACOが、自分達が作ったレギュレーションに反するクルマのエントリーを認めたのか? 世界中で注目を集めていた。
 しかし、ACOはFIAGTの各クラスの上位2チームの参加を認めただけであって、マセラッティMC12の参加を認める、とは一言も言ってなかった。
 そして、これらの条件を加味して、ACOは2007年のルマンが選択した、最初の24台を公表した。詳しくは下記のACOのリストを見てもらいたいが、やはりマセラッティMC12の名前はなかった。

http://www.lemans.org/24heuresdumans/live/ressources/pdf/selectionnes_office_24heures2007_fr.pdf

 このリストが興味深いのは、バラジ-イプシロンのマシンがクラージュC65となっていることだ。バラジ-イプシロンは、昨年のLMSのP2クラスのチャンピオンで、2007年新たにザイテック07Sを導入することが決まっている。第一ハイブリッドカーのクラージュC65が走れるのは2006年までで、2007年ルマンとLMSで走ることは出来ない。

  ACOのレギュレーションブックによれば、選択された条件が変更される場合、その資格を失う旨が記載されている。しかし、2007年の場合選定条件のクルマが使えない以上、この条項は機能しない。
 実際にチームがエントリーして、次回エントリーリストが公表される際、バラジ-イプシロンのマシンはザイテック07Sに変わっていることだろう。

 もう1つの興味深い点は、ALMSのP2クラスのチャンピオンであるペンスキーのポルシェRSスパイダーの名前が存在しないことだろう。
 ペンスキー自身はルマンへの参加に興味があることを明らかとしている。ところが、ポルシェのRSスパイダープロジェクトは、北米ポルシェ主導で進められており、ペンスキーは、RSスパイダーを熟成するため、北米ポルシェに雇われている。つまり、ルマンは管轄外のレースである。

 第一、当初注文が殺到することが予想されたため、当初RSスパイダーを走らせるチームは、北米ポルシェの管轄であるALMSへ全戦参加すると共に、2007年のルマンへ参加しないことを求められていたほどだった。その後、高価格故、RSスパイダーの販売は停滞しているため、この条件は取り下げられたが、北米ポルシェの要請で作ったクルマを、ポルシェ自身がヨーロッパで走らせる計画は存在しない。

 アキュラがルマンへ遠征するようなことでもない限り、ポルシェにとって、ペンスキーのRSスパイダーを積極的にルマンで走らせる理由は見いだせないだろう。

 明日から始まるセブリングのウインターテストについて、イギリスからやって来たジョン・ブルックスと情報交換したところ、彼はイギリスを発つ前、あるコンストラクターから、ヴィータフォンについて面白い計画を聞かされたと言う。このコンストラクターの名前は言うべきではないだろうが、イギリスに存在して、トップレベルのGTレースカーを生み出している。こう言うと、2つに絞られるから、名前が判った方も居るだろう。ジョンおじさんによると、2007年のヴィータフォンはミシュランと共にプランを練っている段階で、ペスカロロを走らせることがほとんど決定していると言う。

 しかし、ペスカロロは、6台目として、バラジ-イプシロンのクラージュC65をアップデイトさせる計画を公表したばかりだ。新しいモノコックは6つだけが作られる予定で、7台目の存在は明らかでない。
 そのため、ヴィータフォンがどうようなカタチでペスカロロと関わるのか? 不可解な部分が存在する。
 この計画が実現するのであれば、ペスカロロ陣営は強力な援軍を得ることとなるだろう。

**1月9日、1月10日関連記事有り

1月20日
●SLC(スーパーライトカーズ)の正体
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CAD image:ZYTEK
 ザイテックから手に入れた違うCADイメージをご覧ください。青い部分が07Sで新たに作られる部分。1月18日のNEWSで掲載したCADイメージと併せて見ると、同時にサイドポンツーン上面を低く作り替え、06Sのコンセプトである、フロントフェンダーとノーズの間から、床下の空気をボディ上面に排出し易くしているのが判る。

 1月18日付けNEWSで、ザイテックが、新しい07Sのモノコックをスーパーライトカーズに委託したことを掲載しました。その段階で当方は、スーパーライトカーズの正体を把握してなかったことから、調査中と記載したところ、読者の方から、スーパーライトカーズについての情報が寄せられました。

