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2007


10月21日
Special Edition
 
ALMS LagunaSeca   速いP2カーを押しのけ、パワーのアウディが勝つ

Photo:Sports-Car Racing

 誰だって、ラグナセカで勝つのは、軽いP2カーであると思っていた。一歩先を行くペンスキーポルシェが優勝候補の最右翼であるのは言うまでもないが、アキュラ勢も体制を強化してラグナセカにやって来た。
 AGRはダリオ・フランキティと契約を早期に終了して、トニー・カナーンがブライアン・ハータとペアを組む。現在のところAGRにとって最強の布陣と言えるだろう。ハイクロフトは、“プチ-ルマン”同様オーナードライバーのダンカン・デイトンが退いて、間違いなく速いロビー・カーが乗り組む。

 ラグナセカはスピードビジョンカップとのダブルヘッダーであるため、変則スケジュールで行われる。金曜日にプラクティスと予選を行い、土曜日の午後2時45分に4時間の決勝レースはスタートする。もちろん、フィニッシュ時日没後となることを配慮して、土曜日に決勝レースは行われる。

 最初のプラクティスでトップタイムを記録したのはルイス・ディアスの操るフェルナンデスローラ/アキュラだった。2位と3位にペンスキーポルシェ、4位にAGRアキュラ、5位にハイクロフトアキュラ、7位にダイソンポルシェ、8位に下田隼人のザイテックが続いて、予想通りP2カーが上位を独占した。
 2回目のプラクティスで、アラン・マクニッシュのアウディがトップタイムを記録するが、誰の目にも速さはP2カーだった。
 予想通り、予選が始まると、ペンスキーポルシェがタイムを上げて、サッシャー・マッセンの操るNo.6がポールポジション、2番手にティモ・ベルンハルトのNo.7が着けてフロントローを独占した。2列目グリッドも、ブライアン・ハータのAGRアキュラとデビッド・ブラバムのハイクロフトアキュラが占めた。

 3列目5位にやっとアラン・マクニッシュのNo.1アウディが着け、6位のフェルナンデスローラ/アキュラを挟んで7位にNo.2アウディが着けた。No.2アウディには、エマニュエレ・ピロに代わってルマンで速さを披露したマイク・ロッケンフェラーが乗り組み、タイムアタックを行った。
 その後ろの6番手と7番手にダイソンポルシェが着け、ヨーロッパから遠征したクリエイションとザイテックはその後ろのスターティンググリッドからスタートすることとなった。
 GT2の争いは、リシーとピータセン/ホワイトライトニングの2台のフェラーリが、フライングラザードのポルシェを破って1位と2位を独占した。

 ラグナセカは、サンフランシスコの南150kmに位置して、直ぐ側の海側に観光地として知られるモントレー、山側には「エデンの東」で有名なスタイン・ベックの出身地で、「エデンの東」の舞台となったサリーナスがある。日本人移民の町として知っている方々も多いことだろう。
 この風光明媚なラグナセカは、日差しは強いものの、太平洋の流れが寒流であるため、寒暖の差が激しい。通常朝晩はコートが必要なくらい寒く、日中日なたであればTシャツ1枚でも暑いくらいだ。
 ところが、土曜日サリーナスからモントレーにかけて、この地方は非常に寒い朝を迎えた。日が昇るにつれ逆に気温は下がって、日陰では日中でもダウンが必要なくらいの寒さの中決勝レースは行われた。

 午後2時38分ボビー・レイホールがエンジンンスタートの合図をして、2時45分決勝レースはスタートした。綺麗にスタートするかと思われたが、2列目のAGRとハイクロフトが、共に回り込んだターン2でスピンしてしまった。前を走るブライアン・ハータのAGRが先にスピンしたが、その右後方に居たデビッド・ブラバムも、その直後にスピンしてしまった。それぞれ単独スピンで、コンタクトもなかったが、もちろん最後尾となってしまった。1位と2位はペンスキーポルシェ。アキュラ勢の失敗によって、2台のアウディが3位と4位に進出した。セイフティカーが導入されたため、アウディにとってチャンスとなった。
 GT2は、パワーに勝るポルシェがフェラーリを抜いてトップで1コーナーに進入した。

Photo:Sports-Car Racing

 レースが再開されると、800馬力の大パワーを活かし、アラン・マクニッシュのNo.1アウディが勝負をかけた。1コーナーの丘を越える時ティモ・ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェと並び、2コーナーまでに完全に抜き2位に進出した。マクニッシュは、そのままトップのNo.6ペンスキーポルシェに迫った。No.6ペンスキーポルシェを操るサッシャー・マッセンは、軽いP2カーの弱点である、暖まりにくいフロントタイヤに苦しんでいた。
 2周後ターン5で少々アンダーステアを出したマッセンは、インを空けてしまい、マクニッシュに抜かれてしまった。マクニッシュは、そのままコークスクリューに向け、800馬力を全開にして駆け上って行った。

 GT2はNo.45フライングラザードポルシェが、大パワーを活かして、フェラーリの攻撃を退けて、トップのまま2度目のスタートを決めた。しかし、速さではフェラーリに分があるようで、2台のフェラーリの攻撃に対して防戦一方の状況となっている。30分後ジエレミー・メローの操るNo.62リシーフェラーリは、やっとポルシェを抜くが、引き離すことが出来ない。
 ところが、3時30分、もう1台の追うフェラーリであるNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングは、ターン1の丘への上り坂でスローダウンしてしまった。ピーター・ダンブレックは、何とか丘を越えよう努力するが、丘の頂上でストップしてしまった。そのため2度目のイエローコーションとなった。

 ちょうどピットストップのタイミングと重なったことから、各車次々とピットインした。アウディとポルシェは共に、ドライバーを交代せず、4本共タイヤを交換した。クリエイションとザイテックは、燃料補給のみでタイヤは交換しなかった。しかし、イエローコーション中のピットストップであることもあって、ピットインを終了すると、再びトップはマクニッシュの操るNo.1アウディとなった。
 しかし、ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェとテイルtoノーズの闘いを繰り広げている。
 走っている限り、明かにアウディよりもポルシェの方が速いように見える。

 4時35分ステファン・モカの操るNo.5ザイテックとトニー・カナーンのNo.26AGRアキュラは、長い間テイルtoノーズの闘いを繰り広げていた。AGRの方が速いようで、抜きあぐねたカナーンは、コークスクリュの立ち上がりで勝負に出た。ターン9で強引にインに入って抜き去ったと思われた。ところがモカも譲らず、2台は接触して共にスピンしてしまった。カナーンはコース上に止まったため、そのまま再スタートしたが、モカのザイテックはアウト側のグラベルに止まってしまった。ザイテックを救出するため、3度目のイエローコーションとなった。

 このタイミングを活かして、各車2度目のピットストップを行った。予想に反して、アウディとポルシェは、今回もタイヤを4本共交換した。燃料補給とドライバー交代を行ってレースに復帰した。
 今度は、No.7ペンスキーポルシェがトップでレースをリードする。
 ところが、1周も回らない内に、コークスクリューの手前のターン6で下田隼人のNo.5ザイテックがクラッシュしてしまった。ピットまで戻ってリアカウルを修復してレースに復帰した。
 No.37インタースポーツローラのクラッシュや、コークスクリューでコースアウトしたクルマが砂をまき散らしたことから、再びイエローコーションとなった。

Photo:Sports-Car Racing

 レースが再開されると、4位のポジションからリナンド・カペロの操るNo.1アウディの快進撃が始まった。まず、ターン3の立ち上がりでNo.7ペンスキーポルシェを抜き去り、ターン5では、ピットに入らなかったNo.20ダイソンポルシェを易々と抜き去って、再びトップに返り咲いた。

 6時少し前下田隼人のNo.5ザイテックが、ターン7でコンクリートウォールにクラッシュしたため、再びイエローコーションとなった。マシンは破壊されてしまったが、下田隼人は無事脱出に成功した。
 もちろん、この機会に各車最後のピットストップを行った。アウディとポルシェは共に4本のタイヤを交換して、最後のスプリントレースに備えた。その後ろで闘っていたNo.26AGRアキュラやNo.10アレーナザイテックは、燃料補給のみでレースに復帰した。

 レースが再開されると、これまでと同じように、カペロの操るNo.1アウディは、800馬力を活かして、ロマ・デュマの操るNo.7ペンスキーポルシェをかわしてターン2に飛び込んだ。その後方からは、マルコ・ヴェルナーの操るNo.2アウディが、デュマのポルシェに襲いかかろうとしている。
 アウディとペンスキーポルシェの闘いは続いた。タイヤが暖まってくると、ペンスキーポルシェが俄然勢いを増した。ラグナセカは、コークスクリューを頂点として最終コーナーまで、一気に下り坂となる。もちろんブレーキに過酷な状況となる。フィニッシュまで10分、最終コーナーでデュマのNo.7ペンスキーポルシェは勝負に出て、No.1アウディを抜き去った。
 ところが、800馬力を活かして、カペロはスタート&フィニッシュラインでポルシェを抜き返した。
 そして、過酷な4時間レースが終了した。

 これほど頻繁に順位が入れ替わるレースは珍しい。しかも、何処かの世界選手権のようにピット作業で順位が入れ替われるのではなく、コース上で替わったのであるから、ラグナセカが今年最高のスポーツカーレースだったのは間違いないだろう。
 素晴らしいレースをありがとう。

1.P1@ Allan McNish/Rinaldo Capello Audi AG/R10/TDI 157.
2.P2@ Timo Bernhard/Romain Dumas Porsche RS Spyder 157.+0.410
3.P1   Mike Rockenfeller/Marco Werner Audi AG/R10/TDI 157.+21.498
4.P2   Sascha Maassen/Ryan Briscoe Porsche RS Spyder 157.+24.853
5.P2   Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 157.+25.603
6.P2  Bryan Herta/Tony Kanaan Acura/ARX-01a 157.+56.435
7.P2  Guy Smith/Chris Dyson Porsche RS Spyder 156.
8.P2  Andy Wallace/Butch Leitzinger Porsche RS Spyder 156.
9.P1  Harold Primat/Jamie Campbell-Walter Creation CA 07/Judd 153.
10.P1 Tom Chilton/Darren Manning Zytek Z07S/Zytek 153.
11.GT1@Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 150.
12.GT1 Jan Magnussen/Johnny O'Connell Corvette C6.R 150.
13.GT2@Jaime Melo/Mika Salo Ferrari 430GT Berlinetta  145.
14.GT2 Wolf Henzler/Dominik Farnbacher Porsche 997 GT3 RSR 145.
15.GT2 Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche 997 GT3 RSR 145.
16.GT2 Jörg Bergmeister/Johannes van Overbeek Porsche 997 GT3 RSR 144.
17.P1 Klaus Graf/Greg Pickett Lola B06/10 AER  144.
18.GT2 Terry Borcheller/Tim Pappas Porsche 997 GT3 RSR 142.
19.GT2 Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 139.
20.GT2 Darren Law/Lonnie Pechnik/Seth Neiman Porsche 997 GT3 RSR 138.
21.GT2 Tracy Krohn/Nic Jonsson Ferrari 430GT Berlinetta 136.
22.GT2 Joel Feinberg/Chapman Ducote Dodge Viper 135.
23.GT2 David Murry/David Robertson/Andrea Robertson Panoz Esperante GTLM Elan 134.
24.P2 Ben Devlin/Jamie Bach Lola/B07-40/Mazda 133.
25.GT2 Lars Nielsen/Nathan Swartzbaugh/Jim Tafel Porsche 997 GT3 RSR 116.
26.P2 Stefan Mucke/Hayanari Shimoda Zytek 073/Zytek 112. Accident
27.P1  Bryan Willman/Tony Burgess/Chris McMurry Creation CA06H/Judd 92.
28.P2 David Brabham/Stefan Johansson/Robbie Kerr Acura/ARX-01a 89, Contact.
29.P1 Jon Field/Clint Field/Richard Berry LolaB06-10/AER 40, Accident.
30.GT2 Peter Dumbreck/Lucas Luhr Ferrari 430GT 31, Drive shaft.



9月16日
Special Edition 童夢S102クーペの秘密を解明する

Illustration:Dome

 先週、童夢は、噂のS102クーペプロジェクトを公表した。S102クーペが、何を目的として、どのようなコンセプトで開発されたのかにつては、童夢のホームペイジをご覧いただくとして、Sports-Car Racingでは、S102クーペの正体に迫りたいと思う。
 下記に示す童夢のホームページをご覧になった後、このページを読むことを奨めます。
http://www.dome.co.jp/column/column_suzuki_13.html


●巧妙なカモフラージュを施されたS102のイラスト
 イラストを見てもらおう。これまでの童夢は、ニューマシンを開発する際、開発の最初の段階から、総てを何も隠さずに公表するか? そうでなければ、開発状況が遅れている場合、林みのる御大が理想とするイメージスケッチを、一足早く公表してきた。もちろん、実際に完成したら、林みのる御大の理想とまったく違うクルマが出来上がっていることも珍しくなかった。ところが、先週公表されたS102クーペのイラストは、これまでの童夢とは違って、明かにカモフラージュされたものだ。

 ノーズを見てもらおう。現在のP1レギュレーションは、床下に速い空気の流れを形成するのが成功のポイントとなっている。ところが、S102クーペのイラストは、大きなチンスポイラーによって、到底床下に大きな空気の流れを取り込むようなデザインとはなっていない。
 しかし、直ぐ上のノーズの先端が、真ん中が低く、この中央部分と左右のフェンダーアーチ部分を継ぐノーズ先端のラインが、その間で、不自然なRを描いて隙間を設けられているのが判る。
 この隙間は、何なのだろうか? フロントブレーキを冷やすため? それとも、ラジエターを冷やすため?
 そこで、ノーズ前方に長く延びたチンスポイラーが無いモノとして、その上の不自然なRを描いた部分がノーズ先端であるとすると、辻褄があってくる。

 この不自然なRを描いた部分が、ノーズ先端であるとすると、この不自然なRを描いた部分から床下に空気を取り入れることとなる。これまでのレーシングスポーツカーの多くは、ノーズ先端部分の床下への開口部を平面としている。ところが、そうして形成されるディフューザーの空気の流れは、どの部分でも同じように流れる訳ではない。最新の空力研究によって、中央部分と左右では流れが違うことが、明かとなってきた。
 このことは、最近のF1GPカーのフロントウイングが、不自然なRを描いていることでも判るだろう。
 しかし、このイラストは、巧妙にカモフラージュを行っているため、それ以上を推測することは難しい。ブレーキの冷却ダクトの位置も判らなければ、エアコンを使わずに快適なキャビンとするためには、大きな空気をキャビンに取り入れなければならない。もしかしたら、最近使われなかったエキストラのヘッドランプがノーズ中央に復活していることから、ノーズ中央部分も、違うデザインである可能性が高い。

●ふたコブらくだの屋根
 続いて屋根を見てもらおう。現在のACOのP1レギュレーションは、ドライバーと助手席の両方にロールバーの取り付けを義務つけている。“屋根無し”の場合だけでなく、“屋根付き”の場合、このロールバーの外側に屋根を設けなければならないため、どうしてもキャビンが大きくなると考えられている。ところが、レギュレーションブックを良く読むと、ドライバーと助手席にロールバーを取り付け、その外側に屋根を設けなければならない、としか明記されてない。つまり、屋根が丸い形状であることは明記されてない。ドライバーと助手席の2つのロールバーをクリアするだけであれば、丸い屋根とする理由はなくなって、その分前面投影面積も小さくなる。これまで、誰も行わなかった方法を童夢は発見したようだ。

 このふたコブらくだのような屋根とすることによって、もう1つのメリットも見出されている。
 NAエンジンの場合、ラム圧によって、性能が大きく変わるため、大きなラム圧を得ることがポイントとなっている。しかし、ラム圧を得るためには、大きなインダクションボックスを設けなければならない。もちろん、そのためには前面投影面積が増えてしまうし、S102はジャドのV10エンジンを積むため、エンジンの真上にインダクションボックスを設けようとすると、大きなラム圧を得ることは難しい。そのためにも、ふたコブらくだの屋根とすると、2つのコブの間から、インダクションボックスへ、大きな空気の流れを誘導することが可能となる。

●S102はプジョー905の再来か?
 1991年SWC真っ盛りの時代、NA3.5リットルグループCカーとして登場したプジョー905は、前面投影面積を減らすため、キャビンに巧妙な工夫が盛り込まれていた。当時フロントウインドー基部Aピラー部分の幅は最低1mと決められていた。そこで、アンドレ・デ・コルタンツは、幅1mのフロントウインドーを作って、その後ろにバックミラーを並べて、実際のサイドウインドー部分の幅を狭くしてしまった。ドライバーは窮屈だっただろうが、これによって、前面投影面積を減少することに成功した。
 S102の場合、2つのロールバーとコクピット基部の幅のレギュレーションだけをクリアして、前面投影面積を最小とするため、キャビンの両側に途中で段差が設けられている。サイドウインドーが、段差の下半分の部分だけに設けられているのが判るだろう。ここら辺も童夢の工夫の現れだろう。
 そうしてみると、15年前と違って、現在のプジョー908が非常にコンサバなデザインであるのが判る。

●誰が走らせるのか?
 それ以外にも、プジョー908やアウディR10には見られない工夫がS102の彼方此方に散りばめられている。
 誰もが“屋根無し”より“屋根付き”の方が重心が高いと考えるが、P1レギュレーションの場合、“屋根無し”でも2つのロールバーを備えなければならないことから、“屋根付き”で巧妙にモノコック構造で屋根を作ると、“屋根付き”の方が重心を低くすることが可能となる。もちろん、“屋根付き”とすることで、キャビンの後方に大きなスペースを確保することが出来るため、大きなエアボックスを設けることも可能となる。
 噂によると、ギアボックスも新しくなるようだ。
 公表されているホイールベース等々のディメンションも、今後開発が進むにつれて変わる可能性も高い。これらの詳細については、数週間の内に明かになるだろうから、その時に紹介するべきだろう。

 たぶん、S102クーペは、素晴らしい速さで走ることが可能だろう。しかし、非常に高度であるため、従来のような間に合わせの体制で走らせることは不可能と言うべきだろう。これから、童夢に求められるのは、高度なS102クーペを走らせるため、素晴らしい体制を築き上げることだろう。


7月25日
Special Edition ALMS Rd7 Mid-Ohio RaceReport どうしてアウディは負けたのか?

Photo:ALMS

 ルマン終了後、P2カーが本来の小さなリストリクターを使用するようになって、最初のレースのライムロックで、アウディは負けてしまった。2レース目となるミッドオハイオでもアウディが負けるのであれば、シリーズ前半戦にP2のリストリクターを大きくしたIMSAの判断が誤りだと言うべきだろう。

 第9戦が行われるミッドオハイオスポーツカーコースは、短い4つの直線が存在するものの、決して高速サーキットではない。これらの直線は、回り込んだヘアピンと緩やかなS字カーブで結ばれているため、直線での速さが、大きくラップタイムに影響する訳ではない。素早くS字カーブをクリアすることが、ミッドオハイオスポーツカーコースで速く走るポイントと考えられている。
 このようなことから、決してアウディに有利なコースではなかった。しかし、150kg軽くても、250馬力も少ないポルシェのP2カーが特別有利なサーキットとも言えなかった。

 ところが、ミッドオハイオでフリープラクティスが始まると、明かにポルシェとアキュラのP2カーはアウディより速く走ることが可能であることがハッキリした。P2カー、特にペンスキーの2台のポルシェRSスパイダーは素晴らしい速さでミッドオハイオスポーツカーコースを走り回った。ティモ・ベルンハルトは、従来のコースレコードを3秒も短縮する1分8秒510を叩き出してポールポジションを獲得した。2番グリッドもペンスキーポルシェで、サッシャー・マッセンのNo.6が0.2秒遅れの1分8秒755を記録した。3番手はエイドリアン・フェルナンデスのNo.15ローラ/アキュラで1分8秒973を記録した。やっと、4番手にリナンド・カペロのNo.1アウディR10が食い込むが、タイムは、ポールポジションのペンスキーポルシェの0.9秒遅れの1分9秒435に過ぎず、明かに違うクラスと言うべき速さだった。

 予選終了後リナンド・カペロは、「ミッドオハイオの高温に合わせてタイヤを選んだが、同じようにタイヤを選んだポルシェは、直ぐにタイヤ性能を100%引き出すことが出来る。しかし、我々には難しい。たぶん、スタート後1コーナーにポルシェは素晴らしい速さで飛び込んで行くだろうが、我々は2周か2.5周後でなければ、同じようなパフォーマンスを見せることは出来ない」と発言した。

 そうして、決勝レースがスタートした。フロントローを占めた2台のペンスキーポルシェがレースをリードする一方、4番手からスタートしたアラン・マクニッシュのNo.1アウディR10は、タイヤが暖まらないにも関わらず、果敢に上位を狙って走行していた。そのため、ターン5でステファン・ヨハンソンのNo.9ハイクロフトアキュラと接触して、2台ともコースアウトしてしまった。しかし、どちらもダメージが小さく、そのままレースに復帰することとなった。
 同じアウディR10でも、エマニュエレ・ピロが乗り組んだNo.2は違うタイヤを選択していた。彼らはライフと絶対的なグリップ性能では見劣りするものの、アラン・マクニッシュのNo.1より柔らかい、より早く暖まるタイヤを履いてスタートした。そのため、1周目にエマニュエレ・ピロは大きくジャンプアップして、2周目ターン3でNo.6ペンスキーポルシェを抜いて2番手に進出した。
 30℃を超える気温と50℃に迫る路面温度によって、ラップタイムそのものが遅くなったこともあって、その2周後にエマニュエレ・ピロはNo.7ペンスキーポルシェも抜いて、レースリーダーに躍り出た。

 GT2クラスは、トーマス・エンゲの乗り組んだNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリとミカ・サロが乗り組んだNo.62リシーフェラーリが一騎打ちを繰り広げている。しばしば、順位を入れ替えながら、後続を引き離している。
 スタートから10分過ぎ、ステファン・ヨハンソンが乗り組んだNo.9ハイクロフトアキュラは、オイル漏れの症状を訴え、エンジニアが対策を検討し始めている。
  スタートから30分が過ぎると、ベン・デブリンが乗り組んだNo.8ローラマツダは、ピットに滑り込んできた。タイヤ交換と燃料補給を行ったが、レースに復帰することなく、ガレージに運ばれた。
 No.9ハイクロフトアキュラは、走り続けていたが、ブラックフラッグを降られたため、ピットインしてオイル漏れを修理することとなった。

 スタートから30分が過ぎて、エマニュエレ・ピロのNo.2アウディR10はNo.7ペンスキーポルシェを10秒リードしてトップを走行している。どうやら、No.2アウディは、最適なタイヤを選んだようだ。問題は、何時まで性能が持続するのか? そして、コンディションが変化するのか?の2点だった。

 GT2クラスで一騎打ちを繰り広げていたミカ・サロのNo.62リシーとトーマス・エンゲのNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングの2台のフェラーリは、ミカ・サロのNo.62のリアフェンダーにトーマス・エンゲのNo.31のノーズが突き刺さる状況となってしまった。タイヤがバーストしたNo.62はピットインしてタイヤを交換しなければならなかった。
 GT2クラスのレースリーダーとなったNo.31は、もちろん5分のペナルティが課せられたが、同時にNo.62にもアクシデントの原因があると判断され、No.62も2分間のペナルティが課せられた。
 これによって、圧倒的に速い2台のフェラーリが脱落したため、GT2クラスのリーダーはNo.45フライングラザードポルシェが漁夫の利で獲得することとなった。

Photo:ALMS

 スタートから50分が過ぎる頃から、次々とピットストップが行われた。53分過ぎ、レースリーダーのNo.2アウディR10はピットインして、タイヤ4本交換、燃料補給、そしてドライバーをマルコ・ヴェルナーに交代してレースに復帰した。その間にレースリーダーはNo.7ペンスキーポルシェに移った。
 次々とピットインが行われる中、ほとんど最後に2台のペンスキーポルシェがピットインした。最初にレースリーダーのNo.7、次の周にNo.6がピットインした。No.7ペンスキーポルシェは、レースに復帰すると、再びレースリーダーとして走行している。

 ところが、No.2アウディR10は素晴らしい状態にセットアップされているようで、レースリーダーのNo.7ペンスキーポルシェをマルコ・ヴェルナーのNo.2アウディR10は、バックストレートで抜き去って、再びアウディがレースリーダーに返り咲いた。トップに立ったNo.2アウディR10は、そのままリードを拡げて、スタートから1時間30分が過ぎる頃になると、6秒差をつけている。
 その後ろでは、エイドリアン・フェルナンデスのNo.15ローラアキュラが、ライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェを抜いて3番手に進出してきた。

 1回目のピットストップを遅らせたペンスキーポルシェは、逆に早めに2回目のピットストップを行った。続いてNo.2アウディR10がピットインしたため、しばらくの間No.15フェルナンデスローラがレースリーダーとして走行することとなった。
 ペンスキーポルシェやアウディは2回目のピットストップでも、燃料補給だけでなくタイヤを4本交換している。そこでフェルナンデスは冒険に出た。タイヤ交換を行わず、燃料補給だけの短いピットストップでレースに復帰して、トップを維持しようとした。
 ピットイン後レースに復帰したフェルナンデスの前をNo.7ペンスキーポルシェが走行していた。しかし、タイヤを交換しなかったフェルナンデスのタイヤは、もちろん暖まっていたため、フェルナンデスは、最初の周から全開で走行した。作戦は成功するかに思われたが、フェルナンデスローラがペンスキーポルシェに追いつく前に、ペンスキーポルシェのタイヤが暖まってペースが上がった。逆にフェルナンデスのタイヤが限界を迎えて、少しずつペースが落ちてきてしまった。ペースが落ちたNo.15ローラアキュラは、No.6ペンスキーポルシェとNo.2アウディに次々と抜かれてしまった。

 最後の見所は、ライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェの追い上げだった。一時はテイルtoノーズの0.668秒差まで迫りながら、チームメイトを抜くことは出来なかった

1 P2@No.7 Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder 134laps
2 P2 No.6 Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 134laps +2.360
3 P1@No.2 Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI  134laps +15.073
4 P2 No.15 Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 134laps +39.352
5 P1 No.1 Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi R10 134laps +1:04.633
6 P2 No.16 Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 133laps
7 P2 No.20 Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 133laps
8  P2 No.9 Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 132laps
9  P2 No.06 TEAM CYTOSPORT Greg Pickett/Klaus Graf  Lola B06/10-AER 128laps
10 P2 No.26 AGR Bryan Herta/Marino Franchitti Acura/ARX-01a 126laps
11 GT1@No.4Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 125laps
12 GT1 No.3 Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 125laps
13 P2 No.19 VAN DER STEUR Racing Gunnar Van Der Steur/Adam Pecorari Radical SR9/AER 120laps
14 GT2@No.45 Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 118laps
15 GT2 No.62Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 116laps
16 GT2 No.61Risi Competizione Eric Helary/Gianmaria Bruni Ferrari F430GT2 116laps
17 GT2 No.44 Flying Lizard Lonnie Pechnik/Seth Neiman Porsche 997GT3RSR 114laps
18 GT2 No.31 Petersen/WhightLightning Dirk Muller/Tomas Enge/Michael Petersen  Ferrari F430GT2 114laps
19 GT2 No.54 Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR 114laps
20 P1 No.12 AutoCon Bryan Willman/Chris McMurry Creation/CA06H/Judd 97laps
21 P1 No.37 Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 96laps
22 GT2 No.13 WOODHOUSE PERFORMANCE Cindi Lux/Stan Wilson Dadge Viper 95laps
23 No.18 Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 92lapas
24 GT2 No.71 Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 83laps
25 GT2 No.73Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR 80laps
26 GT2 No.21 Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 49laps
27 P2 No.8 BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 19laps

7月13日
SpecialEdition
FIAGT Rd5 Oschersleben Rece Report フロントローの2台が失格、優勝はヴィータフォンマセラッティ

Photo:FIAGT/DPPI

 予選でポールポジションを獲得したのは、アンソニークッペンとバート・ロンジンのNo.4PKカースポートコルベットC5Rだった。2番手のスターティンググリッドは、ステファン・モカとクルストフ・ブシェーのNo.7ランボルギーニムルシエラーゴだった。たった1週間前、ニュルブルクリンクで行われたLMSで、ステファン・モカは3位のスターティンググリッドを獲得した。しかし、モカが操ったシュロースローラは、大きなリストリクターを装着していることが発覚して、予選タイムを抹消されている。LMSの主催者は、寛大にも、最後尾グリッドからの出走を許可していた。
*注:LMSニュルブルクリンクでの違反によって、現在シュロースローラの選手権資格は審議中です。

 アンソニー・クッペンが乗り組んだNo.4PKカースポートコルベットC5Rを先頭にフロントローの2台のリードでレースはスタートした。1コーナーに進入でNo.33ジェタリアンスアストンマーティンがスピンして後退してしまった。4番手からスタートしたNo.11Playteamマセラッティも遅れたため、No.36ジェタイランスアストンマーティンが3番手にポジションアップした。
 予選を失敗して、後方グリッドからスタートしたNo.1ヴィータフォンマセラッティは賭に出た。今年のFIAGTは、2回のピットストップが義務つけられている。通常の配分で2回ピットインしてフルメニューのピット作業を行った場合、2回冷えたタイヤに履き替えなければならない。しかし、スタート直後であれば、まだタイヤは暖まっていないため、直ぐにピットインしてしまえば、冷えたタイヤで走行する機会を1回減らすことが可能となる。そのため、たった1周走っただけで、No.1ヴィータフォンマセラッティは早くもピットインして、ドライバーを交代するだけでレースに復帰した。
 何とGT2クラスのポールポジションからスタートしたNo.63とNo.62の2台のスクーデリアエコッセフェラーリも、1周走っただけでピットインして、ドライバーを交代してレースに復帰させている。

 レースはNo.4PKカースポートコルベットC5Rがリードしているが、ステファン・モカが乗り組んだNo.7ランボルギーニもファステストラップを更新しながら追い上げている。
 GT2クラスは、エコッセフェラーリがピットインしたため、No.99Tech9ポルシェがリードしている。
 3位を走行していたNo.36ジェタリアンスアストンマーティンは、2周終了後にピットに入ってきた。アクセルペダルに問題があるようで、ピットのガレージに入れられたが、20分後リタイヤを申し出た。
 その後16周終了後、No.33ジエタリアンスアストンマーティンもピットに入ってきた。オルタネーターに問題があるようで、修理を行って、レースに復帰した。

 15周頃から上位のマシンは周回遅れをラップ遅れとするようになった。レースリーダーがNo.4PKカースポートコルベットで、2位のNo.7ランボルギーニに8秒の差をつけている。しかも、左のリアタイヤはバーストしたため、23周終了後No.7ランボルギーニは最初のピットストップを行った。
 ランボルギーニが後退したため、2位にNo.2ヴィータフォンマセラッティが上がってきた。
 GT2クラスはNo.99Tech9ポルシェとNo.51AFコルセフェラーリがトップ争いを行い、フェラーリはトップに立った直後、最初のピットストップを行った。続々とピットインするマシンが相次いだことから、GT2クラスのトップはNo.97スクーデリアイタリアポルシェとなって、No.51AFコルセフェラーリが追いかける展開となっている。スタート直後にピットインする賭けを行ったエコッセフェラーリは、現在のところ、そのメリットを得ることは出来てないようで、その後ろの3番手を走行している。

  レースリーダーのNo.4PKカースポートコルベットC5Rはピットインするが、トップのままレースに復帰した。スタート直後にピットインする賭を行ったNo.1ヴィータフォンマセラッティが2位を走行して、作戦が成功したように思えたが、タイヤを交換していないため、少しずつペースが落ち、47周目にNo.7ランボルギーニに抜かれてしまった。そのため、50周終了後No.1ヴィータフォンマセラッティは2回目のピットストップを行って、初めてタイヤを交換した。No.7ランボルギーニとの2位争いは熾烈で、ステファン・モカのNo.7ランボルギーニとミハエル・バルテルズのNo.1ヴィータフォンマセラッティは、65周目サイドbyサイドの闘いの末、マセラッティがランボルギーニを抜き去った。
 レースリーダーのNo.4PKカースポートコルベットC5Rは、2位にほとんど1周の差をつけていたため、65周目に2回目のピットストップ行っても、そのままトップを維持して81周を走りきった。

