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9月29日
●ACOがルマンのレギュレーションの不均衡を是正! ガソリンエンジンP1カーが有利に?

Photo:Sports-Car Racing

 現在のルマンのプロトタイプカーのレギュレーションは、P1クラスの場合、総てのクルマの最低車重は925kgだ。しかし、理論上ディーゼルエンジンが800馬力以上を許されるのに対して、ガソリンエンジンは650馬力程度が限界のリストリクターに制限されている。もちろん、同じ車重で150馬力も大きな差を付けられたら、ガソリンエンジンP1カーのエンジニアやドライバーがどんなに優秀でも、ディーゼルエンジンP1カーに勝つのは不可能と言うべきだろう。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの間の150馬力以上の差は、現在のACOレギュレーション最大の不均衡だった。

 ガソリンエンジンP1カーが不振となって、大きくクローズアップされたのは、P2カーのアドバンテージが予想以上大きいことだった。元々出力が約500馬力に制限されても、P1カーより150kgも軽い775kgの車重のP2カーは、理論上P1カーに匹敵するポテンシャルを持つ。2005年にP2カーの勉強を始めたポルシェが、今年完全なニューマシンを開発した結果、P2のアドバンテージを証明する結果となった。そのため、ALMSでは、中盤以降ポルシェのP2カーが、アウディのP1カー相手に8連勝している。
 P1とP2の逆転現象は大問題だったため、既に2008年のレギュレーションで、P2の最低車重を50kg重い825kgとすることが発表されていた。

 しかし、これまでP1ガソリンカーの不利な状況に対して、これまでACOは改善しようとしなかった。
 この状況に対して、P1ガソリンカーを走らせる多くのレーシングチームは、P1を止めてP2へのコンバートを示唆する一方、たくさんのガソリンエンジンP1カーが走っているLMSを諦め、独自にガソリンエンジンP1カーに有利なレギュレーションを設けているALMSへの参加を検討するようになっていた。

 この状況の改善に、やっとACOは取り組むこととなったようだ。28日ACOは、2008年のレギュレーションで、総てのP1カーの車重を900kgに引き下げる一方、ガソリンエンジンP1カーのリストリクターを3%大きくすることを公表した。3%が、直径を意味するのか? 面積であるのか? 明記していないが、もし、面積である場合、20馬力程度のパワーアップを意味する。エアコンのレギュレーションを活用して30馬力を得ることが出来るのであれば、ガソリンエンジンP1カーは最大700馬力程度が可能となる。

 まだ、ディーゼルエンジンとは100馬力も大きな差があるじゃないか、と考えるかもしれない。
 しかし、車重が25kg軽くなることで、その差も帳消しとなるかもしれない。

 現在のところ、ディーゼルエンジンで大出力を得る場合、5.5リットルの12気筒はマストであるため、エンジンが大きく、そして重くなってしまう。そのため、アウディとプジョーのディーゼルエンジンP1カーの前後の重量配分はテイルヘビーとなっている。現在のところ、出来る限りクルマを軽く仕立てて、出来る限り多くの重りを詰めるようにして、その重りをクルマの前方に積んで、前後の重量配分を多少なりよも前よりに仕立てている。ところが、車重が25kg軽くなることで、重りを積むことが難しくなって、よりテイルヘビーとなってしまう。

 この新しいレギュレーションが、そのまま施行されるのであれば、ガソリンエンジンP1カーは、大きく速さを増すだろう。逆にアウディとプジョーのディーゼルエンジンP1カーは、より一層開発に精を出さない限り、今年のP2カーに代わって、2008年はガソリンエンジンP1カーに負けるかもしれない。