 読者の方からの情報と重複する内容でしたが、Racecar engineeringのサム・コリンズからも、簡単な情報を得られたため、追記したいと思います。

 スーパーライトカーズとはSLCの名前で知られる、どちらかと言うとレーシングチームです。プロストGPが崩壊した時、ばら売りされた施設の一部を買い取ったグループによって、あるいは、そのグループの獲得した設備を活用して活動しているようです。設立は2004年ですが、早くも2005年最初の作品であるR1 F3を作り上げて、ユーロF3へ挑戦しています。

 プロストGPの施設を手に入れたグループは1つだけではありません。そのため、SLCの正確な内容は、現在でも完全に判明した訳ではありません。しかし、その読者の方のアドバイスによって調べたところ、イタリアのATRグループの一員であることが判りました。ATRグループのホームペイジによると、SLCの担当はエンジニアリング、レース、そして、ロードカーであると記載されています。

 クラージュLC70系のモノコックとボディカウルがATRによって製作されたことは知られています。ダラーラも、大量に製作するF3やワンメークフォーミュラのカーボンコンポジットパーツの製作をATRに任せています。ですから、SLCのR1 F3のモノコックはATR製と考えるのが自然です。

 そこで、サム・コリンズのマシンガントークを覚悟しながら、イギリスまで再度連絡したところ、ザイテックは、SLCに対してモノコックのデザインも含めた開発と製作を委託したことが判明しました。

 つまり、実際にカーボンファイバーを張り込んでオートクレープで焼き上げたのは、SLCでなく、ATRである可能性もあるとのことです。

 と言うことは、柔軟に、P1とP2で違うデザインでモノコックを作るとは考えられません。P1バージョンであっても、07Sが1つのリストリクターを選択した理由もそこにあるように思えます。

**1月18日関連記事有り


1月19日
●ローラマツダ登場   MZR-RエンジンがSUPER GTでも使われる?!
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Photo/Illustration:Mazda Speed

 先週お知らせしたUSマツダによるALMSのP2プロジェクトが、正式に発表された。
 既報通り、ローラの最新型B07-40を使い、ロータリーでなく、新たにAERと共にマツダスピードが開発する2リットルのレシプロ4気筒ターボエンジンを組み合わせて、BKモータースポーツが走らせる。

 B07-40は、B05-40の発展型として、2年間の経験に基づいて、主に空力について様々なアップデイトが施されたP2カーで、アタッチメントパーツを交換することで、様々なセッティングが可能らしい。

 3月にフロリダのセブリング12時間から始めるALMS全戦への参加を計画している。最終戦は、マツダレースウェイとして知られる北カリフォルニアのラグナセカで行われる。

 ALMSのP2クラスは、ペンスキーとダイソンの強力なポルシェ、そしてUSホンダが大きく関わる3台のアキュラが参加する激戦クラスだ。マツダの本格的参戦によって、一層注目を集めることだろう。

 BKモータースポーツは、2005年末既にシャシーをクラージュからローラに変更することが囁かれていた。その時は、「あくまでもロータリー」との声が大きく、推力軸の高いロータリーエンジンを搭載しながら、最良のシャシーを実現するため、様々なプランが話し合われていた。
 結局ロータリーに合わせたミッションを作るのでなく、エンジンを交換することとなった。

 イラストは、ローラが用意している3面図をベースとして描かれたもので、NAのジャドやザイテック用であるため、リストリクターの位置がターボとは違う。マツダの4気筒ターボエンジンを搭載するBKモータースポーツのマシンは、MGをベースとしたAERのターボエンジンを搭載するマシンと同じく、リアフェンダー前にインテイクが設けられる。

 フォーミュラマツダ用をベースとして、AERが開発する2リットルの4気筒ターボエンジンは、MZR-Rと呼ばれる。MGの4気筒ターボエンジンを開発したAERによって、ギャレット製のターボチャージャーを組み合わせて開発され、500馬力の最大出力と400lb-ftの最大トルクを発生する。興味深いのは、マツダのロードカーでも使われているDISI(マツダ・ダイレクト・インジェクション・スパーク・イグニッション)と呼ばれる直噴システムが使われていることで、アウディR8がそうだったように、巧妙に点火をコントロールすることによって、大きなパワーと良好な燃費を両立することだろう。

 USマツダのプレスレリースを見る限り、マツダは今後もロータリーエンジンを継続すると書かれている。モータースポーツではGrandAmシリーズに参加するRX8を例に挙げている。しかし、当方で直接コンタクトしたところ、USマツダとマツダスピードは、今後MZR-Rエンジンが、様々なスポーツカーレースでも使われることを示唆している。

 排気量2リットルのターボエンジンが活躍出来るカテゴリーとは、ルマンのP2クラスを除くと、それを積むマシンが存在するのであれば、FIAとACOのGT2クラス、そして、日本のSUPER GTのGT300のことだろう。近い将来、MZR-Rエンジンが日本でも使われるのだろうか?