 ところが、レース終了後の車検によって、トップでフィニッシュしたNo.4PKカースポートコルベットC5Rは燃料タンクが大きいことが発覚し、3位でフィニッシュしたNo.7ランボルギーニムルシエラーゴは、ホモロゲイションされてないギアボックスを装備していたことが発覚して、共にレースから除外された。
 ステファン・モカにとっては、2週連続の違反である。
 そのため、3位でフィニッシュしたNo.1ヴィータフォンマセラッティが優勝した。
 GT2クラスは、賭に出たスクデリアエコッセは、そのメリットを活かすことが出来なかった。結局コンスタントに上位を走行したNo.51AFコルセフェラーリが優勝した。

Race Result
1 GT1@No.1 Bartels/Biagi Maserati MC12 2:02:22.704 81laps
2 GT1 No.11 Bertolini/Piccini Maserati MC12 2:01:30.817 80laps
3 GT1 No.23 Davies/Babini Aston Martin DBR9 2:01:39.517 80laps
4 GT1 No.12 Pier Guidi/Giannoccaro Maserati MC12 2:01:49.586 80laps
5 GT1 No.8 Menten/Kox Lamborghini Murcielago 2:01:59.126 80laps
6 GT1 No.22 Monfardini/Alessi Aston Martin DBR9 2:01:46.040 78laps
7 GT2@No.51 Bruni/Ortelli Ferrari F430GT2 2:02:40.350 78laps
8 GT1 No.16 MacAri/Aucott Maserati MC12 2:01:24.481 77laps
9 GT2 No.97 Collard/Malucelli Porsche 997GT3RSR 2:01:47.260 77laps
10 GT2 No.62 Mullen/Janis Ferrari F430GT2 2:01:47.753 77laps
11 GT2 No.50 Vilander/Muller Ferrari F430GT2 2:02:26.844 77laps
12 GT2 No.52 Ruberti/Pasini Ferrari F430GT2 2:01:48.785 76laps
13 GT1 No.2 Montanari/Ramos Maserati MC12 2:02:36.707 76laps
14 GT2 No.63 Kirkaldy/Niarchos Ferrari F430GT2 2:01:20.872 75laps
15 GT1 No.15 Kutemann/Gosse Maserati MC12 2:01:37.212 74laps
16 GT2 No.99 Edwards/MacHitski Porsche 997GT3RSR 2:01:57.328 74laps
17 GT2 No.74 Zani/Busnelli Porsche 997GT3RSR 2:01:57.497 65laps
18 GT2 No.53 Cressoni/Rugolo Ferrari F430GT2 1:33:24.433 56laps
**以上完走**
--GT1 No.33 Wendlinger/Sharp Aston Martin DBR9 1:04:00.056 40laps DNF
--GT1 No.5 Hezemans/Deletraz Corvette C6R 32:50.110 21laps DNF
--GT1 No.36 Lechner/Lichtner-Hoyer Aston Martin DBR9 1:59.759 1laps DNF


7月13日
Special Edition
ALMS Rd6 LIME ROCK PARK Race Report アウディ惨敗 リストリクターが小さくなってもP2優勝

Photo:ALMS-Regis Lefebure

 IMSAは、ルマン終了後、P2クラスのリストリクターを、本来の大きさまで縮小することを宣言していた。であるから、ポルシェやアキュラのP2カーがアウディと対等に闘うのは過去の話と考えられていた。しかし、最初のレースが行われたライムロックパークのコースは、幅が狭くバンピーだった。
 金曜日にプラクティスが始まると、ポルシェとアキュラのP2カーが素晴らしい速さでライムロックパークを走り回った。期待のアウディは、P2カーの2秒遅れで走るのが精一杯だった。結局ロマ・デュマのNo.7 ペンスキーポルシェがポールポジション、2番手はNo.20ダイソンポルシェ、2列目グリッドがNo.9ハイクロフトとNo.26AGRのアキュラ、5番手にNo.6ペンスキーポルシェ、6番手にNo.15フェルナンデスのローラ/アキュラと、3列目のスターティンググリッドまでをP2カーが独占した。アウディのP1カーは、その後ろの7番と8番グリッドからスタートすることとなった。

 狭くバンピーと言っても、アウディに全くチャンスが無い訳ではなかった。112kgmの巨大なトルクによって、スタートでP2カー達ので前に出ることが出来れば、狭いコース故、逆にP2カー達は、どんなに俊敏な動きが可能だったとしても、結局短いストレートしかパッシングポイントがないため、アウディが勝つことも不可能ではない、と考えられていた。
 そのため、No.1アウディR10に乗り組んだアラン・マクニッシュは、全神経を集中してスタートした。
 ところが、フロントロー外側からスタートしたクリス・ダイソンも同じことを考えていた。クリス・ダイソンは、シグナルタワーがグリーンになると、隣の(ポールポジションの)ロマ・デュマが、緩慢なスタートをしたこともあって、一瞬先に加速をして、コントロールラインを通過した。その後1コーナーまでにデュマのNo.7ペンスキーポルシェが巻き返して、辛うじてトップで1コーナーに進入した。
 アラン・マクニッシュのNo.1アウディは、その後ろの3番手を奪取することに成功した。

 しかし、コントロールラインを通過する前に隊列を乱してはならない、との理由から、No.20ダイソンポルシェは、ジャンプスタートによるペナルティを課せられてしまった。No.1アウディは、コントロールラインを通過した後で前車を抜いたと判定されたため、ペナルティは課せられなかった。
 このIMSAの判定は非常に微妙で、正確に言うと、ルールブックには「隊列を乱してはならない」とは記されていない。「コントロールラインを通過した後レースは始まる」と記されている。同時に、ポールポジションのクルマがスタートを失敗した場合についても、明確には記されていない。
 老練なロブ・ダイソンは、早速抗議を申し込んだが、判定は覆らなかった。

 No.20ダイソンポルシェがペナルティストップを行ったため、No.1アウディは2番手となったが、アウディにとってオーバーペースで、30分後、1コーナーでコースアウトして後退してしまった。
 何とか6番手でレースに復帰するが、No.37インタースポーツクリエイションに抜かれて、P1クラスのリーダーの地位さえ失ってしまった。懸命に追いかけて、マクニッシュはインタースポーツクリエイションを抜くことに成功するが、5位をキープするのが精一杯だった。
 P2カーより150kg重く、3m近いロングホイールベースのアウディにとって、狭いライムロックパークでP2カーと同じペースで走ることは、ほとんど不可能な行為だった。
 スタートから1時間後、スピンによって、マルコ・ヴェルナーの操るNo.2アウディR10は、リアサスペンションを壊してしまい、高速コーナーのターン8でクラッシュしてしまった。
 アウディスポーツのメカニック達は、ピットに戻ってきたNo.2アウディR10を修理して、エマニュエロ・ピロを乗り組ませてレースに復帰させたが、23位でフィニッシュしただけだった。

 アウディが苦戦している間、ペンスキーポルシェに挑戦したのは、ハイクロフトとAGRの2台のアキュラだった。ステファン・ヨハンソンとデビッド・ブラバムは、果敢に挑戦したが、3位をキープするのが精一杯だった。AGRの活躍が期待されたが、完全にセットアップすることが出来なかったようで、No.26アキュラは操縦性が思わしくなく、失敗を繰り返して、最後はフィニッシュ直前に名手ブライアン・ハータがコースアウトして、スタックしてしまい、そのまま復帰出来ずにレースを諦めた。
 フェルナンデスのNo.15ローラ/アキュラは、たった47分でサスペンションを壊してリタイヤした。

 その結果、ペンスキーポルシェ同士のトップ争いが行われることとなった。
 ピットストップのタイミングとタイヤの交換が勝敗の分かれ目となった。レース終盤2台のペンスキーポルシェのタイヤは、ほとんどグリップしなかった。そして、最後のピットストップでNo.7は給油のみでタイヤを交換しないでレースに復帰した。一方No.6はタイヤを履き替え、サッシャー・マッセンは、先行するNo.7を抜いて、トップでフィニッシュすることに成功した。

 GT2クラスは3台のフェラーリのリードでレースはスタートした。No.61リシーとNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングが、いつものように熾烈な闘いを展開した。しかし、No.61とNo.31はマッチレースを繰り広げた結果、トーマス・エンゲの操るNo.31はコンクリートウォールにクラッシュしてしまった。レースをリードしたNo.61リシーフェラーリは、レース終盤ターン7でトラブルによってストップしてしまった。フェラーリ勢が次々と脱落した結果、No.45フライングラザードが、ポルシェ997GT3RSRにとってALMSで最初の勝利を上げることとなった。

1 P2@No.6 Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 174laps
2 P2 No.7 Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder 174laps +7.481
3 P2 No.9 Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 174laps +16.095
4 P2 No.20 Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 173laps
5 P1@No.1 Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi R10 173laps
6 P2 No.16 Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 172laps
7 P2 No.26 AGR Bryan Herta/Marino Franchitti Acura/ARX-01a 170laps *DNF
8 GT1@No.4Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 165laps
9 GT1 No.3 Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 165laps
10 P2 No.19 VAN DER STEUR Racing Gunnar Van Der Steur/Adam Pecorari Radical SR9/AER 162laps
11 P1 No.37 Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 160laps
12 GT2@No.45 Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 157laps
13 No.18 Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 151lapas
14 P1 No.12 AutoCon Michael Lewis/Chris McMurry Creation/CA06H/Judd 155laps
15 GT2 No.61Petersen/WhightLightning Nic Jonsson/Eric Helary Ferrari F430GT2 155laps
16 GT2 No.44 Flying Lizard Darren Law/Seth Neiman Porsche 997GT3RSR 154laps
17 GT2 No.54 Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR 154laps
18 P2 No.8 BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 151laps
19 GT2 No.73Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR 144laps
20 GT2 No.31 Petersen/WhightLightning Darren Turner/Tomas Enge  Ferrari F430GT2 138laps
21 GT2 No.21 Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 137laps
22 GT2 No.62Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 133laps
23 P1 No.2 Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI  123laps *DNF
24 GT2 No.71 Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 95laps
25 P2 No.15 Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 51laps

7月2日
Special Edition LMS Rd3 Nurburgring Analysis
予定通りプジョーが連勝 歪なレギュレーションに対して実力行使に出たチーム


Photo:Sports-Car Racing

◆シナリオ通りプジョー連勝
 ルマンが終了しても、LMS人気は変わらず、50台のスポーツカーがニュルブルクリンクに集まってきた。
 ルマンの後、アウディは、スポーツカーチームを北アメリカに戻す前、LMSに参加させると思われていた。プジョーを破ってルマンに優勝したため、その期待は高まった。しかし、レーシングチームはともかく、イベントに対する準備が間に合わないことから、ニュルブルクリンクへの参加は見送られた。現在のところ、もし、アウディがヨーロッパでレースを行うのであれば、9月に行われるLMS第5戦シルバーストーンへ参加する可能性が高いようだ。

 今年のスポーツカーレースは、プジョーとアウディだけが使っているディーゼルエンジンと、それ以外の総てのプライベートチームが使っているガソリンエンジンの間に約100馬力の出力差が設けられている。しかも、膨大な予算を捻出出来るメーカーだけが使うディーゼルエンジンの方が100馬力大きい、歪な状況にある。
 そのため、どんなに巧妙なセッティングを見出すことが出来ても、ガソリンエンジンを使うプライベートチームは、プジョーとアウディの次のスターティングポジションしか獲得することは出来ない。
 開幕戦モンツァの場合、未だプジョーの5.5リットルディーゼルターボエンジンは充分に開発されてなかったため、やっと700馬力を発生しただけだった。それから3ヶ月、プジョーは大きく開発を進めて、どのような状況でも700馬力(たぶん、それ以上)を発生させている。No.7プジョー908に乗り組んだマルク・ジェネは、あっさりと1分41秒867を叩き出してポールポジションを獲得した。もちろん、2位はペドロ・ラミーのNo.8プジョー908で、ガソリンエンジンとは約2秒の圧倒的な差をつけて、ディーゼルエンジンのパワーを誇示した。

 予選で2秒もラップタイムが違うのであるから、決勝レースでは、より以上の大きさ差が生じることとなる。圧倒的な速さで2台のプジョーがトレーリングラップを重ねた。しかし、開発途上であることは確かなようで、リードしたNo.7プジョー908は、エンジンとトラブルとトランスミッショントラブルで、イレギュラーなピットストップを行って、ガレージに入れられると、エンジンカウルを開けることとなった。にも関わらず、修理を終えると、ガソリンエンジンカーに対して、1周あたり最低3秒、場合によっては5秒も速いラップタイムで追い上げて、2位でフィニッシュした。
 20年前のサファリラリーじゃあるまいし、たった1000kmのレースで、エンジンとミッションを壊したクルマが2位でフィニッシュすること等、到底正当なレギュレーションでは考えられない。

◆早まったか? リストリクター違反を行ったガソリンエンジンカーが登場!

Photo:Sports-Car Racing

 100馬力も差があって、しかも、ひ弱なプライベートチームではなく、強力なファクトリーチームに余分な100馬力が与えられている状況に対して、アウディとプジョー以外の総てのプライベートチームは、当然ながら反対を表明している。
 そして、これまでも、実力行使に訴える例が見られた。例えば車検に不合格になったとしても、走行することが許される、ポールリカールとルマンのテストディでは、ガソリンエンジンカーの幾つかは、本来のレギュレーションとは違う内容のクルマを走らせていたと考えられている。もちろん、テストであるから、レギュレーションに合致してないクルマでも、走行することは可能だ。しかし、北アメリカのIMSAが、頻繁に抜き打ち検査を行っているのと違って、ルマンとLMSでは、リストリクターの検査がほとんど行われていなかった。そのため、ポールリカールやルマンのテストディの状態のまま、実際のレースを走っていたクルマが居ないとは言い切れない状況だった。

 去年ルマンでアウディが走っただけで、ヨーロッパのシリーズ戦でディーゼルエンジンカーが走ることはなかった。そのため、去年の場合、このような疑惑はルマンのテストディまでの話題だった。ところが、今年はプジョーがLMSにシリーズを通して参戦したため、ガソリンエンジンカーの何台かに対して、常に疑惑がつきまとう状況が続いている。
 同じクルマでありながら、大きくストレートスピードが違うことが、疑惑の中心だった。
 もちろん、いきなり違うエンジンと積み替えることは出来ないから、何らかの違反を行っているとすると、大きなリストリクターを使用していることしか考えられなかった。
 これまで、詳しい検査を行おうとはしなかったLMSは、ニュルブルクリンクで、予選終了後上位3台について、リストリクターの検査を行った。そして、3番手のタイムを記録したシュロースレーシングのローラB17-10に搭載されているジャドGV5.5S2エンジンが、本来の5.5リットルNAエンジンに義務つけられるものと違って、5リットルのNAエンジン用の大きなリストリクターを装着していることが見つかった。

 チームは、「マシンをオーダーした際、ジャドが5リットルバージョンを供給するものと考えて、大きなリストリクター付きのスペックとした」とコメントしている。明かに小手先の言い訳だが、だとすると、今回だけでなく、今年これまでに行われた、ルマンを含む総てのレースで違反していたこととなる。

 取り敢えず、今回のレースでは、シュロースローラは、予選タイムを抹消され、最後尾グリッドから決勝レースへ出走することとなったが、これまでのレースで獲得したポイントや、選手権に参加する資格については、現在のところ棚上げとされている。

 シュロースレーシングは明かに確信犯で、故意にレギュレーションを違反した。しかし、プジョーのディーゼルエンジンカーが、余分に100馬力を得ていることを考慮すると、些細な問題と考えられている。
*注:Sports-Car Racing Vol.18を参照してください。

ハードとミディアム 中野信治が5位でフィニッシュ

Photo:Sports-Car Racing

 今回のレースは、予想より低い気温の中で行われたことから、タイヤの選択がポイントとなった。ダンロップとミシュランの2つのタイヤメーカーは、共にハードとミディアムコンパウンドのどちらかが、マッチすると判断していた。ミシュランの場合、マシンのセッティングの違いによって、ハードとミディアムのどちらを選択しても、大きくラップタイムは変わらないと考えられた。しかし、ハードを選択しても4スティント走れる訳ではなく、半端な3スティントで交換することとなるため、ほとんどのチームはミディアムを選択して走行した。
 ダンロップの場合、少々事情は違って、ミディアムは素晴らしい速さを発揮出来る代わり、少々ライフに難があった。LMSのレギュレーションは、予選と決勝レースのスタートで同じタイヤを履かなければならないため、クリエイションはハードを選択して、ロールセンターはミディアムを履いて予選を走った。ロールセンターが予選を失敗したこともあって、クリエイションの選択が正しかったように思われたが、ジェイミー・キャンベル・ウォールターは、グリップしないタイヤと格闘しながら、予選を走っていたようだ。そのため、決勝レースがスタートすると、ミディアムタイヤを履くロールセンターが素晴らしい速さで上位に顔を出したのに対して、クリエイションはペースが上がらなかった。

 しかし、ロールセンターが選択したミディアムタイヤは、心配通りライフが短く、2スティント持たせることは出来なかった。そのため、ピットでのタイムロスによって、少しずつ後退してしまった。
 レース中盤、2番手でクリエイションに乗り組んだフィリーペ・オルティスが2度のスピンによって戦意を失い、早めにコクピットを離れたため、予定より1時間も早く中野信治に出番が回ってきた。クラッシュによって、右のリアウイングスティは破壊され、大きくダウンフォースを失った状態での走行だったが、少しずつ中野信治は順位を回復した。そして、1人で2時間30分を走り切って、5位でフィニッシュした。

◆ニュルブルクリンクで、最も速いガソリンエンジンカーはザイテック

Photo:Sports-Car Racing

 予選タイムを抹消されたシュルースローラに次いで予選4番手のタイムを記録したのは、アレーナモータースポーツが走らせるザイテック07Sだった。ヴァレンシアに続いて、またしてもザイテックが速さを見せつけた。現在のP1カーの中で、NAのV8エンジンを搭載するマシンはザイテックだけとなった。ザイテック07Sは、成功した04S LMP675カーや06Sハイブリッドカーの延長線上で開発されているため、最良のバランスと低重心をポイントとしている。搭載されるザイテックの4リットルV8エンジンの特性もあって、テクニカルサーキットで速さを発揮する。
 ルマンでは、テストディでクラッシュしたダメージを直前まで修復したが、結局決勝レースを諦めた。
 シュロースローラが居なくなったため、好燃費を活かして、プジョーに対抗することが期待されていた。走っている限り、ザイテック07Sは素晴らしい速さを披露した。しかし、ピットインの際エアジャッキが作動しない等、細かなトラブルが重なって、ポジションを落とすこととなった。

Photo:Sports-Car Racing

 童夢からS101.5を借り受けるカタチで、ヤン・ラマースはLMS活動を継続することとなった。しかし、充分な体制は用意出来なかったようで、セットアップに苦労することとなった。そのため、天才のヤン・ラマースには考えられない、予選のタイムアタック中にクラッシュしてタイムアタックに失敗しただけでなく、そのクラッシュでダメージを受けたタイヤを交換することとなって、最後尾グリッドからスタートしなければならなかった。
 決勝レースでも、消極的な走りが続いたが、後半になって、ヨルン・ブリークモーレンが乗り組んで、状況は一変した。デビッド・ハートのミスによって、一時は14位までポジションを落としたRfH童夢S101.5は、次々にポジションを回復して、アレーナザイテックと同ラップの9位でフィニッシュした。
 童夢を巡る話題としては、何時S102を発表することだろう。漏れ伝え聞く情報によると、林みのる御大の気分次第で、場合によっては、今月中にも、計画が公表される状況にあるようだ。

◆またしても、P1カーを破って上位に進出したP2カー

Photo:Sports-Car Racing

 このことは充分に予想されていたことだったが、ヴァレンシアに続いて、またしても何台かのP2カーがP1カーの前のスターティンググリッドを獲得した。しかも、バラジ-イプシロンのザイテックだけでなく、レイ・マロックとASMが走らせるローラ/AERが速さを披露した。2台のローラに搭載されるAER製2リットル4気筒ターボエンジンは、非常にコンパクトで、総ての補器類を含んでも100kg以下であるため、素晴らしいバランスを実現している。ローラのB05系スポーツカーが、元々、このエンジンを対象としてデザインされたこともあって、ニュルブルクリンクのようなテクニカルコースであれば、P1カーに匹敵するパフォーマンスを発揮することが可能だ。
 P1カーの間で上位を走行しながら、バラジ-イプシロンのザイテックとP2クラスのトップ争いを展開して、ザイテックに1周差をつけて、P2クラスで優勝した。しかも、もう2-3周あったら、バラジ-イプシロンザイテックは、アレーナザイテックとRfH童夢に抜かれていたかもしれないが、RMLローラが、アレーナザイテックとRfH童夢に1周差をつけフィニッシュしたことは賞賛されるべきだろう。

Race-Final Result
1 P1@No.8 Team Peugeot Total  LAMY Pedro/SARRAZIN Stephane Peugeot 908 HDi FAP 195Laps 6:01:13.828
2 P1 No.7 Team Peugeot Total  GENE Marc/MINASSIAN Nicolas Peugeot 908 HDi FAP 194Laps 6:02:09.093
3 P1 No.16 Pescarolo Sport  COLLARD Emmanuel/BOULLION Jean-Christophe Pescarolo Judd 191Laps 6:01:24.468
4 P1 No.15 Charouz Racing  CHAROUZ Jan/MUCKE Stefan/YOONG A Lola B07/17 Judd 188Laps 6:01:22.140
5 P1 No.9 Creation Autosportif Ltd 中野信治/J CAMPBELL-WALTER/F ORTIZ S Creation CA07S/Judd 188Laps 6:01:22.859
6 P2@No.25 RML  ERDOS Thomas/NEWTON Mike MG Lola EX264(B05-40)/AER 188Laps 6:02:25.718
7 P2 No.32 Barazi Epsilon  BARAZI Juan/VERGERS Michael/OJJEH Karim Zytek 07S-2 187Laps 6:01:14.765
8 P1 No.10 Arena Motorsport  CHILTON Tom/下田隼人 Zytek 07S 187Laps 6:01:23.843
9 P1 No.14 Racing For Holland  LAMMERS Jan/HART David/BLEEKEMOLEN Jeroen 童夢S101.5/Judd 187Laps 6:02:20.453
10 P2 No.40 Quifel ASM Team  AMARAL Miguel/DE CASTRO Miguel Angel/BURGENO Angel Lola B05-40/AER 187Laps 6:02:29.375
11 P2 No.27 Horag Racing  LIENHARD Fredy/THEYS Didier/VAN DE POELE Eric Lola B05-40/Judd 186Laps 6:02:35.797
12 P1 No.13 Courage Competition  GOUNON Jean-Marc/MOREAU Guillaume Courage LC70/AER 185Laps 6:02:48.187
13 P2 No.45 Embassy Racing  HUGHES Warren/CUNNINGHAM Neil Radical SR9/Judd 185Laps 6:03:21.937
14 P2 No.31 Binnie Motorsports  BINNIE Bill/TIMPANY Allen/BUNCOMBE Chris Lola B05-40/Zytek 183Laps 6:01:33.765
15 P2 No.35 Saulnier Racing  NICOLET Jacques/FILHOL Alain/JOUANNY Bruce Courage LC75/AER 182Laps 6:01:26.000
16 GT1@No.55 Team Oreca  ORTELLI Stephane/AYARI Soheil Saleen S7R 181Laps 6:02:39.875
17 P1 No.18 Rollcentre Racing  BARBOSA Joao/HALL Stuart/SHORT Martin Pescarolo Judd 180Laps 6:01:24.437
18 GT1 No.59 Team Modena  GARCIA Antonio/FITTIPALDI Christian Aston Martin DBR9 180Laps 6:02:21.109
19 GT1 No.72 Alphand Aventures  ALPHAND Luc/POLICAND Jerome/GOUESLARD Patrice Corvette C6R 180Laps 6:02:40.031
20 GT1 No.50 AMR Larbre  BOUCHUT Christophe/GARDEL Gabriel/GOLLIN Fabrizio Aston Martin DBR9 180Laps 6:02:40.453
21 P1 No.19 Chamberlain Synergy  EVANS Gareth/BERRIDGE Bob/OWEN Peter Lola B06-10/AER 179Laps 6:02:47.218
22 GT1 No.61 Racing Box  PERAZZINI Pier Giuseppe/CIOCI Marco/TAVANO Salvatore Saleen S7R 178Laps 6:02:13.265
23 GT1 No.73 Alphand Aventures  BLANCHEMAIN Jean-Luc/DUMEZ Sebastien/VOSSE Vincent Corvette C5R 177Laps 6:01:38.468
24 GT1 No.51 AMR Larbre  FISKEN Gregor/ZACCHIA Steve/FRANCHI Gregory Aston Martin DBR9 176Laps 6:03:11.484
25 P1 No.12 Courage Competition  FREI Alexander/COCHET Jonathan Courage LC70/AER 175Laps 6:01:21.640
26 GT2@No.96 Virgo Motorsport  BELL Robert/SIMONSEN Allan Ferrari F430GT2 173Laps 6:01:16.609
27 GT2 No.77 Felbermayr-Proton  LIEB Marc/POMPIDOU Xavier Porsche 997GT3RSR 173Laps 6:02:47.218
28 GT2 No.90 Farnbacher Racing  WERNER Dirck/EHRET Pierre/NIELSEN Lars Erik Porsche 997GT3RSR 172Laps 6:02:10.718
29 GT2 No.97 GPC Sport  BOBBI Matteo/DE SIMONE Fabrizio/BONETTI Alessandro Ferrari F430GT2 171Laps 6:01:48.422
30 P2 No.20 Pierre Bruneau  ROSTAN Marc/BRUNEAU Pierre/PULLAN Simon Pilbeam MP93/Judd 170Laps 6:02:10.453
31 GT2 No.94 Speedy Racing Team  BELICCHI Andrea/CHIESA Andrea/KANE Jonny Spyker C8 Spyder GT2R 170Laps 6:02:50.109
32 GT2 No.82 Team LNT  DEAN Richard/TOMLINSON Lawrence Panoz Esperante GTLM 170Laps 6:03:18.093
33 GT2 No.98 Ice Pol Racing Team  LAMBERT Yves/LEFORT Christian/LEMERET Stephane Ferrari F430GT2 169Laps 6:01:31.265
34 GT2 No.92 Thierry Perrier  HESNAULT Philippe/SMITH Nigel/BELTOISE Anthony Porsche 997GT3RSR 169Laps 6:02:53.484
35 P2 No.21 Bruichladdich Radical  GREAVES Tim/MOSELEY Stuart Radical SR9/AER 165Laps 6:01:27.015
36 GT2 No.76 Imsa Performance  NARAC Raymond/LIETZ Richard Porsche 997GT3RSR 165Laps 6:01:43.781
37 GT2 No.78 Scuderia Villorba  CAFFI Alex/ZARDO Denny Ferrari F430GT2 165Laps 6:02:21.375
38 GT2 No.95 James Watt DANIELS Paul/COX Dave/CAMATHIA Joel Porsche 997GT3RSR 165Laps 6:02:58.172
39 GT2 No.99 JMB Racing  BASSO Maurice/McCORMICK Bo Ferrari F430GT2 163Laps 6:02:28.437
40 GT2 No.88 Felbermayr-Proton  RIED Christian/FELBERMAYR Horst Jr/GRUBER Thomas Porsche 997GT3RSR 162Laps 6:02:05.047
41 GT2 No.79 Felbermayr-Proton  RIED Gerold/FELBERMAYR Horst Sr/COLLIN Philip Porsche 997GT3RSR 161Laps 6:01:37.328
42 P2 No.29 T2M Motorsport  LONGECHAL Robin/山岸大 童夢S101.5/Mader 159Laps 6:02:57.390
***以上完走***

* GT2 No.84 Chad Peninsula Panoz  HARTSHORNE John/McINERNEY Sean/McINERNEY Michael Panoz Esperante GTLM 97Laps 6:02:00.703
* P2 No.44 Kruse Motorsport  BURGESS Tony/DE POURTALES Jean/SIEDLER Norbert Pescarolo Judd 151Laps 5:00:10.468
* GT2 No.85 Spyker Squadron  JANIS Jarek/KOX Peter Spyker C8 Spyder GT2R 79Laps 2:48:25.343
* GT2 No.81 Team LNT  KIMBER-SMITH Tom/WATTS Danny Panoz Esperante GTLM 76Laps 2:56:24.422
* P1 No.17 Pescarolo Sport  PRIMAT Harold/TINSEAU Christophe Pescarolo Judd 54Laps 1:42:18.875
* GT2 No.89 Markland Racing  THIM Kurt/THYRRING Thokild/SORENSEN Henrik Moller Corvette C6 Z06 54Laps 2:04:49.843
* P1 No.3 Scuderia Lavaggi LAVAGGI Giovanni/CORSINI Cristian Lavaggi LS01/Ford 29Laps 0:59:44.859
* GT2 No.83 GPC Sport  DRUDI Luca/ROSA Gabrio/MOWLEM Johnny Ferrari F430GT2 21Laps 0:43:25.015

6月27日
SpecialEdition
FIAGT Rd4 MonzaRece Report
ルマン後初レースを制したのはアストンマーティン GT2はフェラーリが4連勝

Photo:FIAGT/DPPI
 このように、ルマンとは違う顔ぶれによってFIAGTは行われている。優勝したジェタリアンスアストンマーティンを抜いて、先頭でPKカースポートコルベットC6Rが第1シケインに飛び込む。現在マセラッティMC12が走るトップクラスのスポーツカーレースはFIAGTだけ。

 ルマンから1週間、最初にスポーツカーレースを開催したのはモンツァだった。と言っても、FIAGTであるため、BMSスクーデリアイタリア等、一部を除くと、ほとんどがルマンを走ったチームと違う顔ぶれで、ルマンに参加する資格を持たないマセラッティも、5台が顔を揃えた。
 フリープラクティスが始まると、カール・ヴェントリンガーのNo.33ジェタリアンスアストンマーティンが素晴らしい速さを見せつけた。予選が始まると、2台のヴィータフォンマセラッティとNo.12Playteamマセラッティ、そして、ジャン・デニス・デラトレスのNo.5PKカースポートコルベットC6Rが追いかけるが、カール・ヴェントリンガーは、2位に0.5秒差をつけてポールポジションを獲得した。

 午後1時ピットレーンが閉鎖されたが、2台のランボルギーニは、1台がリアウイングのルール違反によってグリッド降格となり、もう1台も、メカニックによって、グリッドからピットに押し戻された。
 ペースカー先導によるローリングラップの後、1時15分スタートが切られた。
 最初に第1シケインに進入したのは、マイク・ヘゼマンズのNo.5PKカースポートコルベットだった。その後ろから、ポールポジションからスタートしたNo.33ジェタリアンスアストンマーティンが、2台のヴィータフォンマセラッティ勢競り合いながら飛び込んできた。
 しかし、マイク・ヘゼマンズは、高速コーナーのレズモの1つ目で大きくアウトにはらんでしまい、アストンマーティンとマセラッティに抜かれてしまった。そのまま、カール・ヴェントリンガーのNo.33ジェタリアンスアストンマーティンがトップを快走することとなった。2台のヴィータフォンマセラッティが追いかけるが、ストレートスピードの速いアストンマーティンを抜くことが出来ない。
 第2戦シルバーストーンからリストリクターを大きくされたアストンマーティンは、素晴らしい速さを披露している。トップを走るNo.33ジェタリアンスだけでなく、ルマンに参加したNo.23BMSスクーデリアイタリアは、ヴィータフォンマセラッティとファスティストラップを競いながら、追い上げている。
 しかし、カール・ヴェントリンガーがファストストラップを更新してトップを快走している。

Photo:FIAGT/DPPI

 GT2はAFコルセの2台のフェラーリF430GT2が好調で、No.51がトップを快走して、ポールポジションからスタートしたNo.52が、ポルシェが支援するNo.97BMSポルシェ997GT3RSRの前を走っている。

 スタートから30分が過ぎて、No.33ジェタリアンスアストンマーティンを追うヴィータフォンマセラッティの1台が、ブレーキトラブルによって遅れ始めた。しかし、残ったNo.2ヴィータフォンマセラッティは、たった2.5秒差でアストンマーティンを追っている。
 ストレートスピードの速いアストンマーティンを攻略出来ないだけでなく、No.2ヴィータフォンマセラッティの後方には、No.5PKカースポートコルベットが追い上げてきた。
 いずれも、No.33ジェタリアンスアストンマーティンの速さには及ばないため、スタートから35分を過ぎると、ヴィータフォンマセラッティとコルベットが、次々と最初のピットストップを行った。
 トップを快走するカール・ヴェントリンガーがピットに入ったのは、その10分後だった。トップの座は、ピットに入ってないNo.4PKカースポートコルベットC5Rとなるが、No.4コルベットがピットに入ると、作戦通りNo.2ヴィータフォンマセラッティがアストンマーティンが僅差でリードする。
 No.4PKカースポートコルベットC5Rの後方では、No.1ヴィータフォンマセラッティとNo.5PKカースポートコルベットC6Rが4位争いを展開している。