9月16日
●クリエイションとザイテックが終盤のALMSに参戦  ALMSはガソリンエンジンP1カーに好条件を提示

Photo:Sports-Car Racing  前がザイテック07S P1、後ろがクリエイションCH07

 いよいよヨーロッパで行われるLMSは最終戦を迎えた。11月にブラジルで行われる前、幾つかのチームは、ALMS“プチルマン”とラグナセカに参戦する。しかし、ALMSでは、特にプロトタイプカテゴリーの場合、基本となるACOのレギュレーションとは少々違う内容のルールで行われている。ヨーロッパでは走れないハイプリッドカーが、今年も走れるだけでなく、明かに速いディーゼルターボカーに対して、ガソリンエンジンカーが劣勢であるため、ガソリンエンジンP1カーに有利なレギュレーションを設けている。

 元々、今年初めにIMSAが公表したガソリンエンジンP1カーのレギュレーションは、ACOルールより25kg軽い900kgの最低車重を許していた。しかし、P1クラスでは、圧倒的にアウディのディーゼルエンジンカーが速いだけでなく、最低車重が775kgのP2カーが、本来の速さを発揮しているため、ガソリンエンジンのP1カーは、まったく勝負権の無い状況が続いていた。

 元々IMSAは、シーズン中の性能調整を公言しており、その場合、ガソリンエンジンP1カーの最低車重は875kgまで軽くする予定だった。さらに、性能調整が必要な場合、ディーゼルエンジンカーの車重を重くする予定だった。ところが、150kg軽いP2カーが速すぎるため、アウディのディーゼルエンジンカーを重くすることは、到底出来ない状況となっている。
 そこで、クリエイションワークスとザイテックからの参加申請が出たことをきっかけとして、IMSAは、ガソリンエンジンのP1カーのルールを見直すこととなった。

 元々現在のP1ルールの場合、875kgの最低車重は非常に難しい。そこで、最低車重を880kgとすることとした。しかし、この880kgが可能なのはザイテックだけと考えられている。

 そこで、一方のクリエイションに対して、ACOルールの場合、搭載するジャドのGV5.5S2 5.5リットルエンジンは直径32.4mmのリストリクターを2つ装着することを義務付けられているが、シーズン前半のインタースポーツの情けないリザルトを考慮して、クリエイションの5.5リットルジャドエンジンに対して、ザイテックの4リットルV8と同じ33.4mm×2のリストリクターを装着することをIMSAは許可した。

 しかし、少々複雑なのは、現在IMSAが公表したのは、ハイブリッドカーのクリエイションCH06Hに対する性能調整のルールであって、正真正銘のP1カーであるCH07に対するものではないと言うことだ。
 クリエイションは、CH07の方が新しくても、P1レギュレーションの2つのロールバーを備えるため、重く、重心が高いことから、ハイブリッドカーと同じルールの適用を要求している。

 有利なレギュレーションによって、ザイテックとクリエイションは、アウディのディーゼルエンジンP1カーや775kgのポルシェP2カーに勝てるのだろうか?

9月14日
●ORECAがクラージュを買収!

Photo:Sports-Car Racing

 近年のクラージュは、まるで綱渡りをしているようで、何時落ちてしまうか? 危ない状況が続いていた。しかも、鳴り物入りで登場させたLC70とLC75は、その意気込みと違って、古いC60やC65のパーツを多用して作られ、C60とC65の弱点を引き継いでいただけでなく、新たに作ったモノコックの剛性も低かった。そのため、返品騒動が彼方此方で起きる始末だった。

 そのため、これまで、何度も強かに深刻な危機を迂回してきたクラージュも、ついに姿を消すと囁かれていた。しかし、どんなにクラージュの経済状態が悪くても、債権者の多くは、ルマン市やサルテ県の有力者であり、優秀な誰かが、買い取ることで存続するものと噂されていた。
 特に、同じルマンのテクノパルクに工場を構えるペスカロロは、有力な買い手だった。

 しかし、昨年クラージュLC70とLC75が失敗作であることが明かとなった後、ペスカロロは、クラージュを買うのではなく、独自にLC70やLC75にも使うことが出来るペスカロロP1モノコックを作った。これによって、もちろん、ペスカロロP1モノコックは素晴らしい出来だったため、ペスカロロP1に買い手が殺到して、クラージュを買うレーシングチームは、無くなってしまった。

