ライン

News

rogo1.gif
News
rogo2.gif
Special Edition
rogo3.gif
Calendar
rogo4.gif
Book
rogo5.gif
Shop
rogo6.gif
Link

Top






1月31日
●プジョーのセブリング12時間参戦はキャンセル!                         *3月20追記
131photo1.jpg131photo2.jpg

Photo:Peugeot-Media
 写真は1月6日にポールリカールで行われたテストの時のもの。左の写真を見たアウディのエンジニアは、サイドポット上の斜めのパーティーションラインとサイドボディの大きな開口部から、相当大きなラジエターを備えることを解明して、アウディがそうだったように、熱の対策に苦労していることを推測したと言う。 
 *これまで、12月31日のシェイクダウンはポールリカールと伝えられていましたが、フランス陸軍の飛行場で行われたことを3月に公表した。

 1月10日908を公開した際、プジョーは当初のスケジュールを変更して、2週間後に行われるセブリングのウインターテストへ参加しないことを公表した。しかし、3月に行われるALMS開幕戦セブリング12時間へは、テストを目的として参加することを明らかとしていた。

 ところが、セブリング12時間の1週間後には、ポールリカールで合同テストが行われることから、少々無理なスケジュールであると考えられていた。
 逆の見方をすると、プジョーはテストドライバーとしてエリック・エラリーと契約したため、ポールリカールテストはエラリーを中心として行うと考えられていた。

 元々プジョーがセブリング12時間へ行く目的を、レースを闘うことでなく、テストとしていたことでも判るように、現在のプジョー908は開発の最初の段階で、試行錯誤の真っ直中にある。
 セブリング12時間へ参加する理由は、主に北アメリカで908を公開することにあった。

 しかし、発表することが目的だったとしても、たった3台しか存在しない908の1台をフロリダに空輸するだけでなく、開発段階の様々なシステムと共にエンジニアもフロリダに行かなければならない。

 昨日エンデュランスインフォのクロード・フーボルトは、プジョースポールのセルジュ・ソルニエから、908はセブリングに行かないことを打ち明けられた。
 フーボルトによると、正式発表ではないと言うが、新しいスケジュールとして、セブリング12時間の2日後(19日?)にプジョーはポールリカールへ行く予定と言う。LMSのポールリカール合同テストは25日と26日であるから、その前にプジョーは単独でテストを行う計画らしい。

*注:1月11日関連NEWS有り。


1月30日
●ローラ/アウディ誕生 2007年のダークホースか?
129photo.jpg

Illustration:Lola Cars
 ノーズ部分が一段持ち上げられているのに注意。その結果ブレーキ冷却用ダクトはノーズ中央に移動している。

 とうとうローラは、B06-10 P1カーの改良モデルを発表した。
 B06-10は、昨年ダイソンとチェンバレンが、AERの3.6リットルV8ターボエンジンと組み合わせて闘った。しかし、ヨーロッパのLMSでも、北アメリカのALMSでも、パットしたポテンシャルを発揮することは出来なかった。性能調整によって、65kgも軽い車重を許され、しかも強力なダイソンが走らせながら、ALMSではP2クラスのポルシェRSスパイダーに抜かれることも珍しくなかった。B06-10の改良モデルの登場は急務だった。

 元々ローラは、B07-10として“屋根付き”のマシンを開発していた。しかし、アドバルーンとして“屋根付き”は魅力であって、何らかの工夫を盛り込まない限り、現在では“屋根無し”の方が有利であることから、“屋根無し”のB06-10の改良型の開発が優先して進められることになった。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

 もちろん、B06-10やP2カーのB05シリーズをベースとしてアップデイト出来ることが望まれたため、開発は楽ではなかっただろうが、結局ノーズ部分を中心として改良を加えたB07-10が誕生した。

 ノースの耐クラッシュ構造は従来のものをそのまま使いながら、ノーズ上面のカウルを若干ハイノーズに手直しして、童夢やペスカロロと同じように、ノーズ中央先端部分にブレーキを冷却するためのインテークを設けている。この結果、ノーズの耐クラッシュ構造を作り替えなくても、ノーズ床下のディフューザーは大きくなっているらしい。その証明として、より多くの空気の流れをノーズ床下へ送り込むため、ノーズ先端が持ち上げられている。この改良によって、ローダウンフォースとミディアムダウンフォースのコースでのポテンシャルが大きく向上しているらしい。
 もう1つの改良は、トランスミッションとサスペンションだが、詳しい情報は入ってきていない。

 このB07-10を走らせるのは、チェコスロバキアのシャロースレーシングシステムと、復活したスイススピリットだ。シャロースレーシングは、プライベートチームにとって、最強のエンジンを考えられているジャドの最新型V10を使うため、大きく盛り上がるリアカウルが新しくデザインされる。
 2つのチーム共、LMS全戦と参加が認められる場合ルマン24時間への参戦を望んでいる。シーズン後半、ALMS“プチ-ルマン”とラグナセカに参戦することも間違いないだろう。

 注目はスイススピリットだ。彼らはB07-10に、何とアウディR8用の3.6リットルV8ターボを組み合わせる。

 チェコスロバキアのレーシングチームの大々的な活動と言うことで、シュロースレーシングも興味深いが、昨年のドタバタから復活したスイススピリットについて説明しよう。

 スイススピリットのローラ/アウディ誕生には、3つのポイントがあったようだ。

 昨年のスイススピリットのプロジェクトは、フランスのセルジュ・ソルニエに活動を委託することで実現している。ソルニエ自身はフランスの有力レーシングチームで、LMSスパでポールポジションを獲得したように、充分な能力を備えている。しかし、選んだクラージュLC70が間違いだった。
 レースを闘うどころか、走ることがやっとのクラージュによって、スイススピリットは完走することさえ出来なかっため、早い段階でクラージュにマシンの大々的な改良を要求する一方、秋になると、マシンの買い戻しを求めた。

 クラージュが返事を延ばしている間、セルジュ・ソルニエ自身もやる気を無くしてしまったようで、プジョーから、チームの運営に加わるよう誘われると、さっさとチームを売却して、プジョーへ加入した。

 そのような状況で、スイススピリットは強力な援軍を得た。元々スイスを代表してスポーツカーレーシングで活躍していたのは、ジャン・デニス・デラトレスだった。もちろん、たくさんのスイス企業もデラトレスを支援していた。そのデラトレスがスイススピリットと連携することとなった。

 デラトレスは、早速高級時計のフランク・ミューラーの支援を取り付けた。

 デラトレスは、1980年代ドイツのSTW(クラス2ツーリングカー)でアウディA4によって活躍したフレッド・スタルダーにスイススピリットの活動について相談した。スタルダーは、2001年と2002年フランスのROCに加入していた時、レイナード01Q/VWによってLMP675クラスで勝った。ROCはアウディスポーツと非常に近い関係にあることはご存じだろう。スタルダーはアウディスポーツと交渉して、R8に積まれた3.6リットルV8ターボエンジンの供給を約束させた。

 2004年以降アウディスポーツは、R8に積まれた3.6リットルV8ターボエンジンを、R8以外のマシンと組み合わせる場合であっても、供給することを否定していなかった。しかし、少々高価だったことから、R8本体同様、アウディスポーツに供給を申し込むチームが現れなかっただけだった。

 アウディスポーツも、自慢のチャンピオンエンジンを、勝手にいじくられたくないため、アウディスポーツによるサポートを含めた契約を、スイススピリットと結んだ。アウディスポーツとスイススピリットの契約は3年間にも及ぶ。

 スイススピリットは、ドライバーとしてデラトレス自身と昨年と同じマルセル・ファスラーが乗り組む。この2人のドライバーを見ても、充分なポテンシャルを持っているだろう。

 10年前、BPRとルマンを闘うマクラーレン“F1”GTRの1台が、フランク・ミューラーの支援を受けていたのを覚えているだろうか? そう、あの時と同じパッケージングと考えると判り易いだろう。
 もし、デラトレスが、充分なチーム体制を構築することが出来、早期に開発に取り組みことが出来るのであれば、童夢やペスカロロにとって、強力なライバルとなることは間違いないだろう。



1月28日
●アウトウニオン TypeDがオークションへ出品される
128photo.jpg

Photo:AUDI AG
 写真は、昨年10月ニューヨークで行われた、ルマンで優勝したR10TDIのPRイベントの際、エマニュエロ・ピロのドライブで走行するTypeD。今回オークションに出品されるクルマそのもの。

 アウディが、戦後ドイツの自動車メーカーの幾つかが統合を繰り返した結果誕生したことはご存じだろう。その中心は、戦前メルセデスの対抗馬としてGPレースで活躍したアウトウニオンだった。

 最初アウトウニオンGPレースカーは、あのフェルディナンド・ポルシェによって開発されている。
 1932年に創設されたGPカーのレギュレーションは、俗に750kgルールと呼ばれるように、最大の車重が750kgに制限されるだけで、エンジンを含む、それ以外に何も制限を設けなかった。
 50年後のグループCレギュレーションを思い出した方々も多いことだろう。

 750kgルールを研究したフェルディナンド・ポルシェは、闇雲に高回転を求めず、たった4,500rpmで運転する、バンク角45度のV16を開発することとなった。その代わり大排気量を追求していた。
 最初のTypeAに搭載されたモデルでも4,358ccもあり、1937年のTypeCでは6,330ccまで拡大された。
 ポルシェは、この低回転型45度V16をミッドシップに搭載した。
 そして、メルセデスとの激戦が繰り広げられることとなった。