**1月13日関連記事有り


1月18日    **1月20日キャプションを追記
● 2007年のZYTEKスポーツカー
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CAD image:ZYTEK
 青い部分が07S用として新たに作られる部分、 それ以外のボディカウルは06Sと同じ。開発の手法は童夢S101.5と同じであることが良く判る。


 ペスカロロ、童夢、クリエイションと共に、スポーツカーレースにおける4強コンストラクターの一角を占めるザイテックの2007年の計画がまとまってきたようだ。

 レイナードの遺産を引き継いで、2004年ザイテック自身がコンストラクターとしてスポーツカーレースに関わるようになった。その時から、何らかのカタチで、ザイテックは事実上のワークスチームを参加させてきた。しかし、2007年にザイテックのワークスチームが登場する予定はないようだ。

 2007年ザイテックは、2004年レギュレーションに従って、06Sハイブリッドカーをベースとして開発する07SのP1バージョンを1台、P2バージョンを1台、それぞれカスタマーチームに対して販売する。この2台、そして、日本に送られた04Sのサポートを通じてスポーツカーレースと関わる。

 P2バージョンの07Sは、バラジ-イプシロンがオーダーした。P2バージョンはザイテックの3.4リットルV8が組み合わせられる。ザイテックスポーツカーの原点であるレイナード03Sは3.4リットルV8を積むLMP675カーだったことから、最も活躍が期待出来るパッケージと言えるだろう。

 P1バージョンの07Sのデリバリー先は、発表前であることから、現在のところザイテック自身が公表することは出来ないらしい。昨年終盤のALMSで活躍した06Sハイブリッドカーをベースとして開発され、基本的に同じザイテック製の4リットルV8が組み合わせられる。

 CAD imageをご覧頂くと理解出来るように、07Sは06Sハイブリッドカーをベースとして開発されることから、2,815mmのホイールベース等、基本的なディメンションは変わらない。2004年レギュレーションに従って、新たにスーパーライトカー製のカーボンファイバーコンポジット製モノコックと交換されることが、最も大きな変更点と言えるだろう。
*注:スーパーライトカーは新興のコンポジェットメーカーですが、実体を現在調査中です。

 06Sハイブリッドカーは、直径33.4mmのリストリクターを2つ使用していた。しかし、面白いことに、同じP1バージョンの07Sは、直径46.8mmのリストリクターを1つだけ使用している。

 同じ排気量で義務付けられるリストリクターの面積は、リストリクター表面の摩擦抵抗を考慮して、1つの場合より2つの方が、合計した面積は大きい。しかし、摩擦によるフリクションが問題となるのは、極限のほんの僅かな領域だけであることから、ほとんどの場合、少しでも面積が大きい2つのリストリクターを選択する。近年、童夢S101の最初期バージョンは1つのリストリクターで登場している。その理由は、ボディ外側の空力性能の向上を狙うことが大きな理由だった。

 では、どうしてザイテックは、1つのリストリクターを選択したのだろうか?

 1月17日付けNEWSで、最新のP1カー開発の難しさをレポートしている。その中で、2つのロールバーの剛性を確保するのが難しいことを掲載している。童夢の場合、大きなジャドの5.5リットルV10を搭載することから、エアボックスが高い位置にレイアウトされるため、リストリクターを左右のヘッドレストの間に設けて、ロールバーの土台となるヘッドレスト部分には一切の開口部を設けなかった。

 ザイテックの場合、4リットルの90度V8であるため、エアボックスの高さも低く、2つのヘッドレストの間にリストリクターを設けたら、純粋にその分だけドラッグが増えてしまう。そこで、剛性を下げることなく、ヘッドレストにリストリクターを設けることとなったのだろう。

 童夢がヘッドレストにリストリクターを設けた場合、補強が必要と判断した評価基準は、リストリクターを2つ設ける時だった。1つであれば、ヘッドレストに開ける穴の大きさを半分にすることが出来ることから、剛性の低下を抑えることが可能だった。
 しかも、P1とP2で、2つのリストリクターを備える方は、ヘッドレストに大きな穴を開け、1つのリストリクターの方は、穴の大きさが小さいのであれば、2度クラッシュテストを行わなければならない。
  これらを総合して検討した結果、ヘッドレストに1つのリストリクターを備えることとなったのだろう。