 それでも、例えばペスカロロがクラージュを買えば、ペスカロロP1モノコックを使って、LC70やLC75を再生させることが可能であるため、ペスカロロによる買収が望まれていた。ところが、あまりにも近い場所に居ることから、ペスカロロとクラージュは、決して仲が良いとは言えなかったようだ。イブ・クラージュにも意地があったのだろうが、高値での買い取り、あるいは、債権も含めた買収等、悪い条件を提示していたらしい。もちろん、アンリ・ペスカロロは、クラージュ買収を断った。

 そうこうしている間、クラージュの状態は益々悪くなった。そうして、先週になって、突然ORECAとの間で買収話しが持ち上がり、今週あっと言う間に基本的な合意に達した。

 金曜日シルバーストーンで、ORECAによるクラージュ買収が発表された。
 ORECAの拠点は、南フランスのポールリカールに近いシグネスで、エンジン部門だけがマニクールに存在している。そのため、クラージュから買い取ったプロトタイプカー部門もシグネスに移動するのかと思ったが、これまで通り、ルマンのテクノパルクで仕事を続けることが明かとなった。

 2002年クライスラーからの、ほんの少しの支援を頼りとして、ダラーラに委託してORCAダラーラLMPを作ったORECAが、スポーツカーレースのトップカテゴリーへの復帰を目論んでいることは、広く知られていた。昨年から行っているサリーンS7Rプロジェクトも、そのためのステップと考えられていた。
 11月初めまでに、今後の計画はまとめられる予定だが、ORECAは、新しいクルマとチームのプロモーションを10月末に予定しているため、その時にほとんどの内容は明らかとなるだろう。

 それ以外で、公表された内容は、来年に登場させることを目標として、新しいプロトタイプカーを開発すること、そのクルマが完成した時、クラージュ/ORECAと呼ばれること、そして、ORECAのファクトリーチームが走らせるだけでなく、カスタマーカーを作ることだけだった。
 つまり、クラージュ/ORECAは、P1とP2のどちらのクラスのクルマであるのか? ORECAのファクトリーチームは参戦するのか? その場合のエンジンは何なのか? そして、クラージュが販売したLC70とLC75の改良は行うのか? と言った、基本的なテーマについては、何も公表されていない。

 また、この買収の裏には、相当な話し合いがあったようで、フィクサーが居るようだ。Sports-Car Racing Vol.18に詳しい内容を掲載する予定です。

9月12日
●ACOがGTPシルエットフォーミュラを断念!  童夢がS102プロジェクトの発表を遅らせた理由

Photo:Sports-Car Racing

 ACOは、6月のルマン24時間レースの際、ロードカーと似たスタイルでありながら、トップカテゴリーのP1カーと同じ速さで走ることが出来る新制GTPカーを提案している。その発表の席で、GMのコルベットとニッサンR390を掛け合わせたような予想イラストまで公開されている。
 そのため、GMとニッサンの要求によって、ACOが構想したものと思われていた。

 その後、高度なP1カーに対して、ロードカーと似たスタイルのクルマを、どのようにして、同じ速さで走らせるのか? が興味の中心だった。多くの意見は、P1とGTPの車重が同じだとしても、最低100馬力大きな出力と大きなオーバーハング、つまり理論的に高い空力性能を与えない限り、GTPカーが、最先端のP1カーと同じ速さで走ることは不可能としていた。
 ところが、現在のP1カーに搭載されるディーゼルターボエンジンは、既に750馬力を超える圧倒的な出力を持っている。2008年には、レギュレーションがそのままであるなら、リストリクターが許す850馬力に迫ることも不可能ではないと考えられている。
 と言う事は、900馬力!を超える出力が必要となってしまう。

 さらに、その後、GMとニッサンが、実際に「ロードカーと似たクルマであれば、参加出来るだろう」と発言していたことが明かとなった。しかし、この発言は、毎年ACOから招待状を受け取ってルマンを訪れながら、参加もしないのでは、ACOに見捨てられて、招待状が来なくなることを心配した担当者が、何も計画が存在しないにも関わらず、会社の意向を無視して、勝手に言っただけだったらしい。