 2位に後退したNo.33ジェタリアンスアストンマーティンは、ピットアウトから10分後、速いストレートスピードを活かして、No.2ヴィータフォンマセラッティとテイルtoノーズの闘いに持ち込んだ。
 No.1ヴィータフォンマセラッティとNo.5PKカースポートコルベットC6Rの闘いは、マイク・ヘゼマンズが第1シケインでミスしたため、マセラッティがリードしている。
 ロジアシケインでライアン・シャープの操るNo.33ジェタリアンスアストンマーティンは、No.2ヴィータフォンマセラッティに襲いかかった。しかし、スピンしてしまい、逆にヴィーターフォンマセラッティが1-2体制を築く。
 その直後No.2ヴィータフォンマセラッティが2度目のピットイン、その1周後にはNo.1ヴィータフォンマセラッティもピットインしたため、再びNo.33ジェタリアンスアストンマーティンがリードする。

 GT2は、ステファン・オルテリのNo.51AFコルセフェラーリがリードを拡げた。対抗馬と見られたNo.97BMSポルシェは、第1シケインでコースアウトしてしまった。その結果トップ4をフェラーリが占める。

Photo:FIAGT/DPPI

 ヴィータフォンマセラッティより17分も余計にNo.33ジェタリアンスアストンマーティンは走り続けた。そのため、2位との差が37秒にも開いていた。そのため、2度目のピットストップを終えて、カール・ヴェントリンガーに交代したNo.33ジェタリアンスアストンマーティンは、トップのままレースに復帰した。
 と言っても、その差は4.5秒に過ぎなかった。カール・ヴェントリンガーは、ヴィータフォンマセラッティとの4.5秒差を最後の15分間維持しながら、チェッカードフラッグをかいくぐった。
 3位には、出入りの激しいレースを行ったNo.5PKカースポートコルベットC6Rが、フィニッシュ2周前、パラボリカでNo.1ヴィータフォンマセラッティを抜いて、滑り込んできた。

Race Result
1 GT1@No.33 Wendlinger/Sharp Aston Martin DBR9 2:00:19.905 66laps
2 GT1 No.2 Montanari/Ramos Maserati MC12 2:00:25.524 66laps +4.619
3 GT1 No.5 Hezemans/Deletraz Corvette C6R 2:00:28.4245. 66laps +8.519
4 GT1 No.1 Bartels/Biagi Maserati MC12 2:00:35.080 66laps +15.175
5 GT1 No.4 Kumpen/Longin Corvette C5R 2:00:48.829 66laps +28.924
6 GT1 No.23 Davies/Babini Aston Martin DBR9 2:01:06.414 66laps +46.509
7 GT1 No.36 Lechner/Lichtner-Hoyer Aston Martin DBR9 2:02:05.168 +1:45.263
8 GT1 No.11 Bertolini/Piccini Maserati MC12 2:02:06.252 66laps +1:46.347
9 GT1 No.12 Pier Guidi/Giannoccaro Maserati MC12 1:00:46.533 65laps −1laps
10 GT1 No.8 Menten/Kox Lamborghini Murcielago 2:01:57.745 65laps −1laps
11 GT1 No.19 Peter/Hines Corvette C6R 2:02:03.691. 65laps −1laps
12 GT1 No.22 Monfardini/Toccacelo Aston Martin DBR9 2:00:44.237 64laps −2laps
13 GT1 No.18 Cloet/Cassdei Corvette C5R 2:00:37.362 63laps −3laps
14 GT1 No.16 MacAri/Aucott Maserati MC12 2:01:10.561 63laps −3laps
15 GT2@No.51 Bruni/Ortelli Ferrari F430GT2 2:01:14.812 63laps −3laps
16 GT2 No.50 Vilander/Muller Ferrari F430GT2 2:01:17.083 63laps −3laps
17 GT2 No.52 Ruberti/Pasini Ferrari F430GT2 2:02:13.843 63laps −3laps
18 GT2 No.74 Zani/Busnelli Porsche 997GT3RSR 2:00:25.023 62laps −4laps
19 GT1 No.20 Vannalet/Engelhorn Corvette C5R 2:00:35.038 62laps −4laps
20 GT2 No.53 Cressoni/Rugolo Ferrari F430GT2 2:00:35.262 62laps −4laps
21 GT2 No.99 Edwards/MacHitski Porsche 997GT3RSR 2:01:07.146 62laps −4laps
22 GT2 No.62 Mullen/Enge Ferrari F430GT2 2:01:07.626 62laps −4laps
23 GT2 No.60 Penders/Lamot Porsche 997GT3RSR 2:00:46.022 60laps −6laps
24 GT1 No.15 Kutemann/Waaijenberg Maserati MC12 2:01:28.535 60laps −6laps
25 G2 No.102 Stepec/Carcone Chrysler Viper GTS-R 2:01:17.231 55laps −11laps
26 GT2 No.63 Kirkaldy/Niarchos Ferrari F430GT2 1:29:44.539 46laps −20laps
***以上完走***

--GT2 No.97 Collard/Malucelli Porsche 997GT3RSR 56.13.020 28laps DNF
--GT1 No.7 Bouchut/Mucke Lamborghini Murcielago 40:44.394 22laps DNF

6月21日
SpecialEdition
2007LeMans24h Analysis 2007年のルマンで何が起こったのか?


Photo:Sports-Car Racing

◆圧倒的な速さでアウディがルマンに勝った
 何時雨が降っても不思議でない空模様の中、午後3時2007年のルマン24時間レースがスタートした。ところが、フランス人達の期待と違って、ポールポジションからスタートしたプジョーは、ほんの1kmもリードを保つことが出来なかった。セバスチャン・ブルディの乗り組むNo.8プジョー908は、ダンロップシケインでコースアウトして、リナンド・カペロの操るNo.2アウディに抜かれてしまった。リナンド・カペロのNo.2アウディR10は、トップに躍り出ると、ファストストラップを更新しながら、トップを快走した。速いのはNo.2だけでなく、3台のアウディR10が速さを発揮して、ほんの数周でアウディの1-2-3編隊が完成した。
 しかし、コースの彼方此方で場所によっては雨が降っており、スタートから1時間30分後、若手トリオが乗り組むNo.3アウディR10はテルトルルージュでクラッシュしてしまった。ルーカス・ロールに続いて2番手でNo.3アウディR10に乗り組んだマイク・ロッケンフェラーは、滑りやすい路面でコントロールを失って、アウト側のガードレールを完全に破壊してNo.3アウディR10は停止した。
 このアクシデントによって、ガードレールを修理するため、1時間以上もセイフティカーランは行われた。ところが、セイフティカーランの間、激しい雨が降り始めたため、彼方此方でコースアウトするクルマが相次で、コース上は大混乱に陥ることとなった。

 しかし、トップを走るNo.2アウディR10は絶好調だった。リナンド・カペロに代わって乗り組んだトム・クリステンセンは、さらに速さを増して、何と3分29秒台に入れてきた。トム・クリステンセンのスティントが終了してアラン・マクニッシュが乗り組むと、さらにファストストラップを更新する速さで、圧倒的な速さでリードを広げ始めた。No.2アウディR10の速さは群を抜いていた。日付が変わった後、リナンド・カペロは、3分28秒台で連続走行を披露した。

Photo:Sports-Car Racing

 対するプジョーは、序盤からNo.8が右リアホイールベアリングのトラブルでピットインを繰り返した。結局、午後9時過ぎ、リアサスペンションのアップライト(ブレーキ付き)とハーフシャフトをアッセンブリーで交換した。4年前ならリアアクスルごと交換したことだろう。
 No.7プジョー908も、速さではアウディR10に対抗出来ない。3位をキープするのが精一杯だ。
 No.7プジョー908は2位のチャンスもあったが、朝を迎える頃になるとオーバーヒートの兆候が見られるようになって、ピットインの度ラジエターの清掃を行うこととなった。
 結局フィニッシュまで1時間30分を残して、No.7はエンジンを壊してレースを諦めた。

 アラン・マクニッシュの速さは異常と言うべきで、翌朝6時(つまりスタートから15時間も走った後!)231周目に3分27秒176の圧倒的なファストストラップを叩き出した。これまでサルテサーキットのファストストラップは、1993年トヨタTS010でエディ・アーバインが記録したものだった。アラン・マクニッシュは、1993年以降何度もコースが改修されて、より遅くなったにも関わらず、13年間破られなかったトヨタの記録を破ってしまった。

 ところが、その2時間後、圧倒的な速さでリードしていたNo.2アウディR10は、リナンド・カペロがドライブ中、左リアホイールが外れて、インディアナポリスでクラッシュしてしまった。ほとんどノーブレーキで突っ込んだため、大きなダメージを受けていたが、リナンド・カペロは3輪走行でピットへ戻ろうとして、再びコクピットに乗り込んだ。しかし、No.2アウディR10を復活させることは不可能だった。
 トップの座は、残るNo.1アウディR10が引き継いだ。ライバルは、遅れているNo.8プジョーだけだったため、何事もなかったかのように、プジョーに10周差をつけて、アウディが24時間レースに優勝した。

Photo:Sports-Car Racing

◆ガソリンエンジンクラスはやはりペスカロロ

Photo:Sports-Car Racing

 ガソリンエンジンクラスは、No.16ペスカロロのリードで始まった。それをNo.14RfH童夢が追う展開となった。これにNo.5スイススピリットのローラ/アウディが絡んで、一旦はローラ/アウディはRfH童夢をパスするが、オーバーペースだったようで、ダンロップシケインでコースアウトして、再びNo.16ペスカロロとNo.14RfH童夢の一騎打ちとなった。
 しかし、No.3アウディR10のクラッシュによるセイフティカーランの後、冷えたスリックタイヤでセミウェットのコースに飛び出していったRfH童夢は、若いヨルン・ブリークモーレンの焦りから、第1シケイン立ち上がりでスピンして、リアセクションを壊してしまった。ピットに自走で戻ってきたが、19周の間、修理のためピットに張り付くこととなって、上位から脱落してしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 その後、ライバル達が次々とトラブルで遅れたため、No.16ペスカロロがリードを広げた。
 それらの中にNo.9クリエイションも居た。走っている限り充分な速さを披露したが、2番目に乗り組んだフィリーペ・オルティスが次々とミスを連発して、ダンロップコーナーとテルトルルージュで2度もクラッシュしてしまった。その都度クリエイションのメカニック達は修理を行った。しかし、2度もリアセクションを破壊されたクルマを完全に修復することは容易ではなかったようだ。
 フィリーペ・オルティスに代わってNo.9クリエイションCA07に乗り組んだ中野信治は、アウトラップ(1周目)で異常に気づいた。そして、ポルシェカーブに差し掛かった時、No.9クリエイションのリアウイングが脱落した。高速コーナーのポルシェカーブでリアウイングが無くなったら、どうなるか?誰だって想像出来るだろう。中野信治のルマンは、あっと言う間に終わってしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 No.16ペスカロロがリードしていると言っても、速さでリードしている訳ではなかった。明け方になると、自らのクラッシュによる遅れを取り戻すかのように、ヨルン・ブリークモーレンが操るNo.14RfH童夢が速さを増してきた。そして、ガソリンエンジンのファストストラップである3分33秒338を記録する。誰も、このタイムを破ることは出来ないと思われた。
 ところが、RfH童夢の速さを見るとシュロースレーシングのNo.15ローラ/ジャドが、タイムアタックを開始して、見事にRfH童夢のタイムを破ることに成功した。皮肉にもRfH童夢のタイムを破ったのは、去年RfH童夢に乗り組み、3位を走行中第1シケインでクラッシュしたアレックス・ユーンだった。

 どういう訳か、ガソリンエンジンクラスのファステストラップを記録したシュロースローラは、その直後マシンをピットのガレージに入れてしまった。元々トラブルを抱えていたのか、ファステストラップを狙って走行した時痛めたか?判らないが、彼らも上位から脱落してしまった。

 そうして、No.16ペスカロロが、ガソリンエンジンクラスで圧勝した。後半No.8プジョー908のペースが落ちてきて、しばしばピットインを繰り返したため、フィニッシュした時たった1周差だった。

◆総崩れのP2 ザイテック破れる

Photo:Sports-Car Racing

 誰もが、エイドリアン・フェルナンデス、黒沢治樹、ロビー・カーが乗り組んだNo.33ザイテック07S-2が、P2クラスで圧勝することを予想した。逆に勝って当たり前とさえ考えられていた。対抗馬が存在するのであれば、同じバラジ-イプシロンからバラジ-イプシロン自身によって走らせるザイテックだけと考えられていた。ところが、No.33ザイテックは、序盤からブレーキトラブルでピットに張り付き、No.32の方はコースアウトを繰り返した。そうなるとLMSで速い、ポルトガルからやって来たNo.40ASMローラの出番となるが、AMSは、エンジンのミスファイアに苦しんで、何とNo.20ピルビームにP2のリーダーを明け渡してしまう。それをNo.40ASMが自力で奪い返すが、ハーフシャフトを壊して万事休す。その結果、No.20ピルビーム、No.24ノエルデルベロー等、ノーマークのチームが次々とP2のリーダーとなった。大本命のNo.33ザイテックは、圧倒的な速さで追い上げていたが、ホイールベアリングのトラブルによって再びピットに張り付いてしまった。それでも走っている限り圧倒的な速さを3人のドライバーは見せつけたが、負担も大きいようで、エイドリアン・フェルナンデスがポルシェカーブでスピンして、その後黒沢治樹が追い上げたが、アルナージュでクラッシュしてしまった。
 その結果ビル・ビニーのNo.31ローラ/ザイテックが、総崩れのP2を制することとなった。

◆GT1はアストンマーティンが優勝

Photo:Sports-Car Racing

 今年のヨーロッパのGTレースが非常に混沌とした状況にあることは知っているだろう。ルマンの参加資格を持たないマセラッティMC12を含めると、アストンマーティンDBR9、コルベットC6RとC5R、そしてサリーンS7Rが、非常に興味深いレースを展開している。
 今年のACOレギュレーションの特徴は、室内温度を30℃以下に保つことを明確にしているため、GTクラスのクルマは、特にフロントエンジンの場合、エアコンの装着はマストとなっている。エアコンを装着した場合、エアコンを駆動する分を考慮して、リストリクター径を0.5mm大きくすることが許されている。エアコンを装着しても、室内温度が30℃以下であれば、エアコンを作動させる必要がないため、単純に速さだけを見た場合、エアコンを装着した方が有利と考えられている。

 そのため、様々な工夫を凝らしたエアコンが開発されているようだ。中でもアストンマーティンのものは優秀であるようで、エアコンを駆動させても、非常に少ない出力しか要さないらしいが、非常に高価で、一般的なセダンの1台分の値段をプロドライブは要求している。

 エアコンの影響だけではないだろうが、アストンマーティンがGT1クラスをリードした。今年アストンマーティンは、ワークスと言えるアストンマーティンレーシングの2台と共にラルブルコンペティションのNo.008を、事実上のワークス扱いとしている。No.008がポールポジションを獲得して、アストンマーティンレーシングのNo.007とNo.009がリードした。
 雨の予選では、ORECAのサリーンが活躍したが、決勝レースでアストンマーティンを追いかけたのは、やはりGMワークスのコルベットだった。しかし、No.64が序盤にドライブシャフトを壊して脱落して、No.63だけが、アストンマーティンと闘うこととなった。
 ORECAサリーンは、アストンマーティンに匹敵する最高速度を記録して期待されたが、次々とエンジンに問題を発生させて、徐々に後退してしまった。
 その結果、No.009アストンマーティンDBR9が優勝した。

◆接戦のGT2でポルシェが勝った

Photo:Sports-Car Racing

 テストディで見せたポルシェ997GT3RSRの速さは予想通りだった。しかし、フェラーリ勢との差は決して大きいものではなく、たった1週間でフェラーリはポルシェと同等の速さを身に付けてきた。
 ウェットコンディションもあって、レース序盤フェラーリが上位を独占することもあった。しかし、期待されたミカ・サロが乗り組むNo.97リシーは、ドアの脱落でピットインしたため、No.87スクーデリアエコッセがリードすることもあった。スタートから6時間を過ぎるようになると、No.97リシーフェラーリに続いて、No.80フライングラザードとNo.93オートランドの2台のポルシェが迫ってきた。
 No.80フライングラザードは、ストレートを重視して、低い位置にリアウイングを取り付ける等、意欲的だったが、結局ギアボックストラブルでリタイヤしてしまった。
 このように、パワーが大きく、しかも、太いタイヤによって、駆動系に逃げ場のないポルシェは、決してトラブルフリーで走っている訳ではなかった。そのため、No.97リシーフェラーリが水ポンプのトラブルで遅れだしても、トップを奪取出来なかった。代わって、リーダーとなったのは、ジョゼッペ・リシーとトレーシー・クローンがジョイントして走らせるNo.99だった。トレーシー・クローンのNo.99フェラーリに続いて2位に上がってきたのが、テストディでトップタイムを記録したNo.76IMSAポルシェだった。

 この混沌とした闘いは、一旦はNo.97リシーフェラーリが挽回してトップの座を奪い返した。スタートから15時間過ぎ、水ポンプのトラブルが深刻となって、ガレージで修理を始めるが、トップに立ったのは、ポルシェでなく、No.87スクーデリアエコッセフェラーリだった。
 大本命のNo.76IMSAポルシェがリーダーとなるのは、その2時間後No.87エコッセフェラーリが、ブレーキを交換するため、ピットに入るまで待たなければならなかった。
 その後フェラーリ勢に、次々とトラブルが発生したため、No.76IMSAパフォーマンスポルシェ997GT3RSRが、GT2クラスで優勝することとなった。

2007LeMans24h Classement provisoire
1 P1@No.1 Audi Sport North America AUDI R10 E PIRRO/F BIELA/M WERNER 24:02:42.628 369laps
2 P1 No.8 Team Peugeot Total Peugeot908 P LAMY/ST SARRAZIN/S BOURDAIS 24:02:47.285 359laps
3 P1 No.16 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd E COLLARD/JC BOULLION/R DUMAS 24:09:50.191 358laps
4 P1 No.18 Rollcentre Racing Pescarolo S01/Judd J BARBOSA/ST HALL/M SHORT 24:05:25.144 347laps
5 GT1@No.009 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 D BRABHAM/R RYDELL 24:07:43.683 343laps
6 GT1 No.63 Corvette Racing Corvette C6R  J O'CONNELL/J MAGNUSSEN/R FELLOWS 24:05:22.347 342laps
7 GT1 No.008 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 C BOUCHUT/F GOLLIN/C ELGAARD 24:06:38.293 341laps
8 P1 No.15 Charouz Racing Lola-B07-17/Judd A YOONG/ST MÜCKE/J CHAROUZ 24:07:52.238 338laps
9 GT1 No.007 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 T ENGE/J HERBERT/P KOX 24:02:44.097 337laps
10 GT1 No.54 Team Oreca Saleen S7R L GROPPI/N PROST/J P BELLOC 24:08:31.550 337laps+5:47.453
11 GT1 No.100 AMR BMS AstonMartin DBR9 F BABINI/J DAVIES/M MALUCELLI 24:02:42.746 336laps
12 GT1 No.72 Alphand Aventures Corvett C6R J POLICAND/P GOUESLARD 24:09:03.136 327laps
13 P1 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd H PRIMAT/CH TINSEAU/B TRELUYER 24:07:39.714 325laps
14 GT1 No.67 Convers Menx Team FERRARI 550 MARANELLO  A VASILIEV/T KOSTKA 24:05:49.339 322laps
15 GT2@No.76 Imsa Performance Porsche997GT3RSR  R NARAC/R LIETZ 24:06:22.996 320laps
16 GT1 No.55 Team Oreca Saleen S7R N PROST/S AYARI/N LAPIERRE 24:02:42.918 318laps
17 GT1 No.59 Team Modena AstonMartin DBR9 A GARCIA/J MENTEN/CH FITTIPALDI 24:03:54.324 318laps+1:11.406
18 P2@No.31 Binnie Motorsports LolaB05-40/ZYTEK  B BINNIE/A TIMPANY/CH BUNCOMBE 24:07:46.988 318laps+5:04.070
19 GT2 No.99 Risi Competizione Ferrari F430GT2 T KROHN/N JONSSON/C BRAUN 24:09:21.496 314laps
20 P1 No.19 Chamberlain Synergy LolaB06-10/AER G EVANS/B BERRIDGE/P OWENBERRIDGE 24:07:28.832 310laps
21 GT2 No.93 Autorlando Sport Porsche997GT3RSR  L E NIELSEN/A SIMONSEN 24:03:24.105 309laps
22 GT2 No.78 AF Corse FerrariF430GT2  J MACARI/B AUCOTT/A.NEWEY 24:07:40.847 308laps
23 GT2 No.82 Team LNT PANOZ ESPERANTE  L TOMLINSON/R DEAN/R BELL 24:08:59.918 308laps+1:19.071
24 GT1 No.73 Alphand Aventures Corvette C5R J L BLANCHEMAIN/V VOSSE/D ANDRE 24:07:04.832 306laps
25 P1 No.14 Racing For Holland 童夢S101.5/Judd J LAMMERS/D HART/J BLEEKEMOLEN 24:05:24.285 305laps
26 P1 No.12 Courage Competition CourageLC70/AER  A FREI/J COCHET/B BESSONCOCHET 24:09:10.863 305laps
27 P2 No.33 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  A FERNANDEZ/H KUROSAWA/R KERR 24:02:47.800 301laps
28 GT1 No.70 PSI Experience Corvette C6R D HALLYDAY/C Y GOSSELIN/PH PETER 24:09:05.722 289laps
29 GT1 No.006 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 P BORNHAUSER/R BERVILLE/G FISKEN 24:09:32.941 272laps
***以上完走***

***リタイヤ***
P1 No.7 Team Peugeot Total Peugeot908 M GENE/N MINASSIAN/J VILLENEUVE 22:27:47.214 338laps*エンジン
P1 No.2 Audi Sport North America AUDI R10 A McNISH/R CAPELLO/M ROCKENFELLER 16:32:03.613 262laps *アクシデント
P2 No.32 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  J BARAZI/M VERGERS/K OJJEHVERGERS 19:01:32.605 252laps *アクシデント
GT2 No.83 GPC Sport FerrariF430GT2 M MARSH/J VILLARROEL/C ROSENBLAD 20:42:19.738 252laps*ホイールベアリング?
P2 No.25 RML LolaB05-40/AER T ERDOS/M NEWTON/A WALLACE 18:57:40.207 251laps *ピストンケース
GT2 No.87 Scuderia Ecosse FerrariF430GT2 CH NIARCHOS/A KIRKALDY/T MULLEN 17:45:10.062 241laps*トランスミッション
P2 No.35 Saulnier Racing CourageLC75/AER B JOUANNY/J NICOLET/A FILHOL 18:32:24.019 224laps *エンジン
GT2 No.97 Risi Competizione FerrariF430GT2  M SALO/J MELO/J.MOWLEM 17:41:25.457 223laps *水ポンプ
P2 No.24 Noel Del Bello CourrageLC75/AER V PETROV/L HALLIDAY/R IANETTA 17:32:40.171 198laps *ギアボックス
P1 No.13 Courage Competition CourageLC70/AER J M GOUNON/G MOREAU 13:52:16.664 175laps *エンジン
GT2 No.85 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER A BELICCHI/A CAFFI/A CHIESA 11:23:32.468 145laps *トランスミッション
P2 No.40 Quifel ASM Team LolaB05-40/AER M AMARAL/M DE CASTRO/W HUGHESAMARAL 11:11:38.558 137laps *アクシデント
P2 No.20 Pierre Bruneau PilbeamMP93/Judd M ROSTAN/G PICKERING/H.MACALLISTER 12:45:48.570 126laps *アクシデント
GT2 No.80 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR J van OVERBEEK/J BERGMEISTER/S NEIMAN 9:30:40.070 124laps *ギアボックス
P2 No.44 Kruse Motorsport Pescarolo S01/Judd  T BURGESS/J de POURTALES/N.SIEDLER 9:19:41.191 98laps *エンジン?
GT2 No.86 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER  J JANIS/M HEZEMANS/J KANE 5:26:53.121 70laps *エンジン
GT2 No.71 Seikel Motorsport Porsche997GT3RSR  PH COLLIN/H FELBERMAYR Senior/H FELBERMAYR Junior 5:27:11.638 68laps *エンジン
P1 No.5 Swiss Spirit LolaB07-10/AUDI J D DELETRAZ/M FASSLER/I ALEXANDER 8:51:09.709 62laps *電気系トラブル
GT2 No.81 Team LNT PANOZ ESPERANTE T KIMBER-SMITH/D WATTS/T MILNER 5:24:08.257 60laps *ギアボックストラブル
P2 No.29 T2M Motorsport 童夢S101.5/Mader R LONGECHAL/山岸大/寺田陽次郎 5:23:47.300 56laps *オーバーヒート
P1 No.9 Creation Autosportif Ltd Creation CA07S/Judd 中野信治/J CAMPBELL-WALTER/F ORTIZ 7:04:53.978 55laps *アクシデント
P1 No.3 Audi Sport Team Joest AUDI R10 L LUHR/M EKSTROM/A PREMAT 1:31:23.413 23laps *アクシデント
GT1 No.64 Corvette Racing Corvette C6R O BERETTA/O GAVIN/M PAPIS 1:35:35.892 22laps *トランスミッション
P2 No.21 Bruichladdich Radical RADICAL SR9/AER  T GREAVES/ST MOSELEY/R LIDDELL 1:06:58.783 16laps *アクシデント
GT1 No.53 JLOC Isao Noritake LAMBORGHINI MURCIELAGO 余郷敦/山西康司 0:05:08.697 1laps *ドライブシャフト

6月20日
SpecialEdition 2010年ルマンのレギュレーションが変わる 
シルエットフォーミュラを要求したのはGMとニッサンか?

Photo:Sports-Car Racing

 6月14日、例年より1日早く木曜日にACOは定例の記者会見を開いた。今年の発表の目玉は、近未来のルマンだった。イベントについて様々なプランが明かとされる一方、最も注目されたのは、これからのルマンのレギュレーションについてだった。

 現在のルマンのレギュレーションは、通称2004年レギュレーションと言われるよう、2004年に施行されている。1999年にメルセデスが空を飛んだことを教訓として、絶対に空を飛ばないことをテーマとしているだけでなく、LMP1の場合“屋根付き”でも“屋根無し”でも同じ出力と同じ大きさのタイヤの使用を認めたレギュレーションだった。“屋根付き”と“屋根無し”のどちらを選んでも、同程度のポテンシャルとなることが、ポイントだった。しかし、コストやレース戦略まで、あらゆるケースを想定してシュミレーションした場合、“屋根付き”より“屋根無し”の方がほんの少し有利であることから、今年プジョーが908クーペを作るまで“屋根付き”のLMP1カーは登場しなかった。

 そこで、ACOは、室内の温度が30℃以上となる場合エアコンの設置を義務つけ、エアコンを装備した場合、リストリクター径を0.5mm大きく出来るレギュレーションまで設けた。
 このようなこともあって、プジョーが908クーペを登場させる環境が整った。
※注:プジョーが“屋根付き”を選択した本当の理由についてはSports-Car Racing Vol.18をご覧下さい

 しかし、それでも、“屋根付き”でも“屋根無し”であっても、現在のプロトタイプカーはあまりにも高度過ぎるだけでなく、メーカーの多くは、自分たちのアイデンティティを示せるカタチのクルマでルマンに成功することを望んでいた。と言うより、一部のメーカーから、ACOに対して、ロードカーと似たカタチのクルマでルマンで成功することが、要求されていたようだ。
 ACOもこれらの要求を無視出来なかったようで、2010年に新しいレギュレーションを施行するのに合わせて、このようなシルエットフォーミュラを導入することとなった。

 発表された内容を整理してみよう。ACOは、現在のレギュレーションを今後3年間、つまり2009年まで堅持する。しかし、2010年から新しいレギュレーションを施行する。
 しかし、総てのカテゴリーが完全に新しいレギュレーションに切り替わる訳ではない。2010年以降も、GT1、GT2、LMP2は現在のレギュレーションをモデファイして使われる。モデファイの目的は各クラスのポジションを明確とすることだ。コースによってLMP2がLMP1より速い、現在の状況を考慮して、LMP2、GT1、GT2は車重が50kg増やされる。同時にLMP2について、昨年秋、“屋根無し”だけとして、“屋根付き”を除外することが発表されたが、再度“屋根無し”だけとなることが確認された。

 2010年以降大きく変更されるのは、総合優勝が狙えるLMP1カテゴリーだ。
 発表の席で、ACOのテクニカルダイレクターであるダニエル・フェルドリックスは、「幾つかのメーカーが、ロードカーと同じカタチのクルマでルマンに成功することを望んでいる」と前置きして、ロードカーと似たカタチのトップカテゴリーを導入することを発表した。
 詳細については明かとされなかったが、ロードカーと似たカタチで、現在のLMP1と同じ速さを実現出来るレギュレーションを構想中であることを明かとした。同時に北アメリカのGrandAmプロトタイプについて言及して、「GrandAmプロトタイプよりも、遙かビューティフルである」と言い切った。

 そして、イメージスケッチまで公表したが、そのスタイルは、誰が、どう見ても1997年のニッサンR390にイエローのコルベットのCOMPUWAREのカラーリングを施したクルマにしか見えなかった。たぶん、GMとニッサンがシルエットフォーミュラを要求しているのを、ACOは言いたかったのだろう。

 それ以上、詳しい内容は明らかとされなかったが、2010年のシルエットフォーミュラは、現在のLMP1と完全に入れ替わるものではないらしい。どうやら、2010年以降、両方が混在するようだ。
 しかし、“屋根無し”については、昨年秋に発表した通り、2010年以降禁止する意向だ。去年までのハイブリッドカーがそうだったように、“屋根無し”の場合、2009年までに作られたシャシーだけが2010年以降も参加を認められるらしい。しかし、それが何時までなのか?何も公表されなかった。
 しかし、“屋根無し”については、昨年までのLMP900やLMP675がそうだったように、今後何らかのハンデが課せられることが予想されるため、自然消滅することだろう。

 ダニエル・フェルドリックスは、「今後LMP1クラスは、ラップタイムが3分30秒以上となるよう、速さをコントロールする」と前置きして、2010年に登場するシルエットフォーミュラと“屋根付き”のLMP1が、共に3分30秒以上のラップタイムでサルテサーキットを走ることを強調した。
 このことから見ても、2010年以降シルエットフォーミュラと“屋根付き”のLMP1が混在するのだろう。しかし、現在LMP1に参加している2つのメーカー、プジョーとアウディは、シルエットフォーミュラについて冷ややかで、今後も“屋根付き”のLMP1を開発することを示唆している。

 どうやら、シルエットフォーミュラは、新たなメーカーの参加を期待したACOが構想したようだ。
 GMとニッサンが、ACOに何を要求したのか?判らない。しかし、ACOが要求に応じてレギュレーションまで作り替えようとしている以上、今後、彼らは何らかのアクションを起こすべきだろう。それとも、あの要求は冗談だったとして、不参加宣言を行うのだろうか?