 ロールバーそのものは、童夢やアウディと同じモノコック構造となる。

 06Sハイブリッドカーを作った時、「2段階で完全なP1カーに進化させる」と公表したように、空力コンセプトは06Sを進化させたもので、基本的に06Sと同じボディカウルが使われる。04Sで採用されたザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムもそのまま使われる。

 現在のところ、2月半ばにクラッシュテストを行い、3月末P2バージョンはバラジ-イプシロンに引き渡される。3月25日からのポールリカール合同テストでシェイクダウンを行うのだろう。

 ザイテックを巡る話題としては、電磁石を使ったパドルシフトシステムが非常に好評なことで、ザイテックスポーツカーだけでなく、ビニーモータースポーツのローラB05-40やA1-GP等25セットがデリバリーされている。興味深いのは、アキュラのP2プロジェクトでも採用されたことだろう。
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Photo:Sprts-Car Racing                         Photo:ZYTEK
 写真左は、ダンパー下のサスペンションアームの間に見えるものが、シフトチェンジを行う電磁石を使ったアクチュエイター。写真右は、ステアリングホイールの裏側左右に取り付けられた、シフトチェンジを行うパドル。



1月17日
●童夢S101.5で学ぶ最新のP1カー開発の苦労
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Illustration:Dome

 いよいよ、S101.5の開発は最終段階を迎えたようだ。本日童夢は、S101.5の開発状況を完成予想イラストと共に公開した。詳しくは童夢のホームペイジをご覧頂きたい。

 http://www.dome.co.jp/column/dt_53f.html

 Sports-Car Racingでは、2004年レギュレーションによって、エンジニア達が、意外な苦労を強いられていることを中心としてレポートしたいと思う。

 童夢S101.5やペスカロロS1(注:そう呼ぶことが明らかとなった)、ザイテック07S、クリエイションCA-07は、2006年に走ったハイブリッドカーをベースとしたP1カーであることから、これらの開発を行うエンジニア達は、いずれも同じような苦労をしていることが想像出来る。

 Sports-Car Racing Vol.17で掲載したように、2004年レギュレーションで最高の空力性能を実現しようとすると、モノコック前半部分を前後に延ばして、ホイールベース内側に前後に長い大きなディフューザーを設けることが求められる。ところが、モノコックの前側のスペースを大きく取ると、当然ながら、クルマの中でエンジンが存在する位置が後ろ寄りとなって、前後の重量配分は後ろ寄りとなる。

 これだけでも、大きな問題であるにも関わらず、コクピット後方に取り付けられる2つのロールバーによって、大きな剛性を確保するため、さらに苦労を強いられているようだ。

 土台となるヘッドレストやサイドプロテクターを横方向に張り出すのであれば、前後方向のスペースを小さくすることが出来るかもしれない。しかし、横方向に張り出してしまったら、前面投影面積が大きくなってしまう。横方向の張り出しを抑えて剛性を確保するのであれば、土台部分を前後方向に長くすることが求められる。ところが、モノコック前半部分に大きなディフューザーを設けるため、唯でさえホイールベースは長くなって、しかも、前後の重量配分は後寄りとなっている。ロールバーの剛性を確保するため、コクピット後方部分のモノコックを延ばしたら、さらに、ホイールベースは長くなって、前後の重量配分はリア寄りとなってしまう。

 もし、シャシーデザイナーが何も工夫しないのであれば、画期的に前後長が短く、しかも軽い、ハイパワーなエンジンの登場を待たなければ、優れた空力性能と、前後のタイヤの性能を充分に引き出す、素晴らしい前後の重量配分を実現する、理想的なP1カーを作り上げることは出来ない。

 また、Sports-Car Racing Vol.17で掲載したように、リストリクター付きエンジンの場合、排気量が大きい方が有利となる可能性が大きい。その結果エンジンの排気量は、どんどん大きくなってきた。ところが、大きなエンジンは、基本的に重くなることから、さらに、前後の重量配分が後寄りとなる。

 バンク角72度のジャドのGV5.5のように、エアボックスが高い位置に設けられる場合もあるだろう。
 これらを考慮すると、モノコックの構造や燃料タンクのレイアウト等、工夫が求められる部分は多い。    誰が、最良の解答を見出すのか? 興味はつきない。

