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    7月30日
    ●東海大学は11月に開催されるインターコンチネンタルルマンカップ珠海に参加

    Photo:Sports-Car Racing

     既報通りACOは、9月にLMSシルバーストーン、10月にALMS“プチ-ルマン”、そして11月にアジアンルマンシリーズのズーハイの3つによってインターコンチネンタルルマンカップを開催する。これまで中国の珠海(ズーハイ)で開催されるアジアンルマンシリーズについて、情報が伝わってこなかったが、先週ポルシェが911GT3Rハイブリッドカーによって(章典外)参加する計画を発表したことによって、イベントを開催する準備が行われていることが明らかとなった。

     既にインターコンチネンタルルマンカップについては、5月にエントリーは締め切られている。インターコンチネンタルルマンカップはLMP1クラスだけが対象で、アウディが2台、プジョーが2台、ORECAがAIMエンジン搭載の01EVOを1台、シニアチュールPlusのアストンマーティン、ドレイソンのローラ/ジャド、そしてOAKの2台のペスカロロがエントリーしている。OAKについては、通常走らせているペスカロロP01がLMP2バージョンであるため、本当にエントリーをするのか?疑問が残るが、少なくとも正式にエントリーを行っている。
     しかし、ズーハイのイベントはアジアンルマンシリーズとして行われることが決定しているため、インターコンチネンタルルマンカップに参加しないLMP1カーであっても参加することが可能だ。

     先週このアジアンルマンシリーズ枠で、東海大学はズーハイへの参加を発表した。
     走らせるのは、2008年のルマンと2009年のアジアンルマンシリーズ岡山で走らせたORECAクラージュLC70にYGKエンジンを組み合わせたマシンで、東海大学内ではTOP03と呼ばれている。タイヤについては公表されていないが、スポンサーとして日本電産が支援することが発表された。
     2008年のルマン、そして2009年の岡山を見る限り、実戦に参加する以前に、行うべき事柄が多いことは明らかだった。岡山から1年が過ぎ、東海大学が、どのような進歩を遂げているのか、期待したい。

    7月29日
    ●2011年に登場する2つのローラLMP2カー 急遽発表した“屋根付き”のB11-80はロングホイールベース

    Photo:Lola Cars  急遽発表されたB11-80、B09-80系からのアップデイトも可能

     既報通り2011年ACOは、新しいレギュレーションを導入する。GTクラスを現行のGT2をベースとしたものに統一する一方、LMPカーについては、LMP1のパワーを削減するため、ガソリンエンジンの場合現行のLMP2と同じ排気量3.4ℓNAもしくは排気量2ℓターボに、ディーゼルエンジンの場合排気量を3.7ℓに制限されると共にリストリクターとブースト圧を引き下げられる。LMP1が現行のLMP2のエンジンを使うため、LMP2はどうなるのか?心配する方も居るだろうが、2011年のLMP2はGT2カーのエンジンの使用を義務付けられる。
     しかし、車両本体のレギュレーションは現行のルールをベースとしたものだ。LMP1が幅16インチ、LMP2が幅14インチのタイヤを履くことも変わらない。LMP1の場合、現在ガソリンでも5.5ℓのV10、ディーゼルの場合5.5ℓのV10かV12が主流であるため、2011年は大幅にエンジン重量が軽くなる。車重は現行と同等の900kgであるため、前後の重量配分が大幅に前寄りとなることが予想されている。そのため、現在世界中のコンストラクターは、前寄りの重量配分となった時に最良のポテンシャルを発揮することを目指して、全力で開発に取り組んでいる。
     2004年以来の大きな変更で、前寄りの重量配分を活かすことが高いポテンシャルのポイントとなっているが、レギュレーション上、従来とまったく違うクルマが2011年に走る訳ではない。
    *注:Sports-Car Racing Vol.19の特集記事をご覧下さい。

     トップカテゴリーであるLMP1の場合、大きな開発は、カテゴリーを活性化出来るため、歓迎される状況であるかもしれない。しかし、今年幾つかの有力なコンストラクターが活動を休止したことでも明らかなように、現在の経済状況を考慮すると、トップカテゴリーのLMP1でもコスト削減は重要な課題となっている。
     車両本体のレギュレーションが現行と大きく変わらないことから、2011年以降も現行と同じ大排気量エンジンの使用を求める意見も存在する。実際ジャドを介して、現行の5.5ℓV10ガソリンエンジンの使用について、ハンデを科すことを条件として、2年間の猶予期間を求める要求をACOは受けている。

     LMP1でもコスト削減が叫ばれている状況であるため、ほとんど総てが限られた予算で活動しているプライベートチームであるLMP2の場合、GT2カーのエンジンによってコストダウンを図っても、従来のクルマが完全に使えない状況となったら、エントリーは激減してしまう。そのため、ベースとなるGT2のエンジン本体価格を約900万円とするルールをACOは設けることを公表している。最初ACOはGT2カーに積まれているエンジンに限定することを公表した。しかし、コスト削減が目的である以上、GT2カーに積まれているエンジンに限定する必要はないと考えられるようになって、その後ロードカーに積まれているエンジンをベースとしたエンジンも生産台数の下限を規定することによって、LMP2のエンジンとして認められることが決定した。このACOの改革は世界中のメーカーの興味を惹き、BMW、フォード、HPD(ホンダ?)、ジャガー、ジャド(メーカー名は未公表)、ニッサン、そしてトヨタが、ロードカー用をベースとするエンジンを供給する意向を表明した。これらに現行のGT2カーの中心であるポルシェ、フェラーリ、アストンマーティン等を加えると、2011年のLMP2が大きな可能性を持つことが判る。

     と言っても、たくさんのLMP2カーが売れる状況とは考えられないため、マシンを販売するコンストラクターは様々な作戦を練っている。先週現在プロトタイプスポーツカーの最右翼のコンストラクターであるローラは、“屋根無し”のB05-40系LMP2をベースとした“屋根無し”のB11-40を発表している。既にローラは“屋根無し”のB05-40系の開発を終了したと考えられていたため、先週のローラの発表は、彼方此方から疑問を呈する意見が出された。第一2010年の状況を見ても明らかなように、“屋根無し”のB05-40系は“屋根付き”B09-80系LMP2カーに速さで敵わない。新たに大幅な開発を加えない限り、そのようなクルマを買うレーシングチームは存在しないと考えられていた。

    Photo:Lola Cars  B05-40系をベースとしてアップデイトされるB11-40

     ローラは2010年2011年以降の使用を前提として“屋根付き”のB10-60 LMP1カーを発表している。B10-60は前寄りの前後重量配分への対応したクルマではなく、発表した時から、2011年にローラは、B10-60をベースとして前寄りの前後重量配分に対応したシステムを搭載する一方、前寄りの重量配分を活かして、大きなフロントタイヤを履くマシンを発表することが予想されていた。
     昨日ローラは、もう一つの2011年のLMP2カーとして、予想されていた“屋根付き”のB11-80を発表した。CFDイラストを見ると明らかなように、垂直尾翼を除くと、B11-80 LMP2カーは今年デビューしたB10-60 LMP1カーとソックリだ。たぶん、このCFDイラスト自体、B10-60に手を加えただけの暫定的なものだろう。
      大きな変更は、新しいB11-80 LMP2はホイールベースを延長していることだ。エンジンとギアボックスの間のベルハウジング部分を延長してホイールベースを延ばしているらしいが、ベルハウジングを延ばしてホイールベースを延長する場合、エンジンがクルマの前方に移動するため、前後の重量配分が前寄りとなることは理解出来るだろう。

