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3月30日
Special Edition
2007 FIAGT Rd1 Zhuhai Race Report 中国で何が起こったのか?

Photo:FIAGT
 新しいレースフォーマットと言っても、ランボルギーニの優勝を想像することは難しかった。

 今年のFIAGTは2時間の時間レースとして行われる。細かなレギュレーションも変更された結果、従来とまったく違うレースが実現することとなった。

 予選の結果、アストンマーテイン勢の不調が明らかとなった。ディフェンディングチャンピオンのNo.1ヴィータフォンマセラッティがポールポジションを獲得する一方、コルベットとマセラッティがスターティンググリッドの上位を占めた。

 GT2クラスは、予想通りフェラーリF430GT2が上位を独占した。唯一の例外は、フリープラクティスでエンジンを壊したNo.62エコッセフェラーリが、エンジンを交換したため、最後尾からスタートすることだった。ポルシェは、BMSスクーデリアイタリアの997GT3RSRにエマニュエル・コラールを送り込んで巻き返しを狙っている。

 決勝レースは、ポールポジションからスタートしたNo.1ヴィータフォンマセラッティが、No.5カースポーツコルベットを抑えて1コーナーへ進入した。直ぐ後ろでは、No.11プレイチームマセラッティがスピンしてしまった。

 No.1ヴィータフォンマセラッティよりNo.5カースポーツコルベットの方が明らかにペースが速く、順位を入れ替えてホームストレートへ戻ってきた。
 GT2クラスは、優勝候補のAFコルセの2台のフェラーリ430GT2が次々とスピンやコースアウトで出遅れて、トップはエコッセフェラーリとなった。

 今週末コルベット勢の速さは際だっており、ファステストラップを記録しながら、マイク・ヘゼマンズはヴィータフォンマセラッティとの差を拡げる一方、4周目になると、No.19PSIコルベットが3位に、No.4GLPKコルベットが4位を走行している。

 8周目ターン10でNo.8All-Inklランボルギーニがコースアウトしてしまった。イエローフラッグが提示されるが、ランボルギーニは自力でコースに戻って、ピットを目指した。
 タイヤが暖まってきても、マセラッティのペースは上がらず、コルベットの方が速く、ヘゼマンズは10周になるとリードを1秒まで開いた。

 アストンマーティン勢は不調で、No.23BMSアストンマーティンが後退してしまった。アストンマーティン勢のトップは、7位を走るジェタリアンスとなってる。
 1周目の1コーナーでスピンしたNo.11プレイティームマセラッティは、6周目No.17バーウェルアストンマーティンとサイドbyサイドの争いの末抜き去った。

 14周目になると、興味深い争いが行われた。GT1クラスのNo.16BMSマセラッティは、GT2クラスのNo.50AFコルセフェラーリに追い回された末抜かれてしまった。
 BMSと言っても、かつてのフェラーリやマセラッティのセミワークスではなく、オーナードライバーから仕事としてレースオペレーションを任されての活動であるため、格下のGT2クラスと言っても、腕っこきのディレク・ミューラーの操るフェラーリF430GT2の攻撃から身を守ることは不可能だった。

 21周目頃から最初のピットストップが行われた。しかし、タイヤが摩耗してきたNo.5カースポーツコルベットのペースが落ちてきたため、No.1ヴィータフォンマセラッティがピタリと背後に付けて、23周目にトップの座を奪い返した。2位に落ちたカースポーツコルベットC6Rは、No.4GLPKコルベットC5Rにも抜かれてしまった。

 6位を走行していたNo.7All-Inklランボルギーニは、24周目早めにピットに入った。
 次々とライバル達がピットインする中、トップを走るNo.1ヴィータフォンマセラッティは走り続けた。ビアジがピットに入ったのは34周目だった。
 何もなければNo.1ヴィータフォンマセラッティの優勝は疑いようがない状況だった。

 しかし、一足先にピットインを済ませて、トップを走るNo.4GLPKコルベットC5Rを、No.1ヴィータフォンマセラッティはなかなか抜くことが出来ない。
 結局51周目、共に2度目のピットインをするまで順位は変わらなかった。

Photo:FIAGT
 通常、多くの燃料を積んで、つまり重いクルマで速いラップタイムを維持することが成功への方法と考えられている。しかし、新しいFIAGTの場合、たった2時間で、しかも1人のドライバーは最低35分間ドライブしなければならない。この新しいレースフォーマットの罠にはまったのが、マセラッティとコルベットだった。

 誰もが、マセラッティかコルベットのどちらかがレースをリードすると思っていた。ところが、No.1ヴィータフォンマセラッティとNo.4GLPKコルベットC5Rがピットに入った後、レースリーダーとなったのはランボルギーニだった。

 今年のFIAGTは、2時間フォーマットで行われる。しかも、1人のドライバーは最低35分間ドライブしなければならない。そのため、1回目のピットストップを遅らせたNo.1ヴィータフォンマセラッティやNo.4GLPKコルベットは、タイヤが減ってペースが落ちてきてもピットに入ることが出来なかった。

 48周目に2度目のピットインを済ませたNo.7All-Inklランボルギーニは、クリストフ・ブシェーのドライブで素晴らしい速さで走った。ライバル達がランボルギーニの存在に気づいた時、ブシェーはファステストラップを記録して、リードを拡げようとしていた。

 逆にピットインを遅らせたNo.1ヴィータフォンマセラッティは大きく遅れて、ビアジがファステストラップを塗り替える速さで追いかけたが、6位が精一杯だった。
 そのままランボルギーニがトップのままチェッカードフラッグを受けた。

 GT2クラスは、GT1クラスのランボルギーニ同様、巧妙なピットインタイミングを見出したBMSスクーデリアイタリアのポルシェ997GT3RSRが、2度目のピットイン後リーダーとなって、最初にフィニッシュラインを通過したが、再車検によって、ロードクリアランスの違反が見つかって失格となった。
 そのため、GT1カーを蹴散らす速さを見せつけたNo.50AFコルセフェラーリF430GT2を先頭にして、フェラーリが表彰台を独占した。

Photo:FIAGT
 FIAGTでもフェラーリF430GT2の速さは際だっている。しかし、GT2クラスで新しいFIAGTのレースフォーマットを手なずけたのはポルシェだった。違反がなければ、速いフェラーリを出し抜いて優勝するハズだった。

No.7 GT1 All-Inkl Murcielago 69laps
No.19 GT1 PSI Corvette C6R 69laps
No.4 GT1 GLPK Corvette C5R 69laps
No.23 GT1 AstonMartin BMS AstonMartin DBR9 69laps
No.5 GT1 Carsport Holland Corvette C6R 69laps
No.1 GT1 Vitaphone Maserati MC12 69laps
No.2 GT1 Vitaphone Maserati MC12 69laps
No.17 GT1 Barwell AstonMartin DBR9 68laps
No.33 GT1 Jetalliance AstonMartin DBR9 68laps
No.50 GT2 AF Corse Ferrari F430GT2 68laps
No.22 GT1 AstonMartin BMS AstonMartin DBR9 68laps
No.8 GT1 All-Inkl Murcielago 68laps
No.51 GT2 AF Corse Ferrari F430GT2 67laps
No.62 GT2 Ecosse Ferrari F430GT2 67laps
No.36 GT1 Jetalliance AstonMartin DBR9 66laps
No.16 GT1 JMB Maserati MC12 66laps
No.74 GT2 Ebimotors Porsche 997GT3RSR 66laps
No.63 GT2 Ecosse Ferrari F430GT2 65laps
No.99 GT2 Tech9 Porsche 997GT3RSR 65laps
*以上完走
No.101 G2 Belgian Gillet Vertigo 41laps
No.11 GT1 Playteam Serafree Maserati MC12 31laps
No.12 GT1 Playteam Serafree Maserati MC12 30laps
No.69 GT2 Felbermayr-Proton Porsche 996GT3RSR 5laps