 
1月15日  **1月16日 追記
●LMS最終戦はブラジルで、ALMSと連携する可能性が浮上!
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 北アメリカでALMSが行われているように、LMSはヨーロッパがテリトリーと考えられていた。しかし、2007年LMSは、何と南米のブラジルで行われることが決定した。

 元々2007年のLMSは合計6つのイベントで構成される計画だった。そのため、最初に発表された5つのレースに続いて、もう1つを計画中であることが公表されていた。

 LMSの運営は、パトリック・ペーターのペーターオートが中心となって行っている。しかし、ステファン・ラテルも大きく関わっており、ほとんどの作業はペーターが行っていても、どちらかと言うと、表舞台に現れるのはラテルだった。ラテルがFIAGTのオーガナイザーであることはご存じだろう。2005年から、ラテルはブラジルのオーガナイザーと共に、FIAGTをブラジルへ展開する話し合いを行っていた。

 そうして、2006年1月ブラジリアで行われたのがミル・ミルハスだった。シーズンオフの1月に行われたことでも想像出来るように、ミル・ミルハスは完全なインビテイションレースだった。
 もちろん、続いて正式にFIAGTのシリーズ戦を開催することがラテルの目論見だった。しかし、様々な費用を負担したにも関わらず、期待したほどの観客を集めることが出来なかった。

 ヨーロッパで行われるFIAGTと比べると、遥かに多い観客が集まったが、ブラジリアの主催者にとって、それでは充分ではなかったようだ。

 その結果、ラテルはGTカーだけが走るFIAGTではなく、ルマンで総合優勝出来るプロトタイプカーがたくさん走るLMSを提案することになったらしい。もちろん、プジョーのワークスチームがLMSで走ることもあって、ラテルは高い値段をつけられると判断したのは言うまでもないだろう。

 2006年8月までに、ブラジリアでLMSを開催することはほとんど決まっていた。しかし、9月16日にシルバーストーンでLMSのヨーロッパ最終戦が行われた後、北アメリカでは“プチ-ルマン”とラグナセカと言う、ALMS終盤の人気イベントが行われる。この2つのレースは、LMSのレギュラーチームの幾つかも参加することから、ブラジリアへ遠征する時期の選定は難しかったらしい。

 結局10月20日にラグナセカでALMS最終戦が行われた後、11月11日にブラジリアでLMS最終戦は行われることが決定した。
 LMSのトップチームの幾つかにとって、シルバーストーンの後、ブラジリアへ行く前、ALMSの2つの人気イベントに参加するチャンスが生まれたことは間違いないだろう。

 LMSミル・ミルハスに参加するチームは、ブラジリアの主催者から、マシンと機材の輸送代金と、1チーム6名分の航空チケット代金の提供が約束されている。そのため、LMSに参加する多くのチームが、11月にブラジリアに行く計画で2007年の計画を進めている。

 この機会を逃さないよう、ALMSは、LMSのP1チームに対して、LMSシルバーストーンが終了して、ブラジリアに行く途中、ロードアトランタで行われる“プチ-ルマン”と北カリフォルニアのラグナセカに参加するよう勧誘している。つまり、ヨーロッパから直接ブラジリアに行くのでなく、途中アトランタを経由した場合の、輸送代金の差額を誰かが負担することが、話し合いのポイントとなっている。

 従来もALMSは、ヨーロッパや日本の有力なP1チームがALMSに遠征する場合、アトランタまで自力でやって来れば、拠点となるロードアトランタのガレージとトランスポーターの提供を約束していた。

 この条件は有力なP1とGT1チームに対して提案されていたもので、旧型マシンを走らせるアマチュアやGT2チームを対象としたものではなかった。もし、輸送代金の差額をALMS側が負担するとしても、40台以上のLMSチームの総ての面倒をみることは難しいと考えられている。

 今後の話し合いが注目されるが、LMSの有力チームの多くが10月に“プチ-ルマン”とラグナセカに参加することだけは間違いないだろう。


1月13日
●BKモータースポーツはロータリーからマツダのレシプロターボに変更
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Photo:Sports-Car Racing
  写真は3ローターロータリーエンジンを搭載したクラージュC65ハイブリッドカー。ドライブシャフトについた大きな上半角に注意

 北米マツダの支援を受け、2005年から3ローターロータリーエンジンを積むクラージュC65ハイブリッドカーでALMSに参戦していたBKモータースポーツは、2007年のエンジンをロータリーから4気筒ターボエンジンに変更することとなった。昨年発表されていたように、マシンは新たに導入するローラB07-40となる。当初B07-40に3ローターロータリーエンジンを積むことを明らかとしていた。