     “屋根付き”のB11-80が、2011年のローラにとって本命のLMP2カーであって、“屋根無し”のB11-40が間に合わせであるのは明らかだろう。たぶん、B11-40の新車はほとんど作られることなく、ほとんどの場合、現在中古車市場で安価にに出回っているB05-40系をベースとしてアップデイトして作られることとなるのだろう。
     元々ローラは、7月にB11-80を発表する計画はなかった。しかし、B11-40を発表したことによって、疑問を呈する意見が出された結果、急遽B11-80を発表しなければならない状況となってしまったようだ。
     なぜなら、未だローラはB11-80の風洞実験も行っていない。これから風洞実験を行って、細かい部分のデザインを決める段階だった。第一前寄りの前後重量配分とした場合、パワステを初めとする様々なシステムを新たに開発しなければならない。そのため、本当の発表時期は例年通り1月を予定していたようだ。
     中古車市場で安価に出回っているB05-40系(屋根無し)にアップデイトパーツを加えるB11-40を開発するだけでなく、ローラは、新しいB11-80(屋根付き)についても、既存のB09-80系(屋根付き)をベースとしてアップデイト可能であることを明らかとしている。一度買ったシャシーを長年使用可能な状況とする配慮はローラ最大のアドバンテージだ。
    *注:Sports-Car Racing Vol.19の特集記事を参考にして下さい。

    6月13日
    ●LeMans24h FINISH プジョー全滅、アウディが1-2-3

    Photo:Sports-Car Racing

     たった1ラップ差だったため、プジョーの速さを考えると、充分逆転可能と思われた。実際No.1ワークスプジョーとNo.4ORECAプジョーは、予選でさえアウディが出したことがない3分20秒台前半のラップタイムで走行していた。
     ところが、12時50分No.1ワークスプジョーはエンジンルーム右側から白い煙を吐いてストップしてしまった。No.2のように火災は起きなかったが、同じエンジントラブルだった。
     アウディの優勝は間違いないように思われた。しかし、唯一残ったNo.4ORECAプジョーが、3位を走るNo.7アウディを同一周回で追い上げていたため、慎重な闘いが繰り広げられていた。
     1時42分ルーティーンピットストップを終了したNo.4ORACAプジョーを、ヒュー・ド・ショーナックはコースに送り出した。フランスの期待は、残されたショーナックのプジョーに託された。ところが、レースに復帰したNo.4ORECAプジョーは、ユノディエールを走り切ってミュルサンヌへブレーキングを開始した際、No.1やNo.2ワークスプジョーと同じ様にエンジンルーム右側から白い煙を吹き上げた。インディアナポリスに到達した際エンジンルーム右側タイヤハウス手前のターボチャージャー付近から炎を吹き上げた。アルナージュまで走ってストップした。
     これでプジョーは全滅してしまった。

    Photo:Sports-Car Racing

     これで終わった訳ではなかった。プジョー勢の全滅によって4位を走行していたNo.009アストンマーティンは、No.4ORECAプジョーがストップした20分後の2時5分、まったく同じミュルサンヌで煙を吹き上げた。プジョー勢と同じエンジンブローと思われた、インディアナポリスでストップした。
     驚異が消滅したアウディは、ペースを落とす一方、ピットストップの際タイミングを見計らって、早めに3台を並べて走行させた。
     そして3時1分23秒694秒、3台のアウディは並んでダニエル・ポワスノの振り下ろすチェッカードフラッグを受けた。

    Photo:Sports-Car Racing
     
     4位にはNo.6ORECA-AIMが入った。ローラ勢は、レベリオンが全滅して、6位のNo.007ローラ-アストンマーティンが最上位となった。LMP2クラスでは、No.42ストラッカHPDが優勝した。No.42ストラッカHPDは総合でも5位でフィニッシュした。GT2クラスはNo.77フェルベマイヤーポルシェが優勝した。総崩れのGT1クラスは、追い上げていたNo.52AMRのアストンマーティンが脱落したため、何とNo.50ラルブルコンペティションサリーンが優勝した。このサリーンは2007年にORECAが製作したクルマで、ORECAの力を示すレースともなった。

    Photo:Sports-Car Racing

    *総合順位
    1  LMP1 No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/397aps
    2  LMP1 No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/396laps
    3  LMP1 No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/394laps
    4  LMP1 No.6/AIM Team Oreca Matmut/ORECA 01EVO/369laps
    5 LMP2  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/367laps        *LMP2 1位
    6 LMP1 No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/365laps
    7 LMP2 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/361laps
    8  LMP2 No.25/RML/Lola B09-80/HPD/358laps
    9 LMP2 No.24/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/341laps
    10 LMP2 No.41/Team Bruichladdich/Ginetta-Zytek 09S/341laps
    *上位10位まで

    11 GT2  No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/338laps *GT2 1位
    13 GT1  No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/331aps                 *GT1 1位


    6月13日
    ●LeMans24h RACE 21:00-12:00 プジョーにトラブル、アウディがトップ、1周差の接戦

    Photo:Sports-Car Racing

     午後10時頃、No.1プジョーはピットに入ってきて、そのままガレージに入れられた。プジョーの発表によると電気系トラブルだが、その際トランスミッションとパドルシフトも点検している。パドルシフトの電気系に問題があったのかもしれない。このトラブルによって、No.1プジョーは7位まで後退した。
     1位にNo.2プジョー、2位にNo.4ORECAプジョー、3位にNo.9アウディ、4位にNo.8アウディ、5位にNo.007アストンマーティン、6位にNo.7アウディ、7位にNo.1プジョーとなる。1-2位のプジョーと3位のNo.9アウディの間には1周差があるが、No.7アウディとNo.1プジョーは同一周回だ。

     プジョー勢は2台共3分21秒台のハイペースで走っているのに対して、アウディ勢は3分23秒台であるため、差は広がると思われた。しかし、午前3時頃No.4ORECAプジョーが駆動系のトラブルでピットに張り付いた。最初デフのトラブルと思われたが、最終的にドライブシャフトと判って、ドライブシャフトを交換してレースに復帰した。
     No.4ORECAプジョーが後退した後もNo.2プジョーのリードは続いた。しかし、気温が低くなった後、アウディ勢がペースアップしたこともあって、1周差から差は広がらない。

    Photo:Sports-Car Racing

     夜が明けた後、7時47分No.2プジョーはエンジントラブルによって火災を起こした。ダンロップブリッジ付近で火を噴いたNo.2プジョーは、そのままテルトルルージュまで走行してストップした。
     そして、スタート前には考えられなかったNo.9とNo.8の2台のアウディがレースをリードすることとなった。3位にはNo.7アウディを抜いたNo.1プジョーがトップと1周差で追う展開に変わった。

     9時30分頃GT2クラスの2番手を走っていたジャン・カルロ・フィジケラがドライブするNo.95AFコルセフェラーリは、インディアナポリスでブレーキをロックさせてタイタバリアに直進した。しかし、上手くタイヤバリアによって衝撃が吸収されたようで、フロントセクションを壊しただけで、フィジケラのフェラーリは自力でピットに戻った。