 では、このような可能性のないメーカーではなく、実際に、誰がGTPプランを望んだのだろうか?
 最近になって、どうやら、プジョーであるらしいことが明かとなってきた。

 しかし、プジョーは既に908クーペを開発している。しかも、そこそこの速さを披露している。わざわざ、ロードカーに似たGTPカーを欲しがるとは思えなかった。しかし、最近になって、プジョー本社が、ロードカーに似たクルマを望んでいたことが明かとなってきた。元々プジョーはラリーに参加していたことでも明かなように、ロードカーと同じカタチはマストと判断していた。しかし、環境問題を考慮すると、今後ラリーに参加していることは、逆にマイナスイメージとなってしまう。そこで、新たなターゲットとなったのがルマンだった。その際ACOに求めていたのがGTPプランであるらしい。

 その後プジョーが“屋根付き”のP1カーを決定した後も、ACOはGTPプランを続行していたようだ。
 ACOにとっては、GMとニッサンの要求も満足出来る一石二鳥の妙案だったかもしれない。そうして、今年の6月GTPシルエットフォーミュラは公表された。
 驚いたのは、それまで、招待状へのエクスキューズとして発言していた2つのメーカーだっただろう。

 ところが、GTPシルエットフォーミュラは、思わぬところに影響を与えた。現在幾つかのメーカーがルマンをターゲットとしたプロジェクトをスタートしている。純粋な研究段階であるメーカーもあれば、既に様々な実験を行っているメーカーも存在する。
 もし、通常のP1よりGTPシルエットフォーミュラの方が有利であれば、現在彼らが行っている研究や実験は無駄なものとなってしまう。

 元々童夢は7月頃S102クーペのプロジェクトを発表する予定だった。ご存じのように、様々なメーカーが童夢にコンタクトしている。それらのメーカーの多くが、もし、少なくともGTPシルエットフォーミュラがP1と同じ速さであるなら、GTPシルエットフォーミュラを走らせることを望んでいる。
 そのため、長かった“屋根付き”と“屋根なし”の論争のトンネルの出口が見え始めて、“屋根付き”を選択した童夢も、身動きすることが出来なくなってしまった。

 ところが、プジョーは“屋根付き”のP1カーを登場させ、GMとニッサンが黙ってしまった結果、わざわざ難しい、GTPシルエットフォーミュラとP1カーの性能のすりあわせを行う理由はなくなった。
 そこで、ACOは、今月中に発表する新しいレギュレーションブックから、GTPシルエットフォーミュラプランの項目を削除することを決定した。
 こうして、童夢は、やっとS102クーペプロジェクトを発表することが可能となった。

*注:近日中に童夢S102クーペプロジェクトについて掲載する予定です。

9月11日
●FIAGTからGT1とGT2が姿を消す   20011年のFIAGTはGT3とGT4で行われる

Photo:FIAGT3/DPPI

 10年前と違って、現在のFIAGTは、プライベートチームが走らせるGT1とGT2カーによって行われている。しかも、現在GT1と言われているカテゴリーはかつてのGT2で、GT2は10年前には存在しなかったGT3カーだ。にも関わらず、現在GT1クラスの中心であるアストンマーティンDBR9は、10年前の正真正銘のGT1カーであるポルシェGT1やマクラーレンF1GTRよりも高価なクルマとなっている。それどころか、GT2クラスのポルシェ997GT3RSRとフェラーリ430GT2は、共に5,000万円前後のプライスタグをぶら下げている。ほとんどのプライベートチームにとって、GT1とGT2の価格高騰は、手に負えない状況となりつつある。

