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●7月31日
ポルシェは、997GT3Rに4リットルエンジンを、RSスパイダーに直噴エンジンを投入

Photo:ALMS
■4リットルエンジンを積む新型997GT3R
ポルシェにとって、最も大切なのは、ロードカーの発展型であるGTクラスで勝つことだ。ところが、2年前フェラーリ430GT2が登場して以来、ポルシェはフェラーリに負け続けた。昨年997GT3Rが登場しても、状況は変わらなかった。
2008年大幅な改良が期待されたが、大きな改良はされなかったため、997GT3Rを買ったチームの幾つかは、新たにフェラーリを買って、997GT3Rを売りに出してしまった。ポルシェは、大変な状況に陥っていた。
もちろん、ポルシェは、997GT3Rの改良に取り組んでいた。しかし、既存の997GT3Rをベースとしてアップデイト出来る内容でなければ、現在997GT3Rを走らせているチームからも反感を買うこととなってしまう。
ポルシェが選択したのは、エンジンの改良だった。1996年ボクスターと共にM96完全水冷フラット6が登場した時、ポルシェは、ボアとストローク、特にボアを拡大することで、M96エンジンは容易に4リットルまで拡大出来ることを明言していた。1年後に登場した997は、最初3.4リットルで、その後3.6リットルとなって、997GT3Rでは3.8リットルとなった。
そのため、次のステップとして、ポルシェが4リットルエンジンを登場させることは予想されていた。
ルマン後、最もテコ入れが求められていたALMSにおいて、ポルシェは、997GT3Rを走らせるチームへ4リットルフラット6のデリバリーを約束した。7月12日に第6戦ライムロックパーク、19日に第7戦ミッドオハイオが行われるため、大急ぎでポルシェは、フライングラザードとファンバッファロールへ4リットルエンジンをデリバリーした。そして、ライムロックパークで、ファンバッファロールの997GT3RがGT2クラスのポールポジションを獲得して、決勝レースではフライングラザードが優勝した。ミッドオハイオでは、ファンバッファロールとフライングラザードの2台の997GT3Rが、予選の1-2を占めた。残念ながら、決勝レースではフェラーリに負けてしまったが、確実にポルシェの戦闘力は向上している。
LMSのGT2クラスでは、ALMSのような熾烈な闘いは行われてないため、現在のところ、ポルシェはALMSを闘う997GT3R以外に4リットルエンジンをデリバリーする考えはないようだ。しかし、2009年に向けて、特にルマンでの成功を望むチームは、4リットルエンジン付きの997GT3Rを導入を検討することとなるだろう。
■直噴エンジンを導入したRSスパイダー
ルマンに参加しないアキュラは、大幅な改良を行うことが予想されていた。ポルシェも、同じタイミングでRSスパイダーに改良を盛り込む計画だった。しかし、それまでLMP2クラスでペンスキーのRSスパイダーが圧倒的な強さを発揮していたため、急務だった997GT3Rへの4リットルエンジンのデリバリーが優先され、第7戦ミッドオハイオで直噴エンジンがRSスパイダーに搭載されることとなった。
新しい直噴3.4リットルV8は、最大出力が、従来の476馬力から503馬力(10,000rpm)まで約5%パワーアップする一方、最大トルクは370Nm(7,500rpm)から385Nm(8,500rpm)へ約4%向上している。もちろん、直噴の特徴を活かした希薄燃焼によって、燃料消費率も向上している。
しかし、ルマン後アキュラは素晴らしい速さを身に付けており、ミッドオハイオで直噴エンジンを実戦に投入しても、直ぐにそのアドバンテージを発揮するのは難しいようだ。そのため、予選でペンスキーのRSスパイダーは、アキュラに負けてしまった。しかし、決勝レースではアキュラを破ってLMP2クラスで優勝した。と言っても、ミッドオハイオはLMP2に向いたコースであるにも関わらず、予選で上位を独占したアキュラとポルシェのLMP2カーは、アウディのディーゼルLMP1カーの1-2フィニッシュを許す結果となった。
今後慎重に直噴エンジンの開発は行われることとなるだろう。