No.97 GT2 BMS Scuderia Itaria Porsche 997GT3RSR *失格:車両規定違反


3月27日
Special Edition
 LMSポールリカールテストレポート    *4月1日写真/キャプション追加
 プジョー908トップタイム  童夢S101.5シェイクダウン 侮れない“屋根無し”のP1勢

Photo:Sports-Car Racing
 プジョー908が速いことは予想出来た。しかし、何処で速いのか?それが問題だ。誰だってストレートの速さを想像するが、以外にもタイトコーナーで俊敏な操縦性を発揮した。
 問題は6月までにどれくらい信頼性を高めることが出来るか?だろう。

◆取り敢えずプジョーがトップタイム
 25日と26日ポールリカールでLMS主催のテストが行われた。
 今回のテストの看板役者はプジョー908だった。
 2週間前ポールリカールで24時間テストを行っているプジョーは、たった1台での参加となった。持ち込まれたのは、完成したばかりの3号車で、シェイクダウンだった。
 マシンの詳しいスペックは未発表だが、3月6日の24時間テストと同じサイドボディのスリットが上半分しか設けられていないボディを使用していた。

 我々は、昨年のアウディR10のイメージが強く、5.5リットルV12ディーゼルターボエンジンを積むレーシングスポーツカーの操縦性は、タイトコーナーが苦手と思っていた。ところが、この先入観を覆すように、プジョー908は俊敏な操縦性を見せた。ポールリカールの場合、セクター1のタイトコーナーが連続する区間であっても、素晴らしい動きで908は走り回っている。コースが乾き始めると、あっさりと初日のトップタイムである1分44秒382を記録した。

 しかし、走っている限り、順調に見えるプジョーだが、初日の午前中の段階でエンジンに何らかの問題が発生したようで、ピットに戻ってくると、ピットガレージの扉が閉められて、エンジンの真下のアンダーボディを取り外して、作業を始めた。
 午後再び走り始めるが、決して飛び抜けて速いラップタイムとは言えない。
 プジョーは午後8時から12時までの夜間走行の申し込みを行っていた。しかし、エンジンを壊してしまったたようで、夜間走行の予定をキャンセルして、エンジンを取り外した。どのようなトラブルが発生したのか? そして、エンジンが修理不能な状況となって、交換したのか? 詳しい状況は何ら公表されていない。

 2日目少し遅め10時過ぎにプジョーはピットの扉を開けた。
 どこまで、そして、何のトラブルであるのか判らないが、エンジンを積み替えたかもしれない908は、順調に走行しているように見える。しかし、数周毎にピットインを繰り返していることから、何らかの不安を抱えていることは間違いないようだ。
 それでも、昼前に今回のテストのトップタイムとなる1分43秒705を叩き出した。

 プジョー908はタイトコーナーで速さを発揮する一方、大方の予想に反してミュルサンヌストレートでの最高速度は313km/hに過ぎなかった。
 2日目の午後3時過ぎになって、やっと連続走行を行うようになると、シュロースローラや童夢S101.5等最高速度の速いマシンの後ろについてしまうと、抜くことが出来ずに、そのまま走行を続ける場面もしばしば見られた。

◆ロールセンターペスカロロが2位
 今回のテストは、幾つかの注目チームがシェイクダウンすることも話題だった。
 ペスカロロは、2月にS01の1号車が完成させている。このマシンはロールセンターに納品され、既に何度かのテストを行っている。ロールセンターに納品された1号車は、ハイブリッドカーをベースとして開発されたP1カーらしく、完全なS01ではなく、過渡期のバージョンであるらしい。そのため、S01と違って、C60ハイブリッドカーと同じ油圧のパワステとトランスミッションが使われている。
 このような事情もあって、ロールセンターのS01は好調に走行を開始した。
 今年ダンロップが予選用タイヤを持ち込んだこともあって、2日間のテストを通してロールセンターペスカロロは、プジョーに続く2番手のタイムを記録した。

 これに対して、ペスカロロ自身が走らせるシャシーが、完全なS01の1号車であるらしい。ブガッティーサーキットでチェックを行ってポールリカールに持ち込まれた。
 完全なS01は、EPSパワステとXトラックの新しいType529トランスミッションが使われている。従来使われていたType279よりTyp529は軽量コンパクトで、2004年レギュレーションの幅の狭いアンダーカバーからギアクラスターがはみ出さないだけでなく、重量配分を前寄りとすることが可能となっている。
 進歩的なEPSパワステを採用した理由は、ミシュランの大きなフロントタイヤによって、今後ステアリングが重くなることが予想されることから、細かいセッティングを可能とすることであるらしい。ここら辺の事情は童夢やザイテックも同じだろう。

 これらを除くと、ペスカロロS01はC60ハイブリッドカーから大きな違いは無いため、順調に走行出来ると思われた。午後になって、ブノア・トレルイエが乗り組んだ時、トレルイエはペスカロロS01をスピンさせてしまい、リアからコースサイドにクラッシュしてしまった。外から見たところ、大きなダメージは無いように見えた。しかし、ピットに戻されて、メカニックがチェックしたところ、クラッシュした際、ミッションが横方向から押されてしまい、ミッションがスティックしてしまっていた。
 ギアクラスターを外して、リペアしようとしたところ、ギアクラスターが外れない。そこで、午後の走行を途中で中止して、ミッションそのものを交換することとなった。
 メカニックの努力によって、夜になるとペスカロロS01は復活した。
 ペスカロロはミシュランタイヤを履くが、今回ミシュランは予選用タイヤを持ち込んでいないため、カスタマーであるロールセンターの先行を許すこととなった。

Photo:Sports-Car Racing
 今年ペスカロロは強力な援軍を得た。ロールセンターの走らせるペスカロロは、予選タイヤを履いたと言っても、プジョーに次ぐ2番手のタイムを記録した。ペスカロロは、厳しいP1レギュレーションをクリアするため、鉄製のロールバーを採用した。左の写真の奥に見えるのが、完全なS01であるペスカロロスポーツのマシン。

◆ローラは何処へ行く
 ペンブリーでシェイクダンを行った後ポールリカールにやって来たシュロースレーシングシステムのローラB07-17/ジャドは、チームオーナーの息子であるヤン・シュロースによって、予想外の速さを見せている。
 ヤン・シュロースは、19歳のGP2ドライバーで、トーマス・エンゲに続くチェコの次の世代を支える存在となることが期待されている。トラブルフリーが助けなのだろうが、1日目プジョーに続く1分44秒600を記録して、パドックを驚かせた。

 ローラB07-17は、ロールフープの内側にリストリクターを設けたため、ACOが認めるか?波紋を呼んでいたが、リストリクターそのものの高さ制限はクリアしているようで、そのまま本番レースでも走ることが認められる模様だ。ちなみにリアホイールアーチ前の、元々はAER製ターボエンジンのためのインテークは、リアブレーキの冷却ダクトとして使われている。同様にターボエンジンの冷却を考慮したサイドボディを持つ。これらの間に合わせの部分を考慮すると、ヤン・シュロースの才能が光る。