 メルセデスとアウトウニオンによる過当競争の結果、あまりに高出力になり過ぎたことから、1938年に排気量が3リットルに制限されることとなった。
 その結果誕生したのが、3リットルV12を積むTypeDだった。

 Sports-Car Racing AUDI Specialに掲載されたアウトウニオンストーリー「忘れられた、もう一つのシルバーアロー伝説」は、どうして、バンク角45度のV16が開発されたのか? そして、ボアピッチからクランクシャフト、そしてコンロッドの構造に至るまで、追求しています。60度V12も同様です。
*注:Sports-Car Racing AUDI Specialを参照してください。

 元祖シルバーアローの壮大なストーリーは、AUDI Specialの特集を読んで頂くとして、アウトウニオン自体は、旧東ドイツ地域に拠点を構えていたことから、戦後、そのほとんどの設備とマシンは、旧ソ連によって持ち去られている。アウトウニオンについて取材を行う段階で、我々の感覚では、南太平洋の島から、第二次世界大戦の零戦の残骸を掻き集めて、それを再生させるのと同じように、旧ソ連に何度となく足を運んで、アウトウニオンGPレースカーを探し出して、復活させた人物の存在を知った。
 それがアメリカ人のポール・カラシックだった。

 ポール・カラシックは、ほとんどの場合、残骸同然か、部品として放置されていたアウトウニオンGPレースカーを一つ一つ発見した。中にはTypeDのように、低回転型エンジンの特徴を活かして、トラクターとして使われていた例もあった。ポール・カラシックは、数台のアウトウニオンGPレースカーを西側に運び出すことに成功した。

 これらのアウトウニオンGPレースカーは、イギリスのレストア工場に持ち込まれて、アウディの協力によって、次々と復活した。もちろん、幾つかの部品だけが発見されただけで、足りないモノの方が多かったり、例え見つかった部品でも、使い物にならない場合も多かったことから、それらを基にしたり、アウディが発見した図面や資料を基にして、たくさんの部品を新たに作り直さなければならないこともあった。

 これらのアウトウニオンGPレースカーは、ラグナセカやグッドウッド等、世界中のイベントで走り回ったことから、その姿をご覧になった方々も多いことだろう。

 ポール・カラシックが再生したアウトウニオンGPレースカーの内、何台かはアウディが買い取り、又アウディ自身も、レストアのために新造した部品を使って、レプリカを何台か作っている。
 しかし、ポール・カラシックも高齢であったことから、再生されたアウトウニオンGPレースカーの中で、アウディが買い取らなかったマシンは個人のコレクターに売却されている。

 それらの内の1939年モデルのTypeDは、昨年からクリスティーズのオークションに出品されることが噂されていた。たぶん、値段をつり上げるため、故意に流された情報なのだろうが、2月パリで開催されるレトロモビルのクリスティーズのブースで、そのオークションは行われることが決定した。
 世界でたった2台しか存在しないTypeD、であることから、驚異的な価格が予想されている。

 昨年噂が流れた理由は、ポール・カラシックから1939年型TypeDを買った現在のオーナーが、アウディに買い取るよう、要求していたためらしい。
 1939年型TypeDに付けられた価格は13億円以上と言われている。
 博物館や大企業であれば、10億円以上の歴史的遺産を買い取ることも可能だろう。しかし、それに相応しいアウディ自身は、TypeDを1台所有しているだけでなく、TypeDにTypeCの45度V16を積み、ダブルタイヤを履くTypeC/Dと呼ばれるヒルクライムモデルも所有している。最も望まれるオリジナルTypeCや、スピード記録に挑戦したTypeCストリームライナーは、アウディ自身が作ったレプリカ(と言ってもオリジナルに忠実な新車と言うべき)を所有している。

 TypeCやTypeCストリームライナーが、カラシックも発見出来なかった、旧ソ連の農家の納屋から発見されれば、アウディも13億円を工面するだろうが、既に1台所有しているTypeDに対して、13億円を捻出しなかった。
 その結果、1939年型TypeDはオークションに出品されることとなった。

 アウディは、このオークションに際して、実際にオークションが行われるパリのレトロモビル会場で、一足先に2月12日、アウディ自身が所有する1938年型TypeDを展示する他、オークションにかけられる1939年型TypeDは、1月25日アウディ・フォーラム・ニューヨークで展示される。

 何処かの博物館が買い取るのか? それとも誰も買い手が現れないのだろうか?


1月22日〜24日
●ALMSセブリングウインターテスト最終結果

3日目(SESSION5+SESSION6+SESSION7)
1 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分46秒983
2 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒006
3 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒166
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分47秒386
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分48秒388
6 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分48秒481
7 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分01秒678
8 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分02秒482
9 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒480
10 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒755
11 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒563
12 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒253
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒602
14 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分06秒403

2日目(SESSION3+SESSION4)
1 No.6 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒219
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒447
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒652
4 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分48秒207
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒391
6 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分49秒493
7 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分49秒940
8 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分54秒426
9 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分01秒944
10 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒446
11 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒689
12 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒863
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒029
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分04秒287
15 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒312
16 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒717
17 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒730
18 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒006

1日目(SESSION1+SESSION2)
1 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒228
2 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分49秒894
3 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分50秒156
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分50秒747
5 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分51秒750
6 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分52秒472
7 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分55秒614
8 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒423
9 No.45 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒607
10 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒474
11 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒524
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分05秒616
13 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒960
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分07秒068
15 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒185
16 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 4分26秒848

1月24日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト3日目午後(SESSION7)
 最後に笑ったのはダイソンポルシェだった
124photo10.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 最後の最後になって、ベテランのアウンディ・ウォーレスがドライブするダイソンポルシェがトップタイムを叩き出した。たった1週間前にデリバリーされ、そのシェイクダウンだったにも関わらず、老舗ダイソンとウォーレスは素晴らしい仕事を成し遂げた。

 今回のテストは、2日目と3日目、ALMSの走行の合間をぬって、チャンップカーのテストがショートコースで行われています。パドックから遠い、通常使われないエリアに仮設ピットを設けてテストを行っているため、わざわざ、そこまで行かないと、チャンプカーの状況を知ることは出来ませんが、午後チャンプカーの2回目の走行が始まった頃、一旦雨は止みました。しかし、空模様は不安定なままであることから、SESSION6で、リシーのフェラーリを破ってGT2クラスのトップタイムを記録したタッフェルレーシングは、テストを切り上げて、店じまいしてしまいました。

 ペンスキーは余裕なのでしょうか、最後のセッションとなっても、エマニュエル・コラールが、相変わらず新しいカナードウイングのテストを続けています。ちなみに、この途中で折れ曲がったカナードウイングは、今日初めて使ったのでなく、昨日も途中で付け替えて走っていたそうです。
 空模様はともかく、気温が低いことと、3日間走り続けて路面のラバーグリップが乗ってきていることから、好タイムが出やすい状況は変わりません。

 アキュラ勢は、セッティングがまとまってきたフェルナンデスローラにはエイドリアン・フェルナンデスが育てたルイス・ディアスが乗り組み、常にタイムアタックの体制です。多少解消されたと言っても、激しいピッチングに苦しむAGRとハイクロフトのクラージュもタイムアタックを続けています。

 ポルシェ勢では、ダイソンにアンディ・ウォーレスが乗り組んでタイムアタックの体制です。
 1分47秒前半で闘いは続いています。新しい空力パッケージのテストを行いながらも、エマニュエル・コラールは1分47秒314のタイムを記録していますが、フェルナンデスローラのルイス・ディアスは1分47秒006のトップタイムを叩き出しました。しかし、それ以上タイムアップする気配はありません。

 セッション開始30分過ぎから心配された雨が降り始めました。ちょうどその時、アンディ・ウォーレスの操るダイソンポルシェが、1分47秒の壁を破る1分46秒983を記録しました。
 もちろん、その後、誰もアンディ・ウォーレスのタイムを破ることは出来ませんでした。
 ポルシェvsアキュラの最初の闘いは、ポルシェに軍配が上がりました。

SESSION7
1 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分46秒983
2 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒006
3 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒314
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分47秒386
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分48秒486
6 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分50秒456
7 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒212
8 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒317
9 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒602
10 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分04秒171
11 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒563
12 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分08秒943

1月24日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト3日目昼(SESSION6)
 フェルナンデスのローラ/アキュラがポルシェを破った
124photo9.jpg124photo7.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 アキュラの開発のテンポは非常に速いようだ。昨日のクラッシュによって、急遽交換した左サイドボディに注意。右はフェラーリを破ってトップタイムを記録したタッフェルポルシェ。やっと997GT3RSRが速さを発揮し始めたようだ。GTクラスのポルシェの場合、セブリングの荒れた路面によって、こんな状況に陥ることも珍しくない。クラージュ/アキュラにとって、セブリングは最も苦手とするコースかもしれない。

 テスト最終日は、3つのセッションに分けてテストは行われます。夕方のセッションが雨となる可能性が高いことから、昼に行われるセッション6が事実上最後の走行となる可能性が出てきました。気温は低いままであることから、タイムアップのチャンスでもありました。

 走行開始15分過ぎ、フェルナンデスのローラ/アキュラが1分47秒503を記録して、初めてポルシェ勢を上回ることに成功しました。タイム的には平凡ですが、ポルシェ勢に大きな刺激を与えました。

 その段階でペンスキーは、午前中に続いてローダウンフォースペッケージのテストを継続していましたが、大急ぎで大きなカナードに付け替えました。しかし、フェルナンデスのタイムを破るだけが目的ではないようで、昨日までとは違う、途中で角度が変わる複雑なカタチのカナードを取り付けています。

