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3月4日
■Special
Edition
LMS PaulRicard
TEST Analysis

Photo:Sports-Car
Racing
●圧倒的な速さを見せつけたアウディ
アウディスポーツのようなファクトリーチームの場合、単独でコースを借り切ってテストを行うことが多いため、これまでチームゴウやORECAのR8が参加するだけで、アウディスポーツ自身が、LMSの公式テストに参加することはなかった。昨年までは、ALMS開幕戦セブリングの前後に行われたことも、不参加の理由だったかもしれない。
しかし、今年はセブリングの2週間前にスケジュールが組まれたことから、アウディスポーツは、新たに組み上げたばかりの2台の2008年バージョンのR10を、セブリングに送る前シェイクダウンテストの名目でポールリカールに持ち込んだ。
2008年バージョンと言っても、少なくとも外から見る限り、2007年バージョンとの違いは判らない。1月にALMSの合同テストの際、2007年バージョンのNo.2が走行している。このシャシーは、昨年のルマンの際、圧倒的な速さでレースをリードしている。その時、モノコックが違うことが噂されていた。しかし、カタチに違いは見られなかったため、新しい素材を使って作られた(つまり軽い)プロトタイプと考えられていた。
たぶん、2008年バージョンのR10は、このNo.2と同じモノコックが使われているのだろう。
セブリングに送る前、シェイクダウンテストのために持ち込まれたため、2台のR10は、ポールリカールやルマンでは考えられない、セブリングで使う大きなカナードウイングが取り付けられていた。
ところが、アラン・マクニッシュとリナンド・カペロは、あっさりと1分39秒台を叩き出してしまった。アレクサンダー・プレマとマイク・ロッケンフェラーのマシンも1分40秒台を記録して、圧倒的な速さを見せつけた。
1ヶ月前セブリングを走った際、アウディは、素晴らしい操縦性を発揮したプジョーにトップタイムを譲ることとなった。しかし、ポールリカールでは、圧倒的な速さを見せつけた。セブリングで使うハイダウンフォースパッケージであるため、最高速度はそれ程ではないが、大きなダウンフォースによって、インフェィールドでも素晴らしい速さを披露した。
相変わらず、アウディの発表によると最大出力は650馬力のままだが、どうやら、1気筒60馬力は過去の話で、アウディの優秀なエンジニア達は、さらに1割程度上乗せすることに成功しているようだ。800馬力も夢ではないのかもしれない。
圧倒的なのはパワーだけではなく、アウディスポーツによると、2000年に初優勝したR8より20%も少ない燃料消費率を実現していると言う。
素晴らしい操縦性によって、セブリングテストでアウディを破ったプジョーのディーゼルターボカーはチャンスがあるかもしれない。しかし、セブリングスペックで走ったポールリカールで、アウディR10は、ガソリンエンジンカーに対して2秒以上の圧倒的な差を付けてしまった。ポールリカールの2秒差はサルテサーキットでは5秒に相当すると考えられていることから考えても、ガソリンエンジンカーに可能性があるとは思えない。
未だ見ぬ童夢S102が、唯一の可能性となったかもしれない。
●イプシロン・エスカディの衝撃

Photo:Sports-Car
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今年のポールリカールテストは、盛りだくさんの魅力に溢れていた。中でもスペインのイプシロン・エスカディの登場はハイライトと言えるだろう。
イプシロン・エスカディは少々興味深い体制を保っており、エンジニアリング会社と言うだけでなく、人材を育てるMETCAの名付けるシステムを組織して、モンドラゴン大学と共に活動を行っている。2005年にスタートしたルマンプロジェクトでも、多くの学生達が関わっている。イプシロン・エスカディによると、50人規模のインターン体制を確立したいそうだ。
東海大学よりも専門的に人材育成を行って、モータースポーツを学生の教育に活用していることと言えそうだ。
既に、何回か紹介しているイプシロン・エスカディEE-LMP1-07は、エンリケ・スカラボローニを中心としてデザインされている。たぶん、現在発表されているLMPカーの中で、最も進歩的なデザインが盛り込まれている。
モノコックやノーズの耐クラッシュ構造の表面は、基本的にボディ外被を兼ねている。ノーズの耐クラッシュ構造は、そのままフロントノーズを兼ね、耐クラッシュ構造にフロントフェンダーやディフューザーは取り付けられる。
単なるカバーであるのは、サイドボディとリアカウルだけだ。
しかも、バンク角が72度と狭いジャドGV5.5
S2を使いながら、まったくサブフレームを持たない完全なストレスメンバーとして活用している。バンク角が90度と広いAIM
V10を積むクリエイションCA-07が、相変わらずサブフレームを設けているのとは対照的な出来事と言えるかもしれない。
さらに、エンリケ・スカラボローニは、このクルマのため、完全に新しい2軸のトランスミッションを開発している。

