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2011 12月29日2012年SuperGTカレンダーが大幅に変更される
2011 12月20日アウディのモータースポーツ部門の責任者にディエター・ガースが就任
2011 12月19日 2012年アウディは中国でR8 LMS GT3カーのワンメイクレースシリーズを開催
2011 12月18日 アウディはセブリングで2012年に向けたテストを開始
2011 12月18日 トヨタは1月最終週にポールリカールでWECのテストを実施
2011 12月12日 アウディがデイトナ24時間をターゲットとしたテストを実施
2011 12月8日 WEC確定 富士6時間の日程は10月14日開催に変更 今度はSuperGTオートポリスとバッティング
2011 12月4日 ニッサンNISMO GTR GT3の12月デビューは無し
2011 12月3日 GT3カーによって行われる2012年のFIA GT1ワールドチャンピオンシップ?
2011 11月29日 2012年LMSカレンダー  5レース 6イベント
2011 11月25日 2012年ルマン24時間レースへ17チーム23台を招待
2011 11月23日 積極的にアピールするグレーブス ルマンではマーティン・ブランドルが乗り組む
2011 11月22日 LMP2活動を止めたASMは、ルマンで走れないGT3を選択してマクラーレンを走らせる
2011 11月21日 2012年のOAKペスカロロLMP2カーはニッサンエンジンを搭載  4台目のプジョーの可能性も

2011 11月20日 Fuji Sprint Cup フォトギャラリー
2011 11月18日 AUDI R8 LMS ultra登場 GT3カー故の信頼性の向上 フロントタイヤは幅12インチ
2011 11月17日
2012年にニッサンLMP1カーは何時走るのか?  WECマウント富士6時間へ多数の日本関連チームが参加
2011 11月13日 2012年WECカレンダー
2011 11月7日 TMG ORECAの最初の3人のドライバー
2011 11月7日 2012ポルシェ997GT3RSR登場
2011 11月3日 ローラのローコストLMP2カーの最初のカスタマーはガルフレーシング
2011 11月2日TMGがORECAと契約  4台目のプジョーは誰が走らせる?  新たな強豪チームが出現!
2011 11月1日 DTMとSuperGTの話し合いは行われず この出来事は余震に過ぎない!!!
2011 10月26日 3月に発表されたプジョー908HYbrid4が9月にシェイクダウンした理由
2011 10月17日
 DTMとSuperGTの融合へ新展開? 日本のレース産業が崩壊する可能性! 決戦は18日
2011 10月14日 トヨタが2012年ルマン24時間を含むWEC参戦を計画中!
2011 10月13日 ニッサンNISMO GTR GT3の正式デビューは12月?
2011 10月1日 ILMCプチルマン 決勝レース 荒れた10時間レースをプジョーが制覇 GTクラスはフェラーリ
2011 10月1日 ハイクロフトのデルタウイングカープロジェクトをミシュランがサポート
2011 9月30日ILMCプチルマン クオリファイ プジョーPP GTはAFコルセフェラーリ
2011 9月30日 2012年ALMSカレンダー発表 2012WEC開幕戦はセブリング プチルマンは10月20日!
2011 9月29日ILMC Petit LeMansプラクティス アウディとプジョーが1/100秒差の争い
2011 9月28日ILMC Petit LeMans テストディ


12月29日
●2012年SuperGTカレンダーが大幅に変更される

Photo:Sports-Car Racing

 最初2012年のSuperGTのカレンダーは7月に作られた。しかし、その後ルマン24時間レースの日程が1週間前に移動してSuperGTセパンとバッティングしたため、SuperGTはセパンの日程を2週間前の6月10日に変更した。この時点でFIAはWECの総てのカレンダーを発表してなかった。JAFを通じてFIAに申請したFujiが9月30日に開催されることだけが知られていた。

 ところが、12月8日ニューデリーで行われたFIAのワールドカウンシルにおいて、新しいWECのカレンダーが発表された。新しいWECのカレンダーは、5月5日に開催されるWECスパ-フランコルシャンがSuperGTFuji(5月4日)と、9月15日(土)に開催されるWECサンパウロがSuperGTFujiと、事もあろうに、新たに10月14日に開催されることとなったWECFujiがSuperGTオートポリスと、さらに、11月11日もしくは18日に中国で開催されるWEC(開催地未定)がFujiスプリントカップとバッティングしていた。
 直ぐにWECFujiとバッティングしているSuperGTオートポリスの新しい日程が求められた。

 ところが、WECにはSuperGTにも参加しているドライバーが何人か参加する予定であったため、このままではレーシングチームとドライバーは、新たに2012年のプランを練り直さなければならなかった。
 元々、同じ様なクルマが走るシリーズのカレンダーがバッティングしていることが問題であって、これまで、カレンダーのバッティングについて、ほとんど考慮されずにカレンダーを作っていたことへの批判が相次いだ。
 その結果、現在JAFでは、2012年のSuperGTを中心としたカレンダーの見直しが行われている。

Photo:Sports-Car Racing

  未だ構想段階であるようで、どの程度カレンダーが変更されるか?定かではないが、WECとバッティングしている、あるいはバッティングする可能性がある4つのSuperGTのカレンダーの見直しが検討されている。
 ところが、既に2012年のカレンダーは、非常に窮屈であることから、本当に変更するのであれば、相当な困難が予想される。

 5月4日に予定されていたSuperGTFujiをゴールデンウィーク内で移動しようとすると4月29日しかないが、現在4月49日にはツインリンクもてぎでスーパー耐久の開催が予定されている。9月15日のSuperGTFujiは、1週間前の9月9日の可能性が高い。問題は10月14日のSuperGTオートポリスだ。既に9月のカレンダーには、現在9月15日で予定されているSuperGTFujiが移動すると思われる9月9日しか空きはない。そのため、この2つの一方は7月へ移動する可能性が高い。

 セパンでの開催が2週間前となったため、7月初めにはマシンは日本へ戻っている。最も早い日程は7月15日だが、この週はFujiでフォーミュラニッポンが開催される予定だ。翌週の7月22日は空いているが、もしFujiのカレンダーが移動してくるのであれば、2週連続でFujiでビッグイベントが行われることとなってしまう。また、オートポリスのカレンダーが移動してくるのであれば、翌週7月29日にSUGOでSuperGTは開催される予定であるため、2週連続でSuperGTが開催されるだけでなく、トランスポーターは九州から東北まで1,500km以上を移動しなければならない。もちろん、その間にガレージに戻ってマシンのメンテナンスも行わなければならない。到底現実的なカレンダーとは思えない。現実的には、Fujiでの開催を9月9日として、オートポリスを7月15日に移動して、フォーミュラニッポンの開催スケジュールを変更してもらうしか方法はないだろう。
 11月のFujiスプリントカップについては、中国でのWECの最終的なカレンダーが2月まで決まらないと考えられるが、もし中国のWECが11日の場合Fujiが18日、中国のWECが18日の場合、従来通りFujiは11日のまま開催されることとなるだろう。

 本当にバッティングを避けるのであれば、これくらい大変な調整が必要となる。しかし、従来、他のレースとのバッティングについて、ほとんど考えないでカレンダーを作っていた日本の主催者にとって、貴重な勉強の機会であることは間違いない。
 新年の1月の早い時期、何らかの変更が加えられた新しいカレンダーは発表される。

12月20日
●アウディのモータースポーツ部門の責任者にディエター・ガースが就任

Photo:AUDI AG

 これまで大活躍するアウディスポーツは、ウルフガング・ウルリッヒに率いられてきた。あまにりも長い間ウルフガング・ウルリッヒが責任者を務めていたため、ウルフガング・ウルリッヒあってのアウディであるとさえ考えていたが、2012年1月1日アウディは、新しいモータースポーツ部門の責任者としてディエター・ガースを任命する。新しいポジションらしいが、今後のウルフガング・ウルリッヒの立場は不明だ。

 ディエター・ガースは、1994年11月から2001年3月までアウディスポーツでエンジニアとして働いていた。最初ツーリングカーを担当して、1999年からスポーツプロトタイプカーのレースエンジニアと務めていた。2001年からトヨタ(TMG)へ移籍して、トヨタのフォーミュラワンプロジェクトのエンジニアとして働いた。2009年トヨタがフォーミュラワンから撤退した後、ディエター・ガースはロータスフォーミュラワンチームへ移籍してテクニカルデイレクターを務めた。2010年スポーティングダイレクターを務めた後、FIAにおいて、同様の仕事を行っていた。

 ディエター・ガースは、就任すると直ぐ、新しいレギュレーションで行われるDTM、そしてプジョーと激戦を繰り広げているスポーツプロトタイプカーに取り組むこととなる。

12月19日
●2012年アウディは中国でR8 LMS GT3カーのワンメイクレースシリーズを開催

Photo:AUDI AG

 20日アウディは、2012年に中国でR8 LMS GT3 CUPの開催を発表する。以前からアウディは中国での販売促進に積極的だった。技術力の優秀さを証明するのにモータースポーツを活用しているアウディらしく、R8 LMP1カーを北京で走らせたり、2度にわたって上海でDTMのエキシビジョンレースを開催している。しかし、いずれのイベントも、アウディが望んでいる客層へ深くアピールするのは難しかったようだ。第一上海のDTMは、2度共、ほとんど観客を集めることは出来なかった。
 そこでアウディは、戦略を変更して、GT3カーに目をつけた。GT3カーは、香港スーパーカークラブが中心となって東南アジアで行われているGTアジアでも走っており、東南アジアで最も成功しているレースシリーズだ。しかも、GTアジアに関心を持つ富裕層こそ、アウディがターゲットとしている客層と一致する。

 2011年アウディは、手始めとしてILMCズーハイに特別参加として2台のR8 LMS GT3を参加させた。と言っても、この2台は共にカスタマーカーで、1台は日本の一ツ山レーシングのマシンだった。
 しかし、ILMCズーハイ、そして続いて参加したマカオGP(ギアレース)でR8 LMS GT3が活躍したため、アウディがターゲットとする層に対して、大きな関心を与えることに成功したようだ。
 そして、密かに計画していたR8 LMS GT3カーによるワンメイクレースシリーズを中国で開催することを決定した。

 最終的な発表は20日に行われるが、急遽開催が決定したようで、開催される場所やカレンダーは決定してない。しかし、アウディスポーツによると16台のR8 LMS GT3カーの参加を想定していると言う。2012年中国では5回のインターナショナルレースが開催される。上海ではF1GP とGT1が、ズーハイではWECが、マカオではマカオGP、そしてオルドでGT1が行われる。これらのレースの併催イベントに組み入れるだけでも5つのシリーズが完成する。これらの内の2つか3つ、そして日本で1つの開催が噂されているが、少なくとも、噂に上っている日本のサーキットは、中国のレースの開催について、何も知らなかった。

 R8 LMS GT3は、ポルシェカレラカップカーを圧倒する560馬力を誇るため、ブランパインのサポートで来年開催されるランボルギーニ・ガイヤルドCUPやフェラーリ458チャレンジと共に、世界最速のワンメイクGTカーレースとなる。

12月18日
●アウディはセブリングで2012年に向けたテストを開始

Photo:AUDI AG

 2012年様々なレギュレーションがモデファイされるが、これまで社内(?)でテストを行ってきたアウディは、昨日セブリングに2台のR18によるテストを開始した。2012年に変更されるレギュレーションの中で、アウディが関わる部分は、リアタイヤアーチ上にもスリットの設置が義務つけられること、そして、ディーゼルエンジンの性能が7%引き下げられることだ。
 リアタイヤアーチの上に設置が義務つけられるスリットについては、既にいくつかのプライベートチームがテスト走行を行っているが、単純にリアタイヤアーチ上に開口部を設けるのでなく、リアフェンダー自体のデザインをやり直すことが最良の選択であると考えられている。もちろん、充分な予算を持つアウディは、現在精力的にリアフェンダーの空力開発を行っているだろう。そのため、昨日セブリングで走った2台のR18のリアタイヤアーチ上にはスリットが設けられてなかった。

 細かく観察すると、リアフェンダー前部やサイドボディが少々違うようだが、ボディには大きな変更は加えられていない。しかし、1台のR18には、新しいルールに従ったエンジン(?)が搭載されていたようで、様々な比較が行われていた。

 今回のテストには、アンドレ・ロッテラー、ブノア・トレルイエ、マルセル・ファスラーの2011年ルマン優勝トリオと共に、リナンド・カペロ、トム・クリステンセン、アラン・マクニッシュのゴールデントリオも参加している。このゴールデントリオは、アウディを離れることが噂されていたが、今回テストに参加したことによって、噂に過ぎないことを証明した。

12月18日
●トヨタは1月最終週にポールリカールでWECのテストを実施

Illustration:TOYOTA

 TMGは1月24日から27日ポールリカールにおいてWECに参加するマシンのテストを行う。24日はプレスディで、25日もメディアの取材を受けるようだ。しかし、27日まで走るのであれば、本格的なテストは26日と27日と考えるべきだろう。
 既に発表されたアレクサンダー・ヴルツと中島一貴だけでなく、ニコラス・ラピエールもテストへ参加する。

12月12日
●アウディがデイトナ24時間をターゲットとしたテストを実施


Photo:AUDI AG

 アウディは1月に行われるデイトナ24時間レースのため、GrandAmバージョンのR8を開発中だ。
 GrandAmのレギュレーションは、元々ポルシェカップカーを対象としたため、FIAのGT3とは微妙に違う。FIA GT3と比べると、空力性能は70から80%程度まで引き下げられる。フロントノーズのスプリッターは38mmだけ、リアウイングの幅も152cmに制限され、ロードクリアランスは10mm高い65mm以上としなければならない。
 先週火曜日と水曜日アウディは、デイトナスピードウェイに2台のGrandAmバージョンのR8を持ち込んで、開発ドライバーのフランク・ステップラーによって1,000kmのテストを行った。デイトナ優勝へ向けて大きな成功を納めることが出来たようだ。

 R8はカスタマーカーであるため、もちろん、アウディのワークスチームがデイトナへ挑戦する訳ではない。GrandAmバージョンのR8の最初の1台は、アラバマのAPRモータースポーツにデリバリーされ、もちろんデイトナ24時間へ挑戦する。他に3つのチームがデリバリーを望んでいるため、最終的に4台のR8 GrandAmが2012年に北アメリカへデリバリーされるだろう。

12月8日
●WEC確定 富士6時間の日程は10月14日開催に変更 今度はSuperGTオートポリスとバッティング

Photo:Sports-Car Racing

 昨日インドのニューデリーでFIAワールド・モータースポーツ・カウンシルが開催され、正式にWECの開催が決定した。
 エントリー受付はルマン24時間レースと同じ12月19日に開始され、1月18日に締め切られる。その後1月25日にFIAとACOからなるメンバーによってミーティングが行われ、正式なエントリーとカレンダーが決定され、2月2日発表される。
 既にACOが発表した2012年のルマン24時間の一般エントリーとまったく同じ方法であることは注目だ。同じ日に、ほとんど同じ内容の会議を2つ行うとは考えられないが、既にACOに問い合わせたチームが説明を受けているように、2012年のルマン24時間のエントリーは、WECのエントリーをベースとして選考されるようだ。
 また、ルマン24時間レースに限って、マニファクチュラーは3台目のクルマをLMP1クラスにエントリー出来ることも発表された。つまり、これまでエントリーチーム名を変えてエントリーしていた3台目のクルマが、同じチーム名で参加することが出来る。

 1ヶ月前に発表したWECのカレンダーが変更されたことも公表された。下記の通りバーレンが元の富士の日程に変更されて、富士6時間の日程は10月14日に変更されている。ところが、10月14日にはSuperGTオートポリスが開催される予定となっているため、もし、このカレンダーで決定されるのであれば、SuperGTオートポリスの日程を変更しなければならない。
 今度のカレンダーでも、プチ-ルマンの名前は無い。2月2日の正式発表まで、さらに変更されるのだろうか?

3月17日 セブリング12時間(USA)
5月5日 スパ-フランコルシャン6時間(B)
6月3日 ルマン公式テストディ(F)
6月16-17日 第80回ルマン24時間(F)
8月25日 シルバーストーン6時間(GB)
9月15日 サンパウロ6時間(BR)
9月29日 バーレーン6時間(BAH)
10月14日 マウント富士6時間(J)
11月TBA TBA 6時間(CHI)TBA

12月4日
●ニッサンNISMO GTR GT3の12月デビューは無し

Photo:BLANCPAIN ENDURANCE SERIES

 9月にシルバーストーンでブランパインエンデュランスシリーズ最終戦が行われた際、GTR GT3カーを走らせたJRモータースポーツは、エンジンルームやコクピット等の写真の公開を12月まで待つ様求めた。当然12月にGTR GT3カーが発表されるものと考えられたが、JRモータースポーツによると、年内にGTR GT3カーが正式に発表されることはないらしい。ディテイル写真の公開についても、再び止められた。しかし、マニクールとシルバーストーンで走ったマシン自体は、公開される可能性があるようだ。たぶん年明けに行われるバーミンガムショーとオートサロンを指しているのだろうが、こちらも可能性に過ぎない。

 GTR GT3カーは、ブランパインシリーズよりも、日本のスーパー耐久やSuperGTでの参加が期待されるGT3カーだ。12月に発表されないのであれば、少なくともプライベートチームが2012年にGTR GT3を走らせることは不可能だ。
 どうやら、来年3月に何らかの発表が行われるらしいが、もし、2012年にGTR GT3が走るのであれば、NISMOと親しいチームが走らせるだけだろう。2012年のスーパー耐久のトップカテゴリーはどうなるのだろうか?SuperGTのGT300クラスは、外車の大群にAPRやスバルのJAF-GTマシンが立ち向かうだけとなるのだろうか?


12月3日
GT3カーによって行われる2012年のFIA GT1ワールドチャンピオンシップ?

Photo:FIA GT1/DPPI

 昨日FIA GTコミッションは、2012年のFIA GT1ワールドチャンピオンシップをGT3カーによって行うことを発表した。
 既にGT3カーによるレースシリーズは、2005年アマチュアドライバーを対象として最初に実施されたFIA GT3ヨーロピアンチャンピオンシップ、そしてプロフェッショナルドライバーの参加が許され、プロチームによって競われているブランパインシリーズの2つが存在している。しかも、この2つのシリーズは共にステファン・ラテルのSROがオーガナイズを担当している。
 FIA GT3ヨーロピアンチャンピオンシップとブランパインシリーズは、アマチュアとプロと言う棲み分けが存在した。

 ところが、FIA GT1 ワールドチャンピオンシップがGT3カーによって行われることになると、これまでプロチームが参加して、激しい闘いが繰り広げられてきたブランパインシリーズと同じ内容となってしまう。
 昨日正式にFIA GT1ワールドチャンピオンシップが発表された後、既にブランパインシリーズへの参加を表明しているレーシングチームを中心として、どうして、同じようなシリーズを同じSROは発表したのか? 疑問の声が囁かれている。

 昨日ステファン・ラテルは、FIA GT1ワールドチャンピオンシップが、FIAによる世界選手権であることをアピールした。ブランパインシリーズがヨーロッパを中心として開催されるのに対して、FIA GT1ワールドチャンピオンシップは、ヨーロッパだけでなく、南米や中東、そして中国でも開催され、メーカーにとっても魅力的なシリーズであることを強調した。

 元々FIAとSROは、2012年のFIA GT1ワールドチャンピオンシップをFIA GT1カーとFIA GT3カーの2種類のクルマによって行うことを目論んでいた。もちろん、FIA GT1カーに性能調整を施すことによって、同じ速さとすることを検討していた。
 しかし、FIA GT1カーは、名前はGT1でも、現在GTレースの頂点がACOのGTEカーであることは明らかだ。誰もがGTレースにイメージするポルシェやフェラーリはACOのGTEカテゴリーを対象として、FIA GT1チャンピオンシップで見ることは出来ない。しかも、ACOのGTEカテゴリーにはBMWやコルベットのワークスチームも参加している。
 第一、わざわざ新しいレギュレーションを作ったにも関わらず、参加台数が集まらず、当初排除しようとした旧ルールのGT1カーを走らせることで、2年間FIA GT1ワールドチャンピオンシップは開催されていた。

 FIA GT1に魅力がないのは2年前から明らかだったが、新たな参加車が期待出来ないのであれば、どうして、既に世界中のスポーツカーレースファンとメーカーによってGTレースの頂点と認識されているACOのGTEカーを導入しないのだろうか?

11月29日
●2012年LMSカレンダー  5レース 6イベント


Photo:Sports--Car Racing

 2012年にWECが開催され、ほとんどのレーシングチームはヨーロッパを拠点とするため、WECとLMSの棲み分けが明確でなくなってしまった。そこでACOは、景気の後退も考慮して、LMSのトップカテゴリーをLMP2とすることで開催を決定した。LMP2はジエントルマンドライバーが1人乗り組むことが条件のカテゴリーだが、LMSが完全にアマチュアのレースとなってしまう訳ではない。GTEカテゴリーには、アマチュアを対象としたGTE-Amクラスだけでなく、従来通りプロフェッショナルドライバーを対象とするGTE-Proクラスも設けられる。クラージュLC70のワンメイクであるフォーミュラルマンは、新たにシャークフィンの装着が義務つけられる。新しいカテゴリーは、ALMSでも設けられているGTCクラスだ。
 先週ACOは2012年のLMSのカレンダーを発表したが、ポールリカールで行われる公式テストも継続して開催される。現在WECの詳しいカレンダーが発表されてないが、WECだけに参加するチームの多くも、LMSポールリカールテストに参加することだろう。2012年のLMSでチャンピオンに輝いた6つのチームに対して、2013年ルマン24時間の招待状が贈られる。

3月9-10日公式テスト ポールリカールHTTT(F)
3月30日〜4月1日 ポールリカール6時間(F)
5月18日〜20日 ゾルダー6時間(B)
7月13日〜15日 ドニントン6時間(GB)
9月7日〜9日 ブルノ6時間(CZ)
11月2日〜4日 アルガーブ6時間(P)

11月25日
●2012年ルマン24時間レースへ17チーム23台を招待

Photo:Sports--Car Racing

 昨日ACOは、2012年のルマン24時間レースへ自動的にエントリーが認められる17チーム、23台のリストを公表した。今年の場合、ルマン24時間、ALMS、LMS、ミシュラングリーンXチャレンジ、そしてプチ-ルマンにおける成績上位チームが招待の理由となった。当初ILMC成績上位チームも選考対象となると言われたが、あくまでもルマン24時間レースはACOのイベントであるとの理由から、曖昧なままシーズンが終了して、結局採用されなかった。逆にFIAによって微妙な立場に立たされているプチ-ルマンは、ルール通り、選考対象となった。ACO内でも混乱があったようで、昨日最初に発表されたリストにはプチ-ルマンの成績上位3チームの名前はなく、数時間後、改めてこれらのチームを加えたリストをACOは発表している。
 FIAが関わったことによって、カレンダーだけでなく、このようなところでも混乱が起きているようだ。
 ルマン24時間へは55台が出走可能だが、残るエントリーは12月19日から1月18日まで受け付けられる。そして選考を経て、2月2日2012年のルマン24時間レースとWECのエントリーリストは発表される。

1台招待チーム
Audi Sport Team Joest:Le Mans 24 Hours LM P1 優勝*LM P1
Larbre Compétition: Le Mans 24 Hours LM GTE AM 優勝*LM GTE Am
Rebellion Racing: Le Mans Series LM P1 優勝*LM P1
Strakka Racing: Le Mans Series LM P2 2位*LM P2
JMW Motorsport: Le Mans Series LM GTE Pro 2位*LM GTE Pro
IMSA Performance Matmut: Le Mans Series LM GTE Am 優勝*LM GTE Am
Pegasus Racing: Le Mans Series in FLM. 優勝*LM P2
Muscle Milk Aston Martin Racing: American Le Mans Series LM P1 2位*LM P1
Peugeot Sport Total: Petit Le Mans LM P1 優勝* LM P1
Level 5 Motorsports: Petit Le Mans LM P2 優勝* LM P2
Krohn Racing: Petit Le Mans LM GTE Am 優勝* LM GTE Am

2台招待チーム
Greaves Motorsport: Le Mans 24 Hours LM P2優勝、Le Mans Series LM P2優勝*LM P2へ2台
Pescarolo Team: Le Mans Series LM P1 2位、 Le Mans Series Michelin Green X Challenge LM P優勝*LM P1へ2台
Corvette Racing:Le Mans 24 Hours LM GTE Pro 優勝、American Le Mans Series LM GTE Pro 2位*LM GTE Proへ2台
Dyson Racing: American Le Mans Series LM P1 優勝、American Le Mans Series LM P Michelin Green X Challenge優勝*LM P1へ2台
BMW Team RLL: American Le Mans Series LM GTE Pro優勝、American Le Mans Series LM GTE Michelin Green X Challenge優勝*LM GTE Proへ2台

4台招待チーム
AF Corse: Le Mans Series LM GTE Pro優勝、Petit Le Mans LM GTE Pro優勝、Le Mans Series LM GTE Am 2位、Le Mans Series LM GT Michelin Green X Challenge優勝*LM GTE Proへ3台、LM GTE Amへ1台
*AFコルセは4台の招待状を獲得したが、同一チームは最大2台のエントリーしか認められない


11月23日
●積極的にアピールするグレーブス ルマンではマーティン・ブランドルが乗り組む


Photo:Sports-Car Racing

 まだ計画の総てが決定した訳ではないようだが、グレーブスの広報を委託されているジョン・ブルックスによると、月曜日グレーブスモータースポーツは、彼ら自身、ライバルのシグナテックが走らせるORECAよりも遅いと判断しているザイテックZ11SNにニッサンエンジンを組み合わせた2台のLMP2カーを走らせることを決定した。一応WECとLMSに1台ずつ参加することを公表したが、その理由はグレーブスがルマンの招待枠を2つ獲得しているからだ。

 グレーブス自身ORECAより遅いと判定したザイテックを選択した理由は、ザイテックがニッサンLMPエンジンのメンテナンスを行っているからに他ならない。もちろん、先週掲載したように、ルマン終了後、あるいはLMS終了後日本へ遠征した際、2台のザイテックZ11SNの内1台に違うエンジンを積むことを望んでいるのは変わらない。

 このような状況であるため、詳しい内容を公表出来る段階ではないようだが、今日グレーブスは、ルマンに参加する2台のグレーブスザイテックLMP2カーの1台に、マーティン・ブランドルが息子のアレックス・ブランドルと共に乗り組むことを決定した。
 マーティン・ブランドルはF3時代アイルトン・セナのライバルとして活躍して、F1GPへも13年間参戦している。1996年にF1GPを引退した後、1997年ニッサンR390GT1によってルマンへ参戦している。

 またWECについては、最終戦中国の具体的な場所、そして根本的なプロモーターが決定してないこと、事もあろうにバーレンがプチ-ルマンと同じ日程であることによって、ACOが2月2日に最終的なカレンダーを発表するまで、レーシングチームは計画を立てられない状況に陥っているようだ。FIAはALMSに喧嘩を売っているのだろうか?
SpecialThanks:John Brooks

2012年にニッサンLMP1カーは何時走るのか?  WECマウント富士6時間へ多数の日本関連チームが参加

11月22日
●LMP2活動を止めたASMは、ルマンで走れないGT3を選択してマクラーレンを走らせる

Photo:McLaren Automotive Limited

 イギリスF3で成功したアントニオ・シモンは1997年ASMを立ち上げた。最初にASMが注目されたのは2006年ローラB05-40/AERでLMSに参戦した時だった。ノーマークのASMローラLMP2カーは、しばしばLMP1カーを上回る速さを披露した。2009年マシンをザイテックに変更すると、常にLMP2クラスの最速の座を争う存在となって初優勝も成し遂げた。
 当然2012年もLMP2カーでの活動を継続すると考えられたが、シーズン終了を待たずにASMは、2012年LMP2での活動を取り止めて、マクラーレンMP4-12CによるGT3カーでの活動をスタートすることを発表した。

 昨日ジョン・ブルックスは、アントニオ・シモンのインタビューテキストを送ってきた。話し好きのジョン・ブルックスらしく、非常に長いテキストであるため、現在アマチュアチームにとって大きな2つの選択肢であるLMP2とGT3から、ASMがLMP2での活動を取り止めてGT3を選択した理由について掲載する。

 アントニオ・シモンは、(ASMの中心人物である)ミゲル・アマラルがLMP2での活動を終了することを決心した時、彼が決してエンデュランスレースから撤退するつもりはなかったため、GT(GT-E?)での活動を望んでいると判断した。もし、ルマン24時間への参戦を望むのであれば、プライベートチームにとって最良の選択は、LMP2かGTE-Amであったことからだ。
 ところが、アントニオ・シモンとミゲル・アマラルはルマンで走れないGT3カーを選択した。

 GT3カーはルマンで走る事は出来ないが、他の名だたる伝統的なエンデュランスレースで走ることが出来る。また、ASMは2003年以来GTレースにも参加して2005年にはスパニッシュGT選手権で勝った。しかし、もし低いパフォーマンスのGTカーを選択した場合、どんなに優秀なレーシングチームが走らせても勝つことは出来ない。ところが、GT3カーはBOP(性能調整)によって、どのクルマを選択しても、優秀なレーシングチームが走らせるのであれば、成功することが可能だ。

 ではマクラーレンを選択した理由は何なのだろうか?
 5月にアントニオ・シモンはマクラーレンを訪問した。そして、非常に高いクオリティでMP4-12Cの開発と製造が行われていることを確認した。その段階でMP4-12CのGT3カーは完全に完成してなかったが、最良のGT3カーであることを確信した。

 2012年ASMはブランパインエンデュランスシリーズを中心として、プロフェッショナルとアマチュアが共に乗り組むクラスで活動する。もちろん最大のターゲットはスパ-フランコルシャン24時間レースだ。同時にイベリアGT選手権に参加する他、シーズンオフに行われるドバイ24時間とアブダビ12時間レースにも参加する。
 ブランパインシリーズは、GT3カーらしいアマチュアのクラスだけでなくプロフェッショナルドライバーのみのクラスも存在するため、選択するドライバーによって、プロ/アマクラスでなくプロフェッショナルクラスへ参加する可能性もあるようだ。
SpecialThanks:John Brooks


11月21日
●2012年のOAKペスカロロLMP2カーはニッサンエンジンを搭載  4台目のプジョーの可能性も

Photo:Sports-Car Racing

 SpeedTVからの情報によると、現在OAKレーシングは、北アメリカとアジアでOAKペスカロロLMP2カーを走らせるカスタマーチームを探しているようだ。既に北アメリカでOAKペスカロロを走らせるカスタマーチームとの交渉は最終段階にあるようで、ALMSにシーズンを通して参加することとなるようだ。残念ながらアジアのカスタマーは見つかっていない。アジアでLMPカーを走らせるレーシングチームは日本にしか存在しないが、日本では、OAKペスカロロの噂は皆無であるから、ジャック・ニコレが本当にアジアのレーシングチームと話し合っているとは考えられない。

 2010年と2011年OAKはジャドと契約して、2011年OAKペスカロロLMP2カーはジャドBMWを搭載して走った。ジャドBMWは、ザイテックニッサンやHPDホンダと共に最良のLMP2エンジンと考えられているが、2012年OAKペスカロロLMP2カーは、ジャドBMWに換えてザイテックニッサンを搭載することとなる。

 SpeedTV自身はOAKレーシングが話し合っている北アメリカのレーシングチームの名前を聞かなかったらしい。しかし、噂に上っているレーシングチームは、かつてALMSやルマンで大活躍したレーシングチームだ。と同時に、現在プジョーが、ORECAに代わって4台目の908を走らせるチームとして噂に上っているレーシングチーム、と言うより共同体の重要なパートを占める存在と考えられている。この共同体は、ここ10数年の間世界中のスポーツカーレースで活躍した複数のレーシングチームによって構成され、ルマン優勝チームも含まれている。

 この共同体とプジョーとの話し合いが破談に終わった場合、4台目のプジョーをプジョー自身が走らせないのであれば、プジョーの次のいくつかの選択の中にOAKが存在すると考えられている。
 1ヶ月前突然存在が明らかとなった、この共同体は、非常に強力で、ほとんどのメーカーが興味を示すことだろう。では、どうしてプジョーとの契約締結が遅れているのかと言うと、この共同体が、プジョーに対して、大きな要求を突きつけているからだ。
 通常メーカーと近いセミワークスチームは、ワークスチームをサポートするか、あるいは、ワークスチームが失敗した時の保険として、活動することが多い。であるから、最新のマシンやパーツを与えられない場合も多く、イレギュラーな状況が発生しない限り、ワークスチームとポールポジション争いを行ったり、ワークスチームと競い合って優勝することは、望まれてはいない。

 ところが、この共同体は、プジョーへ、ワークスチームと同じ最新の908とパーツの供給を要求しているだけでなく、独自に空力とシャシーのセットアップを行い、レースオペレーションも独自に行うことを要求している。もちろん、ポールポジションを争うだけでなく、決勝レースでも、ワークスチームのサポートではなく、独自に勝ちを狙って走ることを要求している。
 つまり、プジョーにとっては、同じプジョーを走らせる、もう1つのライバルが現れることを意味する。
 現在のところ、話し合いに進展は無いようだが、先に記したように、この共同体とプジョーが契約しない場合、次のいくつかの選択の1つとしてOAKの名前が噂されている。この共同体は、強力な3つのレーシングチームが中心と考えられているが、その一角とプジョーが直接交渉して、共同体を切り崩すことに成功するのであれば、状況は大きく変わってくる。

 であるから、OAKが、噂の北アメリカのレーシングチームとの契約に成功したのであれば、この共同体の目論みは大きく崩れてしまう。もし、プジョーとOAKが契約しても、プジョーは、この共同体の1/3と提携するだけであるから、大きくポテンシャルは削がれた状態だが、4台目のマシンを走らせるレーシングチームとしては、これくらいでも充分であるかもしれない。

TMGがORECAと契約  4台目のプジョーは誰が走らせる?  新たな強豪チームが出現!

11月20日
●Fuji Sprint Cup フォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/photos-endurance.html?page=899&np=0

11月18日
●AUDI R8 LMS ultra登場   GT3カー故の信頼性の向上 フロントタイヤは幅12インチ


Photo:AUDI AG

 3年前に誕生したアウディR8 LMS GT3カーは、これまでに40台以上がデリバリーされ、115のレースで優勝すると共に12のレースタイトルを獲得した。登場した際クアトロGmbHは、3年後に改良モデルを発表することを公表していたが、昨日、2012年3月にR8 LMSの改良モデルであるR8 LMS ultraをデリバリーすることを発表した。

 2012年のR8 LMS ultra GT3カーは、新しいエキゾーストシステムによって触媒の効果を高めることによって、5.2リットルV10は419Kw(570hp)を発生する。この数値は2011年と同じリストリクターを装着した場合のものであるため、2011年のR8 LMSがそうだったように、性能調整テストによって、パワーが削られる可能性もあるだろう。

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 R8 LMS ultraの最大の特徴は、信頼性の向上にある。元々GT3カーはアマチュアドライバーのものだったため、メンテナンスフリーであることが大きなセールスポイントだった。ちなみに、この570馬力エンジンにも20,000kmの保証が与えられている。
 ところが、R8 LMS ultraは、アマチュアだけでなく、ハイレベルな長距離レースをプロフェッショナルドライバーが勝ち抜くため、つまり、速く走っても、高い信頼性を得ることが目標となっている。

 高い信頼性を確保するため、大きなエンジンオイルクーラー、トランスミッションオイルクーラー、そしてパワーステアリングのオイルクーラーを備える。その結果、リアホイール前のエアインテイクは大きく外側に張り出している。
 軽量化だけでなく、側面クラッシュの際の安全性を向上させるため、カーボンファイバー製のドアを持つ。同様にアウディが開発したPS1セイフティシートが使用されている。

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 速さを向上させる点について、もっとも大きな変更は、フロントタイヤの幅が従来の11インチから12インチとなったことだ。この結果ミシュランの30-65/18サイズのフロントタイヤを履くことが可能となった。
 空力も改良されており、幅の広いフロントフードが使われ、ノーズ左右に2枚のカナードウイングが標準装備される。LMPカーの場合と同様、アウディはレギュレーションブックの隅々まで研究したようで、従来のGT3カーでは考えられない、幅広く分厚いリアウイングが開発されると共に、大きな翼端板が取り付けられている。

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 昨日発表されたため、マクラーレンMP4-12Cと違って、これから注文しても、来年のシーズン開幕前にデリンバリー可能と思われるが、価格は32万9,900ユーロ(約3,400万円)+VATだ。既に日本へ2台?以上がデリバリーされると噂されている。
 どのレースシリーズに参加するか?判らないが、スーパー耐久への参加が見込めるGTアジアを含めると、ポルシェ997GT3Rを上回る台数のR8 LMS ultraが日本で走ることとなるかもしれない。

11月17日
●2012年にニッサンLMP1カーは何時走るのか?  WECマウント富士6時間へ多数の日本関連チームが参加

Photo:Sports-Car Racing

 現在のACOのLMP2カーは、GT-Eもしくはロードカーベースの公認エンジンを搭載すること、そしてタイヤの最大幅が14インチに制限されることを除くと、基本的にLMP1と変わらない。つまり、LMP2カーをベースとして、3.4リットルガソリンエンジンと幅16インチのタイヤと交換することによって、LMP1カーが実現する。
 今年シグナテックがORECA03にニッサンエンジンを積んだLMP2カーを走らせることを決定した時、直ぐシグナテックは2012年にニッサンの3.4リットルエンジンを積んだLMP1カーを走らせることが噂された。彼らが最初に公の場で走ったポールリーカールテスト(そう3月11日に始まったテストだ)の際パトリック・ペーターは、恒例の記者会見において、日本メーカーが復帰したことに歓迎しながら、ニッサンが近い将来トップカテゴリーに参加するだろう、と述べている。

 3.4リットルエンジンとは、現在SuperGTで使われているエンジンのことだ。実際2011年レベリオンがトヨタのSuperGT/FNエンジンを積んだLMP1カーを走らせている。LMP1の方がGT500よりもリストリクターが大きいこと、そして、現在E85燃料の使用が有利と考えられるため、GT500やFNで使われているエンジンをそのままLMP1で使った場合、少々パワーが不足すると考えられている。2011年のレベリオンの成績が、このことを証明している。
 もし、多少開発する資金を捻出出来るのであれば、より高回転型のエンジンに仕立て直す方が有利と考えられている。
 しかし、性能を問わなければ、GT500エンジンに積み替えることで、容易にLMP1カーを仕立てることが出来る。

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 シグナテック自身は、シグナテック・ニッサンLMP1カーについて、あくまでも希望と述べていたが、決して否定はしなかった。その後シグナテック・ニッサンLMP1カーの噂は、2012年ルマンの後走り始めると噂されるようになった。
 先週がシグナテックの2012年プロジェクトのデッドラインと考えられていたが、予定通りシグナテックは、2012年のWECで2台のニッサンエンジンを積んだORECA03 LMP2カーを走らせることを発表した。しかし、同時にシグナテックは、3台目のORECA03を走らせることも可能と公表している。

 シグナテックの発表によって、ニッサンの3.4リットルエンジンを積んだLMP1プロジェクトは消滅した訳ではないらしい。
 2011年シグナテックと共にニッサンエンジンを積んだLMP2カーを走らせたグレーブスモータースポーツは、11月はじめ2012年もニッサンエンジンを積んだ2台のLMPカーをWECとLMSで走らせることを公表している。2011年に走らせたザイテック11Sシャシーはカリム・オジェの持ち物であったため、現在新たにLMPカーを購入すべく、様々なシャシーを物色中だ。
 3週間前グレーブスモータースポーツの広報を委託されているジョン・ブルックスは、2台のLMP2カーと連絡してきた。ところが、最近になって、1台は決定、もう1台は未定ながら、シーズン後半には2台目を走らせると言ってきた。しかも、2台目はLMP2カーではないかもしれないとまで言う。残念ながら、ジョン・ブルックスはLMP1であることは認めなかった。もしかしたら、GTRのGT3カーをブランパインシリーズで走らせるプランが、新たに計画されているのかもしれない。

 シグナテック自身、3台目のORECA03を走らせることが可能と述べているように、シグナテックとグレーブスの計画が流動的である理由は、彼ら自身の理由ではないようだ。噂を信じるのであれば、エンジンを供給するニッサンの計画が決定していないことが、シグナテックやグレーブスの計画が確定しない理由と言われている。
 シグナテックやグレーブスは、ORECAがTMGと契約したように、ニッサンのパートナーとして契約することを望んでいるが、彼ら自身述べるように、ニッサンへの望みはサプライヤー+αであるようだ。つまり、現在のところ、実現するとしても、ニッサンのワークスチームやセミワークスチームが走らせるLMP1カーの話しではない。

 これらの噂は、いずれもルマン24時間レースではなく、9月30日に行われるWECマウント富士6時間のことと考えられる。ルマン終了後、多くのレーシングチームは予算のやり繰りに苦労している。その救世主となりそうなのが、かつてスポーツカーレース大国だった日本で行われる9月30日のWECと判断しているのだろう。既にWECマウント富士6時間への参戦を公表している日本チームも存在するが、WECマウント富士6時間へ参戦が噂されている日本関連のチームは二桁に上る。2012年のWECマウント富士6時間は、日本に再びスポーツカー文化をもたらすこととなるのだろうか?