 これで、直ぐにポルシェがアキュラを上回るものと思われましたが、ペンスキーの目的は新しいカナードの空力特性にあるようで、しばらくピットインを繰り返しながら走行をしています。ところが、セッション終了まで残り20分となった時、心配された雨が降り始めました。

 慌ててペンスキーもタイムアアタックに入りました。隣のダイソンのピットでは、クリス・ダイソンからアンディ・ウォーレスに交代して、こちらもタイムアタックを開始しました。
 もちろん、3台のアキュラ勢も次々とタイムアタックに入りました。

 しかし、路面コンディションが悪いようで、タイムアップすることが出来ません。
 それでも、ペンスキーポルシェは最後の1周で1分47秒564までタイムアップしましたが、6/100秒差でフェルナンデスのローラ/アキュラに破れることとなりました。

 GTクラスは、タッフェルレーシングのポルシェ997GT3RSRが、昨日リシーのフェラーリが記録した2分1秒944を0.3秒破ってトップに立ちました。
 現在ほんの少し雨が降っているため、夕方のセッションでタイムアップすることは難しい状況です。
124photo8.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 カナードウイングが、途中で折れ曲がっているような複雑な形状であることに注意。

SESSION6
1 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒503
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒564
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分48秒045
4 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分48秒388
5 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分48秒537
6 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分49秒826
7 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分01秒678
8 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒480
9 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分02秒549
10 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒755
11 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒253
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分05秒079
13 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分06秒403
14 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分07秒432


1月24日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト3日目午前(SESSION5)
 アキュラ躍進   ポルシェはローダウンフォースパッケージをテスト
124photo5.jpg124photo6.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 RSスパイダーのノーズ左右に取り付けられたカナードウイングが、昨日までのものと違って、非常にコンパクトであるのに注意。セブリングで絶対使われることがない、ローダウンフォースパッケージをテストした理由は不明。フェラーリを破ってGT2のトップタイムタッフェルレーシングは、新規参入組ながら、7,000万円もする997GT3RSRを2台もセブリングに持ち込んできた。

 テスト最終日となって、気温が下がったことから、好タイムが出易い状況となった。しかし、ポルシェ勢はRSスパイダーの速さに満足したのか、ペンスキーはNo.6を引っ込めて、3日間走り続けているNo.7を使って、ローダウンフォースパッケージのテストを始めた。ダイソンも、一応セッティングを見出したようで、主にクリス・ダイソンが乗り組んで、連続走行を行っている。

 対するアキュラ勢は、昨日までと違って、やっとピッチングを解消するセッティングの糸口を見出したようで、低い気温もあって、フェルナンデスとAGRは共に1分47秒台を記録した。

 GT2クラスは、ラップタイムはそれほどでないものの、ポルシェが初めてタイムボードのトップに躍り出た。トップタイムを記録したのは、今年新たに参戦するドイツのタッフェルレーシングの997GT3RSRで、間にリシーのフェラーリを挟んで、3位にも、もう1台のタッフェルポルシェが入り込んだ。
 しかし、その差は僅かで、気温が下がって、速いラップタイムが出易いコンディションにも関わらず、昨日リシーのフェラーリが記録したベストタイムより1秒遅い。

SESSION5
1 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒166
2 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分47秒282
3 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分47秒520
4 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒885
5 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分48秒481
6 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒071
7 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒198
8 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分02秒482
9 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒704
10 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分03秒253
11 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒907
12 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒917
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒386
14 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分19秒792



1月24日 **フロリダ時間
●アキュラの野望

124photo2.jpg124photo1.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 写真はハイクロフトのクラージュLC75、昨年4月の発表会で展示されたシャシーそのもの。アキュラV8はインディV8をベースとして開発されている。ミッションはオリジナルと同じヒューランド製だが、ザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムが組み合わせられている。タイヤの影に半分隠れているが、手前のエキゾースト後方がそれだ。*注:右のエンジン写真はフェルナンデスローラのもの。

 23日ホンダHPDは、アキュラP2プログラムを正式に発表した。既報通りフェルナンデス、アンドレッティ/グリーン(AGR)、ハイクロフトの3つのレーシングチームがローラとクラージュを走らせる。2006年4月、このプログラムが最初に公表された時、HPDは「このプログラムは、将来エンジンとシャシーをパッケージとしたP1プログラムに進化させ、ALMSだけでなくルマン24時間レースをも視野に入れている」と公表している。つまり、現在のP2プログラムは、それに続く勉強段階であるとも言える。

 このような事情から、P2プログラムで使うシャシーはどれでも良かったのかもしれないが、一応、その時点で販売されていたクラージュとローラを買い入れた。ちなみに、最初にHPDのテスト用として買って、昨年4月の発表会で展示されたクラージュもあったことから、ハイクロフトに、そのシャシーを貸し出すこととなって、結局クラージュLC75を2台、ローラB06-43を1台走らせることとなった。

 ハイクロフトは、ダンカン・デイトンが設立したレーシングチームだが、アキュラプログラムについては、ダニー・サリバンがシニアアドバイザーに就任している。
 将来の勉強と割り切ったとしても、童夢やペスカロロを買うのと違って、ローラとクラージュを熟成させるため、アキュラは大きな苦労をしているようだ。

 もちろん、インディ用をベースとした3.4リットルV8は素晴らしいパワーを発生している。同時に最初の段階でシステム開発にも取り組んでおり、それぞれ違うミッションであっても、3台のマシンにはザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムが盛り込まれている。

 たくさんのプライベートチームにデリバリーされたように、ローラの最大の特徴は、それなりのチームであれば、大きな不具合はなく走らせることが可能なことだ。しかし、汎用マシン故、昨年のダイソンがそうだったように、ローラを性能向上させようとすると、容易に限界に直面する。

 それに対して、クラージュの場合、走らせることそのものが難しく、ザイテック製のパドルシフトシステムが無ければ、まともに走ることも不可能だったことだろう。

 ローラとクラージュは、充分詰めた空力開発が行われてないこともあって、セッティングを進めると、ピッチングの発生に悩ませられることとなる。
 セブリングのような、コンクリート舗装のコースの場合、過大なピッチングに悩ませられる。今回のテストでも、ローラは多少マシだったかもしれないが、2台のクラージュは過大なピッチングに苦しんでおり、特にAGRのクラージュは走らせる限界と言えるような状況だった。

 元々、この壮大なプログラムのため、アキュラ自身がニック・ワースを雇って、スポーツカーの空力の開発を行う計画だった。その最初のプログラムとして、ニック・ワースは、ローラとクラージュの空力の改良に取り組んでいるらしい。空力改良プログラムは、インディカーで使われている北アメリカの風洞でなく、ニック・ワース主導によってイギリスで行われている。

 テスト1日目、ハイクロフトのクラージュに見られたオイル漏れは些細な問題だったようで、ミッションそのものは正確に作動しているらしい。
 サスペンションについても、独自に研究を開始しているらしいが、こちらについては、明確な方向の情報を得ることが出来なかった。しかし、ローラの開発にも関わったマルティマチックのエンジニアがやって来ていたことから、もし、彼がローラから依頼されて来たのでなければ、マルティマチック本体か、傘下のダイナミックによって、サスペンションの開発は行われるのだろう。

 開発のテンポは速く、昨年のMテックやスイススピリットのような苦労は既に通り過ぎている。
 過大なピッチングと闘うAGRは不幸としか言いようがないが、テスト2日目フェルナンデスのローラは1秒タイムアップして、ポルシェ勢の1秒差まで追い上げている。

 サム・コリンズ経由でニック・ワースからの情報を得たが、ローラとクラージュの違う2つのクルマの空力を改良するのは難しいと言う。どちらが優れているとは語ってないが、主としてクラージュの改良に取り組んでいることを明らかとしている。
 今後の進歩に期待したいプログラムであることは間違いないだろう。

124photo3.jpg124photo4.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 左がAGRのクラージュLC75、右がフェルナンデスのローラB06-43。ポルシェ勢と比べると、大きなダウンフォースを得るため、クラージュには異様に大きなカナードが、ローラには左右2枚ずつカナードが追加されている。



1月23日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト2日目(SESSION3+SESSION4)
 フェルナンデスのローラ/アキュラ及ばず  ポルシェRSスパイダーの速さ変わらず
123photo5.jpg123photo6.jpg
Photo:Sports-Car Racing
 ライアン・ブリスコーの乗るRSスパイダーがトップを維持した。3月のセブリング12時間では、昨日テスト初日に走ったエリオ・カストノネベスもペンスキーのRSスパイダーに乗り組む。右は先週デリバリーされたダイソンのRSスパイダー。アンディ・ウォーレスとクリス・ダイソンによって、ペンスキーと遜色ないタイムを記録した。


 RSスパイダーの速さは、2日目午後となっても変わらない。既に空力セッティングは完了したようで、3台総てが1分47秒台で順調に走行を続けている。トラブルフリーであるのも大きな戦力だろう。

 アキュラ勢は、1日目終盤、残り30分の時点で、ルイス・ディアスのドライブするフェルナンデスのローラがクラッシュしてしまった。幸いディアスの身体に別状はなかったが、右サイドボディを破壊してしまったことから、2日目はカラーリングしてないスペアカウルを装着して走ることとなった。
 アキュラ勢では、このフェルナンデスのローラがもっとも開発が進んでいて、ポルシェ勢には及ばないものの、2日目午後になって1分48秒台まで1秒ほどタイムアップした。