6月6日
Special Edition
LeMans TEST Analysis ポルシェが1-2-3 ポルシェがフェラーリを圧倒した理由

Photo:Sports-Car Racing

 今年のスポーツカーレースの見所の一つは、GT2クラスで繰り広げられているポルシェとフェラーリの闘いだ。フェラーリは昨年登場したF430GT2で、ポルシェは今年登場した997GT3RSRを擁して、カスタマーチームによって、世界規模で熾烈な闘いが繰り広げられている。
 これまで5回行われたALMSと3回行われたFIAGTでは、フェラーリが総てのレースでポルシェに勝った。2回行われているLMSで、第2戦ヴァレンシアの時、ポルシェはフェラーリより先にフィニッシュしただけだった。つまり、9対1のスコアでフェラーリがポルシェに圧勝している。
 昨年のフェラーリの活躍だけでなく、ポルシェが短いホイールベースとRRレイアウトのまま、100kgの重りを積んだ997GT3RSRを開発した時から、今年のフェラーリの強さはある程度予想されていた。にも関わらず、世界中のたくさんのレーシングチームが、7,000万円で投じて997GT3RSRを購入した理由は、唯一ルマンでの活躍が期待できたからだった。

 超高速コースのサルテサーキットで成功するポイントは、より大きなパワーと小さなドラッグだ。
 997GT3RSRは、100kg重い車重によって大きなリストリクターを獲得して、大きなパワーを実現しているだけでなく、ライバル達と比べて前面投影面積が小さいため、つまり基本的にドラッグが小さい。
 そして、もう一つの重要なポイントは、100kg重い1,225kgの車重を選択することによって、1,200kg以上の車重で認められる、それ以下の車重より2インチ太い幅14インチのタイヤを履くことだ。
 もう少し詳しく説明するなら、ロードラッグ=ローダウンフォースを意味する。つまり、ダウンフォースが少ない状態でも、グリップを維持することが、ルマンで成功するポイントだ。
 997GT3RSRは、100kg重い車重によって2インチ太いタイヤを履くことから、ダウンフォースに頼らずに大きなグリップを維持することが可能となっている。
 これらの理由から、ルマンだけはポルシェが有利と考えられていた。

Photo:Sports-Car Racing
 左の写真はテルトルルージュを立ち上がってユノディエールを加速する2台のリシーフェラーリ。右側がミカ・サロが乗り組んだNo.1カーで、ALMSのポイントリーダーカー。左側はトレーシー・クローンとジョイントしたマシン。
 右側の写真は、ダンロップ先のS字カーブでエコッセフェラーリをリードするフライングラザードポルシェ。迫ってくるフェラーリは、この先のテルトルルージュからポルシェに引き離されることとなる。

 6月3日午前9時テストディが開始されると、これまでのレースと違ってポルシェがフェラーリと互角の速さで周回した。午前中No.97リシーとNo.87エコッセの2台のフェラーリとNo.76IMSA MatmutとNo.80フライングラザードの2台のポルシェによって、GT2クラスのトップ争いは行われた。最終的にほんの少しだけ速く走ったNo.87エコッセフェラーリが午前中のトップタイムを記録した。
 午後になると、ポルシェ勢が速く走る方法を見出したため、No.80フライングラザードとNo.93Autorlandoは4分3秒台までタイムを上げて、GT2クラスをリードした。それをミカ・サロが乗り組むNo.97リシーフェラーリが追いかけて、GT2クラスのトップ争いは4分3秒台で行われた。
 午後5時を過ぎると、次々とタイムアタックが行われて、No.76 IMSA Matmutポルシェが圧倒的な4分1秒598を記録して、GT2クラスの闘いに決着をつけた。No.93AutorlandoとNo.80フライングラザードも4分2秒台までタイムを上げたため、ポルシェが1-2-3を独占することとなった。

 ACOはサルテサーキットを、コントロールラインからテルトルルージュ手前までのセクター1、テルトルルージュ手前からインディアナポリス手前までのセクター2、インディアナポリスからコントロールラインまでのセクター3に分けている。セクター1がコーナーリング性能が問われるテクニカル区間、ユノディエールの3つと、ミュルサンヌからインディアナポリスのストレートで構成さえるセクター2がストレート区間、アルナージュからポルシェコーナーまでのストレートと、ハイスピードのポルシェカーブ、メゾンブランシェ、フォードシケインで構成されるセクター3は、ハイスピードテクニカル区間と判断されている。
 No.76IMSA MatmutポルシェとNo.97リシーフェラーリを比較すると、セクター1ではフェラーリの方が0.263秒速い。ところがセクター2ではポルシェの方が0.816秒、セクター3では0.735秒も速い。
 時代錯誤とさえ考えられているRRと短いホイールベースのまま、一時的かもしれないが、ポルシェがルマンで勝つ方法だけに特化して997GT3RSRを作り上げたことは間違いないようだ。

6月5日
SpecialEdition
LeMans TEST Analysis ルマンテストディレポート

Photo:Sports-Car Racing
 ニコラス・ミナシアンのNo.7プジョーの真後ろにアラン・マクニッシュのNo.2アウディがピタリとつけて、しばらくの間お互いの状況を観察しながら走行することとなった。

◆冷戦状態のプジョーとアウディ      午前中はまったく同じ3分30秒605!
 昨日までの低温が嘘のように、日曜日に気温が上昇して、午前9時予定通りテストが始まった。
 今年のルマンは、ディーゼルエンジンが700馬力以上が可能であるのに対して、ガソリンエンジンは、どんなに巧妙に開発したとしても640馬力程度が限界であるため、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの間には、最大で100馬力以上の差があると考えられている。
 ディーゼルエンジンはアウディとプジョーのファクトリーチームだけが使うことから、事実上2つのメーカーが、プライベーチームに邪魔されずに総合優勝争いを行って、そうでないプライベートチームは、プジョーとアウディの次のポジションを争うことが2007年の宿命と考えられている。

 もちろん、プジョーとアウディは互いに牽制し合っており、テストが開始されると、双方のエースカーであるNo.7プジョーとNo.2アウディは、プジョーの真後ろにアウディがつけて走行している。
 最初偶然と思われたが、プジョーの方が速ければ次第にアウディを引き離すだろうし、アウディが速ければ、アウディは何処かでプジョーを抜いてしまうだろう。互いにどのような戦略だったのか?知ることは出来ないが、ライバルのマシンの特徴を探ろうとしたことは間違いないだろう。
 そのため、最初コースが荒れていたこともあって、開始早々RfH童夢S101.5が記録した3分39秒台のトップタイムを、しばらくの間プジョーとアウディは破ることが出来なかった。

 今回アウディとプジョーは共にミシュランタイヤを履くが、ミシュランは、互いに使用するタイヤが、それぞれのマシンに合わせて多少違うことを認めている。しかし、少なくともテストディでは、プジョーとアウディに対して予選タイヤを供給する考えがないことを明かにしていた。
 そのため、多少ライフが短い代わり速く走れるタイヤが存在したかもしれないが、プジョーとアウディが予選タイヤによって急激にタイムアップした訳ではないことは間違いないだろう。

 10時30分頃ポルシェカーブでNo.13クラージュがクラッシュして、マシンを大破させると共に周囲にオイルを撒き散らかしてしまったため、赤旗が提示されて、30分以上走行が中断されることとなった。
 牽制し合っていたプジョーとアウディだったが、走行が再開されると少しずつタイムを上げた。しかし、12時15分頃にはNo.24ノエルデルベローのP2クラスのクラージュがクラッシュして、再び赤旗が提示された。ノエルデルベローの実態は、チームのディレクションだけがノエルデルベローで、ほとんど総てをクラージュに委託して活動している。つまり、たった3時間でクラージュは2台を失ってしまった。
 走行が再開されると、1時までの午前中のセッションの最後で、アウディとプジョーは、まったく同じ3分30秒605を記録して、最初の走行を終了した。

◆よりハイスピードとなったサルテサーキット    No.16ペスカロロの速さの秘密
 現在サルテサーキットを中心として、ルマンでは大々的な工事が行われており、ルマン市内からサーキットまで鉄道が建設されただけでなく、ピットエリアも、1991年に建設されたピットビルディングを除いて、インフィールド部分のほとんどが作り替えられている。レーシングコースの部分は、昨年までにダンロップブリッジ周辺が改修されたが、今年その先のS字カーブも舗装がやり直される一方、続いて現れるテルトルルージュは、いきなりユノディエールに合流するのでなく、斜めに切り取られて、より緩やかなカーブでユノディエールに進入するように改修されている。
 1999年テルトルルージュでは、ブレーキトラブルによってエリック・ヴァンデポールの操るニッサンがクラーシュしている。タイヤバリヤを突き破って、公道部分と隔てていたコンクリートウォールに突き刺さる深刻なクラッシュだったことから、改修が求められていた場所だった。外側が公道であるため、内側方向にコースレイアウトを変更することとなったのだろう。
 しかし、この結果、サルテサーキットはよりハイスピードコースへと変貌している。元々テルトルルージュから第1シケインまでの1つ目ユノディエールストレートは、最も最高速度が速かったが、テルトルルージュが緩やかになったことから、より速い最高速度を記録するものと考えられている。

Photo:Sports-Car Racing

 午後になると、各チームは新サルテサーキットに合わせて、それぞれ自分たちのセットアップを行うようになったため、プジョーとアウディの一部とNo.16ペスカロロだけが3分30秒〜31秒台で、他のチームは、タイヤや空力等、様々なセッティングを試みるのに忙しい。
 ペスカロロは、今年完全に新しいP1カーとしてS01を開発した。しかし、新開発の中心は新しいモノコックで、去年まで走らせたC60ハイブリッドカーのパーツの多くを組み付けることも可能だ。そのため、最初に完成したマシンは、新しいS01のモノコックにC60ハイブリッドカーのミッションと油圧コントロールのパワステ等システムを盛り込んで、ロールセンターへデリバリーされた。完全なS01は、KYB製の電子制御パワステと新しいXトラックのミッションが使われており、3月末に完成した。
 新しいサルテサーキットがよりハイスピードとなるため、いち早くペスカロロは低ドラッグのボディパッケージを開発していた。そのため、ミシュランの予選用タイヤと相まって、素晴らしいラップタイムを記録したと考えられている。しかし、同じスペックであるはずのNo.16とNo.17では、大きく速さが違う。しかも、その速さの違いの多くがユノディエールのストレート区間であることから、不思議な状況と考えられている。もしかしたら、違うエンジンが積まれているのかもしれない。

◆やっと抜け出した童夢
 テストディ直前、いくつかのチームが次々と集中テストを行ったが、これらの駆け込みテストによって、一躍童夢とクリエイションが注目すべき存在としてクローズアップされるようになった。
 完成が遅れたクリエイションは、テストディのたった2週間前5月22日にシェイクダウンテストを行っている。ところが、まったく深刻なトラブル無しで、たった1週間でマシンをまとめ上げてきた。まだ、本格的なセッティングを行う段階ではないようだが、中野信治とジェレミー・キャンベル・ウォルターと中心として、セットアップに余念がない。上位陣ではロールセンターペスカロロと共にたった2台のダンロップタイヤユーザーだが、ダンロップも素晴らしい仕事を行っているようで、したたかに9番手のタイムを記録した。

Photo:Sports-Car Racing

 S101.5の開発に苦労していた童夢は、急遽注目の存在としてクローズアップされている。
 これまでS101.5の弱点だった熱の問題は、これまでの開発によって、ルマンテストでは事実上皆無だった。そのため、順調に周回数を稼いで、これまで行えなかった速さを追求するためのセットアップを次々と進めた。S101.5はストレートスピードよりもコーナーリングとブレーキングにポイントを置いて開発されているため、基本的なセッティングが決まると、優れたコーナーリングとブレーキング性能を維持しながら、よりローダウンフォースとすることがセットアップのテーマとなった。
 夕方タイムアタックを開始すると、直ぐにディーゼルエンジン以外のクラスの2番手に躍り出た。もちろん、トップはNo.16ペスカロロだ。しかし、童夢の直ぐ上にはNo.3アウディが居たため、終了15分前アウディを破るためヤン・ラマースが最後のアタックを試みた。より低ドラッグとするため、ウイングが寝かされ、時間がないため、一旦熱を入れたタイヤが用意され、最後のタイムアタックのためピットを後にしようとした。しかし、運悪く、赤旗が提示され、そのままテストは終了することとなった。

Photo:Sports-Car Racing

 P2クラスは、バラジイプシロンの2台のザイテックが圧倒的な強さを発揮すると思われている。しかし、アキュラが支援をして、エイドリアン・フェルナンデスが乗り組むNo.33の方が速いと思われていた。フェルナンデスとトリオを構成するのが黒沢治樹とロビー・カーとあっては、勝って当たり前とさえ思われていた。ところが、フェルナンデス組の速さは期待通りながら、バラジイプシロン自身が走らせるNo.32が、なかなかの速さを発揮して、2台共同じ3分39秒016のトップタイムを記録した。

Photo:Sports-Car Racing

◆プジョーが取り敢えずトップタイム しかし、余裕があるのはアウディか?

Photo:Sports-Car Racing

 半日の間牽制し合った結果、アウディとプジョーの技術陣は、ほんの少しプジョーの方がストレートスピードが速いと判断したようだ。しかし、それ以外の部分は様々な評価で、ポルシェカーブでプジョーが速いと言う証言もあれば、逆にアウディが速いという証言もある。夕方になると、次々とタイムアタックを行い、最初3分28秒台で繰り広げられた闘いは、No.8プジョーが3分26秒707をマークして終了した。
 プジョーもアウディも、どちらも、本当の力を出し切っているようには思えない。しかし、既に30時間テストを行っているアウディに対して、15時間でエンジンを壊しているプジョーは、本当に24時間レースを走りきるつもりでいるなら、来週行われる2日間の予選は、1日は決勝レースのセッティングに割かなければならない。それに対してアウディは、彼らが望むのであれば、予選に集中することも可能だ。
 あるいは、決勝レースを2008年のテストと割り切って、プジョーは予選で3分24秒台を狙って、ひたすらタイムアタックを行うこととなるのかもしれない。

Photo:Sports-Car Racing
 JLOCランボルギーニは2回目のルマンを経験する。タイサンでGT2で優勝している余郷敦の活躍が期待される。T2M童夢は、マーダーエンジンの不調に苦しめられたが、プロトタイプカーの世界に足を踏み入れた最初の苦労と言うべきだろう。

1 P1@No.8 Team Peugeot Total Peugeot908 P LAMY/ST SARRAZIN/S BOURDAIS 3:26.707
2 P1 No.1 Audi Sport North America AUDI R10 E PIRRO/F BIELA/M WERNER 3:28.277
3 P1 No.2 Audi Sport North America AUDI R10 A McNISH/R CAPELLO/M ROCKENFELLER 3:28.406
4 P1 No.16 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd E COLLARD/JC BOULLION/R DUMAS 3:28.574
5 P1 No.7 Team Peugeot Total Peugeot908 M GENE/N MINASSIAN/J VILLENEUVE 3:30.314
6 P1 No.3 Audi Sport Team Joest AUDI R10 L LUHR/M EKSTROM/A PREMAT 3:30.613
7 P1 No.14 Racing For Holland 童夢S101.5/Judd J LAMMERS/D HART/J BLEEKEMOLEN 3:34.035
8 P1 No.10 Arena Motorsports ZYTEK 07S H SHIMODA/ST JOHANSSON 3:34.340
9 P1 No.9 Creation Autosportif Ltd Creation CA07S/Judd 中野信治/J CAMPBELL-WALTER/F ORTIZ S 3:34.398
10 P1 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd H PRIMAT/CH TINSEAU/B TRELUYER 3:34.941
11 P1 No.5 Swiss Spirit LolaB07-10/AUDI J D DELETRAZ/M FASSLER/I ALEXANDER 3:35.672
12 P1 No.18 Rollcentre Racing Pescarolo S01/Judd J BARBOSA/ST HALL/M SHORT 3:35.896
13 P1 No.15 Charouz Racing Lola-B07-17/Judd A YOONG/ST MÜCKE/J CHAROUZ 3:36.267
14 P1 No.12 Courage Competition CourageLC70/AER  A FREI/J COCHET/B BESSONCOCHET 3:36.373
15 P1 No.19 Chamberlain Synergy LolaB06-10/AER G EVANS/B BERRIDGE/P OWENBERRIDGE 3:36.567
16 P2@No.32 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  J BARAZI/M VERGERS/K OJJEHVERGERS 3:39.016
17 P2 No.33 Barazi Epsilon ZYTEK 07S/2  A FERNANDEZ/H KUROSAWA/R KERR 3:39.016
18 P1 No.13 Courage Competition CourageLC70/AER J M GOUNON/G MOREAU 3:40.520
19 P2 No.40 Quifel ASM Team LolaB05-40/AER M AMARAL/M DE CASTRO/W HUGHESAMARAL 3:40.613
20 P2 No.25 RML LolaB05-40/AER T ERDOS/M NEWTON/A WALLACE 3:41.025
21 P2 No.31 Binnie Motorsports LolaB05-40/ZYTEK  B BINNIE/A TIMPANY/CH BUNCOMBE 3:43.867
22 P2 No.21 Bruichladdich Radical RADICAL SR9/AER  T GREAVES/ST MOSELEY/R LIDDELL 3:43.985
23 P2 No.44 Kruse Motorsport Pescarolo S01/Judd  T BURGESS/J de POURTALES/N.SIEDLER 3:47.145
24 GT1@No.63 Corvette Racing Corvette C6R  J O'CONNELL/J MAGNUSSEN/R FELLOWS 3:49.207
25 P2 No.20 Pierre Bruneau PilbeamMP93/Judd M ROSTAN/G PICKERING/H.MACALLISTER 3:49.418
26 GT1 No.007 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 T ENGE/J HERBERT/P KOX 3:50.848
27 GT1 No.64 Corvette Racing Corvette C6R O BERETTA/O GAVIN/M PAPIS 3:51.628
28 GT1 No.55 Team Oreca Saleen S7R N PROST/S AYARI/N LAPIERRE 3:51.721
29 GT1 No.008 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 C BOUCHUT/F GOLLIN/C ELGAARD 3:51.822
30 P2 No.35 Saulnier Racing CourageLC75/AER B JOUANNY/J NICOLET/A FILHOL 3:52.023
31 GT1 No.100 AMR BMS AstonMartin DBR9 F BABINI/J DAVIES/M MALUCELLI 3:52.028
32 GT1 No.009 Aston Martin Racing AstonMartin DBR9 D BRABHAM/R RYDELL 3:52.170
33 GT1 No.59 Team Modena AstonMartin DBR9 A GARCIA/J MENTEN/CH FITTIPALDI 3:52.295
34 GT1 No.72 Alphand Aventures Corvett C6R J POLICAND/P GOUESLARD 3:52.938
35 GT1 No.70 PSI Experience Corvette C6R D HALLYDAY/C Y GOSSELIN/PH PETER 3:53.527
36 P2 No.24 Noel Del Bello CourrageLC75/AER V PETROV/L HALLIDAY/R IANETTA 3:53.955
37 GT1 No.54 Team Oreca Saleen S7R L GROPPI/N PROST/J P BELLOC 3:54.176
38 GT1 No.73 Alphand Aventures Corvette C5R J L BLANCHEMAIN/V VOSSE/D ANDRE 3:54.625
39 GT1 No.006 AMR Larbre Comp. AstonMartin DBR9 P BORNHAUSER/R BERVILLE/G FISKEN 3:58.935
40 GT1 No.53 JLOC Isao Noritake LAMBORGHINI MURCIELAGO M APICELLA/余郷敦 3:59.355
41 GT1 No.67 Convers Menx Team FERRARI 550 MARANELLO  A VASILIEV/T KOSTKA 4:01.593
42 GT2@No.76 Imsa Performance Porsche997GT3RSR  R NARAC/R LIETZ 4:01.598
43 GT2 No.93 Autorlando Sport Porsche997GT3RSR  L E NIELSEN/A SIMONSEN 4:02.192
44 GT2 No.80 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR J van OVERBEEK/J BERGMEISTER/S NEIMAN 4:02.668
45 GT2 No.97 Risi Competizione FerrariF430GT2  M SALO/J MELO/J.MOWLEM 4:03.422
46 GT2 No.87 Scuderia Ecosse FerrariF430GT2 CH NIARCHOS/A KIRKALDY/T MULLEN 4:04.635
47 GT2 No.81 Team LNT PANOZ ESPERANTE T KIMBER-SMITH/D WATTS/T MILNER 4:06.838
48 GT2 No.99 Risi Competizione Ferrari F430GT2 T KROHN/N JONSSON/C BRAUN 4:07.529
49 GT2 No.82 Team LNT PANOZ ESPERANTE  L TOMLINSON/R DEAN/R BELL 4:08.961
50 GT2 No.86 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER  J JANIS/M HEZEMANS/J KANE 4:09.236
51 GT2 No.71 Seikel Motorsport Porsche997GT3RSR  PH COLLIN/H FELBERMAYR Senior/H FELBERMAYR Junior 4:09.347
52 GT2 No.85 Spyker Squadron SPYKER C8 SPYDER A BELICCHI/A CAFFI/A CHIESA 4:09.904
53 GT2 No.83 GPC Sport FerrariF430GT2 M MARSH/J VILLARROEL/C ROSENBLAD 4:11.629
54 GT2 No.78 AF Corse FerrariF430GT2  J MACARI/B AUCOTT/A.NEWEY 4:13.722
55 P2 No.29 T2M Motorsport 童夢S101.5/Mader R LONGECHAL/山岸大/寺田陽次郎 4:24.078



5月24日
SpecialEdition
FIAGT Rd3 Bucharest Race Report 雨のストリートレースでマセラッティが優勝 GT2はフェラーリ

Photo:FIAGT/DPPI

 ブカレストのストリートサーキットは、ヘルマン・ティルケによってデザインされている。もちろん、近い将来F1GPを誘致する目論みがあるためだが、綺麗な街並みは素晴らしくても、モナコ等と違って、ランオフエリアが存在しないことを除くと、パーマネントサーキットと似たレイアウトとなっている。最近のパーマネントサーキットを、よりストップ&ゴーの性格を強めたコースと言えるかもしれない。

 ブカレストは、何時雨が降り出しても不思議でないような、厚い雲に覆われた日曜日を迎えた。しかし、ブカレスト市民の関心は高く、雨の中69,000人もの大勢の観客が、ストリートサーキットへ詰めかけた。
 スタート直前、雨が降り始めたことから、ウェット宣言が出されて、全てのマシンがレインタイヤを装着してスターティンググリッドに並んだ。視界が悪いことから、セイフティカーランによって走行を開始して、スタート可能と判断した時、スタートが切られることとなった。
 何時までセイフティカーランが続くのか判らなかったが、雨によって、走行距離が短縮されることが予想されたことから、No.5PKカースポートコルベットは、2周目にピットインして、マイク・ヘゼマンズから、雨を得意とするジャン・デニス・デラトレズにドライバーを交代した。
 今年のFIAGTを複雑にしている「2回のピットストップと、1人のドライバーの35分間の最低走行時間」のルールを有効に活かすことを検討した上での選択だった。

 3周目、やっとペースカーが姿を消して本当のレースのスタートが切られた。もちろん、3台のマセラッティを先頭にして1コーナーへ飛び込んでいった。
 コースは滑りやすく、彼方此方でバランスを崩すクルマが続出したが、4周目コンクリートウォールにぶつかった52フェラーリは、コース上にストップしてしまった。
 レースは2台のPlayteamマセラッティが1.3秒の間隔でリードしている。7周目には、早くも最後尾に追いついて、周回遅れにしてしまった。
 GT2クラスは、エマニュエル・コラールのNo.97BMSスクーデリアイタリアポルシェが、ショーン・エドワードのNo.99テック9ポルシェを2.5秒リードしている。

 エマニュエル・コラールはランボルギーニと接触してしまったが、双方ともダメージは少なかった。
 11周目No.21フェラーリF575Mがスピンして、No.36レースアリアンスアストンマーティンとぶつかって、アストンマーティンのノーズが壊れてしまった。そのまま走り続けたアストンマーティンは、結局コンクリートウォールにぶつかって、ホイールを失ってストップしてしまった。
 このアクシデントによって、セイフティカーが出動することとなった。そのため、次々とピットインしてドライバーを交代すると共に、燃料を補給した。カール・ヴェントリンガーのNo.33ジェタリアンスアストンマーティンだけが走り続けて、GT1クラスのトップを維持している。

Photo:FIAGT/DPPI

 7周後18周目にやっとセイフティカーが姿を消してレースが再開された。しかし、その頃、一段と激しく雨が降り始めたため、彼方此方でバランスを崩すクルマが続出している。BMSスクーデリアイタリアアストンマーティンは、タイヤが合わないようで、No.22はスピンしてコンクリートウォールにぶつかってしまい、もう1台のNo.23は、レースリーダーNo.11マセラッティに周回遅れにされようとしている。No.22アストンマーティンは、ピットまで帰ってきたが、リタイヤすることとなった。
 同じ頃、ピットスルーのペナルティを科せられた。No.97は、ピットエンドの信号が赤の時コースインしてしまい、No.99は、4人のメカニックが同時に作業を行って、ピットでの作業違反をとわれた。この2台は、GT2クラスでトップを狙える(たった2台の)ポルシェだったため、GT2クラスはフェラーリ勢が上位を独占することとなった。

 ヴェントリンガーのアストンマーティンは、No.11マセラッティを8秒リードしている。
 既に2度のピットインを行っているランボルギーニ勢は、ラップ遅れにされる際接触してしまった。
 30周目に入ると、再び雨が激しく降り始めた。彼方此方でアクシデントが発生する中、ポールポジションからスタートしたNo.12マセラッティがNo.62フェラーリF430GT2と接触して後退してしまった。No.62フェラーリもホイールにダメージを受けてピットに入ってきた。No.12マセラッティはそのまま走り続けたが、結局コンクリートウォールに接触してストップしてしまった。
 36周目、それまで1度もピットインしないで、レースとリードしていた、カール・ヴェントリンガーのアストンマーティンがピットに入ってきた。レースリーダーはNo.11Playteamマセラッティとなる。
 40周目、順位はNo.11Playteamマセラッティ、No.1ヴィータフォンマセラッティ、No.33ジェタリアンスアストンマーティン、No.2ヴィータフォンマセラッティ、No.5PKカースポートコルベットとなる。しかし、41周目にNo.2ヴィータフォンマセラッティがシケインでスピンしてリアにダメージを受け、45周目になるとNo.5PKカースポートコルベットがコンクリートウォールに接触してストップしてしまった。
 46周目No.1ヴィータフォンマセラッティが2度目のピットインを行うと、No.33ジェタリアンスアストンマーティンが2位に上がるが、トップを走るNo.11Playteamマセラッティとの差は大きく、47周目2度目のピットストップを行ったNo.11Playteamマセラッティは、トップのままレースに復帰した。

 1回目のピットストップを遅らせたNo.33ジェタリアンスアストンマーティンは、レース後半になって、自分達の作戦が失敗だったことに気づいた。彼らは、再び激しく雨が降るか? セイフティカーが出動することを期待していたが、結局何も起こらず、レース終盤66周目2度目のピットストップを行ったため、2位のポジションをNo.7ランボルギーニに譲ることとなってしまった。
 そして72周を走りきってNo.11Playteamマセラッティが優勝した。

FIAGT/DPPI

 GT2クラスは、走っている限り、No.97エマニュエル・コラールのBMSスクーデリアイタリアポルシェ997GT3RSRは、雨の中素晴らしい速さを披露した。しかし、度重なるペナルティによって、No.50AFコルセフェラーリF430GT2が、安定した速さを発揮して優勝した。

Race Result
1 GT1@No.11 Bertolini/Piccini Maserati MC12 2:00:56.811 72laps
2 GT1 No.7 Bouchut/Mucke Lamborghini Murcielago 2:01:36.524 72laps +39.713
3 GT1 No.2 Montanari/Ramos Maserati MC12 2:02:01.420 72laps +1:04.609
4 GT1 No.33 Wendlinger/Sharp Aston Martin DBR9 2:02:16.406 72laps +1:19.595
5 GT1 No.4 Kumpen/Longin Corvette C5R 2:01:56.837 71laps
6 GT2@No.50 Vilander/Muller Ferrari F430GT2 2:02:27.538 71laps
7 GT1 No.1 Gollin/Biagi Maserati MC12 2:01:56.348 70laps
8 GT2 No.97 Collard/Malucelli Porsche 997GT3RSR 2:01:57.556 70laps
9 GT1 No.23 Davies/Babini Aston Martin DBR9 2:00:58.702 69laps
10 GT2 No.66 Lieb/Felbermayr Jr Porsche 996GT3RS 2:01:02.146 69laps
11 G2@No.101 Kuppens/Leinders Gillet Vertigo 2:01:11.914 69laps
12 GT2 No.74 Zani/Busnelli Porsche 997GT3RSR 2:01:12.993 68laps
13 GT2 No.62 Mullen/Kirkaldy Ferrari F430GT2 2:02:16.156 68laps
14 GT1 No.18 Cloet/Vannelet Corvette C5R 2:02:26.323 67laps
15 GT2 No.53 Cressoni/Rugolo Ferrari F430GT2 2:01:14.067 66laps
16 GT1 No.16 MacAri/Aucott Maserati MC12 2:01:55.128 66laps
17 GT2 No.69 Felbermayr Sr/Ried Porsche 996GT3RS 2:01:49.678 63laps
18 GT1 No.15 Kutemann/Waaijenberg Maserati MC12 2:01:26.984 62laps
**以上完走**
--GT2 No.63 Janis/Niarchos Ferrari F430GT2 10:24.220 5 DNF
--GT1 No.21 Kessel/Case Ferrari F575Maranello 17:11.830 9 DNF
--GT1 No.36 Lechner/Lichtner-Hoyer Aston Martin DBR9 17:31.836 10 DNF
--GT1 No.22 Monfardini/Toccacelo Aston Martin DBR9 48:21.626 24 DNF
--GT1 No.12 Pier Guidi/Giannoccaro Maserati MC12 56:33.615 30 DNF
--GT1 No.8 Menten/Kox Lamborghini Murcielago 1:00:32.484 33 DNF
--GT2 No.99 Edwards/MacHitski Porsche 997GT3RSR 1:18:47.311 42 DNF
--GT1 No.5 Hezemans/Deletraz Corvette C6R 1:17:42.895 42 DNF
--GT2 No.52 Ruberti/Mugelli Ferrari F430GT2 7:14.649 3 DNF


5月20日
Special Edition
ALMS Rd5 Utah Grand Prix Race Report ポルシェ連勝 アウディが9秒差の2位

Photo:ALMS

 ソルトレイクシティのミラーモーターパークは、砂漠の真ん中に作られたサーキットであるため、コース上の埃によって、特に走るクルマが少ない予選では大きな影響を受けると考えられている。逆にたくさんのクルマが走行する決勝レースでは、アウディも、大パワーを発揮出来ると考えられていた。特に1コーナーまでと1コーナーから2コーナーまでの2つのストレートで前に出てしまえば、アウディにも大きな成功するチャンスがあると思われていた。

 8番グリッドを獲得したNo.1アウディR10は、タイヤがマッチしてないため、バランスが取れないと判断した。そこで、予選と違うタイヤに履き替えて決勝レースをスタートすることを選択したため、IMSAのルールによって最後尾からスタートすることとなった。他にもNo.4コルベットが、タイヤを交換したため、アウディの後ろの、正真正銘最後尾からスタートすることとなった。
 タイヤは、この2台だけがマッチしてない訳ではなく、ほとんどのチームがコースコンディションとマッチしてなかった。後方グリッドからコースコンディションにマッチしたタイヤを履いてスタートすることを選択するか? それとも、せっかく獲得したスターティングポジションを維持するのか? 悩んだ末、2台だけが、タイヤを交換してスタートすることとなった。

 代わりに8番グリッドを得たNo.2アウディR10に乗り組んだエマニュエレ・ピロは、全神経を集中してスタートした。そして、大きくジャンプアップして、トップで1コーナーへ飛び込んだ。後方では、No.37リチャード・ベリーのクリエイションが、1コーナーで行き場を失ってコースアウトしてストップしてしまった。
 レースリーダーのNo.2アウディの後ろには、一気にポルシェ勢をパスしたNo.26マリノ・フランキティのAGRアキュラがつけている。
 GT2クラスは、トーマス・エンゲのNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリが、ミカ・サロのNo.62リシーフェラーリをリードしている。

Photo:ALMS

 スタート後16分、No.22PTGパノスの右リアホイールが脱落し、ターン16でストップしたため、フルコースコーションが宣言され、セイフテイカーが出動した。
 イエローコーションの間、コースコンディションとタイヤがマッチしてないと判断したチームが次々とピットインしてタイヤを交換した。No.16ダイソンポルシェ、No.6ペンスキーポルシェ、GT2のトップ争いを行っていたNo.62リシーフェラーリもピットインして、4本のタイヤを交換して燃料を補給した。
 そのため、スタート前にタイヤを交換したNo.1アウディR10は、4番手から再スタートする幸運をつかむこととなった。

 再スタートの再、リナンド・カペロのNo.1アウデイR10は、No.20ダイソンポルシェとNo.26AGRアキュラを抜いて2位にジャンプアップした。そのクリス・ダイソンのNo.20ダイソンポルシェは、No.26マリノ・フランキティからポジションを奪い取ろうとするが、失敗してしまった。逆にルイス・ディアスのNo.15ローラアキュラの攻撃に曝され、ターン3で抜かれてしまった。