Photo:Sports-Car
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まさに理想を追求したスポーツカーだが、新参者のイプシロン・エスカディとスポーツカーにおいては少々ブランクのあるエンリケ・スカラボローニにとって、困難な部分も少なくないようで、クーペボディの左右のドアは真っ正直にフルサイズで設けられている等、レギュレーション解釈の甘さも見受けられる。
2度目の走行のハズだが、ほとんどシェイクダウン同然の状況だったようで、斬新なトランスミッションの整備に手間取って、1日目の夕方から走行を開始した。
この新しいトランスミッションと、ストレスマウントされたバンク角が72度のジャドV10が、車重900kgのスポーツカーに相応しい剛性を持つのかが、今後の開発のポイントとなるだろう。*注:Sports-Car Racing Vol.18を参照してください。
●どうしたペスカロロ
 
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ジャック・ニコレと共に設立したペスカロロオートモビルにとって、今回のテストは最初の公式行事だった。ペスカロロオートモビルの1台、ニコレが乗り組むセルニエレーシングの1台、そして、ロールセンターの1台を合わせて、3台のペスカロロP01がポールリカールにやって来た。
サルテサーキットでは素晴らしい速さを披露するが、ペスカロロスポーツカーは、決して飛び抜けて速いスポーツカーではない。しかし、1分42秒860のラップタイムは失望するものだっただろう。アウディとのタイム差が3秒もある。
ガソリンエンジンクラスのトップ2は、2日目朝の低い気温を上手く使って1分41秒台を記録したクリエイションAIMとORECA体制のクラージュで、3番手にローラ・アストンマーティン、ペスカロロは4番手なのだ。
ペスカロロオートモビルの2台は、基本的に2007年バージョンの発展型でロールバー等部分的に素材が違うらしい。
それに対して、ロールセンターは、自分達でデザインした新しいノーズを持ち込んできた。ロールセンターのノーズは、アウディR10やプジョー908と同じように、フォーミュラノーズで、従来フロントサスペンションの後方からラジエターを冷やす空気を取り入れていたのを、フロントサスペンションの上下の2つのアームの間から冷却風を取り入れている。
この方法の場合、ラジエターにより多くの冷却風を導入出来るため、同じエンジンを積むのであれば、サイドポンツーンを低くして前面投影面積を小さくしたり、場合によってはラジエターを小さくすることが可能だ。空力エンジニアによると、直接導入される大きな空気圧によって、ノーズ床下の空気を吸い出すのも容易らしい。
しかし、ドラッグが増えることが弱点となる。
ロールセンターの場合、ノーズを作り替えただけで、サイドポンツーンは従来と変わらない。そのため、ドラッグが増えてしまったようで、2日目になるとフォーミュラノーズによるテストは行われなくなった。
しかし、同時に作ったスポーツカーノーズに取り替えてテストは続けられた。
●アストンマーティンGT1エンジンを積むローラクーペ

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シュロースレーシングのアストンマーティンGT1エンジンを積むローラクーペも、今回のテストが初登場となった。
ローラB08-60クーペは、“屋根付き”のモノコックだけでなく、従来のB06-10ロードスターとまったく違うボディを持っている。しかし、大きな冒険を試みている訳ではなく、どうしても、アストンマーティンGT1エンジンに興味は集中した。
ローラB08-60に積まれたアストンマーティンV12は、どこから見ても、DBR9と同じにしか見えない。GT1エンジンであることで、大きなリストリクターの使用が許される代わり、純粋なレーシングエンジンより50kg近く重いため、ディーゼルほどではなくても、テイルヘビーとなることが悩みだろう。

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昨年Jotaにメンテナンスを任せたシュロースレーシングは、今年プロドライブと共に活動する。ポールリカールにやって来たメカニック達は、昨年DBR9を走らせた強者達だった。どこまではプロドライブで、どこからがシュロースレーシングであるのか?我々には判らない。しかし、手際よくセッティングを進めて、2日目午後、24時間テストによって、唯でさえコースコンディションが悪い上、最終コーナーでオイル漏れのスパイカーが炎上した後であるにも関わらず、ステファン・モカは1分42秒105を記録して、ディーゼルターボカーへの対抗馬としての可能性を残した。*注:Sports-Car Racing Vol.18を参照してください。
プロドライブは、アストンマーティン・ヴァンテッジGT2カーも持ち込んで、テストを行った。
昨年シュロースレーシングが走らせたローラB07-10/ジャドは、エントリー名はシュロースのまま、今年アメリカのサイトスポーツに貸し出された。今回のテストではヤン・ラマースが乗り組んだ。
●ポルシェRSスパイダーがヨーロッパ初登場

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エントリー名がVan
MerksteijinとなったオランダのRSスパイダーチームは、ヨス・フェルスタッペンと、昨年RfH童夢に乗ったヨルン・ブリグマイスターによって1分43秒台の好タイムを記録した。もう1台のESSEXのRSスパイダーも素晴らしい速さを披露しているため、50kg重くなっても、RSスパイダーの高いポテンシャルは変わらない。
Speedy-SabahのローラB08-80クーペは、ポールリカールでシェイクダウンテストを行った。新しいクルマだけでなく、ジャドの3.4リットルV8をニューエンジンであるため、速さを披露するのは、もう少し先となりそうだ。
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