ライン

SpecialEdition

rogo1.gif
News
rogo2.gif
Special Edition
rogo3.gif
Calendar
rogo4.gif
Book
rogo5.gif
Shop
rogo6.gif
Link

Top


2015

11月1日
■2018年の新制GTEのエンジンはLMP1Hと同じ! GTEは2つに分かれる?

Photo:Sports-Car Racing

●BMWの本当の希望はLMP1Hだった
 2018年FIAは、新しいGTEのレギュレーションを施行する。現在、新しいGTEの内容について、FIAは詳しく話そうとしない。しかし、BMWは、早くも2018年にGTEからルマンに復帰することを発表した。元々BMWは、総合優勝が狙えるLMP1Hクラスからルマンに復帰することを望んでいた。現在のLMP1Hは、ポルシェ、アウディ、トヨタの3つのメーカーが参加するだけで、非常に危うい状況の中レースは行われている。しかも、先週アウディは、2016年限りでスポーツカーレースから撤退することを発表した。そのため、FIAにとって、BMWの希望は歓迎すべき話だっただろう。

 しかし、2014年にスタートした現在のLMP1Hは、既に3年が経過して、既存の3つのメーカーは、大きく開発を進めている。新たに参入にするメーカーにとって、これらの3つのメーカーに追いつくのは至難の業ではない。BMWの場合、以前からリカバリーエネルギーについて、慎重に研究を進めており、今年はフォーミュラEへも参入した。もちろん、現在のフォーミュラEの内容は、究極のリカバリーエネルギーカーとは言いにくいが、既にBMWは、最初の一歩を踏み出している。そのため、完全に0からスタートするメーカーと比べると、僅かであっても、BMWは有利な立場にあると考えられている。

 多少有利であっても、3つのメーカーが熾烈な開発競争を繰り広げているLMP1Hで成功するには、BMWは、より大きな資金を投下して精力的に開発を行わなければならない。残念ながら、BMWの首脳陣は、そのような大きな予算の計上を認めなかった。しかし、BMWにとって、リカバリーエネルギーを使ってルマンに勝つことは重要だった。この頃FIAのワーキンググループの場で、GTEへのリカバリーエネルギーの活用についての話し合いがスタートしている。現在のGTEはメーカーが開発するのを前提として存在しており、GTEへのリカバリーエネルギーの使用に反対するメーカーは非常に少なかった。結局GTEへのリカバリーエネルギーの使用が認められた結果、BMWはLMP1Hを諦めてGTEからルマンへの復帰を決定した。

Photo:Sports-Car Racing

●2018年のGTEは、リカバリーエネルギーの使用が可能!
 ここで注釈を加えるべきだろう。現在BMWは、GTEクラスからルマンを含むWECへの復帰を発表しただけであることを忘れないでもらいたい。また、公式には、その内容について何も発表していない。しかし、既に8年前から北アメリカのALMSでレイホール・レッターマンがGTEカーを走らせており、3年前ルマンにシュニッツァーのM3が登場して、ポールポジションからスタートした。現在もレイホール・レッターマンの活動は続けられており、今年は大柄なM6 GTEカーがIMSAで走っている。

 単純にルマンに復帰するだけであれば、既に存在するM6を走らせれはいい。わざわざ発表する内容ではない。
 現在のGTEは、昔ながらの改造ツーリングカーだ。非常に範囲が狭いレギュレーションを設けて、その範囲で開発競争を許す一方、性能調整のし易さを考慮して、ロードカーベースのGT3でも一般的に使われているような常識的なハイテクの多くは使用出来ない。高度な開発が前提であるだけでなく、新たな開発を行うには、そのためのホモロゲーションの取得が要求されるため、事実上メーカーのためのカテゴリーだ。また、現在のGTEは、開発競争の対象としてリカバリーエネルギーを排除している。
 
 どうやら、BMWを中心としたメーカーの要望を受け入れて、FIAは2018年のGTEにリカバリーエネルギーの使用が許して、LMP1Hと同じようなレギュレーションを設けるらしい。GTEへのリカバリーエネルギーの使用について、当方は、ワーキンググループで話し合われていたことを確認している。しかし、現在のところ、FIAはこの件について何も発表していないし、2018年のレギュレーションの内容は判らない。