 ロマ・デュマのNo.7ペンスキーポルシェは、ベン・デブリンのNo.8マツダローラをパスする際、接触してアンダーボディが脱落しかかっている。そのため、ピットウンピットインして、アンダーボディを修理すると共に、タイヤを4本交換して燃料を行ってレースに復帰した。

 アウディが1-2位を走行して、P2クラスはアキュラ勢が1-2-3位を占めている。
 しかし、スタートから1時間後、アキュラ勢のトップを走っていたNo.26AGRアキュラは、ギアボックスを壊してスロー走行でピットレーンに入ってきた。マシンは、ギアボックスを修理するため、ピットからガレージに運ばれていった。

 スタートから1時間、アウディが1-2、3位にNo.15フェルナンデスのローラアキュラ、GT2クラスはNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングがリードする。
 その直後トップを走るNo.2アウディ、そして、No.1アウディ、No.15フェルナンデスのローラアキュラが次々と最初のピットストップを行った。一時的にNo.9ハイクロフトアキュラがリードした後、ハイクロフトがピットに入ると、スタート直後早めにピットストップを行ったNo.6ペンスキーポルシェがリーダーとなる。

 スタートから1時間30分、No.6ペンスキーポルシェが2回目のピットに入ると、アラン・マクニッシュの乗り込むNo.1アウディR10がリーダーとなる。

 GT2クラスも同じように、早めに1回目のピットインを行ったNo.62リシーフェラーリがリードしたが、リシーフェラーリが2回目のピットストップを行うと、No.62ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリがトップに立った。
 その後の闘いに興味が集まっていたが、スタートから2時間、メカニカルトラブルでNo.62リシーフェラーリがストップしたため、No.31ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリが独走した。

Photo:ALMS

 スタートから2時間3分、3位を走行していたNo.9ハイクロフトアキュラは、シフトチェンジが不可能となって、ピットレーンに滑り込んできた。

 No.6ペンスキーポルシェとNo.1アウディR10が、ピットインのタイミングでレースリーダーを分け合っているが、スタートから2時間30分が過ぎる頃、No.1アウディR10が2回目のピットインを終了すると、差は43秒に開いた。

 アラン・マクニッシュは、1周2秒ずつ差を詰めたが、午後7時52分、9.932秒差で、No.6ペンスキーポルシェが最初にチェッカーを受けた。
 GT2クラスは、リシーフェラーリがリタイヤした後、No.31ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリが他を寄せ付けずに優勝した。

1 P2@No.6 Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 66laps
2 P1@No.1 Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi R10 66laps +9.932
3 P2 No.7 Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder 66laps +57.191
4 P2 No.16 Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 66laps +1:28.563
5 P2 No.20 Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 66laps +1:50.637
6 P1 No.2 Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI  66laps +1:57.262
7 P2 No.15 Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 61laps
8 GT1@No.4Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 61laps +9:49.847
9 GT1 No.3 Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 61laps +10:16.397
10 P1 No.37 Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 60laps
11 GT2@No.31 Petersen/WhightLightning Darren Turner/Tomas Enge/Michael Petersen  Ferrari F430GT2 59laps
12 GT2 No.45 Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 58laps
13 GT2 No.71 Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 58laps +10.738
14 GT2 No.61Petersen/WhightLightning Nic Jonsson/Eric Helary Ferrari F430GT2 58laps +12.021
15 GT2 No.48 Corsa Rui Aguas/Steve Pruitt/Maurizio Mediani Ferrari F430GT2 58laps +30.771
16 No.18 Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 58lapas +30.921
17 P1 No.12 AutoCon Michael Lewis/Bryan Willman Creation/CA06H/Judd 58laps +2:18.511
18 GT2 No.44 Flying Lizard Darren Law/Patrick Long Porsche 997GT3RSR 57laps
19 GT2 No.73Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR 57laps +1:33.488
20 GT2 No.54 Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR 55laps
21 P2 No.9 Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 47laps R*ギアボックス
22 P2 No.8 BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 44laps R*メカニカルトラブル
23 GT2 No.62Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 35laps R*メカニカルトラブル
24 GT2 No.21 Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 23laps
25 P2 No.26 AGR Bryan Herta/Marino Franchitti Acura/ARX-01a 20laps R*ギアボックス
26 GT2 No.22 Panoz Team PTG Ross Smith/Scott Maxwell/Bryan Sellers Panoz Esperante GTLM 3laps R*ホイール


5月16日
SpecialEdition
ルマンでシルエットフォーミュラが走る! 
ACOは、それぞれのメーカーの希望に合ったレギュレーションを構想

Photo:Sports-Car Racing

◆シルエットフォーミュラの復活
 3年前までルマンのトップカテゴリーは、“屋根付き”のGTPと“屋根無し”のLMP900の2つに分かれていた。安全性の向上を目指した、いわゆる2004年レギュレーション施行と同時に、ACOはトップカテゴリーをP1(LM-P1)に統一した。P1の最も大きな特徴は、“屋根付き”と“屋根無し”のどちらを選択しても、エンジン出力とタイヤの大きさが同じであることだった。
 ACOが判定したように、どちらを選んでも、速さは変わらなかったが、慎重に検討したコンストラクター達は、レースを走る場合“屋根無し”が有利と判断した。そのため、プジョーが908クーペを作るまで、“屋根付き”は事実上存在しなかった。

 そのため、“屋根付き”を選ぶ理由として、ACOは“屋根付き”を選んだ場合、コクピット内の温度を下げる目的で、エアコンの設置を義務つけた。このレギュレーションは、ピットからスタートした後、5分以内にドライバーのヘルメット部分の温度を30℃以下引き下げることを求めており、エアコンの設置はマストと考えられた。同時にエアコンを取り付けたクルマが不利にならないよう、エアコンの重量分の25kgを総てのクルマに上乗せする一方、エアコンを取り付けたクルマは、エアコンを駆動する出力分として、リストリクターを0.5mm大きくすることも許された。

 “屋根付き”と“屋根無し”と共に、世の中で環境への配慮が大きな関心事なっているため、ヨーロッパで当たり前の存在となっているディーゼルエンジンやハイブリッドシステムの導入を促進した。特にディーゼルエンジンは急務だった。
 “屋根無し”と“屋根付き”の2つのボディを選んで、環境に優しいディーゼルやハイブリッドシステムを導入出来るのであれば、次々とたくさんのメーカーが、ルマンにやって来るとACOは目論んでいた。

 ACOが目論んだように、現在6つのメーカーがルマンのトップカテゴリーをターゲットとして、プロジェクトを推進するか、ACOと話し合いを行っている。
 ところが、それ以外の、あるメーカーから、「ロードカーと同じカタチでなければ、ルマンに参加出来ない」との要望が出された。この要求は、数年前から、毎年ルマンの際、度々出されていたらしい。

 15年前、最初純粋なロードカーだったGT1カーは、5年後には完全なシルエットフォーミュラと化した。しかも、シルエットフォーミュラとしてロードカーの面影を残したクルマは次々と姿を消して、6年後GT1カーはシルエットフォーミュラでなく“屋根付き”のプロトタイプカーへと姿を変えていた。
 この経緯があったため、最初ロードカーのカタチをしたクルマを希望するメーカーとの話し合いは、6月に行われる毎年恒例の茶飲み話の一つに過ぎなかった。

  ところが、昨年秋頃から、ACOはシルエットフォーミュラ構想を本格的に行うようになった。ロードカーと同じカタチで、プロトタイプカーと同じ速さを実現するには、同じ車重だったとしても、1970年代のG5シルエットフォーミュラがそうだったように、より大きな出力を与えなければならない。最低100馬力のアドバンテージがマストであると考えられている。現在P1のディゼルエンジンカーが700馬力以上を発生していることを考えると、新制シルエットフォーミュラレギュレーションの施行に合わせて、プロトタイプカーの出力が引き下げられることが予想されている。
 新制シルエットフォーミュラは、早ければ6月15日に公表されるだろう。

◆新制シルエットフォーミュラはJLMC再生の起爆剤か?
 と言っても、“屋根付き”と“屋根無し”のプロトタイプカーを選べるため、ルマンでは、特定のメーカーが選択するだけであることは明かだ。ところが、ルマンだけでなく、ACOレギュレーションを使うLMS、ALMS、JLMCでも、同じシルエットフォーミュラは走ることが可能となる。

 2008年以降SUPER GTのGT500クラスは、FRセダンによって闘われることが既に決定している。1990年代のJTCCがそうだったように、日本で4ドアセダンのレースが人気を集めるのは容易でない。3つのメーカーが拮抗したレースを実現している間が良いだろうが、そのJTCCが証明したように、熾烈な開発競争が繰り広げられて、拮抗が崩れた場合、撤退するメーカーが現れることは間違いないだろう。

 このような状況にあって、2ドアクーペと4ドアセダンの違いはあっても、同じようなシルエットフォーミュラであるルマンが注目を集めることとなるかもしれない。
 メーカーにとって、主に同じ日本国内で行われる2つのシリーズに参加することは難しい。しかし、同じようなクルマが走るのであれば、考慮する価値もあるだろう。
 第一、ACOに対して「ロードカーと同じカタチ」を要求したのは、日本のあるメーカーのレースを委託されている関係者だ。
 そのメーカーが本当にルマンを構想しているのかは明かではない。単なるエクスキューズとして、希望を述べただけかもしれない。しかし、たった10台で開幕戦を迎えなければならなかったJLMCにとっては、画期的な振興策となる可能性がある。

5月8日
SpecialEdition
LMS Rd2 Silverstone RaceReport
マセラッティ優勝、GT2クラスはフェラーリが連勝

Photo:FIAGT/DPPI

 今週末シルバーストンではFIAGTが、スペインのバレンシアではLMSが行われる。共にヨーロッパを中心として行われていることから、何人かのドライバーは両方のシリーズに参加している。特にランボルギーニに乗り組むステファン・モカがLMSでシュロースローラに、PKカースポーツコルベットに乗り組むジャン・デニス・デラトレスは、スイススピリットのローラアウディを走らせて、2つのシリーズで欠かせない存在と考えられている。シルバーストーンのFIAGTが、たった2時間のスプリントレースであるため、先にシルバーストーンで走って、それから、プライベートジェットでバレンシアに駆けつける作戦を彼らは目論んでいるようだ。

 スタート後先頭で1コーナーに進入したのは、カール・ヴェントリンガーの操るNo.33ジェタリアンスアストンマーティンだった。ポールポジションからスタートしたNo.5PKカースポートコルベットは2番手に続いて、3位争いをNo.1ヴィータフォンマセラッティとNo.23BMSスクーデリアイタリアアストンマーティンが展開している。
 2周目に入ると、No.1ヴィータフォンマセラッティはNo.5PKカースポートコルベットを抜くが、次の周には、No.5コルベットがNo.1マセラッテイとNo.33アストンマーティンを抜いて、レースリーダーに返り咲いた。

 No.5PKカースポートコルベットは、タイヤが暖まってくると、素晴らしいペースで走り始めた。4周目に1分46秒421のファステストラップを記録して、2位争いを繰り広げるアストンマーティンとマセラッテイに、あっという間に3秒の差をつけた。
 No.1マセラッティは、No.33アストンマーティンを攻め続けているが、ストレートスピードの速さを活かして、カール・ヴェントリンガーは逃げ続けている。

 熾烈な闘いはGT2クラスでも行われており、3台のフェラーリF430GT2がテイルtoノーズの闘いを繰り広げている。速いストレートスピードを活かして、一旦はトップに立ったTech9のポルシェ997GT3RSRは、4位までポジションを落としている。

 13周目になって、やっとトーマス・ビアジのNo.1マセラッティは、カール・ヴェントリンガーを攻略して2位を確保した。
 トップグループは、激しい闘いを続けているが、ツーハイと同じように、ランボルギーニ勢は、早くも14周目最初のピットストップを行って、ヴァレンシアに行く予定のステファン・モカが乗り組んだ。もう1台も16周目にピットに入った。

 ランボルギーニの作戦は例外と言うべきだった。しかし、ツーハイで貴重な教訓を得たチームのほとんどは、レースを三等分してピットインを行う予定だった。
 トップグループで最初にピットに入ったのは、3位のポジションを失ったNo.33ジェタリアンスアストンマーティンだった。22周目にはレースリーダーのNo.5PKカースポートコルベットもピットインして、マイク・ヘゼマンズは、こちらもヴァレンシアへ行く予定のジャン・デニス・デラトレスに交代した。
 No.5PKカースポートコルベットと共に、ツーハイでピットインのタイミングに失敗したNo.1ヴィータフォンマセラッティも23周目にピットに入った。そして、トーマス・ビアジに代わってミカ・サロが乗り組んでレースに復帰した。

Photo:FIAGT/DPPI

 最初のピットインが終了して、トップはNo.1ヴィータフォンマセラッティ、2位にNo.5PKカースポートコルベット、3位にはNo.19PSIコルベットが上がってきた。
 GT2クラスはNo.50とNo.51の2台のAFコルセフェラーリF430GT2に続いて、No.99Tech9ポルシェ997GT3RSRが3位を走っている。
 36周目No.7ランボルギーニは早くも2回目のピットインを行い、シルバーストーンでの仕事を終えたステファン・モカはヴァレンシアへ向かった。

Photo:FIAGT/DPPI

 38周目からNo.5PKカースポートコルベットとNo.33ジェタリアンスアストンマーティンは、テイルtoノーズの2位争いを繰り広げて、41周目ストーコーナーでアストンマーティンがコルベットに追突しまった。この争いはアストンマーティンが勝った。
 レースリーダーのNo.1ヴィータフォンマセラッティは、43周目2回目のピットインを行い、ミカ・サロに代わってトーマス・ビアジが乗り組んだ。

 後半になって、2位-3位をPKカースポートの2台のコルベットが占めるようになった。 そして66周を走りきって、No.1ヴィータフォンマセラッティが優勝した。
 GT2クラスは、No.50AFコルセを先頭にトップ3をフェラーリF430GT2が独占した。
 ナイジェル・マンセルが乗り組んだNo.63スクーデリアエコッセフェラーリF430GT2は、GT2クラスの7位でフィニッシュした。

Race Result
1@GT1 No.1 Biagi/Salo Maserati MC12 66Laps 2時間01分27秒020
2 GT1 No.5 Hezemans/Deletraz Corvette C6R 66Laps 2時間01分34秒485
3 GT1 No.4 Kumpen/Longin Corvette C5R 66Laps 2時間02分01秒279
4 GT1 No.33 Wendlinger/Sharp Aston Martin DBR9 66Laps 2時間02分11秒288
5 GT1 No.11 Bertolini/Piccini Maserati MC12 66Laps 2時間02分15秒730
6 GT1 No.2 Ramos/Montanari Maserati MC12 65Laps 2時間01分08秒484
7 GT1 No.23 Davies/Babini Aston Martin DBR9 65Laps 2時間01分41秒760
8 GT1 No.12 Pier Guidi/Giannoccaro Maserati MC12 65Laps 2時間01分42秒021
9 GT1 No.7 Basseng/Mucke Lamborghini Murcielago 65Laps 2時間02分11秒874
10 GT1 No.17 Cocker/Johnson Aston Martin DBR9 65Laps 2時間02分11秒995
11 GT1 No.36 Lechner/Lichtner-Hoyer Aston Martin DBR9 64Laps 2時間01分12秒697
12 GT1 No.22 Monfardini/Toccacelo Aston Martin DBR9 64Laps 2時間01分23秒459
13 GT1 No.19 Peter/Hines Corvette C6R 64Laps 2時間02分10秒823
14@GT2 No.50 Muller/Vilander Ferrari F430GT2 63Laps 2時間01分58秒579
15@GT1 No.18 Cloet/Kuismanen Corvette C5R 62Laps 2時間02分06秒306*Citation Cup
16 GT2 No.52 Ruberti/Pasini Ferrari F430GT2 62Laps 2時間02分11秒680
17 GT2 No.53 Cressoni/Rugolo Ferrari F430GT2 62Laps 2時間02分25秒132
18 GT2 No.97 Malucelli/Collard Porsche 997GT3RSR 62Laps 2時間02分34秒626
19 GT2 No.62 Kirkaldy/Mullen Ferrari F430GT2 62Laps 2時間02分38秒777
20 GT2 No.99 Edwards/MacHitski Porsche 997GT3RSR 62Laps 2時間02分38秒933
21 GT2 No.63 Mansell/Niarchos Ferrari F430GT2 61Laps 2時間01分38秒185
22 GT1 No.16 MacAri/Aucott Maserati MC12 60Laps 2時間02分20秒476
23 GT1 No.15 Kutemann/Waaijenberg Maserati MC12 59Laps 2時間01分20秒928
24 GT1 No.14 Jakubowski/Labhardt Ferrari 550MaranelloGTS 59Laps 2時間02分36秒500
25@G2 No.102 Stepec/Carcon Viper GTSR 58Laps 2時間01分07秒580
以上完走

  GT2 No.51 Bruni/Melo Ferrari F430GT2 44Laps
  GT1 No.21 Kessel/Cattori Ferrari 575M 43Laps
  G2 No.101 Leinders/Kuppens Gillet Vertigo 41Laps
  GT2 No.74 Zani/Busnelli Porsche 997GT3RSR 32Laps
  GT1 No.8 Kox/Menten Lamborghini Murcielago 26Laps


5 月7日
SpecialEdition
LMS Rd2 Valencia RaceReport  プジョー2連勝 プジョー以外のクラスはシュロースローラが優勝


Photo:Peugeot-Media

  2台のプジョー908のリードでレースは始まった。スタートでステファン・サラザンのNo.8が、ポールポジションからスタートしたニコラス・ミナシアンのNo.7を抜いて、トップに立って、そのままレースをリードしている。プジョーは、チーム内で無駄な争いを避けるため、スタート後の1コーナーへ先に進入したマシン優先権を与えている。そのため、モンツァでもヴァレンシアでも、1コーナーでプジョー同士による激しい闘いが繰り広げられた。
 2台のプジョーの後方では、ヴァレンシアらしい異常事態が起こっていた。オープニングラップで総合3位を走ったのは、P2カテゴリーのNo.25RMLローラだった。2周目に入ると、RMLローラを抜き、No.10アレーナザイテックとNo.15シュロースローラが3位争いを繰り広げるようになった。RMLローラが、メカニカルトラブルでピットに入ると、5位にバラジ・イプシロンのP2ザイテックが上がってきた。

 GT1クラスは、スタート後しばらくの間、No.55ORECAサリーン、No.//ラルブルコンペティションアストンマーティン、No.72リュッック・アルファンのコルベットによってトップ争いを繰り広げられた。しかし、次第にORECAとレーシングボックスの2台のサリーンが抜け出した。GT2クラスは、ポールポジションからスタートしたポルシェ997GT3RSRが、常勝フェラーリF430GT2を抑えている。IMSAのストリートレースがそうであるように、決勝レースの場合、軽い車重より、大きなパワーが有利であることを証明するカタチとなっている。

 22周終了後、コース上でライバルと絡んだT2MチームのP2童夢は、点検のためピットに入ってきた。点検だけの予定だったが、オイルラインに不具合が発見されたため、リタイヤを決心した。

Photo:LMS-Media

  2時間を過ぎると、アレーナザイテックがスロットルケーブルを壊してピットで修理にはいったため、プジョー以外のクラスはシュロースローラがリードして、4位にロールセンターペスカロロが上がってきた。5位に予想通り、スイススピリットのNo.5ローラアウディが上がってきて、バラジ・イプシロンのP2ザイテックは総合6位となった。
 GT1クラスはORECAサリーンが圧倒的な速さでリードして、3時間終了時点でライバル達を3ラップも引き離している。
 GT2クラスは、IMSAパフォーマンスのポルシェ997GT3RSRがリードしているが、2位にヴィルゴモータースポーツのフェラーリF430GT2が上がってきた。

 3時間目の出来事は、No.19チェンバレンローラと絡んだNo.14RfH童夢がスピンしてストップしてしまい、エンジンを再スタート出来ないため、レースを諦めたことだった。どうやら、オルタネータートラブルが原因らしい。
 その直後No.12クラージュも、同じように電気系トラブルでリタイヤしている。

 プジョーはペースをコントロールしているようで、2台が大きく離れることもない。しかし、たった4周目に最後尾を周回遅れとする等、80馬力のアドバンテージは圧倒的だ。コース上で無駄な争いをすることは無くても、2台の間で駆け引きは行われている。4時間目にセイフティカーがコースインした際、ピットインのタイミングを誤ったNo.8が、ピットスルーのペナルティを課せられたため、No.7がリードしている。
 160周目になって、トップを走っていたNo.7プジョー908は、クラッチを壊してストップしてしまった。そのため、No.8プジョーがレースリーダーを引き継ぐこととなった。

 5時間目に入ると、プジョー以外のクラスの闘いは3周後方で行われている。No.18ロールセンターペスカロロがリードして、No.15シロースローラが4位、スイススピリットのNo.5ローラアウディが5位を走っている。
 GT1クラスはNo.55ORECAサリーンの独壇場となっている。GT2クラスはトップ3をポルシェが独占している。

 最後の1時間になって、ドラマが起きた。プジョー以外のクラスのトップを走っていたNo.18ロールセンターペスカロロはサスペンションを壊して。ペースダウンしてしまった。総合2位(プジョー以外のクラスの1位)はNo.15シュロースローラ、3位には、シルバーストーンから駆けつけたジャン・デニス・デラトレスが乗り組むスイススピリットのNo.5ローラアウディが上がって、そのまま6時間目を迎えた。

 上位を狙えたP2勢は、総合7位に入ったNo.40ASMローラが最上位だった。GT1クラスはNo.55ORECAサリーン、GT2クラスは、今年初めてポルシェがフェラーリを破って優勝した。

Photo:LMS-Media

 ヴァレンシアのレースは、モンツァ以上にディーゼルエンジンとガソリンエンジンのレギュレーションの不公平さを明かとしてしまった。1ヶ月後のルマンでプジョーとアウディが直接対決して、彼らが満足した後、ガソリンエンジンを使う可哀想なプライベートチームに対して、何らかの優遇処置が与えられるのだろうか?

RaceResult
1@P1 No.8 Team Peugeot Total  LAMY Pedro/SARRAZIN Stephane Peugeot 908 HDi FAP 235Laps
2 P1 No.15 Charouz Racing  CHAROUZ Jan/MUCKE Stefan/YOONG A Lola B07/17 Judd 232Laps
3 P1 No.5 Swiss Spirit  DELETRAZ Jean-Denis/FASSLER Marcel/ALEXANDER Iradj Lola B07/10 Audi 231Laps
4 P1 No.18 Rollcentre Racing  BARBOSA Joao/HALL Stuart/SHORT Martin Pescarolo Judd 230Laps
5 P1 No.16 Pescarolo Sport  BOULLION Jean-Christophe/DUMAS Romain Pescarolo Judd 229Laps
6 P1 No.17 Pescarolo Sport  PRIMAT Harold/TINSEAU Christophe Pescarolo Judd +15.821
7@P2 No.40 Quifel ASM Team AMARAL Miguel/DE CASTRO Miguel Angel/BURGENO Angel Lola B05-40/AER 224Laps
8 P2 No.35 Saulnier Racing  NICOLET Jacques/FILHOL Alain/JOUANNY Bruce Courage LC75/AER 222Laps
9 P2 No.21 Bruichladdich Radical  GREAVES Tim/MOSELEY Stuart/LIDDELL Robin Radical SR9/AER +6.789
10@GT1 No.55 Team Oreca  ORTELLI Stephane/AYARI Soheil Saleen S7R +30.078
11 P2 No.24 Noel Del Bello Racing  PETROV Vitaly/GOUNON Jean-Marc Courage LC75/AER 220Laps
12 GT1 No.61 Racing Box  PERAZZINI Pier Giuseppe/CIOCI Marco/TAVANO Salvatore Saleen S7R 219Laps
13 GT1 No.50 AMR Larbre  BOUCHUT Christophe/GARDEL Gabriel/GOLLIN Fabrizio Aston Martin DBR9 218Laps
14 P1 No.19 Chamberlain Synergy  EVANS Gareth/BERRIDGE Bob/OWEN Peter Lola B06-10/AER 217Laps
15 P2 No.44 Kruse Motorsport  BURGESS Tony/DE POURTALES Jean/SIEDLER Norbert Pescarolo Judd 216Laps
16 P2 No.25 RML  ERDOS Thomas/NEWTON Mike MG Lola EX264(B05-40)/AER 215Laps
17 GT1 No.72 Alphand Aventures  ALPHAND Luc/POLICAND Jerome/GOUESLARD Patrice Corvette C6R 213Laps
18@GT2 No.77 Felbermayr-Proton  LIEB Marc/POMPIDOU Xavier Porsche 997GT3RSR 211Laps
19 GT2 No.96 Virgo Motorsport  BELL Robert/SIMONSEN Allan Ferrari F430GT2 210Laps
20 GT2 No.78 Scuderia Villorba  CAFFI Alex/ZARDO Denny Ferrari F430GT2 +1分00.211
21 GT2 No.90 Farnbacher Racing WERNER Dirck/EHRET Pierre/NIELSEN Lars Erik Porsche 997GT3RSR
+1分02.688
22 P2 No.32 Barazi Epsilon  BARAZI Juan/VERGERS Michael/OJJEH Karim Zytek 07S 209Laps
23 GT2 No.88 Felbermayr-Proton RIED Christian/FELBERMAYR Horst JrGRUBER Thomas Porsche 997GT3RSR 206Laps
24 GT2 No.98 Ice Pol Racing Team  LAMBERT Yves/LEFORT Christian/PALTTALA Markus Ferrari F430GT2 +10.735
25 GT1 No.59 Team Modena  GARCIA Antonio/HALLIDAY Liz/FITTIPALDI Christian Aston Martin DBR9 203Laps
26 GT2 No.97 GPC Sport  DE SIMONE Fabrizio/HERNANDEZ S/BONETTI Alessandro Ferrari F430GT2 201Laps
27 GT2 No.94 Speedy Racing Team BELICCHI Andrea/CHIESA Andrea/KANE Jonny Spyker C8 SpyderGT2R 199Laps
28 GT2 No.99 JMB Racing  BASSO Maurice/McCORMICK Bo Ferrari F430GT2 197Laps
29 GT2 No.85 Spyker Squadron  JANIS Jarek/VAN ES Sander Spyker C8 Spyder GT2R 196Laps
30 GT1 No.51 AMR Larbre  FISKEN Gregor/ZACCHIA Steve/FRANCHI Gregory Aston Martin DBR9 192Laps
31 GT1 No.73 Alphand Aventures BLANCHEMAIN Jean-Luc/DUMEZ Sebastien/ANDRE Didier Corvette C5R 188Laps
32 GT2 No.84 Chad Peninsula Panoz HARTSHORNE John/McINERNEY Sean/McINERNEY Michael Panoz Esperante GTLM +4.836
33 GT2 No.76 Imsa Performance  NARAC Raymond/LIETZ Richard Porsche 997GT3RSR 184Laps
34 GT2 No.92 Thierry Perrier HESNAULT Philippe/SMITH Nigel/BELTOISE Anthony Porsche 997GT3RSR 173Laps
35 P2 No.20 Pierre Bruneau  ROSTAN Marc/BRUNEAU Pierre/PULLAN Simon Pilbeam MP93/Judd 172Laps
36 P1 No.7 Team Peugeot Total  GENE Marc/MINASSIAN Nicolas Peugeot 908 HDi FAP 168Laps
37 GT2 No.83 GPC Sport  DRUDI Luca/ROSA Gabrio/MOWLEM Johnny Ferrari F430GT2 167Laps
38 P2 No.27 Horag Racing  LIENHARD Fredy/THEYS Didier/VAN DE POELE Eric Lola B05-40/Judd 166Laps
39 GT2 No.82 Team LNT  DEAN Richard/MILNER Tom Panoz Esperante GTLM 154Laps
40 P1 No.10 Arena Motorsport  JOHANSSON Stefan/SHIMODA Hayanari Zytek 07S 125Laps
41 P1 No.12 Courage Competition  FREI Alexander/COCHET Jonathan/BESSON Bruno Courage LC70/AER 124Laps
42 P1 No.14 Racing For Holland  LAMMERS Jan/HART David/BLEEKEMOLEN Jeroen 童夢S101.5/Judd 105Laps
43 GT2 No.81 Team LNT  KIMBER-SMITH Tom/WATTS Danny Panoz Esperante GTLM 84Laps
44 P2 No.45 Embassy Racing  HUGHES Warren/CUNNINGHAM Neil Radical SR9/Judd 22Laps
45 P2 No.31 Binnie Motorsports  BINNIE Bill/TIMPANY Allen/BUNCOMBE Chris Lola B05-40/Zytek +7:23.007
46 P2 No.29 T2M Motorsport  LONGECHAL Robin/山岸大 童夢S101.5/Mader +25:36.281

4月23日
Special Edition
ALMS Rd3 ALMS Rd4 Houston GP Race Report 
アウディ連敗 ペンスキーポルシェ2連勝

Photo:ALMS

 ポールポジションからスタートしたデビッド・ブラバムのNo.9ハイクロフトアキュラのリードでレースは始まった。しかし、1周目タイヤが暖まる前、圧倒的なパワーを活かしてアラン・マクニッシュのNo.1アウディR10がトップに立った。
 その後方では、No.9ハイクロフトアキュラ、No.7ペンスキーポルシェ、No.26AGRアキュラが、激しい2位争いを展開しているため、マクニッシュのアウディR10がリードを広げることとなった。

 7周目ターン7で、トレイシー・クローンのNo.61リシーフェラーリはクラッシュしてしまい、ラジエターを壊して、スロー走行でピットを目指した。
 トップグループから遅れが、クリス・ダイソンのNo.20ダイソンポルシェとリイス・ディアスのNo.15フェルナンデスローラ/アキュラは、激しい7位争いを展開した。この争いは48周も続いた。

 38周目マルコ・ヴェルナーの操るNo.2アウディR10は、ターン10でコンクリートウォールに接触してしまった。そのまま走り続けたが、リアサスペンションを壊しており、2周後ピットに入って修理を行なった。そのため7周を失った。

Photo:AUDI AG 1周目のシケイン進入でマクニッシュはアキュラを抜いてトップに立った
 
 49周目にピットインするまで、マクニッシュはトップを走り続けた。マクニッシュからステアリングを交代したリナンド・カペロは、61周目左フロントタイヤをバーストさせてピットに滑り込んできた。3位まで後退してしまった。

 No.9ハイクロフトアキュラは、最初のピットストップの際エンジンが始動せず、90秒間ピットに張り付くこととなった。そのため、No.7ペンスキーポルシェがレースリーダーとなって、ポルシェをNo.26AGRアキュラが激しく攻め立てている。

 バーストによる遅れを取り戻したいカペロだったが、108周目1コーナーでオーバランしてしまい、バックギアに入れてコースに復帰するため、大きく時間をロスしてしまった。これによって、4位のサッシャー・マッセンのNo.6ペンスキーポルシェとの差は12秒に縮まってしまった。

 112周目、遅れていたジム・タッフェルの997GT3RSRがトラブルによってコース上にストップしたため、フルコースコーションとなった。
 ちょうど最後のピットストップのタイミングと重なったことから、ピットロードがオープンとなると、次々とピットに滑り込んできた。

 再スタートによって前に出たマシンが優勝することは明かだった。No.26AGRアキャラの動きを警戒していたNo.7ペンスキーポルシェのティモ・ベルンハルトは、素晴らしいスタートを成功させて、AGRアキュラを押さえてトップのまま1コーナーに進入することに成功した。
 ピットインの際No.6ペンスキーポルシェに先行されてしまったNo.1アウディR10は、再スタートでポルシェを抜いた。そして、リナンド・カペロは、No.26AGRアキュラとNo.7ペンスキーポルシェに接近していった。No.7ペンスキーポルシェ、No.26AGRアキュラ、No.1アウディR10の差はほとんどなく、カペロにインを指されたハータは、行き場を失ってベルンハルトのリアに追突してしまった。

 アウディがコーナーの立ち上がりで大パワーを活かしてパスしようとしても、前を塞がれ、タイトコーナーの連続する区間で、150kg軽いP2カーがアウディを引き離そうとしても、自分に有利なラインのどこかをライバル達が占領していた。
 チェッカードフラッグが降られるまで、3台の激しい闘いは続いた。そして、No.7ペンスキーポルシェが、0.49秒差で優勝した。3位のアウディまでの差はたった1.3秒しかなく、誰が勝っても不思議でないレースだった。

