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●3月19日
童夢S102のルマンでのゼッケンはNo.11、車検は6月10日火曜日に決定 フォーミュラニッポン参加ドライバーが乗る?

Photo:Sports-Car Racing

 1週間前に発表された童夢S102クーペは、今年のルマンへゼッケンNo.11を付けて登場する。どうやら、林みのるは3人の日本人ドライバーを乗り込ませることを目論んでいるようで、現在最後の調整が行われているようだ。

 そこで問題となったのが、6月9日と10日にジャコバン広場で行われる車検のスケジュールだった。6月8日には岡山国際サーキットでフォーミュラニッポンが行われる。そのため、6月1日に公式テストが行われた後、もし、S102に乗り込むドライバーがフォーミュラニッポンに参加しているのであれば、一旦日本に帰らなければならない。そして、岡山でフォーミュラニッポンを闘った後、翌9日の飛行機に乗るのであれば、どんなに早くてもルマンに到着するのは9日夜となる。

 しかし、ジャコバン広場で行われる車検は、プロモーションを兼ねた公式行事であって、車検のスケジュールはチームが自分勝手に決められるものではない。そこで、ACOとの間で調整が行われていた。
 今日、やっとダニエル・プレスノットも事情を理解して、No.11童夢S102の車検を10日火曜日とすることを納得した。

 と言う事は、童夢に乗り組む日本人ドライバーの中に、今年フォーミュラニッポンに参加するドライバーが居るようだ。

●3月17日
4月1日株式会社GTアソシエイション誕生

Photo:Sports-Car Racing

 昨年体制を一新したGTAにとって、最も大きな課題は、自分達が任意団体に過ぎないことだった。つまり、基本的に金を取り扱うことが難しい体制のまま、SUPER GTは行われていたのだ。昨年体制が変わった後、真っ先に行われたのは、金がかかるTVやプロモーションを担当する別会社を設立することだった。
 続いて、長年の懸案だった、GTA自体の法人化が求められ、4月1日株式会社として、GTAは再出発することとなった。
 代表取締役社長には、昨年体制を一新した後、GTA会長を務めていた坂東正明が就任する。

 気になる出資比率は、自動車メーカー系が47.34%、GTエントラント協会が同じ47.34%で中心となる。自動車メーカー系は、トヨタ関連がトヨタテクノクラフトと富士スピードウェイ、ホンダ関連がモビリティランド(モテギと鈴鹿サーキット)、ニッサン関連がNISMOによる。自動車メーカーとエントラントが持つ47.34%は微妙な数字で、それらだけでは過半数を占めることが出来ない。残りの5.32%の株の持ち主の存在が重要となるが、この5.32%は、唯一メーカー系でないサーキットとして出資する岡山国際サーキットが所有することとなる。
*注:発起人として、代表取締役社長を務める坂東正明が所有する1株を除く

●3月12日
JMIA誕生  日本のレースの健全化のため、日本のレース産業が結集

Photo:Sports-Car Racing
これまでに、これだけのメンバーが揃うことがあっただろうか?

 11日童夢S102が発表された会場では、同時にJMIA(日本自動車レース工業会)設立の発表が行われた。
 JMIAは、日本の自動車レースについて、技術の面から考えて、様々な提案を行うために作られている。
 会長には童夢の林みのる氏、副会長にはトムスの大岩湛矣氏、5人の理事にはムーンクラフトの由良拓也氏、ウエストレーシングカーズの神谷誠二郎氏、ケン・マツウラ・レーシング・サービスの松浦賢氏、戸田レーシングの戸田幸男氏、東京アールアンドデーの間宮 篤氏、監査役には東名パワードの鈴木修二氏が就任して構成されている。この中心メンバーの名前を見るだけでも、日本のレース産業を中心で支えている頭脳が結集して結成された団体であることが判るだろう。