Photo:Sports-Car Racing

11月13日
●2012年WECカレンダー

 昨日ACOのジャン・クロード・プラサートはズーハイで記者会見を行って、2012年のWECのカレンダーを発表した。6月のルマンで公表したように、2012年のWECにはルマン24時間レースが含まれる。3月にセブリング12時間レースで開幕して、ルマンを含む8つのレースでシリーズは構成され、11月最後のイベントが行われる。
 昨日発表されたカレンダーには8つのイベントが記載されているが、予想通り人気のプチ-ルマンは含まれず、サンパウロで行われるレースは最終決定ではない。また、最初のACOの発表では11月にスイスで開催されるとされていたが、今日国別記号の記載ミスであることが確認された。CHではなくCHIとのことであるから、11月のイベントは中国で開催される。
 ドイツとイタリアのメディアが右往左往した結果、今日密かに変更された。
 正式発表は2012年2月2日まで待たなければならない。

3月17日 セブリング12時間(USA)
5月5日 スパ-フランコルシャン6時間(B)
6月3日 ルマン公式テストディ(F)
6月16-17日 第80回ルマン24時間(F)
8月25日 シルバーストーン6時間(GB)
9月16日 サンパウロ6時間(BR)*TBC
9月30日 マウント富士6時間(J)
10月20日 バーレーン6時間(BAH)
11月11または18日 TBA 6時間(CHI)

11月7日
●TMG ORECAの最初の3人のドライバー

Illustration:TOYOTA

 今日トヨタは、来年ハイブリッドLMP1カーによって、ルマンやWECを転戦するドライバーの内3人のドライバーが決定したことを発表した。中心と考えられるのは、今年プジョーによってルマンで優勝したアレクサンダー・ヴルツだ。そして、以前から噂に上っていた中島一貴、そして今年ORECAで活躍しているニコラス・ラピエールの3人だ。アレクサンダー・ヴルツとニコラス・ラピエールと言う即戦力と、日本の若手トップドライバーの組み合わせは、アウディやプジョーと比べても、見劣りしない。
 シーズンを通してWECに参加する場合、当然ながら、中島一貴のSuperGTへの参加は不可能となるため、トムスのレクサスSC430のシートが1つ空くこととなる。他にも日本人ドライバーが噂されているため、2012年SuperGTのレクサスSC430のドライバーラインナップは大きく変わることとなるかもしれない。

 今日発表した3人がトリオを組んで走る訳ではないようだ。2台を走らせるのであれば、残りのドライバーは3人と考えられるが、すべてのドライバーが決定しなければ、一緒に乗り組むドライバーの組み合わせは決まらないかもしれない。
 暫定モデルによって、12月中のシェイクダウンが噂されていたが、来年早々テストを開始することも公表された。それまでは、TMGのシュミレーターによって、経験を重ねることとなるようだ。

11月7日
●2012ポルシェ997GT3RSR登場

Photo:Porsche AG

 ポルシェは既にロードバージョンの911を991モデルにモデルチェンジしているが、2012年も997をベースとしたGTレーシングカーを走らせる。ポルシェは、GT3バージョンの997GT3Rに続いて、現在のGTレースの最高峰であるACOのGTEカテゴリーでコルベットやBMWと戦う997GT3RSRの2012年バージョンを発表した。たぶん最後の997GT3RSRとなるだろう。

 2012年の997GT3RSRの最大の特徴は、車幅が48mm拡大されたことだ。ポルシェの説明によると、幅310mmのリアタイヤ、そして従来より30mm大きい直径680mmのフロントタイヤを履くとしているが、これは、ポルシェのスタンダードスペックの997GT3RSRのデータと比較したもので、2009年ミシュランが直径680mmのフロントタイヤを開発した後、ほとんどのトップチームの997GT3RSRは、フェラーリやコルベットと同じ直径680mmのフロントタイヤを履いている。ちなみに幅310mmのリアタイヤもホイール幅のことで、装着されるタイヤの幅は、リムに組み付けると355mmとなるのも従来通り。

Photo:Porsche AG

 現在ミシュランは、FRのコルベット、ミッドシップのフェラーリ、そしてリアエンジンのポルシェ等、どのようなレイアウトのGTレースカーに対しても、基本的に同じサイズのタイヤを供給しているため、テイルヘビーのポルシェも、大きなフロントタイヤを使いこなす工夫が求められていた。2009年以降、直径680mmのフロントタイヤを活かすため、ポルシェは様々な工夫を行っているが、その経験を基にしたサスペンションジオメトリーが開発されたようだ。
 また、2009年にラジエターやオイルクーラーのレイアウトを見直した結果、997GT3RSRは少なくとも前後の重量配分がフェラーリと大きく変わらない良好な値となっていた。もちろん、リアにオーバーハングさせてエンジンを搭載するため、リアの慣性重量が大きいことや短いホイールベースの問題は変わらないが、前後の重量配分の面だけを考慮すると、理論上直径680mmの大きなフロントタイヤの能力を活かすことが可能な状況だった。

 大きなタイヤの能力を引き出すには優秀なサスペンションが必要であるため、車幅を48mmも拡げて、ジオメトリー変化の少ない長いサスペンションアームのサスペンションが開発された。しかし、写真を見る限り48mmも長いサスペンションアームが使われているようには見えない。特にフロントサスペンションはストラットのままであるため、ロアアームだけ延ばしたら、極端にストラットが傾いてしまう。たぶん、サスペンションアームだけでなく、アップライトも新しいデザインとなっているのだろう。
 故に48mm幅広いボディは、リアだけでなく、フロントも拡げられている。リアフェンダーは997GT2と似たデザインで、リアフェンダー前上部に大きなエアインテイクが開けられて、従来のエンジンフードに開けられたエアインテイクは存在しない。
 ボディそのものは48mmも幅広くなって前面投影面積は大きくなっても、ボディ内側の空気の流れを大きく改善した結果、ドラッグの増大は最小限に抑えることに成功しているようだ。

Photo:Porsche AG

 車幅を48mmも拡げたには、フェラーリ458GTCの影響も大きいと考えられる。今年のGTEカテゴリーは、対照的なBMW M3とフェラーリ458が速さを発揮している。セダンベース故、幅が狭く背が高いBMWは、大きなリストリクターの装着を許された結果、何とルマンでGTEのポールポジションを獲得してしまった。幅広いフェラーリは、ストレートスピードではBMWに敵わないが、素晴らしいコーナーリンングスピードによって、高速コースとテクニカルコースの両方で速さを発揮している。
 SuperGTで活躍するJimゲイナーのフェラーリ458を見ても判る様に、フェラーリ458は素晴らしい空力性能も持っている。フェラーリに対抗するため、ポルシェは相当研究したようで、フロントフェンダーとリアフェンダー後方のホイールセンターより下側を完全に取り払ってしまい、床下の空気の吸い出しを促進している。

 エンジンは噂の4.5リットルでなく、従来と同じ4リットルだが、5馬力大きい460馬力を絞り出す。997GT3RSRとして初めて、パドルシフトシステムも標準で装備する。生産台数は発表されていないが、価格は49万8,000ユーロ(約5,4000万円)+VATだ。

11月3日
●ローラのローコストLMP2カーの最初のカスタマーはガルフレーシング


Illustration:Lola Cars

 ローラはACOの求めに応じて、低価格のLMP2カーの開発を行っているが、昨日最初のカスタマーとしてガルフレーシングと契約したことを発表した。ファビアン・ジロアによってエントリーされるガルフレーシングローラは、UAEのドバイを拠点とするが、レーシングチームはフランスのマニクールをベースとして活動する。このチームはランボルギーニGT2カーをはじめとして、今年はアストンマーティンGTEカーによってILMCのGTE-Amクラスで走っている。2012年ガルフレーシングはエミレーツのサポートによって2台のローラLMP2カーをWECで走らせる。ドライバーは、ファビアン・ジロアの他、既にジャン-ピエール・ヴァレンティーニとフレデリック・ファティアンが決定しており、レギュラードライバーがもう一人加入する見込みだ。

 ACOはLMP2カーの価格の上限を35万5,000ユーロ(約3,800万円)とすることを求めた。この価格は10年前FIASCCが規定した価格と比べても1,000万円以上安いため、一時期ローラは、ワンメイクとするか?参加シャシーを特定することを主張していた。
 なぜなら、ライバルのORECAは、ORECA03LMPカーのベースとなった旧クラージュLC70/75が、ACOのフォーミュラルマン(ALMS的にはルマンプロトタイプ)ワンメイクLMPカーとして多数製作しているため、コストを圧縮出来る可能性があったからだ。
 ローラのマーティン・ビランは、ACOのテクニカルメンバー(外部のワーキンググループではない)に名を連ねており、話し合いの結果、2012年から2016年まで5年間モデルチェンジとしないことが、ルールに盛り込まれた。
 しかし、既に販売された高価なLMP2カー、あるいはLMP1カーをLMP2に作り替えたマシンが多数存在するため、このルールは、2011年6月以降(*2012年1月以降となる可能性有り)に販売されたクルマにのみ適応される見込みだ。
 現在のところ、35万5,000ユーロ以下で、現在と同じ内容のLMP2カーを販売出来るのはローラとORECAだけと考えられている。つまり、2012LMP2ルールは、低価格と引き替えにローラとORECAの仕事を確保するために構想されている。

 現在トップクラスのLMP2カーは、ローラやORECAだけでなく、ペスカロロP01やHPD01が存在する。ペスカロロP01のモノコックは非常に安価だ。またHPD01シリーズはORECA01と同じ旧クラージュLC70/75のモノコックを使っている。しかし、大量生産のローラやORECAと違って、ほんの数台しか作ってないため、このような低価格を可能とするのは容易ではないだろう。
 現在ペスカロロP01の製造権と製造設備はOAKが所有している。OAKはLMP2カーの販売に意欲を見せているが、OAKやHPDが35万5,000ユーロで販売出来なくても、彼らは既に製作したマシンが10台前後存在するため、慌てることはない。
 これらのマシンは、ローラやORECAのローコストカーと違って、今後も自由にモデファイすることが出来るのだ。

 昨日ローラは、一応イラストも送ってきたが、見て判る通りリストリクターが2つ存在する。つまり、B10-60LMP1カーをベースとしてシャークフィンを取り付けただけで、現在開発中の本当のローコストLMP2カーではない。エンジンレスと言っても、Xトラック529ギアボックス(?)やメガラインパドルシフトを含んで、たった35万5,000ユーロ(約3,800万円)で販売され、5年間モデルチェンジされないクルマの姿は、相変わらずベールに包まれたままだ。
*Sports-Car Racing Vol.18のペスカロロ特集を参照してください 

11月2日
●TMGがORECAと契約  4台目のプジョーは誰が走らせる?  新たな強豪チームが出現!

Photo:Sports-Car Racing

 10月26日TMGとORECAは同時に、2012年TMGが開発するハイブリッドLMP1をORECAが走らせることを公表した。ORECAは2011年ILMC(インターコンチネンタルルマンカップ)開幕戦セブリング12時間で優勝する一方、1ヶ月前にロードアトランタで行われたILMC/ALMSプチ-ルマンにおいても2位を獲得している。マニクールとポールリカールに工場を持ち、サリーンS7Rのシャシーとエンジン、さらにセアトラリーカーとWTCCマシンの開発も請け負っている。スポーツカーレースについては、ルマンに存在するORECAクラージュもORECAの傘下にある。もしメーカーが契約するのであれば、申し分ない相手であることが容易に理解出来る。ところが、ORECAがTMGと契約したことによって、興味深いドミノ現象が生じているようだ。

 2010年からORECAは、プジョーと契約して908を走らせている。2012年も4台目の908を走らせるものと考えられていた。プジョー自身2012年には908をベースとしたハイブリッドカーを走らせる。既にプジョーは、ワークスチームの3台すべてをハイブリッドカーに置き換える計画ではないことを公表しているが、1台か2台を開発段階のハイブリッドカーへ変更した場合、4台目の908を走らせるカスタマーチームの存在が重要となるのが想像出来る。
 プジョーの2012年構想において、優秀なORECAが走らせる4台目のプジョーは非常に重要だった。
 3月のセブリングがそうだったように、もし、ワークスチームに何か起きた場合、ORECAは、アウディと戦って優勝することが出来る頼れる存在だった。しかも、プジョーが提供するのはマシンとパーツだけで、走らせる費用を支払う必要はなかった。プジョーにとって、頼れるだけでなく、何ともお得な存在だった。

 ORECAがTMGと契約したことによって、現在プジョーは4台目の908を走らせるチームを探している。フランス内に限るのであれば、シグナテックやOAK、そして2009年に908を走らせたペスカロロが存在する。OAKはオーナードライバーのジャック・ニコレありきのチームだ。プジョーがジェントルマンドライバーと契約するとは考えられないため、ジャック・ニコレの財力によって、もう1台走らせるのであれば可能かもしれないが、非常に考え難い。シグナテックはザイテックニッサンエンジンをORECA03に積んだLMP2プランを開始したばかりで、ヨーロッパではWEC富士1000kmの際、LMP1エンジンに積み替えると噂されている。金を払って、プジョーを走らせるとは考え難い。ペスカロロは、1年前支援者達のバックアップによって復活したばかりであるため、自分自身でマシンを用意する必要が無いのであれば、ウエルカムだろう。充分に可能性があるように思えるが、メーカーにとっては、シーズン途中で撤退されては困るから、再建途上で資金面に不安を抱えるペスカロロは最後の選択と考えられている。
 他にもORECAがTMGと契約したことによって、レベリオンがプジョーと契約するとの噂も存在するが、自分自身の名前をつけたシャシーやエンジンの開発を望んでいるレベリオンが、メーカーから借りたクルマを走らせるとは考え難い。

 さらに夏以降ヨーロッパで吹き荒れる金融危機の影響も無視出来ない。例外なくヨーロッパを拠点とするプライベートチーム(メーカーも)は、下落するユーロと資金を貸し渋る金融機関によって、急激に財務体制が悪化している。
 現在プジョーがパートナーとして目をつけたのは、ヨーロッパ外の強力な複数のレーシングチームだ。しかも、都合が良いことに、彼らはワールドワイドなパートナーシップを構築しつつあった。もしかしたら、このワールドワイドなパートナーシップの噂を聞きつけて、プジョーがアプローチしたのかもしれない。
 現在彼らの名前を公表することは出来ない。しかし、ルマンを含む世界中のスポーツカーレースで大活躍したレーシングチームだ。ヨーロッパ外のチームが中心と考えられるが、彼らの1つはイギリスに拠点を持っている。

 彼らもプジョーも申し出を真面目に検討しているようだが、どうやら彼らはプジョー以外の選択も検討しているようだ。その理由は、プジョーを走らせる場合、あくまでも4台目であることだ。自分たちの金と優秀なメカニック達をつかって、プジョーのサポートをするのが求められているのだ。もし、プジョーの申し出を引き受けるのであれば、将来プジョーとの間に何らかのパートナーシップ(仕事の関係)を構築するのが条件となる。残念ながら、今年まで4台目のプジョーを走らせてきたORECAは、それが期待出来なかったため、TMGと契約したと考えられている。
 彼らのプジョー以外の選択肢は、1つに絞られたと考えられている。既にレースカーエンジニアリングのサム・コリンズが嗅ぎつけているが、漏れ伝え聞く内容によると、このプランは、4台目のプジョーの様な、ある程度の成績が見込める内容とは考えられないが、非常にチャレンジングだ。世界中のスポーツカーファンにとって、非常に魅力的なプランと言えるだろう。
 彼らがプジョーの申し出を断った場合、ペスカロロ、もしくはOAKが作る新しいチームが4台目のプジョーを走らせるのだろう。

11月1日
DTMとSuperGTの話し合いは行われず            この出来事は余震に過ぎない!!!

Photo:Sports-Car Racing

 10月18日JAF事務局、JAFマニファクチュラー部会と共に、突然呼び出されたGTAは、ドイツのDTM代表者と話し合いを行う予定だった。10月17日のNewsで掲載したように、その時GTAの坂東社長は、様々な問題をはらんだ内容であることから、DTMとの交渉に慎重だった。本来極秘の内容でありながら、わざわざ10月16日の記者会見において、DTMとの会談が行われること、そして、決して坂東社長が前向きではないことを暴露している。

 坂東社長にとっても、突然の会議の要求だったようで、ツインリンクもてぎにおいて、SuperGTへ参加しているメーカー各社に対して、正確な情報を提供することを要求している。目撃された方々も居るかもしれないが、相当過激な話し合いも行われている。それほどGTAにとって、この会談は、突然降って沸いた出来事だった。

 DTMとの提携の話しは、日本サイドに大きな資金負担を強いるため、決して好意的には考えられてなかった。少なくとも1年前には消滅したと考えられていた。坂東社長にとっても同じ見解だった。その話が突然復活したのであるから、何らかの要求、あるいは、契約を迫られると判断しても不思議ではないだろう。
 日本のレース産業にとっては、大変な日になるはずだったが、坂東社長は、自主的に会議を欠席した。
 つまり、心配されていた約束や契約は行われなかった。

 ところが、この出来事は、日本のモータースポーツ全体の行方を左右する事件の余震に過ぎなかったようだ。

SuperGT 2011 October 17 NewsDTMとSuperGTの融合へ新展開?  日本のレース産業が崩壊する可能性! 決戦は18日


10月26日
●3月に発表されたプジョー908HYbrid4が9月にシェイクダウンした理由


Photo:Peugeot-Media

 10月11日エストリルにおいてプジョーは、908HYbrid4による最初のサーキットテストを行った。元々908HYbrid4は3月に行われたジュネーブショーで発表されている。その際プジョーは、3月中にシェイクダウンテストを行って、4月24日に行われるルマンの公式テストディでおいて走らせる可能性があることを公表していた。

 この段階でACOのLMP1ルールは、フロントで回生によって発電することは認めていたが、4輪駆動を禁止するルールが存在するため、フロントでの駆動は認めてなかった。つまり、ジュネーブショーで公開された908HYbrid4は、フロントとリアの両方に電気モーターを備えて、フロントの電気モーターは発電するだけで、駆動する際、リアに設置された電気モーターを使用すると考えられていた。

 また、その頃のACOのLMP1ルールは、電気モーターによって放出可能なエネルギーを1MJ(メガジュール)と決めていた。MJとは、エネルギー総量であって、例えば、放出する出力が小さい場合、長い時間エネルギーを放出可能で、逆に大きな出力を放出する場合、短い時間しか放出出来ない。
 プジョーやポルシェが公表している電気モーターの出力は40馬力から80馬力だが、小さい電気モーターを装備した場合、放出可能な出力は少ないが、長い時間エネルギーを放出出来ると共に、小さな電気モーターで充分だ。しかし、電気モーターが小さい場合、発電可能なエネルギー量も小さいため、規定量の発電をするのに時間を要する。
 大きな電気モーターを備える場合、放出可能な出力が大きくなると共に、規定量の発電に要する時間も短くなる。しかし、大きな出力を放出可能でも、放出可能なエネルギー量が規定されているため、大きな出力を放出した場合、短い時間しか放出出来ない。しかも、大きな電気モーターが必要となるため、重量や熱の問題も考慮しなければならない。

 重量と熱の問題はあったとしても、大きな電気モーターを装備した方が、柔軟性のあるレース戦略が可能で、現実的であるのが判る。しかし、発電するためだけフロントに、駆動するためだけリアに、それぞれ電気モーターを備える場合、ただでさえ重くなることから、大きな電気モーターを装備するのは難しくなってしまう。

 その後120km/h以上の速度の場合、フロントを駆動するのが可能となったことから、リアの電気モーターを取り外して、フロントにだけ大きな電気モーターを備える方が有利であると考えられるようになった。と言っても、120km/h以上の速度であればフロントも駆動可能なルールが一般に知られるようになったのは、つい2週間前の話しだ。

Photo:Peugeot-Media

 4月にACOのテクニカルミーティングが行われた時、既にハイブリッドカーのフロントを駆動可能とすることが話し合われている。残念ながら、これまで我々は、話し合われた詳しい内容を知らなかった。しかし、3月にプジョーは908HYbrid4を4月のルマンの公式テストディで走らせることを示唆しながら、実際には、その後何もインフォメーションを発しなかったことから推測すると、4月にはフロントでの駆動が可能となることは明らかだったのだろう。

 そして、リアに備える電気モーターを取り外した第二世代の908HYbrid4が開発されることとなった。たぶん、フロントに備える電気モーターは、より大きいものと交換されていることだろう。もしかしたら、大きな電気モーターを備えるため、モノコックのフロントセクションも作り替えられているかもしれない。

 新しい908HYbrid4は、9月16日にプジョーの社内でシェイクダウンテストを行って、その後先に記したエストリルにおいて10月11日本格的なテストに臨んだ。
 10月11日とは、ACOが2012年のレギュレーションの概要を公表した日だ。当然ながら、ACOが2012年ルールの概要を公表するのに合わせてテストは行われたのだろう。同じようにトヨタが、2日後ハイブリッドカーによるWECプランを公表している。

 プジョーとトヨタはハイブリッドLMP1カーによるプロジェクトを公表したが、現在に至るもACOとFIAが、放出可能なエネルギー量を発表していないため、どれくらいの電気モーターを備えて、どれくらいの大きさのバッテリーを装備するのか? 一切明らかにしていない。もしかしたら、ACOとFIAが放出可能なエネルギー量を決定するまで、プジョーとトヨタ、そして、たぶんアウディも、最終的なシャシーレイアウトを決定することは出来ないのかもしれない。

10月17日
●DTMとSuperGTの融合へ新展開?  日本のレース産業が崩壊する可能性! 決戦は18日

Photo:Sports-Car Racing

 昨日2011年のSuperGT最終戦が開催されたツインリンクもてぎにおいて、GTAによる定例の記者会見が行われた。JAFGPの際行われるレジェンドカップについてのアナウンスが行われた後、DTMとの融合の進展具合について説明を求められた坂東正明社長は、少々困った様に、現在大きな問題に直面していることを話し始めた。

 DTMとSuperGTの相互乗り入れについての話し合いは、相当前から行われている。2000年DTMが、新生DTMとして7年ぶりに復活した際、当時のGTAの事務局長がニュルブルクリンクを訪れている。その後現在の株式会社GTAが誕生した後、DTMを統括するITRからの申し出によってGTAは現実的な話し合いを開始している。
 当時ITRは、DTMに参加しているメーカーが2つしか存在しなかったことから、BMWと日本のメーカーを勧誘することを目論んでいた。そしてF1GPから撤退したBMWより、全世界での展開が可能であればDTMへ参入する意向であるとの回答を得た。もちろん、1994年たった1年で崩壊したITCを復活させるのでなく、DTMのルールが全世界で使われることを目標とした。そのためITRは、北アメリカとアジアへの展開を推進した。

 北アメリカでは、最も華やかなシリーズは言うまでもなくALMSだ。ALMSはACOのルールで行われているから、ITRは、どうひいき目に見てもトップレベルとは言えないGrandAmシリーズに対して、DTM導入の申し出を行っている。GrandAmのトップカテゴリーであるGrandAmプロトは、観客は居なかったが、イコールコンディションとたくさんのコンストラクターが参加していた。その理由は、GrandAm自身がシャシーの安全に関わる研究を行い、シャシーの安全に関わる部分の寸法を特定してしていたらだった。GrandAmプロトに参入するコンストラクターは、それらの寸法に従ってシャシーをデザインするため、基本的にクラッシュテストを行う必要がなかった。
 DTMも、GrandAm同様、ITRによって、ノーズとコクピット左右の耐クラッシュ構造の寸法を特定していた。

 しかし、GrandAmプロトは、大きく速さは違っても、ACOのLMPに近いカテゴリーであって、ツーリングカーの延長線上であるDTMに置き換えることは不可能だった。その結果GrandAmプロトの下のツーリングカーカテゴリーにおいて、DTMのルールで作ったクルマが走ることをGrandAmは認めた。これによって、一応北アメリカはクリアした。

 もう一つのアジアは、メルセデスとアウディが望む中国への展開も目論んだが、中国でトップレベルのレースシリーズを行うのが難しいことを納得したため、以前から話し合いを行ってきたSuperGTをターゲットとした。
 ITRは、最初DTMとSuperGTのGT500を一緒に走らせることを要望した。それぞれ違うルールで作られたクルマであっても、ITRは性能調整することによって、同じ速さで走らせることが可能と宣言した。
 日本人にとっては信じられないことだが、ITRは、DTMとGT500の速さを整える際、重りを積んで遅くするのはDTMであると判断していた。当時新生GTAの社長に就任した坂東正明は、GT500の速さを説明するのに苦労している。

 現在でもITRは、DTMの方がGT500よりも速いと思っているかもしれないが、当時ITRは、2012年、従来の安全に関する部分の寸法を特定するだけでなく、統一シャシーを使うことを決定していた。当時シャシー、ミッション、そしてジャドの3.4リットルV8の3つを統一することを目論んでいた。ジャドの3.4リットルV8とは、その頃LMP2で使われていたエンジンのことで、ジャドは世界中に売り込んでいた。日本のフォーミュラニッポンへもセールスされている。ワンメイクとして導入するのであれば、約450万円と言う、驚異的な低価格が提示されていた。BMWを勧誘する際、当然ながら、BMWは統一エンジンの採用を拒否したため、その後同じシャシーと同じミッションを使うことが決定した。

 GTAとITRの話し合いは、細々と続いていた。GTAは何も決定してなかったが、アジアへの展開の決定を待たずにBMWがDTMへの参入を決定した。しかし、BMWも、GrandAmの状況を見ても、DTMの全世界への展開は難しいと考えたようで、全世界での展開は、ACOのGTEカテゴリーの方が相応しいと判断したようだ。北アメリカではALMSのGTEクラスへM3のワークスチームを送り込んで、GMワークスのコルベットと熾烈な闘いを繰り広げている。

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 BMWの状況に関わらずITRは、GTAに対してDTMと同じシャシーとミッションを採用することを求めた。このシャシーとミッションは非常に安価で、もし、GT500にプライベートチームが参加するのであれば、魅力となるかもしれない。しかし、エンジンは、別に調達しなければならないから、現実的にメーカーと関わりの無いレーシングチームがGT500に参加する可能性はない。つまり、DTMと同じ統一シャシーと統一ミッションを導入した際、コストを削減出来るのはメーカーだけとなる。
また、ITRから統一シャシーを輸入した場合、もう一つの大きな問題が発生する。

 フォーミュラニッポンがスイフトシャシーを輸入して、FCJがフォーミュラルノーを輸入して行っているため、現在日本のコンストラクターや、コンストラクターの下請けとして、実際にパーツを製作しているレーシングガレージの仕事は激減している。SuperGTのGT300でFIAGT3カーの導入が決定したこともあって、これらのレーシングガレージの多くは仕事を失って、青息吐息の状況に陥っている。存続が危ぶまれるレーシングガレージは少なくない。
 GT300へのFIAGT3カーの導入は、ハンデキャップルールによって、長い間古いクルマがGT300で走る状況であったため、新車の導入を低コストで実現するには、GTAにとっても苦渋の決断だったかもしれない。
 GTAの委託によってマザーシャシー構想を作り上げたJMIAは当然だが、関谷正徳が推進するワンメークスポーツカーレースも、フォーミュラニッポンやFCJと違って、共に日本のレース産業へ仕事を発生させることが大きな目的となっている。それほど、日本のレース産業の置かれた状況は悪化している。

 GT500のマシンの開発と製作は、最後に残された日本のレース産業の砦だ。しかし、GT500でも輸入シャシーが使われるのであれば、日本のレース産業は崩壊の危機に曝される可能性がある。

 ITRからの統一シャシーの導入を要望されたGTAは、GTAだけでなく、GTE等関係者へ、意見を求めていた。まだ、完全なコンセンサスは得られてなかった。その後東日本の震災によって、この話しは優先順位が低い案件だった。

 このようなGTAに対して、メーカーによる集まりであるマニファクチュラー部会は、GTA抜きでJAFと共にITRとの話し合いを行っている。メーカーにはメーカーの考えがあるため、日本のメーカーの中にはDTMへの参加を検討しているメーカーが存在しても不思議ではない。少なくとも、現在の様に経済が悪化する前、SuperGTのGT500へ参加している3つのメーカーの総てが、DTMについて調査を行っている。
JAFが登場した理由は、マニファクチュラー部会がJAFの組織であるだけではない。散々苦渋の決断を強いられているGTAが、第三者を求めたことも理由となっている。もちろん坂東正明はJMIAに対しても様々な相談を行っている。

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 当初ITRの目的は、SuperGTにおいても、安価な統一シャシーと統一ミッションを使用するルールを設けることだった。これだけであれば、DTMとの融合にとっても、誰もが前向きに考えられる内容だった。ところが、その後ITRは、マニファクチュラー部会を通じて、DTMの統一シャシーと統一ミッションを使う場合、その開発費用を分担するよう求めてきた。ITRの説明によると、総ての開発費用ではなく、型代に相当する費用であるようだが、クルマの開発費用であるから、その金額は少なくない。為替レートの違いもあるようだが、マニファクチュラー部会を通じてITRがGTAへ要求した金額は、約7,000万円と考えられている。もちろん、GTAはこの金額を負担する考えはなかった。
*関係者の方より、上記の金額について、内訳はイコールでないようですが、この数倍であるとのご指摘を頂きました。

 今年東日本の震災によって、GTAはこのような話しを行う余裕はなかった。これは日本人であれば、誰でも理解出来るだろう。ところが、GTA抜きのマニファクチュラーとITRの話し合いが続けられていたようで、今週日本へITRの人間がやってきて、より本格的な話し合いが行われる。しかも、この話しは、またしてもGTA抜きで行われた。
本格的な話し合いを行うにも、まだ、総ての関係者の間でDTMの統一シャシー導入のコンセンサスは得られてないのだ。先に述べた様に、DTMの統一シャシーを導入した場合、日本のレース産業は崩壊する可能性がある。そのため、JMIAに加盟する企業だけでなく、ちいさなレーシングガレージやレーシングチームのコンセンサスを得なければ、到底本格的な話し合いを行うことは不可能だ。
  また、ITRは、マニファクチュラー部会を通じて、再度開発費用の分担も求めてきている。

 昨日坂東正明が、ここまで話した段階で、初めて知る人々には衝撃的な内容であるため、ストップがかけられた。
ITRの代表者とのミーティングは、18日午後1時に行われる。それまでに、日本のレース産業に関わる人々の理解を得ること等到底不可能だろう。第一開発費用まで分担して、日本のレース産業を崩壊の危機にさらすようなクルマを輸入する理由はあるのだろうか? 円高に苦しんでいる日本の自動車メーカーの販売担当者は、どう考えているのだろうか?

Photo:Sports-Car Racing

10月14日
●トヨタが2012年ルマン24時間を含むWEC参戦を計画中!

Illustration:TOYOTA

 今日トヨタは、2012年からFIAワールドエンデュランスチャンピオンシップ(WEC)へ参加することを計画していることを発表した。原文が英語であるようだが、今日トヨタが発表した日本語版プレスレリースをそのまま掲載する。

 これまでACO(フランス西部自動車クラブ)がルマン24時間レースを頂点とするシリーズ戦を欧・米・アジアでルマンシリーズとして開催してきたが、本年3月にFIAとACOがこのルマンシリーズをFIA世界耐久選手権として2012年より開催することで合意している。初年度となる2012年シリーズは、ルマン24時間レースに加え、欧州、米国、アジアで、シリーズ戦が計画されている。
 トヨタは、このFIA世界耐久選手権に、レーシングハイブリッドシステムを搭載したプロトタイプ車で参戦を計画している。2012年は、シリーズ戦の内、ルマン24時間レースを含めた数戦に参戦の予定で、チーム名・参戦ドライバー、具体的な参戦レース等は今後決まり次第発表する。

 今回のFIA世界耐久選手権参戦にあたり、トヨタのモータースポーツ活動の担当専務役員である山科忠は以下のコメントを述べた。
 「これまでもトヨタはルマン24時間レースに参戦してきたが、今回はトヨタが培ってきたハイブリッド技術を使い、まったく新しい挑戦となる。伝統あるルマン24時間レースを含むFIA世界耐久選手権に、ハイブリッド車で歴史を刻みたい。また、この挑戦を通じて得られる技術のフィードバックは、トヨタのクルマづくりにつながる。ハイブリッド車での参戦を承諾してくれたACOならびにFIAに感謝している。」

 残念ながら、トヨタは、ハイブリッドLMPカーの計画を認めただけで、参戦を表明した訳ではない。しかし、これまで彼方此方でテストが行われているのが目撃されていても、計画を認めてなかったことを考慮すると大きな進歩だ。

 2週間前ロードアトランタでILMC/ALMSプチ-ルマンが開催された際、既に2012年にトヨタが登場することは既成事実として受け止められていた。この時トヨタが参加する条件は、明らかにハイブリッドが効果を発揮出来るレギュレーションが存在することと言われていた。ハイクロフトとミシュランはデルタカーを発表した時でさえ、話題の中心はハイブリッドのルールについてだった。珍しく姿を現したドン・パノスでさえ、「ディーゼルを優遇していることを考えると、どうしてハイブリッドに冷たいのか、私には判らない」と発言していた。
 昨年ACOは、ハイブリッドカーについて、フロントホイールでの回生を認めた。しかし、4輪駆動を禁止するルールが厳格に存在するため、駆動出来るのは、エンジンによって駆動されるリアだけであることを明確に宣言している。

 しかし、フロントで回生可能と言うことは、フロント車軸にも電気モーターが存在している。つまり、アクセルオフやブレーキングの際電気モーターは回生によって発電するだけで、駆動することは許されない、奇妙な状況だった。
 2010年ACOは、フロント車軸に存在する電気モーターが、回生するだけで、駆動していないことを証明するため、データロガーを設置して、状況を記録することを発表している。

 もちろん、回生するだけの目的であっても、フロント車軸に電気モーターを取り付けると、大きく重量がかさむ。そのため、この時代にハイブリッドLMPカーを作り上げたザイテックは、フロントでの回生を諦めて、リアのエンジンとトランスミッションの間のベルハウジングに電気モーターを設置して、回生と駆動を共にリアで行っていた。
ザイテックのハイブリッドシステムが日本のフォーミュラニッポンに搭載され、林みのるによって「ハイブリッド先進国の日本のメーカーにとって恥ずべき事態だ」と強烈に批判されたのは記憶に新しい。

 フロントで回生可能でもリアでしか駆動出来ない奇妙な状況は、現在トップランカーであるディーゼルエンジンのメーカーがACOのワーキンググループでフロントでの駆動に反対ことが理由となっている。しかし、現在、どんなにスポーツカーレースを知らない初心者が見ても、ディーゼルエンジンが圧倒的に有利であることは理解出来る。5年間も続く、この不可解な状況が異常なのであって、ハイブリッドについての不可解な制限等、取るに足らない主張に過ぎない。
 5月のILMCスパ1000kmの際、ACOとFIAがハイブリッドのルールを緩和することが噂されていた。この時当方を含むほとんどの人間は、ACOが緩和するハイブリッドのルールは、貯蔵可能なエネルギー量、あるいは回生可能なエネルギー量の増大だった。しかし、3日前ACOが公表した2012年のルールの概要は、エネルギー貯蔵量や回生可能なエンルギー量については一切言及せず、120km/h以上の速度を条件としてフロントでの駆動を認めることだった。

 トヨタだけでなく、ポルシェがハイブリッドによってルマンを目指していることが知られているが、既にテストカーを公表しているプジョーやアウディもハイブリッドの研究を熱心に行っている。
 これらのメーカーは、ハイブリッドカーをルマンで走らせる大きな理由を得たことだろう。

 2年前のACOのルールでは、エネルギー放出量は1MJだった。ところが、こちらもディーゼルエンジンカーを走らせるメーカーの主張によって、昨年半分の0.5MJに削減されてしまった。
 もし、1MJ、あるいは2MJまでエネルギー放出量が拡大されるのであれば、これらのハイブリッド予備軍のメーカーは、間違いなく、大きな予算を投下して、ハイブリッドカーの開発を全力で行うことだろう。

 ちなみにトヨタは、新しいハイブリッドカーを誰が開発して、誰が走らせるのか? 一切公表していない。しかし、トヨタが公表したイメージイラストには2011“TMG”LMP1とタイトルがつけられている。こういう事だ。

10月13日
●ニッサンNISMO GTR GT3の正式デビューは12月?