Photo:ALMS

 GT2クラスはフライングラザードポルシェが善戦した。ポルシェは、従来とまったく違う、RRらしからぬ、997GT3RSRの重量配分に合わせて、慎重にサスペンションセッティングを進めており、大きく開発が進んでいることを証明した。しかし、フェラーリF430GT2の速さは、ポルシェの予想を上回っており、6.4秒差で、またしても、リシーフェラーリに優勝をさらわれてしまった。
 ジョゼッペ・リシーにとって最大のライバルであるピーターセンとホワイトライトニングの連合軍は、Stピータースバーグでのクラッシュによって、トーマス・エンゲが復帰してないこともあって、正式にルマンのエントリーを取りやめた。既にACOも不参加を受理している。

1 P2@No.7Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder 146laps
2 P2 No.26AGR Bryan Herta/Marino Franchitti Acura/ARX-01a 146laps
3 P1@No.1Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi AG/R10/TDI 146laps
4 P2 No.6Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 146laps
5 P2 No.9Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 145laps
6 P2 No.20Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 144laps
7 P2 No.16Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 144laps
8 P2 No.15Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 144laps
9 P2 No.8BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 140laps
10 GT1@No.3Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 138laps
11 GT1 No.4Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 138laps
12 P1 No.2Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI 138laps
13 GT2@No.62Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 134laps
14 GT2 No.45Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 134laps
15 GT2 No.71Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 133laps
16 GT2 No.31Petersen/WhightLightning Jarek Janis/Dirk Meuller Ferrari F430GT2 133laps
17 GT2 No.44Flying Lizard Darren Law/Seth Neiman Porsche 997GT3RSR 130laps
18 GT2 No.54Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR 128laps
19 GT2 No.22Panoz Team PTG Ross Smith/Scott Maxwell/Bryan Sellers Panoz Esperante GTLM 127laps
20 GT2 No.18Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 122laps *接触
21 P1 No.37Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 102laps
22 GT2 No.73Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR 98laps
23 GT2 No.61Petersen/WhightLightning Tracy Krohn/Nic Jonsson F430GT2 78laps
24 GT2 No.21Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 60laps *アクスルトラブル


4月19日
Special Edition
ALMS Rd3 ALMS Rd3 Long Beach Race Report
アウディ破れる ポルシェのP2カーが1-2-3位

Photo:ALMS

 2週間前Stピータースバーグで行われたストリートレースでは、明かにポルシェとアキュラのP2カーの方が、アウディのP1カーより速く走ることが可能だった。しかし、巧妙なレース戦略によってアウディが優勝して、次々と失敗を犯したポルシェとアキュラは、アウディに負けてしまった。

 Stピータースバーグのストリートコースは、150kg軽いP2カーに有利であっても、P1カーに成功するチャンスが無いコースではなかった。ところが、ロングビーチのストリートコースは、アウディの重戦車にとって、明かに不利なコースだった。P2カーより150kg重い車重だけでなく、3m近いロングホイールベースによって、2台のアウディR10は、タイトコーナーが連続するロングビーチのストリートコースで苦しい闘いを強いられることとなった。
 第一アウディにとって、ロングビーチは初めて経験するコースだったが、ポルシェやアキュラのP2カーを走らせるチームの多くは、CART時代ロングビーチでレースを行っていたため、セットアップも容易に進めることが可能だった。
 1秒近い予選タイムの差が、それを表していると言っても良いだろう。

Photo:ALMS
ニック・ワースはさらに空力開発を煮詰た。潤沢な予算がなければ不可能な開発だろう。しかし、現在のところ、未だシャシー性能はポルシェが優れているようで、アキュラエンジンの大パワー無しでの活躍は難しい。

 午後4時100分間のスプリントレースのスタートが切られると、ポールポジションからスタートしたブライアン・ハータの操るNo.26AGRアキュラを先頭として、次々に1コーナーに進入した。フロントローからスタートして、AGRアキュラを追い上げていたライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェは、5周目に左リアタイヤをパンクさせてピットに滑り込んできた。
 ブライアン・ハータは素晴らしい速さでレースをリードした。たった5周で2番手のティモ・ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェとの差を5.2秒に広げた。
 Stピータースバーグ同様、スタートでジャンプアップする作戦を試みたアウディR10は、リナンド・カペロのNo.1アウディR10が、No.7ペンスキーポルシェの3秒後方の3番手を走っている。

 スタートから、たった7分後、トム・ミルナーのNo.18レイホール レッターマンポルシェがコンクリートウォールにクラッシュしてリアサスペンションを壊してストップしてしまった。そのため、最初のイエローコーションとなって、ブライアン・ハータの築いたリードは帳消しとなってしまった。
 イエローコーションの間、ピットロードが開けられると、次々とピットストップを行った。一旦エマニュエレ・ピロのNo.2アウディR10が2位に浮上するが、その直後エマニュエレ・ピロは、アウディ潰しとも思われたヘアピンでスピンしてしまい、サイドボディをコンクリートウォールにぶつけてしまった。
 このヘアピンは、アウディにとって鬼門で、少しでもアンダーステアを出して進入すると、曲がり切ることが出来なかった。それ故のアクシデントだった。

Photo:ALMS
3m近いロングホイールベースのアウディR10が苦手とするコースであるのが良く判る

 その直後No.2アウディR10はピットインして、燃料補給とタイヤ4輪を交換すると共に、エマニュエレ・ピロからマルコ・ヴェルナーに交代した。
 アウディがレースに復帰した頃、No.8BKモータースポーツのローラ/マツダが惰性でピットロードに滑り込んできた。ECUが機能を失っていた。

 このイエローコーションを上手く活用して、ポルシェ勢はピットストップを行った。しかし、レースリーダーのNo.26AGRアキュラは、ピットインのタイミングを脱してしまい、そのまま走り続けることとなった。これが勝負の分かれ目だった。
 スタートから65分後No.26AGRアキュラは、予定通りのタイミングでピットインを行ったため、上位はポルシェ勢が占めることとなった。

 フィニッシュ直前、上位陣は、無給油で走り切るのに、ほんの少しだけ燃料が足りなかった。まるで、インディカーのレースのようなショートピットストップが行われた。もちろん、インディカーで鍛えられたペンスキーのメカニック達は、トップのままNo.7ポルシェRSスパイダーをコースに送り出した。
 そして、ポルシェのP2カーが1-2-3位を独占してレースは終了した。

 GT2クラスは、フライング・ラザードのポルシェに前を塞がれたミカ・サロのフェラーリが、なかなかポルシェを抜くことが出来なかった。しかし、ピットストップでポルシェをパスすると、リードを広げて優勝した。

Photo:ALMS

1 P2@No.7Penske Romain Dumas/Timo Bernhard Porsche RS Spyder 74laps
2 P2 No.6Penske Ryan Briscoe/Sascha Maassen Porsche RS Spyder 74laps +0.760
3 P2 No.16Dyson Butch Leitzinger/Andy Wallace Porsche RS Spyder 74laps +13.467
4 P2 No.9Highcroft David Brabham/Stefan Johansson/Duncan Dayton Acura/ARX-01a 74laps +35.111
5 P2 No.20Dyson Guy Smith/ Chris Dyson Porsche RS Spyder 74laps +48.381
6 P2 No.26AGR Bryan Herta/Dario Franchitti Acura/ARX-01a 74laps +59.441
7 P1@No.1Audi Sport North America Allan McNish/Rinaldo Capello Audi AG/R10/TDI 74laps +1分04.304
8 P2 No.15Fernandez Luis Diaz/Adrian Fernandez Lola/B06-43/Acura 73laps
9 P1 No.2Audi Sport North America Marco Werner/Emanuele Pirro Audi AG/R10/TDI  73laps
10 GT1@No.4Corvette Racing Olivier Beretta/Oliver Gavin Corvette C6.R 71laps
11 GT1 No.3Corvette Racing Johnny O`Connell/Jan Magnussen Corvette C6.R 71laps
12 GT2@No.62Risi Competizione Jaime Melo/Mika Salo Ferrari F430GT2 69laps
13 GT2 No.44Flying Lizard Darren Law/Patrick Long Porsche 997GT3RSR 69laps
14 GT2 No.61Petersen/WhightLightning Nic Jonsson/Anthony Lazzaro Ferrari F430GT2 68laps
15 GT2 No.71Tafel Wolf Henzler/Robin Liddell Porsche 997GT3RSR 68laps
16 GT2 No.21Panoz Team PTG Joey Hand/Bill Auberlen Panoz Esperante GTLM 68laps
17 GT2 No.31Petersen/WhightLightning Tim Bergmeister/Dirk Meuller Ferrari F430GT2 68laps
18 P1 No.37Intersport Clint Field/Richard Berry/Jon Field Creation/CA06H/Judd 68laps
19 GT2 No.73Tafel Dominik Farnbacher/Jim Tafel Porsche997GT3RSR 68laps
20 GT2 No.54Team Trans Sport Tim Pappas/Terry Borcheller Porsche997GT3RSR 67laps
21 P1 No.12Autocon Michael Lewis/Chris McMurry Lola/EX257 AER 64laps
22 P2 No.8BK Motorsport Jamie Bach/Ben Devlin Lola/B07-40/Mazda 64laps
23 GT2 No.45Flying Lizard Johannes van Overbeek/Jorg Bergmeister Porsche997GT3RSR 62laps
24 GT2 No.22Panoz Team PTG Ross Smith/Scott Maxwell/Bryan Sellers Panoz Esperante GTLM 33laps*メカニカルトラブル
25 No.18Rahal Letterman Ralf Kelleners/Tom Milner Porsche997GT3RSR 11laps*アクシデント


4月18日
Special Edition LMS Rd1 Monza Race Report
 レギュレーションの正当性に疑問を投じたレース

Photo:Sports-Car Racing

 現在のACOレギュレーションは、メーカーが参加し易いよう、メーカーと同じ目線で構想されている。ヨーロッパのメーカーにとって最大の関心事とは、生産台数の過半数を占めるディーゼルエンジンによって、ルマンを制することだ。そのため、ACOは、ガソリンエンジンと比べると、大幅に優遇したレギュレーションをディーゼルエンジンに対して与えている。
 LMP1の場合、ガソリンエンジンがせいぜい640馬力に過ぎないのに対して、ディーゼルエンジンは、理論上850馬力を許容するリストリクターの使用が許されている。しかし、現在の技術では、1気筒あたり60馬力程度が限界と考えられているため、最大気筒数の12気筒であっても720馬力程度と考えられている。
 つまり、最良のディーゼルエンジンであれば、総てのガソリンエンジンに対して80馬力のアドバンテージを得ることが可能だ。
*注:Sports-Car Racing Vol.16とVol.17を参照してください

 3月末にポールリカールで行われた公式テストでも、プジョーの908クーペに搭載される5.5リットル100度V12ディーゼルターボエンジンは、とても700馬力も発生しているようには見受けられなかった。この考えは、2007年LMS開幕戦モンツァのレースウィークが始まっても変わらなかった。
 ところが、土曜日の午後に行われた予選になると、2台のプジョー908は、それまでとは、まったく別のクルマのように、圧倒的な加速力で童夢やペスカロロを引き離した。最終コーナーのパラボリカでプジョーの真後ろに接近したヤン・ラマースの童夢は、ホームストレートに入ると同時にあっという間に引き離されてしまった。

 これだけ圧倒的なパワーを持ちながら、これまで披露したなかった理由は、信頼性に問題があると考えられたため、決勝レースでは、ペスカロロや童夢にもチャンスがあると考えられていた。

 決勝レースがスタートされると、2台のプジョー908クーペが、競り合いながら第1シケインに飛び込んできた。写真でも明かなように、2台の908クーペはサイドbyサイドで第1シケインをクリアしていった。
 その後ろは団子状態で、ステファン・モカのシュロースローラ、No.16ペスカロロ、(去年と見違える速さの)2台のクラージュ、ヤン・ラマースの童夢S101.5、No.17ペスカロロが、激しい先陣争いを展開している。
 次第にシュロースローラとジャン・マルク・グーノンのクラージュが集団から抜け出して3位争いを展開して、No.16ペスカロロ、No.12クラージュ、RfH童夢S101.5、No.17ペスカロロが5位争いを繰り広げた。ペースは童夢やペスカロロの方が明かに速いが、ストレートスピードの速さでクラージュが童夢を抑えている。

 P2クラスはASMローラが一歩抜けだしている。GT1クラスは、ポールポジションからスタートしたORECAサリーンを抜いてリュック・アルファンのコルベットがトップで第1シケインに進入してきた。しかし、背後からORECAサリーンが激しく攻め立てているため、順位が入れ替わる可能性も高い。
 GT2クラスは、ビッグレースで初めてポールポジションを獲得したポルシェ997GT3RSRが先頭を走っているが、トップ2台だけがポルシェで、その背後には4台のフェラーリF430GT2が追走している。

 18周目ラルブルコンペティションのNo.51アストンマーティンの左リアホイールが脱落してしまった。コース上にマシンがストップしたため、このアクシデントをきっかけとして、コース上は大混乱に陥った。そのため21周から25周にかけてセイフティカーがコースインした。
 ところが、ピットロードが閉鎖されなかったため、次々とピットに入るクルマが続出して、セイフティカーはトップのプジョーの前に出られなかった。そのため、2台のプジョーが、まるまる1周得することとなった。

 レースが再開されると、2台のプジョーは、ガソリンエンジンカーより、1周2秒も速いラップタイムで引き離しにかかった。

Photo:Sports-Car Racing

 その頃、ヤン・ラマースの童夢は、やっとクラージュを抜くことに成功した。続いて、長い間競り合っていたシュロースローラとグーノンのクラージュが第1シケインで絡んでしまい、共にスピンしてしまった。その横をNo.16ペスカロロとラマースのRfH童夢がすり抜けていった。
 このアクシデントは、クラージュがローラに追突したように見えた。しかし、ステファン・モカとジャン・マルク・グーノンは、それ以前から何度も接触しており、互いのラフプレイの結果だったようだ。このアクシデントをきっかけとして、シュロースローラは脱落してしまった。

Photo:Sports-Car Racing


 セイフティカーランが長かったため、走行を続けたチームは、最初のスティントを多めに周回している。しかし、童夢やペスカロロのガソリンエンジンカーとまったく同じ30周目にプジョーもピットに入ってきた。
 リストリクターは大きいままでも、10%大きな熱価を理由として、今年ディーゼルエンジンカーは10%小さい81リットルの燃料タンクを義務つけられている。そのため、もし、プジョーが童夢やペスカロロより先にピットに入るのであれば、ガソリンエンジンカーにもチャンスがあると考えられていた。残念ながら、その期待は消えることとなった。

 最初のピットイン後、RfH童夢は、直ぐにピットに入ってきた。ラマースはスローパンクチャーを訴えているが、原因はタイヤかすを拾ったことのようで、なかなかペースを上げられない。
 そうこうしている内に、ラマースはGT2クラスのフェラーリと接触して、ステアリングのナックルアームを壊してしまった。このアクシデントによって、RfH童夢は4位から脱落することとなった。

 圧倒的と思われたプジョーもピット作業のミスが多く、ピット作業が長びく状況となっている。どういう訳か、左側のドアの閉め忘れを繰り返している。
 また、No.8は、心配されたトランスミッションのトラブルによって、ピットに張り付くこととなった。どうやら、ミッション本体ではなく、パドルシフトを含むシフトリンケージの問題らしく、レースに復帰することに成功した。

Photo:Sports-Car Racing


 そのため、淡々と走り続けたNo.16ペスカロロが2位に上がって、それをNo.8プジョーが、1周2秒ずつ追い上げる展開となった。
 60才を過ぎ、昨年秋身体を壊したアンリ・ペスカロロだったが、耐火スーツに身を包んで、最後までサインガードでチームの指揮を取り続けた。そして、2位のままNo.16ペスカロロは、フィニッシュすることに成功した。
 しかし、ペスカロロチームの誰にも笑顔は見られなかった。

 ASMが脱落した結果、P2はホルガローラが優勝した。金曜日ピット作業のミスで4人のメカニックが火傷を負ったリュック・アルファンは、参加そのものが危ぶまれていたが、素晴らしい速さで、ORECAが脱落した後GT1クラスを独走した。
 GT2クラスは、またしてもポルシェは勝てなかった。序盤の混乱が治まると、GTCフェラーリがトップを奪って、中盤以降3台のフェラーリがトップ争いを繰り広げて、最終ラップまで同一周回の闘いを展開していた。

 80馬力もアドバンテージがあって、しかも、それを潤沢な予算を持つファクトリーチームが使うのであれば、走る前から結果は明かだろう。
 とても公正なルールとは思えない。
 このような変則ルールが許されるのは、ディーゼルエンジンのチャレンジャーが姿を現す、最初の段階だけであって、2年目にも、このような不公平なレギュレーションが運用されているのは、明かに間違っている。

 ガソリンエンジンカーの多くが決勝レースにポイントを置いたのに対して、予選で真っ向からプジョーにポールポジション争いを挑んだシュロースローラ、そして、不公平を理解しながら、苦しいレースを行ったペスカロロの努力を称えたい。

1 P1@No.7 Team Peugeot Total  GENE Marc/MINASSIAN Nicolas  Peugeot 908 Hdi FAP 173laps 
2 P1 No.16 Pescarolo Sport  COLLARD Emmanuel/BOULLIONJean-Christophe  Pescarolo Judd 172Laps
3 P1 No.8 Team Peugeot Total  LAMY Pedro/SARRAZIN Stephane  Peugeot 908 Hdi FAP 171Laps
4 P1 No.17 Pescarolo Sport  PRIMAT Harold/TINSEAU Christophe Pescarolo Judd 170Laps
5 P1 No.13 Courage Competition  GOUNON Jean-Marc/MOREAU Guillaume Courage LC70 AER 168Laps
6 P2@No.27 Horag Racing  LIENHARD Fredy/THEYS Didier/VAN DE POELE Eric Lola B05/40 Judd 165Laps
7 P1 No.18 Rollcentre Racing  BARBOSA Joao/KEEN Phil/HALL Stuart  Pescarolo Judd 163Laps
8 P2 No.25 RML  ERDOS Thomas/NEWTON Mike  MG Lola EX264 AER 161Laps
9 GT1@No.72 Alphand Aventures  ALPHAND Luc/POLICAND Jerome/GOUESLARD Patrice  Corvette C6.R 160Laps
10 GT1 No.50 Aston Martin Larbre  BOUCHUT Christophe/GARDEL Gabriel/GOLLIN Fabrizio  Aston Martin DBR9 159Laps
11 GT1 No.73 Alphand Aventures  BLANCHEMAIN Jean-Luc/DUMEZ Sebastien/VOSSE Vincent  Corvette C5-R 159Laps +51.629
12 GT1 No.59 Team Modena  GARCIA Antonio/HALLIDAY Liz  Aston Martin DBR9  158Laps
13 GT1 No.61 Racing Box  PERAZZINI Pier Giuseppe/CIOCI Marco/TAVANO Salvatore  Saleen S7-R  155Laps
14 GT2@No.97 GPC Sport  DE SIMONE Fabrizio/HERNANDEZ Sergio/BONETTI Alessandro  Ferrari F430 GT2 154Laps
15 GT2 No.78 Scuderia Villorba  CAFFI Alex/ZARDO Denny  Ferrari F430 GT2 154Laps +19.258
16 GT2 No.96 Virgo Motorsport  BELL Robert/SIMONSEN Allan  Ferrari F430 GT2 154Laps +1:03.586
17 GT2 No.81 Team LNT  KIMBER-SMITH Tom/WATTS Danny  Panoz Esperante GTLM  153Laps
18 GT2 No.83 GPC Sport  DRUDI Luca/ROSA Gabrio/MOWLEM Johnny Ferrari F430 GT 2  152Laps
19 GT2 No.76 Imsa Performance  NARAC Raymond/LIETZ Richard  Porsche 997 GT3 RSR 152Laps +23.551
20 GT2 No.94 Speedy Racing Team  BELICCHI Andrea/CHIESA Andrea/KANE Jonny  Spyker C8 Spyder GT2R 151Laps
21 GT2 No.77 Felbermayr Proton  LIEB Marc/POMPIDOU Xavier  Porsche 997 GT3 RSR 151Laps +7.816
22 P1 No.12 Courage Competition  FREI Alexander/COCHET Jonathan  Courage LC70 AER  150Laps
23 P2 No.31 Binnie Motorsports  BINNIE Bill/TIMPANY Allen/BUNCOMBE Chris Lola B05/40 Zytek 150Laps +13.320
24 GT2 No.92 Thierry Perrier  HESNAULT Philippe/SMITH Nigel/BELTOISE Anthony  Porsche 997 GT3 RSR  149Laps
25 P1 No.14 Racing For Holland  LAMMERS Jan/HART David/BLEEKEMOLEN Jeroen  Dome S101.5 Judd  146Laps
26 GT2 No.90 Farnbacher Racing  WERNER Dirck/EHRET Pierre/NIELSEN Lars Erik  Porsche 997 GT3 RSR  144Laps
27 P2 No.35 Saulnier Racing  NICOLET Jacques/FILHOL Alain/JOUANNY Bruce  Courage LC75 AER  143Laps
28 GT2 No.79 Felbermayr Proton  FELBERMAYR Horst Sr/RIED Gerold/COLLIN Philip  Porsche 996 GT3 RSR 143Laps +14.855
29 P2 No.44 Kruse Motorsport  BURGESS Tony/DE POURTALES Jean/SIEDLER Norbert  Pescarolo Judd  139Laps
30 P1 No.15 Charouz Racing  CHAROUZ Jan/MUCKE Stefan Lola B07/17 Judd 138Laps
31 GT2 No.84 Chad Peninsula Panoz  HARTSHORNE John/McINERMEY Sean/McINERNEY Michael  Panoz Esperante GTLM 134Laps
32 GT2 No.99 JMB Racing  BASSO Maurice/McCORMICK Bo/DAOUDI Stephane Ferrari F430 GT2  133Laps
33 P2 No.20 Pierre Bruneau  ROSTAN Marc/BRUNEAU Pierre/PULLAN Simon Pilbeam MP93 Judd  133Laps +52:04.160
**以上完走
 
34 GT2 No.85 Spyker Squadron  KOX Peter/JANIS Jarek Spyker C8 Spyder GT2R 125Laps
35 P1 No.19 Chamberlain Synergy  EVANS Gareth/BERRIDGE Bob/OWEN Peter Lola B06/10 AER  123Laps
36 GT2 No.88 Felbermayr Proton  RIED Christian/FELBERMAYR Horst Jr/GRUBER Thomas  Porsche 997 GT3 RSR  94Laps
37 P2 No.40 Quifel ASM Team  AMARAL Miguel/DE CASTRO Miguel Angel/BURGENO Angel  Lola B05/40 AER  90Laps
38 P1 No.3 Scuderia Lavaggi  LAVAGGI Giovanni/PUGLISI Marcello  Lavaggi LS01 Ford  57Laps
39 GT1 No.55 Team Oreca  ORTELLI Stephane/AYARI Soheil Saleen S7-R LMGT1 52Laps
40 P2 No.45 Embassy Racing  HUGHES Warren/CUNNINGHAM Neil Radical SR9 Judd  49Laps
41 GT2 No.95 James Watt Automotive  DANIELS Paul/COX Dave/CAMATIAS Joel  Porsche 997 GT3 RSR  45Laps
42 GT2 No.82 Team LNT  LASSERRE Lucas/DEAN Richard Panoz Esperante GTLM 38Laps
43 GT2 No.89 Markland Racing  THIIM Kurt/THYRRING Thorkild/SORENSEN Henrik Moller  Corvette C6 Z06  29Laps
44 GT2 No.98 Ice Pol Racing Team  LAMBERT Yves/LEFORT Christian/BOUVY Frederic  Ferrari F430 GT2 25Laps
45 GT1 No.51 Aston Martin Larbre  FISKEN Gregor/ZACCHIA Steve/FRANCHI Gregory  Aston Martin DBR9 17Laps
46 P2 No.21 Bruichladdich Radical  GREAVES Tim/MOSELEY Stuart Radical SR9 AER 3Laps

4月4日
Special Edition
なぜ、アウディはALMS参戦継続を決定したのか?

Photo:AUDI AG

◆アウディは負ける予定だった
 2007年のACOレギュレーションは、ディーゼルエンジンカーに対して10%少ない81リットルの燃料タンクを義務付けている。この理由は、ガソリンと比べてディーゼルの方が10%大きなエネルギーを持っているためだった。その結果、アウディとプジョーは81リットルタンクを使用することとなった。
 実際はどうなのか?と言うと、昨年のルマンで、アウディR10は、1スティントあたり、トップ争いを行ったペスカロロや童夢より1周程度多い13〜14周走行している。
 ACOが10%小さい燃料タンクを義務付けた理由は、周回数を整えることであるのが判るだろう。
 そのため、2007年のルマンは、燃費よりも、本当の速さと信頼性がポイントとなると思われていた。

 2006年までのP2クラスは、理論上P1カーと同じ速さで走ることも可能だった。しかし、P1とP2の格付けを明確にするため、ACOは2007年のレギュレーションで、P2カーのリストリクターを5%小さくすること決定していた。つまり、もう少し頑張れば、P1を破れるかもしれなかったP2カーは、2007年のスポーツカーレースで、クラス優勝争いを行うことだけが義務付けられていた。

 繁栄を極めるヨーロッパと違って、北アメリカのALMSは、P1クラスは、ほとんどアウディのワークスチームだけで、P2クラスにポルシェやアキュラの有力エントラントが集中してしまった。
 そこで、ALMSを運営するIMSAは、P2カーに対して、昨年と同じ大きさのリストリクターを与えて、P1クラスのアウディと総合優勝争いをさせようと目論んだ。
 ところが、アウディのディゼルエンジンカーは、完全に2007年のレギュレーションが適用されて、10%小さい81リットルの燃料タンクが義務付けられたままだった。

 ルマンのサルテサーキットは、1周13.65kmであるから、通常のサーキットで換算すると2.7周程度に相当する。ALMS開幕戦が行われたセブリングの場合、1周5.92kmであるから、サルテサーキットのセブリングの2.3倍の長さだ。大雑把に計算すると、アウディR10は、ペスカロロや童夢よりも、セブリングで6周余分に走行可能と考えられる。

 ところが、ペスカロロや童夢は、アウディと同じ車重のP1カーだ。
  P2カーは、出力が約150馬力小さく、車重が150kg軽いため、同じ燃料タンクのガソリンエンジンのP1カーよりも、サルテサーキットで1〜2周、セブリングで8〜9周程度多く走ることが可能だった。
 アウディのディーゼルエンジンカーに当てはめると、昨年までの状態であっても、セブリングで2周程度P2カーより少ない周回数しか走れない。
 2007年に10%少ない81リットルの燃料タンクを義務付けられた場合、アウディのディーゼンルエンジンカーは、P2カーよりも5周程度早くピットに入らなければならない。

 速さがほとんの同じで、5周も燃費に差があるのであれば、勝つ可能性が大きく阻害されてしまう。
 第一、格下のP2カーにやっと勝つか、場合によっては負けるのであれば、イメージダウンとなる。
 2月にIMSAがレギュレーション変更をアナウンスした時、直ぐにアウディスポーツのウルフガング・ウルリッヒが、ALMSからの撤退を含めた反対声明を公表するに至った理由はここにあった。

◆IMSAは眠っていた虎を起こしてしまった
 反対声明を発表する一方で、アウディスポーツでは慎重にシュミレーションが行われていた。その後、R8時代の終盤のように、さらに一歩進めたギリギリのシュミレーションが行われた。
 登場したばかりのR10は、重く巨大な5.5リットル90度V12ディーゼルターボエンジンを搭載することを優先して開発されたことから、より速く、より高効率を突き詰めたデザインではなかった。
 R10を走らせるレーシングチームも、最良の効率を追求するよりも、最新技術の満干全席であるR10を確実に走らせることを優先してレースオペレーションを行っていた。
 2006年の場合、P1クラスのファクトリーチームはアウディだけでったことから、大きなアドバンテージがあると判断されたため、このような状況が許されたのだろう。

 しかし、慎重なシュミレーションの結果、まだ、やり残している部分を数多く見出したと言う。
 そうして、しばらく行われなかった突き詰めた開発とレースオペレーションの実施が決定された。

 最初のレースとなったALMS開幕戦セブリング12時間に向けて、アウディは暑く湿度の高いセブリング用のボディとエンジンを用意した。エンジンの詳しい内容は公表されなかったが、より高効率を目指して、突き詰めた開発が施されていたのだろう。ボディの方は、本来の2007年バージョンと違って、2006年バージョンと同じように、ラジエターを通過した後の熱い空気を逃がすため、サイドボディに大きなスリットが数多く設けられていた。

 決勝レースでは、スタートからしばらくの間、アウディのディーゼルエンジンカーは、ポルシェやアキュラのP2カーより5周も早くピットに入った。このまま互いにトラブルが無いのであれば、何時間か後には、ポルシェのP2カーがアウディのディーゼルエンジンカーをばん回するハズだった。
  ところが、ポルシェは電圧の不具合によって、次々とコンピューターにトラブルを抱えて、パドルシフトシステムが正常に作動しない状況に陥ってしまった。
 その結果、アウディはアキュラのP2カーと兎と亀の闘いを繰り広げたが、アキュラはポルシェほどの速さでなかったため、アウディのディーゼルエンジンカーが優勝した。

 セブリング12時間によって、アウディは様々なデータを獲得した。特にエンジンは、より良い効率で運転することが可能と判断された。しかし、No.1のR10がスターターモーターを壊して、交換するためピットに張り付いていた。その原因の追及を優先すべきとの意見もあったようだ。
 詳しい説明は無いものの、たった5,000回転で運転されるディーゼルエンジンであるため、その原因が振動とは考え難く、常識的には熱が原因と判断すべきだろう。
 しかし、より高効率で運転するのであれば、特にディーゼルエンジンは、大きな熱を発生すると考えるべきで、その熱を逃がさないことが高効率のポイントの1つと判断しても間違いないだろう。
 判断が分かれるところだろうが、3月27日アウディスポーツは、ALMS参戦継続を決定した。

 そして先週末、Stピータースバーグで行われたストリートレースへR10は挑戦した。予想通り、ポルシェのP2カーの方が、アウディのディーセルエンジンカーより速く走った。
 アウディスポーツは、マルコ・ヴェルナーとエマニュエレ・ピロの乗るNo.2によって、最良の燃費を追求する計画だった。逆にアラン・マクニッシュとリナンド・カペロが乗るNo.1は、徹底的に速さを追求していた。少しでも大きなパワーを絞り出し、ドライバーは常に全開で走行することが求められた。

 決勝レースになると、アラン・マクニッシュは、スタートでポルシェのP2カーと接触しながら抜いてしまい、ペナルティを課せられてしまうが、ペナルティのピットストップからレースに復帰すると、ポルシェを上回るペースで走り回って、レースリーダーに返り咲いた。
 もう1台のマルコ・ヴェルナーの乗り組んだNo.2は、最良の燃費を追求すると共に、燃料タンクの最後の一滴の燃料まで使って走行していた。
 アウディスポーツにとっても予想外だったかもしれないが、ストリートレース故彼方此方でアクシデントが発生したため、ライバルのポルシェとアキュラのP2カーは、次々と予定よりも早くピットに入ってしまった。そのため、最後の一滴の燃料を使うことを目的として、ピットインを遅らせたNo.2 R10が一時的にレースリーダーとなってしまった。

 No.2 R10が最後の一滴の燃料を使い切ってピットに入ると、代わってレースリーダーとなったのは、全開で走り続けるNo.1 R10だった。
 どうやら、IMSAは、眠っていた虎を起こしてしまったようだ。

Photo:AUDI AG


4月1日
Special Edition
2007 ALMS Rd2 St Petersburg Race Report  アウディがストリートレースでポルシェに勝った

Photo:AUDI AG
 明らかに150kg軽いP2カーの方が、速く走ることが可能だった。にも関わらず、アウディはP2カーを破ってストリートレースを制覇した。

◆スタートでアウディとポルシェが脱落
 決勝レースは午後5時から行われた。
 抜き難く、逆に前に出てしまえば抜かれ難いストリートコースの性格を考えると、スタートで前に出てしまうことが、有利でレースを進める条件となる。
 2列目3番グリッドからスタートしたアラン・マクニッシュは、このことを最優先にしてスタートしようとしていた。逆にポールポジションのロマ・デュマは、後ろのアラン・マクニッシュのアウディに最大の注意をしながら、スタートを迎えようとしていた。

 午後5時9分グリーンフラッグが振られた。ロマ・デュマのNo.7ペンスキーポルシェを先頭にして、綺麗にローリングスタートが切られると思われた。しかし、ロマ・デュマとアラン・マクニッシュは、巧妙に駆け引きを行っていた。巧妙な駆け引きの末スターティングラインを通過する前に、112kgmの大トルクを活かしてアラン・マクニッシュのNo.1アウディR10は、ロマ・デュマのNo.7ポルシェを接触しながら抜いて前に出てしまった。