 チェンバレンはB06-10ながら、B07用のフロントノーズを取り付けてやってきた。
 このノーズはアキュラのフェルナンデスが諦めたように、見た目の派手さだけでなく、少々前後バランスをまとめることが難しいらしい。しかし、ローラの風洞実験によると、最適なロードクリアランスに設定した場合、8%大きなダウンフォースと10%少ないドラッグを実現することが可能らしい。
 この数値は、AERのV8ターボを積むB06-10によるもので、サイドボディからテイルエンドまでボディ内部に空気を通しているB05-40のものではない。そのためか、チェンバレンやシュロースは、B07ノーズの優秀さを信じているようだ。
 チェンバレンは、2005年のB05-40以来、B05系スポーツカーを走らせるのは3年目であるため、目立たないながらも、1分44秒台までタイムを上げてきた。

Photo:Sports-Car Racing
 左側のクラージュは、Xトラック製ミッションやAER製3.6リットルV8ターボだけでなく、ノーズ中央にブレーキ冷却用のインテイクを設ける等、細かな改良を加えてポールリカールへやって来た。
 右がシュロースローラ。今回ジャドのGV5.5搭載マシンはいずれも最高速度が速く、童夢、シュロースローラ、ペスカロロの順でプジョーを上回る最高速度を記録した。ロールフープの内側のリストリクターに注意。取り敢えず好タイムを記録したが、ここからどうやってレベルアップするかが、ローラ勢にとっての課題。

◆やっとスタート台に着いた童夢
 童夢S101.5は、完全なシェイクダウンとなった。1日目の午前中を費やして様々なチェックを行った後、午後になると走行を開始した。S101.5は、同じイクイップメイク製ながら、新しいパドルシフトシステムが使われている。そのテストを行ったこともあって、1日目本格的な走行を行うことは出来なかった。それ以外にも、完全なシェイクダウンに付きものの様々なチェックに追われたため、多くを望むことは出来なかった。しかし、チェックが一段落した後、夕方になってヤン・ラマースが乗り組むと、あっさりと、その時点で5番手となる1分46秒746を記録した。
 ヤン・ラマースが「プジョーの加速力は素晴らしい。しかし、ついて行けない速さではない」とニコニコしながら語るように、S101.5は高いポテンシャルを持っているのだろう。

 童夢はS101.5の空力に自信があるようで、2日目になると、大きなフロントタイヤの能力を引き出すためのテストに取りかかった。これは、本格的にタイヤテストを行うと言う意味ではなく、大きなフロントタイヤの能力を引き出すセッティングの方向性を見極めることが目的だった。やっとスタートラインに着いたことの証拠と言えるだろう。
 50周以上走ったタイヤでありながら、ヤン・ラマースは1分45秒780を記録した。
 大きなフロントタイヤや2つのロールフープ、モノコックの剛性を優先して、ボディラインからはみ出してエアボックスを設けた結果、空力性能の低下が心配されたが、プジョーを圧倒する318km/hの最高速度を記録したため、童夢の優位性は証明されただろう。

 2日目の夕方、やっと連続走行を開始したプジョーと共に、しばらくの間ヤン・ラマースのS101.5は走行することとなった。セクター1のタイトコーナー区間でプジョーは童夢に詰め寄るが、セクター2のミュルサンヌストレートで童夢に大きく引き離され、セクター3の中速コーナー区間でも童夢に追いつくことは出来なかった。
 これからの開発によって、童夢の真価が問われることとなるだろう。
    
Photo:Sports-Car Racing
 ペスカロロと共にプジョーの対抗馬として期待されるのが童夢だ。3週間後のモンツァまでにどれくらいの仕事をこなすことが出来るか?それがポイントとなる。

◆最悪の状況を脱して、24時間テストを行ったクラージュ
 唯1台24時間テストを宣言したクラージュは、淡々の走り続けた。LC70の2007年バージョンは、AER製V8ターボエンジンを積むだけでなく、トランスミッションをヒューランドからXトラック製に変更している。細かいところでは、童夢やペスカロロと同じように、ノーズ中央に設けられたブレーキ冷却用ダクトが拡大されている。
 24時間テストであることもあって、ライバル達の速さについて行くことは出来なかったが、昨年のように、走れば何かが壊れる、ような状況からは脱出出来たようだ。

 自身はプジョーで働いているが、セルジュ・セルニエが走らせるLC75も登場した。このマシンは、昨年バラジ-イプシロンが走らせてLMSのP2チャンピオンに輝いたLC65のパーツを活用して、新しいLC75のモノコックに組み付けて完成している。
 マシンそのものの信頼性に問題があるようには見えないが、初めて“屋根無し”のプロトタイプカーで走るドライバーにとって、じゃじゃ馬であることは変わらない。
 連続走行を続けたが、1分51秒台とあって、大きく出遅れている。

Photo:Sports-Car Racing
 ラディカルは予想通りの速さを発揮出来るようになってきた。ザイテック07Sもシェイクダウンにこぎ着けた。バラジ-イプシロンの2台のP2バージョンとアレーナのP1バージョンが登場する。

 童夢と同じようにザイテック07Sもシェイクダウンとなった。ポールリカールに登場したのは、バラジ-イプシロンが購入したP2バージョンで、シェイクダウンらしく、チェックを繰り返した。1日目昼の間、連続走行を行うことは出来なかったが、昨年のP2チャンピオンチームらしく、夜になると1分49秒103までタイムを上げた。
 2日目となると、P2チャンピオン候補だけあって、1分46秒台を記録した。

 バラジ-イプシロンの対抗馬として期待されるのは、ASMチームのローラB05-40とブライッヒラダックのラディカルだ。共に1日目からタイムアタックを行い、1日目1分47秒台でトップタイムを争った。そして、今年ダンロップとの関係を深めたラディカルが、1分46秒台までタイムアップして、ローラに競り勝った。

Photo:Sports-Car Racing
 ORECAも24時間テストを実行した。今年ORECAはレーシングボックスのマシンも含めて3台のサリーンの面倒を見る。サリーン本体やレイ・マロックが走らせていた頃と比べると、S7Rは大きく進歩している。
 唯一の対抗馬であるアストンマーティンは、ラルブルコンペティションが2台を持ち込んだ。写真は今年から加わったニューシャシー。相変わらずセンスの良いカラーリングを見せつけた。今年のアストンマーティンは、LMSをラルブルコンペティションで、FIAGTをスクーデリアイタリアでタイトル奪取を狙う。

LMSポールリカールテスト(総合)
1 No.8 Team Peugeot Total Peugeot908HDI FAP 1分43秒705
2 No.18 Rollcentre Pescarolo S01/Judd 1分44秒025
3 No.15 Charouz racing system Lola B07-17/Judd 1分44秒348
4 No.19 Chamberlain synergy Lola B06-10/AER 1分44秒348
5 No.17 Pescarolo Sport Pescarolo S01/Judd 1分44秒592
6 No.14 Racing for Holland 童夢S101.5/Judd 1分45秒780
7 No.21 Bruichladdich RadicalSR9/Judd 1分46秒160
8 No.32 BARAZI-EPSILON Zytec07S 1分46秒358
9 No.40 ASM Lola B05-40/AER 1分46秒497
10 No.12 Courage Competition Courage LC70/AER 1分46秒645
**上位10位まで



3月21日
Special Edition セブリング12時間決勝レースレポート

Photo:ALMS

◆コルベットは一夜にして白にカラーリングを塗り替え
 週末に近づくに従って気温は下がって、土曜日朝の気温はたった10℃しかなかった。セブリングとしては異常と言える気温15℃の中決勝レースはスタートすることとなった。
 土曜日になって、誰もが驚いたのは、昨日までイエローにカラーリングされていたNo.3コルベットが、一夜にしてホワイトに塗り替えられて姿を現したことだった。