 2018年にルマンへ復帰する際、BMWは、何らかのリカバリーエネルギーを備えるGTEカーを走らせるようだ。ここまでは、既に6月の時点でも、信憑性の高い噂として、あちこちで囁かれていた内容だ。現在、2018年の新制GTEでは、BMW以外のいくつかのメーカーも、リカバリーエネルギーを使った新しいGTEカーを走らせると考えられている。

 噂を信じるのであれば、2018年ポルシェは、エネルギリカバリーシステムを組み合わせた2リットルエンジンを組み合わせた911GTEカーを走らせると言われている。しかも、そのエンジンは、919の90度V4でなくフラット4と噂されている。ポルシェは、7年前リカバリーエネルギーシステム付きの997を走らせているため、容易にハイブリッドGTEカーを作り上げるだろう。

Photo:Sports-Car Racing

●GTEとLMP1Hのエンジンを同じものとする
 現在FIAにとって、最も大きな悩みは、LMP1(L)に参入するプライベートチームが少ないことだ。と言うより、LMP1(L)に搭載する優秀なエンジンはAERの3.2リットルターボエンジンだけで、このエンジンは700馬力+程度の出力しか発生出来ない。LMP1Hは1000馬力以上であるから、プライベートチームはLMP1(L)に参入するのを躊躇っている。
 このような背景もあって、FIAは最初BMWが希望したLMP1Hへの参入を歓迎していた。

 BMWがリカバリーエネルギーを使うGTEでのルマン復帰を決定した際、FIAは、もう1つの利点を思い描たようだ。
 GTEのエンジンをLMP1Hと同じレギュレーションとしてしまえば、GTEカーのエンジンをLMP1Hカーに載せることも可能だ。
 しかし、現在のGTEは、メーカー間の開発競争のコストを圧縮するため、先に記した様に、多くのハイテクを制限している。LMP1Hの重要な要素であるリカバリエネルギーの使用は厳禁だった。
 BMW等の自動車メーカーはリカバリーエネルギーの採用を望んでいることから、LMP1Hで使われているリカバリーエネルギーをGTEでも採用すれば、GTEとLMP1Hのエンジンは相互乗り入れが可能となる。

 この点についても、現在のところFIAは何一つ発表してない。それどころか、ACOは、6月のルマンの際、プライベートチームのLMP1(L)をファクトリーチームのLMP1Hと同じ速さで走らせる様、2つのLMP1の車高や空力を調節するプランを公表した。

 6月にACOが公表したプランは、非常に曖昧で、しかも、高度なルールと技術が要求されるDRS(可変リアウイング)まで含んでいる。そのため、理論的には有効であっても、技術と資金が限られるプライベートチームにとって、どれほど有効であるか?疑問が大きい。第一、DRSの基準値を算出する空力開発の資金を誰が提供するのか?誰も知らない。
 たぶん、DRSのルールを導入した際、DRSを使うLMP1カーを走らせるチーム自身が、空力開発を行うと判断しているのだろう。もし、未熟なレーシングチームが、充分な空力開発無しでDRSを導入して、もし、ユノディエールで空を飛んだら、誰が責任をとるのだろう?
 このような問題もあって、プライベートチームでも使うことが出来る1000馬力のエンジンの実現は重要だった。

Photo:Sports-Car Racing

●2018年のGTEは1000馬力?!
 ところが、現在のGTEカーのエンジンは、せいぜい480馬力を発生するだけだ。LMP2レベルと考えると分かり易い。
 実際、2011年に現在(2016年までの)LMP2カテゴリーが作られた時、GTEカーのエンジンをそのまま搭載することを前提とした。当時最大多数だったポルシェのフラット6の使用を想定したルールだったが、ポルシェのフラット6はクランクシャフト高が高く、既存のレース用トランスミッションと組み合わせると、トランスミッションが高い位置にレイアウトされてしまう。しかも、販売されているLMP2カーのリアサスペンションの取り付けポイントはトランスミッションに設けられているため、リアサスペンションのジオメトリーが、想定より大きく狂ってしまう。そのため、最初に構想された時から、ちぐはぐな内容だった。

 ニッサンやホンダ等GTE以外のエンジンが登場する可能性が大きかったことから、その後GTEでなく、ホモロゲーションエンジンと表現は変えられて、ポルシェのフラット6がLMP2で登場する可能性なくなった。しかし、エンジンの出力変わらず、GTEカーと同程度で、2017年に施行される新制LMP2に使われるギブソンのLMP2エンジンの出力も同程度だ。