    Photo:Sports-Car Racing

     その後11時30分頃2位を走っていた、アンドレ・ロッテラーがドライブするNo.8アウディはアルナージュでクラッシュしてしまった。フロントカウルを壊したため、ピットに入って修理を行ってレースに復帰した。その間に3位を走っていたNo.1プジョーはNo.8アウディの背後に迫った。ロッテラーは1周だけ抵抗を試みたが、2周目第2シケインの入り口でNo.1プジョーに抜かれた。しかし、プジョーは次の周回でピットインしたため、同一周回でNo.8アウディとNo.1プジョーが2位を争っている。トップは1周差でNo.9アウディのままだ。
     LMP2クラスでは、No.42ストラッカHPDが、やっとハイクロフトを引き離した。それどころか、LMP1カーを出し抜いてトップ10に顔を出してきた。GT1は総崩れの状況となっている。その結果8台しか居ないGT1クラスの予選7位からスタートしたサリーンがトップを走っている。優勝候補最右翼だったNo.52アストンマーティンが、何とか2位まで挽回しているが、その差が6周もある。GT2クラスはワークスコルベットを抜いてトップを走っていたNo.82RiSiフェラーリがストップした後、ミュルサンヌとインディアナポリスであいつでワークスコルベットもストップしてしまった。その結果下馬評通りNo.77フェルベマイヤーポルシェがトップを走っている。

    Photo:Sports-Car Racing

    12:00時点の順位
    *総合
    1  LMP1 No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/347laps
    2  LMP1 No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/347laps
    3  LMP1 No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/346laps
    4  LMP1 No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/345laps
    5  LMP1 No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/344laps
    6  LMP1 No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/335laps
    7  LMP1 No.15Kolles/AUDI R10 TDI/331laps
    8  LMP1 No.6/AIM Team Oreca Matmut/ORECA 01EVO/324laps
    9 LMP2  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/320laps                *LMP2 1位
    10 LMP1 No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/316laps
    *上位10位まで

    14 GT2  No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/296laps *GT2 1位
    18 GT1  No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/289laps                        *GT1 1位


    6月12日
    ●LeMans24h RACE 15:00-21:00 ポールポジションのNo.3プジョーリタイヤ、プジョーが1-2

    Photo:Sports-Car Racing

     午前中で雨は止んで、昼休みにエコカーのデモランが行われる頃になるとコースは完全に乾いた。決勝レースのスタート前、スターティングドライバーが乗り込む際、伝統的なルマン式スタート同様、コースの反対側からドライバーは自分のクルマまで走って、コクピットに乗り組んだ。
     決勝レースがスタートすると、3台のワークスプジョーが編隊を組み、その直後にNo.4ORECAプジョーがつけて、早くもプジョーが1-2-3-4位を独占する。その後ろに3台のワークスアウディが走るが、あっと言う間に差は開いた。
     スタートから20分が過ぎる頃、ナイジェル・マンセルが操るNo.5ザイテックは、インディアナポリス手前の緩やかな右コーナーでバランスを崩してクラッシュしてしまった。この場所は最高速度が記録される丘の直後で、300km/h前後の高速であったため、最初左側フェンスにクラッシュしたNo.5ザイテックは、跳ね返されて、右側のタイヤバリアに叩き付けられた。直ぐにセイフティカーがコースインして、マンセルの救出とコースの修復が行われた。セイフティカーランは30分も続いたため、ほとんどのチームは、最初のピットストップを行った。

    Photo:Sports-Car Racing

     セイフティカーランが終了しても、プジョーのパレードは続いた。ところが、4時30分頃テルトルルージュ手前のS字コーナーの入り口でNo.70/Marc VDSのフォードGTがクラッシュした。リアセクションを大破して、片側のサスペンションも壊れたが、辛うじて走ることが可能であるため、ドライバーは自力でピットを目指して走り始めた。しかし、努力虚しく、レースを諦めることとなった。
     5時28分、それまでトップを走っていたNo.3プジョーが突然ピットに滑り込んできた。そしてガレージに入れられてチェックしたところ、右フロントサスペンションが破損していることが発見されて、リタイヤすることとなった。
     ドライブしていたペロド・ラミーによると、突然バイブレーションが発生したためピットインしたと言う。フロントサスペンションがマウントされているモノコックに僅かな亀裂が見つかったらしい。No.3プジョーのシャシーは、昨年優勝した908-06で、新車ではなかった。度重なるテストで使われたシャシーであるため、モノコックに疲労が蓄積されていたのかもしれない。

    Photo:Sports-Car Racing

     しかし、2位を走っていたNo.2プジョーがトップの座を引き継ぎ、ピットインのタイミングでNo.1プジョーと順位を入れ替えながらレースをリードしている。3番手もNo.4ORECAプジョーのままだ。アウディ勢はポジションを1つずつ上げたが、午後7時21分、アウディ勢のトップを走っていた、アラン・マクニッシュがドライブするNo.7アウディはポルシェカーブで、周回遅れのGT2カーと接触してしまった。マクニッシュは3周を失って、7位までポジションを落とした。

    Photo:Sports-Car Racing

     LMP2クラスは、No.42ストラッカHPDがNo.26ハイクロフトHPDをリードしている。GT1クラスはMarc VDCのフォードGTがリタイヤしたため、No.73ルック・アルファンのコルベットとNo.60MatechフォードGTがトップを争っている。GT2クラスは、スタート直後2台のワークスコルベットは独走する気配だったが、昨日2日目の予選タイムを抹消されたNo.82RiSiフェラーリがワークスコルベットを追走して、午後8時50分コルベットを抜き去った。同一周回ながらトップを走っている。
                                      
    21:00時点の順位
    LMP1
    1  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/98laps
    2  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/98laps
    3  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/98laps
    4  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/97laps
    5  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分97laps
    6  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/96laps
    7  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/95laps
    8  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/95laps
    10 No.008/Signature Plus/Lola AstonMartin DBR1-2/94laps
    *上位10位まで

    LMP2
    1  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/91laps
    2  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/91laps
    3 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/89laps
    4 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/89laps
    5  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/88laps
    6 No.41/Team Bruichladdich/Ginetta-Zytek 09S/85laps
    *上位6位まで

    GT1
    1 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/85laps
    2 No.60/Matech Competition/Ford GT/84laps
    3 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/84laps
    4 No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/83laps
    5 No.52/Young Driver AMR/70laps
    6 No.61/Matech Competition/Ford GT/59laps
    *上位6位まで

    GT2
    1 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/85laps
    2 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/84laps
    3 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/84laps
    4 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/84laps
    5 No.95/AF Corse/Ferrari F430 GT/84laps
    6 No.76/IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR/83laps
    *上位6位まで

    6月12日
    ●雨のルマン?

    Photo:Sports-Car Racing

     金曜日ルマンは晴天に恵まれた。このまま今年のルマンはドライコンディションで24時間レースが行われるのかと思われたが、日付が変わる頃から雨が降り出して、夜が明けると完全な雨模様となった。
     午前9時ウォームアップランが行われる直前、一旦雨は止んだ。しかし、朝15℃もあった気温は7℃前後まで下がったため、到底コースが乾くような気配はない。
     ウォームアップランがスタートすると、アウディ勢が一斉にコースインした。しかし、プジョーやアストンマーティンは様子を見て、1周だけ走ってピットに入った。アウディはピットに入りながらも走行を続けたが、セッション後半になって、コースの一部にラインが出来るまでプジョーやアストンマーティンは連続走行を行わなかった。
     GT2クラスのポールポジションを獲得したNo.82 RiSiフェラーリは、昨日の夕方になって、リアウイングの角度(翼端板?)の違反によってタイムを取り消され、ワークスコルベット勢の後ろから決勝レースをスタートするが、今朝のウォームアップランで、その速さをアピールしている。
     参考になるようなタイムは記録されなかったが、アラン・マクニッシュが操ったNo.7アウディがトップタイムを記録した。たぶん、今年初めて、アウディはプジョーより速いタイムを記録した。
     セッション後半、テルトルルージュで雨が降り始めたが、本降りとはならず、そのままウォームアップランは終了した。