Photo:ALMS

 もう一つの驚きは、フェルナンデスのアキュラローラが、新しいハイノーズでなく、古いノーズを装着してスターティンググリッドに登場したことだった。フェルナンデスは、2週間前に行われた12時間のシュミレーションテストで、新しいハイノーズを使い、好感触を得ていた。しかし、今週になって、本格的なセットアップを行うようになって、何らかの不具合を発見したようで、2つのノーズと付け替えながら、セットアップを進めていた。そのため、アキュラ勢の最右翼と思われながら、セットアップに戸惑い、ニック・ワースがデザインした新しいボディを纏ったアキュラクラージュに遅れを取った。

 BKモータースポーツのローラ/マツダは、ハイノーズのままスターティンググリッドに着いた。
 予選でクラッシュしたインタースポーツのクリエイションCA06Hは、やっと修理が完了した。
 ナイトプラクティスでクラッシュしたNo.1AUDI R10TDIも、完全にリペアされている。

◆1hour  アウディがピットインした隙にポルシェのP2カーが次々とトップを奪う!
 10時1分ローリングが始まった。10時5分、グリーンフラッグが振られて、2007年ALMS開幕戦セブリング12時間レースのスタートが切られた。
 フランク・ビエラの操るNo.2 AUDI R10TDIを先頭に2台のアウディがレースをリードする一方、P2クラスはアキュラ勢を抑えて、ティモ・ベルンハルトのNo.7 ペンスキーポルシェRSスパイダーがトップを走っている。GT1クラスは白に塗り替えたNo.3コルベット、GT2はトーマス・エンゲの操るNo.31 ピーターセン/ホワイトライトニングフェラーリが、それぞれトップを走っている。

 ところが、その5分後トーマス・エンゲのNo.31フェラーリは、No.71タッフェルチームのポルシェ997GT3RSRと接触して、ピットに滑り込んできた。5分19秒かけて、タイヤを4本交換すると共に、ボディワークを交換して、32位でレースに復帰した。
 このアクシデントによって、もう1台のNo.73タッフェルポルシェがGT2クラスをリードする。

 レースをリードするアウディ勢は、チームオーダーが存在しないらしく、No.1AUDI R10TDIを操るリナンド・カペロは、フランク・ビエラのNo.2 AUDI R10TDIが周回遅れのGT2カーに引っかかった際に、ホームストレートでビエラをパスしてトップに躍り出た。

 アウディ同士のトップが入れ替わった少し後、No.15フェルナンデスのアキュラローラとNo.8BKモータースポーツのローラ/マツダが接触してしまった。共にポジションを下げてしまうが、ダメージはなく、そのままレースを続行している。

 GT2クラスは混戦で、フェラーリ勢に代わり、No.45フライングラザードのポルシェがトップに。
 P2クラスは、ティモ・ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェが、アンディ・ウォーレスの操るNo.16ダイソンポルシェを抑えてトップを走っている。


Photo:AUDI AG

 2007年のACOレギュレーションは、ディーゼルエンジンに対して10%少ない81リットルの燃料タンクを義務付けている。そのためアウディ勢の燃費が注目されていた。
 スタートから48分後、トップを走るNo.1 AUDI R10TDIが燃料補給のためピットイン。トップの座はNo.2 AUDI R10TDIが引き継ぐが、1周後にNo.2 AUDI R10TDIがピットインしたため、ティモ・ベルンハルトのNo.7ペンスキーポルシェがオーバーオールリーダーに躍り出ることとなった。
 10分後No.7ペンスキーポルシェも燃料補給のためピットインする。しかし、トップに立ったのはアウディではなく、ピットインを遅らせたNo.20ダイソンポルシェだった
 No.20ダイソンポルシェがピットインした時、やっとアウディはトップに復帰する。最もアウディが心配していたことが起こりつつあった。

◆2hour  アウディvsポルシェ
  しかし、アウディとトップ争いを展開するNo.7と違って、もう1台のNo.6ペンスキーポルシェは、燃料ラインを壊して、11時過ぎ、修理のためガレージに運ばれている。
 一時的にトップに立ったNo.20ダイソンポルシェも、No.53ロバートソンパノス(ドライバーはアリエ・ルイエンダルクJr)と接触して、エキゾーストを壊して、修理のためガレージに運ばれた。

 混乱の中GT2クラスは、No.62リシーフェラーリがトップの座を確立しようとしている。

 11時40分No.1 AUDI R10TDIは2回目のピットインを行った。燃料補給と4本のタイヤを交換している隙に、直後を走っていたNo.7ペンスキーポルシェがトップに躍り出た。
 もう1台のNo.2 AUDI R10TDIは、タイヤがパンクしてポルシェを追うことが出来ない。

 20分後! No.7ペンスキーポルシェは、やっと2回目のピットストップを行った。90リットルの燃料を補給して、4本のタイヤを交換して、ドライバーをティモ・ベルンハルトかたロマ・デュマに交代している間、再びNo.1 AUDI R10TDIがレースリーダーとなった。

Photo:ALMS

◆3hour  抜け出せないアウディ  圧倒的に好燃費のポルシェ
 12時31分エマニュエレ・ピロの操るNo.2 AUDI R10TDIがピットに入った隙に、トム・クリステンセンの操るNo.1 AUDI R10TDIが、久しぶりにレースリーダーとなった。
 直後にNo.1 AUDI R10TDIもピットインするが、1位のままレースに復帰した。
 ポルシェは何処へ行ってしまったのかと言うと、素晴らしい速さを披露したティモ・ベルンハルトと比べて、ロマ・デュマのペースが上がらず、4.256秒差で2位を走行している。

 10分後、エマニュエレ・ピロのNo.2 AUDI R10TDIは、ブッチ・ライツィンガーのNo.16ダイソンポルシェと接触してしまい、サイドポッドを壊してピットに入ってきた。

 GT2クラスは、マルク・リーブの操るNo.45フライングラザードポルシェを、ミカ・サロの操るNo.62リシーフェラーリが2秒遅れで追いかけている。

 トップの座を固めたかに見えたNo.1 AUDI R10TDIは、No.16ダイソンポルシェと接触して押し出してしまい、ペナルティのピットストップを課せられ、No.7ペンスキーポルシェがトップに立った。


Photo:ALMS
 前を走るBKモータースポーツのローラ/マツダは、新しいハイノーズを使用した。しかし、後ろから迫ってくるフェルナンデスのローラ/アキュラは、比較した結果古いノースを使用しているのに注意。この写真が撮影された直後、2台は接触してしまった。

 12時48分、BKモータースポーツのローラ/マツダは、スロットルトラブルのためピットに入ってきた。修理のため、ガレージに運び込まれた。

 12時55分、アウディより25分も遅れてNo.7ペンスキーポルシェは3回目のピットストップを行った。そのため、再びNo.1 AUDI R10TDIがレースリーダーとなった。

 15分間もNo.45フライングラザードポルシェを追い回していたミカ・サロのNo.62リシーフェラーリは、12時59分やっとポルシェを抜いて、クラスリーダーに復帰した。

◆4hour  ペンスキーポルシェに異変
 ミカ・サロに抜かれたNo.45フライングラザードポルシェがピットインしたため、GT2クラスはNo.62リシーフェラーリが、1周差を付けて独走態勢に入った。
 1時12クラッシュしたNo.44フライングラザードポルシェの破片を片づけるため、イエローコーションとなって、ピットロードは閉鎖された。3分後ピットロードは解除されたが、イエローコーションのままで、次々とピットロードにマシンが滑り込んできている。