 もし、GTEとLMP1Hのエンジンを同じとするのであれば、現在480馬力のGTEのエンジン出力を2倍以上の1000馬力に増やすか、現在1000馬力のLMP1Hエンジン出力を半分以下に削減しなければならない。ところが、LMP2は500馬力であるから、その場合、2018年のLMP1HはLMP2と同じエンジン出力となってしまう。
 もちろん、現在FIAは、新制GTEに1000馬力のエンジン出力を導入しようとしている。

Photo:Sports-Car Racing

●2018年のGTEは2クラス?
 しかし、レース専用のLMPカーと違って、ロードカーベースのGTEカーはダウンフォースも少なく、サスペンションによるメカニカルグリップも小さい。GTEカーに1000馬力を与えたら、新たな開発が要求される。しかも、現在のGTEは、1年後にプライベートチームに販売することを前提としており、ジェントルマンドライバーが競い合うGTE-Amクラスは、1年落ちのクルマであることが規定されている。ファクトリーチームが走らせた1000馬力のGTEカーを、1年後裕福なジェントルマンドライバーが購入しても、彼らにとっては、大きく手に余る存在となるだろう。常識的には危険きわまりないクルマとなるだろう。

 そのため、2018年のGTEは、現在の様な“Pro”と“Am”に分けるのでなく、速さによって2つのクラスに分けられると考えられている。速い方のクラスがLMP1Hと同じ、リカバリーエネルギーを使った1000馬力であるのは容易に予想出来るが、遅い方、たぶん、現在のGTEカーと同程度のエンジン出力のクラスについても、現在と同じGTEカーとなる訳ではないようだ。
 サム・コリンズは、速い方のクラスがPro、遅い方のクラスが現在のAmとなると予想した。

 速い方のクラスは、LMP1Hの動向に左右されると考えられる。今後LMP1Hは、リカバリーエネルギー量を増やすと考えられるため、現在LMP1HとGTEに参入するメーカー達が、FIAと共に速さを話し合っているだろう。
 遅い方のクラスについては、現在のGTEだけでなく、もう1つのクルマが噂となっている。そのクルマは、以前GTプラスと呼ばれたクルマと同じものらしく、GT3をベースとして、多少改造範囲を増やしたクルマであるらしい。

 2018年の場合、2017年にファクトリーチームが走らせたGTEカーを、現在のGTE-Amクラスで走らせると考えられる。また、2018年に2つのGTEクラスが誕生すると仮定しても、遅い方のクラスは、少なくとも、最初、古いルールのクルマと新しいルールのクルマが混走すると予想されるため、WECやルマンだけでなく、ELMSやAsianLMSの動向を見て、その内容は決定されるだろう。

Photo:Sports-Car Racing

10月1日
■65台がスタートするスーパー耐久

Photo:Sports-Car Racing

 何らかのカタチでレースに関わっている様な“コア”なレースファンにとって、スーパー耐久は重要なレースシリーズだ。しかし、メーカーの支援もなく、プロドライバーの参加も少ない。そのため、SuperGTと比べると華やかさに欠け、多くのエントリーがアマチュアであることもあって、真剣勝負のバトルを期待するのも難しい。日本の一般的なレースファンの多くは、華やかなレースを見たいのであればSuperGTへ行くだろうし、真剣勝負のバトルを期待するのであればスーパーフォーミュラへ行くだろう。しかし、現在スーパー耐久が、予想されなかった活況を呈している。

Photo:Sports-Car Racing

 今年25年目と迎えたスーパー耐久は、この様に、いつの時代も曖昧なレースシリーズだった。そのため、25年のスーパー耐久の歴史は、決して安泰ではなかった。不安定なアマチュアのエントリーが多いこともあって、不安定な時代も多かった。
 その不安定なレースシリーズを運営したのはSTOだ。STOを精力的に運営したのは桑山充だった。シリーズを乗っ取られそうになった時代もあった。乗っ取られそうと言うことは、スーパー耐久が、それだけ魅力のあるレースシリーズである証拠だが、近年桑山充は、スーパー耐久の東南アジアへの展開を進めていた。桑山充は、誘いを受けたマレーシア、韓国、台湾、タイ等様々な国のサーキットやプロモーターと話し合った。そして2013年韓国のインジェで最初のレースの実施にこぎ着けた。
 しかし、精力的に活動した桑山充は病に倒れ、インジェでレースが行われる3ヶ月前、この世を去った。