 しかし、ロータリーエンジンの場合、推力軸が高いことから、専用のトランスミッションを作らない限り、トランスミッションを高い位置にレイアウトすることとなるため、重心が高くなるだけでなく、ドライブシャフトに大きな上半角がついてしまう。ローラも、たった1台のためにトランスミッションを新しく開発することは出来なかったようだ。てっきりロータリーに合わせた専用のトランスミッションを、BKモータースポーツ自身が手配するものと思われたが、結局エンジンそのものを交換することとなった。

 新たに導入されるエンジンは、ワンメークのフォーミュラカーレースでも使われている、マツダの2リットル4気筒エンジンをベースとして、AERがターボエンジンとして開発することとなる。
 MGの4気筒ターボエンジンを開発したAERであるから、その性能は期待出来るだろう。

 同時にBKモータースポーツは、クンホタイヤを使用することを発表した。


1月12日
●Sports-Car Racing Vol.17訂正
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Photo:Sports-Car Racing

 Sports-Car Racing Vol.17 P83の写真のキャプションに誤りがありました。P83中段のサスペンションについての説明内で、「ダンパーらしいものはスタビライザー」と記しておりますが、正確には3本目のダンパーです。スタビライザーとしての役目も期待出来ますが、3本目のダンパーの機能はそれだけではありません。訂正すると共に謹んでお詫びいたします。

1月11日
●プジョー908登場
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Photo:Peugeot-Media

 とうとうプジョーは908を公開した。昨年9月パリサロンで90%モックアップが公開されていたが、少々エキセントリックなボディスタイルだったことから、実車と違うショーモデルと考えられていた。

 当初11月中にシェイクダウンを行うと考えられていたが、様々な変更があったようで、その後12月21日に変更され、最終的に12月31日ポールリカールでシェイクダウンにこぎ着けた。

 パリサロンで公開されたモックアップと違って、ノーズが通常のハイノーズとされたが、ノーズの耐クラッシュ構造が独立しているのはモックアップそのままだ。もう一つの大きな変更は、モックアップの場合、コクピット後方のエンジンカウル側面に設けられていたインテークが無くなって、リアホイールアーチ前面に独立した異様に大きなインテークが設けられたことだ。このインテークはターボチャージャー手前のリストリクターへ空気を送り込むだけでなく、リアブレーキのクーリングダクトを兼ねると考えられている。

 2007年の参戦計画は、3月に行われるALMS開幕戦セブリング12時間でデビューして、その後ヨーロッパに戻ってLMS全6戦とルマン24時間に参加する。プジョーによると、セブリング12時間へは、レースを行うことが目的でなく、テストを目的として参加すると言う。その直後にポールリカール合同テストが行われることから、3月プジョーにとって大きく開発が進むこととなるだろう。

 ドライバーは、シェイクダウンを担当したニコラス・ミナシアン、マルク・ジェネ、セバスチャン・ブルディ、ステファン・サラザン、ペロド・ラミー、そしてジャック・ビルニューブは乗り組む。もう1人エリック・エラリーが契約しているが、彼の主な仕事は、908を熟成することだ。たぶん、ポールリカールテストは、エラリーを中心として行われるのだろう。

1月10日
●2007年に走るペスカロロは6台?
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Photo:Sports-Car Racing

 Sports-Car Racing Vol.17に掲載されたように、ペスカロロは、2004年レギュレーションに対応したモノコックを開発して、たった750万円で売りに出した。開発するに至った経緯はSports-Car Racing Vol.17をご覧頂きたいが、大 ヒットとなる可能性が出てきたようだ。

 最初から、ペスカロロ自身の2台とロールセンターが1台を走らせることは公表されていた。これらの3台は、ペスカロロが2006年に走らせたC60ハイブリッドカーをベースとするボディカウルを組み合わせる、完全なペスカロロP1カーだ。

 それ以外のカスタマーは、それぞれのチームが現在使っているハイブリッドカーとペスカロロモノコックを組み合わせることとなる。
 最初に公表されたリスターは、自身のリスターストームLMPのボディを大きく手直しして、ペスカロロモノコックを組み合わせる。