 1時17分No.7ペンスキーポルシェは4回目のピットストップを行った。ペンスキーは、2人目のロマ・デュマから3スティントを走行させる作戦で、ロマ・デュマはコクピットに座ったまま、燃料補給と4本のタイヤを交換して、レースに復帰した。ところが、1周後再びピットインしてバッテリーを交換した。
 このトラブルによって、P2クラスのリーダーはブライアン・ハータのNo.26 AGRアキュラARX-01aとなる一方、No.1 AUDI R10TDIがオーバーオールリーダーの座を固めた。

 1時30分イエローコーションは解除されレースが再開されるが、この間に2台のペンスキーポルシェは、No.7がピット作業のミス、No.6がピットロードスピード違反で、それぞれペナルティのピットストップを課せられて、アウディを追うどころか、P2クラスの1-2-3位をアキュラに譲る。

◆5hour  AGRアキュラがオーバーオールリーダーへ!
 2時15分、アラン・マクニッシュの乗り込んだNo.1 AUDI R10TDIは、ピットから再スタートする際、エンジンストールしてしまい、その間にトップの座はNo.2 AUDI R10TDIに奪われてしまった。

 その直後No.2 AUDI R10TDIもピットインしたため、何とブライアン・ハータの操るNo.26 AGRアキュラがオーバーオールリーダーに躍り出た。
 アキュラ勢は、ポルシェほどの好燃費ではないらしく、5分後ブライアン・ハータは燃料補給のためピットインしたため、No.1 AUDI R10TDIがオーバーオールリーダーに返り咲く。
 No.26 AGRアキュラはミッションに問題を抱えているらしく、ラップタイムそのものは、それほど注目できるものではない。そのため、No.7ペンスキーポルシェに抜かれてしまった。


Photo:AUDI AG

 レース序盤に見せた素晴らしい速さを発揮出来ないNo.16ダイソンポルシェは、パドルシフトの電気系トラブルのため、シフトダウンの際スムーズに作動しないことを、ブッチ・ライツィンガーは語った。

 2時29分、No.26 AGRアキュラを抜いたNo.7ペンスキーポルシェはピットインして、エリオ・カストロネベスが乗り組んだ。そして、ピットストップの際先行した、ブライアン・ハータの操るNo.26 AGRアキュラを追い始めた。従来のスポーツカーレースでは耳慣れない状況となっている。

 アキュラ勢は、クラス2位のNo.26 AGRアキュラ、1周遅れでNo.9ハイクロフトアキュラ、そして4位にNo.15フェルナンデスローラと続いている。期待されたフェルナンデスローラは、空力バランスに問題があるようで、古いノーズに交換して走っている。AGRを追う速さを発揮出来ないでいる。

◆6hour  ポルシェ勢が次々とパドルシフトのトラブルで後退
 3時17分、ピットストップしたNo.26 AGRアキュラは、燃料補給と4本のタイヤを交換すると共に、ブライアン・ハータはたダリオ・フランキティにドライバーを交代した。しかも、クラスリーダーのポジションを保ったまま、レースに復帰することに成功した。

 ポルシェ勢は、パドルシフトの電気系の問題を抱えているようで、No.16は4速ギアに入ったままシフトチェンジが不可能となってしまった。No.7もパドルシフトの作動がスムーズでないようで、1速から2速ギアへのシフトチェンジが難しいらしく、ピットから際スタートさせる際、2速に入れ、ジャッキを下ろすと同時にエンジンをスタートさせて、2速スタートを繰り返している。
 そのため、再三にペナルティを課せられているため、どうやら、1速へのシフトチェンジそのものが不可能となっているのかもしれない。
                                                                            
 ダンカン・デイトンの操るNo.9ハイクロフトアキュラは、3時23分ターン10でコースアウトして、からスロー走行でピットに向かった。リアのボディワークが外れており、ピットで交換された。

◆7hour  ポルシェ脱落 アウディはNo.1がスタータートラブルで脱落 トップはNo.2アウディ
 4時5分No.7ペンスキーポルシェは、電気系の問題を解決するため、13分間に渡って修理を行った。
 これによって、ポルシェ勢の上位進出の可能性は無くなった。

 5分後、No.1 AUDI R10TDIはピットインして、15分を要してスターターモーターを交換した。もちろん、優勝の可能性は無くなったが、レースリーダーはNo.2 AUDI R10TDIが引き継いでいる。

 No.7ペンスキーポルシェに続いて、4時21分No.16ダイソンポルシェもピットインして、パドルシフトのECUを交換した。しかし、長い間4速にスティックしたままだったことから、再スタートする際、慎重にチェックを行った後、レースに復帰した。

 ダンカン・デイトンのクラッシュによって、No.9ハイクロフトアキュラは後退したため、P2クラスリーダーのNo.26 AGRアキュラに続いて、2位にNo.15フェルナンデスローラ/アキュラ、3位にNo.16ダイソンポルシェとなっている。AGRがギアボックスに問題を抱えているため、走っている限り速いダイソンポルシェにも可能性は残されている。

◆8hour  トップはNo.1アウディ、1周差でNo.26 AGRアキュラ
 5時5分、ターン13でNo.1 AUDI R10TDIとNo.15フェルナンデスローラが接触してしまった。
 エイドリアン・フェルナンデスのNo.15ローラ/アキュラのノーズと、リナンド・カペロのNo.1 AUDI R10TDIのリアボディがぶつかって、アウディが追い出されてしまった。2台共レースに復帰するが、No.15フェルナンデスローラは、ピットインしてノーズカウルを交換することとなった。
 このアクシデントによって、イエローコーションとなって、12分間ピットロードは閉鎖された。

 ピットロードがオープンとなると、次々各車ピットイン。No.26 AGRアキュラは、燃料補給、タイヤ4本交換、そして、ダリオ・フランキティからトニー・カナーンへドライバーを交代した。

Photo:ALMS

 その直後、ターン3でNo.45フライングラザードポルシェがクラッシュしたため、再びピットロードが閉鎖された。No.45フライングラザードポルシェは、差は大きくても、No.62リシーフェラーリを追ってGT2クラス2位を走行していたため、フェラーリは大きく有利となった。

 ピットロードがオープンとなって、エリオ・カストロネベスの操るNo.7ペンスキーポルシェがピットに滑り込んできた。そして、再びバッテリーを交換した。

 総合トップは、No.2 AUDI R10TDI、2位に1周差でNo.26 AGRアキュラ、3位にNo.15フェルナンデスローラ/アキュラが続いている。

◆9hour  ポルシェのトラブルは電圧  ピットインのタイミングでGT2トップはポルシェに
 暗くなり始めた6時頃ターン10でコルサとホワイトライトニングの連合軍が走らせるNo.32フェラーリが、リアから火を噴いてストップした。直ぐに火は消し止められたが、イエローコーションとなって、ピットロードは閉鎖されている。No.32フェラーリは、フリープラクティスから素晴らしい速さを披露したが、予選前にクラッシュして、それを修理して、決勝レースに参加していた。

 ピットロードがオープンとなって、次々と各車がピットインした際、GT2クラスのトップを走り続けていたNo.62リシーフェラーリとNo.45フライングラザードポルシェの順位が入れ替わった。


Photo:ALMS

 6時28分にレースは再開されるが、その直後No.16ダイソンポルシェはピットインして、オルタネーターを交換した。6時46分にはNo.7ペンスキーポルシェもピットインして、3回目のバッテリー交換を行っているため、どうやら、ポルシェ勢は、ECUそのものではなく、電圧の低下が問題であるらしい。