Photo:ALMS
 マクニッシュとデュマの駆け引きによって、スターティングラインを通過する前マクニッシュはデュマを抜いてしまった。右上にアウディと接触したペンスキーポルシェから脱落したパーツが飛んでいるのに注意。

 アラン・マクニッシュのNo.1アウディR10を先頭にして1コーナーへ進入するが、もちろん、直ぐにペナルティの指示が出されて、マクニッシュはピットに入ってきた。
 駆け引きに成功したロマ・デュマも、接触によって、ターン4から右リアタイヤの空気圧を失って、ピットに入ることとなった。

 先頭争いを行う2台が脱落したため、2番グリッドからスタートしたライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェがトップとなると思われた。しかし、ブリスコーのペースは上がらず、マリノ・フランキティのNo.26AGRアキュラがレースリーダーとなった。

 マリノ・フランキティは圧倒的に有利と思われた。しかし、ターン8で左サイドからタイヤバリアにクラッシュしてしまい、リアウイングに損傷を受けてしまった。
 マリノ・フランキティは、No.2アウディR10にブロックされたためのアクシデントによってダメージを受けたと、IMSAに報告している。

 その頃ライアン・ブリスコーの乗り組むNo.6ペンスキーポルシェは、オーバーヒートの兆候を示してペースが上がらなかった。テレメトリーによって症状を確認したポルシェのエンジニア達が、慎重に対策を探っていた。

◆自力でマクニッシュのアウディR10がトップに返り咲く
 ジャンプスタートによるペナルティによって、アラン・マクニッシュのNo.1アウディR10は一旦10位まで後退してしまったが、この日のマクニッシュは、素晴らし集中力で次々と順位をばん回しつつあった。たった15分後にはマルコ・ヴェルナーの操るNo.2アウディR10を抜いて5位まで進出して、その5分後には、ペースの上がらないライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェとマリノ・フランキティのNo.26AGRアキュラを抜いてトップに躍り出た。

 GT2クラスは、大パワーを活かして、スタートでNo.71Tafelポルシェがトップに立つが、No.31ピーターセン/ホワイトライトニングとNo.62リシーのフェラーリが迫っていた。

 No.1アウディR10が最初のピットストップを行った際、No.26AGRアキュラがトップに立つ。しかし、その直後、マリノ・フランキティはターン10でタイヤバリアに接触してしまった。そのため、あっけなくアラン・マクニッシュのNo.1アウディR10が再びレースリーダーの座を取り戻した。

 ライアン・ブリスコーのNo.6ペンスキーポルシェは、まだオーバーヒートを解決出来ずにペースが上がらず、P2クラスのトップはルイス・ディアスのNo.15フェルナンデスローラ/アキュラとなった。

 スタートから1時間が過ぎようとする午後6時、No.3コルベットは、ドライブシャフトを壊してターン3とターン4の間でストップしてしまった。これによって、たった2台のGT1クラスは、もう1台のNo.4コルベットだけとなってしまった。

 そろそろ辺りは暗くなり始めており、コース上では彼方此方でマシンが接触して、たくさんのクルマがペナルティを受け、2度目のイエローコーションが提示された。

 レースが再開されると、アラン・マクニッシュのNo.1アウディR10がトップ、2位をルイス・ディアスのNo.15フェルナンデスローラ/アキュラが走る。しかし、直ぐにNo.1アウディR10は2度目のピットストップを行って、タイヤ交換、燃料補給、そしてドライバーをアラン・マクニッシュからリナンド・カペロに後退したため、オーバーオールリーダーは、1回ピットストップしただけのNo.2アウディR10となって、No.15フェルナンデスローラ/アキュラは2位のポジションを守っている。

 スタートから1時間が過ぎて、GT2クラスはジェイミー・メローのNo.62リシーフェラーリとトーマース・エンゲのNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリが一騎打ちを繰り広げている。

 午後6時26分、クリス・ダイソンのNo.20ダイソンポルシェとステファン・ヨハンソンのNo.9ハイクロフトアキュラがターン10で接触してしまった。共にレースに復帰するが、遅れてしまった。クリス・ダイソンはその直後にもターン6でスピンしてしまった。
 このアクシデントによって、3度目のイエローコーションが提示された。

 午後6時40分レースが再開されると、GT2クラスは、トーマス・エンゲのNo.31ピータセン/ホワイトライトニングフェラーリが、ミカ・サロのNo.62リシーフェラーリを2.463秒だけリードする。フェラーリ勢を追い上げるNo.45フライングラザードポルシェは、右フロントサスペンションを壊して、ピットに張り付いている。

 No.2アウディR10をドライブするマルコ・ヴェルナーとNo.15フェルナンデスローラをドライブするルイス・ディアスは、共に1回ストップでドライバー交代もしていなかった。2時間45分レースの場合、1人のドライバーは最大2時間までしかドライブ出来ない。スタートから1時間50分が過ぎようとする時、No.2アウディR10は2度目のピットストップを行い、ドライバーをエマニュエレ・ピロに交代した。
 No.15フェルナンデスローラは、その頃No.20ダイソンポルシェと接触してしまい、その直後、2時間ルールスレスレの午後7時3分2度目のピットインを行った。

 No.15フェルナンデスローラがピットインしたため、P2クラスのリーダーはNo.26AGRアキュラとなるハズだった。しかし、No.26AGRアキュラは、2度目のピットストップの際、傾いていたリアウイングを交換したため、P2クラスのトップはアンディ・ウォーレスの操るNo.16ダイソンポルシェとなった。

 その10分後(午後7時11分)、GT2クラスのトップを走っていたNo.31ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリは、ターン3とターン4の間でドライバーサイドからコンクリードウォールに叩き付けられてしまった。
 火災が発生したが、トーマス・エンゲは助手席側のドアから救出され無事だった。このアクシデントによって、GT2クラスのトップは、ミカ・サロのドライブするNo.31リシーフェラーリとなった。

 もちろんイエローコーションが提示されたが、レースが再開されると、レースリーダーはリナンド・カペロの操るNo.1アウディR10となった。
 P2クラスは2台のペンスキーポルシェが再びリードしている。

Photo:AUDI AG

 そして過酷な2時間45分が終了した。
 重い車重と小さな燃料タンクに苦しみながらも、アウディR10は2連勝を達成した。
 今回No.2アウディR10は、燃料を最大限使い切ることを目的としたシュミレーションを行っており、セブリングのように、P2カーより5周も早くピットインする事態は解消されつつある。しかし、しばしばイエローコーションが提示されたため、実際に、どれくらいリカバリーしていたのか?外部では判断出来ない。アウディのコメントによると、「来週再び12時間レースを行っても、5周前にピットインすることはない」とコメントしている。

 明らかにアウディよりも速く走ることが出来たペンスキーポルシェにとって、2倍以上の巨大なトルクを持つアウディが、スタートで勝負に出ることは、充分に予想出来た。残念ながら、ペンスキーの防御作戦は失敗したと言うべきだろう。しかし、様々なトラブルに苦しみながら、望外の総合3位と4位に輝くと共に、アキュラを寄せ付けずP2クラスの1位と2位を獲得した。

Photo:AUDI AG

1 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 114laps
2 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America +0.426秒
3 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske +26.350秒
4 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske +26.466秒
5 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft +34.079秒
6 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 113laps
7 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 112laps
8 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 11laps
9 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 109laps
10 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 108laps
11 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 108laps
12 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 107laps
13 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 107laps
14 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 106laps
15 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 106laps
16 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 104laps
17 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 100laps
18 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 98laps
19 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 97laps
20 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 87laps
21 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 84laps
22 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 38laps
23 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 37laps *Rドライブシャフト
24 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 26laps *R電気系

3月30日
Special Edition
2007 FIAGT Rd1 Zhuhai Race Report 中国で何が起こったのか?

Photo:FIAGT
 新しいレースフォーマットと言っても、ランボルギーニの優勝を想像することは難しかった。

 今年のFIAGTは2時間の時間レースとして行われる。細かなレギュレーションも変更された結果、従来とまったく違うレースが実現することとなった。

 予選の結果、アストンマーテイン勢の不調が明らかとなった。ディフェンディングチャンピオンのNo.1ヴィータフォンマセラッティがポールポジションを獲得する一方、コルベットとマセラッティがスターティンググリッドの上位を占めた。

 GT2クラスは、予想通りフェラーリF430GT2が上位を独占した。唯一の例外は、フリープラクティスでエンジンを壊したNo.62エコッセフェラーリが、エンジンを交換したため、最後尾からスタートすることだった。ポルシェは、BMSスクーデリアイタリアの997GT3RSRにエマニュエル・コラールを送り込んで巻き返しを狙っている。

 決勝レースは、ポールポジションからスタートしたNo.1ヴィータフォンマセラッティが、No.5カースポーツコルベットを抑えて1コーナーへ進入した。直ぐ後ろでは、No.11プレイチームマセラッティがスピンしてしまった。

 No.1ヴィータフォンマセラッティよりNo.5カースポーツコルベットの方が明らかにペースが速く、順位を入れ替えてホームストレートへ戻ってきた。
 GT2クラスは、優勝候補のAFコルセの2台のフェラーリ430GT2が次々とスピンやコースアウトで出遅れて、トップはエコッセフェラーリとなった。

 今週末コルベット勢の速さは際だっており、ファステストラップを記録しながら、マイク・ヘゼマンズはヴィータフォンマセラッティとの差を拡げる一方、4周目になると、No.19PSIコルベットが3位に、No.4GLPKコルベットが4位を走行している。

 8周目ターン10でNo.8All-Inklランボルギーニがコースアウトしてしまった。イエローフラッグが提示されるが、ランボルギーニは自力でコースに戻って、ピットを目指した。
 タイヤが暖まってきても、マセラッティのペースは上がらず、コルベットの方が速く、ヘゼマンズは10周になるとリードを1秒まで開いた。

 アストンマーティン勢は不調で、No.23BMSアストンマーティンが後退してしまった。アストンマーティン勢のトップは、7位を走るジェタリアンスとなってる。
 1周目の1コーナーでスピンしたNo.11プレイティームマセラッティは、6周目No.17バーウェルアストンマーティンとサイドbyサイドの争いの末抜き去った。

 14周目になると、興味深い争いが行われた。GT1クラスのNo.16BMSマセラッティは、GT2クラスのNo.50AFコルセフェラーリに追い回された末抜かれてしまった。
 BMSと言っても、かつてのフェラーリやマセラッティのセミワークスではなく、オーナードライバーから仕事としてレースオペレーションを任されての活動であるため、格下のGT2クラスと言っても、腕っこきのディレク・ミューラーの操るフェラーリF430GT2の攻撃から身を守ることは不可能だった。

 21周目頃から最初のピットストップが行われた。しかし、タイヤが摩耗してきたNo.5カースポーツコルベットのペースが落ちてきたため、No.1ヴィータフォンマセラッティがピタリと背後に付けて、23周目にトップの座を奪い返した。2位に落ちたカースポーツコルベットC6Rは、No.4GLPKコルベットC5Rにも抜かれてしまった。

 6位を走行していたNo.7All-Inklランボルギーニは、24周目早めにピットに入った。
 次々とライバル達がピットインする中、トップを走るNo.1ヴィータフォンマセラッティは走り続けた。ビアジがピットに入ったのは34周目だった。
 何もなければNo.1ヴィータフォンマセラッティの優勝は疑いようがない状況だった。

 しかし、一足先にピットインを済ませて、トップを走るNo.4GLPKコルベットC5Rを、No.1ヴィータフォンマセラッティはなかなか抜くことが出来ない。
 結局51周目、共に2度目のピットインをするまで順位は変わらなかった。

Photo:FIAGT
 通常、多くの燃料を積んで、つまり重いクルマで速いラップタイムを維持することが成功への方法と考えられている。しかし、新しいFIAGTの場合、たった2時間で、しかも1人のドライバーは最低35分間ドライブしなければならない。この新しいレースフォーマットの罠にはまったのが、マセラッティとコルベットだった。

 誰もが、マセラッティかコルベットのどちらかがレースをリードすると思っていた。ところが、No.1ヴィータフォンマセラッティとNo.4GLPKコルベットC5Rがピットに入った後、レースリーダーとなったのはランボルギーニだった。

 今年のFIAGTは、2時間フォーマットで行われる。しかも、1人のドライバーは最低35分間ドライブしなければならない。そのため、1回目のピットストップを遅らせたNo.1ヴィータフォンマセラッティやNo.4GLPKコルベットは、タイヤが減ってペースが落ちてきてもピットに入ることが出来なかった。

 48周目に2度目のピットインを済ませたNo.7All-Inklランボルギーニは、クリストフ・ブシェーのドライブで素晴らしい速さで走った。ライバル達がランボルギーニの存在に気づいた時、ブシェーはファステストラップを記録して、リードを拡げようとしていた。

 逆にピットインを遅らせたNo.1ヴィータフォンマセラッティは大きく遅れて、ビアジがファステストラップを塗り替える速さで追いかけたが、6位が精一杯だった。
 そのままランボルギーニがトップのままチェッカードフラッグを受けた。

 GT2クラスは、GT1クラスのランボルギーニ同様、巧妙なピットインタイミングを見出したBMSスクーデリアイタリアのポルシェ997GT3RSRが、2度目のピットイン後リーダーとなって、最初にフィニッシュラインを通過したが、再車検によって、ロードクリアランスの違反が見つかって失格となった。
 そのため、GT1カーを蹴散らす速さを見せつけたNo.50AFコルセフェラーリF430GT2を先頭にして、フェラーリが表彰台を独占した。

Photo:FIAGT
 FIAGTでもフェラーリF430GT2の速さは際だっている。しかし、GT2クラスで新しいFIAGTのレースフォーマットを手なずけたのはポルシェだった。違反がなければ、速いフェラーリを出し抜いて優勝するハズだった。

No.7 GT1 All-Inkl Murcielago 69laps
No.19 GT1 PSI Corvette C6R 69laps
No.4 GT1 GLPK Corvette C5R 69laps
No.23 GT1 AstonMartin BMS AstonMartin DBR9 69laps
No.5 GT1 Carsport Holland Corvette C6R 69laps
No.1 GT1 Vitaphone Maserati MC12 69laps
No.2 GT1 Vitaphone Maserati MC12 69laps
No.17 GT1 Barwell AstonMartin DBR9 68laps
No.33 GT1 Jetalliance AstonMartin DBR9 68laps
No.50 GT2 AF Corse Ferrari F430GT2 68laps
No.22 GT1 AstonMartin BMS AstonMartin DBR9 68laps
No.8 GT1 All-Inkl Murcielago 68laps
No.51 GT2 AF Corse Ferrari F430GT2 67laps
No.62 GT2 Ecosse Ferrari F430GT2 67laps
No.36 GT1 Jetalliance AstonMartin DBR9 66laps
No.16 GT1 JMB Maserati MC12 66laps
No.74 GT2 Ebimotors Porsche 997GT3RSR 66laps
No.63 GT2 Ecosse Ferrari F430GT2 65laps
No.99 GT2 Tech9 Porsche 997GT3RSR 65laps
*以上完走
No.101 G2 Belgian Gillet Vertigo 41laps
No.11 GT1 Playteam Serafree Maserati MC12 31laps
No.12 GT1 Playteam Serafree Maserati MC12 30laps
No.69 GT2 Felbermayr-Proton Porsche 996GT3RSR 5laps

No.97 GT2 BMS Scuderia Itaria Porsche 997GT3RSR *失格:車両規定違反


3月27日
Special Edition
 LMSポールリカールテストレポート    *4月1日写真/キャプション追加
 プジョー908トップタイム  童夢S101.5シェイクダウン 侮れない“屋根無し”のP1勢

Photo:Sports-Car Racing
 プジョー908が速いことは予想出来た。しかし、何処で速いのか?それが問題だ。誰だってストレートの速さを想像するが、以外にもタイトコーナーで俊敏な操縦性を発揮した。
 問題は6月までにどれくらい信頼性を高めることが出来るか?だろう。

◆取り敢えずプジョーがトップタイム
 25日と26日ポールリカールでLMS主催のテストが行われた。
 今回のテストの看板役者はプジョー908だった。
 2週間前ポールリカールで24時間テストを行っているプジョーは、たった1台での参加となった。持ち込まれたのは、完成したばかりの3号車で、シェイクダウンだった。
 マシンの詳しいスペックは未発表だが、3月6日の24時間テストと同じサイドボディのスリットが上半分しか設けられていないボディを使用していた。

 我々は、昨年のアウディR10のイメージが強く、5.5リットルV12ディーゼルターボエンジンを積むレーシングスポーツカーの操縦性は、タイトコーナーが苦手と思っていた。ところが、この先入観を覆すように、プジョー908は俊敏な操縦性を見せた。ポールリカールの場合、セクター1のタイトコーナーが連続する区間であっても、素晴らしい動きで908は走り回っている。コースが乾き始めると、あっさりと初日のトップタイムである1分44秒382を記録した。

 しかし、走っている限り、順調に見えるプジョーだが、初日の午前中の段階でエンジンに何らかの問題が発生したようで、ピットに戻ってくると、ピットガレージの扉が閉められて、エンジンの真下のアンダーボディを取り外して、作業を始めた。
 午後再び走り始めるが、決して飛び抜けて速いラップタイムとは言えない。
 プジョーは午後8時から12時までの夜間走行の申し込みを行っていた。しかし、エンジンを壊してしまったたようで、夜間走行の予定をキャンセルして、エンジンを取り外した。どのようなトラブルが発生したのか? そして、エンジンが修理不能な状況となって、交換したのか? 詳しい状況は何ら公表されていない。

 2日目少し遅め10時過ぎにプジョーはピットの扉を開けた。
 どこまで、そして、何のトラブルであるのか判らないが、エンジンを積み替えたかもしれない908は、順調に走行しているように見える。しかし、数周毎にピットインを繰り返していることから、何らかの不安を抱えていることは間違いないようだ。
 それでも、昼前に今回のテストのトップタイムとなる1分43秒705を叩き出した。

 プジョー908はタイトコーナーで速さを発揮する一方、大方の予想に反してミュルサンヌストレートでの最高速度は313km/hに過ぎなかった。
 2日目の午後3時過ぎになって、やっと連続走行を行うようになると、シュロースローラや童夢S101.5等最高速度の速いマシンの後ろについてしまうと、抜くことが出来ずに、そのまま走行を続ける場面もしばしば見られた。

◆ロールセンターペスカロロが2位
 今回のテストは、幾つかの注目チームがシェイクダウンすることも話題だった。
 ペスカロロは、2月にS01の1号車が完成させている。このマシンはロールセンターに納品され、既に何度かのテストを行っている。ロールセンターに納品された1号車は、ハイブリッドカーをベースとして開発されたP1カーらしく、完全なS01ではなく、過渡期のバージョンであるらしい。そのため、S01と違って、C60ハイブリッドカーと同じ油圧のパワステとトランスミッションが使われている。
 このような事情もあって、ロールセンターのS01は好調に走行を開始した。
 今年ダンロップが予選用タイヤを持ち込んだこともあって、2日間のテストを通してロールセンターペスカロロは、プジョーに続く2番手のタイムを記録した。

 これに対して、ペスカロロ自身が走らせるシャシーが、完全なS01の1号車であるらしい。ブガッティーサーキットでチェックを行ってポールリカールに持ち込まれた。
 完全なS01は、EPSパワステとXトラックの新しいType529トランスミッションが使われている。従来使われていたType279よりTyp529は軽量コンパクトで、2004年レギュレーションの幅の狭いアンダーカバーからギアクラスターがはみ出さないだけでなく、重量配分を前寄りとすることが可能となっている。
 進歩的なEPSパワステを採用した理由は、ミシュランの大きなフロントタイヤによって、今後ステアリングが重くなることが予想されることから、細かいセッティングを可能とすることであるらしい。ここら辺の事情は童夢やザイテックも同じだろう。

 これらを除くと、ペスカロロS01はC60ハイブリッドカーから大きな違いは無いため、順調に走行出来ると思われた。午後になって、ブノア・トレルイエが乗り組んだ時、トレルイエはペスカロロS01をスピンさせてしまい、リアからコースサイドにクラッシュしてしまった。外から見たところ、大きなダメージは無いように見えた。しかし、ピットに戻されて、メカニックがチェックしたところ、クラッシュした際、ミッションが横方向から押されてしまい、ミッションがスティックしてしまっていた。
 ギアクラスターを外して、リペアしようとしたところ、ギアクラスターが外れない。そこで、午後の走行を途中で中止して、ミッションそのものを交換することとなった。
 メカニックの努力によって、夜になるとペスカロロS01は復活した。
 ペスカロロはミシュランタイヤを履くが、今回ミシュランは予選用タイヤを持ち込んでいないため、カスタマーであるロールセンターの先行を許すこととなった。

Photo:Sports-Car Racing
 今年ペスカロロは強力な援軍を得た。ロールセンターの走らせるペスカロロは、予選タイヤを履いたと言っても、プジョーに次ぐ2番手のタイムを記録した。ペスカロロは、厳しいP1レギュレーションをクリアするため、鉄製のロールバーを採用した。左の写真の奥に見えるのが、完全なS01であるペスカロロスポーツのマシン。

◆ローラは何処へ行く
 ペンブリーでシェイクダンを行った後ポールリカールにやって来たシュロースレーシングシステムのローラB07-17/ジャドは、チームオーナーの息子であるヤン・シュロースによって、予想外の速さを見せている。
 ヤン・シュロースは、19歳のGP2ドライバーで、トーマス・エンゲに続くチェコの次の世代を支える存在となることが期待されている。トラブルフリーが助けなのだろうが、1日目プジョーに続く1分44秒600を記録して、パドックを驚かせた。

 ローラB07-17は、ロールフープの内側にリストリクターを設けたため、ACOが認めるか?波紋を呼んでいたが、リストリクターそのものの高さ制限はクリアしているようで、そのまま本番レースでも走ることが認められる模様だ。ちなみにリアホイールアーチ前の、元々はAER製ターボエンジンのためのインテークは、リアブレーキの冷却ダクトとして使われている。同様にターボエンジンの冷却を考慮したサイドボディを持つ。これらの間に合わせの部分を考慮すると、ヤン・シュロースの才能が光る。

 チェンバレンはB06-10ながら、B07用のフロントノーズを取り付けてやってきた。
 このノーズはアキュラのフェルナンデスが諦めたように、見た目の派手さだけでなく、少々前後バランスをまとめることが難しいらしい。しかし、ローラの風洞実験によると、最適なロードクリアランスに設定した場合、8%大きなダウンフォースと10%少ないドラッグを実現することが可能らしい。
 この数値は、AERのV8ターボを積むB06-10によるもので、サイドボディからテイルエンドまでボディ内部に空気を通しているB05-40のものではない。そのためか、チェンバレンやシュロースは、B07ノーズの優秀さを信じているようだ。
 チェンバレンは、2005年のB05-40以来、B05系スポーツカーを走らせるのは3年目であるため、目立たないながらも、1分44秒台までタイムを上げてきた。

Photo:Sports-Car Racing
 左側のクラージュは、Xトラック製ミッションやAER製3.6リットルV8ターボだけでなく、ノーズ中央にブレーキ冷却用のインテイクを設ける等、細かな改良を加えてポールリカールへやって来た。
 右がシュロースローラ。今回ジャドのGV5.5搭載マシンはいずれも最高速度が速く、童夢、シュロースローラ、ペスカロロの順でプジョーを上回る最高速度を記録した。ロールフープの内側のリストリクターに注意。取り敢えず好タイムを記録したが、ここからどうやってレベルアップするかが、ローラ勢にとっての課題。

◆やっとスタート台に着いた童夢
 童夢S101.5は、完全なシェイクダウンとなった。1日目の午前中を費やして様々なチェックを行った後、午後になると走行を開始した。S101.5は、同じイクイップメイク製ながら、新しいパドルシフトシステムが使われている。そのテストを行ったこともあって、1日目本格的な走行を行うことは出来なかった。それ以外にも、完全なシェイクダウンに付きものの様々なチェックに追われたため、多くを望むことは出来なかった。しかし、チェックが一段落した後、夕方になってヤン・ラマースが乗り組むと、あっさりと、その時点で5番手となる1分46秒746を記録した。
 ヤン・ラマースが「プジョーの加速力は素晴らしい。しかし、ついて行けない速さではない」とニコニコしながら語るように、S101.5は高いポテンシャルを持っているのだろう。

 童夢はS101.5の空力に自信があるようで、2日目になると、大きなフロントタイヤの能力を引き出すためのテストに取りかかった。これは、本格的にタイヤテストを行うと言う意味ではなく、大きなフロントタイヤの能力を引き出すセッティングの方向性を見極めることが目的だった。やっとスタートラインに着いたことの証拠と言えるだろう。
 50周以上走ったタイヤでありながら、ヤン・ラマースは1分45秒780を記録した。
 大きなフロントタイヤや2つのロールフープ、モノコックの剛性を優先して、ボディラインからはみ出してエアボックスを設けた結果、空力性能の低下が心配されたが、プジョーを圧倒する318km/hの最高速度を記録したため、童夢の優位性は証明されただろう。

 2日目の夕方、やっと連続走行を開始したプジョーと共に、しばらくの間ヤン・ラマースのS101.5は走行することとなった。セクター1のタイトコーナー区間でプジョーは童夢に詰め寄るが、セクター2のミュルサンヌストレートで童夢に大きく引き離され、セクター3の中速コーナー区間でも童夢に追いつくことは出来なかった。
 これからの開発によって、童夢の真価が問われることとなるだろう。
    
Photo:Sports-Car Racing
 ペスカロロと共にプジョーの対抗馬として期待されるのが童夢だ。3週間後のモンツァまでにどれくらいの仕事をこなすことが出来るか?それがポイントとなる。

◆最悪の状況を脱して、24時間テストを行ったクラージュ
 唯1台24時間テストを宣言したクラージュは、淡々の走り続けた。LC70の2007年バージョンは、AER製V8ターボエンジンを積むだけでなく、トランスミッションをヒューランドからXトラック製に変更している。細かいところでは、童夢やペスカロロと同じように、ノーズ中央に設けられたブレーキ冷却用ダクトが拡大されている。
 24時間テストであることもあって、ライバル達の速さについて行くことは出来なかったが、昨年のように、走れば何かが壊れる、ような状況からは脱出出来たようだ。

 自身はプジョーで働いているが、セルジュ・セルニエが走らせるLC75も登場した。このマシンは、昨年バラジ-イプシロンが走らせてLMSのP2チャンピオンに輝いたLC65のパーツを活用して、新しいLC75のモノコックに組み付けて完成している。
 マシンそのものの信頼性に問題があるようには見えないが、初めて“屋根無し”のプロトタイプカーで走るドライバーにとって、じゃじゃ馬であることは変わらない。
 連続走行を続けたが、1分51秒台とあって、大きく出遅れている。

Photo:Sports-Car Racing
 ラディカルは予想通りの速さを発揮出来るようになってきた。ザイテック07Sもシェイクダウンにこぎ着けた。バラジ-イプシロンの2台のP2バージョンとアレーナのP1バージョンが登場する。

 童夢と同じようにザイテック07Sもシェイクダウンとなった。ポールリカールに登場したのは、バラジ-イプシロンが購入したP2バージョンで、シェイクダウンらしく、チェックを繰り返した。1日目昼の間、連続走行を行うことは出来なかったが、昨年のP2チャンピオンチームらしく、夜になると1分49秒103までタイムを上げた。
 2日目となると、P2チャンピオン候補だけあって、1分46秒台を記録した。

 バラジ-イプシロンの対抗馬として期待されるのは、ASMチームのローラB05-40とブライッヒラダックのラディカルだ。共に1日目からタイムアタックを行い、1日目1分47秒台でトップタイムを争った。そして、今年ダンロップとの関係を深めたラディカルが、1分46秒台までタイムアップして、ローラに競り勝った。

Photo:Sports-Car Racing
 ORECAも24時間テストを実行した。今年ORECAはレーシングボックスのマシンも含めて3台のサリーンの面倒を見る。サリーン本体やレイ・マロックが走らせていた頃と比べると、S7Rは大きく進歩している。
 唯一の対抗馬であるアストンマーティンは、ラルブルコンペティションが2台を持ち込んだ。写真は今年から加わったニューシャシー。相変わらずセンスの良いカラーリングを見せつけた。今年のアストンマーティンは、LMSをラルブルコンペティションで、FIAGTをスクーデリアイタリアでタイトル奪取を狙う。

LMSポールリカールテスト(総合)
1 No.8 Team Peugeot Total Peugeot908HDI FAP 1分43秒705
2 No.18 Rollcentre Pescarolo S01/Judd 1分44秒025
3 No.15 Charouz racing system Lola B07-17/Judd 1分44秒348
4 No.19 Chamberlain synergy Lola B06-10/AER 1分44秒348
5 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd 1分44秒592
6 No.14 Racing for Holland 童夢S101.5/Judd 1分45秒780
7 No.21 Bruichladdich RadicalSR9/Judd 1分46秒160
8 No.32 BARAZI-EPSILON Zytec07S 1分46秒358
9 No.40 ASM Lola B05-40/AER 1分46秒497
10 No.12 Courage Competition Courage LC70/AER 1分46秒645
**上位10位まで



3月21日
Special Edition セブリング12時間決勝レースレポート

Photo:ALMS

◆コルベットは一夜にして白にカラーリングを塗り替え
 週末に近づくに従って気温は下がって、土曜日朝の気温はたった10℃しかなかった。セブリングとしては異常と言える気温15℃の中決勝レースはスタートすることとなった。
 土曜日になって、誰もが驚いたのは、昨日までイエローにカラーリングされていたNo.3コルベットが、一夜にしてホワイトに塗り替えられて姿を現したことだった。

Photo:ALMS

 もう一つの驚きは、フェルナンデスのアキュラローラが、新しいハイノーズでなく、古いノーズを装着してスターティンググリッドに登場したことだった。フェルナンデスは、2週間前に行われた12時間のシュミレーションテストで、新しいハイノーズを使い、好感触を得ていた。しかし、今週になって、本格的なセットアップを行うようになって、何らかの不具合を発見したようで、2つのノーズと付け替えながら、セットアップを進めていた。そのため、アキュラ勢の最右翼と思われながら、セットアップに戸惑い、ニック・ワースがデザインした新しいボディを纏ったアキュラクラージュに遅れを取った。

 BKモータースポーツのローラ/マツダは、ハイノーズのままスターティンググリッドに着いた。
 予選でクラッシュしたインタースポーツのクリエイションCA06Hは、やっと修理が完了した。
 ナイトプラクティスでクラッシュしたNo.1AUDI R10TDIも、完全にリペアされている。

◆1hour  アウディがピットインした隙にポルシェのP2カーが次々とトップを奪う!
 10時1分ローリングが始まった。10時5分、グリーンフラッグが振られて、2007年ALMS開幕戦セブリング12時間レースのスタートが切られた。
 フランク・ビエラの操るNo.2 AUDI R10TDIを先頭に2台のアウディがレースをリードする一方、P2クラスはアキュラ勢を抑えて、ティモ・ベルンハルトのNo.7 ペンスキーポルシェRSスパイダーがトップを走っている。GT1クラスは白に塗り替えたNo.3コルベット、GT2はトーマス・エンゲの操るNo.31 ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリが、それぞれトップを走っている。

 ところが、その5分後トーマス・エンゲのNo.31フェラーリは、No.71タッフェルチームのポルシェ997GT3RSRと接触して、ピットに滑り込んできた。5分19秒かけて、タイヤを4本交換すると共に、ボディワークを交換して、32位でレースに復帰した。
 このアクシデントによって、もう1台のNo.73タッフェルポルシェがGT2クラスをリードする。

 レースをリードするアウディ勢は、チームオーダーが存在しないらしく、No.1AUDI R10TDIを操るリナンド・カペロは、フランク・ビエラのNo.2 AUDI R10TDIが周回遅れのGT2カーに引っかかった際に、ホームストレートでビエラをパスしてトップに躍り出た。

 アウディ同士のトップが入れ替わった少し後、No.15フェルナンデスのアキュラローラとNo.8BKモータースポーツのローラ/マツダが接触してしまった。共にポジションを下げてしまうが、ダメージはなく、そのままレースを続行している。

 GT2クラスは混戦で、フェラーリ勢に代わり、No.45フライングラザードのポルシェがトップに。
 P2クラスは、ティモ・ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェが、アンディ・ウォーレスの操るNo.16ダイソンポルシェを抑えてトップを走っている。