 GT2は、相変わらずリシーのフェラーリ430が速さを見せつけている。

SESSION3+SESSION4
1 No.6 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒219
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒447
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒652
4 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分48秒207
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒391
6 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分49秒493
7 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分49秒940
8 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分54秒426
9 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分01秒944
10 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒446
11 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒689
12 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒863
13 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒029
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分04秒287
15 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒312
16 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒717
17 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒730
18 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒006


1月23日 **フロリダ時間
●GT2はフェラーリがトップ  
 1日目はPTGパノスがトップ  14インチタイヤを履くポルシェ997はフェラーリの1秒遅れ
123photo2.jpg
Photo:Sports-Car Racing

 今回のテストで、ポルシェ997GT3RSRがデビューした。昨年FIAGTとALMSのGT2クラスは、共にフェラーリ430が輝き、ルマンではパノスがGT2クラスを勝ち取った。そのため、新しい997GT3RSRの速さに注目が集まっていた。
   GT2レギュレーションは、1,200kg以上の車重を選択した場合、2インチ太い14インチ幅のタイヤの使用を認めている。選択可能な最も軽い車重は1,125kgであるから、従来ほとんどのクルマは1,125kgの車重を選択していた。ところが、ポルシェは100kg重い車重にメリットを見出したようで、997GT3RSRは1,225kgの車重で登場した。

 1,200kg以上の車重を選択した場合、2インチ太い幅14インチのタイヤを使用出来るだけでなく、重りを積んでクルマの重量バランスを調整することが可能となる。ポルシェは、基本的にテイルヘビーなリアエンジンで、軽量化を進めるほど、この傾向は強まる。逆に重い車重を選択した場合、重りを積むことが出来ることから、重量バランスを改善することが可能となる。

 このような事情から、少なくともポルシェの場合、1,225kgの車重はメリットだった。
 誰だって、997GT3RSRに期待したことは言うまでもないだろう。

 ところが、昨日GT2クラスのトップタイムは、PTGが走らせるパノスがマークした。ご存じのように、PTGは、昨年まで北アメリカにおけるBMWの事実上のセミワークスチームで、その有能なPTGが走らせるため、こちらも期待が集まっていたが、ヨコハマタイヤを履き、予想通りの速さを披露した。

 今日になってジョゼッペ・リシーのフェラーリ430が走り始めると、リシーのフェラーリが、新型ポルシェとアドバンカラーのパノスを抑えて、あっと言う間にトップタイムを更新してしまった。

 P2のポルシェRSスパイダーほどではないが、リシーのフェラーリ430の速さも圧倒的と言うべきで、常にライバル達を1秒以上引き離す速さで走り回った。

 今年ALMSのGT2クラスは、ポルシェ、フェラーリ、パノスの三つ巴の状況で、従来ポルシェを走らせて活躍していたピーターセンとホワイトライトニングの連合軍もフェラーリを導入している。激しい闘いがシーズン終了まで繰り広げられることだろう。

123photo4.jpg123photo3.jpg
Photo:Sports-Car Racing

1月23日 **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト2日目午前(SESSION3)
 RSスパイダーの速さは本物 ポルシェの黄金時代復活か!

123photo1.jpg
Photo:Sports-Car Racing

 2日目になって、昨日走らなかった2台目のペンスキーポルシェとジョゼッペ・リシーのフェラーリが登場したため、コース上は18台のスポーツカーによって賑わうこととなった。

 昨年のALMSは、P2クラスのポルシェRSスパイダーがアウディを破って総合優勝したこともあるように、優秀なマシンを有能なレーシングチームが走らせるのであれば、P2カテゴリーであっても、P1カーを破って総合優勝出来る不思議な状況だった。ACOはこの状況を是正することを決心して、明確にP1>P2>GT1>GT2となるよう、各クラスに1.5%の速さの差を設けることを目的として、リストリクターの大きさに5%の差を付けることとなった。そのため、2007年のレギュレーションでは、P1クラスのリストリクターは変わらないが、P2クラスは、NAエンジンの場合、従来44mm×1→42.9mm×1に、ターボエンジンの場合43mm×1→42mm×1まで小さくされている。リストリクターの直径が44mmから42.9mmまで小さくなった場合、大体30馬力程度パワーダウンすると考えられている。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

 つまり、2006年より遅くなることが見込まれていた。ところが、2007年バージョンのRSスパイダーは、遅くなるどころか、去年よりも明らかに速くなっている。

 去年の3月のセブリング12時間の際、2006年バージョンのRSスパイダーは、予選で1分47秒台のタイムを記録している。ところが、2007年の場合、不安定なコースコンディションでありながら、1月のウンターテストの段階で去年の予選タイムを破ってしまった。しかも、ダイソンを含む3台総てが、同じような速さで走り回って、アキュラ勢に2秒の差をつけているのだ。20年前の962の時代が復活したと判断しても間違いないだろう。

SESSION3
1 No.6 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒280
2 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒500
3 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分47秒652
4 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分49秒346
5 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分49秒391
6 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分49秒493
7 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分50秒032
8 No.62 Risi Competizione Ferrari 430GT Berlinetta 2分01秒944
9 No.45 FryingLizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分02秒446
10 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒689
11 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分03秒863
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒029
13 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒312
14 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒717
15 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒730
16 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分04秒793
17 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分11秒983
18 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 2分42秒057

1月22日  **フロリダ時間
●セブリングウインターテスト1日目   ポルシェがアキュラを圧倒

122photo1.jpg
Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ3日間にわたって行われるセブリングのウインターテストがスタートした。
 17台が参加を申請したが、リシーのフェラーリとペンスキーの2台目のポルシェRSスパイダーを除く総てのチームが1日目から走行を開始した。

 午前8時最初のセッションが開始されると、真っ先に3台のアキュラ勢がコースインした。既に数回のテストを行っているが、まだ、完全に熟成された訳ではないようで、順調に走行を続けたのはフェルナンデスのローラだけで、アンドレッティ/グリーンとハイクロフトのクラージュは、しばしばピットに張り付くこととなった。本当の原因は未確認ながら、事実上のシエイクダウンとなったハイクロフトのクラージュ/アキュラは、ミッション付近からオイルが漏れており、もしかしたら、昨年ヨーロッパで走ったクラージュ/無限がそうだったように、ミッショントラブルを解消出来ないでいるのかもしれない。

 と言っても、フェルナンデスのローラ/アキュラが順調な訳ではなく、クラージュのようなトラブルが無いだけで、しばしば、ピットインして、サスペンションセットの変更に精を出すこととなった。

 アキュラ勢は、3台共パドルシフトシステムを電磁石を使ったザイテック製を導入しており、アキュラV8と統合してコントロールされている。実績のあるザイテック製パドルシフトを、アキュラのエンジニアが、それ専用で開発していることから、パドルシフトそのものは正確に作動している。クラージュ/アキュラの問題は、昨年のクラージュ/無限と同じようなものかもしれない。

 ペンスキーのポルシェRSスパイダーは、ポールリカールで走った後フロリダに送られ、10日前既にセブリングでテストを行っている。そのため、既に初歩的な開発は終了しており、早くも、より早く走るため、サスペンションと空力のセッティングを詰め始めている。
 今回のテストは、ドライバーを明らかにしないで参加しており、インディチームのドライバー達もステアリングを握るらしい。最初の走行は、エリオ・カストロネベスが乗り組んだが、しばしばピットインを繰り返して、細かなセッティングを試みながらも、1分49秒台を記録して、その速さを見せつけた。

 RSスパイダーの最初のカスタマーカーは、先週ダイソンに納品された。バイザッハでRSスパイダーを受け取ったダイソンは、早くもセブリングに乗り込んできた。
 もちろん、バイザッハのテストコース以外を走るのは、今日が初めのハズだが、最初から絶好調で走り回って、アンディ・ウォーレスは、あっと言う間に1分50秒台のタイムを記録した。

 午後1時から2回目のセッションが開始されたが、開始早々にわか雨が降ったことから、インタースポーツのクンホタイヤを履くローラが1周しただけだった。2時過ぎに雨が止んだが、夕方には路面が乾くことが予想されたことから、ハイクロフトのクラージュ/アキュラだけが、テスト不足を補うため、レインタイヤを履いて走っただけだった。

 ハイクロフトは、ダイソンで活躍したダンカン・デイトンが設立したレーシングチームで、2007年はデイトンと共に、デビッド・ブラバムとステファン・ヨハンソンが乗り組む。ドライバー陣を見ても明らかなように、ダークホースとして期待されている。

 3時過ぎコースが乾いてくると、次々にテストを再開した。

 実を言うと、午前中大変なことが起こっていた。今回のテストはIMSAが主催する公式テストであるから、トランスポンダーと呼ばれる計測器を各車に装着することが義務付けられている。ところがペンスキーをはじめとする幾つかのチームは、計測器の装着を拒否した。そのため、フェルナンデスを除く総てのトップチームがトランスポンダーを積まないで走行することとなった。

 この理由は、最近IMSAが行っている性能調整にあるらしい。昨年のアウディがそうだったように、速いことが判明した場合、直ぐに重りを積まされたり、逆にライバル達の車重を軽くされてしまう。その理由を少しでも作らないため、このような行為に出たらしい。

 北アメリカで最有力のレーシングチームであるペンスキーであるから、IMSAも直ぐに拒否出来なかったのだろうが、午後になるとIMSAの説得を受け入れ、ペンスキーをはじめとする総てのトップチームがトランスポンダーを装着して走行することとなった。