 6時43分ビル・オーバーレンのNo.21 PTGパノスはピットインしてきた。直ぐにガレージに運ばれて、左のリアサスペンションの修理を開始した。

◆10hour  速さでフェラーリがポルシェを抜き去る
 コース上ではフェラーリの方がポルシェより速く、イエローコーションによって、ピットロード出口が閉鎖されたりしない限り、フェラーリが有利だ。7時30分頃No.45フライングラザードポルシェとNo.62リシーフェラーリは、相次いでピットインした後、フェラーリがGT2クラストップに返り咲いた。

Photo:Porsche AG

◆11hour  リシーフェラーリにスタータートラブル GT2トップはポルシェに
 No.26 AGRアキュラは、ラップタイムはそこそこでも、次第に燃費の良さを発揮するようになっており、8時頃、オーバーオールリーダーのNo.2 AUDI R10TDIがピットに入ると、15分間総合1位を走行することとなった。8時12分No.26 AGRアキュラがピットインして、燃料補給、タイヤ4本交換、そしてトニー・カナーンからブライアン・ハータへドライバーを交代した。
 もちろん、オーバーオールリーダーはアウディに奪い返されることとなった。

 ニック・ワースがボディを作り替えたアキュラARX-01aは、空力性能が向上したことは間違いないらしい。しかし、各種のシステムを改良した訳ではなく、フェルナンデスローラと共に盛り込まれたザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトシステムだけが唯一の改良と言える状況だ。
 そのため、AGRとハイクロフトは、共にギアボックスに問題を抱えながら走行している。No.9ハイクロフトは、しばしば電気系トラブルも発生していることを見ても、AGRのペースは限界だろう。

 速さでGT2クラスのトップの座を奪い返したNo.62リシーフェラーリは、8時30分頃ピットから再スタートしようとして、エンジンが始動しなかったため、クラストップの座をNo.45フライングラザードポルシェに奪われることとなった。

Photo:Porsche AG

◆12hour  No.1アウディ優勝 AGRアキュラ2位 GT2はフェラーリ
 エンジン始動に手間取って、クラストップの座を再び奪われたNo.62リシーフェラーリは、またしても自力でトップに返り咲いた。9時30分頃最後のピットインを行った時、給油中にドライバー交代を開始してしまい、20秒のペナルティを課せられたが、クラストップの座を死守した。

 9時49分、急にNo.26 AGRアキュラのペースが落ちた。一旦は絶望的な2分4秒台となるが、深刻なトラブルではないようで1分59秒台まで回復して、最後の10分間を走ろうとしている。

 最後の10分間でNo.20ダイソンとNo.7ペンスキーのポルシェは、共にバッテリーを交換した。

 最後のドラマはGT2クラスのトップ争いだった。
 楽勝のハズが、最後のピットインでのミスによって、最後の15分間No.62リシーフェラーリはNo.45フライングラザードポルシェの攻撃に曝されることとなった。
 元々30秒も差があったことから、リシーはタイヤを交換しなかった。そのため、エースのヨルグ・ベルグマイスターが乗り組んだフライングラザードポルシェの攻撃に、防戦一方だった。

 10時7分マルコ・ベルナーのNo.2 AUDI R10TDIがトップでチェッカードフラッグをかいくぐった。


Photo:ALMS

 その後ろでは、まだフェラーリとポルシェが接戦を繰り広げていた。
 インにフェラーリ、アウトにポルシェで、サイドbyサイドで最終コーナーを通過した。そして、チェッカードフラッグを目指して加速競争を行って、0.202秒差でフェラーリが勝った。

2007年ALMS Rd1 セブリング12時間最終結果
1 P1 No.2 AUDI R10TDI Audi Sport North America 364laps
2 P2 No.26 Acura ARX-01a AGR 358laps
3 P2 No.15 Lola B06/43 Acura Fernandez 356laps
4 P1 No.1 AUDI R10TDI Audi Sport North America 353laps
5 P2 No.7 Porsche RS Spyder Penske 351laps
6 P2 No.9 Acura ARX-01a Highcroft 346laps
7 GT1 No.4 Corvette C-6R Corvette Racing 341laps
8 GT1 No.3 Corvette C-6R Corvette Racing 341laps
9 P2 No.16 Porsche RS Spyder Dyson 340laps
10 P2 No.20 Porsche RS Spyder Dyson 333laps
11 GT1 No.63 AstonMartinDBR9 Team Modena 331laps
12 GT2 No.62 Ferrari F430GT Risi Competizione 330laps
13 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 330laps
14 P1 No.37 Creation CA06H Judd Intersport 325laps
15 GT2 No.71 Porsche 997GT3RSR Tafel 322laps
16 GT2 No.85 Porsche 997GT3RSR Farnbacher Loles 316laps
17 GT2 No.73 Porsche 997GT3RSR Tafel 314laps
18 GT2 No.18 Porsche 997GT3RSR Rahal Letterman 313laps
19 P2 No.27 Lola B05/40 Judd Horg 307laps  *Rメカニカル
20 GT2 No.24 Ferrari F430GT JMB 305laps
21 P1 No.12 Lola EX257 AER Autocon 303laps
22 GT2 No.31 Ferrari F430GT Petersen/WhightLightning 300laps
23 P2 No.6 Porsche RS Spyder Penske 297laps
24 GT2 No.61 Ferrari F430GT Risi Competizione 290laps
25 GT2 No.86 Spyker C8 Spyker Squadon 286laps
26 GT2 No.21 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 275laps *Rオイル漏れ
27 GT2 No.22 Panoz Esperante GTLM Panoz Team PTG 270laps
28 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR Flying Lizard 268laps
29 GT2 No.10 Porsche 997GT3RSR Konrad 252laps *Rクラッチ
30 GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR Team Trans Sport 235laps *Rサスペンション
31 P2 No.8 Lola B07/40 MAZDA BK Motorsport 224laps
32 GT2 No.32 Ferrari F430GT Corsa/WhightLightning 300laps *R火災
33 GT2 No.77 Porsche996GT3RS Autoracing Club Bratislava 129laps *Rエンジン
34 GT2 No.53 Panoz Esperante GTLM Robertson 64laps *Rエンジン



3月11日
Special Edition センスの良さは変わらない
 真価が問われるパトリック・ペーター

Special Thanks:LeMans Series
 これは、今年のLMSのため、パトリック・ペーターが描かせたカード。このセンスの良さは他で例を見ない。これに匹敵するオシャレさを発揮したのは、1991年から1993年に活動したプジョーだけだろう。  

 現在ルマンシリーズの実質的なオーガナイザーを務めるパトリック・ペーターは、元々復刻版ツール・ド・フランスであるツールオートのオーガナイザーとして知られていた。
 高価なヒストリックカーを所有するだけでも大変であるのに、その高価なヒストリックカーを、当時の方法そのまま、全開で走らせようと言うのだから、参加するドライバーやレーシングチームは、その総てがミリオネラと言っても良い。

 パトリック・ペーター自身は、そのようなミリオネラではないらしい。しかし、妻のsルビアン・ペーターと共に、細かい気配りによって信頼を得ている。
 もう一つ、パトリック・ペーターの人気は、センスの良さだった。
 パトリック・ペーターは、これらのミリオネラだけでなく、ヨーロッパのスポーツカーファンを納得させ、憧れさせるような、センスの良さを持ち合わせていた。