Photo:BLANCPAIN ENDURANCE SERIES

 先週末ブランパインエンデュランスシリーズ最終戦がシルバーストーンで行われた。もちろん最終戦であるから、2012年のシリーズについて、シリーズを統括するSROは記者会見を行った。正確なカレンダーは発表しなかったが、2012年のブランパインシリーズは4月にモンツァ、6月にシルバーストーン、7月にポールリカール、同じく7月に伝統のスパ24時間、9月にホッケンハイムまたはニュルブルクリンク、そして10月にバルセロナで開催される。正確なカレンダーを発表出来ない理由は、2012年のブランパインシリーズが、FIA GT1チャンピオンシップ、FIA GT3ヨーロピアンチャンピオンシップと連携するため、当初検討したカレンダーのままだと、ADAC GTマスターズやイギリスGTチャンピオンシップとカレンダーがバッティングしているからだ。

 ちなみに、2012年のブランパインシリーズは、新しいランボルギーニ・スーパートロフェオ、1990年代のGT1カーが走るリバイバルシリーズ、GTレースでは見られない最新のスーパーカーが登場するSROスーパーカークラブの3つのイベントが同時に開催される。どうやら、ステファン・ラテルは1993年のBPRを目標としているようだ。

 この様なシリーズについての発表だけでなく、先週末シルバーストーンでニッサンかNISMOによって、NISMO GTR GT3カーの発表が行われると信じられていた。噂によると10月8日にNISMO GTR GT3カーは発表されると思われていた。
 8月末マニクールに登場したNISMO GTR GT3カーは、明らかにテストカーだった。彼方此方に追加されたインテイクは、デザインが入ったカタチではなく、取りあえず開口部が設けられていただけだった。
 マシンを開発したJRモータースポーツ自身、エンジンやコクピットの撮影を拒否して、その際非公式に彼らは10月に発表するまで、細部の写真の公表を控える様求めていた。
 そのため、10月にシルバーストーンで行われるブランパインシリーズ最終戦の土曜日、つまり10月8日にNISMOはGTR GT3カーを正式に発表すると考えられていた。

 ところが、GTR GT3カーの正式発表を期待してシルバーストーンへ集まったイギリス人達は、走っているGTRがマニクールと変わらない姿であることに驚いたようだ。もちろん、マニクールで走ったものと同じシャシーだった。
 それどころか、シルバーストーンではGTR GT3カーについて何も発表されなかった。
 マニクールの際、10月まで写真を公表しない様彼らは求めていたため、例え発表されなくても、GTR GT3カーのエンジンやコクピットの撮影は許可されると考えられたが、写真撮影について、彼らは再度拒否した。そして、今度は12月まで細部の写真を公表しない様求めてきた。

 GT3カーはロードカーであるから、これほど頑なに秘密主義を主張するメーカーは存在しない。第一2012年のレースへ正式に参加するのであれば、ホモロゲイションを取得しなければならない。さらに12月に正式発表しても、それから、GTRファンのイギリスのレーシングチームがオーダーして、果たして2012年のレースに間に合うのだろうか?
 ブルーカラーの星GTRが、上流階級御用達のフェラーリやメルセデスを破る姿を見たいと考えるレースファンは少なくない。もしかしたら、事実上のワークスチームが走らせるだけなのだろうか?

10月1日
●ILMCプチルマン 決勝レース 荒れた10時間レースをプジョーが制覇 GTクラスはフェラーリ

Photo:Sports-Car Racing

 昨日吹き始めた風は、アトランタに秋を連れてきたようだ。朝最低気温は45度まで下がった。相変わらず日差しが強いが、スタート1時間前の午前10時30分でも気温は65度でしかない。しかし、強い日差しによって路面温度は84度まで上がっている。低い気温はエンジンに好影響をもたらすだけでなく、路面温度が高いと言っても84度であるから、タイヤにとっても、快適なコンディションと言えるかもしれない。

Photo:Sports-Car Racing

 朝肌寒い中行われたウォームアップ走行では、アラン・マクニッシュのNo.2アウディが唯一1分9秒台を記録した。しかし、2位と3位にプジョーが付け、相変わらず僅差の闘いを演じている。
 ウォームアップの後No.16ダイソンローラ/マツダは、決勝レースがスタートするまでの2時間でエンジンを交換することに成功した。Level5のNo.055HPDもオイル漏れが修理するため、メカニックが活躍した。
 P2はNo.26シグナテックORECA/ニッサンが、Level5の2台のHPD Arx01gを抑えてトップタイムを記録した。GTクラスは、No.55BMWがNo.045フライングラザードポルシェとNo.51AFコルセフェラーリを抑えた。

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 フォーメイションラップの際、ジェイミー・メローが乗り組んだNo.062RiSiフェラーリはコースアウトしてしまった。GTクラスの優勝候補の一角が、早くもレースから脱落した。
 午前11時30分第14回目のプチルマン10時間レースがスタートした。1周目セバスチャン・ボウディのNo.7プジョーをトップの座を守った。ファステストラップを記録しながらセバスチャン・ボウディは快走したが、その直後No.7プジョーはターン10の進入でマスセル・ファスラーのNo.1アウディに抜かれた。
 同じターン10では、1周目GTクラスのポールポジションからスタートしたジャンマリア・ブルーニのNo.51AFコルセフェラーリがディレク・ヴェルナーのNo.55BMWに抜かれている。
 P2クラスはNo.26シグナテックORECA/ニッサンが素晴らしい速さを披露している。何とP1クラスのNo.6マッスルミルクアストンマーティンの前を走っている。

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 一旦2位に後退したNo.7プジョーは、2周後ターン5から加速する際、巧みに周回遅れを使ってNo.1アウディを抜いてトップの座に返り咲いた。ここでイエローコーションとなった。

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 No.2アウディはデビッド・ムウリーのフォードGTと接触してしまった。右リアホイール手前のボディサイドを破損した。リアカウルではなくサイドカウル部分も壊れているため、ピットインの際ガムテープで修復した。しかし、2時間後バイブレーションが出てきたため、結局ガレージに入れて修復することとなった。
 修理によって、No.2アウディの上位入賞の可能性はなくなった。
 この直後レース序盤をリードしたNo.7プジョーがメカニカルトラブルによってリタイヤした。同じ頃No.3ワークスコルベットもメカニカルトラブルによってリタイヤしている。

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 No.7プジョーのリタイヤとNo.2アウディの後退によって、その直後を走っていたNo.8プジョーとNo.1アウディの一騎打ちが、その後3時間に渡って繰り広げられることとなった。
 ところが、7時間目に入った時、14年前最初にプチルマンが行われた時ポルシェ911GT1が、13年前BMW V12LMRが空を飛んだバックストレートの丘から加速してターン6に差し掛かった際、2台は接触してしまった。No.1アウディはコンクリードウォールへ叩きつけられて破壊されてしまった。No.8プジョーは何とかコースへ復帰することに成功した。
 No.8プジョーのダメージは少ない様で、トップを維持して走行を続けた。

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 アウディは大混乱に陥った。残されたのは、レース序盤のアクシデントによって44周後方を走っているNo.2だ。どんなにアウディが諦めなくても、挽回するのは不可能な状況となった。

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 2位にはNo.10ORECAプジョーが5周差で付けて、もし、No.8がストップするような事があれば、ILMC開幕戦セブリング12時間の時の様に、ORECAが北アメリカのILMCを完全制覇する可能性も出てきた。
 ガソリンエンジンクラスの1位は、AMRのNo.007アストンマーティンローラが総合3位で付けている。N.007アストンマーティンローラは、昨日の予選の後、再度空力セッティングを見直して、フロントのカナードウイングを1枚だけに変更して決勝レースをスタートした。総合2位のNo.10ORECAプジョーとの差は1周であるため、最後にドラマがあるかもしれない。ガソリンエンクラス2位にはNo.24OAKペスカロロ、3位にNo.12レベリオンローラ/トヨタが走っているが、No.007アストンマーティンローラとNo.24OAKペスカロロの差は4周、No.24OAKペスカロロとNo.12レベリオンローラ/トヨタとの差は3周であるため、ポジションが変わるには大きなドラマが必要だ。

Photo:Sports-Car Racing

 P2クラスは、No.26シグナテックORECA/ニッサンが脱落した後、No.33Leve5 HPDが独走している。
GTクラスは、No.51AFコルセフェラーリ、No.045フラングラザードポルシェ、2台のワークスBMW、No.4ワークスコルベットが、終盤に入っても、同一周回で争っている。

Photo:Sports-Car Racing

 夜に入って、いっそう気温は下がってきた。しかし、No.8プジョーのペースは変わらず、午後9時35分14回目のプチルマン10時間レースのチェッカードフラッグをかいくぐった。
 2位にNo.10ORECAプジョー、3位にガソリンエンジンクラストップのNo.007アストンマーティンローラ、P2クラストップは、後半独走したNo.33Level5 HPDが総合6位でフィニッシュした。
 最後までデッドヒートが繰り広げられたGTクラスは、No.51AFコルセフェラーリが優勝した。2位にNo.045フライングラザードポルシェ、No.56ワークスBMWが脱落したため、3位は、もう1台のNo.55ワークスBMWが入った。

Photo:Sports-Car Racing

P1 
1 No.8 Peugeot Sport Team Total Peugeot 908  Stephane Sarrazin/Franck Montagny/Alexander Wurz 394laps
2 No.10Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi-FAP  Nicolas Lapierre/Nicolas Minassian 389laps
3 No.007 AMR/ Lola Coupe B08 60/Aston Stefan Mucke/Harold Primat/Adrian Fernandez 388laps
4 No.24 Oak Pescarolo Judd Olivier Pla/Jean-Francois Yvon/Alexandre Premat  384laps
5 No.12 Rebellion Racing Lola B10/60 Coupe/TOYOTA Andrea Belicchi/Neel Jani/Nicolas Prost 381laps

P2
1 No.33 Level5 Motorsport HPD ARX-01g Scott Tucker/Christophe Bouchut/Joao Barbosa 375laps

GT
1 No.51 AF Corse Ferrari F458   Gianmaria Bruni/Giancalo Fisichella/Pierre Kaffer  367laps
2 No.045 Porsche 911 GT3 RSR  Patrick Pilet/Jorg Bergmeister/Patrick Long 367laps
3 No.55 BMW Motorsports BMW M3 GT   Dirk Werner/Bill Auberlen/Augusto Farfus 367laps

10月1日
●ハイクロフトのデルタウイングカープロジェクトをミシュランがサポート

Photo:Sports-Car Racing

 6月のルマンの際ACOによって、ハイクロフトのデルタウイングカープロジェクトは発表された。デルタウングカーは、半分の車重、半分の出力、そして半分の空気抵抗を提唱したテストプランだ。半分の燃料と半分のタイヤで24時間レースを走りきることを最大のテーマとしている。もちろん、従来のレギュレーションに基づいたマシンではない。6月に発表された際、エンジンは選択出来るだろうが、はたして、このような奇想天外なマシンのため、タイヤを開発するメーカーが存在するのか?誰もが疑問に思っていた。

 昨日ロードアトランタでミシュランは、デルタウイングカープロジェクトのため、専用タイヤを開発することを発表した。同時にタイヤサイズが、フロント10/58-15、リア31/62-15であることを発表した。たった15インチの直径のホイールを使うだけでなく、フロントタイヤはリム無しの場合100mmだ。ちなみにデルタウイングカーが三輪車ではない。フロントには狭い間隔で2つのタイヤが存在する。

Photo:Sports-Car Racing

 ミシュランのニック・シュウロックは、「今年のルマンで優勝したアウディR18は5スティント、55Lapをタイヤ無交換で走っている。半分のタイヤで24時間を走りきることは充分に可能」と宣言した
 元ローラのベン・ボウルビィがデザインしてダン・ガーニーのAARが作るデルタウイング56は、年末に走り出す計画だ。会場に展示されたクルマはモックアップだった。珍しい左ハンドルであるだけでなく、長いホイールベースを可能とするため、既存のモノコックを流用するのであれば、新たなフロントセクションを作らなければならない。テイルエンドには、現在のLMPカーでは許されない大きなディフューザーを備えている。

9月30日
●ILMCプチルマン クオリファイ プジョーPP GTはAFコルセフェラーリ

Photo:Sports-Car Racing

 昨日までと違って、風が出てきたため、日陰に入ると肌寒さを感じるようになってきた。しかし、気温は80度(華氏)もあるため、路面温度も高いままだ。
 今日になってもプジョーとアウディは、完全に互角のタイム争いを展開している。共にトラブルもなく、午前中行われた最後のプラクティスでも、遅いクルマをパスする時を除くと、まったく互角の速さを披露している。
 ALMSの予選は、1人のドライバーによって、たった15分間だけ行われる。アンソニー・デビッドソンが乗り組んだNo.7プジョーとティモ・ベルンハルトが搭乗したNo.1アウディは、予定通りたった6周だけタイムアタックを行って、0.128秒差でプジョーがポジションを獲得した。ステファン・サラザンがドライブしたNo.8プジョーは、遅いP2カーに引っかかってしまった。タイミングをずらすため1回ピットに入ったが、3位のままタイムアップすることは出来なかった。ディンド・カペロのNo.2アウディは、4番グリッドを獲得した。

 昨日までAMRのNo.007アストンマーティン-ローラは、ハイダウンフォースノーズをカナードウイング無しで使っていたが、カナードウイング付きのNo.6マッスルミルクに敵わないため、今日になってマッスルミルクと同じ2枚のカナードウイングを装着して走り始めた。基本的に同じクルマだが、AMRがE10燃料を使うのに対して、マッスルミルクはE85燃料に対応したエンジンを搭載している。予選ではオクタン価の高いE85燃料の方が有利なはずだが、ステファン・モカは素晴らしい集中力を発揮して、No.6マッスルミルクに約0.9秒の差を付けて8番グリッドを獲得した。No.6マッスルミルクは予想外の11番グリッドだ。
  逆に昨日ノーズに隙間が開いたハイダウンフォースノーズを装着して走っていたNo.12レベリオンローラ/トヨタは、今日になってルマンで使ったローダウンフォースノーズに交換した。ガソリンエンジンの少ないパワーを補うためかもしれないが、アンドレア・ベリーチのドライブでガソリンエンジンクラスのトップとなる6番グリッドを獲得した。と言っても、ポールポジションのプジョーとは約2.7秒も引き離されている。
 トヨタのFNエンジンをベースとした3.4リットルV8はE10燃料で運転される。

Photo:Sports-Car Racing

 GTクラスは、No.062RiSi、No.51AFコルセ、No.01エクストリームの3台のフェラーリ、No.045フライングラザードポルシェ、そして2台のBMWの争いとなった。最初からBMWが好タイムを記録する一方フェラーリ勢は出遅れて、フライングラザードポルシェがBMWとトップタイムを争った。予定の6周を走ったフライングラザードポルシェがピットに入った後、後半フェラーリ勢がタイムアップした。最初エクストリームの2台のフェラーリはテイルtoノーズで走っていたが、タイムが出ないため、後半単独で走行するようになると、どんどんタイムを上げた。エクストリームも7周でタイムアタックを切り上げた。
 最後までタイムアタックを続けたのは、2台のワークスBMWとジャンマリア・ブルーニが乗り組んだNo.51AFコルセフェラーリだった。そして0.087秒差でフェラーリがGTクラスのポールポジションを獲得した。

Photo:Sports-Car Racing

P1 
1 No.7 Peugeot Sport Team Total Peugeot 908   Anthony Davidson  1:07.428   
2 No.1 Audi Sport Team Joest Audi R18   Timo Bernhard  1:07.556   
3 No.8 Peugeot Sport Team Total Peugeot 908  Stephane Sarrazin 1:07.881   
4 No.2 Audi Sport Team Joest Audi R18  Dindo Capello 1:08.013   
5 No.10Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi-FAP  Nicolas Lapierre 1:09.777   
6 No.12 Rebellion Racing Lola B10/60 Coupe/TOYOTA Andrea Belicchi 1:10.123

P2
1 No.055 Level5 Motorsport HPD ARX-01g  Luis Diaz  1:12.335
2 No.26 Signatech Nissan Oreca03/Nissan   Jean-Karl Vernay  1:12.640
3 No.33 Level5 Motorsport HPD ARX-01g Christophe Bouchut  1:12.729

GT
1 No.51 AF Corse Ferrari F458   Gianmaria Bruni  1:18.699
2 No.55 BMW Motorsports BMW M3 GT   Dirk Werner  1:18.786
3 No.56 BMW Motorsports BMW M3 GT  Dirk Mueller 1:19.219

9月30日
●2012年ALMSカレンダー発表 2012WEC開幕戦はセブリング プチルマンは10月20日!

Photo:Sports-Car Racing

 今日恒例の記者会見がロードアトランタで行われた。詳しいALMSの方針については、後日掲載するが、誰もが待ち望んできた2012年のALMSのカレンダーについて、一足早く掲載します。
 元々ALMSは、2011年のカレンダーを踏襲する意向を示していた。既に6月の時点で例年通りプチルマンは9月28日に開催する方針だった。ところが、WECにFIAが関与することとなって、大きな変更を余儀なくされたようだ。その頃FIAは9月29日に日本の富士スピードウェイでWECを開催する計画を進めていた。FIAとACOは話し合った結果、ACOの意向に従って富士スピードウェイは9月29日の日程でWECのカレンダー申請を行っている。ALMSは慌てた。もちろん、プチルマンの方針を知らなかった富士スピードウェイも、カレンダーがバッティングしていることを知って驚いたことだろう。
 これまで、プチルマンのカレンダーをそのままとして、富士スピードウェイの方を2週間程度後ろに移動するとの噂が囁かれていた。ところが、F1GPのカレンダーとバッティングして、調整出来なかったようだ。
 結局、大方の予想に反して、14年間もACOを支え続けたALMSは、プチルマンのカレンダーを3週間後ろの10月20日に移動することを了承した。

 先ほど行われたALMSの記者会見の際、スコット・アタートンは、最前列に並んだACOの面々に対して、長年のパートナーシップについて謝意を述べたが、カレンダーに大きな変更を求められたことに対して苛立ちを隠さなかった。2012年WECの開幕戦が、ALMSの開幕戦でもあるセブリングであることを紹介したが、ALMSにとって最大のイベントであるプチルマンにおけるWECについては一言も語らなかった。
 それどころか、ACOとFIAに対して、今後もALMSがアメリカ、カナダ、メキシコにおけるルマンイベントの独占的な開催権を保持することを公表した。どうやら、ALMSとACO、あるいはFIAの話し合いはこじれているようだ。取りあえず、現実的なALMSがプチルマンのカレンダーを移動しただけであるようだ。
 記者会見終了後、スコット・アタートンは、現在の時点でもプチルマンをWECとして開催することについて決定してないことを明らかとした。しかし、もしWECとして開催しない場合でも、アウディやプジョーがアトランタへやって来ることが出来ないのでは困るため、カレンダーを変更したようだ。
 強引に富士スピードウェイのカレンダーを決定したことについて、ALMSは相当憤慨しているようだ。

 ALMSを怒らせても、ACOはルマンシリーズ最大のイベントであるプチルマンが2012年のWECに含まれることを信じている。今年新たに開催されたボルチモワのストリートレースについて、ABCがALMS過去最高の観客数と発表されたことを例に上げ、ACOは「プチルマンとセブリングは毎年10万人以上を集めている。この2つを除いたデータだ」と述べて、プチルマンの重要性を強調している程だ。

 プチルマンのカレンダーが変更すると共に、ALMSは、元々のプチルマンと同じカレンダーで新たなALMSを開催する意向を示している。もちろん、今日の段階では場所は決定していない。
 また、2012年ルマンのテストディが6月に行われるのに伴って、従来9月に開催されていたラグナセカのカレンダーが5月12日に変更されることが発表された。ラグナセカは、セブリングとプチルマンに次ぐALMSの人気イベントであるが、今年の場合、5月の第2週にはスパ-フランコルシャンでILMCのヨーロッパでの開幕戦が行われている。アウディやプジョーはともかく、GTクラスのBMWやフェラーリのドライバー達は、どちらのイベントを選ぶこととなるのだろうか?

 当初、今日WECのカレンダーも発表される予定だった。しかし、ロードアトランタには、たくさんのACOの面々が来ているが、FIAの人間は一人も居ないようだ。プチルマンの様なイベントが他にも存在するようで、それらの主催者が、ALMSの様に活発な人々でない場合、WECのカレンダーの決定は遅れることだろう。

2012年ALMSカレンダー
2月8-9日ウインターテスト セブリング
3月17日Rd.1 セブリング12時間  *WEC
4月14日Rd.2 ロングビーチ
5月12日Rd.3 ラグナセカ
5月または6月Rd.4 TBD
7月7日Rd.5 ライムロックパーク
7月21日Rd.6 モスポート
8月4日Rd.7 ミッドオハイオスポーツカーコース
8月18日Rd.8 ロードアメリカ
9月1日Rd.9 ボルチモワ
9月または10月Rd.10 TBD
10月20日Rd.11 プチルマン10時間

9月29日
●ILMC Petit LeMans プラクティス アウディとプジョーが1/100秒差の争い

Photo:Sports-Car Racing

 午前10時から行われた1回目のプラクティスではアクシデントによって2回の赤旗が提示される状況となった。最初の赤旗は、No.24OAKペスカロロとGTCクラスのNo.11ポルシェがターン5でクラッシュしたことが原因だった。OAKペスカロロは、決勝レースまでに修理が可能かもしれないが、ポルシェは完全にスクラップとなってしまった。30分間の中断によって、プラクティス自体30分延長されることとなった。
 2回目の赤旗の原因もターン5で起きたが、No.98ジャガーがストップしただけで、2分後再開された。

 アウディは、プチルマンでハイダウンフォースパッケージを登場させることを明らかにしていた。公言通り、プチルマンへ登場したR18には、巨大なカナードウイングがノーズ左右に取り付けられていた。フロントのダウンフォースが増えた分リアのダウンフォースも増やさなければバランスが取れないが、リアウイングの翼端板が極端に背の高いものと交換されている。
 異様に高いリアウイングの翼端板は、屋根よりも高いが、屋根の上に設けられたシュノーケルタイプのエアインテイクより低いらしい。グループCとIMSA GTPの時代から、全高とは屋根が最高点でなければならないのか? ルールの範囲内であれば、他の部分が最高点であっても良いのか? しばしば問題となっている。
 しかし、もし、屋根以外の部分が最高点であっても良いのであれば、常識的に考えると、その高い位置に翼端板ではなくリアウイングを取り付けるだろう。実際プジョーのリアウイングは、屋根よりも高いシュノーケルタイプのインテイクと同じ高さに取り付けられている。今後議論の的となりそうだ。
 現在のところ、大きな問題とはなっていないが、レギュレーションブックを子細に解読したアウディによって、何らかの理論武装が行われているようで、R18は無事車検を通過して、元気に走り回っている。
 巨大なカナードウイングと背の高いリアウイングの効果かどうか判らないが、ロードアトランタと同じ様なテクニカルコースであるスパの時とは違って、アウディは非常にスムーズに走行している。
 午前中の1回目のプラクティスでプジョーに先行されたが、午後行われた2回目のプラクティスで、アラン・マクニッシュの操るR18は、ステファン・サラザンの908より0.002秒速いラップタイムをたたき出した。


Photo:Sports-Car Racing

 プジョーはアウディのような大きなフロントタイヤは使っていない。前後の重量バランスを考慮すると、スパのアウディに象徴されるように、これまで小さなフロントタイヤを選択したプジョーの方が正解だったと考えられてきた。このプチルマンでも、プジョー勢が積極的に縁石を使って走行して、午前中に行われた1回目のプラクティスで、ロードアトランタに入って初めて、アウディよりも速いラップタイムを記録した。
 理論的にはアウディの方がシャシー性能が高くても、それを引き出すのは難しいのだろう。
夜行われた3回目のプラクティスでも、プジョーとアウディは熾烈な闘いを繰り広げた。最終的にサイモン・ペジナウのNo.7プジョーが、ロマ・デュマのNo.1アウディを0.08秒差でトップタイムを記録した。

Photo:Sports-Car Racing

 カナードウイングについては、アストンマーティン勢が興味深い状況となっている。カスタマーであるマッスルミルクが、左右がえぐれたハイダウンフォースに大きな2枚のカナードウイングを取り付けて走っているのに対して、ワークスたるAMRは、ハイダウンフォースノーズを使うだけで、カナードウイングは取り付けていない。AMRの方が正しいのかと思ったら、常にマッスルミルクの方が速いラップタイムを記録する状況となっている。AMRには、何らかの作戦があるかもしれない。
  夜のセッションになってアストンマーティン勢は、やっとダイソンローラを抜いて、ガソリンエンジンクラスのトップ2を占めることに成功した。もちろんトップタイムはNo.6マッスルミルクアストンマーティンだ。

Photo:Sports-Car Racing

 GTクラスは、RiSiとAFコルセのフェラーリがBMWとの間でタイム争いを繰り広げた。昼の間No.062RiSiフェラーリがトップタイムを維持したが、夜になってアウグスト・ファーファスのNo.55BMWに抜かれた。
ワークスBMWは、通常ILMCへ参加しているシュニッツァーではなく、ALMSに参加しているボビー・レイホールのRLLが走らせている。もちろんE85燃料を使っている。
 GTクラスは、フェラーリ、BMW、コルベット、ポルシェの間で熾烈な争いが繰り広げられており、昨年同様最終ラップまでテイルtoノーズの闘いが繰り広げられることとなるだろう。

9月28日
●ILMC Petit LeMans テストディ

Photo:Sports-Car Racing

 セブリングとプチルマンでは、独自にテストセッションを設けているが、今年のプチルマンは、日曜日と月曜日、そして水曜日の午後、レースとは関係ないテストセッションを5回設けている。火曜日と水曜日に車検が行われるため、これらのテストの際、実際のレースとは関係ないスペックで走行することも可能だ。

 2年前プチルマンは豪雨に見舞われて、レース後半になってレースは打ち切られた。昨年も木曜日まで雨が降り、肌寒い中10時間レースは行われた。ところが今年のアトランタは、以前の様な暑い初秋となっている。昨年見られた紅葉は少々先の様で、先週後半から晴天が続いているため、朝晩に霧も発生しないようだ。

 ILMCプチルマンは、3月に行われるセブリング12時間と共に、ILMCレギュラーチーム以外、通常ALMSへ参加しているチームが多数参加する。特にGTクラスには有力なALMSチームが存在するため、ヨーロッパのチームは、慣れないロードアトランタのテクニカルコースに最適なセッティングを施すことが成功のポイントとなる。もちろん、ヨーロッパからのレーシングチームのほとんどは日曜日から走行を開始した。

 北アメリカでは、アルコールを85%含有するE85燃料が普及しているため、ほとんどのチームはE85燃料を使用している。ところがヨーロッパではE85燃料の普及が遅れているため、テストの際等チームが独自にE85燃料を用意しなければならない場所も少なくない。このような事情からヨーロッパから参加したチームの多くはE10燃料を使っている。アルコールの含有量が増えるとオクタン価が向上するため、ALMSとACOは、E85燃料を使う場合、小さいリストリクターの使用を義務付けている。逆にE85は燃料消費が増えるため、E85を使う場合、大きな燃料タンクの使用が許されている。
 セブリング12時間とプチルマンは、使用する燃料の違いによる差が最も現れるレースとなっている。

Photo:Sports-Car Racing

 今日まで行われたテストセッションの場合、常にLMP1はティモ・ベルンハルト、ロマ・デュマ、マルセル・ファスラーが乗り組むNo.1アウディがトップタイムを記録した。少なくともドライコンディションに限ると、アウディR18は、シーズン前半に指摘されたナーバスなリアの操縦性を解消しているようだ。
 しかし、アウディとプジョーの4台のディーゼルエンジンカーの差は僅かで、どのクルマが優勝しても不思議ではない。月曜日の午後No.1アウディとNo.7プジョーは共に1分8秒台までタイムを上げている。
 ガソリンエンジンクラスは、2台のOAKペスカロロ、マッスルミルクアストンマーティンに加えて、旧型のアストンマーティン-ローラへ戻したAMR、イソブタノール燃料を使うダイソンローラは、ディーゼルエンジンカーより約2秒遅れとなっている。
先週末エストリルでLMS最終戦が開催されたため、トヨタエンジンを搭載するレベリオンローラは今日が唯一のテスト走行となった。もちろんスパで登場したハイダウンフォースカウルを組み合わせている。
 E85とE10の2つの燃料の効果が大きいと考えられるGTクラスは、RISI、AFコルセ、そしてエクストリームの強力なフェラーリ458、ワークスコルベット、BMW、フライングラザードポルシェがタイムを競っている。今年はルマンへも遠征したロバートソンのドランフォードGTも侮れない速さを持つ。ポール・ジェンティロッティのジャガーRSRは何と2台がプチルマンへ挑戦する。

 明日車検終了後、つまり通常のレースにおけるプラクテスが、午前と午後、そして夜の3回行われる。金曜日の午前最後のプラクティスが行われた後、午後それぞれ15分ずつの予選によってスターティンググリッドを決定して、10月1日土曜日2011年のプチルマン10時間レースが行われる。

9月15日
●Super GT Fuji 250km フォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/galerie-photo.php?page=854&np=0

9月14日
●メルディカ12時間レースへ世界中のGTカーが参加 荒聖治もアウディR8LMSで参戦

Illustration:AUDI AG

 今週末マレーシアのセパンにおいてメルディカ12時間耐久レースが開催される。このレースは通常マレーシアの独立記念日に最も近い8月の週末に開催される。今年の場合、イスラム教のラマダンの時期と重なったことから、今週末開催される。ちなみに、イスラム教の休息日は金曜だが、このレースは17日土曜日に開催される。
日本では、スーパー耐久で活躍するPETRONAS SYNTIUM TEAMが参加していることでメルディカ12時間レースは知られているが、今年PETRONAS SYNTIUM TEAMは新しいメルセデスSLS AMG GT3で参加する。スーパー耐久で活躍するメンバーに加え、メルセデスからベルント・シュナイダーが駆けつけることでも、非常に強力な体制なのが判る。

 日本で活躍するPETRONAS SYNTIUM TEAMが走らせる2台のメルセデスにとって、最大のライバルは、アウディスポーツがバックアップする3台のアウディR8LMSだ。1台はホンコンのアブソリュートレーシング、2台はベルギーアウディクラブからのエントリーだが、事実上WRTが走らせるものと考えられている。アブソリュートレーシングのアウディR8LMSには、日本で活躍するアレクサンダー・インペラトーリが乗り組む。ベルギーチームの2台は非常に強力で、フランク・ビエラ、マルセル・ファスラー、マルコ・ベルナー、ダリル・オーヤング、荒聖治、アレックス・ユーンがドライブする。
  2004年チームゴウのR8によってルマンに君臨した荒聖治は、その1年前FIASCC最後のレースとなったスパ-フランコルシャン1000kmへ、ベルギーアウディの要請によってチームゴウのアウディR8が参加した際、イエローにカラーリングされたR8をドライブして見事に優勝を飾っている。その時の縁があったのかもしれない。

 他にもステファン・ヨハンソンが乗り組むフォードGT、ホンコンからエントリーした2台のランボルギーニLP560には澤圭太と浅井亮博が乗り組み、フェラーリF458、BMW Z4、モスラーがGTクラスからエントリーしている。
 今年7月から10月までGTアジアが日本へ遠征しているため、現在有力なアジアのGT3カーの多くは日本に存在する。そのため、GTクラスのエントリーが心配されていたが、そのような心配はなかったようだ。
  他の3つのクラスと合わせた50台のレーシングカーによってメルディカ12時間レースは戦われる。

9月3日
●2012年のポルシェ997GT3Rはパドルシフト付き

Photo:Porsche AG

 昨日ポルシェは2012年モデルの997GT3Rを発表した。
 従来モデルとの大きな違いは、インテイクシステムを改良してエンジンパワーが20馬力アップして、基本スペックの出力は500馬力を発生することと、新たにパドルシフトシステムが追加されたことだ。
 現在FIAをはじめとするGT3カーの性能調整値を管理する総ての団体は、2012年の性能調整値を発表してないため、ポルシェが表現する基本スペックのリストリクターのサイズは判らない。車重が従来モデルと変わらないのであれば、大きく性能が向上していることは間違いないだろう。ポルシェGT3カーも500馬力時代に突入した。

 通常パドルシフトシステムは、クラッチを踏むことなく、しかも、アクセルによってエンジン回転を合わせる必要もなく、シフトチェンジを行うことが出来る。昨日ポルシェは、どのようなシステムでなのか?公表しなかったが、GT3のルール上、このようなフルスペックのパドルシフトも可能だ。ちなみに、スタートのし易さからクラッチペダルは残されている。
 最新のパドルシフトシステムは、現在空気圧を使うタイプ、油圧を使うタイプ、そして電磁石を使うタイプの3種類が存在するが、昨日ポルシェは、どのシステムであるか?公表しなかった。しかし、ポルシェは、新たに採用したパドルシフトシステムに相当自信があるようで、通常のシフトレバーは存在しない。

Photo:Porsche AG

 ポルシェは2010年と2011年に販売した997GT3Rをベースとしてアップデイトするキットも用意しているため、世界中にデリバリーされた、多くの997GT3Rが2012年スペックにアップデイトされることだろう。
 また、昨日ポルシェは値段を公表しなかったが、2012年も少なくともFIAは価格制限を設ける方針であるため、パドルシフト付きの997GT3Rも、大きく値上げされることはないと考えられる。
 既にマクラーレンやメルセデスのGT3カーは、今から注文しても、来年のシーズン開幕前にデリバリーされないことが明らかだ。レーシングチームにとって、速さが証明されている997GT3Rは、価値ある選択であるかもしれない。

8月29日
●2012年6月16日午後3時、第80回ルマン24時間レーススタート SuperGTセパンとバッティング

Photo:Sports-Car Racing

 今日ACOは、第80回のルマン24時間レースを、2012年6月16日午後3時にスタートすることを正式に発表した。
6月にルマンでWECの発表が行われた際、ACOは大まかなスケジュールしか公表しなかった。ALMSのスケジュールはスコット・アタートンが口頭で述べたが、2012年に80回目を迎えるルマン24時間レースのカレンダーは公表しなかった。
  例年通りであれば、6月9日と10日に2012年のルマン24時間レースは開催されると考えられたため、既にGTAは2012年のSuperGTセパンを6月17日に開催することを申請している。

 現在のところ2012年のWECとF1GPのカレンダーが発表されてないため、世界中の様々なレースがバッティングすることが予想されている。既にWECの重要なイベントと判断されているプチ-ルマンが申請したと考えられるカレンダーと同じ日程で、しばらくぶりにトップレベルのスポーツカーレースを開催する富士スピードウェイが同じWECを申請している。
  今後F1GPのカレンダーが発表されるにつれて、次々とカレンダーの不具合が明らかとなると考えられていた。
 たぶん、GTAは、SuperGTセパンのカレンダーを1週間後ろに変更することとなるのだろうが、今度はニュルブルクリンク24時間等のカレンダーとバッティングする可能性があるかもしれない。

 また、2011年の場合、新しいレギュレーションが導入されたことから、2006年以降、本番レースの2週間前に行われてきたテストディを、テストの後でクルマの改良が可能なスケジュールを、メーカーが望んだため、4月24日にテストディを開催している。しかし、2012年ACOは従来通り、本番レースの2週間前にテストディを行う意向だ。
 この意向だ、と言う理由は、今日のACOの発表によると、以前のカレンダーに戻す、とだけ述べているからだ。2010年までと同様のスケジュールであれば、2012年のテストディは6月3日となるが、ACOが詳しいスケジュールを発表するまで、ホテルの予約を行うのは避けた方がいいかもしれない。

8月26日
●ニッサンNISMO GTR GT3カーがBLANCPAINを選択した理由

Photo:BLANCPAIN ENDURANCE SERIES

 今週末マニクールで開催されるブランパインエンデュランスシリーズでNISMO GTRのGT3カーがデビューする。
元々GT3カテゴリーはアマチュアのためのGTレースカテゴリーで、代表的なFIAGT3カップ(チャレンジ)の場合、プロフェッショナルドライバーは出場制限を受ける。耐久レースの場合、1人のみであればプロフェッショナルドライバーも登録することが可能だが、一般的にGT3カーのレースはアマチュアのためのカテゴリーだった。
 また、ロードカーをベースとするため、ロードカーに備えられているハイテクの多くも使用可能だ。しかし、このように雑多なクルマを一緒に走らせるため、性能調整が行われている。FIAGT3の場合、何人かのプロフェッショナルドライバーによって、すべてすべて同時に3つのサーキットで走らせて、性能調整を行っている。その意味でもアマチュアのためのカテゴリーだった。

 同時に価格制限を行っていることもあって、近年ヨーロッパのアマチュアドライバーの間でGT3カーは高い人気を集めている。高性能ロードカーを販売するメーカーの多くが、GT3人気に目を付けて、次々とGT3カーを販売したこともあって、たくさんの夢のスーパーカーが走る華やかなGTレースを演出することに成功している。
 この華やかなカテゴリーをアマチュアだけのものとしないで、トップレベルのプロフェッショナルドライバーがGT3カーを走らせたら、比較的安価に華やかなGTレースが可能と考えるオーガナイザーは少なくなかった。
 その一つの例が、FIAGT3のオーガナイザーでもあるSROがプロモーターを務めるブランパインエンデュランスシリーズだ。一応SROがプロモーターとして事務局を務めるが、ベルギー王室自動車クラブも共同プロモーターだ。シリーズ名のブランパインはスイスの時計メーカーで、シリーズスポンサーであることから、シリーズ名となっている。

 ブランパインエンデュランスシリーズは、通常のGT3カーのレースと違って、プロフェッショナルドライバーだけのチームがすべての参加するクラスが設けられている。あのマクラーレンMP4-12Cが、ブランパインエンデュランスシリーズ最大のイベントであるスパ-フランコルシャン24時間レースでデビューしたのも、PROクラスが存在するからだった。

 今週末、JRMによってNISMO GTR GT3がマニクールでデビューする。ドライバーは、リチャード・ウエストブルークとデビッド・ブラバムだ。もちろん、正式な性能調整テスト(BOPテスト)の前に実戦で走るため、正式な参戦ではなく、テストのためのレース参加となる。既に昨日からNISMO GTRはマニクールで走っているが、正式な発表は10月となる。

8月25日
●ルマンのスターティングフラッグの東日本大震災チャリティ終了まで4日

Photo:ACO

 東日本大震災の犠牲者を支援するため、ACOは、6月に行われたルマン24時間レースの際、スタートの際FIA会長のジャン・トッドが振り下ろしたフランス国旗に参加ドライバーのサインが入れ、それをJAFを通じてチャリティへ拠出した。このチャリティは月曜日から行われているが、既に多数の入札が行われ、現在90万円を超える金額となっている。
入札は28日まで行われ、JAFより日本赤十字へ資金は提供される。

http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c287209940

8月22日
●Super GT Suzuka500km フォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/photos-endurance.html?page=831&np=0

8月19日
●ランボルギーニを走らせるディランタ・マラガムワはスーパー耐久参戦計画継続中

Photo:Sports-Car Racing

 1ヶ月前富士スピードウェイで行われたGTアジアの際、昨年のGTアジアチャンピオンのディランタ・マラガムワは、8月末に岡山で行われるスーパー耐久第3戦への参戦を計画中であることを明らかとした。今年7月から10月に日本で3イベント(6レース)行われるGTアジアのため、ディランタ・マラガムワをはじめとするGTアジアの面々は、自身のスーパーGT3カーを日本で保管している。そのため、7月から10月に行われるスーパー耐久への参戦は、充分に予想されていた。
 しかし、GTアジアの面々は、充分に日本のレースシリーズの情報を持ってなかったようだ。元々日本でレース活動を行っていたディオランタ・マラガムワだけが、日本のレースについての情報を持っていたかもしれないが、ディランタ・マラガムワは、今年スーパー耐久シリーズでGT3カーのクラスが設けられたことに関心を持ち、参戦の機会を探っていたようだ。

 しかし、ディランタ・マラガムワは、7月の富士のレースの際エンジンにダメージを負ってしまった。そのため、1週間後、同じ富士スピードウェイで行われたスーパー耐久への参加は諦めなければならなかった。GTアジア最終戦は重要なマカオGPであるため、現在シーズン後半に使うオーバーホール済みエンジンとパーツの到着を持っている。これらのパーツが予定通り到着することが、1週間後に岡山で行われるスーパー耐久へ参加する条件となっている。
 本日鈴鹿で行われた練習走行の際、ディランタ・マラガムワのランボルギーニLP560は、100kgのウエイトハンデを積みながら、濱口弘のドライブするアウディR8LMSの2秒遅れのラップタイムを記録している。ユーズドタイヤを履いていたことを考慮すると、充分なポテンシャルを持っていると判断しているようだ。

 今日か明日エンジンをはじめとするスペアパーツが到着する予定であるため、これらのパーツが到着しない限り、岡山への参戦は決定出来ない状況であるようだ。よって、ディランタ・マラガムワと共にランボルギーニLP560をドライブする、他の2人のドライバーも完全に決定している訳ではないようだ。

 今回の鈴鹿のGTアジアへは、これまでポルシェカレラカップへ参加していた、日本のジェントルマンドライバー達が何人か追加エントリーを行っている。そのため、GTアジアと言うより、GTアジア+ニッポン的なレースとなっている。もし、ディランタ・マラガムワのランボルギーニLP560のスーパー耐久への参加が実現した場合、これまでライバル不在だったアウディは貴重なライバルを得て、興味深いレースを実現するだろうし、現在世界的な認知が希薄なスーパー耐久は、初めて国際的な興味を集めるチャンスを得ることとなるだろう。

8月19日
●マクラーレンMP4-12Cの第1ロットはアジアへ2台のみか? 日本チームへのデリバリーは無し

Photo:McLaren GT

 火曜日にマクラーレンMP4-12Cの第1ロットの最初のデリバリー先が明らかとなったが、サポートの都合から総てがヨーロッパのレーシングチームだった。我々にとって気になるのは、2012年シーズン開幕前までにデリバリーされる第1ロットの残りのクルマのデリバリー先だろう。
 あくまでも公式発言ではないが、マクラーレンGTの関係者によると、少なくとも2012年シーズン開幕までに2台のマクラーレンMP4-12Cがアジアのレーシングチームにデリバリーされると言う。
 残念ながら、この2つのレーシングチームは共に日本のレーシングチームではない。その1つはGTアジアかドイツのGTマスターズへ参加すると言うが、もう1つのレーシングチームはSuperGTへ挑戦する可能性が高い。

 今週末、鈴鹿でSuperGTとの併催でGTアジアが開催されるため、この2つのレーシングチームの計画が明らかになる可能性があるようだ。つまり、その1つは、現在GTアジアへ参加しているレーシングチームなのだろう。
GTアジアをターゲットとしても、今年の場合、GTアジアの3のイベントは日本で開催され、もう1つもSuperGTセパンと併催して開催されている。日本で3ヶ月も保管されているため、SuperGTやスーパー耐久へ参加する可能性もあるだろう。

 ちなみに、日本からのオーダーがなかった訳ではなく、マクラーレンGTが、日本からのオーダーを断った訳でもないらしい。つまり、2012年のシーズン開始時点では難しくても、2012年のシーズン開始後、どこかの日本のレーシングチームがマクラーレンMP4-12Cのデリバリーを受けて、SuperGTへ参加する可能性が高いようだ。
 と言うことは、来年のSuperGTへは、最低2台のマクラーレンMP4-12Cが走ることとなるのだろうか?