 2年前アストンマーティンがDBR9を販売した時、このことは既に明かだった。しかし、アストンマーティンブランドを望んで、世界中のたくさんのミリオネラ達が、DBR9を注文したため、表面化しなかった。
 しかし、状況が好転した訳ではなく、裕福なジェントルマンドライバーでFIAの世界選手権を行う訳にはいかないため、ステファン・ラテルは、ジェントルマンドライバーのため、シタロンカップを設立すると共に、一般的なスポーツカーによるGT3とGT4カーのレースシリーズを次々と実行した。

 2006年に設けられたGT3カーのシリーズは、アマチュアを対象として、ハンデキャップレギュレーションによって、どのクルマにも可能性を持たせている。元々ポルシェやフェラーリのワンメークレースカーがたくさん存在したこともあって、最初の年から非常に盛況なエントリーを集めたため、FIA Cupのタイトルを与えて、その多くはFIAGTと同じ日程で行われた。
 続いて行われたGT4Cupは、より普遍的なスポーツカーによるシリーズで、より多くのエントリーを集めている。GT3とGT4カーは、現在ヨーロッパ中のサーキットで溢れており、新たなボーダーラインとなっている。この程度の価格のクルマのレースであれば、レーシングチームが歓迎することの証明だろう。

 そこで、8月に行われたFIAのGTとツーリングカーのワーキンググループのミーティングの際、ステファン・ラテルは、現在GT1とGT2で行われているFIAGTからGT1とGT2を排除して、新たにGT3とGT4カーで行うことを提案した。2009年からの実施を提案しながら、一応2009年から2011年を移行期間としていた。もちろん、従来のGT3を新しいGT1に、GT4を新しいGT2と改名することも盛り込まれていた。

 このワーキンググループのミーティングの際、反対したのはポルシェだけだった。ポルシェは、現在GT2カーの997GT3RSRを5,000〜7,000万円で販売している。それに対してGT3カーである997GT3Cupは2,000万円以下であるため、もし、GT3とGT4カーが中心となってしまうと、ポルシェは、大きな収入源を失ってしまう。ポルシェ自身、商売の場を失うことを、反対の理由としていた。

 現在スポーツカーレースの中心は、FIAだけなくACOである。仮にFIAからGT1とGT2カーが居なくなっても、LMSやALMSで走っていたら、メーカーはもちろん、裕福なジェントルマンドライバーやスポンサーは、FIAGTを見捨ててしまうのではないだろうか?
 ところが、8月のミーティングの際、一応ACOは態度を保留したものの、反対はしなかった。
 なぜなら、ステファン・ラテルは、コストダウンだけでなく、車種のバラエティを富ませることをを理由としていたからだ。これまでもACOは、車種のバラエティを富ませることを優先しており、ルマン24時間レースのエントリーを受け付ける時、山のように送られてくるポルシェとフェラーリのレーシングチームからのエントリー申請については、厳選した1つか2つだけを認める一方、スパイカーやパノスを走らせるレーシングチームに対しては、ほとんど無条件でエントリーを認めている。

Photo:FIAGT3/DPPI

 先週アドリアで行われたFIAGTの際、ステファン・ラテルはプレスコンファレンスを開き、2009年からGT3とGT4によってFIAGTを行う意向であることを発表した。
 クルマについては、GT3とGT4と言っても、現在のGT3とGT4そのままではなく、サスペンションやギアボックスのルールを緩やかにするようで、直ぐにレギュレーションを公表するようだ。また、現在GT4の公認を受けているクルマであっても、排気量が3.8リットル以上の場合、GT3とすることを明かとした。出来ることならば、基本的に3.8リットル上下でGT3とGT4を分けたいようだが、排気量が小さくても、コースによっては速いクルマは存在するし、排気量が大きくても、それほど速くないGTカーも存在する。そのため、2011年までを移行期間として、問題のすりあわせを行いたいようだ。

 ACOとのすりあわせについても、FIAとACOが共同でレギュレーションを構想することを公表している。実質的にはパトリック・ペーターが行っていても、LMSの主催者もステファン・ラテルであるから、ここら辺の根回しは、事前に行われていたのだろう。