    6月11日
    ●Qualifying2 上位陣はタイム更新ならず プジョーが1-4グリッド独占 LMP2はストラッカHPD

    Photo:Sports-Car Racing

     木曜日ルマンは雨の朝を迎えた。午後グループCの予選が開始される頃になると、雨は激しさを増した。夕方ポルシェカレラカップの予選が行われる頃雨は止んだ。しかし、午後7時2回目の予選が開始された時、路面は完全なウェットコンディションだった。もちろん総てのクルマがレインタイヤを装着してコースインした。しかし、タイムが更新される訳でもなく、予選後半にコースが乾くことが予想されたため、総てのアストンマーティン、ワークスコルベット、BMW等はピットを離れなかった。予選開始20分後早くもコースが乾き始めた。と言ってもラインが出来始めただけだが、次々とピットインしてスリックタイヤに履き替えるチームが出てきた。
     しかし、午後9時までの最初のセッションでは、何とか3分30秒を切るチームが出ただけで、タイムは更新されなかった。午後8時過ぎポルシェカーブ2つ目の出口(メゾンブランシュ入り口)でジャン・クリストフ・ブリオンの操るNo.13レベリオンローラがクラッシュしてしまった。

     午後10時最後の予選が開始された。開始早々次々とタイムアタックが行われた。アラン・マクニッシュが乗り組んだNo.7アウディは、3分22秒台までタイムアップするが、アウディ勢のトップの座を奪取しただけで、プジョー勢には届かない。しかもアラン・マクニッシュのアウディ勢のNo.1をかけた闘いは、No.9アウディを操るマイク・ロッケンフェラーが3分21秒台を記録したことで、あっけなく幕切れとなってしまった。

    Photo:Sports-Car Racing

     昨日セバスチャン・ボーディによって3分19秒台の驚異的なタイムを記録したNo.8プジョーは、サイモン・ペジナウがセッティングを煮詰めているだけで、本気でタイムアタックを行い気配はない。プジョー勢はジャコバン広場で行われた車検で登場したのと違って、ORECAと同じ、ラジエターダクトと繋がったフィンを取り付けたボディによって予選を走っている。プジョーにこの点を質問したところ、使う可能性のあるパーツの総てを車検の際に提出する義務があるため、ジャコバン広場では、もう一つのボディを取り付けて行ったと答えられた。
     ノーズ左右に取り付けられた小さなカナードウイングの存在等、他にも違いが存在するため、ジェローム・カテラーニが行った風洞実験によって、何種類もの有力候補が見出されたため、火曜日頃、それらの中で最有力と思われる空力パッケージを採用したのではないだろうか? 基本的にORECAと同じボディだが、フロントフェンダーのスリットの後ろ半分を塞いで、ローダウンフォースを意識しているのが違う。
     このようなプジョーの高度な戦略にORECAが絡んでいるのは凄いと言うべきだろう。

    Photo:Sports-Car Racing

     タイムの更新が難しい総合トップ争いと違って、LMP2クラスは熾烈な争いが繰り広げられた。何時ものように、素晴らしい集中力を発揮したダニー・ワッツによって、No.42ストラッカHPDは3分33秒台のタイムを叩き出した。それをNo.26ハイクロフトHPDが追う展開となった。終了20分前までハイクロフトの闘いは行われたが、3分34秒台が精一杯で、No.26ストラッカHPDがLMP2クラスのポールポジションを獲得した。

    Photo:Sports-Car Racing

     11時20分を過ぎる頃からプジョー勢の動きが慌ただしくなった。No.4ORECAプジョーにはニコラス・ラピエールが乗り組んで、2種類のフロントカウルを付け替えながらセッティングが行われている。この2つのフロントカウルは、ヘッドライトのセッティングが違うのかと思っていたら、フロントフェンダー後方のスリットの存在するものと、ワークスプジョーの様に塞いでいるタイプを比較していた。最終的にニコラス・ラピエールはワークスプジョーと同じ後方のスリットを塞いだフロントカウルを選択したが、コースアウトによってタイムアタックは不発に終わった。
     終了30分前ニコラス・ミナシアンの操るNo.2ワークスプジョーは3分20秒台までタイムを上げた。セバスチャン・ボーディのNo.3プジョーも3分20秒台を記録して対抗した。しかし、最終的にどちらも昨日のタイムを更新することで出来ず、セバスチャン・ボーディのNo.3ワークスプジョーのポールポジションが決定した。

    Photo:Sports-Car Racing
                                      
    スターティンググリッド
    LMP1
    1  No.3/Peugeot Sport Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分19秒711*Q1
    2  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒317*Q1
    3  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒325*Q1
    4  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒192*Q1
    5  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/3分21秒981*Q2
    6  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分22秒176*Q2
    7  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分23秒605*Q2
    8  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒680*Q1
    9  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒747*Q1
    10 No.6/AIM Team Oreca Matmut/ORECA 01-AIM/3分29秒506*Q2
    *上位10位まで

    LMP2
    1  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/3分33秒079*Q2
    2  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/3分34秒537*Q2
    3  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/3分39秒648*Q2
    4 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/3分40秒532*Q2
    5 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/3分41秒310*Q2
    6 No.29/Racing Box/Lola B09-80/Judd/3分47秒971*Q2
    *上位6位まで

    GT1
    1 No.52/YoungDriver AMR/AstonMartin DBR9/3分55秒025*Q1
    2 No.70/Marc VDS Racing Team/Ford GT/3分55秒356*Q2
    3 No.60/Matech Competition/Ford GT/3分55秒583*Q2
    4 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒810*Q1
    5 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒906*Q1
    6 No.61/Matech Competition/Ford GT/4分01秒628*Q2
    *上位6位まで

    GT2
    1 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/3分59秒233*Q1
    2 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/3分59秒435*Q2
    3 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/3分59秒793*Q2
    4 No.95/AF Corse/Ferrari F430 GT/3分59秒837*Q2
    5 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/ 4分01秒640*Q2
    6 No.76/IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR/ 4分01秒755*Q1
    *上位6位まで

    6月10日
    ●2011年テクニカルレギュレーション1

    Photo:Peugeot-Media

     記者会見の際ACOのスポーツダイレクターのヴァンサン・ボメニルは、2011年のレギュレーションの主立った事柄の幾つかを発表した。まず、3月頃から話題となっている現行の大排気量エンジンの取り扱いについて、2011年に限って、ポテンシャルを調整することを条件として使用を認める考えであることを公表した。この発表の際、ヴァンサン・ボメニルは、2010年レギュレーションカーと述べているが、現在のところ2011年に新たに導入される項目はエンジンについてのみであるが、もしかしたら、今後他にも変更点が設けられるのかもしれない。

     2011年新たに設けられる最も象徴的なレギュレーションは、ハイブリッドの項目だ。これまでACOは、ハイブリッドについて電気のみしか述べていなかったが、機械的な方法ついても認めることを公表した。ハイブリッドのポイントである回生ブレーキについても、従来リアのみの設置しか認めなかったが、ご承知のように、彼方此方から反対意見が出されたことによって、フロントもしくはリアの一方から回生することを認めた。もちろん、リアと比べるとフロントの方が圧倒的に大きな回生が可能であるため、よほど大きな理由がない限り、総てのハイブリッドカーがフロントから回生することだろう。
     回生エネルギーを蓄える発電機は、事実上電気モーターそのものであるため、もし、フロントでの回生を認めた場合、フロントを電気モーターで、リアをエンジンで駆動する、4輪駆動とすることが可能となる。4輪駆動を禁止するACOのルールにおいて、フロントでの回生を認めた場合、4輪駆動が可能となることが、これまでリアのみの回生を主張してきた最大の理由だった。
     記者会見では発表されなかったが、既報通り、フロントに回生ブレーキを設けた場合、フロントに設置された発電機(電気モーター)に、電気モーターが駆動してないことを証明する、何らかのデーターロガーの設置が義務付けられる。
     回生可能なエネルギー容量については500KJ以下とすることも発表された。
     ヴァンサン・ボメニルは、既にザイテックがハイブリッドでの参加を計画していることも公表した。

    6月10日
    ●2011年10月富士スピードウェイでインターコンチネンタル・ルマン・カップ開催!