8月18日
●最初にデリバリーされるマクラーレンMP4-12Cは10台のみ 2012年までに20台、2013年と2014年にさらに20台

Photo:McLaren GT

 マクラーレンMP4-12C GT3カーは、GT3カーに設けられている価格制限によって、たった31万英ポンドで販売される。MC4-12ロードカーと比べると、非常に買い得な商品であるのが判るだろう。1996年のF1GTRの再来として期待のGT3カーが、F1GTRの半分の価格で手に入るのでだから、昨年末から世界中のビリオネラの間で大人気となっている。

 MP4-12C GT3カーは、ジェントルマンレーサーがドライブするフェラーリ430GTCを走らせていたCRSによって製作されると考えられていた。当初ランボルギーニに対するレイターの様に、CRSがMP4-12をベースとしてGT3カーを開発して、コンストラクターも、マクラーレンではなくCRSとなると言われていた。実際MP4-12Cプロジェクトをスタートさせた際、CRSは積極的に営業活動を行って、相当数の顧客から注文を受けていた。どの段階でマクラーレン自身のプロジェクトとなったのかは判らないが、リーマンショック後、高価なスーパーカーが次々と売れる状況ではないにも関わらず、GT3カーは高い人気を集めていたため、マクラーレンとしても、無視できないプランだったのは予想出来る。

 その結果、マクラーレンのレース部門であるマクラーレンレーシング、ロードカー部門であるマクラーレンオートモーティブ、そして元々MP4-12Cプロジェクトを行おうとしていたCRSは、1つのマクラーレンGT会社としてMP4-12Cプロジェクトを行うことを決定して、3月に正式にスタートした。コンストラクターはCRSではなく、もちろんマクラーレンGTだ。
マクラーレンGTによると、MP4-12Cは、CRSと共にマクラーレンレーシングが開発しており、2012年のシーズン開幕までに20台のMP4-12Cをデリバリーすると言う。火曜日には最初にデリバリーされる10台のMP4-12Cを受け取るヨーロッパのレーシングチームの名前も明らかとなった。マクラーレンGTは、サポート体制を考慮して最初の10台をヨーロッパのレーシングチームへデリバリーすることを明らかとしているため、続いて作られる10台の中の何台かがアジア地域の噂のレーシングチームへデリバリーされることとなるのだろう。

 最初にMP4-12Cを受け取る10のレーシングチームは、直前にLMP活動を取り止めたASM Team、ツーリングカーレースで活躍するJ.A.S. Motorsport、1995年F1GTRによってBPRチャンピオンに輝いた、Gulf Racing、プロドライブのCAREフェラーリ550マラネロGTS活動を行ったApex Motorsport等蒼々たる顔ぶれが並んでいる。たぶん、最初にMP4-12Cを走らせる10のレーシングチームの中で、純粋なジェントルマンチームは1つだけと言われている。
 マクラーレンGTは、2013年と2014年に第2ロットとしてさらに20台のMP4-12Cを生産する。つまり、これからMP4-12Cをオーダーしても、デリバリーされるのは2014年以降と言うことだ。

MP4-12Cの最初の10台のデリバリー先
ASM Team
Andrew Tate
Apex Motorsport
Boutsen Energy Racing/Ginion Group
Doerr Motorsport
Gulf Racing
J.A.S. Motorsport
Klaas Hummel
Leon Price
Von Ryan Racing

8月17日
●ローラが価格を制限するLMP2カーを計画中 目的はワンメークレース実施のアピール?

Illustration:Lola Cars International Ltd

 昨日ローラのマーティン・ビランは、価格を制限するLMP2カーを計画していることを発表した。
 現在ほとんどのレーシングカーは、基本的なモノコック等は変更しないものの、毎年様々な部分に改良を加えることを前提として販売されている。この毎年改良されることが、支持されるレーシングカーの理由ともなっている。
 ところが、毎年改良を加えることによって、モノコックは同じでも、当然ながら、コストの高騰を招いてしまう。
 昨今の不況によって、ただでさえレーシングカーの買い換えが停滞していることから、ローラは、最低5年間変更しないことを条件として、価格を制限するLMP2カーの販売を決定した。

 5年間変更しないことを条件として価格を制限するLMP2カーはB12-60と呼ばれる。従来LMP2カーは-80系列で、-60系列はLMP1カーだ。この点を忘れないでもらいたい。
B12-60はB08以降の屋根付きのローラLMPカーをベースとしているが、5年間変更しないことを理由として価格を制限するとしても、既にローラはB08系LMPカーを販売しているから、これらのマシンの改良は続けなければならない。
と言うことは、B12-60を安価に手に入れたレーシングチームが、それ以前のB08系LMPカーのために用意されたアップデイトパーツを購入することによって、実際は毎年改良を行うことが可能となる。
 つまり、ユーザーを制限しないのであれば、事実上の値下げとなってしまう。

 少々不可解な状況だが、ローラがこのような発表を行った理由は、ACOが旧クラージュのLC70系LMPカーを、フォーミュラルマンとして採用した結果、現在でもORECAが、安定した収益を上げていることにあるようだ。フォーミュラルマンは、LC70系LMPのエンジンを積み替えただけのマシンであるが、ワンメークレースで使うことを前提としているため、ベース価格は非常に安い。そのため、フォーミュラルマンは、常にそれなりの台数が走る状況を維持している。
一応ORECAは、フォーミュラルマンをベースとして、LC70系の最新型であるORECA P01へのアップデイトが可能であることを発表しているが、アップデイトキットは高価であるため、実際にアップデイトする客はいない。

 このような状況を眺めていたマーティン・ビランは、ローラLMPカーを使ったワンメークレースの実施を再三提案している。昨日の発表ではB12-60を使ったワンメークレースの実施について言及していないが、既にローラはケーターハムと屋根無しのB05系LMPカーを使ったワンメークレースを実施している実績から判断しても、ローラの目的がフォーミュラルマンに匹敵するワンメークレース用マシンであることは明らかだ。

8月16日
●富士スピードウェイが2012年WEC富士をカレンダー申請 プチ-ルマンと同じ日程?

Photo:Sports-Car Racing

 6月のルマンの際ジャン・トッドが公表したように、2012年FIAとACOは本当に富士スピードウェイでWECを開催する計画であるようだ。昨日JAFは、FIAへ申請中の2012年の国際レースの一覧を発表した。その申請レース一覧によって、富士スピードウェイが、9月28日から29日の日程でWEC開催を申請していることが明らかとなった。
 6月の時点でも、富士スピードウェイでのWEC開催は10月半ばと予想されていた。その理由は、9月の第2週にシルバーストーンで、WECのヨーロッパ最後のイベントとして開催されることが予想され、その2週間後北アメリカのロードアトランタで行われるプチ-ルマンが、WECの海外ツアーの第1戦と考えられていた。実際ルマンでスコット・アタートンは、2012年のプチ-ルマンは例年通り9月末に開催するとコメントしている。プチ-ルマンの次のWEC海外ツアーのイベントとして、富士スピードウェイかヅーハイが、10月半ばに開催されると考えられていた。2週間毎の開催するのであれば、最終戦は11月となる。11月に富士スピードウェイで開催するより、11月であればヅーハイの方が相応しいと考えられたこともあって、富士スピードウェイでの開催は10月半ばと考えられていた。

 ルマンを除く総てのスポーツカーレースの中で、最も多くの観客を集めるイベントはセブリング12時間とプチ-ルマンだ。しばらくの間トップレベルのスポーツカーレースを開催していない富士スピードウェイと比べ、スポーツカーレースにとって不毛の時代だった過去14年間、地道に努力を続けたプチ-ルマンでは、現在スポーツカーレースにおけるステイタスがまったく違う。
であるから、富士スピードウェイの希望に合わせて、ドン・パノスの拠点プチ-ルマンがカレンダーを変更するとは考え難い。
 また、同じ日に日本と北アメリカの2カ所でWECを開催するとは考えられないが、その場合、ほとんどのエントラントはドン・パノスのプチ-ルマンを選ぶだろう。第一12年前ルマン・富士1000kmが開催された時、富士スピードウェイはサンディエゴでALMSの開催が予定されている同じ週末にルマンのイベントを開催しようとした。実際にはサンディエゴのイベントはラスベガスに場所を変更して開催されたが、当然ながらBMWやパノス等、ほとんどのLMPカーはラスベガスのレースに参加して、富士スピードウェイでは、ほんの数台のLMPカーが走っただけだった。
 どちらかがカレンダーを変更しないのであれば、1999年のルマン・富士1000kmの出来事が再び起きてしまう。

 1ヶ月前富士スピードウェイが申請したWECの日程がプチ-ルマンと同じであることが明らかとなった後、SpeedTVを通じて、プチ-ルマンの2012年のカレンダーについてスコット・アタートンへ質問した。残念ながら、現在に至るもスコット・アタートンから回答を得てない。SpeedTVによると、富士スピードウェイは、既にスコット・アタートンが公表したカレンダーを知らないのではないだろうか? と言っている。
 どちらかがカレンダーを変更しなければならないが、富士スピードウェイがカレンダーを変更するのであれば、既にイベント目白押しの10月の日本のレースカレンダーは、大々的に変更しなければならない。

8月16日
●2012年SuperGTカレンダー

Photo:Sports-Car Racing

2012年SUPER GT カレンダー *FIA申請中
第1戦3/31-4/1岡山国際サーキット(J)
第2戦5/3-4富士スピードウエイ(J)
第3戦6/16-17セパン(M)
第4戦7/28-29SUGO(J)
第5戦8/18-19鈴鹿サーキット(J)
第6戦9/15-16富士スピードウエイ(J)
第7戦10/6-7オートポリス(J)
第8戦10/20-21ツインリンクもてぎ(J)
JAF GP 11/9-11 富士スピードウエイ(J)

 昨日GTAは、現在FIAへ申請した2012年のSuperGTのカレンダーを発表した。基本的に2011年のカレンダーを踏襲しているが、富士スピードウェイがWEC開催を申請しているため、オートポリスは今年より1週間遅れとなっている。
 そのWEC、そしてF1GPのカレンダーも確定してないため、どんなに早くても最終決定は11月となるだろう。

8月5日
●Super GT SUGO フォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/galerie-photo.php?page=829&np=0

8月1日
●2012年にGT300が速くなっても、GT500のエンジンパワーはそのまま?

Photo:Sports-Car Racing

 現在SuperGTのGT300クラスで走っているFIA-GT3カーは、JAF-GTマシンに合わせて、性能を引き下げている。しかし、現在SuperGTで走っているマシンの中で、FIA-GT3カー、そして唯一JIMゲイナーが走らせているACO-GTEカーだけが、世界のGTレースと相互乗り入れ可能だ。拡大解釈するとZENTの997GT3RSRやアストンマーティンヴァンテッジもACO-GTEカテゴリーに参加することは可能だが、FIA-GT3カーはACO-GTEカーの約半分の価格で販売されているため、日本でも急速に普及している。そこでGTAは、世界との相互乗り入れを考慮して、2012年のSuperGTにおいて、FIA-GT3カーについて、性能を引き下げることなく、ヨーロッパやGTアジアで走っている状態で走らせることを検討している。

 FIA-GT3カーは、重めの1300kg以上の車重のマシンの場合、580馬力に達する大パワーを持っているため、SuperGTで走らせる場合、JAF-GTに合わせて、性能を引き下げなければならなかった。もし、性能を引き下げないのであれば、FIA-GT3カーは、2週間前に行われたGTアジアを見ても判るように、富士スピードウェイにおいて、現在のGT300マシンより、最低1.5秒、場合によっては3秒も速く走ると考えられている。
 もちろん、ヨーロッパやGTアジアと同じスペックのFIA-GT3カーを走らせるのであれば、日本固有のJAF-GTマシンの性能も引き上げなければならない。どれくらいのパワーが適切なのか?データが無いため、10日前鈴鹿で行われた合同テストの際、No.4グッドスマイルレーシングのBMW Z4(FIA-GT3)には、FIA-GT3スタンダードサイズのリストリクターを、No.14SGチャンギのレクサスIS(JAF-GT)にGT500と同じサイズ(29.1mm×2)のリストリクターを取り付けて走行させている。
 今後も、FIA-GT3マシンに対して、JAF-GTマシンの適切なパワーを求めて、テストは行われるのだろう。
*注:2011年FIAにホモロゲーションされた2011年スペックのBMW Z4は1210kgの車重と85mm×1のリストリクターの組み合わせ、No.4グッドスマイルレーシングのZ4は2010年FIAホモロゲイションであるため、正確なスペックは不明

Photo:Sports-Car Racing

 このテストが行われた理由は、FIA-GT3とJAF-GTの性能を整えるためだけではない。もし、580馬力の大パワーを持つFIAスタンダードスペックのFIA-GT3カーがSuperGTに登場した場合、ラップタイムではGT500の足下にも及ばなくても、FIA-GT3カーは、GT500を上回るストレートスピードを発揮する可能性がある。
 10秒速いラップタイムで走ることが可能でも、ラップタイムが遅いクルマを安全に抜くには、ストレートで抜くべきだ。ところが、ラップタイムが10秒遅いFIA-GT3カーの方がストレートスピードが速くては、安全に抜くことは出来ない。
 そこで鈴鹿のテストが行われることとなった。

 鈴鹿テストの場合、突然大きなリストリクターの装着を求められたNo.4グッドスマイルレーシングは戸惑ったかもしれないが、No.14SGチャンギのレクサスISに積まれるRJ8Jエンジンは基本的にGT500のレクサスSC430のものと同じであるため、急に大きなリストリクターを取り付けても、容易にトヨタのエンジニアは対応出来ただろう。たぶん、GT500のレクサスSC430のものと同等のエンジンパワーを発生していたことだろう。
 No.14SGチャンギのレクサスISは、130R入り口で246km/hの速度を記録している。対するGT500は251km/hだった。5km/hの差は、タイヤ幅が2インチ狭いことによるスプンカーブでの速さの差が理由だったかもしれない。

 予想通りのGT300の速さに対して、現在GTAでは慎重に話し合いが行われている。常識的には、容易にストレートでGT300マシンを抜くことが出来る様、GT500のエンジンパワーをアップすべきだろうが、エンジンパワーをアップした場合、エンジン本体だけでなく、駆動系等の負担も増えるため、より大きなコストが必要となると考えられる。
 現在のところ正式な話し合いは行われていないため、もちろん決定ではないが、GT500のエンジンパワーをアップするのでなく、空力性能を向上させること、そして、カーボンブレーキを採用してブレーキング能力を向上させる2つのプランが、2012年のGT500の速さを向上させる有力なプランとして検討されている。

7月20日
●ASIAN GT Fuji フォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/photos-endurance.html?page=820&np=0

7月18日
●ディランタ・マラガムワのランボルギーニLP560 GT3が、スーパー耐久への参戦を計画中

Photo:Sports-Car Racing

 今年日本においてアジアンGTシリーズが3イベント行われる。最初のイベントは、昨日富士スピードウェイで行われたが、来週同じ富士スピードウェイにおいて、アジアンGTでも走っているGT3が走るスーパー耐久が行われる。8月Super GT鈴鹿の併催イベントとしてもアジアンGTが行われるが、その翌週岡山ではスーパー耐久が行われる。もちろん、スーパー耐久シリーズは、アジアンGTへ参加するGT3カーがスーパー耐久へ参加することを望んでいた。と言うより、最大限可能性を求めていたことだろう。

 アジアンGTのカレンダーは、富士スピードウェイの次のイベントは8月の鈴鹿であるため、来週富士スピードウェイで行われるスーパー耐久へ、何台かのアジアンGTチームが参加する可能性が高いと思われていた。
 しかし、アジアンGTへ参加するエントラントは例外なく、世界の経済を支えるビリオネラで、そう簡単に自分の予定を変更するのは難しい。仕事の予定はなくても、来週オーストリアでADAC GTマスターズへ参加するチーム等、既に今年の予定は決まっているエントラントも少なくない。

 そのようなアジアンGTチームの中で、かつて日本でレース活動を行っていたディランタ・マラガムワが、スーパー耐久へ、自身のランボルギーニLP560 GT3によって参加を計画している。
 ディランタ・マラガムワのランボルギーニLP560 GT3は、昨日のレースの際エンジンの不調が判明したため、日本でエンジンのリペアを行う予定だ。そのため、来週富士スピードウェイで行われるレースへ参加するのは難しい。しかし、8月までにエンジンを修復して、アジアンGT鈴鹿へ参加する一方、その翌週に岡山で行われるスーパー耐久へも参加する方向で、スケジュールの見直しを行っている。
 ディランタ・マラガムワによると、参加の可能性は非常に大きいとのことだ。

  他にも何チームかのアジアンGTチームがスーパー耐久への興味を示しているようだが、昨日、ハッキリと参加を計画していることを公表したのは、ディランタのランボルギーニだけだった。
 今年ディランタのランボルギーニは、東日本大震災後の日本を支援を表明して、ボディサイドに大きな日の丸を描いて走っている。スーパー耐久への参加が実現するのを願いたい。

 国際化を目指すスーパー耐久は、今年FIA GT3のクラスとしてSTXクラスを新設した。もちろん、GT3のクラスは、スーパー耐久の希望の星だが、東日本大震災の影響もあって、何チームかが参加を見送ったことから、現在のところ一ツ山レーシングのアウディR8LMSが1台だけ参加している。
 アジアンGTとの連携が実現するのであれば、スーパー耐久にとって大歓迎だろう。

7月1日
●2014年ポルシェがLMP1カーでルマンのトップカテゴリーに復帰を宣言!

Photo:Dr.Ing.h.c.F.Porsche AG

 6月30日ポルシェは、2014年ルマンのLMP1クラスにワークスチームと共に復帰することを発表した。
ポルシェは、1998年911GT1-98によって、トヨタやメルセデスを破って16回目のルマン24時間優勝を達成した。1999年屋根無しのLMP1カーを開発するが、レースに登場することなく、ワークスチームは解散した。

 幻の屋根無しのLMP1のために作られた2つのV10の一つは、その後カレラGTロードゴーイングスーパーカーに搭載されて姿を現した。2005年北アメリカの顧客の要望を受け入れ、RSスパイダーLMP2カーを開発した。RSスパイダーは、ペンスキーによってALMSで大活躍したが、ポルシェはワークスチームを復活させなかった。
 2010年ポルシェは、RSスパイダーの3.4リットルV8にハイブリッドシステムを組み合わせた918ハイブリッドスーパーカーを発表した。同時に997GT3Rにハイブリッドシステムを組み合わせたプロトタイプカーを作って、ニュルブルクリンク24時間や“プチ-ルマン”で走らせた。
 昨日ポルシェのマティアス・ムラーが「我々がファクトリーチームとしてルマンへ戻るのは、時間の問題だった」と語った様に、いつでもポルシェはルマンへ戻る準備が出来ている様に見えた。

Photo:Sports-Car Racing

 ポルシェのモータースポーツを率いるヘルムート・クリステンは、「新しいLMP1カーのコンセプトの調査を開始した」と語っている。どうしてコンセプトを調査中なのか?と言うと、今年2011年に施行されたルマンのレギュレーションを3年間変更せずに継続することが、2週間前ACOとFIAは決定している。
 つまり、ポルシェは、2014年に施行される新しいレギュレーションと共に、復活する計画だ。
 2014レギュレーションのポイントは、ハイブリッドシステムの取り扱いだ。と言うことは、ポルシェがハイブリッドシステムを組み合わせたLMP1カーを構想中であるのは間違いないだろう。

**同時にポルシェは、ルマン復帰を記念するビデオを制作した。
http://www.youtube.com/watch?v=ZhOsDzSJ0bk

6月24日
●SuperGT Sepangフォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/photos-endurance.html?page=789&np=0

6月12日
●2011ルマン24時間レース  アウディ優勝
 
Photo:Sports-Car Racing

○午前1時から午前11時
 午前1時レースが再開された後、トップを走るNo.2アウディと3台のプジョーは同一周回の熾烈な闘いを繰り広げている。夜が明けるにつれ、ピットインのタイミングでNo.9プジョーがトップを走る時間が長くなったが、ピットインが一巡すると、僅差のNo.2アウディがトップを走っていることを証明した。
 明け方気温は5度まで下がった。夜が明けた後午前9時50分No.7プジョーがインディアナポリスでコースアウトしたため、No.2アウディと2台のプジョーがトップ争いを繰り広げたが、その後徐々にNo.8プジョーが遅れて周回遅れとなったことから、トップ争いはNo.2アウディとNo.9プジョーの2台に絞られた。
 午前11時、No.2アウディは、ピットストップからコースに復帰したNo.9プジョーを周回遅れにしようと快走している。3周の間ブノア・トレルイエはセバスチャン・ボーデをテイルtoノーズに追い詰めて、周回遅れにするものと思われたが、たった1台しか残ってないアウディと違って、プジョーは3台総てが残っているため、次第に間隔を開けて走るようになった。

Photo:Sports-Car Racing

 ガソリンエンジンクラスは、レース序盤No.16ペスカロロが先行して、その後を2台のレベリオンローラ/トヨタが追う展開が続いた。しかし、明け方No.13レベリオンローラ/トヨタがクラッシュしたため、No.10ORECAプジョーと共に、No.16ペスカロロとNo.12レベリオンローラ/トヨタは総合5位争いを展開している。

 LMP2クラスは、日が暮れた後No.41グレーブスモータースポーツザイテック/ニッサンがトップを快走している。その後ろをNo.48ORECA/ニッサンとNo.26シグナテックORECA/ニッサンが追走していたが、明け方No.48ORECAがストップしたため、No.41グレーブスザイテックがNo.26シグナテックORECAに3周差をつけてトップを独走している。

Photo:Sports-Car Racing

 GTEクラスは、No.51AFコルセフェラーリと2台のワークスコルベット、2台のワークスBMW、No.77フェルベマイヤーポルシェ、No.75プロスピードポルシェ、No.76IMSAパフォーマンスポルシェがトップ争いを繰り広げた。夜が明けても、No.51AFコルセとNo.73ワークスコルベットは同一周回でトップ争いを繰り広げている。

Photo:Sports-Car Racing

○フィニッシュ
 午前11時15分ミュルサンヌから雨が降り出した。その直後パドックで雨が降り出す前にピットに入ったNo.2アウディはスリックタイヤと交換してコースに復帰した。No.2アウディがコースに復帰した頃パドックでも雨が降り始めた。しかし、雨脚は弱く、次の周にピットに入ったNo.7プジョーはカットスリックも用意したが、結局タイヤを交換せずレースに復帰した。
 レース復帰後3周でNo.2アウディはNo.9プジョーの背後に迫った。しばらくの間テイルtoノーズの闘いを繰り広げたが、アンドレ・ロッテラーが無理に抜くことはなかった。No.9プジョーのピットインによって、No.2アウディはトップの座を奪還した。
 空一面低い雲が立ちこめてきたが、直ぐに本降りとなることはなさそうだ。ちょうどタイヤ交換の直前に雨が本降りとなったチームは圧倒的に有利な状況となって、79回目のルマンの優勝へ大きく近づくことだろう。

Photo:Sports-Car Racing

 午前11時50分No.2アウディは周回遅れのNo.8プジョーをテイルtoノーズに追い詰めた。明らかにNo.2アウディの方が速かったが、1周半の間フランク・モンタギーのNo.8プジョーは、アウディに道を譲らなかった。何度もアンドレ・ロッテラーは抜こうと試みたが、プジョーの方がストレートスピードが速いため、抜くことは出来なかった。非常に危険な状況だったが、やっとミュルサンヌでプジョーはアウディに道を譲ると、あっという間にアウディは大きな差を築いた。

 ほとんどのチームはカットスリックを用意しているが、実際に履いているチームはない。もし、雨が降れば順位が入れ替わる可能性があったが、そのまま小雨のまま午後3時を迎えた。たった1台となったNo.2アウディは、アンドレ・ロッテラーのドライブによって、第79回ルマン24時間レースをトップのままチェッカードフラッグを受けた。

Photo:Sports-Car Racing

 No.16ペスカロロと5位争いを繰り広げていたNo.10ORECAプジョーは、インディアナポリスの立ち上がりでクラッシュしてしまった。クルマにはダメージが無いように見えたが、走り始めると、直ぐにリアカウルが吹き飛んでしまった。ピットまで帰り着いたが、このアクシデントによって、5位の座はNo.16ペスカロロのものとなった。
 ところが、フィニッシュまで2時間を切った時、No.16ペスカロロがクラッシュしてしまった。ペスカロロのアクシデントによって、5位の座はNo.10ORECAプジョーが確定して、ガソリンエンジン1位はNo.12レベリオンローラ/トヨタとなった。

Photo:Sports-Car Racing

 12時頃、LMP2クラスの2位を走っていたNo.26シグナテックORECA/ニッサンは、左リアタイヤをバーストさせ、スロー走行でピットを目指した。一旦はインディアナポリス手前でストップして、ドライバーもクルマを降りたが、再びドライバーはコクピットに乗り込んで、スロー走行でピットへ辿り着いた。もう少しで2周差を3位を走行していたNo.33レベル5ローラ/ホンダに抜かれるところだったが、何とかLMP2クラスの2位を死守することに成功した。
 この1週後LMP2クラスをリードしていたNo.41グレーブスザイテックはチャペルコーナーでコースアウトして、ブガッティサーキット入り口のサンドトラップでストップしてしまったが、2位に5周の差をつけていたため、コースに復帰しても、充分なリードを保って、そのままトップのポジションを維持して24時間を走りきった。
 中野信治が乗り組んだNo.49OAKペスカロロ/BMWは、最終ラップに入る際派手に煙りを吹き上げたが、慎重に最後の1周を走りきって、LMP2クラス5位で24時間レースを終えた。
  GTEクラスは終盤までNo.51AFコルセフェラーリがリードしていたが、2番手を走るNo.73ワークスコルベットとは同一ラップで、終盤No.51AFコルセフェラーリがイレギュラーなピットストップを行ったことから順位が入れ替わった。

Photo:Sports-Car Racing

LMP1
1 No.2 Audi Sport Team Joest M. Fassler / A. Lotterer / B. Treluyer Audi R18 TDI 355laps
2 No.9 Team Peugeot Total P. Lamy / S. Bourdais / S. Pagenaud Peugeot 908 355laps
3 No.8 Peugeot Sport Total F. Montagny / S. Sarrazin / N. Minassian Peugeot 908 353laps
4 No.7 Peugeot Sport Total M. Gene / A. Wurz / A. Davidson Peugeot 908 351laps
5 No.10 Team Oreca Matmut N. Lapierre / L. Duval / O. Panis Peugeot 908 HDI-FAP 339laps
6 No.12 Rebellion Racing N. Jani / N. Prost / J. Bleekemolen Lola B 10/60 Coupe-Toyota 338laps*ガソリンエンジン1位
8 No.22 10 22 Kronos Racing V. Ickx / M. Martin / B. Leinders Lola Aston Martin 328laps*ガソリンエンジン2位

LMP2
1 No.41 Greaves Motorsport  K. Ojjeh / O. Lombard / T. Kimber-Smith Zytek Nissan  326laps
2 No.26 26 Signatech Nissan F. Mailleux / L. Ordonez / S. Ayari Oreca 03-Nissan 320laps
3 No.33 Level 5 Motorsports S. Tucker / C. Bouchut / J. Barbosa 319laps

GTE-Pro
5 No.73 Corvette Racing A. Garcia / T. Milner / O. Beretta Chevrolet Corvette C6 ZR1 314laps
2 No.51 AF Corse Srl G. Fisichella / G. Bruni / T. Vilander Ferrari 458 Italia  314laps
3 No.56 BMW Motorsport A. Priaulx / D. Muller / J. Hand BMW M3 GT  313laps
4 No.77 Team Felbermayr-Proton M. Lieb / R. Lietz / W. Henzler Porsche 911 RSR (997) 312laps
5 No.76 Imsa Performance Matmut P. Pilet / R. Narac / N. Armindo Porsche 911 RSR (997) 311laps
6 No.80 Flying Lizard Motorsports J. Bergmeister / P. Long / L. Luhr Porsche 911 RSR (997) 310laps

6月11日
●2011ルマン24時間レース10時間目 2台のアウディが大クラッシュ それでもNo.2アウディトップ

Photo:Sports-Car Racing

 午後3時ジャン・トッドの合図によって第79回ルマン24時間レースが開始された。スタート後1コーナーへアウディとプジョーが横に5台が並んで侵入した。僅差でポールポジションからスタートしたNo.2アウディがトップの座を守った。その後No.2アウディとNo.1アウディがチームメイト同士でトップ争いを繰り広げる一方、直ぐ後ろでは、アラン・マクニッシュがドライブするNo.3アウディが3台のプジョーを相手に孤軍奮闘していた。

 GTEクラスは、スタート後1コーナーへはポールポジションからスタートしたNo.55BMWがトップで侵入したが、直ぐにNo.51AFコルセフェラーリと2台のワークスコルベットに抜かれてしまった。予選ではライバル達と遜色ないストレートスピードを披露したBMWだが、決勝セッティングではフェラーリやコルベットの方がストレートスピードが速いらしい。しかし、GTEクラスは5台がトップ争いを繰り広げており、LMP1と変わらない見応えのあるレースを披露している。

Photo:Sports-Car Racing

 スタートから30分、No.1アウディとNo.3アウディを先頭として次々と1回目のピットストップを行った。ピットインが一巡した後、トップはNo.1アウディ、2番手にNo.2アウディ、その後方では、相変わらず3番手の座を巡って、アラン・マクニッシュが2台のプジョーを熾烈な争いを繰り広げていた。
 15周目のダンロップコーナーへの侵入でアラン・マクニッシュは、やっとプジョーを抜いて3番手に躍り出た。そしてダンロップブリッジを超えてチャペルコーナーへ差し掛かった時、何時ものように周回遅れのGTEクラスのフェラーリを抜こうとしたところ、バランスを崩してしまった。そしてフェラーリに接触した。あるいは、フェラーリに接触した方が早かったかもしれない。どちらにせよ、バランスを崩したNo.2アウディは宙を舞い、チャペルコーナーのアウト側のタイヤバリアへ叩きつけられた。
 マクニッシュは無事だったが、No.2アウディはスクラップとなってしまった。タイヤバリアだけでなく、ガードレールも破壊されてしまったことから、1時間10分間にわたって修復作業が行われ、午後5時レースは再開された。

Photo:Sports-Car Racing

 その後No.1アウディとNo.2アウディはピットインのタイミングで順位を入れ替えながら、トップを走行した。しかし、3台のプジョーは同一周回で虎視眈々とアウディからトップの座を奪取するチャンスを求めて追走している。
早めに1回目のピットストップを行ったNo.1アウディは、その後1時間以上に及んだセイフティカーランによって、ライバル達と大きく違う燃料補給のタイミングとなってしまい、ちょうど1回多く燃料を補給したこととなったため、3時間目プジョー勢に先行されてしまった。それでも2台のアウディと3台のプジョーは、ほとんど同じ速さで、しかも同一周回で走行しているため、どのマシンが優勝しても不思議ではない状況が続いている。

 午後10時マイク・ロッケンフェラーがドライブするNo.1アウディは、ミュルサンヌを立ち上がってインディアナポリス手前の緩やかな丘(12年前メルセデスが空を飛んだ)のコーナーを抜けたとき、大きくバランスを崩して、宙を舞って、インディアナポリス入り口のイン側のガードレールに叩きつけられた。
 スタート直後のアラン・マクニッシュのアクシデントをまったく同じ状況だった。
 もちろんセイフティカーが導入され、2時間20分間にわたってガードレールの修理が行われた。

Photo:Sports-Car Racing

 スパの際、どう見てもオーバーステア気味の操縦性であるように見えたが、アウディはタイヤのプレッシャーが適正でなかったことを、ハンドリングの悪化の理由としていた。その後フロントタイヤのプレッシャーを逐一計測して送信するデータリングシステムを取り付けてテストを行っていたため、アウディの説明が正しいと考える人々も少なくなかった。
 しかし、大きなフロントタイヤと前寄りの前後重量配分によって、ターンインやブレーキングの速さは増しているのに対して、どうしてもトラクションは確保し難くなってしまう。第一2009年以降義務付けられた小さな1.6mリアウイングによって、ただでさえリアはナーバスをなっている。アウディが過酷なコンセプトを試みているのは間違いないだろう。

 GTEクラスは、スタート直後トップを快走したNo.51AFコルセフェラーリをNo.74ワークスコルベットが抜き、No.51AFコルセフェラーリと2台のワークスコルベットが同一周回のトップ争いを繰り広げている。その1周後方にNo.75プロスピードポルシェ、No.59ラクリーフェラーリ、No.80フライングラザードポルシェが着ける激戦が続いている。

Photo:Sports-Car Racing

LMP1
1 No.2 Audi Sport Team Joest M. Fassler / A. Lotterer / B. Treluyer Audi R18 TDI 135laps
2 No.8 Peugeot Sport Total F. Montagny / S. Sarrazin / N. Minassian Peugeot 908 135laps
3 No.9 Team Peugeot Total P. Lamy / S. Bourdais / S. Pagenaud Peugeot 908 135laps
4 No.7 Peugeot Sport Total M. Gene / A. Wurz / A. Davidson Peugeot 908 135laps
5 No.10 Team Oreca Matmut N. Lapierre / L. Duval / O. Panis Peugeot 908 HDI-FAP 134laps
6 No.16 Pescarolo Team E. Collard / C. Tinseau / J. Jousse Pescarolo Judd1 131laps*ガソリンエンジントップ
7 No.12 Rebellion Racing N. Jani / N. Prost / J. Bleekemolen Lola B 10/60 Coupe-Toyota 131laps*ガソリンエンジン2位
8 No.13 Rebellion Racing A. Belicchi / J. Boullion / G. Smith Lola B 10/60 Coupe-Toyota 131laps*ガソリンエンジン3位

LMP2
1 No.48 Team Oreca Matmut A. Premat / D. Hallyday / D. Kraihamer Oreca 03-Nissan 127laps
2 No.41 Greaves Motorsport  K. Ojjeh / O. Lombard / T. Kimber-Smith Zytek Nissan  127laps
3 No.39 Pecom Racing L. Perez-Companc / M. Russo / P. Kaffer Lola B11/40-Judd Bmw 126laps

GTE-Pro
1 No.74 Corvette Racing O. Gavin / J. Magnussen / R. Westbrook Chevrolet Corvette C6 ZR1 123laps
2 No.51 AF Corse Srl G. Fisichella / G. Bruni / T. Vilander Ferrari 458 Italia 122laps
3 No.75 Prospeed Competition M. Goosens / M. Holzer / J. Van Lagen Porsche 911 RSR (997) 122laps
4 No.59 Luxury Racing S. Ortelli / F. Makowiecki / J. Melo Ferrari 458 Italia 122laps
5 No.73 Corvette Racing A. Garcia / T. Milner / O. Beretta Chevrolet Corvette C6 ZR1 122laps
6 No.80 Flying Lizard Motorsports J. Bergmeister / P. Long / L. Luhr Porsche 911 RSR (997) 121laps

6月9日
●2011ルマン24時間レーススターティンググリッド アウディPP、GTEはBMW

Photo:Sports-Car Racing

 2回目の予選が開始される直前、マツダ787Bがサルテサーキットを走った。1周目はペースカーに先導され、2周目も、現役当時とは比べものにならないパレードラップレベルの速さだったが、ロータリーサウンドがサルテサーキットに響いた。
 2回目の予選が開始されると、昨日ステファン・サラザンにトップタイムを奪われたアウディ勢が次々とコースインした。しかし、直前まで行われたフェラーリチャレンジによってコースは汚れており、しかも、14分後No,65ロータスエボーラがエンジンを壊して、白煙を上げてコースの半分を走ったため、コースコンディションは最悪となってしまった。
 そのため、アウディ勢はなかなかタイムアタックのチャンスを得ることが出来ず、逆に昨日トップタイムをマークしたNo.8プジョーが、最初のタイムアタックを成功させて3分27秒台でタイムボードの最上段に居座っている。