 現在の“エキサイティング”GT1カーについては、2009年まで参加を認める考えで、“エキサイティング”GT2カーについては、2008年に別途ヨーロピアンチャンピオンシップを設けることが公表された。
 しかし、これらの“エキサイティング”GTカーについての選手権は、走らせるレーシングチームが存在する場合の話しと考えるべきだろう。2011年には完全に新しいルールに移行したい考えのようだ。

 10月19日再びGTとツーリングカーのワーキンググループのミーティングが行われる。この席で、8月の提案について、各メーカーが正式な回答をすることとなっている。その後、テクニカルレギュレーションが作られて、12月24日FIAのモータースポーツワールドカウンシルで審議され、正式に決定する。

9月11日
●クリエイションに黒沢治樹が加入 その裏に存在する最近のレースの悲しい事情

Photo:Sports-Car Racing

 これまで、クリエイションには中野信治が乗り組んでいた。しかし、今年のクリエイションは、裕福なパッケージを組み立てることが出来なかったため、フェリーペ・オルティスが持ち込む資金によって、活動を行っているようだ。そのため、中野信治は決して良い待遇を与えられていたように見えなかった。

 前回のLMSスパの際、中野信治がドライブするクリエイションは、周回遅れのポルシェGT2カーと絡んでリタイヤしている。ポルシェのドライバーは、ほとんど初めてもビックレースだったようで、コースアウトした際クリエイションを巻き添えにしただけのように思えた。少なくとも、ほとんどのレーシングチームはそう判断していた。しかし、不慣れなポルシェのジェントルマンドライバーは、呆れたことに、自分が被害者であるとして、抗議を行った。まるで、一般公道での事故の際、自分の立場を主張するような行動だが、ポルシェのGT2カーでレースを行うジェントルマンドライバーは、裕福な金持ちで、ほとんどの場合、何処かの有力者であることを忘れてはならない。

 そのため、監視カメラの映像が不鮮明であることもあって、中野信治とクリエイションの主張は認められず、他の多くのレーシングチームの意見と違って、スパの主催者は、ポルシェのジェントルマンドライバーの主張を門前払いとすることが出来なかった。
 正式結果は場を改めて審議するとしていたが、それではレース全体の正式結果が出なくなってしまう。そのため、可哀想な中野信治は、スパの正式結果から除外されてしまった。

 この件について、LMSとACOは審議を行っていると思われていた。
 裕福なポルシェのジェントルマンドライバーが、何をクリエイションに要求したのかは判らない。しかし、クリエイションは、ACOの結果を待てなかったようで、今週末のLMSシルバーストーンの際、取り敢えず中野信治に代わるドライバーを乗せることとなった。
 クリエイションは、2008年にAIMの資金によってAIMとジャドが開発中の、AIMジャド90度V10バイオエンジンを搭載する。日本のAIMへの手前もあって、日本人の有力ドライバーを求めた結果、黒沢治樹にドライブを要請することとなった。

 日本のSUPER GTでも、ジェントルマンドライバーが原因のアクシデントが度々発生している。5月の富士スピードウェイでは、NSXが火災を起こす大きなアクシデントに発生したし、先週もてぎでも、ジェントルマンドライバーの乗るクルマのスピンによって、NSXとZをリタイヤさせ、Zは火災を起こしている。
 プロとアマチュアの領域をハッキリと線引きすることは、世界中のスポーツカーレースにとって、今後真剣に考えなければならない重要な課題だろう。

9月11日
●2台目のザイテック07SはLNTからLMSシルバーストーンへ参戦

Photo:Sports-Car Racing

 ルマンでエイドリアン・フェルナンデスと黒沢治樹が乗り組んで走った、2台目ザイテック07Sは、バラジ-イプシロンが既に手一杯であるため、その後売りに出されて、一旦は売買契約が成立した。しかし、その後期日までに支払いが完了しなかったことから、契約は白紙に戻された。そのため、日本のJLMC最終戦岡山へやって来ることが、ほとんど決まっていた。ところが、その後、SEROが今年限りでJLMCから手を引くことを公表したため、話し合いは宙に浮いたままとなっていた。