    Photo:Sports-Car Racing

     今朝ACOは記者会見を行った。今年インターコンチネンタル・ルマン・カップを開催するが、アジアの開催について、これまで正式に場所と日程を発表してなかった。2週間前非公式に11月14日とだけ公表したが、今朝正式に11月7日ズーハイで開催することを発表した。しかし、主催者は発表されなかった。その1週間前10月31日に上海でDTMが開催されるため、それに併せたと言う見方が大きいが、2週連続で同じ地域での開催について、疑問が提起された。
     差別化を図る目的からか、ズーハイで行われるレースは6時間の時間耐久レースとして行われる。

     インターコンチネンタル・ルマン・カップについては、2011年いよいよ全世界に展開する。同時に大まかなカレンダーが発表されたが、2011年は3月に北アメリカのセブリング12時間かラグナセカの6時間レースで開幕して、5月にスパ-フランコルシャン1000km、6月にルマン24時間、9月にシルバーストーン1000km、9月末もしくは10月初めに“プチ-ルマン”10時間、そして10月に富士スピードウェイで1000kmレース、11月中国で6時間レースを行うことが発表された。中国については、相変わらず場所は特定されなかった。
     ルマン24時間については、ポイントを2倍とすることは公表された。
     いよいよルマンシリーズが世界選手権になる時がきたようだ。

    6月10日
    ●Qualifying1 プジョーが1-4を独占

    Photo:Sports-Car Racing

     明日雨が降る可能性が高いため、午後10時最初の予選が開始されると、同時にタイムアタックが開始された。フリープラクティス同様4台のプジョーが主導権を握ったが、予選開始早々ニコラス・ラピエールのNo.4ORECAプジョーとNo.3ワークスプジョーは3分21秒台の闘いを繰り広げ、ニコラス・ラピエールが操るNo.4ORECAプジョーが最初のリーダーとなった。4台のプジョーの後ろ、5番手には、アウディ勢を出し抜いて、ステファン・モカが操るNo.007アストンマーティンが3分26秒台で付けた。

    Photo:Sports-Car Racing

     しかし、No.4ORECAプジョーは、燃圧の低下(ガス欠?)によってインディアナポリスでストップしたため、ニコラス・ラピエールの挑戦は終わった。その後アクシデントによって赤旗が提示されセッションが中断され、セッションが再開されるとワークスプジョーがタイムアタックを試みて、ニコラス・ラピエールのタイムは破られてしまった。
     プジョーは完全にアウディの存在を無視しているようで、ワークスプジョー同士のポールポジション争いが繰り広げられている。11時過ぎワークスプジョー勢が次々と2回目のタイムアタックを開始したが、直ぐに再び赤旗が提示されセッションが中断されてしまった。30分後セッションが再開されると、次々と3台のワークスプジョーはタイムを更新した。そしてセバスチャン・ボーディの操るNo.3プジョーは3分19秒711と言う驚異的なタイムを叩き出した。

    Photo:Sports-Car Racing

     アウディ勢は4台のプジョーの後ろに3台が並んだ。ガソリンエンジンクラスは再びGT1エンジンを搭載するアストンマーティンがトップタイムを記録した。AMRの2台と共にシニアチュール(シグネチャは間違い)のNo.008が3番手に付けた。No.6ORECA-AIMは11番手のタイムを記録するのが精一杯の状況だ。
     LMP2クラスは、ストラッカが躍進した。しかし、いつも大活躍を披露するダニー・ワッツではなくジョニー・カーンが、ハイクロフトとのHPD同士のLMP2トップ争いを勝ち取った。
     熾烈なGT2クラスのトップ争いは、No.82 RiSiフェラーリがワークスコルベットとの闘いに勝った。

    Photo:Sports-Car Racing
                                      
    LMP1
    1  No.3/Peugeot Sport Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分19秒711
    2  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒317
    3  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒325
    4  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒192
    5  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/3分23秒578
    6  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分24秒430
    7  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分24秒688
    8  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒680
    9  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒747
    10 No.008/Signature/Lola AstonMartin DBR1-2/3分29秒774
    *上位10位まで

    LMP2
    1  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/3分36秒168
    2  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/3分37秒202
    3 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/3分41秒968
    4 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/3分42秒399
    5  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/3分44秒598
    6 No.29/Racing Box/Lola B09-80/Judd/3分51秒065
    *上位6位まで

    GT1
    1 No.52/YoungDriver AMR/AstonMartin DBR9/3分55秒025
    2 No.60/Matech Competition/Ford GT/3分57秒296
    3 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒810
    4 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒906
    5 No.70/Marc VDS Racing Team/Ford GT/4分00秒325
    6 No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/4分03秒175
    *上位6位まで

    GT2
    1 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/3分59秒233
    2 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分00秒097
    3 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分01秒012
    4 No.76/IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR/ 4分01秒755
    5 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/ 4分02秒001
    6 No.95/AF Corse/Ferrari F430 GT/4分02秒492
    *上位6位まで

    6月9日
    ●Free Practice プジョーが驚異的な速さでアウディを圧倒

    Photo:Sports-Car Racing

     午後4時いよいよ最初のセッションであるフリープラクティスがスタートした。2008年秋のリーマンショックに端を発する景気後退の影響を考慮して、昨年からテストディを廃止して、レースウイークの水曜日4時間連続のフリープラクティスが行われている。セッション開始直前ミュルサンヌ方向から雨が降り出した。雨は直ぐに止んだため、ほとんどのチームはスリックタイヤを履いてコースインした。しかし、不安定な天気を考慮したのか、プジョー勢はノーズ左右に小さなカナードウイングを取り付けて走り始めた。
     ミュルサンヌからインディアナポリスの間が濡れているようで、最初慎重な走行を行っていたが、30分後にはドライコンディションとなって、一気に3分30秒を突破するタイムを記録するようになった。
     最初にタイムアタックを行ったのは、No.4ORECAプジョーだった。ワークスプジョーと違う空力パッケージのNo.4ORECAプジョーは、真っ先に3分30秒を切るタイムを叩き出すと、そのまま次々とタイムを更新した。
     No.4ORECAプジョーを追ったのは3台のワークスプジョーだった。ニコラス・ラピエールが操るNo.4ORECAプジョー、ステファン・サラザンが操るNo.2ワークスプジョー、セバスチャン・ボーディが操るNo.3ワークスプジョーの3台がタイム争いを繰り広げた。そしてステファン・サラザンは驚異的な3分20秒034を叩き出した。

    Photo:Sports-Car Racing

     アウディ勢は元気がなく、4台のプジョーの後ろのタイムを記録しただけだった。ガソリンエンジンのトップタイムは、GT1エンジンを積んだNo.009アストンマーティンが記録した。レーシングガソリンエンジンのトップタイムはNo.13レベリオンローラが記録した。ポールリカールテストで好タイムを記録したNo.6ORECA/AIMは13番手に沈んだ。