 JMIAの目的は多岐に渡っている。現在日本の自動車レースは、フォーミラだけでなくツーリングカーであっても、技術の発展を度外視して、ドライバーの闘いとして演出しようとしている。2009年のGT500レギュレーションに至っては、車高を1,100mm以下と規定して、背の高いクルマは、キャビンやクルマ本体を上下に縮める“ロールーフ”化まで許されている。
 駆動方式もFRだけで、つまり、クルマのカタチそのものが同じとすることを目的としている。
 いわゆるNASCAR化だが、本家アメリカのNASCARと違って非常に金がかかる不可解なレギュレーションだ。
 もちろん、GT500はメーカーだけが対象のカテゴリーであるが、メーカーにとっても、このような不可解な大きなお金の支出は望んでいない。余った金を、例えばレース運営に使えるのであれば、より良いレースが開催出来るだろう。

Photo:Sports-Car Racing
由良拓也氏が説明するのが、2009年FCJ。安全性を徹底的に考慮したデザインであるのが判る。
戸田幸男氏が説明するのがJMIAエンジン。見えにくいが、フレームとしても使える高い剛性を発揮
するだけでなく、低い振動と合理化を両立した設計となっている。

 グループCの崩壊やJTTCの消滅等の経験がありながら、現在でも、このような不可解な状況に対して、正しい意見を述べる団体はなかった。会議の席で、個人が反論を述べるだけで、ほとんどの場合声が大きい人物に押し切られている。
 JMIA設立の大きな目的はここにある。

 また、自動車メーカーや特定の団体が、レーシングカーを必要とした時、日本国内に優秀なコンストラクターやエンジンビルダーが多数存在するにも関わらず、どういう訳か、外国のコンストラクターやエンジンビルダーに仕事を発注している。イギリスのレース産業を育てたのは、日本の自動車メーカーとさえ言われている程だ。
 これでは、日本のレース産業は枯渇してしまう。

 近年では、2009年にフォーミュラニッポンとGT500のエンジンが統一され、トヨタは完全な日本製、ホンダはIRL用をベースとして日本で開発する等、多少改善の兆しが見えるかもしれない。しかし、FCJに至っては、フォーミュラルノーそのものである等、まったく日本のレース産業の存在を無視して、円の輸出を続けている団体も存在する。

 このような問題に対して、意見を述べるだけでは、絵に描いた餅に過ぎないが、JMIAの場合、既に、様々なレーシングカーとエンジンの開発を進めている。既に2009年のFCJへニューマシンを提案している。この2009FCJにはエンジンもJMIA製が組み合わせられている。ところが、既に不可解な出来事は発生しており、FCJを統括するJRPは、JMIAの発表会が東京で行われているのと同じ11日、静岡県御殿場の富士スピードウェイでプレゼンテイションを行うことを指定した
 日本だけでなく東南アジアを含むマイナーカテゴリーとして、軽自動車のエンジンを使ったフォーミュラカーの提案、開発、製作、そして運営。そのため、非常に低価格のカーボンファイバーモノコックの開発も進められている。
 もちろん、日本で細々と行われているフォーミュラKとの融合も進められている。

 また、何処かのレーシングチームがレギュレーション違反を行ったとしても、日本のレースジャーナリズムは、ほとんどの場合批判することはない。それどころか、ブルテンによって違反が公表されても、非常に難解なブルテンを解読出来ないため、違反の事実を知らない者の方が多いかもしれない。これでは、違反をするレーシングチームが、違反を止めることはない。このような未熟なレースジャーナリズムの健全化と育成までも目的としている。

 JMIAは今月設立されたばかりで、6月には内閣府からNPO団体として認可を受ける予定だ。名誉会長には、国土交通副大臣の平井たくや氏が就任して、様々な活動が期待されている。

Photo:Sports-Car Racing
国土交通副大臣の平井たくや氏の登場によって、人気のS102が単なる客寄せパンダであって、主役がJMIAであるのが明かとなった。
林みのるを中心とする日本のレース産業の重鎮達は本気なのだ!