Photo:Sports-Car Racing

 天気は不安定で、午後8時を過ぎると、辺り一面に雲に覆われて、気温も下がってきた。しかし、コースコンディションは回復しているようで、マルセル・ファスラーのドライブするNo.2アウディが、次々とタイムを更新した。マルセル・ファスラーは、最初のタイムアタックで3分26秒台を記録して昨日のステファン・サラザンのトップタイムを破ると、2回目のタイムアタックで3分25秒961までタイムを上げた。No.8プジョーが追うが、0.2秒差の3分26秒156の2番手で2回目の予選は終了した。

Photo:Sports-Car Racing

 ガソリンエンジンクラスは、No.12レベリオンローラ/トヨタとNo.22クロノスローラ-アストンマーティンがスリップストームを使い合って走っている。クロノスによると、最初から約束した訳ではなかったと言うが、このスリップストーム昨年によって、No.22クロノスローラ-アストンマーティンは3分36秒台までタイムを上げることに成功した。
 相変わらず苦戦を続けているアストンマーティン勢は、しばしばフロントカウルを脱落させており、No.007は、アルナージュを立ち上がってポルシェカーブへ侵入する際、カウルの内側部分?を脱落させている。
 セッション後半になって、No.16ペスカロロと2台のレベリンローラ/トヨタがタイムを上げたため、昨日と同じNo.16ペスカロロが3分33秒066でトップ、2台のレベリオンローラ/トヨタは僅差のタイムによって2位と3位で2回目の予選を終了した。

Photo:Sports-Car Racing

 昨日No.56BMWがトップタイムを記録したGTEクラスは、今日も2台のワークスBMWとジャンカルロ・フィジケラが乗り組むNo.51AFコルセフェラーリの間で激しい争いが展開されている。背が高くトレッドが狭いBMWは、ルマンに不似合いな様に思われたが、性能調整によって大きなリストリクターを与えられた結果、素晴らしい速さを発揮している。今回もスピードガンによる速度計測を行っているSPEED tvによると、タイトコーナーからの加速だけでなく、最高速度も見かけほど遅くないらしい。新しいフロントフェンダー等、空力の改良も大きな効果を上げているのだろう。
 しかし、昨日トップタイムを記録したNo.56BMWは、アレクサンダー・プリオールがドライブ中クラッシュしてしまった。フロントセクションを大きく壊しており、交換可能なフロントメンバーだけでなく、フロント下部のフレームまで壊してしまった。そのため、もちろん最後の予選をキャンセルして、大々的な修理を開始することとなった。
 そのため、No.51AFコルセフェラーリがトップタイムを記録した。

Photo:Sports-Car Racing

 1時間後午後10時最後の予選がスタートした。開始早々、ほとんどのマシンがコースインした。
開始12分アンソニー・デビッドソンがドライブするNo.7プジョーはフォードシケインでコースアウトしてしまった。その直後ロマ・デュマのドライブするNo.1アウディがトップタイムを更新した。
 その段階で3台のアウディと3台のプジョーの総てがタイムアタックを行っていたが、開始19分、No.58フェラーリがユノディエールの第2シケインでクラッシュしたため、赤旗が提示され、セッションは中断された。
 総てのクルマがピットに戻ったが、No.007アストンマーティンは左リアタイヤをパンクさせて戻ってきた。

 残り1時間を切る頃になると、一層激しいタイムアタックが行われた。アウディとプジョーのワークスカーは、6台総てが3分25秒台後半から3分26秒台前半のたった0.5秒のタイム差で走っており、1周13kmのサルテサーキットにおいて史上漏れに見る接戦を繰り広げている。どのマシンがポールポジションを獲得しても不思議ではない状況だった。
 最終的に、ほんの少しだけ幸運に恵まれたブノア・トレルイエが、ロマ・デュマのタイムを0.061秒だけ上回る3分25秒738を記録してNo.2アウディはポールポジションを獲得した。
 終了1分前、トム・クルステンセンが乗り組んだNo.3アウディは最後のタイムアタックラップに入った。しかし、2コーナーでバランスを崩してクラッシュしてしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 ガソリンエンジンクラスは、夜に入ってNo.12レベリオンが執念のタイムアタックを続けた。そして3分32秒883をたたき出し、ペスカロロを0.183秒上回ってトップタイムを記録した。
No.12レベリオンローラ/トヨタとディーゼルエンジン最後尾のNo.10ORECAプジョーとの際は2.799秒だが、ポールポジションを獲得した最新のアウディR18との差は7.145秒もあるため、到底同じクラスとは思えない。

 BMWとフェラーリの激戦は夜になっても続いた。2回目の予選クラッシュしたNo.56BMWは、あっという間に丸裸にされて、曲がったフレームの修理が行われているが、もう1台のNo.55BMWは闘いを続けていた。そして、No.51フェラーリのタイムを破ってGTEクラスのポールポジションを獲得した。
 3位は2回目の予選でクラッシュしたNo.56BMW、4位と6位はワークスコルベット、5位にハンコックファルンバッハフェラーリが着け、ポルシェの最上位は7位のNo.77フェルベマイヤーだ。



Photo:Sports-Car Racing

LMP1
1 2 Audi Sport Team Joest M. Fassler / A. Lotterer / B. Treluyer Audi R18 TDI 3:25.738
2 1 Audi Sport Team Joest T. Bernhard / R. Dumas / M. Rockenfeller Audi R18 TDI 3:25.799
3 9 Team Peugeot Total P. Lamy / S. Bourdais / S. Pagenaud Peugeot 908 3:26.010
4 8 Peugeot Sport Total F. Montagny / S. Sarrazin / N. Minassian Peugeot 908 3:26.156
5 3 Audi Sport North America R. Capello / T. Kristensen / A. McNish Audi R18 TDI 3:26.165
6 7 Peugeot Sport Total M. Gene / A. Wurz / A. Davidson Peugeot 908 3:26.272
7 10 Team Oreca Matmut N. Lapierre / L. Duval / O. Panis Peugeot 908 HDI-FAP 3:30.084
8 12 Rebellion Racing N. Jani / N. Prost / J. Bleekemolen Lola B 10/60 Coupe-Toyota 3:32.883*ガソリンエンジントップ
9 16 Pescarolo Team E. Collard / C. Tinseau / J. Jousse Pescarolo Judd 3:33.066*ガソリンエンジン2位
10 13 Rebellion Racing A. Belicchi / J. Boullion / G. Smith Lola B 10/60 Coupe-Toyota 3:34.573*ガソリンエンジン3位

LMP2
14 26 Signatech Nissan F. Mailleux / L. Ordonez / S. Ayari Oreca 03-Nissan 3:41.458
16 42 Strakka Racing N. Leventis / D. Watts / J. Kane Honda Performance Development Arx 01 LM  3:42.615
17 48 Team Oreca Matmut A. Premat / D. Hallyday / D. Kraihamer Oreca 03-Nissan 3:43.098

GTE-Pro
29 55 BMW Motorsport A. Farfus / J. Muller / D. Werner BMW M3 GT 3:57.592
30 51 AF Corse Srl G. Fisichella / G. Bruni / T. Vilander Ferrari 458 Italia 3:58.040
31 56 BMW Motorsport A. Priaulx / D. Muller / J. Hand BMW M3 GT 3:58.426
32 74 Corvette Racing O. Gavin / J. Magnussen / R. Westbrook Chevrolet Corvette C6 ZR1 3:59.519*2周目に記録
33 89 Hankook-Team Farnbacher D. Farnbacher / A. Simonsen / L. Keen Ferrari 458 Italia 3:59.519*37周目に記録
34 73 Corvette Racing A. Garcia / T. Milner / O. Beretta Chevrolet Corvette C6 ZR1 3:59.633

6月9日
●ACOとFIA、FIAワールドエンデュランスチャンピオンシップの開催に正式調印、2012年は6戦+ルマン

Photo:Sports-Car Racing

 本日ACOとFIAは、2012年にスタートするFIAワールドエンデュランスチャンピオンシップの開催について正式に調印した。ACOは、2012年から3年間FIAワールドエンデュランスチャンピオンシップのオーガナイザーを務めるだけでなく、ACOとFIAは、10年間にわたって提携することについても調印した。
2012年のカレンダーは、全世界3つの地域で、それぞれ2つずつ6レースが組まれる。3つの地域とはヨーロッパ、北アメリカ、アジアのことで、それにルマン24時間を加えた7レースでシリーズは構成される。

 元々2011年のILMCのカレンダーをベースとすることを公表しているため、ヨーロッパで行われる2つのレースが、スパ、イモラ、シルバーストーンの3つの中から選ばれ、北アメリカの2つはセブリング12時間とプチ-ルマン10時間レースであることは容易に想像出来る。問題はアジアで行われる2つのレースだろう。
1つは中国のズーハイ、あるいは、他の中国のサーキットだろうが、もう1つは何処なのだろう?
ルマンのミュージアムで行われた調印式の会場には、フランスと共にアメリカ、中国、そして日本の国旗が飾られていた。と言うことは、日本でWECが復活するのだろうか?

 気になるタイトルについては、マニファクチュラーエンデュランスワールドチャンピオン、ドライバーズエンデュランスチャンピオン、GTEワールドカップPro、FIA LMP2トロフィー、FIA GTE Amトロフィー、そしてFIAトロフィーが、総てのカテゴリーのベストプライベートチームに対して送られる。
 そのカテゴリーは、今年と同じくLMP1、LMP2、LMGTE-Pro、LMGTE-Amの4つで、テクニカルだけでなくスポーティングレギュレーションについても、昨年ACOが発表した様に、2013年までは、現行のレギュレーションを堅持する。
 つまり、少なくとも、先週金曜日にステファン・ラテルが語った、不可解なGTカテゴリーは存在しない。

6月9日
●2011ルマン24時間レース予選1回目 暫定ポールはプジョー、GTEは何とBMWがトップ!

Photo:Sports-Car Racing

 予報通り午後になると空一面雲に覆われた。午後4時フリープラクティスが開始される頃になると気温も14度まで下がった。しかし、直ぐに雨が降る気配はなくドライコンディションによって、フリープラクティスは始まった。
 今年4月に独立したテストディが復活したが、水曜日レースウィーク最初のセッションとして、2009年以降独立したテストディが無くなった時同様、4時時間連続でフリープラクティスが設けられている。
 コースの約半分が公道であることから、例年最初のセッションは、マシンのセットアップを進めるだけでなく、どれくらいコースが汚れているのか?あるいは、レーシングコースと違って、タイヤラバーの載っていないコースを把握して、予選までにどれくらいコース状況が変化するのか?コースコンディションを判定するために使われる。

Photo:Sports-Car Racing

 しばらくの間、アウディとプジョーは新車のセットアップに精を出すこととなったため、1時間目終了時点のトップタイムは、ORECAが走らせる2010年バージョンの908HDI-FAPだった。開始早々No.76IMSAパフォーマンス・ポルシェ997GT3RSRがポルシェカーブでクラッシュしたため、赤旗が提示されて、セッションが中段された。その間にNo.71フェラーリ458、その1時間後No.66フェラーリ458が相次いで右リアタイヤをバーストさせて、タイヤを引きずりながら走ったが、No.71がミシュラン、No.66がダンロップを履き、共に458GTCの開発段階から関わっているメーカーで、もちろん、タイヤが原因ではない。

 4時間連続のセッションで、アウディとプジョーが共に開発段階の新車を走らせているため、同じチームであっても、各車違うスケジュールで走っている。特にプジョーは、ピットインのタイミングをずらすこともなかった。そのため、昨年までと比べると、同じチームのマシンが集団で走る姿を見ることは出来ない。
 開発の遅れが伝えられているアストンマーティンは、順調とは言えないラップタイムだが、ピットに張り付いたままではなく、精力的に走行を行っている。ラップタイムを除けば、充分に元気な姿をスポーツカーレースファンに披露している。
 最後の1時間でアウディ勢が速さを増して、No.2とNo.1アウディがフリープラクティスのトップ2を記録した。

Photo:Sports-Car Racing

 2時間後午後10時、1回目の予選が開始された。完全に暗くならない、セッション開始直後のタイミングを狙って、グリーンシルナルが点灯すると、各車一斉にコースインした。コース上は非常に混雑しているため、開始早々No.007アストンマーティンはミュルサンヌでクラッシュしてストップした。しかし、左フロントカウルを失いながら、ピットまで帰ってきた。
 その後No.60アストンマーティンGTEがミュルサンヌでクラッシュした。コース上に止まっていたNo.60アストンマーティンにNo.1アウディが突っ込んだため、赤旗が提示され、セッションは中段された。両車共大きなダメージは無いが、アストンマーティンはコースサイドに移動され、アウディはカウルを失いながら自走でピットまで戻った。

Photo:Sports-Car Racing

 午後11時にセッションは再開され、各車が次々とタイムアタックに入った。
  そして、昨年がそうだった様に、ステファン・サラザンのドライブするNo.8プジョーが、3分27秒033を記録して、1回目の予選のトップタイムを記録した。2位から4位にアウディが付け、トップ3は1秒以内の接戦となっている。
  ガソリンエンジンクラスは、トップのプジョーから7秒、ディーゼルエンジン最後尾のORECAプジョーから5秒遅れでNo.16ペスカロロとなった。2秒遅れの2位と3秒遅れの3位にレベリオン/トヨタが付けている。この大きな差を見ても、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのルールは適切とは考えられない。
 クラッシュしてピットに戻ったNo.007アストンマーティンは、クラッシュによるダメージは小さく、直ぐにコースに戻ると思われた。しかし、点検したところ、何らかの問題が見つかったようで、エンジン交換に取りかかった。

Photo:Sports-Car Racing

 LMP2クラスは、ダニー・ワッツのNo.42ストラッカHPDがトップタイムを記録したが、その後終了1分前、1コーナーにおいてクラッシュしてしまった。左右のサイドポンツーンとサスペンションが破壊される大きなクラッシュだったため、直ぐに赤旗が提示され、そのまま予選は打ち切られた。
 GTE-Proのトップタイムは、ジャンカルロ・フィジケラのNo.51フェラーリ458GTCを破ってNo.56BMWが記録した。3位にもNo.55BMWが付けている。BMWは新しいフロントフェンダーを取り付けて登場したが、2週間前に決定した性能調整の効果が現れたと判断すべきだろう。
 9日も不安定な天気が見込まれ、もし、夕方雨が降るようであれば、ステファン・サラザンのポールポジションが決定する。

Photo:Sports-Car Racing

LMP1
1 No.8 Peugeot Sport Total F. Montagny / S. Sarrazin / N. Minassian Peugeot 908 3:27.033
2 No.2 Audi Sport Team Joest M. Fassler / A. Lotterer / B. Treluyer Audi R18 TDI 3:27.939
3 No.1 Audi Sport Team Joest T. Bernhard / R. Dumas / M. Rockenfeller Audi R18 TDI 3:27.949
4 No.3 Audi Sport North America R. Capello / T. Kristensen / A. McNish Audi R18 TDI 3:28.301
5 No.7 Peugeot Sport Total M. Gene / A. Wurz / A. Davidson Peugeot 908 3:28.796
6 No.9 Team Peugeot Total P. Lamy / S. Bourdais / S. Pagenaud Peugeot 908 3:29.466
7 No.10 Team Oreca Matmut N. Lapierre / L. Duval / O. Panis Peugeot 908 HDI-FAP 3:30.084
8 No.16 Pescarolo Team E. Collard / C. Tinseau / J. Jousse Pescarolo Judd 3:35.456*ガソリンエンジン1位
9 No.12 Rebellion Racing N. Jani / N. Prost / J. Bleekemolen Lola B 10/60 Coupe-Toyota 3:37.404*ガソリンエンジン2位
10 No.13 Rebellion Racing A. Belicchi / J. Boullion / G. Smith Lola B 10/60 Coupe-Toyota 3:38.351*ガソリンエンジン3位

LMP2
1 No.42 Strakka Racing N. Leventis / D. Watts / J. Kane Honda Performance Development Arx 01d 3:42.615
2 No.26 Signatech Nissan F. Mailleux / L. Ordonez / S. Ayari Oreca 03-Nissan 3:43.124
3 No.48 Team Oreca Matmut A. Premat / D. Hallyday / D. Kraihamer Oreca 03-Nissan 3:43.654

GTE-Pro
1 No.56 BMW Motorsport A. Priaulx / D. Muller / J. Hand BMW M3 GT 3:58.426
2 No.51 AF Corse Srl G. Fisichella / G. Bruni / T. Vilander Ferrari 458 Italia 3:58.989
3 No.55 BMW Motorsport A. Farfus / J. Muller / D. Werner BMW M3 GT 3:59.321
4 No.74 Corvette Racing O. Gavin / J. Magnussen / R. Westbrook Chevrolet Corvette C6 ZR1 3:59.519
5 No.73 Corvette Racing A. Garcia / T. Milner / O. Beretta Chevrolet Corvette C6 ZR1 3:59.633
6 No.59 Luxury Racing S. Ortelli / F. Makowiecki / J. Melo Ferrari 458 Italia 3:59.901

6月7日
●2011 ルマン24時間レースウィークスタート

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ2011年のルマンのレースウィークがスタートした。今年のスケジュールは日曜日(6月5日)と月曜日(6月6日)にジャコバン広場で車検、火曜日(6月7日)は夕方にサイン会が行われるのみで、それ以外の公式行事はない。水曜日(6月8日)の午後から、いよいよマシンが走り始める。今年もACOは、2009年以降と同じ日曜日と月曜日にジャコバン広場で車検を行ったが、スピーエルベルクでDTMが、シルバーストーンでFIAGT1が行われているため、特にトップドライバーの何人かが参加しているDTMの影響によって、ファクトリーチームの多くは月曜日の夕方車検を行った。ちなみに同じ5日オートポリスでフォーミュラニッポンが行われていたが、そちらについては、どのような作戦をとっても、月曜日にルマンへ来るのは不可能と考えられたため、ルマンへ参加する2人のアンドレ・ロッテラーとブノア・トレルイエがオートポリスへの参加をキャンセルしたため、影響はなかったようだ。

 昨年から、同じジャコバン広場といっても、従来使われていた劇場と隣接した駐車場部分において、大々的な開発工事が始まったため、寺院正面の駐車場部分で車検は行われている。昨年の場合、記念撮影が行われた場所は、真後ろに寺院が位置する最高のロケーションだったが、どうした訳か、今年の撮影場所は、広場の反対側へ移され、真後ろは最新のショッピングモールとなってしまった。そのため、アストンマーティンやプジョーは、ほんの少し撮影方向をずらして、後ろに多少ルマンの雰囲気が感じられるレストランが入るように工夫していた。ちなみに、このレストランはフランス料理ではなくソーセージやザワークラウトが提供されるドイツ料理店であるため、最良の選択だった訳ではない。

 ルマンに限らず、今週フランスの天気は不安定で、日曜日の夕方には激しい雨が降った。予選が終了する木曜日頃まで不安定な天気は続く見込みのため、最適なタイミングでタイムアタックを行ったチームが上位グリッドを獲得するだろう。
 9日(木)に行われる恒例の記者会見では、FIAワールドエンデュランスチャンピオンシップについての発表が行われるが、それまでにFIAとACOが、どこまで話し合いを進めることが出来るのか?大きな関心を集めている。
 同じ9日の記者会見において、ある日本人が呼ばれているようだ。現在のところACOは正式に発表していないが、もし本当であれば、ACOが日本への関心を失ってないことをアピールするACO流の表現なのかもしれない。

2011年ルマン24時間レーススケジュール

6月8日(水)
16時から20時:フリープラクティス
22時から24時:1回目の予選

6月9日(木)
11時より:正門横のミュージアムにてプレスカンファレンス
19時から21時:2回目の予選
22時から24時:3回目の予選

6月10日(金)
10時から20時:ピットウォーク
18時から20時:パレード(市内中央部)

6月11日(土)
9時から9時45分:ウォームアップ走行
14時22分から:スタート進行
15時:第79回ルマン24時間レーススタート

6月11日(土)
15時:第79回ルマン24時間レースフィニッシュ

6月4日
●2012 FIA World Endurance Championship

Photo:Sports-Car Racing

 6月3日ACOとFIAは、2012年にFIAワールドエンデュランスチャンピオンシップをスタートさせる方向で協力することを決定した。2012年のFIAワールドエンデュランスチャンピオンシップのカレンダーは、今年大々的に行われているACOによるILMCものをベースとする。

 1992年スポーツプロトタイプカーによる世界選手権であるSWCを消滅させた後のFIAは、1998年にFIAGTからGT1カーを失って、GTカーによる世界選手権を崩壊させた。その後ジョン・マンゴレッティの努力によってスポーツプロトタイプカーによるFIASCCが誕生したが、FIASCCはヨーロッパ限定のチャンピオンシップであって、ジョン・マンゴレッティの努力にも関わらず、2003年に消滅してしまった。
 その後FIAはGT1チャンピオンシップの創設を目論んだが、中途半端なプランと、不可解な決定状況によって、それまでスポーツカーレースを支えてきた総てのメーカーが拒否する異常な状況の中、2010年スタートした。もちろん、そのままでは選手権は行えないため、最初FIAGT1が存在を否定した古いクルマの参加を許して、ほとんどの参加者を古いGT1カーとして、スタートにこぎ着けた。もちろん、スタートした段階から、FIAGT1チャンピオンシップは存在を否定されていた。
スポーツプロトタイプカーだけでなくGTカーの世界選手権も崩壊させてしまった。

 対するACOは、ルマンの24時間レースと言うスポーツカーレース最大のカードを持っている。しかし、年に一度のルマン24時間レースだけでは、メーカーやコンストラクターはマシンを開発する資金を捻出し難い。レーシングチームも、エンジニアやメカニックを安定して雇用することは出来ない。
 そのため、ACOはトップレベルのスポーツカーのレースシリーズを求めた。1998年ドン・パノスのALMS成立を支持した理由もここにある。アトランタのドン・パノスが努力していた頃、ACOはヨーロッパと北アメリカと共に、日本を加えた3つの地域をベースとして、ACO自身の管理によって、世界選手権の実現を目論んでいた。しかし、ご存じのように、日本での開催に失敗した結果、ACOは大きな軌道修正を行うこととなった。
 日本での開催に失敗した頃、ヨーロッパの自動車メーカーは、巨大な市場を抱える中国での開催を要求するようになった。そこでACOは、中国での開催を前提として、新たに世界選手権の実現を目指すようになった。そうして2010年ILMCが成立した。2011年ACOによるILMCは、事実上の世界選手権と言える内容だ。

 ILMCが計画されていた頃、多くの人々は、「どうしてFIAは、一部のメーカーのためだけのGT1チャンピオンシップを止めて、ACOと連携しないのか?」と語っている。
 アウディとポルシェは、露骨にFIAGT1チャンピオンシップを批判している。
 FIAは、このようなメーカーの声を無視していた訳ではなかった。昨年9月アトランタでILMCの詳しい内容が公表された際、ILMCについてFIAが関わろうとしていることが明らかとなった。
 残念ながら、アトランタでこのニュースを知った我々は、度々スポーツカーレースを崩壊させ、その時点でも一部のメーカーしか望まないGT1チャンピオンシップを行っていたFIAについて、疑いしか持ってなかった。
 アトランタで質問に応じたALMSのスコット・アタートンも、その段階では正確な内容を把握してなかったようで、「詳しい内容はACOとFIAが発表するだろう」と答えただけだった。
 その後、どのような話し合いが行われたのかは判らない。しかし、ACOとFIAは、両者の目論みが一致した結果、統一した世界選手権の実現を目指すことを決定した。

 ACOとFIAが提携を決定した際、最大の障害となったのは、ルマン24時間レースを含めることだった。スポーツカーレースはルマンの24時間レースを中心として回っているのであるから、FIAワールドエンデュランスチャンピオンシップにルマンが含まれないのであれば、魅力は半減してしまう。もちろん、FIAはルマンの24時間レースの管理もFIAが行うことを望んだ。
現在正式発表前であるため、詳しい内容は判らないが、ACOは「ルマン24時間レースは、ACOの独占的な資産である」との条件を提示して、FIAはACOの要求を認めたことが公表されている。
 つまり、2012年のFIAワールドエンデュランスチャンピオンシップは、ルマンの24時間レースを含んだカレンダーによって行われ、FIAが管理するが、ルマン24時間レースだけは、従来通りACOによって行われる。

 FIAワールドエンデュランスチャンピオンシップの正式発表は、6月9日サルテサーキットの入り口横のルマン24時間ミュージアムで行われる定例記者会見において、ACOのジャン・クロード・プラサートとFIAのジャン・トッドによって行われる。
 今年のルマン24時間レースは、6月11日午後3時にスタートするが、FIAワールドエンデュランスチャンピオンシップ成立を記念して、FIA会長のジャン・トッドがスタートの際旗を振る。

5月27日
●SuperGT岡山フォトギャラリー

http://www.endurance-info.com/version2/photos-endurance.html?page=762&np=0


5月8日
●ILMCスパ-フランコルシャン決勝レース プジョー圧勝 ガソリンエンジンクラスはペスカロロ

Photo:Sports-Car Racing

 コース上では、昨日まで圧倒的な速さを見せつけていたアウディが、次々とプジョーにパスされる、異常事態が繰り広げられている。しかし、急にプジョーが速くなった訳ではないようだ。昨日の予選でアウディは2分1秒台のラップタイムを記録している。フリープラクティスでも易々と2分2秒台のラップタイムで走った。しかし、今日のアウディは、せいぜい2分4秒台で走るのが精一杯だ。
 今週のスパは、従来の5月のスパでは考えられなかった異常と言える、好天に恵まれている。雨が降る気配はまったく無く、霜が降りたのも木曜日だけで、週末が近づくにつれ気温は上昇した。1990年5月のWSPCの時、今年と同じ様な気象条件であったのを我々は思い出した。
 どうやら、アウディが想定しなかった様な、高い路面温度となっているようだ。

Photo:Sports-Car Racing

 1周目No.3アウディをドライブするアラン・マクニッシュはスピンしてしまった。他のアウディのドライバー達もオーバーステアを訴えている。スパは頂上のラコンテシケイン(遙か昔、このシケインが存在しなかった時代、そのままマルメディ方向までコースは延びていた。ラコンテシケインが出来て、現在のスパの原型が出来上がった)から一気に下りとなる。下りでハードブレーキングが強いられるだけでなく、下りの高速コーナーも存在する。そのため、他のコースと比べると、フロントタイヤが大きな負担を強いられる。
  3台のアウディは、次々とフロントタイヤに問題が発生した。フロントタイヤだけでなく、オーバーステアであることから、タイヤの空気圧が適正でないのは明らかだった。予定通り2回目のピットストップの際タイヤを交換したアウディは、その直後、予想しなかった高い路面温度に対して、タイヤの空気圧が適正でなかったことを認めた。もちろん空気圧が高すぎたのだろうが、選択したタイヤの種類の問題や、どうして1回目のピットストップの時、予定を変更して、適正な空気圧のタイヤと交換しなかったのか? については述べなかった。
 そのため、レース後半になるまで、アウディはプジョーに圧倒されることとなった。

Photo:Sports-Car Racing

 フロントタイヤが大きな負担を強いられているのはプジョーも変わらないが、プジョー勢は、午前中に行われたウォームアップランの際、路面温度が高くなると判断したようだ。決勝レースがスタートすると、プジョーの判断が正しかったことが明らかとなった。6列目12番グリッドからスタートした、アレクサンダー・ヴルツがドライブするNo.7プジョーは、最初の1周を走り終えるまでに3位までジャンプアップしている。前を走っているのは、No.2とNo.1の2台のアウディだけだったが、その数周後、アウディ勢は次々とパスされた。
 その後、3台のプジョーがレースを支配することとなった。

Photo:Sports-Car Racing

 プジョー勢の中でタイヤに問題を発生させたのはNo.9だけだった。しかし、高い路面温度が原因ではなかった。レース終盤、荒れたコースによって、コースアウトしたNo.9プジョーはグラベルを走った。その時は何も問題がなかったようだが、次のピットストップの時グラベルを走った際に破損したフロントカウルを交換した。その時にタイヤを交換すれば何も問題なく、プジョーが1→2→3フィニッシュを達成したのだろうが、タイヤを交換しなかったため、その直後右フロントタイヤをバーストさせ、しかも、フロントサスペンションを壊してしまった。フィニッシュ30分前のNo.9プジョーの脱落によって、3台のアウディが一つずつ順位を上げて、1周遅れながら、アラン・マクニッシュ、リナンド・カペロ、トム・クリステンセンのゴールデントリオがドライブするNo.3アウディが3位でフィニッシュすることとなった。

 アウディは、No.1とNo.3がリアカウルを破損しており、ピットで交換したため、これまでアウディが出し惜しみしてきた、先進的な3.7リットル120度V8シングルターボエンジンを、カメラに撮影されてしまった。少なくとも4人のカメラマンが、撮影に成功して、彼らは彼方此方へ売り込みを行っている。当方も2人のセールスマンから売り込みを受け、先進的なアウディエンジンを見ることが出来た。最初にアウディの3.7リットル120度V6シングルタードエンジンを公開するのはイタリアのメディアと考えられている。
 この異常事態にアウディは、自身がエンジンを公開するのではないか?とまで噂されている。

Photo:Sports-Car Racing

 ガソリンエンジンクラスは、2台のレベリオン/トヨタとNo.16ペスカロロが順位を入れ替えながら走っていた。レース後半になっても、この状況は変わらなかったが、次第にペスカロロがレベリオンを引き離し、1分差でガソリンエンジンクラスを制した。ペスカロロとレベリオンは1ヶ月前LMS開幕戦ポールリカールでも同様のレースを行っており、ペスカロロはLMS2連勝を達成した。

 LMP2クラスは、No.46ストラッカHPDの独走が予想されたが、終始ORECA/ニッサン勢がリードすることとなった。速かったNo.26シグナテックが遅れた後、No.46TDSがトップを守りきった。

 GTEクラスは、スタートからNo.71AFコルセ、No.66JMW、No.51AFコルセの3台のフェラーリF458GTCがトップ争いを繰り広げたが、No.66JMWがラコンテから下る際コースアウトしてトップ争いから脱落した。レース終盤No.71AFコルセが、右フロントタイヤをバーストさせたことによって、ジャンカルロ・フィジケラがドライブしたNo.51AFコルセF458GTCが優勝した。

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ILMC第2戦/LMS第2戦スパフランコルシャン決勝レース
1 LMP1 No.7 Peugeot Sport Total Gene / Wurz / Davidson Peugeot 908  161laps  6:02'03.799  2'05.197  201.4km/h
2 LMP1 No.8 Peugeot Sport Total Montagny / Sarrazin / Minassian Peugeot 908  161laps  6:02'46.764 +42.965  2'04.803  202.0km/h
3 LMP1 No.3 Audi Sport North America Capello / Kristensen / McNish Audi R18 TDI  160laps  6:03'04.061  2'04.781  202.1km/h
4 LMP1 No.1 Audi Sport Team Joest Bernhard / Dumas / Rockenfeller Audi R18 TDI  159laps  6:03'15.347  2'05.404  201.1km/h
5 LMP1 No.2 Audi Sport Team Joest Fassler / Lotterer / Treluyer Audi R18 TDI  158laps  6:03'07.212  2'04.937  201.8km/h
6 LMP1 No.16 Pescarolo Team Collard / Tinseau / Jousse Pescarolo / Judd  156laps  6:02'35.422  2'09.999  194.0km/h
7 LMP1 No.12 Rebellion Racing Jani / Prost Lola B10/60 Coupe / Toyota  156laps  6:03'35.687  2'08.970  195.5km/h
8 LMP1 No.9 Peugeot Sport Total Lamy / Bourdais / Pagenaud Peugeot 908  155laps  6:02'04.268  2'03.699*FL  203.8km/h
9 LMP1 No.13 Rebellion Racing Belicchi / Boullion Lola B10/60 Coupe/ Toyota  155laps  6:03'08.028  2'09.439  194.8km/h
10 LMP1 No.10 Team Oreca Matmut Lapierre / Duval / Panis Peugeot 908 Hdi-FAP  152laps  6:02'05.497  2'07.523  197.7km/h

LMP2
11 LMP2 No.46 TDS Racing Beche / Thiriet / Firth Oreca 03/ Nissan  150laps  6:02'06.549  2'12.908  189.7km/h
12 LMP2 No.45 Boutsen Energy Racing Kraihamer / De Crem Oreca 03/ Nissan  150laps  6:02'50.248  2'13.289  189.2km/h
13 LMP2 No.42 Strakka Racing Leventis / Watts / Kane HPD ARX-01d  150laps  6:03'40.554  2'13.693  188.6km/h

GTE
17 GTE Pro No.51 AF Corse Fisichella / Bruni Ferrari F458 Italia  144laps  6:03'28.765  2'22.012  177.5km/h
18 GTE Pro No.89 Hankook Team Farmbacher Farnbacher / Simonsen Ferrari F458 Italia  144laps  6:03'40.448  2'22.712  176.7km/h
19 GTE Pro No.56 BMW Motorsport Priaulx / Alzen BMW M3  144laps  6:03'41.879  2'23.523  175.7km/h

5月7日
●ILMCスパ-フランコルシャンスタート 後方から追い上げたプジョーがアウディを抜く

Photo:Sports-Car Racing

 今年のスパは明らかに普通ではない。雨の降る気配はまったくなく、日が昇るにつれ、どんどん気温が上昇した。午後2時決勝レースがスタートする頃になると、気温は25℃を超えた。
  午後2時5分伝統のスパ1000kmレースがスタートした。ポールポジションのNo.1アウディは出遅れ、2番手のNo.2アウディが、1コーナーのラソースへの侵入でトップに立った。
  後方では、昨日の予選でタイムアタックを行うことが出来なかった3台のプジョーが激しい追い上げを開始した。中でも6列目12番グリッドからスタートしたNo.7プジョーが、アレクサンダー・ヴルツのドライブで素晴らしい追い上げを見せている。次々とライバル達を抜き、スタートから20分後、トップを走るNo.2アウディとテイルtoノーズの体制に持ち込んだ。5周の間No.2アウディのアンドレ・ロッテラーは、アレクサンダー・ヴルツのNo.7プジョーの攻撃からトップの座を守るのが精一杯だった。
  NO.7プジョーはトップに立つと、アッという間に2位を5秒引き離した。その後No.3アウディはスロー走行でピットに戻る等、難攻不落と思われたアウディの編隊は、崩れ始めている。

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 ガソリンエンジンクラスは、予想通りNo.20ASMザイテックが速さを見せ、スタートからトップを快走した。スタートから15分後、ニコラス・プロストのNo.12レベリオン/トヨタは、やっとNo.20ASMザイテックを抜いた。その後No.20ASMザイテックのペースが落ち、ガソリンエンジンクラスのトップ争いは、NO.12レベリオン/トヨタとNo.16ペスカロロの間で繰り広げられている。
レベリオンは、ルマンテストディ前に作り替えたボディによって、やっと360/710-18の大きなフロントタイヤを履くことが可能となった。しかし、まだ、完全にセットアップが進んでないのかもしれない。
  No.10ORECAプジョーは、1時間後ルーティーンピットインの際、何らかの問題を発見して、そのままガレージに入れられた。ILMC2連勝の可能性は無くなったようだ。

Photo:Sports-Car Racing

 GTEクラスは、ポールポジションからスタートしたNo.71AFコルセ、No.66JMW、No.51AFコルセの3台のフェラーリF458GTCによってトップ争いが繰り広げられている。
  ジェイミー・メローのNo.71AFコルセとロブ・ベルのNo.66JMWは、テイルtoノーズの激戦を繰り広げており、その1秒後からNo.51AFコルセのジャンカルロ・フィジケラは、見守っている。
  スタートから1時間20分、続々とピットインが開始されたため、BMW勢が上位に顔を出してきた。

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スタートから1時間30分後の順位
1 LMP1 No.7 Peugeot Sport Total M. Gene / A. Wurz / A. Davidson Peugeot 908  39laps
2 LMP1 No.2 Audi Sport Team Joest M. Fassler / A. Lotterer / B. Treluyer AudiR18TDI +6.689
3 LMP1 No.3 Audi Sport North America D. Capello / T. Kristensen / A. McNish AudiR18TDI +13.144
4 LMP1 No.9 Peugeot Sport Total P. Lamy / S. Bourdais / S. Pagenaud Peugeot 908 +22.909
5 LMP1 No.8 Peugeot Sport Total F. Montagny / S. Sarrazin / N. Minassian Peugeot 908 −1laps

20 LMP2 No.45 Boutsen Energy Racing D. Kraihamer / N. De Crem Oreca 03/ Nissan −2Laps

25 GTE Pro No.71 AF Corse J. Melo / T. Vilander Ferrari F458 Italia −5laps
26 GTE Pro No.66 JMW Motorsport R. Bell / J. Walker Ferrari F458 Italia +3.7
27 GTE Pro No.55 BMW Motorsport A. Farfus / J. Muller BMW M3 2:21.460 −6laps

5月6日
●ILMCスパ-フランコルシャンクオリファイ アウディトップ3独占 ガソリンクラスはレベリオン/トヨタ

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよILMCがヨーロッパで開幕した。3月にセブリングで行われたILMC開幕戦は、準備が整わなかったチームが多く、アウディは旧型のR15を2011年ルールに合わせて改造したR15++を送り込んだ。期待のGTEカーのフェラーリF458GTCも、熟成不足と判断されたため、AFコルセは430GTCをフロリダに持ち込み、ジャンカルド・フィジケラがGTEポールポジションを獲得した。セブリングで総合優勝を成し遂げたのが、ORECAが走らせた、旧ルールのプジョー908HDI-FAPだったことを見ても、慌ただしい状況が理解出来るだろう。
  その後、アウディはR18の開発を進めて、既に改良バージョンを完成させた。残念ながら、ルマンのテストディでさえ、まともに走ることが出来なかったアストンマーティンAMR-Oneは、スパへやって来なかった。

 今年3週間前アルデンヌ地方は豪雨に襲われた。そのため、いくつかのホテルが営業停止に追い込まれる等被害が出ているが、今週のスパは、スパとは思えない晴天が続いている。今回のレースは、木曜日に2回と金曜日に1回フリープラクティスを行って、金曜日の夕方予選、そして、土曜日に決勝レースが行われる。

 3回行われたフリープラクティスの総てで、アウディが素晴らしい速さを見せつけて、タイムボードの上位を独占した。ルマンのテストディでもトップタイムを記録したアウディは、先週R18に搭載されている3.7リットルV6ディーゼルターボエンジンの一部を公開した。アウディのV6ディーゼルターボエンジンは、30年前のフェラーリのF1エンジンの様に、バンク角は120度と広く、上面のVバンク内側にエキゾーストを設けている。しかも、新しいターボシステムによって、何とシングルターボだ。
軽量コンパクトかつハイパワーを両立しているようで、プジョーを圧倒した。

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 先進的なアウディに対して、正常進化のプジョーは遅れをとっている。昨年のプジョーとアウディの関係は完全に逆転してしまったと言えるだろう。プジョーは、シーズンオフのテストで、2度の深刻なクラッシュを経験しているが、昨日午後のフリープラクティスの際、No.9プジョーは、下りの高速コーナーでRMLのHPDと絡んでクラッシュしている。プジョーは修復されたが、RMLは修理を諦めてイギリスへ帰った。