 やはり、予想されたように、2007年モデルのポルシェRSスパイダーの速さは圧倒的だった。ペンスキーのRSスパイダーは、雨上がりのコンディションでありながら、1分47秒228で走ってしまった。事実上のシェイクダウンテストだったダイソンでさえ1分49秒台だった。アキュラ勢はフェルナンデスのローラとアンドレッティ/グリーンのクラージュが1分50秒台で、走り始めたばかりのハイクロフトは1分52秒台で、完全にポルシェに完敗することとなった。
122photo2.jpg
Photo:Sports-Car Racing

1 No.7 Penske Motorsports, Inc Porsche RS Spyder P2 1分47秒228
2 No.16 Dyson Racing Team Porsche RS Spyder P2 1分49秒894
3 No.15 Lowe's Fernandez Racing Lola B06-43/Acura P2 1分50秒156
4 No.26 Andretti Green Racing, Inc CourageLC75/Acura P2 1分50秒747
5 No.37 Intersport Racing Lola B05-40/AER P2 1分51秒750
6 No.9 Highcroft Racing CourageLC75/Acura P2 1分52秒472
7 No.12 AutoconMotorsport Lola EX257(LMP675) P1 1分55秒614
8 No.21 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分04秒423
9 No.45 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分04秒607
10 No.71 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒474
11 No.85 FambacherLoles Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒524
12 No.22 Panoz Team PTG Panoz Esperante GT-LM GT2 2分05秒616
13 No.44 Frying Lizard Motorsport Porsche 911GT3RSR(997) GT2 2分05秒960
14 No.54 Team Trans Sport Porsche911GT3RSR(997) GT2 2分07秒068
15 No.53 Robertson Racing, LLC Panoz Esperante GT-LM GT2 2分09秒185
16 No.73 Tafel Racing Porsche 911GT3RSR(997) GT2 4分26秒848


1月21日
●ACOが今年のルマン24時間レースのセレクションエントリー24台を発表  マセラッティは無し!
 ヴィータフォンはペスカロロを走らせる!?
121photo1.jpg
Photo:FIAGT

 様々な意見を取り入れ、ACOは2007年のルマンへ参加可能なチームの選定を試みている。最も新しい決定は、1ヶ月前FIAGTの2つのクラスの上位2台ずつの招待を認めたことだった。ところが、2006年のFIAGTのGT1クラスのチャンピオンは、ヴィータフォンが走らせたマセラッティMC12だった。マセラッティMC12は世界中のどのホモロゲイションも持たないGTレースカーで、様々なハンデを課した上で、特別にFIAGTへの参加を認められた。そのため、ACOが、自分達が作ったレギュレーションに反するクルマのエントリーを認めたのか? 世界中で注目を集めていた。
 しかし、ACOはFIAGTの各クラスの上位2チームの参加を認めただけであって、マセラッティMC12の参加を認める、とは一言も言ってなかった。
 そして、これらの条件を加味して、ACOは2007年のルマンが選択した、最初の24台を公表した。詳しくは下記のACOのリストを見てもらいたいが、やはりマセラッティMC12の名前はなかった。

http://www.lemans.org/24heuresdumans/live/ressources/pdf/selectionnes_office_24heures2007_fr.pdf

 このリストが興味深いのは、バラジ-イプシロンのマシンがクラージュC65となっていることだ。バラジ-イプシロンは、昨年のLMSのP2クラスのチャンピオンで、2007年新たにザイテック07Sを導入することが決まっている。第一ハイブリッドカーのクラージュC65が走れるのは2006年までで、2007年ルマンとLMSで走ることは出来ない。

  ACOのレギュレーションブックによれば、選択された条件が変更される場合、その資格を失う旨が記載されている。しかし、2007年の場合選定条件のクルマが使えない以上、この条項は機能しない。
 実際にチームがエントリーして、次回エントリーリストが公表される際、バラジ-イプシロンのマシンはザイテック07Sに変わっていることだろう。

 もう1つの興味深い点は、ALMSのP2クラスのチャンピオンであるペンスキーのポルシェRSスパイダーの名前が存在しないことだろう。
 ペンスキー自身はルマンへの参加に興味があることを明らかとしている。ところが、ポルシェのRSスパイダープロジェクトは、北米ポルシェ主導で進められており、ペンスキーは、RSスパイダーを熟成するため、北米ポルシェに雇われている。つまり、ルマンは管轄外のレースである。

 第一、当初注文が殺到することが予想されたため、当初RSスパイダーを走らせるチームは、北米ポルシェの管轄であるALMSへ全戦参加すると共に、2007年のルマンへ参加しないことを求められていたほどだった。その後、高価格故、RSスパイダーの販売は停滞しているため、この条件は取り下げられたが、北米ポルシェの要請で作ったクルマを、ポルシェ自身がヨーロッパで走らせる計画は存在しない。

 アキュラがルマンへ遠征するようなことでもない限り、ポルシェにとって、ペンスキーのRSスパイダーを積極的にルマンで走らせる理由は見いだせないだろう。

 明日から始まるセブリングのウインターテストについて、イギリスからやって来たジョン・ブルックスと情報交換したところ、彼はイギリスを発つ前、あるコンストラクターから、ヴィータフォンについて面白い計画を聞かされたと言う。このコンストラクターの名前は言うべきではないだろうが、イギリスに存在して、トップレベルのGTレースカーを生み出している。こう言うと、2つに絞られるから、名前が判った方も居るだろう。ジョンおじさんによると、2007年のヴィータフォンはミシュランと共にプランを練っている段階で、ペスカロロを走らせることがほとんど決定していると言う。

 しかし、ペスカロロは、6台目として、バラジ-イプシロンのクラージュC65をアップデイトさせる計画を公表したばかりだ。新しいモノコックは6つだけが作られる予定で、7台目の存在は明らかでない。
 そのため、ヴィータフォンがどうようなカタチでペスカロロと関わるのか? 不可解な部分が存在する。
 この計画が実現するのであれば、ペスカロロ陣営は強力な援軍を得ることとなるだろう。

**1月9日、1月10日関連記事有り

1月20日
●SLC(スーパーライトカーズ)の正体
120photo.jpg
CAD image:ZYTEK
 ザイテックから手に入れた違うCADイメージをご覧ください。青い部分が07Sで新たに作られる部分。1月18日のNEWSで掲載したCADイメージと併せて見ると、同時にサイドポンツーン上面を低く作り替え、06Sのコンセプトである、フロントフェンダーとノーズの間から、床下の空気をボディ上面に排出し易くしているのが判る。

 1月18日付けNEWSで、ザイテックが、新しい07Sのモノコックをスーパーライトカーズに委託したことを掲載しました。その段階で当方は、スーパーライトカーズの正体を把握してなかったことから、調査中と記載したところ、読者の方から、スーパーライトカーズについての情報が寄せられました。

 読者の方からの情報と重複する内容でしたが、Racecar engineeringのサム・コリンズからも、簡単な情報を得られたため、追記したいと思います。

 スーパーライトカーズとはSLCの名前で知られる、どちらかと言うとレーシングチームです。プロストGPが崩壊した時、ばら売りされた施設の一部を買い取ったグループによって、あるいは、そのグループの獲得した設備を活用して活動しているようです。設立は2004年ですが、早くも2005年最初の作品であるR1 F3を作り上げて、ユーロF3へ挑戦しています。

 プロストGPの施設を手に入れたグループは1つだけではありません。そのため、SLCの正確な内容は、現在でも完全に判明した訳ではありません。しかし、その読者の方のアドバイスによって調べたところ、イタリアのATRグループの一員であることが判りました。ATRグループのホームペイジによると、SLCの担当はエンジニアリング、レース、そして、ロードカーであると記載されています。

 クラージュLC70系のモノコックとボディカウルがATRによって製作されたことは知られています。ダラーラも、大量に製作するF3やワンメークフォーミュラのカーボンコンポジットパーツの製作をATRに任せています。ですから、SLCのR1 F3のモノコックはATR製と考えるのが自然です。

 そこで、サム・コリンズのマシンガントークを覚悟しながら、イギリスまで再度連絡したところ、ザイテックは、SLCに対してモノコックのデザインも含めた開発と製作を委託したことが判明しました。

 つまり、実際にカーボンファイバーを張り込んでオートクレープで焼き上げたのは、SLCでなく、ATRである可能性もあるとのことです。

 と言うことは、柔軟に、P1とP2で違うデザインでモノコックを作るとは考えられません。P1バージョンであっても、07Sが1つのリストリクターを選択した理由もそこにあるように思えます。

**1月18日関連記事有り


1月19日
●ローラマツダ登場   MZR-RエンジンがSUPER GTでも使われる?!
119photo1.jpg119photo2.jpg
Photo/Illustration:Mazda Speed

 先週お知らせしたUSマツダによるALMSのP2プロジェクトが、正式に発表された。
 既報通り、ローラの最新型B07-40を使い、ロータリーでなく、新たにAERと共にマツダスピードが開発する2リットルのレシプロ4気筒ターボエンジンを組み合わせて、BKモータースポーツが走らせる。

 B07-40は、B05-40の発展型として、2年間の経験に基づいて、主に空力について様々なアップデイトが施されたP2カーで、アタッチメントパーツを交換することで、様々なセッティングが可能らしい。

 3月にフロリダのセブリング12時間から始めるALMS全戦への参加を計画している。最終戦は、マツダレースウェイとして知られる北カリフォルニアのラグナセカで行われる。