     LMP2クラスは、HPDパワーが上位を独占した。ハイクロフトとストラッカはトップ争いを繰り広げたが、ハイクロフトが僅差でトップタイムを記録した。3番手にもHPDエンジンを積んだRMLローラが入った。

    Photo:Sports-Car Racing

     GTクラスは、GT1とGT2が入り乱れてタイムを競い合う状況となった。パワーが大きいGT1の方が速いハズだが、No.52AMRを除くと、強豪揃いのGT2カーと接戦を繰り広げることとなった。
     GT2クラスのトップタイムを記録したNo.64コルベットは、GT1クラスの3位に相当するタイムを叩き出した。GT2クラスはコルベットだけが突出している訳ではなく、2台のワークスコルベット、No.77フェルベマイヤーポルシェ、No.82RiSiフェラーリ、No.89ハンコックフェラーリがトップ争いを繰り広げた。6位にはNo.85スパイカーが入った。

    Photo:Sports-Car Racing

    LMP1
    1  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒034
    2  No.3/Peugeot Sport Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒226
    3  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒514
    4  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分23秒605
    5  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分23秒935
    6  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分24秒099
    7  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/3分24秒779
    8  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分27秒268
    9  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分28秒133
    10 No.13/ Rebellion Racing/Lola B10-60/Judd/3分29秒851
    *上位10位まで

    LMP2
    1  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/3分38秒691
    2  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/3分38秒825
    3  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/3分40秒119
    4 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/3分42秒351
    5 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/3分44秒178
    6 No.29/Racing Box/Lola B09-80/Judd/3分49秒938
    *上位6位まで

    GT1
    1 No.52/YoungDriver AMR/AstonMartin DBR9/3分56秒839
    2 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分59秒752
    3 No.70/Marc VDS Racing Team/Ford GT/4分01秒665
    4 No.60/Matech Competition/Ford GT/4分02秒546
    5 No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/4分03秒142
    6 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/4分03秒879
    *上位6位まで

    GT2
    1 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分00秒888
    2 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/ 4分02秒101
    3 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分02秒187
    4 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/4分03秒007
    5 No.89/Hankook Team Fambach/Ferrari F430 GT/4分03秒046
    6 No.85/Spyker Squadron/Spyker C8 Laviolette 4分03秒336
    *上位6位まで

    6月8日
    ●ルマンの将来はエコカー

    Photo:Porsche AG

     現在世界中の人々は、ハイブリッドカーに代表される、低燃費と低エミッションのクルマに大きな興味を持っている。自動車メーカーにとっても、最重要課題は、このような新世代エコカーの開発だ。ルマンでは、その最初のステップとして、2006年以降ディーゼルエンジンカーが登場している。ヨーロッパにおいてディーゼルエンジンカーは非常にポピュラーな存在で、西ヨーロッパで新規に登録される乗用車の半分以上がディーゼルエンジンで走っている。しかし、より低燃費で低エミッションであることが求められるようになって、ハイブリッドや電気自動車が普及し始めている。

     1975年20ラップルール(注1)を強行した様に、ACOは常に時代の感覚を意識しているが、将来の方向として、これらのエコカーの導入を決定した。現在活発にハイブリッドのレギュレーションが構想されていることは知っているだろう。
     そこで、このようなアイデンティティをアピールする意味もあって、12日土曜日12時10分から、最先端エコカーをサルテサーキットで走らせることとなった。
      ポルシェ997GT3Rハイブリッド、プジョーRCF ハイブリッド4、フェラーリ599XX HPDC、テスラ電気自動車、マツダRX8水素ロータリー、BMW水素自動車、VWシロッコ天然ガスカー、SECMA F16電気自動車、ANDROS電気乗車の9台の新世代エコカーがサルテサーキットを走る。
     我々は、この分野のリーディングメーカーのクルマが居ないことを残念に思うが、これだけたくさんの新世代エコカーがサーキットで走るのは、これまでに例が無い。
     噂によると、マツダRX8水素ロータリーは寺田陽次郎がドライブするようだ。
     新世代エコカーをルマンに持ち込んだメーカーも本気であるようで、ACOは、木曜日午後9時15分から35分まで、新世代エコカーのため20分間テストセッションを設けた。

    *注1:第一次石油ショック後、ACOは1回の給油で20ラップ走ることを義務付けました。1975年のグループ5(現在のLMP1に相当)の燃料タンクは、排気量3リットルの場合120リットルでしたから、1975年のルマンでは燃費を考慮して、非常にスローペースのレースが行われることとなりました。詳しくはSports-Car Racing Vol.19をご覧ください。

    6月7日
    ●ORECAプジョーはワークスプジョーと異なるボディでルマンに登場

    Photo:Sports-Car Racing

     昨日ワークスプジョーが車検を行っている。ジャコバン広場に現れた3台の最新型908は、2010年バージョンの発展型で、フロントフェンダーとサイドポンツーンの間に設けられたフィンが、ラジエターダクト入り口まで延ばされていることが目を惹いていた。しかし、ラジエターダクト入り口とフィンの間には、明確なクリアランスが存在していた。それ以外の新しい部分は、フロントフェンダーのスリットの後ろ半分を塞いでいることだけだった。
     2010年ディーゼルエンジンは、ターボのブースト圧を引き下げられたため、ドラッグを減らして、ストレートスピードを重視していることが伺われた。

    Photo:Sports-Car Racing

     今朝JLOCランボルギーニに続いてジャコバン広場にORECAが姿を現した。ポールリカールテストで好タイムを叩き出したORECA01EVOが人目を惹く一方、今年ORECAが走らせるプジョー908が人気を集めていた。
     既に昨日ワークスプジョーが公開されたため、ORECAプジョーは、昨年のペスカロロプジョーがそうだったように、2009年バージョンの908か、ワークスプジョーと同じボディであると考えられていた。
     ところが、ジャコバン広場に現れたORECAプジョーは、ワークスプジョーとは違うボディをまとっていた。フロントフェンダーには、スプリントバージョンと同様たくさんのスリットが設けられる一方、フロントフェンダーとラジエターダクト入り口の間に設けられたフィンは、ワークスプジョーと違って完全にラジエターダクトに密着していた。
     たぶんORECAが使うボディも、ジェローム・カテラーニによる風洞実験によって考案された、たくさんの空力デザインの1つなのだろうが、ワークスプジョーと違うボディを採用することで、ORECAが冒険に出たのがうかがえる。


    6月6日
    ●ルマンレースウイークスタート

    Photo:Sports-Car Racing

     いよいよ2010年のルマンウィークがスタートした。例年と違って、今年のルマンは、1日早い日曜日からスケジュールがスタートする。日曜日と月曜日にルマン市内のジャコバン広場で車検を行って、火曜日は写真撮影以外のスケジュールは無く、事実上の休みとなる。水曜日午後4時から4時間連続でフリープラクティスを行う一方、午後10時から12時まで最初の予選が行われる。木曜日は例年と同じスケジュールで、午後7時から9時、そして10時から12時まで予選が行われる。前座のグループCレースについては、木曜日午後4時から5時に予選を行って、土曜日11時5分から50分に決勝レースが行われる。そして午後3時第78回のルマン24時間レースがスタートする。