 今日夕方行われた予選の際、セッションが開始されると、3台のアウディは次々とタイムアタックを開始した。速さに劣るプジョー勢は、セッション後半にコースコンディションが良くなるまで、ピットを離れなかった。
3台のアウディは、次々とタイムアップを果たした。ティモ・ベルンハルトがドライブしたNo.1アウディR18は、何と2分01秒502と言う驚異的なタイムを記録してピットに戻ってきた。

 セッション開始10分が過ぎた頃、最終コーナーでNo.93フォーミュラルマンORECAがコースアウトして、最終コーナーで黄旗が振られていたため、プジョー勢はピットを離れるタイミングを探っていた。最終コーナーの黄旗が引っ込められると直ぐ、プジョー勢が次々とピットを離れた。しかし、その直後、No.15 OAKペスカロロがクラッシュした。モノコックを完全に破壊する大きなクラッシュだったことから、直ぐにセッションは打ち切られた。もちろん3台のワークスプジョーはタイムアタックを行うことなくピットに戻ってきた。
  直ぐにセッションは再開されると思われたが、OAKペスカロロのアクシデントは大きく、そのまま予選は終了されることとなった。タイムアタックの機会を失った3台のワークスプジョーの中のNo.8、そしてNo.13レベリオン/トヨタは、タイムそのものを計測する前にセッションが打ち切られてしまった。

 その結果、アウディがトップ3を独占する一方、4位にNo.10 ORECAプジョー、5位にニコラス・プロストがドライブしたレベリオン/トヨタがガソリンエンジンクラスのトップで入った。6位はNo.20 ASMザイテック、7位に復活したペスカロロ、8位に予選打ち切りの原因となったNo.15 OAKペスカロロ、9位にMIKE Corseが走らせたザイテックのハイブリッドカー、10位にLMP2のトップタイムを記録したストラッカHPDが入った。

Photo:Sports-Car Racing

 レベリオンは、ルマンのテストディ前、フロントセクションを一新したニューボディを公開した。しかし、このボディはレベリオンの選択の一つに過ぎなかったようだ。昨日レベリオンは、もう一つのボディを公開した。新たに登場したボディは、フロントノーズに大きな開口部を持ち、ノーズ床下のディフューザーも拡大されていることが予想される。レベリオンは、昨日午前中No.12にルマンテストディで登場したボディを、No.13にノーズ先端に開口部のある新しいボディを取り付けて走って、比較テストを行っていた。どうやら、ジャン・クリストフ・ブイオン(注:ブリオンは間違い)が開発を行っているようで、午後になると、No.13は、一旦開口部の無いボディに交換して、ブイオンはテストを行った。しかし、ブリオンはオールージュでクラッシュしてしまったため、充分なテストを行えなかったようだ。予選では2台共開口部の無いフロントノーズを取り付けて走った。

 ガソリンエンジンクラスにおける、レベリオンの対抗馬は復活したペスカロロと、ポルトガルの一プライベートチームに過ぎないASMザイテックだ。少なくとも速さの面ではASMザイテックは侮る事は出来ない。昨日ASMザイテックは、4台のプジョー勢の一角に食い込むタイムをマークして速さをアピールしていた。
ザイテックは、MIKECorseによって09Hハイブリッドカーを走らせて、9位グリッドを獲得した。
ハイブリッドカーは、スイスのホープレーシングがORECAシャシーにハイブリッドシステムを組み合わせたマシンを開発中だが、今回もエントリーを取り止めている。

 熾烈な争いが繰り広げられているGTEクラスは、予想通りフェラーリ勢が上位を独占した。GTEのポールポジションは、ジャンカルロ・フィジケラではなく、同じAFコルセのチームメイトであるジェイミー・メローのNo.71フェラーリF458GTCが獲得した。フェルベマイヤーのポルシェとBMWが僅差のタイムを記録しているため、決勝レースでは昨年の“プチ-ルマン”の様な激戦が繰り広げられる可能性が高い。
  ジタリアンスのロータス・エボーラは、大きなトラブルはないようだが、速さを発揮するのは、まだ先の話だろう。ロータス・エボーラは、唯一の横置きエンジンGTEカーだ。

Photo:Sports-Car Racing

1 LMP1 No.1 Audi Sport Team Joest T. Bernhard / R. Dumas / M. Rockenfeller AudiR18TDI 2:01.502
2 LMP1 No.2 Audi Sport Team Joest M. Fassler / A. Lotterer / B. Treluyer AudiR18TDI 2:01.788
3 LMP1 No.3 Audi Sport North America D. Capello / T. Kristensen / A. McNish AudiR18TDI 2:02.145
4 LMP1 No.10 Team Oreca Matmut N. Lapierre / L. Duval / O. Panis Peugeot908HDI-FAP 2:05.482
5 LMP1 No.12 Rebellion Racing N. Jani / N. Prost Lola B10/60 Coupe/Toyota 2:06.767 *ガソリンエンジン1位
6 LMP1 No.20 Quifel - ASM Team M. Amaral / O. Pla Zytek09SC 2:07.290
7 LMP1 No.16 Pescarolo Team E. Collard / C. Tinseau / J. Jousse Pescarolo/Judd 2:07.528
8 LMP1 No.15 Oak Racing M. Lahaye / G. Moreau / P. Ragues Oak Pescarolo/Judd 2:07.729
9 LMP1 No.23 MIKE Corse M. Corse / F. Geri / G. Piccini Zytek09H Hybrid 2:08.821
10 LMP2 No.42 Strakka Racing N. Leventis / D. Watts / J. Kane HPD ARX-01d 2:10.016 *LMP2 PP

28 GTE Pro No.71 AF Corse J. Melo / T. Vilander Ferrari F458 Italia 2:20.743 *GTE PP
29 GTE Pro No.66 JMW Motorsport R. Bell / J. Walker Ferrari F458 Italia 2:20.915 *GTE 2位
30 GTE Pro No.51 AF Corse G. Fisichella / G. Bruni Ferrari F458 Italia 2:22.086 *GTE3位
31 GTE Pro No.77 Team Felbermayr-Proton M. Lieb / R. Lietz Porsche 997 RSR 2:21.291 *GTE4位
32 GTE Pro No.55 BMW Motorsport A. Farfus / J. Muller BMW M3 2:21.460 *GTE5位
33 GTE Pro No.89 Hankook Team Farnbacher D. Farnbacher / A. Simonsen Ferrari F458 Italia 2:21.779 *GTE6位

4月1日
●モータースポーツ復活 最初のイベントは4月24日富士F4 5月1日SuperGT富士400km開催決定

Photo:Sports-Car Racing

 本日富士スピードウェイは、5月1日に予定されていたSuperGT富士400kmについて、東日本大震災の復興支援大会として開催することを発表した。大会期間中富士スピードウェイでは、様々なを支援活動が行われる。

Photo:JMIA

 また、ツインリンクもてぎにおける第1戦開催直前、東日本大震災が発生したため、開催が中止されたF4東日本シリーズは、4月24日に富士スピードウェイのチャレンジカップ第1戦においてシリーズ第2戦が開催される予定だったが、本日富士スピードウェイによって、開催されることが発表された。
  4月24日の富士チャレンジカップが、東日本大震災後、公式的に最初に開催されるのモータースポーツとなるが、富士スピードウェイによると、開催期間中会場内に義援金箱を設置すると共に、エントリーフィーの内1,000円を復興支援のため義援金として寄付すると言う。

4月1日
●ILMC最終戦はズーハイ 第2戦スパは土曜日開催

Photo:ALMS

 昨日ACOは、今年のILMC最終戦をズーハイで行うことを発表した。
昨年プロモーターも見つからない状況の中、ACOはILMC最終戦をズーハイで開催している。この時の問題もあって、早い段階からACOは、2011年アジアで行うILMCについて、日本の富士スピードウェイと契約していた。ところが、どうしても中国でのILMC開催を望むメーカーも居たため、中国でも開催を探っていた。
  昨年ズーハイでILMCを開催する直前、新たに中国におけるプロモーターが現れた結果、突然この問題は解決した。ご存じの通り、その結果富士スピードウェイでの開催はキャンセルされたが、2011年に中国での開催が決まっただけであって、その場所は決まらなかった。
  ACOやヨーロッパのメーカーは、上海や、場合によっては北京(市街地コース?)での開催を望んでいたため、ACOは上海や北京での開催を目標として、交渉を続けていた。上海のパーマネントサーキットであれば、問題なく開催出来そうな気がするが、噂によると誘致費用を理由として、交渉は進展しなかったようだ。
  逆に昨年開催したズーハイは、2011年の開催に前向きであるため、デッドラインである6ヶ月前が迫っていることから、ズーハイと契約することが決まったようだ。
  併せて、第2戦スパについて、土曜日に決勝レースを行うことが正式に発表された。

2011 ILMCカレンダー
1. 3月19日 セブリング12時間(USA)
2. 5月7日 スパ-フランコルシャン(BEL)
3. 6月11-12日 ルマン24時間(FRA)
4. 7月3日 イモラ6時間(ITA)
5. 9月11日 シルバーストーン6時間(GBR)
6. 10月1日 “プチ-ルマン”(ロードアトランタUSA)
7. 11月12日 ズーハイ6時間(CHI)

3月25日
●アウディR18エボリューション2登場

Photo:AUDI AG

 セブリング12時間終了後、アウディはそのままセブリングに残って“エボリューション2”と呼ばれる改良型R18による最初のテストを行っている。現在セブリングで走っているのはR18-101とR18-102の2台と、そしてセブリング12時間を走りきったばかりのR15++の1台の計3台だ。

 これまでもアウディは、ニューモデルを登場させた際、実戦に登場するまえ、頻繁に改良を行っている。R15が登場した際、あまりにセンシティブな操縦性に悩まされたアウディは、オリジナルR15によって参加したレースは2009年のセブリング12時間だけだった。直ぐに大胆な改良を施したエボリューションモデルが作られて、2009年のルマンへはR15エボリューションが参加した。その後R15+が開発され、R18のベースとなった。
  開発初期にR8の時代も、次々と新しいボディやモノコック、そしてエンジンが作られた。作り替えられた古いボディやモノコックは、そのままの状態で彼方此方のショーで公開されたため、大きな混乱を招いた。

Photo:AUDI AG

 R18の場合、比較するものが無いため、我々には詳しい現象は判らないが、これまで一緒にテストを行っていたR15++と比べても、決して速いクルマでないことが判明していた。
  アウディによると、R18エボリューション2の主な改良点は、空力の改良、そしてV6TDIエンジンを冷やすためのクーリングダクトの内部抵抗の改良であると言う。
  既にミュルサンヌコーナーのマイク・フラーが空力の改良について分析を試みているが、少なくとも外側から見る限り、極端な違いが加えられている訳ではないようだ。むしろ、R18が登場した際、彼方此方で噂された大きなドラッグを改善することが、エボリューション2の目標と考えられている。

Photo:AUDI AG

 ちなみに、今回のテストは、R18による初めての公開テストだ。と言っても、金曜日にアウディからテストの実施を知らされても、土曜日の夜12時間レース終了後、ほとんどのメディアは日曜日の飛行機で帰る予定だったことから、今週セブリングでR18エボリューション2のテストに立ち会ったメディアは非常に少ない。
  4月24日ルマンのサルテサーキットで行われる公式テストにどのような姿で現れるのだろうか?

3月25日
●SuperGT 第1戦岡山GT300kmレースは5月22日開催

 月曜日に延期を決定したSuper GT第1潜岡山についてGTAは、5月22日に開催する意向であることを発表した。第2戦富士については、現在でも未決定のままだ。4月半ばにSuperGT関係者が集まって、富士と岡山での開催について、正式な判断が行われる予定。
  岡山と富士で、SuperGTと共に開催される予定だったポルシェカレラカップ等の併催レースについても、現在のところ最終決定は行われてないが、元々の予定通りSuperGTと共に開催される方向だ。

3月21日
●SuperGT 第1戦岡山GT300kmレースは開催延期

 株式会社GTアソシエイション(代表取締役 坂東正明)は、東日本大震災の影響を考慮してSuperGT関係者で協議した結果、第1戦岡山GT300kmレースを延期することを決定した。現在のところ、代替スケジュールについては検討中で、決定次第発表されることも併せて発表した。
  第2戦富士GT400kmレース以降の大会については、開催の準備を進める一方、今後の状況を見て、開催についての判断を行うことも決定した。

3月18日
●注意 SuperGT開催は未定??

  下記の3月17日のNewsで掲載したように、昨夜GTAは、第1戦と第2戦の取り扱いについてプレスレリースを発信している。第1戦スタート時に黙祷をささげることまで明記されている。しかし、一夜明けて、開催は決定されてないとするメールが飛び交っている。GTA内部やGTエントラント協会においても混乱が発生しているようだ。
  その後GTAからの正式発表はない。事が事だけに、注意して動向を見守る必要があるようだ。

3月17日
●SuperGT 東北地方太平洋沖地震に対する復興支援を決定 第1戦と第2戦開催決定

 株式会社GTアソシエイション(代表取締役 坂東正明)は、3 月11 日(金)午後に発生した東北地方太平洋沖地震により、広範な地域にわたって甚大な被害が生じていることに鑑み、一日でも早い復興の一助となるよう、被災地ならびに被災者の方々への災害復興支援計画を決定した。
  具体的には、4月2日(土)-3 日(日)に開催予定の2011年SuperGT第1戦「岡山GT300kmレース」、4月30日(土)-5月1日(日)に開催予定の第2戦「富士GT400kmレース」を、「東日本大震災復興チャリティ大会」とすることを発表した。岡山国際サーキット、富士スピードウェイと協力して、売上の一部を義援金とする他、各種チャリティイベントを実施する予定。

 上記対応に加えて、SuperGT全体で今回の大震災で被災された方々への哀悼の意を表するとともに、災害を乗り越えていただくため支援するとの思いから、SuperGT関係者全員が喪章をつけて大会に臨む他、第1戦のレーススタート時に黙とうをささげる。
  また、レーシングマシン全車のフロントウィンドウへの応援メッセージステッカーの貼付、ドライバーやチーム監督からの応援メッセージの発信を行う他、イベントステージにボードを掲出し、観戦にこられたSuperGTファンの方々からの復興応援メッセージを募ることを計画している。

3月15日
●トヨタとホンダは3億円、オートバックス1億円、童夢3,000万円

 東日本大地震によるダメージは計り知れないものがある。直接被害が無かった地域であっても、経済活動は限りなくゼロと言える状況だ。既にホンダは社員を自宅待機させているじ、トヨタも工場が停電しているとあって、まったく生産活動は行われていない。第一東京のガソリンスタンドでさえ、ガソリンが品切れとなっている。
このような状況のため、現在、今年日本で早期にモータースポーツが開催される可能性は非常に少ない。

 東日本大地震によって被災した地域に対して、日本内外の企業によって、続々と義援金拠出が表明されている。真っ先にトヨタとホンダは3億円の義援金拠出を表明した。しかし、東北地方に拠点を持つ楽天や大きな販売拠点でもあるユニクロが10億円を拠出したのを考慮すると決して多くはない。社長に100億円の給料を出しているニッサンに至っては、東日本大地震被災者に対する義援金は、社長の給料の1/30以下の3,000万円だ。
  モータースポーツ復活の日が、いっそう遠くなるように思える内容だが、我々は絶望することはない。東北地方にも販売拠点を持つオートバックスが1億円の義援金拠出の決定を表明していたが、本日、既に童夢が3,000万円を赤十字を通じて寄付していることが明らかとなった。
  林みのるは、JMIA加盟企業に対しても、義援金の拠出を呼びかけている。

3月15日
●LMSポールリカールテスト トップタイムを記録したレベリオン/トヨタからトヨタの文字が消えた

Photo:Sports-Car Racing

 今年のポールリカールテストは、1週間後にセブリングでILMC開幕戦セブリング12時間が開催されるため、ILMCにも参加するチームの多くは、ポールリカールテストへの参加を取りやめて、新しいレギュレーションに併せて作り替えた2011年スペックのマシンをほとんど走らせることなく、直接フロリダに送った。
  ほとんど唯一の例外は、ローラB10-60を4台所有するレベリオンだった。フロリダに2台を送る一方、ポールリカールへも2台を持ち込んで、セッティングを進めようと目論んだ。

 昨年までレベリオンが使っていたレベリオン-ジャド5.5リットルV10エンジンは、事実上ジャドGV5.5S2のバッジエンジニアリング版で、ガソリンエンジン最強の650馬力のパワーを誇るが、常識的なバンク角72度のV10で、しかも前後に長いため、ストレスメンバーとして使用可能な剛性はなく、重さも130kgあった。
  今年レベリオンが使用するトヨタRV8K-LM 3.4リットルV8は、バンク角90度で前後に短いことから、一般的にストレスメンバーとしての剛性を持ち、サブフレームは不要と判断されている。しかも、重さは110kg以下と考えられることから、トヨタRV8-LMを使うことによって、前後の重量配分を大幅に前寄りに仕立てることが可能だ。第一、3.4リットルNAが2011年のLMP1エンジンに決まった際、誰もが予想したのは、前寄りの重量配分となることを活かして、フロントタイヤが大きくなることだった。

 実際2009年、ミシュランはアキュラARX02aのため、リアと同じ大きなサイズのフロントタイヤを開発している。そして2011年には36/71-R18と言う、ほんの少しリアより小さいだけのフロントタイヤも作っている。プジョー、アウディ、アストンマーティン等は36/71-R18サイズのフロントタイヤを選択している。
  前後に短く軽いNA3.4リットルV8を使う場合、間違いなくディーゼルエンジンカーより前後の重量配分が前寄りとなる。つまり、パワーは少なくても、大きなフロントタイヤの性能を引き出すことによって、優れたシャシー性能を実現して、速さを発揮出来る貴重な要素と考えられていた。
  ところが、レベリオンのフロントタイヤのザイズは、近年使われている33/68-R18だった。

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 2011年レギュレーションは、2011年に限って、2010年までの大排気量エンジン付きのマシンでも暫定的に参加を認めている。その際の条件も、2011年ルールのマシンと出力が同等となるようなサイズのリストリクターを装着することだけで、同じ車重と同じ燃料タンクの容量で走ることが可能だ。同じ出力を発生する場合、排気量が大きい方が、より大きなトルクを発生出来るだけでなく、より低い回転数で出力を発生するため、小さなフリクションによって、より高性能を追求し易い。
  つまり、完全な2011年レギュレーションの3.4リットルV8より、2010年までのジャド5.5リットルV10やアストンマーティン6リットルV12GT1エンジンの方が、少なくとも大きな出力を発揮可能と考えられている。

 そのため、完全な2011年レギュレーションマシンのアドバンテージは、コンパクトかつ軽量なエンジンを積むことによる、前寄りの良好な前後の重量配分だけと考えられている。
  残念ながら、ポールリカールにやって来たレベリオン/ローラは、シャシーそのものは、基本的に昨年と同じで、エンジンをレベリオン-ジャド5.5リットルV10からトヨタの3.4リットルV8に積み替えただけだ。
2011年レギュレーションを持つ貴重なアドバンテージを活かしていない。

 このような2011年レギュレーションのアドバンテージを活かすには、大きなフロントタイヤに併せて、上下のフロントカウル、サスペンション、そして、新しいホイールが必要となる。2009年暮れB10-60を発表した際ローラは、2011年に、2011年ルールに合わせたニューマシンを開発することを公表している。2010年モデルのB10-60も2011年レギュレーションに従ってアップデイト可能とさえ述べていた。
  2010年7月には“シャークフィン”ルールに併せて、完全な2011年モデルの開発も公表している。
  しかし、ローラは、完全な2011年バージョンのLMP1を1台も販売していないようだ。
  大きなホイール、新しいフロントカウル、サスペンションを導入するには、ニューマシンを買うのと同程度のコストが必要となる。もちろん、ポールリカールテストの翌週、フロリダでILMC開幕戦セブリング12時間が開催される等、チームにとって、充分な準備を行えなかった事情もあるだろう。

 テスト1日目レベリオンローラに積まれたトヨタエンジンには、ハッキリとトヨタのロゴが描かれていた。しかし、2日目になると、トヨタエンジンのトヨタのロゴは、黒く塗りつぶされてしまった。ちなみに、マシンのカラーリングも、もし、トヨタのロゴが入っていても、何も不思議でないようなデザインだが、マシン外側には、ポールリカールにやって来た時から、トヨタのロゴは一切無く、“TMG”の文字が入れられているだけだった。 レベリオンローラは、トヨタとどのような関係なのだろうか?

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3月11日掲載のNewsの写真と比べると明らかな様に、ヘッドカバーにあった
トヨタのロゴが黒く塗りつぶされていることに注意。

3月15日
●復活したペスカロロ

Photo:Sports-Car Racing
タイヤと同じブラックに塗られているため判り難いかもしれないが、2008年の
ポルシェRSスパイダーと同じ様な、ホイール外側にリング状のホイールカバー
フロントにのみ取り付けられている。

 今年のポールリカールテストの一方の主役は復活したペスカロロだった。テスト1日目の夕方ペスカロロは、自身のピットで記者会見を開催した。そしてアンリ・ペスカロロ自ら、復活した状況を説明した。
  昨年10月15日ペスカロロスポーツの資産が競売にかけられた時、ペスカロロの友人であり支援者であるジェエル・リビエールとジャック・ニコレによって、多くの資産は買い取られた。それらは充分に1つのレーシングチームが活動出来る内容で、新しいレーシングチームに寄付されることになった。
  この新しいレーシングチームが、今回ポールリカールへやって来た「Pescarolo Team」だった。

 新しいチームは、モチュール、ラ・サルテ(県?)、プレイステーション、ミシュラン、スカニアが、以前と同様支援することを表明している。ペスカロロによると、新しいパートナーのいくつか見つかっているそうだ。
11月オートビジョンを率いるパスカル・カラスが我々と一緒に働くことを承諾してCEOに就任した。パスカル・カラスはマーケティングの専門家だ。そして「Pescarolo Team Autovision」が誕生した。

 既にパスカル・カラスは、いくつかのスポンサー(Nerim、Eolen、Renault Rent etc)との契約に成功している。総てが中古でスタートするハズだった新生ペスカロロだが、ルノー・レントとのスポンサー契約に成功した結果、真新しいトランスポーターによってポールリカールまでP01を運んできた。
  1月には、ルマンのテクノパルクの工場が再開された、スタッフの多くも馴染みのメンバーで、テクニカル・ダイレクターには、ペスカロロの復活を聞きつけたクロード・ガローピンが復帰した。

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  使用するシャシーはP01-08だ。P01-08は2009年のルマンでペスカロロ自身が走らせたシャシーで、最後までペスカロロの工場に残されていた。2009年シーズン最終戦(優勝した岡山!)終了後2010年に向けてモデファイが行われた状態で保管され、10月に競売にかけられたシャシーだ。
  2009年のLMSで、ガソリンエンジンを搭載することを条件とするなら、最速のLMP1カーはペスカロロP01だった。2009年の段階でフロントに直径が大きい33/68-R18サイズのタイヤを履いていた。もし、このP01にトヨタやHPDの3.4リットルV8を組み合わせれば、2011年の最良の選択が完成すると思われるが、ペスカロロが選んだのは、2009年と同じジャドの5.5リットルV10に小さなリストリクターを組み合わせて搭載することだった。ジャドによると、2011年レギュレーションが求める、小さなリストリクターを装着することによって、最大出力は100馬力少なくなってしまうが、トルクはむしろ大きくなっている。
  2009年最後のスペックと比べると、フロントタイヤの外側にホイールカバーが取り付けられる等空力開発が進化していることと、2011年ルールに併せて、75リットル燃料タンクを使うことが大きな違いと言えそうだ。

 今年新生ペスカロロは、エマニュエル・コラールとクリストフ・ティンサウのドライブによってLMSとルマン24時間に参戦する。ルマンで乗り組む、もう一人のドライバーも、近々決定するだろう。
  そして、2012年にはILMCへ参戦することも公表している。
  たぶん、2012年に併せて、新しいパートナーシップを組むエンジンメーカーとの契約を目指すことになるのだろうが、3.4リットルV8ガソリンエンジンを作るメーカーだけでなく、ポールリカールでは、有力なディーゼルエンジンのメーカーがペスカロロとの契約を望んでいるとの噂が流れている。
  ペスカロロの復活を歓迎したい。


3月15日
●LMSポールリカールテスト コンスタントに速く走ったASMザイテック

Photo:Sports-Car Racing

 LMSポールリカールテストが開始されると、真っ先にコースインしてトップタイムを記録したのが、ポルトガルからやって来たASMチームのザイテック09SCだった。彼らは、昨年まで走らせていた09S LMP2カーをベースとして、16インチ幅のタイヤを組み合わせたLMP1カーを持ち込んできた。昨年ナイジェル・マンセルが走らせたザイテック09SもLMP1バージョンだった。同じダンロップタイヤを履くこともあって、そのマシンに最新の空力パッケージを盛り込んだのが、今年ASMチームが走らせる09SC LMP1カーと言えるだろう。

 では、どこが新しいのか?と言うと、ノーズ左右を見てもらいたい。従来の09Sにも、フロントタイヤハウスから排出される、フロントディフューザーの空気をコントロールするため、縦方向のウイングが取り付けられていたが、その縦方向のウイングの外側のノーズ先端部分に、もう1枚、縦方向の小さなウイングが設けられた。
  また、リアウイングは、ザイテックもついに“スワンネック”によってマウントされることとなった。
  ザイテックの技術陣が目論んだ様に、大きくドラッグが削減されているようで、強力なトヨタエンジンを積むレベリオンローラを破る最高速度を記録している。
  ダンロップが供給するLMP1タイヤは、フロントが330/680-R18で、昨年までのミシュランと同じサイズだ。

 エンジンルームを見ると、見慣れたザイテックの3.4リットルV8が搭載されている。“屋根無し”の場合、エアボックスの容量を充分に確保出来ないことが大きな悩みだが、09SCの場合、リストリクターが存在する助手席のヘッドレスト後方部分だけでなく、ドライバーのヘッドレスト後方部分までエアボックスとして活用して、少しでも大きなエアボックス容量を確保する努力を行っている。この工夫によって、レギュレーションが許す限界までエアボックス容量を確保出来たとは思えないが、弱点を改善していることは間違いない。
  元々優れた前後の重量配分を誇るマシンであるため、ザイテックとASMのエンジニア達は、すでにフロントタイヤの能力を引き出すセッティングを見出していることだろう。この点がレベリオンとの大きな差だ。

Photo:Sports-Car Racing

 テスト1日目、ドライコンディションだった午前中、ASMザイテックはトップタイムを記録した。その後雨が降った後も、ASMザイテックはトップタイムを記録している。夕方になって、雨が止んでコースが乾いてきた時、レベリオン/トヨタとペスカロロがタイムアタックを行って、ほんの僅か、ASMザイテックが午前中に記録したタイムを上回った。ASMザイテックは夕方にタイムアタックを行っていないが、レベリオン/トヨタ、ペスカロロ、ASMザイテックの3台の差は、0.3秒以内の僅差でしかなかった。
  2日目、元々強風と雨の嵐の様な天気が予報されていたが、午前中はポールリカール名物のミストラルが吹き荒れただけで、ドライコンディションが保たれた。その状態でもASMザイテックがトップタイムを記録した。
  午後予報通り雨が降り出しても、ASMザイテックがトップタイムを記録している。
  LMSにはディーゼルエンジンカーはシリーズ参戦していないため、レベリオン/トヨタ、ペスカロロ、ASMザイテックの間でトップ争いは繰り広げられると考えられている。レベリオン/トヨタの速さがこの程度である場合、純粋なプライベートチームに過ぎないASMザイテックが、成功するチャンスがあるようだ。

3月15日
●News掲載再開

  ポールリカールにおいて、ポールリカールの方々、ACOの方々、レーシングチームの方々、そして世界中のメディアの方々から、被災した日本に対するお見舞いの言葉を頂きました。地震が発生したのはフランス時間の朝7時頃ですが、直ぐフランスのTVでも日本からの中継が行われるようになり、11日と12日は1日中特別番組が放送されました。
  SpeedTVのマーシャル・プルートはサンフランシスコに住んでいるが、サンフランンシスコでも津波がやって来たことを報告すると共に、日本の惨状に心を痛めていることを連絡してきた。日本と付き合いの長いジョン・ブルックスやエンデュランスインフォのクロード・フーボルトも、日本を心配していることを何度も連絡してきた。
  彼らの総てが、早く日本が復活することを望んでいる。

  デッドライン考えられる72時間が経過しました。被害が明らかになるにつれて、戦争以外では、かつて無かった様な大きな被害を東北地方が受けている事が明らかとなりました。同時に、直接の被害は、ほとんど無かった地域でも、例えば東京都内では一見通常と変わらないように見えますが、ガソリンスタンドにはガソリンは無く、計画停電の影響によって、駅にはあふれるような大行列だ出来ています。それでも東京都内の路線は運転されていますが、東京と埼玉や神奈川を結ぶ路線は、ほんの僅かしか運転されていません。このような状況の中、モータースポーツが行うことが許されるとは考えられません。
  しかし、情報が提供されないのであれば、間違った判断を生むこととなります。Sports-Car Racingの場合、現在、日本で唯一、ルマンに代表されるスポーツカーレースの情報を提供しているメディアとなっております。11日自身発生後、当方がNewsの発信を停止した後であっても、既に誤った情報が流されて、一部の方々が混乱する状況となっています。
  そのため、正確な情報、特に生の(直接取材した!)情報の発信を再開することを決定しました。
  取りあえず、当初11日と12日に掲載される予定だったポールリカール関連のNewsを掲載いたします。

3月13日
●SuperGT公式テスト中止

  本日GTAは、来週末岡山で開催する予定だったSuperGT公式テストについて、東北地方太平洋沖で発生した地震の被害は極めて甚大であり、SuperGTとしても、被災された多くの方々の心情を鑑み、また、テストに伴う車両等の輸送や関係者の移動により災害の復旧活動に支障をきたさないように考え、さらに、未だ余震が続く中でテストを観戦される方、ドライバー、チームスタッフ他関係者の安全を考え、この状況下での公式テストの開催は非常に困難と判断し、中止を決定した。
  4月に開催予定の第1戦については、現在のところ、開催する予定でいるようだ。

*注:通常のNewsについては 3日間の掲載自粛を継続します。

3月11日
●3日間の掲載自粛のお知らせ

 今日ポールリカールテストが開始されました。レベリオン/トヨタや復活したペスカロロ等、見所のあるテストですが、日本では大地震によって大きな被害が出ています。モータースポーツにおいても、今週末ツインリンクもてぎにおいて、F4東日本シリーズ開幕戦が行われる予定でしたが、ツインリンクもてぎも被害を受け、もてぎ地方一帯が停電していることから、既にF4シリーズの休止を決定する一方、練習走行の取り止めも決定しています。このような状況において、モータースポーツを楽しむことが許されとは考えられません。
  日本が未だ夜中であることもあって、被害すら判然としない状況のようです。被害に遭われた方々の動向が判明するまで、最低3日間当Sports-Car Racing.netは、掲載を自粛いたします。
被害に遭われた方々の無事を祈らせて頂きます。                                    鈴木英紀

3月11日
●LMSポールリカール公式テストスタート レベリオン/トヨタ登場


Photo:Sports-Car Racing

 日本での大地震の映像がTVで流れた直後、ポールリカールではLMS公式テストがスタートした。今回のテストは、ポールリカールで行われる貴重な合同テストであるにも関わらず、来週末セブリングでILMCとALMSの開幕戦が行われるため、例年と違って、27台のヨーロッパ勢だけのテストとなってしまった。
  話題のレベリオン/トヨタは、今回がワールドプレミアとなった。既に2日前レベリオンは2台のローラ/トヨタをフロリダに送り出したが、ポールリカールにも2台のローラ/トヨタを持ち込んでいる。
  2時間目に走り始めた状態であるため、現在のところ詳しい情報は無いが、今回レベリオンがポールリカールに持ち込んだローラ/トヨタは、昨年走ったレベリオン-ジャドを搭載したマシンに、トヨタの3.4リットルV8を積み替えただけであるようだ。もちろん、軽量コンパクトなトヨタエンジンに併せて、新しい長いベルハウジングが組み合わせられているため、前後の重量配分は前寄りとなっているだろう。しかし、前寄りの重量配分となったにも関わらず、フロントに履いているタイヤのサイズは33/68-R18だ。このタイヤは2008年に登場したもので、昨年まで前後の重量配分が前寄りのマシンの多くが使用していた。ジャドの5.5リットルV10を積んでいた昨年のレベリオンも使っていたタイヤだ。

 せっかく前後の重量配分が前寄りになったにも関わらず、充分な準備を行っていたレベリオンが、このような小さなタイヤを履くとは考えられない。もしかしたら、セブリングに送り出した2台のローラ/トヨタは、大きなフロントタイヤを組み合わせているのかもしれない。あるいは、今年登場した36/71-R18を使うのであれば、ホイールも新しく調達しなければならないことから、今週ポールリカールで走っているローラ/トヨタと来週セブリングで走るローラ/トヨタは、大きく違う可能性もあるだろう。

 午前10時30分過ぎから断続的に雨が降り始めたため、雨が降り始める前に好タイムを記録したASMザイテックがトップタイムを記録して、走り始めが遅かった、復活したペスカロロとレベリオン/トヨタがASMザイテックを追う状況となっている。このようなコンディションの場合ダンロップタイヤが威力を発揮するため、雨が降り出した後もASMザイテックは好走している。

3月10日
●ローラ/マツダのハンデキャップルール決定 1段階小さなリストリクターと引き替えに850kgの車重

Photo:Sports-Car Racing

 昨日IMSAは、来週セブリングで開幕するALMSのための最後のレギュレーションを発表した。
最もIMSAを悩ませていたのは、数少ないLMPクラスのエントラントであるダイソンが走らせるローラ/マツダについて、どの程度の恩恵処置を与えるか?と言うことだった。ダイソンのローラ/マツダは、1ヶ月前にセブリングで行われたALMS公式テストの際、LMP1クラスにエントリーするにも関わらず、2008年までのACOルールの2mリアウイングとLMP2クラスと同じ幅14インチの小さなタイヤ履いて走行して、850kg以下の軽い車重や2mリウイング、大きなリストリクター等恩恵処置を認めるようアピールしていた。
  しかし、現在のLMP1レギュレーションは、タイヤ幅は16インチ、リアウイング幅は1.6m、車重はLMP1でもLMP2でも900kgだ。ダイソンが要求している恩恵処置は、現在のレギュレーションとは全く違う内容であるため、ACOは当然、IMSAも総てを認めることはないだろう、と考えられていた。

 昨日IMSAが発表した内容は、タイヤについては、LMP1クラスにエントリーする場合、最大幅16インチであって、幅14インチのタイヤを使用することを理由とした恩恵処置は与えない。リアウイングについても、既に2009年以降LMP1でもLMP2でも幅1.6mであるため、2mリアウイングは認めない。しかし、レスポンスの悪いAERマツダエンジンの性能を考慮して、一段階小さな直径41.4mmのリストリクターを装着することを条件として、50kg軽い850kgの車重で走ることを認めるとした。昨年ダイソンは、リストリクターのサイズダウンではなく、最大ブースト圧を引き下げることを望んで、IMSAは直径45mmの大きなリストリクターをローラ/マツダに与える際、2,300mbarの低い最大ブースト圧を条件としたが、既に3年間もIMSAはマツダに恩恵処置を与え続けているため、他のエントラントから同意を得ることが出来なかったようだ。

  同時にGTEクラスのランボルギーニ・ガイヤルドLP564-4についても、恩恵処置が発表された。WESTレーシングのランボルギーニが公式の場所で走ったのは、1ヶ月前のALMSセブリング公式テストだった。その際のポルシェ、フェラーリ、コルベット等のGTEクラスのライバル達に対して、ランボルギーニは常に3秒から4秒遅いラップタイムでしか走ることが出来なかった。ガイヤルドLP560-4の遅さは、WESTレーシングやヨコハマタイヤにとっても、大きなの誤算だったようだ。この結果、ガイヤルドLP560-4は、ACOがGTEクラスに設けた、ラップタイムが0.5%以上遅いクルマに与えられる、性能向上処置の対象となった。ガイヤルドLP560-4は、車重1,200kgと直径29.5mm×2のリストリクターで走ることが許された。


3月9日
●Porsche Rennsport Reunion IV 開催決定

Photo: Porsche Cars North America, Inc

 ポルシェはRennsport Reunionと題する、これまでもヒストリックレーシングスポーツカーのイベントを開催しているが、今年10月14日〜16日ラグナセカにおいて、4回目のRennsport Reunionの開催が決定した。
  これまで3回開催されたRennsport Reunion同様、ツァフェンハウゼンのポルシェ博物館やコレクターが所有する多数のレーシングポルシェが参加する予定だ。1950年代の550、718、804、904、356、1970年代の917や935、1980年代の956と962、そして今回は近年の911GT3Rの参加も決定した。
  日本で911GT3Rは現役のレースカーだが、北アメリカやヨーロッパでは既にヒストリックカー扱いで、手頃な値段故、彼方此方のヒストリックカーレースで走っている。30台以上の911GT3Rの参加が見込まれている。
  これまでライムロックパーク等でもRennsport Reunionは開催されたが、やはりヒストリックスポーツカーのイベントに最適な場所はラグナセカだろう。

Photo: Porsche Cars North America, Inc

3月2日
●アストンマーティンがAMR-One発表     エキューリーエコッセはDBRS9でスポーツカーレースに復活
Photo:Aston Martin Racing

 今日アストンマーティンレーシングは、AMR-One LMP1カーを発表する。
昨年7月に公表されたように、AMR-Oneは“屋根無し”のLMP1カーで、新たに開発された2リットルの直6ターボエンジンを搭載する。非常に軽い2リットル直6ターボエンジンを搭載することによって、前後の重量配分を前寄りとすることが可能となるため、フロントにも従来より一回り大きなタイヤを履く。
  今年ミシュランが新たにLMP1へ供給するタイヤは、フロント36/71-18、リア37/71-18で、ほんの少し小さいだけで、ほとんどリアと同じサイズのタイヤをフロントにも履く。
  前寄りの前後重量配分となることで、大きなフロントタイヤの能力を引き出し易くなるが、フロントタイヤが大きくなることによって、フロント床下のディフューザーのスペースが小さくなってしまう。童夢がS102に従来と同じサイズのフロントタイヤを採用した理由も、ディフューザーのスペースが減ってしまうことだった。

 アストンマーティンレーシングは、ローラ-アストンマーティン同様、風洞実験ではなくCFDによってAMR-Oneの空力開発を行った。その結果、写真で判る様に、少し前のF1GPマシンの様な極端なハイノーズとすることで、フロントノーズ床下のスペースを確保している。しかも、最近のトレンドと違って、フロントホイイールハウス直後のサイドボディにはノーズ床下のディフューザーから空気を吸い出す切り欠きは無く、1992年のトヨタ・イーグルMK3の様にサイドボディは上下に高い。リアホイール手前の下半分にスリットが設けられている。

Photo:Aston Martin Racing

 アストンマーティンレーシングによると、2リットル直6ターボエンジンは540馬力を絞り出す。つまり、トヨタやホンダ、あるいはポルシェの3.4リットルV8と同程度のパワーを発生するが、問題は、AERマツダが苦労しているように、充分なスロットルレスポンスを実現出来るのか?と言うことだろう。
  Xトラック製6速ギアボックスには空気圧を使ったパドルシフトシステムが組み合わせられる。
  大方の予想によると、AMR-Oneは12月に走り出すと考えられていた。しかし、ILMC(インターコンチネンタルルマンカップ)開幕戦のセブリング12時間の3週間前に完成したため、到底来週行われるポールリカールテストへの参加は不可能で、直接フロリダに送られるのだろう。

Photo:Ecurie Ecosse

 アストンマーティンを巡る話題としては、1950年代にジャガーDtypeで大活躍を披露して、28年後1980年代ローバーエンジンを積んだグループCカーでスポーツカーレースに復活してC2チャンピオンを獲得したエキューリーエコッセが、24年ぶりにDBRS9によってスポーツカーレースに復活する。
  近年アストンマーティンと共に活動しているバーウェルモータースポーツと連携するようだが、7月に行われるスパ-フランコルシャン24時間レースにおいて、大々的に復活する。

*注:V6は間違いです。直列に訂正しました。

2月25日
●ポルシェの本気

Photo:Sports-Car Racing

 今年SuperGTへ、新たに数台のポルシェ997GT3Rがエントリーする。既にディレクションチームの997GT3Rには、濱口弘とカルロ・ヴァンダムが乗り組み、ムーンクラフトがメンテナンスを担当して、ヨコハマタイヤの開発も行うことが発表されている。てっきりカルロ・ヴァンダムはGT500のチームと契約すると思われていたため、突然現れた強豪チームに、誰もが驚かされたことだろう。

 ポルシェジャパン自身が最初に発表した997GT3Rチームはアートテイストで、その際2年連続カレラカップチャンピオンの清水康弘と共に乗り組むドライバーは公表されなかった。ディレクションの強力な体制を考慮すると、ライバルのアートティストが中途半端なドライバーを乗り組ませるとは考えられなかったが、本日ポルシェジャパン、ポルシェAGのファクトリードライバーのパトリック・ピレが、清水康弘と共にアートテイストの997GT3Rのステアリングを握ることを発表した。パトリック・ピレは、昨年スパ-フランコルシャン24時間レースで2位に入賞したため、日本のポルシェファンの中でも知られた存在だったようだ。

Photo:Porsche Japan KK.

