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9月16日
■Special Edition 童夢S102クーペの秘密を解明する

Illustration:Dome
先週、童夢は、噂のS102クーペプロジェクトを公表した。S102クーペが、何を目的として、どのようなコンセプトで開発されたのかにつては、童夢のホームペイジをご覧いただくとして、Sports-Car
Racingでは、S102クーペの正体に迫りたいと思う。
下記に示す童夢のホームページをご覧になった後、このページを読むことを奨めます。
http://www.dome.co.jp/column/column_suzuki_13.html
●巧妙なカモフラージュを施されたS102のイラスト
イラストを見てもらおう。これまでの童夢は、ニューマシンを開発する際、開発の最初の段階から、総てを何も隠さずに公表するか?
そうでなければ、開発状況が遅れている場合、林みのる御大が理想とするイメージスケッチを、一足早く公表してきた。もちろん、実際に完成したら、林みのる御大の理想とまったく違うクルマが出来上がっていることも珍しくなかった。ところが、先週公表されたS102クーペのイラストは、これまでの童夢とは違って、明かにカモフラージュされたものだ。
ノーズを見てもらおう。現在のP1レギュレーションは、床下に速い空気の流れを形成するのが成功のポイントとなっている。ところが、S102クーペのイラストは、大きなチンスポイラーによって、到底床下に大きな空気の流れを取り込むようなデザインとはなっていない。
しかし、直ぐ上のノーズの先端が、真ん中が低く、この中央部分と左右のフェンダーアーチ部分を継ぐノーズ先端のラインが、その間で、不自然なRを描いて隙間を設けられているのが判る。
この隙間は、何なのだろうか?
フロントブレーキを冷やすため?
それとも、ラジエターを冷やすため?
そこで、ノーズ前方に長く延びたチンスポイラーが無いモノとして、その上の不自然なRを描いた部分がノーズ先端であるとすると、辻褄があってくる。
この不自然なRを描いた部分が、ノーズ先端であるとすると、この不自然なRを描いた部分から床下に空気を取り入れることとなる。これまでのレーシングスポーツカーの多くは、ノーズ先端部分の床下への開口部を平面としている。ところが、そうして形成されるディフューザーの空気の流れは、どの部分でも同じように流れる訳ではない。最新の空力研究によって、中央部分と左右では流れが違うことが、明かとなってきた。
このことは、最近のF1GPカーのフロントウイングが、不自然なRを描いていることでも判るだろう。
しかし、このイラストは、巧妙にカモフラージュを行っているため、それ以上を推測することは難しい。ブレーキの冷却ダクトの位置も判らなければ、エアコンを使わずに快適なキャビンとするためには、大きな空気をキャビンに取り入れなければならない。もしかしたら、最近使われなかったエキストラのヘッドランプがノーズ中央に復活していることから、ノーズ中央部分も、違うデザインである可能性が高い。
●ふたコブらくだの屋根
続いて屋根を見てもらおう。現在のACOのP1レギュレーションは、ドライバーと助手席の両方にロールバーの取り付けを義務つけている。“屋根無し”の場合だけでなく、“屋根付き”の場合、このロールバーの外側に屋根を設けなければならないため、どうしてもキャビンが大きくなると考えられている。ところが、レギュレーションブックを良く読むと、ドライバーと助手席にロールバーを取り付け、その外側に屋根を設けなければならない、としか明記されてない。つまり、屋根が丸い形状であることは明記されてない。ドライバーと助手席の2つのロールバーをクリアするだけであれば、丸い屋根とする理由はなくなって、その分前面投影面積も小さくなる。これまで、誰も行わなかった方法を童夢は発見したようだ。
このふたコブらくだのような屋根とすることによって、もう1つのメリットも見出されている。
NAエンジンの場合、ラム圧によって、性能が大きく変わるため、大きなラム圧を得ることがポイントとなっている。しかし、ラム圧を得るためには、大きなインダクションボックスを設けなければならない。もちろん、そのためには前面投影面積が増えてしまうし、S102はジャドのV10エンジンを積むため、エンジンの真上にインダクションボックスを設けようとすると、大きなラム圧を得ることは難しい。そのためにも、ふたコブらくだの屋根とすると、2つのコブの間から、インダクションボックスへ、大きな空気の流れを誘導することが可能となる。
●S102はプジョー905の再来か?
1991年SWC真っ盛りの時代、NA3.5リットルグループCカーとして登場したプジョー905は、前面投影面積を減らすため、キャビンに巧妙な工夫が盛り込まれていた。当時フロントウインドー基部Aピラー部分の幅は最低1mと決められていた。そこで、アンドレ・デ・コルタンツは、幅1mのフロントウインドーを作って、その後ろにバックミラーを並べて、実際のサイドウインドー部分の幅を狭くしてしまった。ドライバーは窮屈だっただろうが、これによって、前面投影面積を減少することに成功した。
S102の場合、2つのロールバーとコクピット基部の幅のレギュレーションだけをクリアして、前面投影面積を最小とするため、キャビンの両側に途中で段差が設けられている。サイドウインドーが、段差の下半分の部分だけに設けられているのが判るだろう。ここら辺も童夢の工夫の現れだろう。
そうしてみると、15年前と違って、現在のプジョー908が非常にコンサバなデザインであるのが判る。
●誰が走らせるのか?
それ以外にも、プジョー908やアウディR10には見られない工夫がS102の彼方此方に散りばめられている。
誰もが“屋根無し”より“屋根付き”の方が重心が高いと考えるが、P1レギュレーションの場合、“屋根無し”でも2つのロールバーを備えなければならないことから、“屋根付き”で巧妙にモノコック構造で屋根を作ると、“屋根付き”の方が重心を低くすることが可能となる。もちろん、“屋根付き”とすることで、キャビンの後方に大きなスペースを確保することが出来るため、大きなエアボックスを設けることも可能となる。
噂によると、ギアボックスも新しくなるようだ。
公表されているホイールベース等々のディメンションも、今後開発が進むにつれて変わる可能性も高い。これらの詳細については、数週間の内に明かになるだろうから、その時に紹介するべきだろう。
たぶん、S102クーペは、素晴らしい速さで走ることが可能だろう。しかし、非常に高度であるため、従来のような間に合わせの体制で走らせることは不可能と言うべきだろう。これから、童夢に求められるのは、高度なS102クーペを走らせるため、素晴らしい体制を築き上げることだろう。
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