 ALMSのP2クラスは、ペンスキーとダイソンの強力なポルシェ、そしてUSホンダが大きく関わる3台のアキュラが参加する激戦クラスだ。マツダの本格的参戦によって、一層注目を集めることだろう。

 BKモータースポーツは、2005年末既にシャシーをクラージュからローラに変更することが囁かれていた。その時は、「あくまでもロータリー」との声が大きく、推力軸の高いロータリーエンジンを搭載しながら、最良のシャシーを実現するため、様々なプランが話し合われていた。
 結局ロータリーに合わせたミッションを作るのでなく、エンジンを交換することとなった。

 イラストは、ローラが用意している3面図をベースとして描かれたもので、NAのジャドやザイテック用であるため、リストリクターの位置がターボとは違う。マツダの4気筒ターボエンジンを搭載するBKモータースポーツのマシンは、MGをベースとしたAERのターボエンジンを搭載するマシンと同じく、リアフェンダー前にインテイクが設けられる。

 フォーミュラマツダ用をベースとして、AERが開発する2リットルの4気筒ターボエンジンは、MZR-Rと呼ばれる。MGの4気筒ターボエンジンを開発したAERによって、ギャレット製のターボチャージャーを組み合わせて開発され、500馬力の最大出力と400lb-ftの最大トルクを発生する。興味深いのは、マツダのロードカーでも使われているDISI(マツダ・ダイレクト・インジェクション・スパーク・イグニッション)と呼ばれる直噴システムが使われていることで、アウディR8がそうだったように、巧妙に点火をコントロールすることによって、大きなパワーと良好な燃費を両立することだろう。

 USマツダのプレスレリースを見る限り、マツダは今後もロータリーエンジンを継続すると書かれている。モータースポーツではGrandAmシリーズに参加するRX8を例に挙げている。しかし、当方で直接コンタクトしたところ、USマツダとマツダスピードは、今後MZR-Rエンジンが、様々なスポーツカーレースでも使われることを示唆している。

 排気量2リットルのターボエンジンが活躍出来るカテゴリーとは、ルマンのP2クラスを除くと、それを積むマシンが存在するのであれば、FIAとACOのGT2クラス、そして、日本のSUPER GTのGT300のことだろう。近い将来、MZR-Rエンジンが日本でも使われるのだろうか?

**1月13日関連記事有り


1月18日    **1月20日キャプションを追記
● 2007年のZYTEKスポーツカー
118photo.jpg
CAD image:ZYTEK
 青い部分が07S用として新たに作られる部分、 それ以外のボディカウルは06Sと同じ。開発の手法は童夢S101.5と同じであることが良く判る。


 ペスカロロ、童夢、クリエイションと共に、スポーツカーレースにおける4強コンストラクターの一角を占めるザイテックの2007年の計画がまとまってきたようだ。

 レイナードの遺産を引き継いで、2004年ザイテック自身がコンストラクターとしてスポーツカーレースに関わるようになった。その時から、何らかのカタチで、ザイテックは事実上のワークスチームを参加させてきた。しかし、2007年にザイテックのワークスチームが登場する予定はないようだ。

 2007年ザイテックは、2004年レギュレーションに従って、06Sハイブリッドカーをベースとして開発する07SのP1バージョンを1台、P2バージョンを1台、それぞれカスタマーチームに対して販売する。この2台、そして、日本に送られた04Sのサポートを通じてスポーツカーレースと関わる。

 P2バージョンの07Sは、バラジ-イプシロンがオーダーした。P2バージョンはザイテックの3.4リットルV8が組み合わせられる。ザイテックスポーツカーの原点であるレイナード03Sは3.4リットルV8を積むLMP675カーだったことから、最も活躍が期待出来るパッケージと言えるだろう。

 P1バージョンの07Sのデリバリー先は、発表前であることから、現在のところザイテック自身が公表することは出来ないらしい。昨年終盤のALMSで活躍した06Sハイブリッドカーをベースとして開発され、基本的に同じザイテック製の4リットルV8が組み合わせられる。

 CAD imageをご覧頂くと理解出来るように、07Sは06Sハイブリッドカーをベースとして開発されることから、2,815mmのホイールベース等、基本的なディメンションは変わらない。2004年レギュレーションに従って、新たにスーパーライトカー製のカーボンファイバーコンポジット製モノコックと交換されることが、最も大きな変更点と言えるだろう。
*注:スーパーライトカーは新興のコンポジェットメーカーですが、実体を現在調査中です。

 06Sハイブリッドカーは、直径33.4mmのリストリクターを2つ使用していた。しかし、面白いことに、同じP1バージョンの07Sは、直径46.8mmのリストリクターを1つだけ使用している。

 同じ排気量で義務付けられるリストリクターの面積は、リストリクター表面の摩擦抵抗を考慮して、1つの場合より2つの方が、合計した面積は大きい。しかし、摩擦によるフリクションが問題となるのは、極限のほんの僅かな領域だけであることから、ほとんどの場合、少しでも面積が大きい2つのリストリクターを選択する。近年、童夢S101の最初期バージョンは1つのリストリクターで登場している。その理由は、ボディ外側の空力性能の向上を狙うことが大きな理由だった。

 では、どうしてザイテックは、1つのリストリクターを選択したのだろうか?

 1月17日付けNEWSで、最新のP1カー開発の難しさをレポートしている。その中で、2つのロールバーの剛性を確保するのが難しいことを掲載している。童夢の場合、大きなジャドの5.5リットルV10を搭載することから、エアボックスが高い位置にレイアウトされるため、リストリクターを左右のヘッドレストの間に設けて、ロールバーの土台となるヘッドレスト部分には一切の開口部を設けなかった。

 ザイテックの場合、4リットルの90度V8であるため、エアボックスの高さも低く、2つのヘッドレストの間にリストリクターを設けたら、純粋にその分だけドラッグが増えてしまう。そこで、剛性を下げることなく、ヘッドレストにリストリクターを設けることとなったのだろう。

 童夢がヘッドレストにリストリクターを設けた場合、補強が必要と判断した評価基準は、リストリクターを2つ設ける時だった。1つであれば、ヘッドレストに開ける穴の大きさを半分にすることが出来ることから、剛性の低下を抑えることが可能だった。
 しかも、P1とP2で、2つのリストリクターを備える方は、ヘッドレストに大きな穴を開け、1つのリストリクターの方は、穴の大きさが小さいのであれば、2度クラッシュテストを行わなければならない。
  これらを総合して検討した結果、ヘッドレストに1つのリストリクターを備えることとなったのだろう。

 ロールバーそのものは、童夢やアウディと同じモノコック構造となる。

 06Sハイブリッドカーを作った時、「2段階で完全なP1カーに進化させる」と公表したように、空力コンセプトは06Sを進化させたもので、基本的に06Sと同じボディカウルが使われる。04Sで採用されたザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムもそのまま使われる。

 現在のところ、2月半ばにクラッシュテストを行い、3月末P2バージョンはバラジ-イプシロンに引き渡される。3月25日からのポールリカール合同テストでシェイクダウンを行うのだろう。

 ザイテックを巡る話題としては、電磁石を使ったパドルシフトシステムが非常に好評なことで、ザイテックスポーツカーだけでなく、ビニーモータースポーツのローラB05-40やA1-GP等25セットがデリバリーされている。興味深いのは、アキュラのP2プロジェクトでも採用されたことだろう。
118PHOTO2.jpg118PHOTO3.jpg
Photo:Sprts-Car Racing                         Photo:ZYTEK
 写真左は、ダンパー下のサスペンションアームの間に見えるものが、シフトチェンジを行う電磁石を使ったアクチュエイター。写真右は、ステアリングホイールの裏側左右に取り付けられた、シフトチェンジを行うパドル。



1月17日
●童夢S101.5で学ぶ最新のP1カー開発の苦労
117photo.jpg
Illustration:Dome

 いよいよ、S101.5の開発は最終段階を迎えたようだ。本日童夢は、S101.5の開発状況を完成予想イラストと共に公開した。詳しくは童夢のホームペイジをご覧頂きたい。

 http://www.dome.co.jp/column/dt_53f.html

 Sports-Car Racingでは、2004年レギュレーションによって、エンジニア達が、意外な苦労を強いられていることを中心としてレポートしたいと思う。

 童夢S101.5やペスカロロS1(注:そう呼ぶことが明らかとなった)、ザイテック07S、クリエイションCA-07は、2006年に走ったハイブリッドカーをベースとしたP1カーであることから、これらの開発を行うエンジニア達は、いずれも同じような苦労をしていることが想像出来る。

 Sports-Car Racing Vol.17で掲載したように、2004年レギュレーションで最高の空力性能を実現しようとすると、モノコック前半部分を前後に延ばして、ホイールベース内側に前後に長い大きなディフューザーを設けることが求められる。ところが、モノコックの前側のスペースを大きく取ると、当然ながら、クルマの中でエンジンが存在する位置が後ろ寄りとなって、前後の重量配分は後ろ寄りとなる。

 これだけでも、大きな問題であるにも関わらず、コクピット後方に取り付けられる2つのロールバーによって、大きな剛性を確保するため、さらに苦労を強いられているようだ。

 土台となるヘッドレストやサイドプロテクターを横方向に張り出すのであれば、前後方向のスペースを小さくすることが出来るかもしれない。しかし、横方向に張り出してしまったら、前面投影面積が大きくなってしまう。横方向の張り出しを抑えて剛性を確保するのであれば、土台部分を前後方向に長くすることが求められる。ところが、モノコック前半部分に大きなディフューザーを設けるため、唯でさえホイールベースは長くなって、しかも、前後の重量配分は後寄りとなっている。ロールバーの剛性を確保するため、コクピット後方部分のモノコックを延ばしたら、さらに、ホイールベースは長くなって、前後の重量配分はリア寄りとなってしまう。