 しかし、ペスカロロC60は、元々クラージュC60系のモノコックを使って開発されたことから、クラージュC60とC65ユーザーは、ペスカロロから、たった750万円でモノコックだけを買って、交換することによって、2007年以降もマシンを買い換えないで、そのまま参戦することが出来る。そのため、クラージュC60とC65ユーザーの動向が注目されていた。
 もちろん、ペスカロロも、それを狙っていたようで、まずC65を走らせていたクルースモータースポーツとの契約に成功した。

 続いて、バラジ-イプシロンが売りに出したC65も、ペスカロロモノコックによって、2007年スペックに作り替えられる計画らしい。
 バラジ-イプシロンにとって、C65のままでは、2007年にヨーロッパで走ることが不可能であることから、北アメリカか日本にでしか販売することが出来ない。そのため、ペスカロロモノコックによって、2004年レギュレーションに対応させることを思いついたらしい。
 もし、バラジ-イプシロンとの契約に成功した場合、2007年に6台のペスカロロモノコックがヨーロッパで走ることとなる。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

1月9日
●本当にマセラッティMC12はルマンに参加出来るのか?
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Photo:FIAGT

 昨年12月、ACOはFIAGTの2つのクラスのシリーズ1位と2位のチームに対して、2007年のルマン24時間への参加の権利を与えた。

 2006年FIAGTのGT1クラスのチャンピオンを獲得したのは、マセラッティMC12を走らせたヴィータフォンだった。ところが、Sports-Car Racing Vol.16の顛末記で明らかなように、マセラッティMC12というクルマは、FIAも含めて、世界中のどの団体のホモロゲイションも獲得していない。そのため、FIAGTへ参加するにあたって、様々なハンデを課した上、2004年後半のFIAGTに、ポイント対象外で出走して、その速さを確認した上で、FIAGTは特別に参加を認めた。

 ACO自体は、そのような特別扱いを認めなかったが、ALMSをコントロールするIMSAは、ジョゼッペ・リシーが参加を望んだ結果、こちらも、事実上FIAGTと同じハンデを課して、特別に参加を認めた。

 勘違いしている方々が多いようなので、あらためて記すが、2005年以降FIAでもACOでも、GT1クラスはカーボンファイバーコンポジットモノコックが認められている。ところが、先に述べたように、マセラッティMC12は、2.1mの車幅、5mを超える全長等、様々な点で、世界中のあらゆるGTレギュレーションに該当しないクルマであるため、ホモロゲイションを獲得することが出来なかった。
*注:詳しくは、Sports-Car Racing Vol.16を参照してください。

 さらに、ACOはFIAGTの各クラスのシリーズ1位と2位のチームに対して、2007年のルマン24時間レースへの参加の資格を与えたのであって、ACOは発表した文面の何処にも、マセラッティMC12の参加を認めたとは書かれていない。

 ACOに、この件について質問したところ、「参加資格を与えたのは、2006年FIAGTのシリーズ1位と2位のチーム」と回答している。
 クルマについては、何も回答を得られなかった。FIAとACOでは、(翼端板やカナードウイング等)微妙にレギュレーションが異なることから、FIAスペックでの参加を認める旨の発言をしただけだった。

 つまり、ヴィータフォンがサリーンやアストンマーティンでルマンへやって来るのであれば、何の障害なく参加することが可能であっても、マセラッティMC12の参加は、現在も認められていない。

 では、ヴィータフォンがルマンに参加する場合、アストンマーティンを買わなければならないのか? と言うと、そうとも言い切れない。

 ACOのレギュレーションブックには、「ホモロゲイションやレギュレーションに関わりなく、ACOが認めたクルマに限って参加を認める」との一文が存在する。この記述を巧妙に運用することによって、ヴィータフォンマセラッティはルマンを走ることが可能となる。

 と言っても、この記述が適用されるのは、好意的に解釈してもヴィータフォンだけであって、何の実績もないレーシングチームが、何処のホモロゲイションも持たないマセラッティMC12でルマンへエントリー申請を行っても、門前払いされるのは明らかだろう。

1月8日
●我が道を歩むALMS:IMSAは2007年も性能調整を実施
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 ALMSはACOレギュレーションによって行われている。しかし、北アメリカの事情もあって、ALMSをコントロールするIMSAは、2004年レギュレーションが施行された後、ACOレギュレーションを独自にモデファイして運用している。昨年シリーズ終盤アウディR10の強さが明らかとなると、ガソリンエンジンのP1カー(つまり、アウディR10以外の総てのP1カー)は、65kg軽い860kgの最低車重を許されるようになった。その成果が実り、プチ-ルマンとラグナセカでクリエイションとザイテックが、アウディからポールポジションを奪い取った。