     今日から始まったジャコバン広場の車検は、同じジャコバン広場と言っても、例年使われている東側の広場ではなく、西側の広場で行われた。その理由は、東側の広場の手前にあった老朽化した劇場の取り壊しが決まって、新しい劇場の建築に併せて、東側の広場の地下を含めた開発が行われているためだ。既に劇場の取り壊しは終了して、東側広場の西側半分は、大きく掘り起こされていた。地下駐車場を含む、大がかりな開発が行われているそうだ。
     その結果、従来と違って、記念撮影の際、後ろに寺院が入ることとなった。残念ながら、寺院の西側部分の修復が完了しなかったため、修復のための足場が組まれた状態だったが、ルマンの2つの名物を一枚の写真に納めることが可能となった。

    Photo:Peugeot-Media

     最初にジャコバン広場に姿を現したのは、昨年LMSのGT1チャンピオンを獲得したルック・アルファンのコルベットだった。続いてやって来たのは、優勝候補最右翼のプジョーだった。プジョーは金曜日サトレーのプライベートサーキットで最終確認のテストを行い、そのままルマンにやって来た。写真をご覧になると明らかだが、サトレーはプライベートサーキットと言っても、相当な規模のコースであるようだ。

     昨日パリで最高気温が35℃に達した。ルマンでも33℃を記録したが、今朝雷を伴った激しい雨が降り、金曜日まで不安定な気候は続くようだ。水曜日と木曜日に行われる予選は微妙な予報となっているが、土曜日以降は晴れの予報が出されているため、間違いなく、灼熱のルマンとなるだろう。

    6月4日
    ●2012年JOTAがアストンマーティンLMP1カーを走らせる

    Photo:Sports-Car Racing

     昨日JOTAは、アストンマーティンレーシングとの間で複数年のパートナーシップを締結したことを発表した。
     今年は、7月に行われるスパ24時間までにアストンマーティンGT4がデリバリーされ、スパとシルバーストン24時間へ参加する。2011年は現在事実上のGTクラスのトップカテゴリーとなっているGT2へ進出する。もちろんアストンマーティン・ヴァンテッジGT2カーをLMSで走らせる。2012年もGT2とGT4プログラムは継続されることを確認している。さらに2012年には、アストンマーティンレーシングの支援によってLMP1プログラムを開始すると言う。

     JOTAは、2005年ザイテックを走らせたことで、その名を知らせるようになった。黒沢治樹が乗り組んで、しばしば上位に進出したため、日本でもJOTAを知っているスポーツカーファンが多いことだろう。2007年シュロースレーシングが、ローラB07-10/ジャドを走らせた際、メンテナンスの多くはJOTAが担当している。2008年シュロースがローラ/アストンマーティンを走らせたことで、アストンマーティンレーシングとの強力な信頼関係が構築されることとなった。
     2009年アストンマーティンレーシングは、3台のDBR1-2(ローラ/アストンマーティン)を走らせたが、アストンマーティン自身が所有するのは1台だけで、残る2台はシュロースがオーナーだった。もちろん、2009年のDBR1-2の活動にもJOTAは大きく関わっている。JOTAの名前は出なくても、裏方として、DBR1-2の活躍を支えていた。

     3台中2台がシュロースの所有だった様に、アストンマーティンレーシング自身、カスタマーからの依頼に頼らなければ、スポーツカーレースでの活動を行うことは出来ない。つまり、景気が良い時、仕事が無い時が存在する。そのようなアストンマーティンレーシングにとって、有能なJOTAの貴重な存在と判断したのだろう。
     マイケル・コットン先生によると、アストンマーティンレーシングは、JOTAが他の仕事を受けて、アストンマーティンレーシングの仕事を断ることが無いよう、常にアストンマーティンレーシングと関わる環境を整えようと考えたらしい。

    Photo:Jota

     元々コルベットやBMWの参入によって、今後熾烈な闘いが繰り広げられることが予想されるGT2カテゴリーは、ポルシェやフェラーリ等と同様、活動をプライベートチームに頼っているアストンマーティンにとって、サポート体制の強化が望まれていた。そこで強力なアストンマーティンGT2チームを用意することとなった。
     ついでに、GT4のサポートを頼もうと言うことらしい。

     アストンマーティンは2011年に向けて、新しいLMP1エンジンを開発中だ。2011年に間に合ったとしても、2011年は開発が中心の年となるため、2012年にJOTAに任せることも、充分に納得出来る内容だ。
     早くも2012年のプログラムを完成しつつあるアストンマーティンの強かさを高く評価したい。

    6月4日
    ●2011年の大排気量エンジンの使用は難しい見込み

    Photo:Sports-Car Racing

     2011年以降LMP1クラスで使用可能なガソリンエンジンは、現在のLMP2クラスと同じ3.4リットル以下のNAエンジンと2リットル以下のターボエンジンだけに制限される。ほとんどのエンジンビルダーはLMP2用のエンジンを作っているため、一斉に切り替わるものと思われていた。しかし、3月に明らかになったように、ジャドは、2011年以降も、現在のLMP1クラスで使用している大排気量エンジンを使用出来るよう、ACOと交渉していた。
     ところが、この話し合いは、ACOのテクニカルミーティングの場で行われていなかったため、この件が明らかになると、ジャド以外のエンジンビルダーからACOは反感をかうようになってしまった。

     その後ACOは、ジャドが2011年以降もLMP1クラスで大排気量エンジンの使用を求めていることを認めた。そして、2年間の猶予期間を望んでいることも明らかとなった。もちろん、何らかのハンデを課すことを前提として話し合いは行われていることも認めた。しかし、2005年ハンデを課せられたアウディR8がルマンで優勝してしまった様に、2011年を目標として3.4リットルエンジンの開発の努力をしてきたエンジンビルダーは、容易に納得しなかった。

     この話し合いが明らかになった後、もし、2011年に大排気量エンジンの使用が認められたとしても、登場するのは、レベリオン-ローラ/ジャドとシグナチャのアストンマーティンくらいで、多くても4台程度と予想されている。そのためALMSラグナセカの際IMSAは、基本的にACOは、2011年に大排気量エンジンの使用を認めないと、エントラントに説明していた。しかし同時に、ACOは認めなくても、ALMSではハンデを課すことで2011年以降も大排気量エンジンの使用を考慮することも示唆している。
     現在ALMSのLMP1クラスで大排気量エンジンを使用しているのは、ドレイソンレーシングのローラだけであるから、ドレイソンに向けた発言と判断しても間違いないだろう。

     来週木曜日11時(フランス時間)ACOは、2011年以降のプランを公表する。しかし、2011以降もLMP1クラスで大排気量エンジンの使用を認める件については、述べられないと言われている。アナウンスの中心は、現在曖昧なままのハイブリッドについてのレギュレーションの骨子であると考えられている。
     たぶん、正式に2011年以降も大排気量エンジンの使用を発表するレーシングチームが現れない限り、ACOは、正式には一切検討しない方針なのだろう。

    5月19日
    ●インターコンチネンタルルマンカップは11月14日に中国で開催

    Logo:ACO

     ACOは、今年アジアで開催されるインターコンチネンタルルマンカップについて、11月14日中国で開催されることを認めた。しかし、開催されるサーキットとオーガナイザーについて公表を避けた。もちろん、このレースはアジアンルマンシリーズのレースも兼ねて開催されるが、今年のアジアンルマンシリーズが、この中国で行われる1つだけなのか? それとも、他にも、例えば日本での開催される可能性があるのか? 一切公表しなかった。
     インターコンチネンタルルマンカップはLMP1のみを対象とした統一世界一決定戦だが、アジアンルマンシリーズのタイトルをも与えられることから、中国での販促を目論んで、幾つかのGTカーも中国へやって来る見込みだ。
     ポルシェは997GT3Rハイブリッドカーを、BMWはM3GT2を中国で走らせる意向だ。