 毎年春になって、そろそろツールオートの時期となると、1枚の絵としても、素晴らしい、センスの良いポスターが作られて、我々の元にも送られてきた。ツールオートは、取材する側にとっても、大きな金を要するイベントであるため、我々も毎年取材することは出来ないが、春に送られてくるツールオートのポスターは楽しみだった。

 一時期、このポスターは郵送を止め、Eメールで送られるようになった。しかし、それでは、あの素晴らしい絵の魅力は半減してしまうため、以前のようにパリで印刷したものが欲しい、との要望が多数出されたことから、最近再びパリで印刷した絵を郵送で送る方法に切り替えられた。

 パトリック・ペーターは、1993年からステファン・ラテルとユルゲン・バースと共に、ユーログローバルシリーズをオーガナイズしたことはご存じだろう。このシリーズは、グループC崩壊後、新たなスポーツカーレースの中心として、GTレースの復活を目指して、スポーツカー愛好家に呼びかけて行われた。このシリーズは、3人の頭文字を取ってB(バース)P(ペーター)R(ラテル)シリーズと呼ばれた。
 集まったレーシングチームの多くは、ツールオート等のヒストリックカーレースのエントラント達で、グループCチームは、ほんの少しだけだった。

 BPRシリーズは、人気を集めた結果、1997年FIAの誘いに応じてFIAGTとして行われることとなった。しかし、急激な拡大路線によって、元々BPRシリーズ設立に協力したスポーツカー愛好家の居場所がなくなることが予想されたため、FIAの誘いに反対したパトリック・ペーターは、FIAGTに参加することなく、ステファン・ラテルとユルゲン・バースによって、FIAGTは行われることとなった。
 ファクトリーチーム同士の過当競争によって、たった1年で、プライベートチームのGT1カーは、ほとんど居なくなってしまった。その結果、たった2年で看板役者のGT1クラスは消滅して、その後再生に長い時間を要することとなった。

 2003年にジョン・マンゴレッティのFIASCCが崩壊して、2004年からACO自身が関与するLMESが行われることが決まった。2003年6月ルマンで行われた記者会見の際、ACOは、名乗りを上げたステファン・ラテルがオーガナイズすることを明らかとした。しかし、その席にパトリック・ペーターが姿を見せており、誰もが、実際の仕事はパトリック・ペーターが行うものと判断していた。

 予想通り、2004年にLMESがスタートすると、LMESの実質的なオーガナイザーがパトリック・ペーターであって、ツールオートと同じペーターオートが事務局を務めた。この交通整理に手間取って、2004年のLMESのオーガナイズは混乱の中にスタートした。そのため、ツールオートで発揮したような、信頼を確立することは出来なかった。

 ところが、年を重ねるにつれて、LMESは確固たる地位を築き上げるようになった。2005年から、シーズン前ポールリカールを借り切って、高速耐久テストを実施するようになると、LMESがルマン直轄のイベントであることアピールすることとなった。もちろん、参加するチームは年々増え、4年目の2007年、LMS(2006年からLMS)は51台のシーズンエントリーを集めることとなった。

 今年のLMSは、パトリック・ペーターの真価が問われるシーズンとなるだろう。


3月6日
Special Edition  ポルシェがSUPER GTで成功する可能性は残されているのか?



Photo:Sports-Car Racing
 昨年、スポット参戦ながら、2つの富士スピードウェイのレースでタイサンは優勝争いを演じるポテンシャルを披露した。ポルシェを知り尽くしたタイサンならではのパフォーマンスだったが、それが限界だった。
 2007年のタイサンは、空力に改良を加えた996GT3RSでシーズンをスタートする。分かり難いかもしれないが、派手なカラーリングだけでなく、ボンネットに開けられたエアアウトレットに注意。

@997GT3RSRは、ポルシェの信頼を回復させることが出来るか?

◆世界との唯一の接点はポルシェだった
 JGTCの時代から、N-GTは改造範囲が広く、このレギュレーションを活かして、多方面に開発を手を加えることで高いポテンシャルを発揮してきた。
 しかし、元々、少なからずレースを意識して開発されているポルシェの場合、FIAGTやACO(ルマン)のために開発されたGTレースバージョンであれば、5年前まで、ほとんどそのままの状態であっても、GT300(旧N-GT2)で成功することが可能だった。

 ところが、その後ライバル達は、改良を手を休めず、シャシー、空力、エンジンの開発を続けたことから、あっと言う間にポルシェの時代は過ぎ去ってしまった。

 SUPER GTにとって、世界のGTレースとの唯一の接点は、ポルシェだった。そこで、特定の状況であっても、SUPER GTでポルシェが活躍出来るよう、レギュレーションを見直すこととなった。

 そうして、2006年の場合、ポルシェであれば、どのモデルであっても、FIAGTやACOと同じ、約430馬力を発生可能な大きなリストリクターの使用が許されることとなった。
 GT300クラスのライバル達は、もっともハンデが大きいマシンの場合、320馬力程度の出力しか持たないため、SUPER GTはポルシェに対して100馬力以上のアドバンテージを与えたことを意味した。
 ある特定な状況とは、この大きな出力を活かすことが出来る、長いストレートを持つ富士スピードウェイのことだった。

 2006年タイサンとハンコックの996が、大きなパワーを活かして、富士スピードウェイでトップ争いを演じたのは記憶に新しい。しかし、それでもポルシェは勝てなかった。

◆100kg重い車重でポルシェが復活する?
 2007年ポルシェは、FIAGTとACOをターゲットとして、車重1,225kg、485馬力、そして、幅14インチの大きなタイヤを履く997GT3RSRを送り出した。
 FIAGTとACOは、車重1,200kg以上の場合、それ以下と比べて2インチ広い14インチ幅のタイヤの使用を許している。このレギュレーションを活用した選択だった。

 RR故テイルヘビーのポルシェにとって、従来より車重が100kg重くなることによって、その分重りを積むことが可能となる。もちろん、それらの重りは、フロント車軸の直ぐ後ろ、つまり、ホイールベース内の一番前に積まれるため、100kg重くなることによって、ポルシェは持病のテイルヘビーを解消出来ると考えられていた。

 前後の重量配分を改善出来て、大きなパワーと太いタイヤも手に入る。重い車重を除くと、ポルシェにとって、最良の選択と考えられていた。

◆70mmエンジンを前にマウント可能なトランスミッション
 ポルシェは、100kgの重りを積むだけでなく、997GT3RSRに様々な工夫を盛り込むつもりだった。ACOレギュレーションが改訂されて、使用が許されたトラクションコントロールはもちろん、新たに3.8リットルエンジンも開発されている。
 クルマの前方に重りを積むことによって、前後の重量配分そのものは適正とすることは出来ても、リアのオーバーハング部分に重いエンジンを搭載する以上、大きなリアの慣性重量はそのままだ。そこで、ポルシェは、エンジンを70mm前方にマウント出来る、新しいトランスミッションの開発に取り組んだ。

 歴代の911がそうであるように、通常のトランスミッションは、エンジンの直ぐ隣にクラッチが存在して、その隣にデフ、そして、その先にミッション部分のギアが存在する。
 リアエンジンの場合、エンジンと出来る限り近くにデフをレイアウトすることによって、エンジンを前方にマウントすることが可能となる。
 
911にとって、クラッチの厚さを薄くすることが、テイルヘビーを減らすポイントだった。2枚や3枚の多板クラッチが常識化しても、911がシングルプレートにこだわる理由はそこにあった。