 しかし、一方的に65kgも軽量化するのは非常に難しいため、総てのエントラントの支持を得られた訳ではなかった。
 そこで、IMSAの技術担当COOであるティム・メイヤーは、2007年の性能調整の方法が変更することとなった。P1クラスの場合、性能を引き下げられるクルマは、最大25kgまでウエイトハンデを課せられる。逆に性能を向上させられるクルマは、最大50kg軽量化が認められることとなった。つまり、フルに性能調整が行われた場合、最大で75kgの車重の差が設けられることとなる。

 他のクラスの場合、P2クラスは、最大25kg加算と最大25kgの減量。つまり、最大で50kgの車重の差が設けられる。車重の重いGT1クラスは、最大50kgの加算と最大50kgの減量によって、最大で100kgの車重の差が設けられる。GT2クラスは、最大50kgの加算と最大25kgの減量によって、最大で75kgの車重の差が設けられる。

 エンジン性能を調整する場合、リストリクター面積は、最大10%まで、拡大もしくは縮小される。ターボエンジンの場合、最大9%ブースト圧を上下に調整されることとなった。エンジンの性能調整は、どのクラスであっても、同じ範囲で行われる。

 本来、2003年以前のレギュレーションで作られたLMP900やLMP675カーが走れるのは2006年までで、2007年のALMSには、2004年レギュレーションで作られたP1とP2カー、そして、2004年レギュレーションでLMP900やLMP675を作り替えたハイブリッドカーしか走らないはずだった。しかし、予想通り、IMSAは古いレギュレーションのクルマであっても、参加を認めることを発表した。

 現在のところ、オートコーンが走らせるMGローラだけであることから、取り敢えずハンデキャップ無しでセブリングのウインターテストで走らせることが認められている。
 もし、早すぎれば、性能調整されるだろうが、遅い場合、たぶん、2006年がそうだったように、そのまま参加が認められるのだろう。

 ダイソンがP2クラスへ転向した結果、P1クラスで、アウディの対抗馬と目されるのは、クリエイションやザイテックのハイブリッドカーだけとなってしまった。ALMSが成立しない状況となってしまったことから、IMSAはACOと違う道を歩まなければならない。

1月7日
●セブリングウインターテストはポルシェvsアキュラ?
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Photo:Porsche AG

 1月22日から24日にセブリングで行われるALMSウインターテストの参加チームリストが公表された。

 目玉はペンスキーとダイソンが走らせる、2007年モデルのポルシェRSスパイダーだ。2006年に開発テストを請け負ったペンスキーが2台を持ち込むだけでなく、1ヶ月前に決定したばかりのダイソンは、早くもシェイクダウンテストにこぎ着けた。

 強力なペンスキーとダイソンのポルシェRSスパイダーの対抗馬と目されるのは、3台が勢揃いするアキュラ勢だ。AGR(アンドレッティ・グリーン・レーシング)、フェルナンデス、ハイクロフトの3チームは、AGRとハイクロフトがクラージュLC75を、フェルナンデスはローラB06-43にアキュラV8エンジンを搭載する。ホンダとの付き合いの深いフェルナンデスとAGRは、既に数度のテストを実施しており、12月にはホームステッドで高速耐久テストも行っている。

 もう一つのポイントは、いよいよポルシェ997GT3Rが公式デビューすることだ。ポルシェ997GT3Rは、昨年FAGTスパ24時間で走っている。スパに登場した997GT3Rは、最終段階のプロトタイプだった。もちろん、ホモロゲイションも獲得してなかったことから、公認無しで参加出来るGカテゴリーから参加した。

 2007年のACOレギュレーションは、最もお手軽なGT2クラスであっても、プロトタイプクラスと同じように、トラクションコントロール等が認めている。当然ながら、セブリングに登場する997GT3Rは、ACOスペックであるため、様々なハイテクが盛り込まれている。

 対抗馬はフェラーリF430とパノスエスペランテGTLMだ。フェラーリF430は、2006年のALMSのGT2チャンピオンチームである、ジェゼッペ・リシー率いる強力なRisiが、そしてパノスGTは、何と昨年まで北アメリカにおいて、BMWのワークス格として活動していたトム・ミルナーのPTGが2台を持ち込む。

 残念ながら、P1クラスはオートコーンのMGローラだけがセブリングを走る予定で、当初参加が予想されたプジョーとアウディは、セブリングにやって来ないことがIMSAによって公式に確認された。



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