 今年コックス自身が4台の997GT3Rを日本に輸入しただけでなく、昨年ヨーロッパで販売された数台の997GT3Rも日本へ持ち込まれることが予想されている。11年ぶりの出来事に、ポルシェも本気を出したようだ。

2月20日
●現実的な選択を行ったダイソン

Photo:Sports-Car Racing

  昨年ダイソンのローラ/マツダは、搭載するAERマツダエンジンに、直径45mmのリストリクターを装着して2,300mbarの最大過給圧で運転している。また、LMP2カーにも総合優勝争いを権利を与えるため、2008年以前のルールの幅2mのリアウイングを組み合わせる一方、サイトスポーツのポルシェRSスパイダーと共に、800kgの車重で走行することも許されている。これらの優遇処置の効果は大きく、2010年ダイソンのローラ/マツダは、しばしばLMP1カーと総合優勝争いを演じている。

 元々2リットルのターボエンジンのルールは、直径42.9mmのリストリクターと2,500mbarの最大過給圧であるが、IMSAは、性能向上処置による45mmのリストリクターによって、より大きなパワーを許す一方、AERマツダが使うイソブタノール燃料のオクタン価が、通常のE10燃料(エタノール10%含有)よりも高いことから、最大過給圧を引き下げたことを説明していた。もちろん、これらの説明は、理由に過ぎない。本音は、総合優勝争いが出来るLMPカーを1台でも確保することを狙って、苦労の末に作ったルールだ。

 2011年のACOのLMP1レギュレーションは、2010年のLMP2カーに幅16インチのタイヤを組み合わせたものであるため、ACOだけでなくIMSAやALMSの面々も、世界中の総てのレーシングチームが納得出来る内容と判断していただろう。特にLMP2カーを走らせていたレーシングチームは容易に対応可能と考えられていた。
  しかし、LMP2カーを持っていても、幅16インチの大きなタイヤに対応するには、サスペンションを交換するだけでなく、前後のカウルと幅16インチの大きなホイールも買わなければならない。

 また、2009年と2010年ALMSのローカルルールに従って、2008年以前の幅2mのリアウイング付きで走っていたレーシングチームは、新たに1.6mリアウイングも買わなければならない。
  ダイソンが走らせるローラB09-80をLMP1カーのB10-60にモデファイするには、1.6mリアウイングを除いても、20万ユーロが必要だ。サスペンションだけ買い換えて、前後のカウルを改造する方法も可能であるらしいが、その場合も10万ユーロ程度は必要であるらしい。
  そのため、ダイソンはIMSAとの間で、現実的な方法について話し合いを行っている。

Photo:Sports-Car Racing

 先週セブリングで走った際の内容は、IMSAと話し合っているスペックの1つであったらしく、正式なACOルール通りの直径42.9mmのリストリクターと2,500mbarの過給圧を組み合わせたエンジン、2008年以前のACOルールの2mリアウイング、LMP2カーの幅14インチのタイヤ、そして車重は850kgだった。
  同じセブリングテストの際サイトスポーツが走らせたアストンマーティンDBR1-2と比べると、約2秒遅いことから、このままの内容が認められる可能性が高い。むしろ、セブリングテストでの速さを考慮すると、第2戦ロングビーチまでは不可能としても、6月にルマンが終了して、ALMSのシリーズが再開されるまでに、ダイソンに対して、何らかの優遇処置が与えられる可能性が高いように思える。
  しかし、10月にはILMCとALMSのダブルタイトルレースが“プチ-ルマン”で行われるため、ダイソンに優遇処置が与えられても、“プチ-ルマン”に遠征してくるILMC勢に影響しない範囲となるかもしれない。

2月18日
●LMSポールリカールテストへ26台が参加

Photo:Sports-Car Racing

  3月11〜12日ポールリカールにおいて、毎年恒例のLMS合同テストが行われる。ウルトラハイスピードのポールリカールで行われるだけでなく、夜間走行も可能な貴重なテストであるため、2月にセブリングで行われるALMS合同テストと並んで、その年のスポーツカーレースの動向を占う貴重なイベントとなっている。
  ところが、今年は1週間後、ILMCとALMSの開幕戦であるセブリング12時間レースが開催される。セブリングは、ローカルルールとして、本番レースの1週間前から走行することが可能だ。つまり、ポールリカールテストがスタートした日に、セブリングでも走行が開始される。そのため、ILMCに参加しているチームの多くは、ポールリカールテストをキャンセルして直接セブリングに機材を送っている。

 タイトなスケジュールを考慮したACOは、元々ポールリカールテストが終了した翌日の13日、マルセイユ発のチャーター便を手配している。ポールリカールテストに参加した後セブリングに向かうチームは、ローラ/トヨタを走らせるレベリオンと、ポールリカールで2台目のフェラーリ458GTCのシェイクダウンを行うCFコルセだけと考えられているが、ILMCに参加するものの、1週間前から走らないチームの多くも、このチャーター便を使ってフロリダ半島へ向かうようだ。

 既にセブリングテストの際、今年のGTカーの目玉であるフェラーリ458GTCがデビューして、ポルシェも2011年バージョンの997GT3RSRを走らせている。しかし、セブリングで走ったニューマシンは、北アメリカで供給されるE85燃料の使用を前提として開発されている。ヨーロッパで使用されるE10燃料の使用を前提として開発されたエンジンは、ポールリカールでデビューする。フェラーリ458GTCとポルシェ997GT3RSRだけでなく、JOTA(ジオタ)が走らせるアストンマーティン・ヴァンテッジもポールリカールでデビューする。

 最大の目玉は、初めて公の場で公開されるレベリオン・ローラB10-60/トヨタだ。既にレベリオンは、1台のローラをセブリングに送っているようで、ポールリカールで走る2台のローラ/トヨタは、ルマンを想定した本格的なテストを実施することだろう。
レベリオン・ローラは、3.4リットルエンジンと幅16インチのタイヤを組み合わせた、完全な2011年ルールのLMP1カーだ。対抗馬と期待されるのは、復活したペスカロロだ。ペスカロロは2009年に開発したP01EVO/ジャド5.5リットルV10をベースとして、2011年ルールの小さなリストリクターを取り付けたマシンを走らせる。昨年までと比べると約100馬力パワーダウンしているが、セブリングでサイトスポーツのアストンマーティンが、事実上1年前と同じタイムで走った様に、大排気量エンジンのアドバンテージは大きい。
  セブリングでは、ダイソンのローラ/マツダが、暫定バージョンで走行したため、完全な2011年ルールのLMP1カーと旧ルールのLMP1を改造したマシンとのポテンシャルの差は把握出来なかった。
  今回のポールリカールテストは、レベリオンvsペスカロロだけでなく、完全な2011年ルールと旧ルールのLMP1カーのポテンシャルを占う最初の機会となるだろう。

LMP1
No.12 REBELLION RACING LolaB10/60 Coupe-Toyota
No.13 REBELLION RACING LolaB10/60 Coupe-Toyota
No.16 PESCAROLO TEAM Pescarolo-Judd
No.20 QUIFEL-ASM TEAM Zytek09SC

LMP2
No.36 RML HPD ARX-01d
No.39 PECOM RACING LolaB11/40-Judd/BMW
No.40 RACE PERFORMANCE Oreca03-Judd/BMW
No.41 GREAVES MOTORSPORT ZytekZ11SN-Nissan
No.44 EXTREME LIMITE AM PARIS NormaM200P-Judd/BMW
No.46 TOP DRIVE SERVICES Oreca03-Nissan

LMGTE Pro
No.51 AF CORSE Ferrari F458 Italia
No.70 KESSEL RACING Ferrari F458 Italia
No.75 PROSPEED COMPETITION Porsche 997RSR
No.76 IMSA PERFORMANCE MATMUT Porsche 997RSR
No.77 TEAM FELBERMAYR-PROTON Porsche 997RSR
No.79 JOTA Aston Martin Vantage
No.89 HANKOOK TEAM FARNBACHER Ferrari F458 Italia

LMGTE Am
No.61 AF CORSE Ferrari F430
No.67 IMSA PERFORMANCE MATMUT Porsche 997RSR
No.72 AF CORSE Ferrari F430
No.82 CRS RACING Ferrari F430

FLM
No.91 HOPE POLEVISION RACING Formula Le Mans-Oreca09
No.92 NEIL GARNER MOTORSPORT Formula Le Mans-Oreca09
No.95 PEGASUS RACING Formula Le Mans-Oreca09
No.99 JMB RACING Formula Le Mans-Oreca09

2月10日
●ALMSセブリングウインターテスト終了 ダイソンのローラ/マツダは2010年スペックで参戦

Photo:Sports-Car Racing

 昨日晴天と大きく変わって、セブリングは厚い雲に覆われた木曜日を迎えた。何時雨が降っても不思議ではないような空模様の中、朝8時、予定通り2日目のテストが開始された。しかし、強い西風によって、9時過ぎ早くも雨が降り始めた。15分ほどで雨は止んだが、コースが乾くまで30分ほど、誰も走行を再開しなかった。
ストリートコースと変わらないコンクリート路面のセブリング故、直ぐにコースは乾いて、走行が再開された。

 昨日ダイソンは幅2mの2008年ACOスペックの大きなリアウイング(ALMSの場合2010年までのスペック)と幅14インチのタイヤを履いて走行していた。ダイソンが走らせるローラB09-80(マツダエンジン用エンジンマウントとベルハウジング付きのため、ダイソンはB09-86と名乗る)は、前後のボディカウルをLMP1カーのB10-60のものと交換するだけで幅16インチのLMP1カーのタイヤを履くことが出来るため、テスト2日目にはフルLMP1スペックで走行するものと考えられた。ところが、ダイソンローラは、2日目になっても、幅2mの大きなリアウイングと幅14インチのLMP2カーの小さなタイヤを履いて走り出した。

Photo:Sports-Car Racing

 直接ダイソンに聞いたところ、現在話し合っている最中と前置きしながら、今年2010年のLMP2スペックで、LMP1クラスに参戦する計画であることを明らかとした。今回セブリングで走っているスペックは、幅2mの2008年ACOスペックのリアウイング、幅14インチのLMP2カーのタイヤ、そしてエンジンのリストリクターとブースト圧は2010年のALMSスペックとのことだ。
現在IMSAとALMSに対して、幅14インチのLMP2カーの小さなタイヤを使うことを条件として、幅2mの大きなリアウイングの使用を認めるよう交渉中とのことだ。もちろんLMP1クラスからの参戦だ。
  昨年ダイソンのローラ/マツダは最低800kgの車重で走っている。ところが2011年ルールの場合LMP1もLMP2も車重は900kgとなる。車重については、900kgでないことは明らかとしたが、具体的な重さは教えてくれなかった。
  昨年1分48秒台で走っていたクルマが、3秒近く遅い1分51秒で走っているのであるから、軽い車重ではないのだろう。

Photo:Sports-Car Racing

 もっとも、コースが予想以上に荒れているらしく、昨日のサスペンションセッティングではポーポジングが激しく、その対策に苦労しているため、そこら辺も、予想外の速さの理由かもしれない。
  ちなみにエンジンについては、昨年も言われていた様に、非常にピックアップ(レスポンス)が悪く、LMP2の軽い車重が活かせるコーナーが連続する区間(セブリングに多数存在する)で、その軽い車重のアドバンテージを活かすことが出来ないことが、今年も変わらない開発テーマとなると語っている。

 今回のテストへはやってこなかったが、昨日スコット・アタートンはハイクロフトの参加が決定したことを公表している。インタースポーツもローラB06-10での活動を継続するそうだ。それでもLMP1カーはたった4台に過ぎない。
そこで、ダイソンの様に、現実的な面から性能調整を望むチームは少なくない。ハイクロフトは、ルマン24時間へも参加するため、完全なLMP1スペックで走ることとなるだろうが、ILMCへはエントリーしてないため、幅2mの大きなリアウイングの方が有利と判断するなら、幅14インチのLMP2カーの小さなタイヤを履いて走ることになるかもしれない。

Photo:Sports-Car Racing

 午前中のセッションの終了間際、再び雨が降り始めた。今度は土砂降りだ。雨は1時間の間降り続いた。昼休みが終了して午後1時にセッションが再開された後も、コースが水浸しのため、コースに出るクルマは1台もなかった。午後2時30分過ぎ、コースが乾いてきたと判断したチームから、再び走り始めた。激しい雨によって、荒れていたコースコンディションが多少良くなったようで、次々とベストタイムを更新するようになった。
  サイトスポーツのアストンマーティンは、昨年より100馬力少ないにも関わらず、1分49秒台を記録した。ダイソンのローラ/マツダもポーポジング対策が上手くいったようで、1分50秒台までタイムアップしてきた。
  セッティングに手間取っていたフェラーリ458GTCは、アンダーステアとトラクション不足を解消したRiSiのマシンが、僅差の4番手のタイムを記録した。エクストリームチームの458GTCは、少々出遅れてしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 昨日行われた記者会見の際スコット・アタートンは、厳しい経済状況の中、2011年のALMSには32台のシーズンエントリーをあることを公表している、ダブルタイトルのILMCは26台が参加するため、単純計算すると、3月のセブリング12時間と10月の“プチ-ルマン”へは最低58台が参加することとなる。昨日記者会見に参加した人々の多くは、スコット・アタートンの努力を評価しながら、プロトタイプカーを増やすことを注文した。GTクラスには、3つのファクトリーチームを含むたくさんの強豪チームが名を連ねている。この状況はステファン・ラテルのFIAGTが長年実現出来ないでいる内容だ。しかし、それだけでは、ALMSはACOが行うFIAGTになってしまう。2006年のJLMC同様プロトタイプカーの拡充が急務だ。

Photo:Sports-Car Racing

2月10日
●2011年ILMCエントリーリスト

Photo:Sports-Car Racing

 昨日ACOは、ルマン24時間レースの最初のエントリーリストと同時に、インターコンチネンタルルマンカップ(ILMC)のエントリーリストを発表した。アウディとプジョーが2台ずつとなる一方、ORECAプジョーもエントリーした。ORECAは、噂のあったORECA 01のエントリーは諦めた。レベリオンはLMSを優先して、ILMCへのエントリーは1台だけだ。ペスカロロもLMSを優先してILMCへの参加は諦めた。逆のOAKレーシングは、ILMCへ3台総てがエントリーした。LMP2クラスは3台だけだ。
事件は、GTクラスにポルシェのエントリーが1台だけで、GTE-Proには1台もポルシェの名前が無いことだろう。
  どうやら、ACOは、今年のルマン24時間のエントリー受付を、ILMCへエントリーしたチームを優先したようで、ゼッケンもILMC参加チームが上から綺麗に並んでいる。

LM P1
1 Audi Sport Team Joest Audi R18  Timo Bernhard/Marcel Fässler
2  Audi Sport North America Audi R18  Tom Kristensen/Allan McNish
5  Hope Racing  Oreca 01 Hybrid  Steve Zacchia/Olivier Lombard
7  Peugeot Sport Total  Peugeot 908  Anthony Davidson/TBA
8  Peugeot Sport Total  Peugeot 908  Stéphane Sarrazin/Franck Montagny
10 Team Oreca Matmut  Peugeot 908 HDi FAP  Nicolas Lapierre/Loïc Duval
12 Rebellion Racing  Lola B10-60/Toyota  Nicolas Prost/Neel Jani
15 OAK Racing  Pescarolo 01/Judd  Matthieu Lahaye/Guillaume Moreau
24 OAK Racing  Pescarolo 01/Judd  Richard Hein/Jacques Nicolet
007Aston Martin Racing  Aston Martin AMR ONE  Stefan Mucke/Darren Turner

LM P2
26  SignaTech Nissan  Oreca 03/NISSAN  Franck Mailleux/TBA
33  Level 5 Motorsports  Lola Coupe HPD  Scott Tucker/Christophe Bouchut
35  OAK Racing  Pescarolo 01/Judd BMW  Frederic Da Rocha/Patrice Lafargue

LM GTE PRO
51  AF Corse  Ferrari F458 Italia  Giancarlo Fisichella/Gianmaria Bruni
55  BMW Motorsport  BMW M3  Augusto Farfus/TBA
56  BMW Motorsport  BMW M3  Andy Priaulx/TBA
58  Luxury Racing  Ferrari F458 Italia  François Jakubowski/Anthony Beltoise
59  Luxury Racing  Ferrari F458 Italia  Stéphane Ortelli/Frédéric Makowiecki
64  Lotus Jetalliance  Lotus Evora  Vitus Eckert/TBA
65  Lotus Jetalliance  Lotus Evora  Lukas Lichtner Hoyer/TBA

LM GTE AM
50  Larbre Competition  Chevrolet Corvette C6.R  Patrick Bornhauser/Julien Canal
57  Krohn Racing  Ferrari F430 GT2  Tracy Krohn/Niclas Jönsson
60  Gulf AMR Middle East  Aston Martin Vantage– Fabien Giroix/Roald Goethe
61  AF Corse  Ferrari F430 GT2  Piergiuseppe Perazzini/Marco Cioci
62  CRS Racing  Ferrari F430 GT2  Pierre Ehret/Shaun Lynn
63  Proton Competition  Porsche 997 GT3 RSR  Horst Felbermayr/Richard Lietz

2月10日
●2011年ルマン24時間レースの最初のエントリーリスト

Photo:ACO/Nikon

 昨日ACOは、今年のルマン24時間レースの最初のエントリーリストを発表した。LMP1クラスへはアウディとプジョーが、それぞれ2つの名前で3台ずつファクトリーカーを走らせる。プジョーはORECAによって、2010年カーをベースとして2011年スペックに仕立て直した908も走らせる。セブリングで行われているALMSウインターテストの状況を見ても、大排気量の2010年カーが侮れない速さを持つため、巧妙な選択と言えるだろう。レベリオンレーシングは2台のローラ/トヨタのエントリーに成功した。  ペスカロロはOAKと共に3台の2010年のペスカロロ/ジャド5.5リットルを登場させることに成功した。アストンマーティンはAMR ONEを2台走らせる。ハイクロフトも予告通りルマンに戻ってくる。スイスのホープレーシングは、12年前のパノスに続いて2つ目となるハイブリッドカーを、ORECA01をベースとしてエントリーした。

Photo:ACO/Nikon

 LMP2クラスは、LMSやILMC同様ジャドBMW、ザイテックニッサン、HPDはシェアを分け合った。今年ルマンでも、LMP2クラスにプロドライバーを制限するルールが導入されたため、これらのチームは、何人かのアマチュアが乗り組むこととなる。
  リザーブリストに5台が掲載されているが、噂のLNTはリザーブリストにも残ることはなかった。現在の経済状況を考慮すると、リザーブリストの5台総てを使い切っても不思議ではない。

 GTE-Proは非常に華やかだ。セブリングで公開されたフェラーリ458GTCは、予想通り6台もエントリーしている。ポルシェが5台、BMWとコルベットはワークスチームだ。ジェタリアンスのロータス、JOTA(ジオタと発音する)のアストンマーティンもエントリーを受け付けられた。
  アマチュアドライバーが対象のGTE-Amaも、バラエティに富んだクルマが集まった。ラルブルコンペティションのコルベット、ロバートソンレーシングのフォードGTも登場する。アストンマーティン直轄のYOUNG DRIVER AMRは、トーマス・エンゲをドライバー登録してエントリーしたが、リザーブリストの4番目に掲載されただけだった。
  もちろん、GT1カーのクラスも無ければ、エントリーも無い。

LM P1
1 Audi Sport Team Joest Audi R18  Timo Bernhard
2  Audi Sport Team Joest Audi R18  Marcel Fassler
3  Audi Sport North America Audi R18  Tom Kristensen
5  Hope Racing  Oreca 01 Hybrid  Steve Zacchia
7  Peugeot Sport Total  Peugeot 908  Sebastien Bourdais
8  Peugeot Sport Total  Peugeot 908  Stephane Sarrazin
9  Team Peugeot Total  Peugeot 908  Anthony Davidson
10 Team Oreca Matmut  Peugeot 908 HDi FAP  Nicolas Lapierre
12 Rebellion Racing  Lola B10-60/Toyota  Nicolas Prost
13 Rebellion Racing  Lola B10-60/Toyota  Andrea Belicchi
15 OAK Racing  Pescarolo 01/Judd  Matthieu Lahaye
16 Pescarolo Team  Pescarolo 01/Judd  Emmanuel Collard
19 Highcroft Racing  HPD ARX-01e  David Brabham
20 Quifel ASM Team  Zytek 09SC  Miguel Amaral
24 OAK Racing  Pescarolo 01/Judd  Richard Hein
007Aston Martin Racing  Aston Martin AMR ONE  Stefan Mucke
009Aston Martin Racing  Aston Martin AMR ONE  Harold Primat

LM P2
26  SignaTech Nissan  Oreca 03/NISSAN  Franck Mailleux
27  SignaTech Nissan  Oreca 03/NISSAN  Tiago Monteiro
33  Level 5 Motorsports  Lola Coupe HPD  Scott Tucker
35  OAK Racing  Pescarolo 01/Judd BMW  Frederic Da Rocha
36  RML  HPD ARX-01d  Mike Newton
39  Pecom Racing  Lola B11-40/Judd BMW  Luis Perez-Companc
40  Race Performance  Oreca 03/Judd BMW  Michael Frey
41  Greaves Motorsport  Zytek Z11SN/NISSAN  Karim Ojjeh
42  Strakka Racing  HPD ARX-01d  Nick Leventis
48  Team Oreca Matmut  Oreca 03/NISSAN  Soheil Ayari
49  OAK Racing  Pescarolo 01/Judd BMW  Andrea Barlesi

LMP Reserves
Extreme Limite  Norma M200P /Judd BMW  Fabien Rosier
Kronos Racing  Lola Aston Martin  Vanina Ickx
Rangoni Motorsports  Zytek Hybrid  Fernandino Geri
Boutsen Energy Racing  Oreca 03/Nissan  Dominik Kraihamer
Pegasus Racing  Courage-Oreca LC75 HPD  Julien Schell

LM GTE PRO
51  AF Corse  Ferrari F458 Italia  Giancarlo Fisichella
55  BMW Motorsport  BMW M3  Augusto Farfus
56  BMW Motorsport  BMW M3  Andy Priaulx
58  Luxury Racing  Ferrari F458 Italia  Stephane Ortelli
59  Luxury Racing  Ferrari F458 Italia  Anthony Beltoise
64  Lotus Jetalliance  Lotus Evora  Lukas Lichtner Hoyer
65  Lotus Jetalliance  Lotus Evora  Vitus Eckert
66  JMW Motorsport  Ferrari F458 Italia  Rob Bell
71  AF Corse  Ferrari F458  Rob Kauffman
73  Corvette Racing  Corvette C6-ZR1 Oliver Gavin
74  Corvette Racing  Corvette C6-ZR1  Olivier Beretta
75  ProSpeed Competition  Porsche 997 GT3 RSR  Marc Goossens
76  IMSA Performance Matmut  Porsche 997 GT3 RSR  Raymond Narac
77  Team Felbermayr-Proton  Porsche 997 GT3 RSR  Marc Lieb
79  JOTA  Aston Martin Vantage  Sam Hancock
80  Flying Lizard Motorsport  Porsche 997 GT3 RSR  Jorg Bergmeister
88  Team Felbermayr-Proton  Porsche 997 GT3 RSR  Lucas Luhr
89  Hankook-Team Farnbacher  Ferrari F458 Italia  Dominik Farnbacher

LM GTE AM
50  Larbre Competition  Chevrolet Corvette C6-ZR1  Patrick Bornhauser
57  Krohn Racing  Ferrari F430 GT2  Tracy Krohn
60  Gulf AMR Middle East  Aston Martin Vantage– Fabien Giroix
61  AF Corse  Ferrari F430 GT2  Piergiuseppe Perazzini
62  CRS Racing  Ferrari F430 GT2  Pierre Ehret
63  Proton Competition  Porsche 997 GT3 RSR  Horst Felbermayr
68  Robertson Racing  Doran Ford GT  David Robertson
70  Larbre Competiton  Porsche 997 GT3 RSR
81  Flying Lizard Motorsport  Porsche 997 GT3 RSR  Seth Neiman
83  JMB Racing  Ferrari F430 GT2  Manuel Rodrigues

LM GTE Reserves
Robertson Racing  Doran Ford GT
Tolimit Arabia  Porsche 997 GT3 RSR
ProSpeed Competition  Porsche 997 GT3 RSR
Young Driver AMR  Aston Martin Vantage
BMS Scuderia Italia  Porsche 997 GT3 RSR

2月9日
●ALMSセブリングウインターテスト1日目 サイトアストンマーティンがトップ、GTクラスはコルベット

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ今年のスポーツカーレースの状況を占うセブリングウインターテストが始まった。プロトタイプカーは、2週間前までサイトスポーツのアストンマーティンとダイソンのローラ/マツダの2台のLMP1カーしかエントリーがなかったが、LNTラディカルが参加を申し込んだため3台が走行した。ザイテックと分かれたLNTは、まだ状況が判然としないにも関わらず、“GINETTA”と書いたラディカルに少々年代物のIES製ニッサンエンジンと搭載してやってきた。

 サイトスポーツのアストンマーティンは、昨年と同じ6リットルのV12エンジンに小さなリストリクターを取り付けているため、約100馬力は少ないと考えられている。トップエンドでは100馬力少ないかもしれないが、大排気量エンジンの強みで、中低速域での速さは変わらないようで、セブリングの様なテクニカルサーキットでは極端に速さが失われる訳ではないらしい。
1年前、同じセブリングテストの際、ワークスたるアストンマーティンレーシングは、100馬力大きかった2010年バージョンのDBR1-2を走らせて1分46秒台後半のタイムを記録している。それに対して、今年初めてアストンマーティンを走らせるサイトスポーツは、100馬力少ない2011年スペックのDBR1-2を1日目にして、早くも1分50秒台で走らせている。
クラウス・グラフは「もしかしたら、48秒台が可能かもしれない」と発言していることから、大きく速さは失われていない。

 2011年のLMP1カーは、2010年のLMP2カーに最大幅16インチのLMP1のタイヤを履いたマシンだ。そのため、2010年までのLMP2カーをベースとして2011年のLMP1カーに作り替えたダイソンのローラ/マツダは、サイトスポーツのアストンマーティンの対抗馬、と言うより、唯一の2011年カーとして、2011年のLMP1カーのポテンシャルを占う貴重な存在と考えられていた。
  しかし、セブリングテストにやってきたローラ/マツダは完全な2011年スペックではなかった。2010年ALMSのLMP2ルールは、2008年までのACOルールと同じ幅2mの大きなリアウイングの使用を認めていた。今年ALMSはACOと同じルールを使用するため、LMP1でもLMP2でもプロトタイプカーは2009年以降の幅1.6mの小さなリウイングを使わなければならない。ところが、今日走ったローラ/マツダには、昨年と同じ幅2mの大きなリアウイングが取り付けられていた。
  昨年のセブリングテストの際ダイソンのローラ/マツダは、幅2mの大きなリアウイング付きで1分48秒台のタイムを記録しているが、今日ローラ/マツダが記録したタイムは1分51秒台に過ぎない。何か手違いがあったようだ。

Photo:Sports-Car Racing

 プロトタイプクラスと違ってGTクラスは非常に賑やかだ。コルベット勢は、GMワークスのコルベットレーシングが2台、そしてGTクラスとして初めてのカスタマーチームであるラルブルコンペティションが、真新しいコルベットZR1を持ち込んだ。GMワークスがエタノール85%のE85燃料、ラルブルコンペティションが10%のE10を使用する。ちなみにE85とE10の燃料の違いによって、エンジンそのものも違う開発が行われているらしい。GMは詳しくは明らかにしなかったが、コンピューターのセッティングの違いだけでないと発言している。エタノールの含有量が増えるとオクタン価がアップするため、違うピストンを使って、圧縮比を上げる等、GMは大がかりな開発に取り組んでいる可能性がある。
  コルベットレーシングのZR1がGTクラスのトップタイムを記録した。E10エンジンを搭載したラルブルコンペティションのZR1もコンスタントに好タイムを記録しているため、100年目のシボレーに嬉しいニュースをなった。

Photo:Sports-Car Racing

 今回のテストの目玉と言われるのが、RiSiとエクストリームが持ち込んだ真新しいフェラーリ458GTCだ。どちらの458GTCもデリバリー直後で本格的な走行は今回が初めてであるため、慎重にテストが行われた。
  今回走った2台の458GTCは共にE85を使用するが、エンジンに大きな不具合は無いようだ。ミケロットは、早くも2種類のノーズ(下半分を取り替える)を用意する等、様々な準備を行っていたが、430GTCと違うサスペンションであるため、RiSi、エクストリーム、そしてミケロットは、最適なセッティングを見いだすのに苦労している。

Photo:Sports-Car Racing

 昨年のALMSで最速のGTカーは、RiSiとエクストリームのフェラーリ430GTCだ。この二大フェラーリチームがニューマシンの開発に集中したことも、コルベットにトップタイムを奪われた理由だったかもしれない。
  458GTCの開発と平行して、RiSiとエクストリームは430GTCも走らせたが、コルベットのタイムを破ることは出来なかった。
  RiSiとエクストリームの430GTCはE85スペックだが、トレーシー・クローンとCRSの430GTCはE10スペックだ。トレーシー・クローンの430GTCは、ルマン24時間ではRiSiの2号車として参加しているマシンで、ニコラス・ジョンソンがドライブする。このトレーシー・クローンのE10スペックの430GTCが、コルベットに次いで僅差のGTクラス2番手のタイムを記録した。

Photo:Sports-Car Racing

 1日目の朝最初のニュースは、ポルシェのモータースポーツヘッドが変わったことだった。と言っても、予定されていた人事だったようで、何も違いも見られない。フライングラザードの2台、ファルケン、ポール・ミラーが2011年バージョンの997GT3RSRを持ち込んだ。フライングラザードの2台はE85、ファルケンとポール・ミラーはE10スペックだ。
  2011年バージョンと言っても、大きな違いは無いらしい。フライングラザードの45号車が3番手のタイムを記録したが、ファルケンが僅差で4番手のタイムを記録しているため、E85とE10のルールは上手く作用しているようだ。

Photo:Sports-Car Racing

 ロバートソンレーシングの2台のフォードGTは、ミシュランタイヤを履いて登場した。フェラーリ同様、こちらもセッティングの真っ最中と言った状況だ。ちなみに今年、コルベット、RiSi、エクストリーム、トレーシー・クローンのフェラーリ、フライングラザードのポルシェ、ロバートソンレーシングのフォードGTはミシュランタイヤを使用するが、違う4つのクルマの総てが、今年はまったく同じ、フロント30/65、リア31-71サイズのタイヤを履いて走っている。
  昨年ジャガーRSRと提携して散々なシーズンを過ごすこととなったヨコハマヤイヤは、ジャガーRSRとの契約を解消して、新たにランボルギーニを走らせるWESTレーシングと契約した。WESTランボルギーニは、先週アウディと共に新しいガイヤルド560のテストを行っており、今回が2回目のテストとなる。
  ヨコハマから契約を打ち切られたジャガーRSRは、セブリングテストにエントリーしているが、未だ姿を現していない。

Photo:Sports-Car Racing

2月8日
●997GT3Rは、SuperGTとスーパー耐久に2台ずつエントリー? ディレクションの第一ドライバーはカルロ・バンダム!