 もし、シャシーデザイナーが何も工夫しないのであれば、画期的に前後長が短く、しかも軽い、ハイパワーなエンジンの登場を待たなければ、優れた空力性能と、前後のタイヤの性能を充分に引き出す、素晴らしい前後の重量配分を実現する、理想的なP1カーを作り上げることは出来ない。

 また、Sports-Car Racing Vol.17で掲載したように、リストリクター付きエンジンの場合、排気量が大きい方が有利となる可能性が大きい。その結果エンジンの排気量は、どんどん大きくなってきた。ところが、大きなエンジンは、基本的に重くなることから、さらに、前後の重量配分が後寄りとなる。

 バンク角72度のジャドのGV5.5のように、エアボックスが高い位置に設けられる場合もあるだろう。
 これらを考慮すると、モノコックの構造や燃料タンクのレイアウト等、工夫が求められる部分は多い。    誰が、最良の解答を見出すのか? 興味はつきない。

 
1月15日  **1月16日 追記
●LMS最終戦はブラジルで、ALMSと連携する可能性が浮上!
115photo.gif

 北アメリカでALMSが行われているように、LMSはヨーロッパがテリトリーと考えられていた。しかし、2007年LMSは、何と南米のブラジルで行われることが決定した。

 元々2007年のLMSは合計6つのイベントで構成される計画だった。そのため、最初に発表された5つのレースに続いて、もう1つを計画中であることが公表されていた。

 LMSの運営は、パトリック・ペーターのペーターオートが中心となって行っている。しかし、ステファン・ラテルも大きく関わっており、ほとんどの作業はペーターが行っていても、どちらかと言うと、表舞台に現れるのはラテルだった。ラテルがFIAGTのオーガナイザーであることはご存じだろう。2005年から、ラテルはブラジルのオーガナイザーと共に、FIAGTをブラジルへ展開する話し合いを行っていた。

 そうして、2006年1月ブラジリアで行われたのがミル・ミルハスだった。シーズンオフの1月に行われたことでも想像出来るように、ミル・ミルハスは完全なインビテイションレースだった。
 もちろん、続いて正式にFIAGTのシリーズ戦を開催することがラテルの目論見だった。しかし、様々な費用を負担したにも関わらず、期待したほどの観客を集めることが出来なかった。

 ヨーロッパで行われるFIAGTと比べると、遥かに多い観客が集まったが、ブラジリアの主催者にとって、それでは充分ではなかったようだ。

 その結果、ラテルはGTカーだけが走るFIAGTではなく、ルマンで総合優勝出来るプロトタイプカーがたくさん走るLMSを提案することになったらしい。もちろん、プジョーのワークスチームがLMSで走ることもあって、ラテルは高い値段をつけられると判断したのは言うまでもないだろう。

 2006年8月までに、ブラジリアでLMSを開催することはほとんど決まっていた。しかし、9月16日にシルバーストーンでLMSのヨーロッパ最終戦が行われた後、北アメリカでは“プチ-ルマン”とラグナセカと言う、ALMS終盤の人気イベントが行われる。この2つのレースは、LMSのレギュラーチームの幾つかも参加することから、ブラジリアへ遠征する時期の選定は難しかったらしい。

 結局10月20日にラグナセカでALMS最終戦が行われた後、11月11日にブラジリアでLMS最終戦は行われることが決定した。
 LMSのトップチームの幾つかにとって、シルバーストーンの後、ブラジリアへ行く前、ALMSの2つの人気イベントに参加するチャンスが生まれたことは間違いないだろう。

 LMSミル・ミルハスに参加するチームは、ブラジリアの主催者から、マシンと機材の輸送代金と、1チーム6名分の航空チケット代金の提供が約束されている。そのため、LMSに参加する多くのチームが、11月にブラジリアに行く計画で2007年の計画を進めている。

 この機会を逃さないよう、ALMSは、LMSのP1チームに対して、LMSシルバーストーンが終了して、ブラジリアに行く途中、ロードアトランタで行われる“プチ-ルマン”と北カリフォルニアのラグナセカに参加するよう勧誘している。つまり、ヨーロッパから直接ブラジリアに行くのでなく、途中アトランタを経由した場合の、輸送代金の差額を誰かが負担することが、話し合いのポイントとなっている。

 従来もALMSは、ヨーロッパや日本の有力なP1チームがALMSに遠征する場合、アトランタまで自力でやって来れば、拠点となるロードアトランタのガレージとトランスポーターの提供を約束していた。

 この条件は有力なP1とGT1チームに対して提案されていたもので、旧型マシンを走らせるアマチュアやGT2チームを対象としたものではなかった。もし、輸送代金の差額をALMS側が負担するとしても、40台以上のLMSチームの総ての面倒をみることは難しいと考えられている。

 今後の話し合いが注目されるが、LMSの有力チームの多くが10月に“プチ-ルマン”とラグナセカに参加することだけは間違いないだろう。


1月13日
●BKモータースポーツはロータリーからマツダのレシプロターボに変更
113photo1.jpg113photo2.jpg
Photo:Sports-Car Racing
  写真は3ローターロータリーエンジンを搭載したクラージュC65ハイブリッドカー。ドライブシャフトについた大きな上半角に注意

 北米マツダの支援を受け、2005年から3ローターロータリーエンジンを積むクラージュC65ハイブリッドカーでALMSに参戦していたBKモータースポーツは、2007年のエンジンをロータリーから4気筒ターボエンジンに変更することとなった。昨年発表されていたように、マシンは新たに導入するローラB07-40となる。当初B07-40に3ローターロータリーエンジンを積むことを明らかとしていた。

 しかし、ロータリーエンジンの場合、推力軸が高いことから、専用のトランスミッションを作らない限り、トランスミッションを高い位置にレイアウトすることとなるため、重心が高くなるだけでなく、ドライブシャフトに大きな上半角がついてしまう。ローラも、たった1台のためにトランスミッションを新しく開発することは出来なかったようだ。てっきりロータリーに合わせた専用のトランスミッションを、BKモータースポーツ自身が手配するものと思われたが、結局エンジンそのものを交換することとなった。

 新たに導入されるエンジンは、ワンメークのフォーミュラカーレースでも使われている、マツダの2リットル4気筒エンジンをベースとして、AERがターボエンジンとして開発することとなる。
 MGの4気筒ターボエンジンを開発したAERであるから、その性能は期待出来るだろう。

 同時にBKモータースポーツは、クンホタイヤを使用することを発表した。


1月12日
●Sports-Car Racing Vol.17訂正
112photo.jpg
Photo:Sports-Car Racing

 Sports-Car Racing Vol.17 P83の写真のキャプションに誤りがありました。P83中段のサスペンションについての説明内で、「ダンパーらしいものはスタビライザー」と記しておりますが、正確には3本目のダンパーです。スタビライザーとしての役目も期待出来ますが、3本目のダンパーの機能はそれだけではありません。訂正すると共に謹んでお詫びいたします。

1月11日
●プジョー908登場
111photo.jpg
Photo:Peugeot-Media

 とうとうプジョーは908を公開した。昨年9月パリサロンで90%モックアップが公開されていたが、少々エキセントリックなボディスタイルだったことから、実車と違うショーモデルと考えられていた。

 当初11月中にシェイクダウンを行うと考えられていたが、様々な変更があったようで、その後12月21日に変更され、最終的に12月31日ポールリカールでシェイクダウンにこぎ着けた。

 パリサロンで公開されたモックアップと違って、ノーズが通常のハイノーズとされたが、ノーズの耐クラッシュ構造が独立しているのはモックアップそのままだ。もう一つの大きな変更は、モックアップの場合、コクピット後方のエンジンカウル側面に設けられていたインテークが無くなって、リアホイールアーチ前面に独立した異様に大きなインテークが設けられたことだ。このインテークはターボチャージャー手前のリストリクターへ空気を送り込むだけでなく、リアブレーキのクーリングダクトを兼ねると考えられている。

 2007年の参戦計画は、3月に行われるALMS開幕戦セブリング12時間でデビューして、その後ヨーロッパに戻ってLMS全6戦とルマン24時間に参加する。プジョーによると、セブリング12時間へは、レースを行うことが目的でなく、テストを目的として参加すると言う。その直後にポールリカール合同テストが行われることから、3月プジョーにとって大きく開発が進むこととなるだろう。

 ドライバーは、シェイクダウンを担当したニコラス・ミナシアン、マルク・ジェネ、セバスチャン・ブルディ、ステファン・サラザン、ペロド・ラミー、そしてジャック・ビルニューブは乗り組む。もう1人エリック・エラリーが契約しているが、彼の主な仕事は、908を熟成することだ。たぶん、ポールリカールテストは、エラリーを中心として行われるのだろう。

1月10日
●2007年に走るペスカロロは6台?
110photo.jpg
Photo:Sports-Car Racing

 Sports-Car Racing Vol.17に掲載されたように、ペスカロロは、2004年レギュレーションに対応したモノコックを開発して、たった750万円で売りに出した。開発するに至った経緯はSports-Car Racing Vol.17をご覧頂きたいが、大 ヒットとなる可能性が出てきたようだ。

 最初から、ペスカロロ自身の2台とロールセンターが1台を走らせることは公表されていた。これらの3台は、ペスカロロが2006年に走らせたC60ハイブリッドカーをベースとするボディカウルを組み合わせる、完全なペスカロロP1カーだ。