 そこで、まったく違うレイアウトのトランスミッションが開発されることとなった。
 一部のミッドシップフェラーリは、コクピットのスペースを確保するため、エンジンを考車軸に近づけてマウントするため、エンジンの隣にデフ、その隣にミッション、そして、ミッションの先にクラッチをレイアウトしている。
 エンジンから出た出力は、ミッションを貫通するシャフトによって、ミッション先端のクラッチまで伝えられ、そこから、通常と反対に後ろのミッションで変速され、エンジンとミッションの間のデフに伝えられる。この方式の場合、クラッチの厚さを無視して、デフをエンジンの直ぐ横にレイアウトすることが可能となる。

 今後のリアエンジンポルシェの命運を左右するトランスミッションとも言えそうだが、どうやら、このトランスミッションの開発に手間取っているらしい。
 現在のところ失敗は伝えられてないが、少なくとも、997GT3RSRは通常と同じトランスミッション付きで完成した。もちろん、エンジンは通常の位置に取り付けられた。

Photo:Sports-Car Racing
 セブリングとモンツァで、997GT3RSRは、フェラーリと対抗するには、大胆な改良が必要であることを証明した。今後、どのような開発が加えられるのかは判らない。しかし、余程思い切った改良が加えられない限り、フェラーリを破るのは難しいだろう。


◆最大の弱点は短いホイールベース
 トランスミッションは間に合わなくても、次々と997GT3RSRは完成して、世界中のレーシングチームにデリバリーされている。1月のセブリングテストに続いて、2月になると、モンツァでFIAGTの合同テストが行われた。
 セブリングにやって来た6台のポルシェにとって、最大のライバルはジョゼッペ・リシーが持ち込んだフェラーリF430GTCだった。リシーは本格的なテストを行った訳ではなかったが、走り始めると、あっさりとポルシェを圧倒する速さを見せつけた。

 元々セブリングは、飛行場の誘導路を使って造られたサーキットであることから、その多くがコンクリート舗装で、路面の平面性に欠けている。
 常に安定して速さを見せつけるフェラーリに対して、ポルシェ勢は、セブリングのギャップの大きい路面に苦しんだ。激しいピッチングはもちろん、大きなギャップを乗り越える時は、コントロールに苦しむこととなった。

 この大きな原因は、短いホイールベースと考えられている。

 高速コースのモンツァであれば、100kg重いポルシェの大パワーが活かせると考えられていたが、2月のFIAGTテストでは、逆にフェラーリ勢に3秒の大差を一様につけられてた。

 もちろん、従来のポルシェユーザーの多くは、次々とフェラーリに乗り換えている。
 今後、ポルシェは、997GT3RSRに大々的な改良を盛り込むことが予想されている。しかし、余程大胆な改良を盛り込まない限り、フェラーリに対抗するのは難しいだろう。

AポルシェがSUPER GTで性能する可能性は残されているのか?

◆997GT3RSRは、14インチタイヤのままSUPER GTに参加可能
 現在SUPER GTは混沌とした状況に陥っているが、レギュレーションそのものは、従来のものが堅持される。GT300クラスの場合、最も注目されているのは、幅14インチのタイヤを履く997GT3RSRの存在だった。

 ランボルギーニムルシエラーゴがそうであるように、従来、元々FIAやACOのGT1等、タイヤ幅が14インチのクルマがGT300クラスへ参加する場合、レギュレーション通り、タイヤ幅を12インチとしなければならなかった。

 しかし、現在SUPER GTとFIAやACOが、あまりにもかけ離れたとの判断から、997GT3RSRは、(トラクションコントロールを持たない)FIAGTバージョンが、何の改造も加えられないで、そのままの状態で参加するのであれば、14インチのタイヤ幅のままGT300クラスで出走することを認めた。もちろん、485馬力の出力もそのままだ。

 現在ハンコック(エンドレス)チームが、997GT3RSRをSUPER GTへ持ち込むと考えられている。しかし、他のレーシングチームは、FIAGTのフェラーリとの対決でも勝てないのに、間違いなくフェラーリより速い、日本のGT300マシンを相手とするのは難しいと判断して、997GT3RSRの導入を諦めてしまった。

◆ポルシェ復活の鍵は、ポルシェ自身の意識改革
 SUPER GTのように、正規のマシンより100馬力以上も大きいアドバンテージを与えるような大胆なことは行っていないが、これまでも、ACOやFIAは、ポルシェに対して、様々な優遇処置を与えている。2006年の場合、スタンダードの3.6リットルだけでなく、新たに公認された3.8リットルエンジンに対しても、通常と違ったサイズのリストリクターの使用を許している。しかし、それでもポルシェは勝てなかった。

 先日のセブリングテストの際、目の前でフェラーリに圧倒される997GT3RSRを見ながら、ポルシェの広報マンに対して、「リアエンジンは限界に思える。どうしてケイマンでGTレースカーを作らないのか?」と質問したところ、ポルシェの広報マンは、ポルシェの歴史を知らない日本人!に対して、延々と、ポルシェのアイデンティティがリアエンジンであることを説明し始めた。しかも、このポルシェの人間は、レギュレーションが間違っているとさえ口にした。ポルシェの歴史を知らない日本人!は、呆れて、走らない997GT3RSRに苦戦するレーシングチームに同情しながら、その場を後にしたのは言うまでもない。

 ポルシェの意識が変わらない限り、しばらくの間、状況が改善されるとは思えない。

◆リアエンジンだけがポルシェではない
 SUPER GTの場合、現在996や997のようなリアにオーバーハングしてエンジンを積むクルマだけがポルシェでなく、ミッドシップのボクスターも参加している。5年前に優勝争いを演じた後、2年ほど前からアークテックチームがボクスターで活躍している。


Photo:Sports-Car Racing
 現在、世界中で最も注目されるポルシェGTレースカーは、このアークテックチームのボクスターGT。2007年に栄冠をつかむことが出来るのだろうか?


  昨年活躍したアークテックチームのボクスターは、ポルシェを優遇するレギュレーションによって、リアエンジンの996と同じく、FIAGTやACOと同じ大きなリストリクターを装着していた。今後もこのレギュレーションがボクスターも適用されるかは判らない。しかし、2006年のSUPER GTにおいて、富士スピードウェイ以外のレースで可能性を見せた唯一のポルシェは、アークテックチームのボクスターだった。
 アークテックチームは、新たにゼロからボクスターGTレースカーの開発に取り組んでいる。フレームが完全に作り直されて、新しいボディも作られた。

 ボクスターと同じフレームを使って、クローズドボディを被せたケイマンは、元々クローズドボディであることから、当たり前かもしれないが、ポルシェの資料によると、ボクスターよりも空力性能に優れている。しかし、ボクスターと同じフレームであることから、つまり、996や997と同じフロントセクションであるため、ノーズに燃料タンクがレイアウトされる弱点もそのままだ。

 誰かケイマンをベースとしてGT300レースカーを作るレーシングチームは現れないのか?と思っていたら、やっぱり、チャレンジャーが動き始めているようだ。

Photo:Porsche AG
 ポルシェはそう思わなくても、ケイマンはポルシェ以外には見えない。充分にポルシェのアイデンティティを表現しているように思えるが?

 現在のところシュミレーションの段階にあることから、名前を明らかにすることは出来ない。しかし、登場すれば、間違いなく優勝争いを演じることが出来る強豪チームだ。

 どうやら、世界よりも一足早く、日本でポルシェは新時代を迎えることとなる。
 富士スピードウェイ等特殊な状況を除くと、今後SUPER GTで活躍するポルシェが、ポルシェの意向とは違うミッドシップとなるのは明らかだろう。


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