Photo:Sports-Car Racing

 今年新たに最低4台の997GT3Rが日本へ上陸する。この最低4台と言うのは、ポルシェモータースポーツの日本での代理店を務めるコックスが新規に販売した台数だ。しかし、昨年ヨーロッパで販売された997GT3Rを購入して、日本へ持ち込もうと目論むレーシングチームも存在するため、実際に日本へ上陸する997GT3Rは、相当な台数になると予想されている。
  コックスが輸入した997GT3Rの1号車は、チームアートテイストへデリバリーされ、明日9日富士スピードウェイでシェイクダウンテストが行われる。チームアートテイストの997GT3RはSuperGTへ参戦する。
  チームアートテイストはスーパー耐久へもポルシェでエントリーしている。

 2台の997GT3Rを導入したのはディレクションだ。SuperGTとスーパー耐久の両方で997GT3Rを走らせる。
今年のディレクションチームは非常に強力で、SuperGTでは997GT3Rと996GT3RSRの2台を走らせるだけでなく、997GT3Rはヨコハマタイヤの開発チームと目されている。997GT3RのAドライバーは何とカルロ・バンダムだ。Bドライバーは濱口弘、Cドライバーとして水谷晃が登録される。996GT3RSRの方はスポット参戦となるようだ。
  スーパー耐久で走らせる997GT3Rは、SuperGTの占有テストのルールから、SuperGTで走らせるのとは別のマシンを用意している。スーパー耐久の体制も強力で、何とノバエンジニアリングが開発とメンテナンスを担当する。
  今年ノバはアウディスポーツの日本における代理店として契約したため、どのような交通整理が行われたか?興味深い。

 現在発表段階にあるのは、この2チームだが、他にも最低4つのレーシングチームが997GT3Rでの活動を計画しているため、もう少し待たなければ、今年SuperGTとスーパー耐久に何台の997GT3Rが登場するのか?判断出来ない。

2月4日
●“90X”から908へ プジョーのニューマシンは908の発展型

Photo:Peugeot-Media

 昨日プジョーは2011年のモータースポーツ活動について発表した。スポーツプロトタイプカーについては、昨年公表した通り、ILMCを中心として活動することを明らかとした。
  昨年プジョーは“90X”と名付けたテストカーの写真を公表している。“90X”は2011レギュレーションのシャークフィンを備えていたものの、非常に短いホイールベースで、ボディカウルの多くは2010年バージョンの908のものを流用していた。908の5.5リットルV12を3.7リットルV8に載せ替えて、ベルハウジングを延ばさなければ、この様な特異なディメンションになると予想されたため、開発中の3.7リットルV8ディーゼルエンジンを既存の908に積んだエンジンのテストカーと考えられていた。

 どうやら、“90X”の正体は予想通り、純粋なテストカーであったようだ。昨日プジョーが明らかとしたニュー908は、写真から測定してみると、2010年の908と同じ2,950mmのホイールベースと910mmのフロントオーバーハングだった。
しかもコクピットからフロントサスペンションにかけての寸法が908と変わらないため、モノコックも908と事実上同じデザインと考えられる。しかし、“90X”の様な、極端に短いホイールベースではなく、既存の908と同じ2,950mmのホイールベースであるため、908のモノコックに新開発の3.7リットルV8ディーゼルターボエンジンを搭載して、長いベルハウジングを組み合わせて、同じホイールベースとしているように思える。
  つまり、プジョーのニューマシンは、その名前通り、既存の908の発展型であるようだ。

Photo:Peugeot-Media

 プジョーによると、新しい3.7リットルV8ディーゼルターボエンジンは、2010年の1月25日にベンチテストを開始したと言う。と言うことは、昨年“90X”が走った理由は、エンジンを開発するためだったのだろう。
  今年ミシュランが供給する大きなフロントタイヤを履くため、たくさんのテストを行いたいことだろう。 
  ILMCを中心として活動するが、5月に行われるILMC第2戦スパ-フランコルシャンへは、ルマンと同じ体制で3台を走らせる。ILMC開幕戦セブリング12時間の5日前ポールリカールでLMSの公式テストが行われるが、プジョーはポールリカールテストをキャンセルして、セブリングで走り込むのではないだろうか?
  昨日4月24日に行われるルマンの公式テストの内容は発表されなかったが、アウディ同様違うボディを組み合わせた、いくつかの余分なマシンを持ち込むことが予想される。
  ドライバーラインナップは従来通り非常に豪華で、ルマンの場合、No.7がアレクサンダー・ヴルツ、アンソニー・デビッドソン、マルク・ジェネ、No.8がフランク・モンタギー、ニコラス・ミナシアン、ステファン・サラザン、No.9にセバスチャン・ボーディ、ペドロ・ラミー、サイモン・ペジナウが乗り組む。

2月3日
●2011年ルマン24時間レース公式テストディはリザーブカーも使用可能

Photo:Sports-Car Racing

 2月1日からACOは、今年のルマン24時間レースのエントリー受付を開始した。エントリー受付は2月24日の夜中に閉め切られるが、一足早くACOは、4月24日に行われる公式テストの受付も開始した。
リーマンショック後の景気後退によって、2009年と2010年、ルマン24時間レースの公式テストは、単独で行うのではなく、レースウィークに組み入れられ、6時間連続でフリープラクティスを実施することで代替えされている。しかし、毎年参加しているチームと違って、新しいチームやニューマシンを持ち込むチームにとって、もし、初めて走るサルテサーキットで問題が発生しても、何も対策することが出来ない。
  昨年初めてルマン24時間レースに参加したハイクロフトは、この問題に直面して、ALMSのスコット・アタートンに訴えた。既に明らかな問題だったため、スコット・アタートンとACOの面々が話し合った結果、2011年に独立した日程でテストディを設けることとなった。

 2004年まで公式テストディは5月に行われていたが、ALMSに参加するチームにとって、5月にルマンを走った後、一旦マシンや機材を北アメリカに持ち帰って、再び6月にフランスにマシンを空輸するのは困難との判断から、2005年から、決勝レースウィークの1週間前に公式テストは行われるようになった。
  そのため、2011年の新しい公式テストのスケジュールは、当初2008年までと同じ1週間前となると考えられていた。しかし、2008年までの様に、決勝レースウィークの1週間前に公式テストを実施した場合、マシンの細かい改良を行うことは可能でも、たくさんのスタッフは、そのまま、まるまる1週間ルマンのホテルに滞在することとなるため、チームにとって、大きな経済的な負担となっていた。
  チームから大きな反発を受けていた部分であったため、2011年の公式テストは、2004年までと同様、本番のレースウィークと完全に切り離したスケジュールで行われる。そして、2004年までより2週間早い4月24日にルマンの公式テストは行われることが決まった。

 また、ACOは、事前にニューマシンの検査を行う場として、2月にセブリングで行われるALMS公式テストと3月にポールリカールで行われるLMS公式テストを活用している。この2つのテストは、マシンだけでなく、スポーティングレギュレーションについても、重要な話し合いの場となっている。
  しかし、取りこぼしがなかった訳ではなく、6月にジャコバン広場で行われる車検の際、しばしば大きくスケジュールが遅れる原因となっていた。もちろん、2005年にレースウィークの1週間前に公式テストが行われる理由がそうだった様に、経済的な理由で公式テストへの参加を見送るチームも存在するかもしれない。

 そこでACOは、4月24日に行われる公式テストの際、ニューマシンは最低1台が参加するのを義務つけた。逆に1日しかサルテサーキットを走ることは許されないため、時間を有効に使ってニューマシンの開発を進めたいコンストラクターの要求にしたがって、実際にはレースで走らないリザーブカーでの走行も許可した。リザーブカーを走らせる場合、新たにピットは用意されないため、1つのピットを2台で使用することとなる。
  同じチームでも、違うボディを装着して、走行するチームが現れることだろう。

2月2日
●2011LMSシーズンエントリーリスト発表

Photo:Sports-Car Racing

  今年ACOは、全世界を転戦するインターコンチネンタル・ルマン・カップ(ILMC)を本格的に開催する。ILMCは事実上の世界選手権で、従来通り北アメリカではALMSが、ヨーロッパではLMSが開催され、ALMSとLMSの内いくつかのイベントは、ILMCと共にダブルタイトルレースとして開催される。LMSの場合シリーズの5レース中、5月のスパ1000kmと9月のシルバーストーン1000kmがILMCに指名されている。その結果ファクトリーチームがILMCをターゲットとしてLMSへのシーズンエントリーを諦めたため、2011年のLMSはプライベートチームのテリトリーとなった。
  LMP1クラスは、トヨタエンジンを積むレベリオンローラと復活したペスカロロの闘いが予想される。レベリオンローラが2011年ルールの3.4リットルエンジン、ペスカロロは2010年ルールの5.5リットルエンジンを使う。軽い3.4リットルエンジンによって良好な前後の重量配分を実現したレベリオンと、大トルクの5.5リットルエンジンを使うペスカロロは、新旧のレギュレーションの優劣を占う存在となるだろう。
  噂通りザイテックのハイブリッドカーが正式にエントリーした。残る2台はLMP2カーをベースとして幅16インチのタイヤに履き替えてLMP1へアップデイトしたマシンだ。

 LMP2クラスは完全なアマチュアのカテゴリーとなった。エンジンはHPDホンダ、ザイテックニッサン、ジャドBMWがシェアを分け合う状況となっている。
GTEクラスは、GTE Proクラスに話題のフェラーリF458が登場する。ジオタのアストンマーティンは事実上のファクトリーサポートと言えるらしい。アマチュアドライバーが対象のGTE AmクラスはフェラーリF430とポルシェ997RSRが顔をそろえた。
LMSにシーズンエントリーを行ったチームにとって少々困った出来事は、5レース中2レースがILMCとダブルタイトルレースであるため、強力なファクトリーチームが登場することだろう。もし、ILMCとダブルタイトルのレースで勝ち星を落としてしまうと、例えLMSタイトルを勝ち取っても、ILMCに登場するファクトリーチームの陰にかすむ存在となってしまう。

LMP1
No.12 REBELLION RACING LolaB10/60 Coupe-Toyota Nicolas Prost(FRA)/Neel Jani(CHE)/TBA
No.13 REBELLION RACING LolaB10/60 Coupe-Toyota Andrea Belicchi(ITA)/Jean Christophe Boullion(FRA)
No.16 PESCAROLO TEAM Pescarolo-Judd Emmanuel Collard(FRA)/Christophe Tinseau(FRA)
No.18 GUESS RACING EUROP Lola B05/40-AER/Mazd Philippe Hazebrouck(FRA)/Wolfgang Kaufmann(DEU)/TBA
No.20 QUIFEL-ASM TEAM Zytek09SC Miguel Amaral(PRT)/Olivier Pla(FRA)
No.21 RANGONI MOTORSPORT Zytek09Hybrid Ferdinando Geri(ITA)/Luca Rangoni(ITA)/TBA

LMP2
No.36 RML HPD ARX-01d Mike Newton(GBR)/Tommy Erdos(BRA)/Ben Collins(GBR)
No.38 PEGASUS RACING Courage-OrecaLC75-HPD Julien Schell(FRA)/TBA/TBA
No.39 PECOM RACING LolaB11/40-Judd Luis Perez Companc(ARG)/Matias Russo(ARG)/TBA
No.40 RACE PERFORMANCE Oreca03-Judd Michel Frey(CHE)/Ralph Meichtry(CHE)/TBA
No.41 GREAVES MOTORSPORT ZytekZ11SN-Nissan Karim Ojjeh(SAU)/Gary Chalandon(FRA)/Thor-Christian Ebbesvik(NOR)
No.42 STRAKKA RACING HPD ARX-01d Nick Leventis(GBR)/Danny Watts(GBR)/Jonny Kane(GBR)
No.43 RLR MSPORT MG LolaEX265-AER Barry Gates(GBR)/Rob Garofall(GBR)/TBA
No.44 EXTREME LIMITE AM PARIS NormaM200P-Judd Fabien Rosier(FRA)/TBA/TBA
No.45 BOUTSEN ENERGY RACING Oreca03-Nissan Dominik Kraihamer(AUT)/Nicolas de Crem(BEL)/TBA
No.46 TOP DRIVE SERVICES Oreca03-Nissan Mathias Beche(CHE)/Pierre Thiriet(FRA)/TBA
No.47 TEAM LNT RadicalSR9-IES Lawrence Tomlinson(GBR)/James Cole(GBR)/Andrew Prendeville(USA)

LMGTE Pro
No.51 AF CORSE Ferrari F458 Italia Giancarlo Fisichella(ITA)/TBA/TBA
No.66 JMW MOTORSPORT Ferrari F458 Italia Rob Bell(GBR)/TBA
No.71 AF CORSE Ferrari F458 Italia TBA/TBA/TBA
No.75 PROSPEED COMPETITION Porsche 997RSR Marco Holzer(DEU)/Marc Goossens(BEL)
No.76 IMSA PERFORMANCE MATMUT Porsche 997RSR Patrick Pilet(FRA)/Wolf Henzler(DEU)
No.77 TEAM FELBERMAYR-PROTON Porsche 997RSR Marc Lieb(DEU)/Richard Lietz(AUT)
No.78 GRUPPEM-ETERNITI RACING Porsche 997RSR Stephen Jelley(GBR)/TBA/TBA
No.79 JOTA Aston Martin Vantage Sam Hancock(GBR)/Simon Dolan(GBR)
No.89 HANKOOK TEAM FARNBACHER Ferrari F458 Italia Dominik Farnbacher(DEU)/Allan Simonsen (DNK)

LMGTE Am
No.61 AF CORSE Ferrari F430 Piergiuseppe Perazzini(ITA)/Marco Cioci(ITA)/TBA
No.67 IMSA PERFORMANCE MATMUT Porsche 997RSR Raymond Narac(FRA)/Nicolas Armindo(FRA)
No.82 CRS RACING Ferrari F430 Phil Quaife(GBR)/Michael Lyons(GBR)/TBA
No.83 JMB RACING Ferrari F430 Manuel Rodrigues(FRA)/Dino Lunardi(FRA)/TBA
No.88 TEAM FELBERMAYR-PROTON Porsche 997RSR Horst Felbermayr(AUT)/TBA/TBA

FLM
No.91 HOPE POLEVISION RACING Formula Le Mans-Oreca09 Michael Tinguely(CHE)/TBA/TBA
No.92 NEIL GARNER MOTORSPORT Formula Le Mans-Oreca09 TBA/TBA/TBA
No.93 GENOA RACING Formula Le Mans-Oreca09 Eric Lux(USA)/Elton Julian(ECU)/Christian Zugel(DEU)
No.95 PEGASUS RACING Formula Le Mans-Oreca09 Mirco Schultis(DEU)/Patrick Simon(DEU)/TBA
No.99 JMB RACING Formula Le Mans-Oreca09 Maurice Basso(CHE)/TBA/TBA

2月1日
●アウディが今年最初のセブリングテストを実施

Photo:AUDI AG

 先週末アウディは、セブリングにおいて今年最初のテストを行った。アウディがセブリングに持ち込んだのは、新しいR18クーペ、そしてR15Plusを2011年レギュレーションに従って改造したR15“Plus Plus”だった。9人のドライバーの総てが参加して、ロングディスタンス走行を含む、本格的なテストが行われた。
R18だけでなく、R15“Plus Plus”も本格的な走行は初めてだ。アウディはラップタイム等を公表していないが、目撃者の証言によると、深刻なトラブル無しで順調にテストは行われたようだ。

Photo:AUDI AG

 R15“Plus Plus”は、昨年走ったR15Plusに2011年レギュレーションの小さなリストリクターと低いブースト圧のエンジン、63リットル燃料タンクを盛り込む一方、新しくミシュランが開発した大きなフロントタイヤを組み合わせたマシンだ。車重も2011年ルールのマシンと同じ900kgで、2011年レギュレーションのディーゼルエンジンが3.7リットルの排気量に制限されるのに対して、従来通り5.5リットルの巨大な排気量のまま走ることが許されるため、コースレイアウトによっては、2011年ルールのマシンよりも速いと考えられている。
  小さなリストリクターと低いブースト圧を義務つけられるため、理論上、従来よりも小さなインタークーラーを使用することが可能となる。昨年末R15“Plus Plus”は、小さなインタークーラーが組み合わせられ、小さなインタークーラーに合わせた低いサイドポンツーンを持つと噂されていた。
  先週セブリングで走ったR15“Plus Plus”は、少なくとも従来と同じ大きさのサイドポンツーンだった。エンジンルームの目撃証言はないため、インタークーラーの大きさについては判らない。

Photo:AUDI AG

 R18クーペは、新しく開発した軽い3.7リットルV6ディゼルターボエンジンを搭載するため、前後の重量配分が前寄りであることから、よりミシュランの大きなフロントタイヤの能力を引き出すことが可能と考えられている。しかし、偶然!?セブリングに居た目撃者によると、正確なラップタイムは不明と前置きしながら、大きなフロントタイヤが能力を発揮すると考えられるタイトコーナー(シャトー・エラン前のコーナーらしい)で見る限り、R15“Plus Plus”の方が速く走っていたと証言している。
完成したばかりのマシンと比べれば、すでに2年も走っているマシンに、新しいスペックのタイヤを履いた方がエンジニアもセッティングするのが容易であるため、この証言がR18の能力のヒントとはならない。
  と言うより、両方のマシン共、新しいミシュランの大きなフロントタイヤの能力を引き出していたとも考えられない。R18の3.7リットルエンジンよりもR15“Plus Plus”の5.5リットルエンジンの方が、大きなトルクを、よりフラットに発生すると考えられるため、コーナー立ち上がりの加速で差をつけたと考えるべきだろう。

1月22日
●ALMSセブリングウインターテストへ25台がエントリー

Photo:Sports-Car Racing

 2011年のスポーツカーレースの最初の公式スケジュールは、2月9日と10日にセブリングで行われるALMSウインターテストだ。毎年ニューマシンが登場するだけでなく、その年施行される新しいレギュレーションの解釈や運用方法ついて、最初の議論が交わされる場でもある。
  IMSAは19日に最初のエントリーリストを公表した。噂通り、開発の遅れが伝えられるLMPカーのエントリーは少なく、現在のところサイトスポーツのアストンマーティンDBR1/2(ローラB08-62/アストンマーティン)とダイソンのローラB09-86/マツダの2台のLMP1カーだけだ。しかし、今年ACOは、LMPカテゴリーに新しいレギュレーションを施行するため、この2台が、どのようなラップタイムを記録するか?注目されている。

 サイトスポーツが持ち込むローラ/アストンマーティンは、2010年までのLMP1レギュレーションに従って作られたマシンで、昨年アストンマーティンの6リットルV12エンジンは650馬力以上を発生していた。2011年のLMP1ルールの場合、2010年までのLMP1カーは、2011年ルールの3.4リットルエンジンを積むLMP1カーと同じ500馬力程度まで出力を制限される。しかし、同じ500馬力を発生しても、2010年までのLMP1カーの方が排気量が大きいため、圧倒的に大きなトルクを持っている。

Photo:Sports-Car Racing

 逆に2011年ルールのLMP1カーは、軽量/コンパクトな3.4リットルNAか2リットルターボエンジンを積むことから、前後の重量配分に優れるため、良好な操縦性を持つと考えられている。開発が間に合うのであれば、従来のLMP1カーよりも大きなフロントタイヤを履くこととなるだろう。
  ダイソンが持ち込むローラB09-86/マツダは、元々2010年までのLMP2ルールに従って作られたLMP2カーだ。しかし、2011年の新しいLMP1ルールに従って、マシン本体はそのまま、LMP1の幅16インチの大きなタイヤと交換してLMP1カーとして作り直されている。元々軽い2リットル4気筒エンジンを積むため、LMP2カー時代でも、最低車重をクリア満たすため、決して少なくない重りを積まなければならなかったことから、75kg重い900kgの車重となった場合、LMP1カテゴリーの、幅16インチの大きなタイヤを履いても、相当な重りを積むことが可能と考えられる。となると、2009年のアキュラARX-02aがそうだったように、2011年ルールのLMP1カーのトレンドと考えられている、前後に同じ大きなタイヤを履くことが現実となるかもしれない。

Photo:Sports-Car Racing

 GTカーは非常に豪華な顔ぶれがセブリングに勢揃いする。GMワークスをはじめとするコルベットZR1勢、フライングラザードを筆頭とするポルシェ997GT3RSR勢、ロバートソンレーシングのドラン・フォードGT、そしてフェラーリ勢は、歴戦の430GTCと共に、セブリングで一般に初公開されるフェラーリ458GTCが3台登場する。
  今年ALMSは、エタノールを10%含有するE10燃料と共に、エタノール85%のE85燃料の供給を拡大する意向を表明している。エタノールの含有量を増えるとオクタン価が上昇するのに対して、燃費は劇的に悪化する。そのためIMSAは、E85燃料を使用するクルマのリストリクターを小さくする一方、燃料タンクを拡大するレギュレーションを設けている。現在のところ、どちらが有利であるのか?ハッキリとしていない。
  ワークスコルベットがE85を使用するのに対して、同じコルベットでもラルブルコンペティションはE10燃料を使用する。ポルシェ勢も、フライングラザードはE85だが、ファルケンチームはE10を使用する。そのため、IMSAは、セブリングでチームから燃費のデータを収集することを望んでいるようだ。

Photo:JimGainer

 セブリングがワールドプレミアとなるフェラーリ458GTCは、RiSiが1台、エクストリームスピードが2台を持ち込む。この3台のフェラーリ458GTCが、セブリングテストの主役と考えられている。従来の430GTCでさえ、最速のGT2カーであったため、世界中のGTチームによって、セブリングで458GTCがどれくらいのラップタイムを記録するのか?注目されている。現在ミケロットはダンロップタイヤを履いて458GTCの開発を行っているが、セブリングで走る最初の3台は、いずれもミシュランタイヤを履く。
また、3台の458GTCはE85燃料を使用する。一緒にRiSiとトレーシー・クローンが430GTCを持ち込むがRiSiの430GTCがE85であるのに対して、トレーシー・クローンはE10を使用する。

 ロバートソンレーシングは、ミュルサンヌコーナーのマイク・フラーが関わるレーシングチームだが、“スワンネック”によってマウントされるリアウイングを取り付けたドラン・フォードGTを2台走らせる。ドランがフォードGTのGT2カーを開発した際、最初ロバート・イエーツとジャック・ローシュと言うフォードワークス直系のスモールブロックV8の搭載を前提としたが、ロバートソンレーシングは昨年導入したエランパワー製のフォード・スモールブロックV8を今年も使用する。パノス傘下のエランパワーが作るスモールブロックV8は、もちろん、パノス・エスペランテに積まれていたエンジンの発展型だ。ロバートソンレーシングは、昨年までのダンロップに換えて新たにミシュランと契約を交わした。

Photo:Sports-Car Racing

 IMSAだけでなく、例年通りACOもセブリングにダニエル・フェルドリックスを派遣して、2011年の新しいレギュレーションの解釈と運用について説明するようだ。
ALMS主催の合同テストの前日までアウディがセブリングで走っていると考えられている。ALMSテストの直後にはHPDもセブリングとホームステッド?で走ると噂されているため、追加エントリーがあるかもしれない。

1月17日
●2011年のHPDは、LMP1が1台、LMP2が3台、HPDシャシーは3台 期待のポルシェLMP1は無し!

Photo:Sports-Car Racing

 2011年ACOは、LMP1とLMP2クラスに新しいレギュレーションを導入する。しかし、これまで新しいレギュレーションを導入した際、チームが対応出来ずに、エントリーが激減したり、間に合わせで旧レギュレーションのクルマにハンディキャップを盛り込んで走らせる等、しばしば混乱が起きたことから、ACOは巧妙な工夫を盛り込んでいる。元々2011年に新しいレギュレーションを導入した大きな理由が、速すぎるLMP1カーとコストの圧縮であったため、2011年のLMP1カーは、ガソリンエンジンの場合2010年までのLMP2カーのエンジンを使用することが可能だ。LMP2については、2010年までのGT2カー、つまり2011年のGTEカーのエンジンとロードカーをベースとして開発されたGTレース用エンジンの使用を義務つけている。

 つまり、2010年までのLMP2カーをベースとして、LMP1と同じ幅16インチの大きなタイヤを履くことで、2011年スペックのLMP1カーを仕立てることが可能だ。最速のLMP2カーがポルシェRSスパイダーであることは明らかだが、2011年のポルシェは、カスタマーが希望しない限りLMPマシンの開発を継続しないことを決定したため、結局2011年にRSスパイダーをベースとしたLMP1カーは登場しない見込みだ。既に所在が確認されているRSスパイダーの中で、2台を除くシャシーが活動しないことが判明している。除く2台とは、4年前ジャクソンビルのミリオネラにデリバリーされ、そのまま保管されている、あのマシンだ。

 RSスパイダーの対抗馬、と言うより、RSスパイダーが大々的な活動を止めた後、最速のLMP2カーとして君臨したHPD(旧アキュラ)は、期待通りLMP2カーをベースとして、幅16インチの大きなタイヤを履いたLMP1カーを開発する。2009年HPDは、前後に幅16インチ、直径28.5インチの大きなタイヤを履いたARX-02a LMP1カーを開発して、アウディやプジョーが待ち受けるLMP1に挑戦している。ARX-02aの4リットルエンジンをARX-01cの3.4リットルエンジンと交換することでも、2011年LMP1カーに仕立てることは出来るが、HPDは、2010年のARX-01c LMP2カーをベースとして、LMP1の大きなタイヤを履いたLMP1カーを開発している。
  2009年のARX-02a最大の特徴は、フロントにもリアと同じ幅16インチ、直径28.5インチの大きなタイヤを履くことだったが、2011年に登場するARX-01eは、リアに幅16インチ、直径28.5インチのLMP1用タイヤを履くものの、フロントタイヤは、常識的な幅14インチとなる見込みだ。
  ARX-01cやARX-01bを持つチームであれば、どのチームでも、比較的容易にLMP1カーへのアップデイトが可能と予想出来る内容だが、現在のところハイクロフトだけがHPDのLMP1カーでの活動に名乗りを上げた。

Photo:Endurance-Info SpecialThanks:Marshall Pruett

 他のHPDチームが活動を止める訳ではなく、LMP2で活動する。その理由は、LMP2の場合、プロフェッシナルドライバーの参加制限があるため、ジェントルマンドライバーが成功出来る可能性があるからだ。
既報通りHPDは、アコードに搭載されている2.8リットルV6をベースとしたLMP2エンジンを開発している。11月からハイクロフトに委託して、2.8リットルV6をベースとしたツインターボLMP2エンジンのテスト走行が行われている。インディ500の実績から、HPD LMP2エンジンは、彼方此方から問い合わせを受けているようだ。
  HPDでは、2.8リットルV6ターボLMP2エンジンの開発に併せて、ARX-01dと呼ぶLMP2カーの開発を進めている。ハイクロフトが走らせるARX-01e LMP1カーと比べると変更点は少ないようで、ロードカーベースのツインターボエンジンを組み合わせることが大きな違いとなっているようだ。

 2010年ARX-01cを導入したストラッカは、3.4リットルV8を2.8リットルV6ツインターボへ、2010年ローラB09-80にHPDエンジンを積んでLMP2で走ったRMLは、新たにARX-01dと2.8リットルV6ツインターボLMP2エンジンを導入する。RMLは、ローラシャシーからHPDシャシーへ切り替えた理由を、昨年ストラッカが走らせたHPDシャシーに対して、同じエンジンを積むにも関わらず、明らかにポテンシャルの差があったことを上げている。2011年トヨタエンジンをローラシャシーに組み合わせて活動するレベリオンはどうなってしまうのだろう。
  これまでORECAシャシーのワンメイクであるルマンプロトタイプクラス(フォーミュラルマンのシボレーエンジン版)で活動する一方、2010年のルマンではコリン・コレスのアウディR10を走らせたレベル5は、新たにローラシャシーとHPDの2.8リットルV6ツインターボLMP2エンジンを導入してLMP2へ参入する。
  先週末イギリスで開催されたオートスポーツショーにおいて、RMLはARX-01dの写真を公表している。公表された写真は、既存のARX-01cに2.8リットルV6ツインターボエンジンを組み合わせただけのマシンであるようで、ARX-01cと同じ、助手席のヘッドレスト部分にリストリクターが設けられている。噂を信じるのであれば、将来、違う場所に2つのインテイクが設けられることとなるのだろう。

Photo:RML

1月13日
●レベリオン-ローラ/トヨタはLMSとILMCへ参戦

Photo:Sports-Car Racing

 12月始めレベリオンは、2011年にトヨタの3.4リットルNAエンジンを積んだローラによって活動することを発表した。その際レベリオンは、ローラの最新パッケージにトヨタの3.4リットルNAエンジンを組み合わせて、従来通りSebahレーシングの運営によって参戦することしか公表しなかった。
2011年のルマンカテゴリーのスポーツカーシリーズは、ヨーロッパで行われるLMS、北アメリカで行われるALMS、そして、全世界を転戦するILMCの3つが存在するため、その活動内容が注目されていた。
大方の予想は、レベリオンはスイスの時計メーカーであること、運営を担当するSebahレーシングがイギリスを拠点とすることから、LMSを中心として活動すると思われていた。

 昨日ACOが2011年のLMSの概要を発表したのに合わせてレベリオンは、2011年の活動内容を発表した。それによると、予想通りLMSを中心として活動するものの、ILMCにもシーズンを通して参戦して、最も障害となると思われた11月に中国で行われるイベントにも参戦することを明らかとした。
ゼッケンは従来通りNo.12とNo.13で、No.12のローラ/トヨタにはニコラス・プロストとニール・ジャニ、No.13のローラ/トヨタにはアンドレア・ベリーチとジャン・クリストフ・ブリオンが乗り組んで、2台がLMSに参戦する。ILMCのセブリング12時間と“プチ-ルマン”10時間、そして中国のレースへは、1台のみを走らせる。
6月に行われるルマン24時間について、レベリオンは2台のエントリーを希望している。もし、エントリーが可能となっても、直前までドライバーは決定されない見込みだ。

 セブリングへ参加することもあって、2月にセブリングで行われるALMSの合同テストでの発表が見込まれていたが、暖かいセブリングへは遠征せず、レベリオン/トヨタは3月11-12日にポールリカールで行われるLMSの合同テストで正式に発表され、その直後、大急ぎでローラ/トヨタをフロリダへ空輸するようだ。

3月11-12日 ポールリカールLMSテスト
3月19日 ILMC/ALMSセブリング12時間
4月3日 LMSポールリカール
4月24日 ルマン24時間公式テスト
5月8日 ILMC/LMSスパ-フランコルシャン
6月11-12日 ILMCルマン24時間
7月3日 ILMC/LMSイモラ
9月11日 ILMC/LMSシルバーストーン
9月25日 LMSエストリル
10月1日 ILMC/ALMS“プチ-ルマン”10時間
11月12日 ILMC中国

1月11日
●ポルシェ918RSRハイブリッドレースカー公開

Photo:PorscheAG

 昨年ポルシェは、918ハイブリッドスパイダーを発表しているが、今日(1月10日)デトロイトにおいて、早くも918ハイブリッドスパイダーのレースバージョンである918RSRを公開した。
基本的にRSスパイダーと変わらない3.4リットルV8ガソリンエンジンは10,300rpmで563馬力を発生する。ハイブリッドシステムは、昨年ニュルブルクリンク24時間や“プチ-ルマン”に出走した997GT3Rハイブリッドのものをベースとしており、フロントホイールには1つ75KWの電気モーターが左右に取り付けられ、左右合計150KWのパワーを発生する。ガソリンエンジンと電気モーターの出力を合計すると、実に767馬力にも達する。
助手席に電気を貯めるフライホイールを備えるため、現在のところ、997GT3Rハイブリッド同様1人乗りだ。

 最も大きな違いは、918ハイブリッドスパイダーと違って、空力的なクローズドボディを備えることだ。
10時間前デトロイトで発表された際、ポルシェの面々は、今年のスポーツカーレースにおいて、918RSRが走る可能性を否定しなかった。たぶん、昨年997GT3Rハイブリッドがそうだったように、HYクラスからの参加を目論んでいるのだろうが、デトロイトで発表された様に、ヨーロッパではなく、北アメリカのALMSのレースで実戦に参加する可能性が高いようだ。3月のセブリング12時間への参加は否定したため、10月の“プチ-ルマン”か9月のラグナセカで走ることとなるのだろう。

1月10日
●JIMゲイナーはFerrari458GTCでSuperGTへ参戦  中古車レースから脱却を図るSuperGT

Photo:JimGainer

 2011年のSuperGTのGT300クラスは、しばらくぶりのニューマシンラッシュとなりそうだ。特にACOのGTEカーとFIAのGT3カーでの参加が増えそうだ。GTAは参戦コストを抑えるため、高価なGTEカーや旧GT2カーではなく、ロードカーベースの安価なGT3カーでの参加を奨励しているが、現在のところFIAのGT3カーはルマン24時間レースへ参加出来ないため、世界的な活動を望むレーシングチームはGTEを無視出来ない。しかも、ここ数年来、ポルシェに代わってGTカテゴリーのトップランナーに君臨しているフェラーリが、今年430GTCに代わるニューモデルとして458GTCを登場させるため、JIMゲイナーは、新たに458GTCの導入を決心した。

 458GTCはロードカーの458GTの登場に合わせてミケロットが開発したGTEカーで、既に昨年11月末テストカーによるテストを開始している。2011年最強のGTEカーと目されるニューマシンであるため、世界中への展開が予想されている。前モデルの430GTCの場合、速いことは判っていても、日本のSuperGTの場合、ハンデキャップルールによって、古いクルマが活躍する状況だったことから、なかなか導入されなかった。
ダイシンやJIMゲイナーによって、SuperGTでフェラーリ旋風が巻き起こるのは、ほんの2年前の出来事だ。
458GTCの登場に併せて、ミケロットは、積極的に全世界への展開を目論んだ。その結果、JIMゲイナーが、その最初のロットの1台を導入して、SuperGTで走らせることが決まった。

Photo:Sports-Car Racing

 JIMゲイナーは、新しい458GTCにゼッケン11をつけ、田中哲也と平中克幸を乗り組ませるだけでなく、JAF-GPにおいて圧倒的な速さを見せつけた430GTCや、JIMゲイナー自身が開発したJAF-GT300バージョンのF430を所有しているため、2台目のエントリーも検討している。2台目のエントリーは430GTCが使われる可能性が高いが、現在のところ、GTAが2011年のレギュレーションを公表していないため、変更される可能性もあるようだ。
同様にニューマシンの458GTCはACOのGTEマシンであるだけでなく、間違いなく速いGTレースカーであることから、GTAによって、厳しい特認条件を義務つけられる可能性もある。しかし、全世界で活躍する最新最強のGTレースカーであるフェラーリ458GTCは、2011年中古車レースからの脱却を図るSuperGTの大きな鍵となる存在であるため、JIMゲイナー458GTCが遅いようであれば、観客が許さないだろう。

 458GTCは、11月に完成した後、ヨーロッパの数カ所のサーキットでテストが行われているが、シェイクダウンテストの際履いていたミシュランタイヤに換えて、現在ではダンロップタイヤに履き替えて走っている。ミケロット自身、今後ダンロップタイヤで開発テストを行うことを公表しているため、SuperGTにおいてダンロップと契約しているJIMゲイナーにとって、大きなメリットとなるだろう。
1号車は北アメリカでALMSを戦うリシーにデリバリーされる。リシー自身はミシュランと契約していたが、現在のところ2011年に使用するタイヤを公表していない。2月9日からセブリングで行われるALMS合同テストにおいてリシー・フェラーリは発表されるが、このテストが458GTCのワールドプレミアとなる。
セブリングテストの直後、JIMゲイナーへ458GTCはデリバリーされる。イタリアでシェクダウンテストを行った後、日本へ持ち込まれるが、現在ヨーロッパが寒波に襲われているため、場所は決まっていない。

Photo:Sports-Car Racing

 2011年もう一つのSuperGTにおける強豪フェラーリチームはタイサンだ。タイサンが走らせるのは、2009年ダイシンが走らせた430GTCだ。既に熟成されていることから、開幕戦から速さを見せつける可能性が高い。


4月7日
●Sports-Car Racing Vol.19発行


長い間発行が遅れていましたSports-Car Racing Vol.19が完成しました。4ページ増えますが、価格は従来と同じ2,310円(本体2,200円)に据え置きました。スポーツカーレースの話題満載の1冊です。4月16日から発送となります。
詳しくは下記をご覧ください。

Sports-Car Racing Vol.19のISBN番号:ISBN978-4-925254-14-4

問い合わせ:ask@sports-carracing.net
*当方から直接通信販売を希望される場合、上記アドレスまでEメールにて申し込んでください。販売店からの通信販売を希望される場合、連絡頂ければ、通信販売を行っている販売店をご紹介いたします。
販売については、当ホームペイジのShopを参考にしてください。

CONTENTS

■The Story of the Porsche 956 / 962
Part.1 Why was Group C wanted ?  グループCが求められた理由
歴戦の908で激動の1970年代を闘ったポルシェ



いよいよグループCを巡る特集が始まります。グループCのために作られた最初のクルマはポルシェ956です。そして最もポピュラーなグループCカーは、956の発展型である962Cでした。そのため、ポルシェ956と962に至るストーリーが展開されます。今回は、その第1回として「グループCが求められた理由」と題した特集を掲載いたします。
1971年限りで、グループ5(当時)スポーツプロトタイプカーの排気量が明確に3ℓ以下に制限された結果、ポルシェは917をヨーロッパのスポーツカーレースから引っ込めて、北アメリカのCanAmに送り込みました。しかし、ヨーロッパでの活動を諦めた訳ではなく、911RSRによってGTクラス(グループ3とグループ4)で走らせました。
CSIがロードカーと同じカタチのプロトタイプカーレースカーを構想し始めると、ルールが出来上がってないにも関わらず、ポルシェは911カレラRSRターボを開発して、マトラやアルファロメオの正真正銘のプロトタイプレースカーが走るグループ5カテゴリーに送り込みました。911RSRターボは480馬力を発生する2.1ℓのフラット6ターボエンジンを搭載していました。このエンジンは、そのまま正真正銘のプロトタイプレースカーに積むことが可能だったため、ラインホルト・ヨーストやマルティニレーシングは、歴戦の908/3に911RSRターボの2.1ℓターボエンジンを搭載して走らせるようになります。このクルマは908/3ターボとか908/4と呼ばれますが、1976年グループ5がグループ6に名前を変えるのに併せて、リニューアルされて936の名前を与えられました。
この時代最大の関心事はオイルショックだったため、1975年、ACOは最初の燃費を制限するルールを設けました。1975年のACOの燃費ルールは非常に厳しく、1回の給油で20ラップを走ることを求めました。それまで優勝争いを行っていたグループ5プロトタイプレースカーは12ラップか13ラップしか走ってなかったため、ヨーストは903/4のフラット6ターボエンジンを古いフラット8に積み替えてルマンを走りました。
もちろん、1975年のルマンでは、燃費を節約するため、非常に不可解なレースが行われました。
この頃CSIの技術委員だったのが、あのポール・フレールです。20ラップルールは非常に過酷だったため、プロトタイプレースカーを走らせるレーシングチームは、1976年以降ACOが20ラップルールを継続しても、戸惑うことがないよう、CSIに対して、燃料タンクの容量を拡大するよう要求しました。その時調査を行ったのはポール・フレールです。
この時からグループCルールが構想されました。しかし、1976年ルノーがルマンをターゲットに定めると、それを阻止するため、ポルシェとの間で3年間に渡って熾烈な闘いが繰り広げられるようになりました。
やっと落ち着いてグループCが構想されるのは1979年まで待たなければなりません。
グループCに至る、激動の1970年代のスポーツカーレースのストーリーが展開されます。

■ルマンに勝つ方程式を求めて

当Sports-Car Racing最大のテーマは、ルマンに勝つ方程式の追求です。2004年ルマンは新しいルールを導入しました。最初ルールを解明するだけで精一杯だったコンストラクター達は、2007年頃から、ルールを解明するだけでなく、2004年ルールを活かした開発を追求するようになりました。新時代のルマンに勝つ方程式は、従来考えられていたものとは相当異なっているようです。しかも2009年、ACOは幅1.6mの小さなリアウイングを導入しました。
童夢の全面的な協力によって、最新のルマンに勝つ方程式を追求します。

■AUDIの戸惑い

2006年アウディは最初にディーゼルエンジンのLMPカーを実現しました。しかし、2006年に登場したR10は、重さ260kgの巨大な90度V12ディーゼルターボエンジンを積むため、情けない操縦性を持つだけでした。プジョーが登場すると、アウディは防戦一方となったため、2011年に新しいルールが施行されるにも関わらず、アウディは2009年安全に新しいR15を開発することとなりました。V10エンジンを積むR15は、それまで登場した、どのLMPカーとも違うアイデンティティに基づいて開発されました。しかし、総てが上手く行った訳ではなかったようです。

■2009年の正解は何だったか?

Chapter.1 ACOの目標は3分30秒だった
1999年トヨタとBMWが激戦を繰り広げて、メルセデスが空を飛んだ時、あまりの過当競争に驚いたACOは、3分30秒のラップタイムをボーダーラインとすることを決定しました。ところが10年後アウディとプジョーが開発競争を繰り広げた結果、3分30秒どころか3分20秒を超えるラップタイムを記録するようになりました。2009年ACOは、幅1.6mの小さなリアウイングを採用する一方、それまで圧倒的に有利だったディーゼルエンジンの性能の引き下げを目論みました。同時にGT1カーのエンジンを積むLMP1カーのルールを整備しています。どのようにルールが変化しているのか?現在のLMPカーの性能指針の特集です。


Chapter.2 2009年のルマンでプジョーが成功した理由
2009年ついにプジョーがルマンで優勝しました。2008年でもプジョーの方がアウディよりも速かったため、当然の結果のように考える方々も多いようですが、2008年秋リーマンショックの勃発後、プジョーはLMPプロジェクトを棚上げにしています。2009年のLMPプロジェクトが正式に認可されるのは、ルマンの4ヶ月前のことです。そのため、プジョーの面々は、非常に巧妙な開発とレース戦略を行うことを要求されていたようです。
プジョーが2009年のルマンで成功するまでのストーリーです。


Chapter.3 アストンマーティンの登場
2009年ルマンでの大きな話題は、アストンマーティンの復活でした。しかし、アストンマーティンのLMPプロジェクトは、プジョーやアウディとは少々違うようです。復活したアストンマーティンの秘密に迫るストーリーです。


Chapter.4 完全にレギュレーションを使い切る方法
優秀なエンジニアは、レギュレーションを使い切ることを目標として、開発を行っています。しかし、ミッドシップである以上、どうしても前後の重量配分がリア寄りとなってしまいます。前後に履くタイヤの容量の比と前後の重量配分が一致することが、理論上ニュートラルな操縦性を可能とする条件です。そのため、ルール上フロントにもリアと同じ大きなタイヤを履くことが可能でも、前後の重量配分に併せた結果、従来のLMPカーは、リアよりも小さいタイヤをフロントに履いていました。2009年このタブーに挑戦したコンストラクターが現れました。アキュラのLMPプロジェクトを任されていたニック・ワースは、レギュレーションを使い切ることを目標としたARX-02aを開発しました。
数字の上では素晴らしい出来事と思われますが、速さと言う意味とは、少々違うようです。


Chapter.5
2010年ACOは、本気でガソリンエンジンとディーゼルエンジンの性能を整えようと考えたようです。ガソリンエンジンを使うコンストラクター達は、5年ぶりに訪れたチャンスと判断して、マシンの開発に取り組みました。童夢が期待された理由もここにありました。
また、ニック・ワースの挑戦は、何かの実験だったかもしれません。しかし、2011年以降すべてのコンストラクターが、ニック・ワースと同じ苦労をすることとなります。早くも2011年に成功する方法を追求します。

■フェラーリの最後のターゲットはSuperGTだ!

昨年SuperGTでは、ACO/FIA-GT2レギュレーションのマシンはGT300クラスで活躍しました。中でもダイシンが走らせたフェラーリF430GTCは衝撃的でした。フェラーリF430GTCは、ミケロットによって開発されたGT2レーシングカーです。2006年に最初のマシンがデリバリーされ、現在ではバージョン6にまで発展しています。現在最強のACO/FIA-GT2カーですが、日本では、ほとんど知られてないようです。昨年JAF-GT300ルールに基づいて独自にフェラーリF430GTレースカーを開発して、現在ACO/FIA-GT2のF430GTCも走らせるJIMGAINERの全面的な協力によって実現した、フェラーリF430GTCのストーリーです。

■我が道を歩むニッポンGT

SuperGTで夢を見ることは出来るか?
現在の日本でサーキットを満員に出来るレースはSuperGTだけです。しかし、SuperGTで夢を見ることが出来るのでしょうか?もし、1億円を自由に使えたら、レースで夢を見ることが出来るか?をテーマとしたストーリーです。



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