 それ以外のカスタマーは、それぞれのチームが現在使っているハイブリッドカーとペスカロロモノコックを組み合わせることとなる。
 最初に公表されたリスターは、自身のリスターストームLMPのボディを大きく手直しして、ペスカロロモノコックを組み合わせる。

 しかし、ペスカロロC60は、元々クラージュC60系のモノコックを使って開発されたことから、クラージュC60とC65ユーザーは、ペスカロロから、たった750万円でモノコックだけを買って、交換することによって、2007年以降もマシンを買い換えないで、そのまま参戦することが出来る。そのため、クラージュC60とC65ユーザーの動向が注目されていた。
 もちろん、ペスカロロも、それを狙っていたようで、まずC65を走らせていたクルースモータースポーツとの契約に成功した。

 続いて、バラジ-イプシロンが売りに出したC65も、ペスカロロモノコックによって、2007年スペックに作り替えられる計画らしい。
 バラジ-イプシロンにとって、C65のままでは、2007年にヨーロッパで走ることが不可能であることから、北アメリカか日本にでしか販売することが出来ない。そのため、ペスカロロモノコックによって、2004年レギュレーションに対応させることを思いついたらしい。
 もし、バラジ-イプシロンとの契約に成功した場合、2007年に6台のペスカロロモノコックがヨーロッパで走ることとなる。
*注:Sports-Car Racing Vol.17を参照してください。

1月9日
●本当にマセラッティMC12はルマンに参加出来るのか?
19photo.jpg
Photo:FIAGT

 昨年12月、ACOはFIAGTの2つのクラスのシリーズ1位と2位のチームに対して、2007年のルマン24時間への参加の権利を与えた。

 2006年FIAGTのGT1クラスのチャンピオンを獲得したのは、マセラッティMC12を走らせたヴィータフォンだった。ところが、Sports-Car Racing Vol.16の顛末記で明らかなように、マセラッティMC12というクルマは、FIAも含めて、世界中のどの団体のホモロゲイションも獲得していない。そのため、FIAGTへ参加するにあたって、様々なハンデを課した上、2004年後半のFIAGTに、ポイント対象外で出走して、その速さを確認した上で、FIAGTは特別に参加を認めた。

 ACO自体は、そのような特別扱いを認めなかったが、ALMSをコントロールするIMSAは、ジョゼッペ・リシーが参加を望んだ結果、こちらも、事実上FIAGTと同じハンデを課して、特別に参加を認めた。

 勘違いしている方々が多いようなので、あらためて記すが、2005年以降FIAでもACOでも、GT1クラスはカーボンファイバーコンポジットモノコックが認められている。ところが、先に述べたように、マセラッティMC12は、2.1mの車幅、5mを超える全長等、様々な点で、世界中のあらゆるGTレギュレーションに該当しないクルマであるため、ホモロゲイションを獲得することが出来なかった。
*注:詳しくは、Sports-Car Racing Vol.16を参照してください。

 さらに、ACOはFIAGTの各クラスのシリーズ1位と2位のチームに対して、2007年のルマン24時間レースへの参加の資格を与えたのであって、ACOは発表した文面の何処にも、マセラッティMC12の参加を認めたとは書かれていない。

 ACOに、この件について質問したところ、「参加資格を与えたのは、2006年FIAGTのシリーズ1位と2位のチーム」と回答している。
 クルマについては、何も回答を得られなかった。FIAとACOでは、(翼端板やカナードウイング等)微妙にレギュレーションが異なることから、FIAスペックでの参加を認める旨の発言をしただけだった。

 つまり、ヴィータフォンがサリーンやアストンマーティンでルマンへやって来るのであれば、何の障害なく参加することが可能であっても、マセラッティMC12の参加は、現在も認められていない。

 では、ヴィータフォンがルマンに参加する場合、アストンマーティンを買わなければならないのか? と言うと、そうとも言い切れない。

 ACOのレギュレーションブックには、「ホモロゲイションやレギュレーションに関わりなく、ACOが認めたクルマに限って参加を認める」との一文が存在する。この記述を巧妙に運用することによって、ヴィータフォンマセラッティはルマンを走ることが可能となる。

 と言っても、この記述が適用されるのは、好意的に解釈してもヴィータフォンだけであって、何の実績もないレーシングチームが、何処のホモロゲイションも持たないマセラッティMC12でルマンへエントリー申請を行っても、門前払いされるのは明らかだろう。

1月8日
●我が道を歩むALMS:IMSAは2007年も性能調整を実施
18photo.gif

 ALMSはACOレギュレーションによって行われている。しかし、北アメリカの事情もあって、ALMSをコントロールするIMSAは、2004年レギュレーションが施行された後、ACOレギュレーションを独自にモデファイして運用している。昨年シリーズ終盤アウディR10の強さが明らかとなると、ガソリンエンジンのP1カー(つまり、アウディR10以外の総てのP1カー)は、65kg軽い860kgの最低車重を許されるようになった。その成果が実り、プチ-ルマンとラグナセカでクリエイションとザイテックが、アウディからポールポジションを奪い取った。

 しかし、一方的に65kgも軽量化するのは非常に難しいため、総てのエントラントの支持を得られた訳ではなかった。
 そこで、IMSAの技術担当COOであるティム・メイヤーは、2007年の性能調整の方法が変更することとなった。P1クラスの場合、性能を引き下げられるクルマは、最大25kgまでウエイトハンデを課せられる。逆に性能を向上させられるクルマは、最大50kg軽量化が認められることとなった。つまり、フルに性能調整が行われた場合、最大で75kgの車重の差が設けられることとなる。

 他のクラスの場合、P2クラスは、最大25kg加算と最大25kgの減量。つまり、最大で50kgの車重の差が設けられる。車重の重いGT1クラスは、最大50kgの加算と最大50kgの減量によって、最大で100kgの車重の差が設けられる。GT2クラスは、最大50kgの加算と最大25kgの減量によって、最大で75kgの車重の差が設けられる。

 エンジン性能を調整する場合、リストリクター面積は、最大10%まで、拡大もしくは縮小される。ターボエンジンの場合、最大9%ブースト圧を上下に調整されることとなった。エンジンの性能調整は、どのクラスであっても、同じ範囲で行われる。

 本来、2003年以前のレギュレーションで作られたLMP900やLMP675カーが走れるのは2006年までで、2007年のALMSには、2004年レギュレーションで作られたP1とP2カー、そして、2004年レギュレーションでLMP900やLMP675を作り替えたハイブリッドカーしか走らないはずだった。しかし、予想通り、IMSAは古いレギュレーションのクルマであっても、参加を認めることを発表した。

 現在のところ、オートコーンが走らせるMGローラだけであることから、取り敢えずハンデキャップ無しでセブリングのウインターテストで走らせることが認められている。
 もし、早すぎれば、性能調整されるだろうが、遅い場合、たぶん、2006年がそうだったように、そのまま参加が認められるのだろう。

 ダイソンがP2クラスへ転向した結果、P1クラスで、アウディの対抗馬と目されるのは、クリエイションやザイテックのハイブリッドカーだけとなってしまった。ALMSが成立しない状況となってしまったことから、IMSAはACOと違う道を歩まなければならない。

1月7日
●セブリングウインターテストはポルシェvsアキュラ?
17photo.jpg
Photo:Porsche AG

 1月22日から24日にセブリングで行われるALMSウインターテストの参加チームリストが公表された。

 目玉はペンスキーとダイソンが走らせる、2007年モデルのポルシェRSスパイダーだ。2006年に開発テストを請け負ったペンスキーが2台を持ち込むだけでなく、1ヶ月前に決定したばかりのダイソンは、早くもシェイクダウンテストにこぎ着けた。

 強力なペンスキーとダイソンのポルシェRSスパイダーの対抗馬と目されるのは、3台が勢揃いするアキュラ勢だ。AGR(アンドレッティ・グリーン・レーシング)、フェルナンデス、ハイクロフトの3チームは、AGRとハイクロフトがクラージュLC75を、フェルナンデスはローラB06-43にアキュラV8エンジンを搭載する。ホンダとの付き合いの深いフェルナンデスとAGRは、既に数度のテストを実施しており、12月にはホームステッドで高速耐久テストも行っている。

 もう一つのポイントは、いよいよポルシェ997GT3Rが公式デビューすることだ。ポルシェ997GT3Rは、昨年FAGTスパ24時間で走っている。スパに登場した997GT3Rは、最終段階のプロトタイプだった。もちろん、ホモロゲイションも獲得してなかったことから、公認無しで参加出来るGカテゴリーから参加した。

 2007年のACOレギュレーションは、最もお手軽なGT2クラスであっても、プロトタイプクラスと同じように、トラクションコントロール等が認めている。当然ながら、セブリングに登場する997GT3Rは、ACOスペックであるため、様々なハイテクが盛り込まれている。

 対抗馬はフェラーリF430とパノスエスペランテGTLMだ。フェラーリF430は、2006年のALMSのGT2チャンピオンチームである、ジェゼッペ・リシー率いる強力なRisiが、そしてパノスGTは、何と昨年まで北アメリカにおいて、BMWのワークス格として活動していたトム・ミルナーのPTGが2台を持ち込む。

 残念ながら、P1クラスはオートコーンのMGローラだけがセブリングを走る予定で、当初参加が予想されたプジョーとアウディは、セブリングにやって来ないことがIMSAによって公式に確認された。



ライン

メール アイコン
Mail

Top