Photo:Porsche これが正真正銘の直噴V8。
●7月18日
ACOは、9月15日に2009年レギュレーションを公表する

Photo:Sports-Car Racing
ルマン24時間レース開催中に行われたプレスコンファレンスの際、ACOは、2009年レギュレーションを大きくモデファイすることを明かとしている。しかし、その時点で公表されたのは、「LMP1クラスのディーゼルターボエンジンのパフォーマンスが際だっていることが明かとなったため、ディーゼルエンジンのパワーを引き下げることや、LMP2クラスの格付けを、明確にLMP1の下として、パフォーマンスを引き下げる」と言った漠然としたものだけだった。
FIAの呼びかけによって、パリでテクニカルミーティングが開催された後、ACOは、2009年レギュレーションの実際の内容について部分的ながら、より具体的な内容を公表している。
LMP1クラスのディーゼルターボエンジンについては、ペスカロロを中心として「最低でも150馬力引き下げるべき」との意見が中心だった。しかし、そこまで大きな引き下げは行われないらしい。
ルマンの時点では、もし、ディーゼルを引き下げないのであれば、逆にガソリンエンジンの出力を引き上げる、との意見もあった。しかし、ガソリンエンジンのパワーを大きくしてしまったら、燃費も悪化するため、ACOは、ガソリンエンジンのパワーを引き上げるプランには消極的だ。
また、今年新たに導入されたGT1エンジンについては、当初レース専用ガソリンエンジンとの差は20馬力程度考えられていた。しかし、実際には、最強のレース専用ガソリンエンジンであるジャドV10とアストンマーティンGT1エンジンの差は40馬力に及ぶと考えられている。そのため、GT1エンジンの出力の引き下げが行われるようだ。
2007年ポルシェRSスパイダーの大活躍によって、ACOは、明確に「LMP2はLMP1の下カテゴリー」であることを宣言して、2008年基本となるACOレギュレーションは、LMP2クラスの車重を50kg重い825kgとした。LMP2カーが、アウディと総合優勝争いを行うことを期待したALMSでも、25kg重い800kgとしている。しかし、それでもLMP2カーの速さはLMP1カーを脅かしているため、2009年レギュレーションによって、LMP2クラスの出力の引き下げが行われる。
LMP2の出力の引き下げに伴って、GT2エンジンの導入も計画されているようだ。LMP1クラスのGT1エンジンとクラスと同じように、ポルシェやフェラーリのGT2エンジンに有利なレギュレーションが盛り込まれるのだろうか?
また、2007年ACOは「3分30秒のラップタイムがボーダーライン」と宣言している。しかも、“絶対に空を飛ばない”ハズのレギュレーションでありながら、2度の離陸が行われたことを重視して、LMP1とLMP2の両方のプロトタイプクラスの空力性能の引き下げを構想している。取り敢えず、2008年リアウイングの小型化を実施するようだ。
ACOは、9月15日2009年のレギュレーションを公表する。
※Sports-Car Racing Vol.18を参照してください。
●7月16日
2004年レギュレーションは、本当に空を飛ばないのか?

Photo:Sports-Car Racing
ルマン終了後、LMSモンツァでORECAクラージュが、ルマンのテストディでプジョーが空を飛んだことを理由として、ACOと言うよりFIAの申し出によって、今後新しいレギュレーションを構想することをテーマとしたテクニカルミーティングが、パリで開催されている。どうして、ACOでなく、現在プロトタイプスポーツカーのレースを1つも開催することが出来ないFIAが会議を招集したのか?
と言うと、2004年に施行された、現在のACOのプロトタイプスポーツカーのレギュレーションは、1999年、ルマンでメルセデスが次々と空を飛んだことを理由として、FIAのテクニカルワーキンググループがまとめたレポートに基づいて作られているからだ。
当時FIAのテクニカルワーキンググループは、パイパーデザインに対して、風洞実験を含む空力実験を行って、レポートをまとめるように指示した。そのため、このレポートは通称パイパーレポートと呼ばれている。パイパーデザインは、前後方向だけでなく、クルマを横向きにした状態でも風洞実験を行って、絶対に空を飛ばない床板のデザインを見出すと共に、FIAに提出するレポートをまとめ上げた。その後、リアのオーバーハングを短くする等、様々な部分が煮詰められて、ACOは、2004年レギュレーションとして発表した。
つまり、パイパーデザインは、クルマがスピンして、横を向いた状態でも、空を飛ばないことをレポートしていた。
ところが、実際には、2度も空を飛んだのであるから、ACOにデータを提出したFIAの立場は危ういのが判るだろう。
パリで行われたミーティングについて、現在のところ、FIA側からの発表はなく、ACOを中心として、幾つかのコメントが公表されているだけだ。しかし、その会議でハッキリとした結論が出た訳ではないらしい。
そして、再びパイパーデザインによって、風洞実験を行うことが発表されただけだった。
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