 ザイテック自身は、当然ながら、他のレーシングチームとも話し合いを行っており、今週末シルバーストーンで行われるLMS第5戦では、パノスを走らせていたLNTから参戦することが決定した。
 LNTは、2年前からパノスを走らせてLMSやルマンに参戦している。新興チームでありながら、そこそこの活動予算とを捻出して、セブリングテストやセブリング12時間へも遠征している。2006年はルマン24時間レースでクラス優勝も成し遂げている。

 しかし、売買契約が成立した訳ではないようで、今後もLNTはパノスによる参戦を継続する一方、ザイテック自身は、07Sの買い手を捜しているようだ。
 もしかしたら、レンタル扱いで、このザイテック07SがJLMC岡山に登場するのかもしれない。その場合最新のP2カーであるザイテック07Sは、岡山でP1カーを圧倒する速さを見せることは間違いないだろう。

9月4日
●インタースポーツがローラ/AERにスイッチ、しかし、クリエイションは2台体制でALMSへ参戦

Photo:Sports-Car Racing

 今年開幕直前になって、ローラB05-40/AER P2カーから、クリエイションCH06/ジャド P1カーにスイッチしたインタースポーツは、クムホタイヤと共に苦労のシーズンを過ごしてきた。ほとんどの場合アウディやポルシェの3秒から4秒も遅いラップタイムで走ることしか出来なかった。インタースポーツは、クリエイションやKWM(実際にマシンを開発した)に対して、マシンの改良やバックアップを要求していた。
 昨年、クリエイションCH-06は、素晴らしい速さを披露している。CH-06は助手席にロールバーを持たないハイブリッドカーであるため、新しいCH-07 P1カーと比べて、重心の高さが低い。しかも、今年インタースポーツへデリバリーする前、クリエイションはCH-06のフロントフェンダーを作り直して、CH-07と同じ大きなタイヤが装着可能となっている。そのため、純粋な速さだけを比較するのであれば、CH-07よりCH-06の方が有利と考えられている。
 であるから、CH-06そのもののポテンシャルが劣っているのではない。そのため、インタースポーツに改良を要求されても、クリエイションやKWMは困った状態となっていたようだ。

 しかし、クムホの立場もあって、インタースポーツが、何らかの行動をしなければならないことは判るだろう。一時は再びローラB05-40を走らせるプランもあったらしい。しかし、ポルシェとアキュラが熾烈な闘いを繰り広げるP2カテゴリーに、プライベートチームは参加する意味はほとんどない。
 そこで、インタースポーツが扱いなれたローラのP1バージョンに白羽の矢が立てられた。
 昨年ダイソンが走らせたローラB06-10 P1カーは、ダイソンがポルシェRSスパイダーを走らせるようになった後もダイソンが保有している。ダイソンを話し合って、インタースポーツはローラB06-10の1台を譲り受けることとなった。エンジンもダイソンと同じAER製3.6リットルV8ターボを使用する。

 しかし、クリエイションCH-06ハイブリッドカーの姿が見られなくなるのではないらしい。インタースポーツは、10月6日に行われるALMS“プチルマン”からローラ/AERを走らせる。その“プチルマン”へ、クリエイションは、2台体制で参加する計画を立てている。1台はLMSで走っているCH-07だが、もう1台はインタースポーツが所有するCH-06ハイブリッドカーだ。まだ、完全に決定した訳ではないようだが、クリエイションは、“プチルマン”と最終戦ラグナセカを2台体制で参戦する計画であるようだ。

 CH-06の所有権はインタースポーツのままであるらしく、どのような交通整理が行われているのかは不明。しかし、現在、ローラとクリエイションが、インタースポーツに次期マシンを売り込むため、セールス合戦を繰り広げていることは明かだ。インタースポーツにとっては、どちらか可能性の高い方を2008年に走らせれば良い訳であるから、ローラとクリエイションも必死だろう。




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