●3月11日
童夢S102は、ディーゼルターボカーに対する最後の切り札か?

Photo:Sports-Car Racing

 やっと童夢はS102を発表した。何と9日朝完成した出来たてほやほやの状態でS102は発表会場に持ち込まれた。
 噂によると、本来正式発表後にWEBで公開される予定だったにも関わらず、喜んだ林みのる御大は、即日公開を指示したようだ。そのため、アットいう間に世界中にS102完成のNEWSが駆け回わることとなった。
 日本語の読めないイギリス人やフランス人が、童夢だけでなく、我々にまで次々と問い合わせてきた。中には、日本語の文章の翻訳を要求する強者まで存在した。それほどS102は、世界中から注目されていた。

 S102の最大の特徴は“屋根付き”のクローズドボディであることだ。
 現在のACOレギュレーションでは、アウディやプジョーのディーゼルターボエンジンの出力が800馬力に達しようとしているため、ガソリンエンジンを使う以上150馬力以上の差が出てしまう。
 もちろん、この問題は、童夢だけでなくペスカロロ等が、再三ACOに是正するよう求めている。しかし、今年やっとガソリンエンジンのリストリクターをほんの少し大きくしただけで、たった20馬力増やされただけだ。

 小さいと言っても、“屋根付き”の方が“屋根無し”よりも優れた空力性能を持っている。これを童夢が開発するのだから、優れた空力性能によって、童夢は、ディーゼルターボカーとの150馬力の差を埋めようとしていると考えてしまう。童夢のエンジニア達は、空力性能の指針であるL/Dを、S101.5と比べて32%も向上させることに成功している。しかし、これほど優秀な空力性能を持ってしても、150馬力の差を埋めることは出来ない。

 ディーゼルターボエンジンの重量は250kgに達すると考えられている。そのためディーゼルターボカーは例外なくテイルヘビーで、リアタイヤに大きな負担がかかだけでなく、充分な前軸荷重を得られないことによって、フロントタイヤは充分な仕事を行うことが出来ない。
 ところが、ミシュランは、大きな能力を発揮する、大きなフロントタイヤを用意しているのだ。

Photo:Sports-Car Racing

 ここに目を付けた童夢は、フロントタイヤが充分に能力を発揮することが出来るよう、前軸に大きな荷重を与えようとした。ガソリンエンジンの中では大出力で有名なジャドV10を採用したことも、ジャドV10が、72度のバンク角故非常に軽量であることが理由となっている。バンク角72度のジャドV10は、軽くても、細長いレイアウト故、エンジン全体の剛性は高いとは言えないため、シャシーの一部としてストレスマウントするのは無理がある。しかし、大きなサブフレームを追加してしまったら、リアが重くなってしまう。そこで、童夢はカーボンファイバーコンポジット製のサブフレームを追加して、リア周りにも充分な剛性を与えることに成功している。
 何と前軸荷重は最大48%にもすることが可能であるらしい。
 これほど充分な前軸荷重がある以上、ミシュランも、それを活かすタイヤを開発することが求められるだろう。

 トランスミッションの製作はイギリスのXトラックに委託している。しかし、林みのる御大が暴露したようで、Xトラックは期日までに仕事を終了することに失敗した。そのため、11日に公開されたS102にはトランスミッションが取り付けられてなかったため、エンジンルームを開けて、自慢のカーボンコンポジット製サブフレームを公開されることはなかった。
 既に次々とシーズンが開幕していることを考えると、Xトラックの仕事は大問題だ。
 同時に発表されたJMIA(日本自動車レース工業会)が、日本国内のレース産業の優秀さをアピールしているように、Xトラックの仕事ぶりを見る限り、日本のメーカーが海外の部品メーカーに委託するのは考えるべきだろう。