Photo:AUDI AG

 2007年のACOレギュレーションは、ディーゼルエンジンに対して10%少ない81リットルの燃料タンクを義務付けている。そのためアウディ勢の燃費が注目されていた。
 スタートから48分後、トップを走るNo.1 AUDI R10TDIが燃料補給のためピットイン。トップの座はNo.2 AUDI R10TDIが引き継ぐが、1周後にNo.2 AUDI R10TDIがピットインしたため、ティモ・ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェがオーバーオールリーダーに躍り出ることとなった。
 10分後No.7ペンスキーポルシェも燃料補給のためピットインする。しかし、トップに立ったのはアウディではなく、ピットインを遅らせたNo.20ダイソンポルシェだった
 No.20ダイソンポルシェがピットインした時、やっとアウディはトップに復帰する。最もアウディが心配していたことが起こりつつあった。

◆2hour  アウディvsポルシェ
  しかし、アウディとトップ争いを展開するNo.7と違って、もう1台のNo.6ペンスキーポルシェは、燃料ラインを壊して、11時過ぎ、修理のためガレージに運ばれている。
 一時的にトップに立ったNo.20ダイソンポルシェも、No.53ロバートソンパノス(ドライバーはアリエ・ルイエンダルクJr)と接触して、エキゾーストを壊して、修理のためガレージに運ばれた。

 混乱の中GT2クラスは、No.62リシーフェラーリがトップの座を確立しようとしている。

 11時40分No.1 AUDI R10TDIは2回目のピットインを行った。燃料補給と4本のタイヤを交換している隙に、直後を走っていたNo.7ペンスキーポルシェがトップに躍り出た。
 もう1台のNo.2 AUDI R10TDIは、タイヤがパンクしてポルシェを追うことが出来ない。

 20分後! No.7ペンスキーポルシェは、やっと2回目のピットストップを行った。90リットルの燃料を補給して、4本のタイヤを交換して、ドライバーをティモ・ベルンハルトかたロマ・デュマに交代している間、再びNo.1 AUDI R10TDIがレースリーダーとなった。

Photo:ALMS

◆3hour  抜け出せないアウディ  圧倒的に好燃費のポルシェ
 12時31分エマニュエレ・ピロの操るNo.2 AUDI R10TDIがピットに入った隙に、トム・クリステンセンの操るNo.1 AUDI R10TDIが、久しぶりにレースリーダーとなった。
 直後にNo.1 AUDI R10TDIもピットインするが、1位のままレースに復帰した。
 ポルシェは何処へ行ってしまったのかと言うと、素晴らしい速さを披露したティモ・ベルンハルトと比べて、ロマ・デュマのペースが上がらず、4.256秒差で2位を走行している。

 10分後、エマニュエレ・ピロのNo.2 AUDI R10TDIは、ブッチ・ライツィンガーのNo.16ダイソンポルシェと接触してしまい、サイドポッドを壊してピットに入ってきた。

 GT2クラスは、マルク・リーブの操るNo.45フライングラザードポルシェを、ミカ・サロの操るNo.62リシーフェラーリが2秒遅れで追いかけている。

 トップの座を固めたかに見えたNo.1 AUDI R10TDIは、No.16ダイソンポルシェと接触して押し出してしまい、ペナルティのピットストップを課せられ、No.7ペンスキーポルシェがトップに立った。


Photo:ALMS
 前を走るBKモータースポーツのローラ/マツダは、新しいハイノーズを使用した。しかし、後ろから迫ってくるフェルナンデスのローラ/アキュラは、比較した結果古いノースを使用しているのに注意。この写真が撮影された直後、2台は接触してしまった。

 12時48分、BKモータースポーツのローラ/マツダは、スロットルトラブルのためピットに入ってきた。修理のため、ガレージに運び込まれた。

 12時55分、アウディより25分も遅れてNo.7ペンスキーポルシェは3回目のピットストップを行った。そのため、再びNo.1 AUDI R10TDIがレースリーダーとなった。

 15分間もNo.45フライングラザードポルシェを追い回していたミカ・サロのNo.62リシーフェラーリは、12時59分やっとポルシェを抜いて、クラスリーダーに復帰した。

◆4hour  ペンスキーポルシェに異変
 ミカ・サロに抜かれたNo.45フライングラザードポルシェがピットインしたため、GT2クラスはNo.62リシーフェラーリが、1周差を付けて独走態勢に入った。
 1時12クラッシュしたNo.44フライングラザードポルシェの破片を片づけるため、イエローコーションとなって、ピットロードは閉鎖された。3分後ピットロードは解除されたが、イエローコーションのままで、次々とピットロードにマシンが滑り込んできている。

 1時17分No.7ペンスキーポルシェは4回目のピットストップを行った。ペンスキーは、2人目のロマ・デュマから3スティントを走行させる作戦で、ロマ・デュマはコクピットに座ったまま、燃料補給と4本のタイヤを交換して、レースに復帰した。ところが、1周後再びピットインしてバッテリーを交換した。
 このトラブルによって、P2クラスのリーダーはブライアン・ハータのNo.26 AGRアキュラARX-01aとなる一方、No.1 AUDI R10TDIがオーバーオールリーダーの座を固めた。

 1時30分イエローコーションは解除されレースが再開されるが、この間に2台のペンスキーポルシェは、No.7がピット作業のミス、No.6がピットロードスピード違反で、それぞれペナルティのピットストップを課せられて、アウディを追うどころか、P2クラスの1-2-3位をアキュラに譲る。

◆5hour  AGRアキュラがオーバーオールリーダーへ!
 2時15分、アラン・マクニッシュの乗り込んだNo.1 AUDI R10TDIは、ピットから再スタートする際、エンジンストールしてしまい、その間にトップの座はNo.2 AUDI R10TDIに奪われてしまった。

 その直後No.2 AUDI R10TDIもピットインしたため、何とブライアン・ハータの操るNo.26 AGRアキュラがオーバーオールリーダーに躍り出た。
 アキュラ勢は、ポルシェほどの好燃費ではないらしく、5分後ブライアン・ハータは燃料補給のためピットインしたため、No.1 AUDI R10TDIがオーバーオールリーダーに返り咲く。
 No.26 AGRアキュラはミッションに問題を抱えているらしく、ラップタイムそのものは、それほど注目できるものではない。そのため、No.7ペンスキーポルシェに抜かれてしまった。


Photo:AUDI AG

 レース序盤に見せた素晴らしい速さを発揮出来ないNo.16ダイソンポルシェは、パドルシフトの電気系トラブルのため、シフトダウンの際スムーズに作動しないことを、ブッチ・ライツィンガーは語った。

 2時29分、No.26 AGRアキュラを抜いたNo.7ペンスキーポルシェはピットインして、エリオ・カストロネベスが乗り組んだ。そして、ピットストップの際先行した、ブライアン・ハータの操るNo.26 AGRアキュラを追い始めた。従来のスポーツカーレースでは耳慣れない状況となっている。

 アキュラ勢は、クラス2位のNo.26 AGRアキュラ、1周遅れでNo.9ハイクロフトアキュラ、そして4位にNo.15フェルナンデスローラと続いている。期待されたフェルナンデスローラは、空力バランスに問題があるようで、古いノーズに交換して走っている。AGRを追う速さを発揮出来ないでいる。

◆6hour  ポルシェ勢が次々とパドルシフトのトラブルで後退
 3時17分、ピットストップしたNo.26 AGRアキュラは、燃料補給と4本のタイヤを交換すると共に、ブライアン・ハータはたダリオ・フランキティにドライバーを交代した。しかも、クラスリーダーのポジションを保ったまま、レースに復帰することに成功した。

 ポルシェ勢は、パドルシフトの電気系の問題を抱えているようで、No.16は4速ギアに入ったままシフトチェンジが不可能となってしまった。No.7もパドルシフトの作動がスムーズでないようで、1速から2速ギアへのシフトチェンジが難しいらしく、ピットから際スタートさせる際、2速に入れ、ジャッキを下ろすと同時にエンジンをスタートさせて、2速スタートを繰り返している。
 そのため、再三にペナルティを課せられているため、どうやら、1速へのシフトチェンジそのものが不可能となっているのかもしれない。
                                                                            
 ダンカン・デイトンの操るNo.9ハイクロフトアキュラは、3時23分ターン10でコースアウトして、からスロー走行でピットに向かった。リアのボディワークが外れており、ピットで交換された。

◆7hour  ポルシェ脱落 アウディはNo.1がスタータートラブルで脱落 トップはNo.2アウディ
 4時5分No.7ペンスキーポルシェは、電気系の問題を解決するため、13分間に渡って修理を行った。
 これによって、ポルシェ勢の上位進出の可能性は無くなった。

 5分後、No.1 AUDI R10TDIはピットインして、15分を要してスターターモーターを交換した。もちろん、優勝の可能性は無くなったが、レースリーダーはNo.2 AUDI R10TDIが引き継いでいる。

 No.7ペンスキーポルシェに続いて、4時21分No.16ダイソンポルシェもピットインして、パドルシフトのECUを交換した。しかし、長い間4速にスティックしたままだったことから、再スタートする際、慎重にチェックを行った後、レースに復帰した。

 ダンカン・デイトンのクラッシュによって、No.9ハイクロフトアキュラは後退したため、P2クラスリーダーのNo.26 AGRアキュラに続いて、2位にNo.15フェルナンデスローラ/アキュラ、3位にNo.16ダイソンポルシェとなっている。AGRがギアボックスに問題を抱えているため、走っている限り速いダイソンポルシェにも可能性は残されている。

◆8hour  トップはNo.1アウディ、1周差でNo.26 AGRアキュラ
 5時5分、ターン13でNo.1 AUDI R10TDIとNo.15フェルナンデスローラが接触してしまった。
 エイドリアン・フェルナンデスのNo.15ローラ/アキュラのノーズと、リナンド・カペロのNo.1 AUDI R10TDIのリアボディがぶつかって、アウディが追い出されてしまった。2台共レースに復帰するが、No.15フェルナンデスローラは、ピットインしてノーズカウルを交換することとなった。
 このアクシデントによって、イエローコーションとなって、12分間ピットロードは閉鎖された。

 ピットロードがオープンとなると、次々各車ピットイン。No.26 AGRアキュラは、燃料補給、タイヤ4本交換、そして、ダリオ・フランキティからトニー・カナーンへドライバーを交代した。

Photo:ALMS

 その直後、ターン3でNo.45フライングラザードポルシェがクラッシュしたため、再びピットロードが閉鎖された。No.45フライングラザードポルシェは、差は大きくても、No.62リシーフェラーリを追ってGT2クラス2位を走行していたため、フェラーリは大きく有利となった。

 ピットロードがオープンとなって、エリオ・カストロネベスの操るNo.7ペンスキーポルシェがピットに滑り込んできた。そして、再びバッテリーを交換した。

 総合トップは、No.2 AUDI R10TDI、2位に1周差でNo.26 AGRアキュラ、3位にNo.15フェルナンデスローラ/アキュラが続いている。

◆9hour  ポルシェのトラブルは電圧  ピットインのタイミングでGT2トップはポルシェに
 暗くなり始めた6時頃ターン10でコルサとホワイトライトニングの連合軍が走らせるNo.32フェラーリが、リアから火を噴いてストップした。直ぐに火は消し止められたが、イエローコーションとなって、ピットロードは閉鎖されている。No.32フェラーリは、フリープラクティスから素晴らしい速さを披露したが、予選前にクラッシュして、それを修理して、決勝レースに参加していた。

 ピットロードがオープンとなって、次々と各車がピットインした際、GT2クラスのトップを走り続けていたNo.62リシーフェラーリとNo.45フライングラザードポルシェの順位が入れ替わった。


Photo:ALMS

 6時28分にレースは再開されるが、その直後No.16ダイソンポルシェはピットインして、オルタネーターを交換した。6時46分にはNo.7ペンスキーポルシェもピットインして、3回目のバッテリー交換を行っているため、どうやら、ポルシェ勢は、ECUそのものではなく、電圧の低下が問題であるらしい。

 6時43分ビル・オーバーレンのNo.21 PTGパノスはピットインしてきた。直ぐにガレージに運ばれて、左のリアサスペンションの修理を開始した。

◆10hour  速さでフェラーリがポルシェを抜き去る
 コース上ではフェラーリの方がポルシェより速く、イエローコーションによって、ピットロード出口が閉鎖されたりしない限り、フェラーリが有利だ。7時30分頃No.45フライングラザードポルシェとNo.62リシーフェラーリは、相次いでピットインした後、フェラーリがGT2クラストップに返り咲いた。

Photo:Porsche AG

◆11hour  リシーフェラーリにスタータートラブル GT2トップはポルシェに
 No.26 AGRアキュラは、ラップタイムはそこそこでも、次第に燃費の良さを発揮するようになっており、8時頃、オーバーオールリーダーのNo.2 AUDI R10TDIがピットに入ると、15分間総合1位を走行することとなった。8時12分No.26 AGRアキュラがピットインして、燃料補給、タイヤ4本交換、そしてトニー・カナーンからブライアン・ハータへドライバーを交代した。
 もちろん、オーバーオールリーダーはアウディに奪い返されることとなった。

 ニック・ワースがボディを作り替えたアキュラARX-01aは、空力性能が向上したことは間違いないらしい。しかし、各種のシステムを改良した訳ではなく、フェルナンデスローラと共に盛り込まれたザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムだけが唯一の改良と言える状況だ。
 そのため、AGRとハイクロフトは、共にギアボックスに問題を抱えながら走行している。No.9ハイクロフトは、しばしば電気系トラブルも発生していることを見ても、AGRのペースは限界だろう。

 速さでGT2クラスのトップの座を奪い返したNo.62リシーフェラーリは、8時30分頃ピットから再スタートしようとして、エンジンが始動しなかったため、クラストップの座をNo.45フライングラザードポルシェに奪われることとなった。

Photo:Porsche AG

◆12hour  No.1アウディ優勝 AGRアキュラ2位 GT2はフェラーリ
 エンジン始動に手間取って、クラストップの座を再び奪われたNo.62リシーフェラーリは、またしても自力でトップに返り咲いた。9時30分頃最後のピットインを行った時、給油中にドライバー交代を開始してしまい、20秒のペナルティを課せられたが、クラストップの座を死守した。

 9時49分、急にNo.26 AGRアキュラのペースが落ちた。一旦は絶望的な2分4秒台となるが、深刻なトラブルではないようで1分59秒台まで回復して、最後の10分間を走ろうとしている。

 最後の10分間でNo.20ダイソンとNo.7ペンスキーのポルシェは、共にバッテリーを交換した。

 最後のドラマはGT2クラスのトップ争いだった。
 楽勝のハズが、最後のピットインでのミスによって、最後の15分間No.62リシーフェラーリはNo.45フライングラザードポルシェの攻撃に曝されることとなった。
 元々30秒も差があったことから、リシーはタイヤを交換しなかった。そのため、エースのヨルグ・ベルグマイスターが乗り組んだフライングラザードポルシェの攻撃に、防戦一方だった。

 10時7分マルコ・ベルナーのNo.2 AUDI R10TDIがトップでチェッカードフラッグをかいくぐった。


Photo:ALMS

 その後ろでは、まだフェラーリとポルシェが接戦を繰り広げていた。
 インにフェラーリ、アウトにポルシェで、サイドbyサイドで最終コーナーを通過した。そして、チェッカードフラッグを目指して加速競争を行って、0.202秒差でフェラーリが勝った。

2007年ALMS Rd1 セブリング12時間最終結果
1 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 364laps
2 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 358laps
3 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 356laps
4 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 353laps
5 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 351laps
6 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 346laps
7 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 341laps
8 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 341laps
9 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 340laps
10 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 333laps
11 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 331laps
12 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 330laps
13 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 330laps
14 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 325laps
15 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 322laps
16 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 316laps
17 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 314laps
18 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 313laps
19 P2 No.27 Lola B05/40 Judd Horg 307laps  *Rメカニカル
20 GT2 No.24 Ferrari F430GT JMB 305laps
21 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 303laps
22 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 300laps
23 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 297laps
24 GT2 No.61 Ferrari F430GT Risi Competizione 290laps
25 GT2 No.86 Spyker C8 Spyker Squadon 286laps
26 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 275laps *Rオイル漏れ
27 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 270laps
28 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 268laps
29 GT2 No.10 Porsche 997GT3RSR Konrad 252laps *Rクラッチ
30 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 235laps *Rサスペンション
31 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 224laps
32 GT2 No.32 Ferrari F430GT Corsa/WhightLightning 300laps *R火災
33 GT2 No.77 Porsche996GT3RS Autoracing Club Bratislava 129laps *Rエンジン
34 GT2 No.53 Panoz Esperante GTLM Robertson 64laps *Rエンジン



3月11日
Special Edition センスの良さは変わらない
 真価が問われるパトリック・ペーター

Special Thanks:LeMans Series
 これは、今年のLMSのため、パトリック・ペーターが描かせたカード。このセンスの良さは他で例を見ない。これに匹敵するオシャレさを発揮したのは、1991年から1993年に活動したプジョーだけだろう。  

 現在ルマンシリーズの実質的なオーガナイザーを務めるパトリック・ペーターは、元々復刻版ツール・ド・フランスであるツールオートのオーガナイザーとして知られていた。
 高価なヒストリックカーを所有するだけでも大変であるのに、その高価なヒストリックカーを、当時の方法そのまま、全開で走らせようと言うのだから、参加するドライバーやレーシングチームは、その総てがミリオネラと言っても良い。

 パトリック・ペーター自身は、そのようなミリオネラではないらしい。しかし、妻のsルビアン・ペーターと共に、細かい気配りによって信頼を得ている。
 もう一つ、パトリック・ペーターの人気は、センスの良さだった。
 パトリック・ペーターは、これらのミリオネラだけでなく、ヨーロッパのスポーツカーファンを納得させ、憧れさせるような、センスの良さを持ち合わせていた。

 毎年春になって、そろそろツールオートの時期となると、1枚の絵としても、素晴らしい、センスの良いポスターが作られて、我々の元にも送られてきた。ツールオートは、取材する側にとっても、大きな金を要するイベントであるため、我々も毎年取材することは出来ないが、春に送られてくるツールオートのポスターは楽しみだった。

 一時期、このポスターは郵送を止め、Eメールで送られるようになった。しかし、それでは、あの素晴らしい絵の魅力は半減してしまうため、以前のようにパリで印刷したものが欲しい、との要望が多数出されたことから、最近再びパリで印刷した絵を郵送で送る方法に切り替えられた。

 パトリック・ペーターは、1993年からステファン・ラテルとユルゲン・バースと共に、ユーログローバルシリーズをオーガナイズしたことはご存じだろう。このシリーズは、グループC崩壊後、新たなスポーツカーレースの中心として、GTレースの復活を目指して、スポーツカー愛好家に呼びかけて行われた。このシリーズは、3人の頭文字を取ってB(バース)P(ペーター)R(ラテル)シリーズと呼ばれた。
 集まったレーシングチームの多くは、ツールオート等のヒストリックカーレースのエントラント達で、グループCチームは、ほんの少しだけだった。

 BPRシリーズは、人気を集めた結果、1997年FIAの誘いに応じてFIAGTとして行われることとなった。しかし、急激な拡大路線によって、元々BPRシリーズ設立に協力したスポーツカー愛好家の居場所がなくなることが予想されたため、FIAの誘いに反対したパトリック・ペーターは、FIAGTに参加することなく、ステファン・ラテルとユルゲン・バースによって、FIAGTは行われることとなった。
 ファクトリーチーム同士の過当競争によって、たった1年で、プライベートチームのGT1カーは、ほとんど居なくなってしまった。その結果、たった2年で看板役者のGT1クラスは消滅して、その後再生に長い時間を要することとなった。

 2003年にジョン・マンゴレッティのFIASCCが崩壊して、2004年からACO自身が関与するLMESが行われることが決まった。2003年6月ルマンで行われた記者会見の際、ACOは、名乗りを上げたステファン・ラテルがオーガナイズすることを明らかとした。しかし、その席にパトリック・ペーターが姿を見せており、誰もが、実際の仕事はパトリック・ペーターが行うものと判断していた。

 予想通り、2004年にLMESがスタートすると、LMESの実質的なオーガナイザーがパトリック・ペーターであって、ツールオートと同じペーターオートが事務局を務めた。この交通整理に手間取って、2004年のLMESのオーガナイズは混乱の中にスタートした。そのため、ツールオートで発揮したような、信頼を確立することは出来なかった。

 ところが、年を重ねるにつれて、LMESは確固たる地位を築き上げるようになった。2005年から、シーズン前ポールリカールを借り切って、高速耐久テストを実施するようになると、LMESがルマン直轄のイベントであることアピールすることとなった。もちろん、参加するチームは年々増え、4年目の2007年、LMS(2006年からLMS)は51台のシーズンエントリーを集めることとなった。

 今年のLMSは、パトリック・ペーターの真価が問われるシーズンとなるだろう。


3月6日
Special Edition  ポルシェがSUPER GTで成功する可能性は残されているのか?



Photo:Sports-Car Racing
 昨年、スポット参戦ながら、2つの富士スピードウェイのレースでタイサンは優勝争いを演じるポテンシャルを披露した。ポルシェを知り尽くしたタイサンならではのパフォーマンスだったが、それが限界だった。
 2007年のタイサンは、空力に改良を加えた996GT3RSでシーズンをスタートする。分かり難いかもしれないが、派手なカラーリングだけでなく、ボンネットに開けられたエアアウトレットに注意。

@997GT3RSRは、ポルシェの信頼を回復させることが出来るか?

◆世界との唯一の接点はポルシェだった
 JGTCの時代から、N-GTは改造範囲が広く、このレギュレーションを活かして、多方面に開発を手を加えることで高いポテンシャルを発揮してきた。
 しかし、元々、少なからずレースを意識して開発されているポルシェの場合、FIAGTやACO(ルマン)のために開発されたGTレースバージョンであれば、5年前まで、ほとんどそのままの状態であっても、GT300(旧N-GT2)で成功することが可能だった。

 ところが、その後ライバル達は、改良を手を休めず、シャシー、空力、エンジンの開発を続けたことから、あっと言う間にポルシェの時代は過ぎ去ってしまった。

 SUPER GTにとって、世界のGTレースとの唯一の接点は、ポルシェだった。そこで、特定の状況であっても、SUPER GTでポルシェが活躍出来るよう、レギュレーションを見直すこととなった。

 そうして、2006年の場合、ポルシェであれば、どのモデルであっても、FIAGTやACOと同じ、約430馬力を発生可能な大きなリストリクターの使用が許されることとなった。
 GT300クラスのライバル達は、もっともハンデが大きいマシンの場合、320馬力程度の出力しか持たないため、SUPER GTはポルシェに対して100馬力以上のアドバンテージを与えたことを意味した。
 ある特定な状況とは、この大きな出力を活かすことが出来る、長いストレートを持つ富士スピードウェイのことだった。

 2006年タイサンとハンコックの996が、大きなパワーを活かして、富士スピードウェイでトップ争いを演じたのは記憶に新しい。しかし、それでもポルシェは勝てなかった。

◆100kg重い車重でポルシェが復活する?
 2007年ポルシェは、FIAGTとACOをターゲットとして、車重1,225kg、485馬力、そして、幅14インチの大きなタイヤを履く997GT3RSRを送り出した。
 FIAGTとACOは、車重1,200kg以上の場合、それ以下と比べて2インチ広い14インチ幅のタイヤの使用を許している。このレギュレーションを活用した選択だった。

 RR故テイルヘビーのポルシェにとって、従来より車重が100kg重くなることによって、その分重りを積むことが可能となる。もちろん、それらの重りは、フロント車軸の直ぐ後ろ、つまり、ホイールベース内の一番前に積まれるため、100kg重くなることによって、ポルシェは持病のテイルヘビーを解消出来ると考えられていた。

 前後の重量配分を改善出来て、大きなパワーと太いタイヤも手に入る。重い車重を除くと、ポルシェにとって、最良の選択と考えられていた。

◆70mmエンジンを前にマウント可能なトランスミッション
 ポルシェは、100kgの重りを積むだけでなく、997GT3RSRに様々な工夫を盛り込むつもりだった。ACOレギュレーションが改訂されて、使用が許されたトラクションコントロールはもちろん、新たに3.8リットルエンジンも開発されている。
 クルマの前方に重りを積むことによって、前後の重量配分そのものは適正とすることは出来ても、リアのオーバーハング部分に重いエンジンを搭載する以上、大きなリアの慣性重量はそのままだ。そこで、ポルシェは、エンジンを70mm前方にマウント出来る、新しいトランスミッションの開発に取り組んだ。

 歴代の911がそうであるように、通常のトランスミッションは、エンジンの直ぐ隣にクラッチが存在して、その隣にデフ、そして、その先にミッション部分のギアが存在する。
 リアエンジンの場合、エンジンと出来る限り近くにデフをレイアウトすることによって、エンジンを前方にマウントすることが可能となる。
 911にとって、クラッチの厚さを薄くすることが、テイルヘビーを減らすポイントだった。2枚や3枚の多板クラッチが常識化しても、911がシングルプレートにこだわる理由はそこにあった。

 そこで、まったく違うレイアウトのトランスミッションが開発されることとなった。
 一部のミッドシップフェラーリは、コクピットのスペースを確保するため、エンジンを考車軸に近づけてマウントするため、エンジンの隣にデフ、その隣にミッション、そして、ミッションの先にクラッチをレイアウトしている。
 エンジンから出た出力は、ミッションを貫通するシャフトによって、ミッション先端のクラッチまで伝えられ、そこから、通常と反対に後ろのミッションで変速され、エンジンとミッションの間のデフに伝えられる。この方式の場合、クラッチの厚さを無視して、デフをエンジンの直ぐ横にレイアウトすることが可能となる。

 今後のリアエンジンポルシェの命運を左右するトランスミッションとも言えそうだが、どうやら、このトランスミッションの開発に手間取っているらしい。
 現在のところ失敗は伝えられてないが、少なくとも、997GT3RSRは通常と同じトランスミッション付きで完成した。もちろん、エンジンは通常の位置に取り付けられた。

Photo:Sports-Car Racing
 セブリングとモンツァで、997GT3RSRは、フェラーリと対抗するには、大胆な改良が必要であることを証明した。今後、どのような開発が加えられるのかは判らない。しかし、余程思い切った改良が加えられない限り、フェラーリを破るのは難しいだろう。


◆最大の弱点は短いホイールベース
 トランスミッションは間に合わなくても、次々と997GT3RSRは完成して、世界中のレーシングチームにデリバリーされている。1月のセブリングテストに続いて、2月になると、モンツァでFIAGTの合同テストが行われた。
 セブリングにやって来た6台のポルシェにとって、最大のライバルはジョゼッペ・リシーが持ち込んだフェラーリF430GTCだった。リシーは本格的なテストを行った訳ではなかったが、走り始めると、あっさりとポルシェを圧倒する速さを見せつけた。

 元々セブリングは、飛行場の誘導路を使って造られたサーキットであることから、その多くがコンクリート舗装で、路面の平面性に欠けている。
 常に安定して速さを見せつけるフェラーリに対して、ポルシェ勢は、セブリングのギャップの大きい路面に苦しんだ。激しいピッチングはもちろん、大きなギャップを乗り越える時は、コントロールに苦しむこととなった。

 この大きな原因は、短いホイールベースと考えられている。

 高速コースのモンツァであれば、100kg重いポルシェの大パワーが活かせると考えられていたが、2月のFIAGTテストでは、逆にフェラーリ勢に3秒の大差を一様につけられてた。

 もちろん、従来のポルシェユーザーの多くは、次々とフェラーリに乗り換えている。
 今後、ポルシェは、997GT3RSRに大々的な改良を盛り込むことが予想されている。しかし、余程大胆な改良を盛り込まない限り、フェラーリに対抗するのは難しいだろう。

AポルシェがSUPER GTで性能する可能性は残されているのか?

◆997GT3RSRは、14インチタイヤのままSUPER GTに参加可能
 現在SUPER GTは混沌とした状況に陥っているが、レギュレーションそのものは、従来のものが堅持される。GT300クラスの場合、最も注目されているのは、幅14インチのタイヤを履く997GT3RSRの存在だった。

 ランボルギーニムルシエラーゴがそうであるように、従来、元々FIAやACOのGT1等、タイヤ幅が14インチのクルマがGT300クラスへ参加する場合、レギュレーション通り、タイヤ幅を12インチとしなければならなかった。

 しかし、現在SUPER GTとFIAやACOが、あまりにもかけ離れたとの判断から、997GT3RSRは、(トラクションコントロールを持たない)FIAGTバージョンが、何の改造も加えられないで、そのままの状態で参加するのであれば、14インチのタイヤ幅のままGT300クラスで出走することを認めた。もちろん、485馬力の出力もそのままだ。

 現在ハンコック(エンドレス)チームが、997GT3RSRをSUPER GTへ持ち込むと考えられている。しかし、他のレーシングチームは、FIAGTのフェラーリとの対決でも勝てないのに、間違いなくフェラーリより速い、日本のGT300マシンを相手とするのは難しいと判断して、997GT3RSRの導入を諦めてしまった。

◆ポルシェ復活の鍵は、ポルシェ自身の意識改革
 SUPER GTのように、正規のマシンより100馬力以上も大きいアドバンテージを与えるような大胆なことは行っていないが、これまでも、ACOやFIAは、ポルシェに対して、様々な優遇処置を与えている。2006年の場合、スタンダードの3.6リットルだけでなく、新たに公認された3.8リットルエンジンに対しても、通常と違ったサイズのリストリクターの使用を許している。しかし、それでもポルシェは勝てなかった。

 先日のセブリングテストの際、目の前でフェラーリに圧倒される997GT3RSRを見ながら、ポルシェの広報マンに対して、「リアエンジンは限界に思える。どうしてケイマンでGTレースカーを作らないのか?」と質問したところ、ポルシェの広報マンは、ポルシェの歴史を知らない日本人!に対して、延々と、ポルシェのアイデンティティがリアエンジンであることを説明し始めた。しかも、このポルシェの人間は、レギュレーションが間違っているとさえ口にした。ポルシェの歴史を知らない日本人!は、呆れて、走らない997GT3RSRに苦戦するレーシングチームに同情しながら、その場を後にしたのは言うまでもない。

 ポルシェの意識が変わらない限り、しばらくの間、状況が改善されるとは思えない。

◆リアエンジンだけがポルシェではない
 SUPER GTの場合、現在996や997のようなリアにオーバーハングしてエンジンを積むクルマだけがポルシェでなく、ミッドシップのボクスターも参加している。5年前に優勝争いを演じた後、2年ほど前からアークテックチームがボクスターで活躍している。


Photo:Sports-Car Racing
 現在、世界中で最も注目されるポルシェGTレースカーは、このアークテックチームのボクスターGT。2007年に栄冠をつかむことが出来るのだろうか?


  昨年活躍したアークテックチームのボクスターは、ポルシェを優遇するレギュレーションによって、リアエンジンの996と同じく、FIAGTやACOと同じ大きなリストリクターを装着していた。今後もこのレギュレーションがボクスターも適用されるかは判らない。しかし、2006年のSUPER GTにおいて、富士スピードウェイ以外のレースで可能性を見せた唯一のポルシェは、アークテックチームのボクスターだった。
 アークテックチームは、新たにゼロからボクスターGTレースカーの開発に取り組んでいる。フレームが完全に作り直されて、新しいボディも作られた。

 ボクスターと同じフレームを使って、クローズドボディを被せたケイマンは、元々クローズドボディであることから、当たり前かもしれないが、ポルシェの資料によると、ボクスターよりも空力性能に優れている。しかし、ボクスターと同じフレームであることから、つまり、996や997と同じフロントセクションであるため、ノーズに燃料タンクがレイアウトされる弱点もそのままだ。

 誰かケイマンをベースとしてGT300レースカーを作るレーシングチームは現れないのか?と思っていたら、やっぱり、チャレンジャーが動き始めているようだ。

Photo:Porsche AG
 ポルシェはそう思わなくても、ケイマンはポルシェ以外には見えない。充分にポルシェのアイデンティティを表現しているように思えるが?

 現在のところシュミレーションの段階にあることから、名前を明らかにすることは出来ない。しかし、登場すれば、間違いなく優勝争いを演じることが出来る強豪チームだ。

 どうやら、世界よりも一足早く、日本でポルシェは新時代を迎えることとなる。
 富士スピードウェイ等特殊な状況を除くと、今後SUPER GTで活躍するポルシェが、ポルシェの意向とは違うミッドシップとなるのは明らかだろう。


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