Photo:Sports-Car Racing

 STOの運営は婦人の桑山晴美が引き継いだ。
 生前の桑山充は、海外への展開を進めると共に、エントリーの多様化を進めていた。海外との交流が可能なGT3カーをトップカテゴリーに据えると共に、新たに1,300ccと1,500ccのクラスも設けた。桑山充がまいた種は、桑山充の死後花開いた。
 どんどんスーパー耐久へのエントリーは増えた。日本のほとんどのサーキットのレースでの最大出走台数は42台だ。あっという間に、スーパー耐久のエントリーは、サーキットの最大出走台数を上回った。
 スーパー耐久のプロモーターを引き継いだばかりの桑山晴美にとって、嬉しい驚きだった。しかし、数が多すぎた。

 スーパー耐久の多すぎるエントリーは、STOだけでなくサーキットにとっても驚きだった。サーキットと話し合ったSTOは、最初エントリーを選抜して、42台に抑えようと試みた。しかし、スーパー耐久は、日本中のサーキットを転戦するため、それなりに大きな費用が必要であるにも関わらず、たくさんのエントリーを集めたことから、各々のサーキットにおける最大出走台数の拡大を目指して、STOは再三サーキットと話し合った。その結果余裕のあるサーキットは、次々と最大出走台数を拡大した。最も多くのエントリーが見込まれた富士スピードウェイは、余裕があったこともあって、2015年に50台、今年は65台まで最大出走台数を増やした。それでも9月に行われた富士9時間レースでは、最大出走台数の65台に達した。そのため、2017年に向けて、STOと富士スピードウェイは、最大出走台数を75台まで増やすべく、慎重にプランを練っているようだ。
 富士スピードウェイのような余裕のない小さなサーキットは、現在参加クラスを2つに分けて、2つのレースを行っている。2つに分けてしまっても、65台も居ることから、どちらのレースも充分なエントリーを集めている。

Photo:Sports-Car Racing

 総てのサーキットの最大出走台数を上回る65台もエントリーを集めていることから、現在STOは海外への展開計画を一旦棚上げとしている。ところが、STOが対象としていた東南アジアのレーシングチームのいくつかは、近年スーパー耐久へ参加するようになった。2016年はGTアジアの強豪と言うだけでなく、今年ルマンへも参加したクリアウォーターレーシングが、最新のマクラーレンをスーパー耐久で走らせている。クリアウォーター以外にも最新のGT3カーをスーパー耐久へ持ち込んだレーシングチームがいることから、東南アジアのGT3カーと日本のレーシングチームのGTRとの間でトップ争いが行われている。

 また、これまで東南アジア全域に展開していたGTアジアに対抗して、ホンコンスーパーカークラブとSROがブランパンGTアジアシリーズを計画したため、元々GTアジアに参加していたレーシングチームは、少々困った状況に陥っている。最初のGTアジアは、日本で3つのレースを行うことによって、コンテナによる輸送代金をペイしようとした。なぜなら、GTアジアに参加するアジアのミリオネラにとって、最も行きたい場所は日本であるからだった。特に彼らのお気に入りは富士スピードウェイだ。箱根で温泉に浸かって、近代的な富士スピードウェイでレースを行って、東京で美味しい食事を食べてショッピングを行うのは、アジアのミリオネラにとって大きな楽しみだった。

Photo:Sports-Car Racing

 ホンコンスーパーカークラブのポール・ヤオとSROのステファン・ラテルが、新たにブランパンGTアジアシリーズの実施を発表したため、多くの人々は、GTアジアへ参加していたレーシングチームの多くは、2017年GTアジアでなくブランパンGTアジアシリーズへ参加すると予想している。しかし、日本で行われるレースは、富士と鈴鹿の2つだけであることから、ブランパンGTアジアシリーズへエントリーするとしても、彼らは別の日本のレースへの参加を望んでいる。5月末から9月半ばまで、彼らのGT3カーは日本にあることから、その間スーパー耐久へ参加することを望んでいる。その間に行われるスーパー耐久とは、今年65台が走った富士9時間レースだ。しかも彼らは、現在のクリアウォーターの様に、日本で、彼らのコレクションする別のGT3カーを保管して、シーズンを通してスーパー耐久への参加を計画しているようだ。
 どうやら、スーパー耐久は、アジアを代表する大規模なレースシリーズとして認知されつつあるようだ。

Photo:Sports-Car Racing