 あらゆるモノをオブラートに包んで行われる通常の発表会が、儀式に過ぎないのに対して、今回の発表会は、本当の意味で発表会だった。童夢らしく、様々な情報を公開したのはもちろん、通常公開されることがない、細部にわたるデータまで公開した。一斉にメモを取る一方、あるメーカーの人物は、映写されたデータを一生懸命デジカメに録画していた。
 林みのる御大のトークショーを期待してやってきた方々も満足したことだろう。
 3分25秒以下を1分20秒以下と間違って語ってしまったのは、もちろんご愛敬と言うべきだろう。
 先週行われたポールリカールテストでは、期待のアストンマーティンGT1エンジンを積むローラが、アウディに2秒以上差を付けられている。童夢S102は、ガソリンエンジンにとって、最後の切り札となるのだろうか?
*注:Sports-Car Racing Vol.18の特集記事をご覧ください。

Photo:Sports-Car Racing

●3月4日
2008年バージョンのシェイクダウンのためにやって来たアウディがあっさりトップタイム

Photo:Sports-Car Racing

 3月2日と3日ポールリカールで行われたLMS公式テストは、LMSと言っても、24時間走行可能であるため、実際にはルマン24時間レースをシミュレートしたテストが可能であるため、毎年沢山のスポーツカーチームが参加している。
 今年は、初めてアウディスポーツが2台のR10と共に参加した。
 しかし、彼らの目的は違うようで、1日目だけ走行して、翌日荷物をまとめてインゴルシュタッドへ帰っていった。

 アウディスポーツがポールリカールへやって来た目的は、2008年バージョンのR10のシェイクダウンテストだった。
 アウディスポーツは、1月にセブリングで2007年バージョンのR10のテストを行っている。その時走ったシャシーは、1台だけ違うモノコックと噂されていたNo.2だった。我々は、新しいカラーリングを除くと、ポールリカールで走った2台の2008年バージョンのR10とセブリングで走ったNo.2との違いを判別出来なかった。

 ところが、外側の違いは無くても、5.5リットルV12ディーゼルターボエンジンは確実にパワーアップしているようで、ガソリンエンジンカーより2.5秒も速い1分39秒台をあっさりと記録した。ポールリカールで2.5秒のタイム差は、ルマンを想定した場合5秒に相当する。つまり、異常な速さであるのが判るだろう。

 シェイクダウンテストを終了したアウディスポーツの面々は、夜になると店じまいして、セブリングにR10を送るため、インゴルシュタッドへ帰っていった。

●3月3日
クリエイションAIM登場

Photo:Sports-Car Racing

 今年のポールリカールテストの話題の1つは、クリエイションが、ヒロ・カネダが新たに開発したAIM5.5リットルV10エンジンを積んで、公の前で走ることだった。AIM 5.5リットルV10エンジンのバンク角は90度と広い。しかし、非常にコンパクトなエンジンで、従来の72度V10のジャドGV5.5 S2との差もそれほどではない。

 バンク角が90度と広がることで、アウディの90度V12やポルシェのV8のように、ストレスマウントされることが大きなメリットと考えられていた。しかし、今回登場したエンジンは、もしかしたら、クリエイションの車体の方の都合があるのかもしれないが、エンジンの両側に大きなサブフレームが設けられて、ストレスマウントされてはなかった。

 バンク角が90度に広がることで、ストレスマウントは大きなメリットであるため、将来、使用するチームやコンストラクターが望むのであれば、ストレスマウントを考慮したヘッドカバーや床下が作られるのかもしれない。

 ジャドGV5.5 S2のような、バンク角が72度のV10の場合、非常にカン高いエンジン音となるが、90度のAIMエンジンの場合、フラットプレーンクランクのV8と72度V10を組み合わせたようなエンジン音を発している。
 既に充分なパワーを発生しているようで、ペスカロロ、ORECAクラージュ、ローラ・アストンマーティンと共にガソリンエンジンのトップグループを走行し続けた。
 夜になって、気温が下がってくると、ジェイミー・キャンベル・ウォールターは1分42秒台までタイムを上げて、ガソリンエンジンクラスのトップタイムを記録した。



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