    5月9日
    ●LMSスパ-フランコルシャン決勝レース 大混乱の中プジョーが圧勝

    Photo:Sports-Car Racing

     スパ-フランコルシャンは晴天の朝を迎えた。しかし、最低気温は0℃まで下がって、場所によっては霜が降りた。
     午前11時15分、決勝レース開始15分前になって、山側から雨が降り始めた。直ぐにオルージュ(フランス人によると、この読み方の方が正しい)や24時間ピット付近でもコースが濡れ始めたが、マシンが勢揃いしているGPピット付近は乾いており、予定通り11時30分ローリングラップが開始された。
     スパ-フランコルシャンは2年前に改装され、GPピットが拡充されて、F1GP同様GPピット前からスタートする。そのため1コーナーはオルージュではなくラ・ソースのヘアピンとなる。
     今回のレースの場合、エントリー台数が多いため、GPピットだけではピットの数が足りないため、24時間ピットも使用している。その結果ピットに入る場合、旧バスストップシケイン部分からGPピットに入って、GPピットと24時間ピットの総てを通過してオルージュからコースインしなければならない。非常にピットロードが長くなるため、1回でも余計なピットストップを行ったら、大きなタイムロスを覚悟しなければならない。

     決勝レース前のウォームアップランの際、アンドレ・ロッテラーが操るNo.8アウディは、スピンしてコンクリートウォールにクラッシュしてしまった。No.8アウディはパドックまで戻されたが、大きく破壊されているため、修理が完了次第、途中からレースに参加こととなった。

    Photo:Sports-Car Racing

     部分的にコースが濡れている中決勝レースはスタートした。1コーナーへ進入した際、ポールポジションからスタートしたフランク・モンタギーの乗り組んだNo.3プジョーはスピンしてしまった。No.2プジョーを先頭に2番手のNo.4ORECAプジョー、3→4番手にNo.9とNo.7のアウディ順でオルージュに進入した。2台のプジョーが通過した後、何と2台のアウディは勢い余ってオルージュのアウト側に2台揃ってコースアウトした。その際にレベリオンローラをパスしているため、何らかのペナルティが与えられることが予想された。
     もちろん、2台が同時にコースを外れたため、その後方からオルージュへ進入したマシンは大混乱に陥った。その結果LMP2クラスのNo.29RacingBoxローラがクラッシュしてしまった。サイドポンツーンが完全に破壊され、周囲に破片が散乱したため、直ちにセイフティカーが導入されることとなった。
     セイフティカーランの間、何台かのマシンがピットに入ってウェットタイヤに履き替えた。もちろん、長いピットロードは走る間に順位を下げてしまうが、セイフティカーラン中であるため、最小限のタイムロスで済む。

    Photo:Sports-Car Racing

     レースが再開された時、雨は止んでいたが、コースは濡れていた。トップはNo.2プジョー、2位にNo.1プジョー、3位にNo.7アウディがジャンプアップして、No.4ORECAプジョーは4位に順位を落として24時間ピット前のストレートを駆け下った。オルージュへ進入する際、ペースが上がらないNo.4ORECAプジョーを2台のレベリオンローラが襲った。どちらのレベリオンローラであるのか判らないが、ほんの少しどちらか一方のレベリオンローラとNo.4ORECAプジョーは接触して、No.4ORECAプジョーは、オルージュ先に右側フェンスにクラッシュしてしまった。
     その結果、レース再開1周目に再びセイフティカーが出動することとなった。

     その後、もう1回セイフティカーが出動したが、1回目のレギュラーピットストップが行われる頃になると、レースは落ち着いてきたように見えた。その頃になって、ピットで作業を続けていたNo.8アウディは、やっとコースインした。
     No.3→No.1→No.2の順で3台のワークスプジョーがトップ3を固めて、その後ろにNo.7とNo.9のアウディが走る。しかし、2回目のピットストップが行われる頃、No.2プジョーとNo.39KSMローラが下りのハイスピードコーナーで接触して、一旦コース上にストップしてしまった。

    Photo:Sports-Car Racing

     その直後事件は起きた。スパのパドックは、下側の24時間ピットのエリアと上側のGPピットのエリアの2つに別れている。コントロールタワー等レースコントロール設備はGPピット側に存在する。そのGPピットエリアが突然停電した。時折復活するものの、完全に電気を使用することは出来なくなってしまった。
     その結果、レースは中段されることとなった。ホームストレート上に全車ストップして、そのまま電力が復旧するまで、50分間もレースは中段された後、セイフティカー先導によってレースは再開した。
     停電によってタイムキーピングが心配されたが、どうやら、タイム計測の機能だけは生きていたようだ。
     レース中段時、ピットストップのタイミングによって、No.7アウディがトップ、続いてNo.3→No.1→No.2の3台のプジョーは着けていた。
     レース再開後、セバスチャン・ブーデェの操るNo.3プジョーは、リナンド・カペロのNo.7アウディをテイルtoノーズで追い回したが、カペロはトップの座を死守した。71周目No.7アウディがピットストップしたため、No.3プジョーがトップ、No.1プジョーが2番手にポジションを上げた。

    Photo:Sports-Car Racing

     フィニッシュまで1時間となった午後4時30分頃から山側で再び雨が降り始めた。彼方此方でコースアウトするマシンが相次いだが、フィニッシュ15分前サイモン・ペジナウが操るNo.3プジョーもコースアウトしてしまった。しかし、無事コースに復帰してチェッカーフラッグを受けた。
     後方ではNo.7アウディとNo.1プジョーがピットイン毎順位を入れ替えた。しかし、午後5時頃No.1プジョーがクラッシュしたため、No.7が2位を確保したと思われた。しかし、レース終盤雨が降り始めた際、タイヤを交換するためピットインしたため、No.2プジョーが2位、No.7アウディが3位でフィニッシュした。

     LMP2クラスは、No.42ストラッカHPDがトップを走っていたが、午後2時18番ポスト先の下りコーナーでクラッシュしてしまった。自力でピットに戻るが、たくさんのボディーパーツをまき散らしてしまった。No.42ストラッカHPDのクラッシュによって、LMP2クラスのトップはNo.40ASMザイテックとなった。
     GT2クラスは、スタート直後No.96AFコルセフェラーリとNo.77フェルベマイヤーポルシェがトップ争いを展開したが、次第にNo.77フェルベマイヤーがトップの座を確保した。それどころかGT1カーを抑えてGTクラスのトップを快走した。2番手にはNo.78シュニッツァーBMWが走った。しかし、レース終盤No.96とNo.95のコルセフェラーリがペースを上げて、BMWを抜いて2位と3位でフィニッシュした。
     GT2カーに先を越されながら、Marc VDS とMatechの3台のフォードGTがGT1クラスのトップ3を独占した。

    LMP1
    No.3 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 139laps
    No.2 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 139laps
    No.7 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 139laps
    No.1 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 138laps
    No.9 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 137laps
    No.13 Rebellion Racing Lola B10-60/Judd 127laps
    *上位6位まで

    LMP2
    No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 130laps
    No.25 RML  Lola B09-80/HPD 130laps
    No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 129laps
    No.24 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 128laps
    No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 128laps
    No.47 Hope Polevision Racing Formula LeMans(FL) 124laps
    *上位6位まで

    GT1
    No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 123laps
    No.60 Matech Competition Ford GT 123laps
    No.61 Matech Competition Ford GT 121laps
    No.50 Larbre Competition Saleen S7R 120laps
    No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6R 120laps
    No.66 ATLAS EFX-TEAM FS Saleen S7R 120laps
    *上位6位まで

    GT2
    No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 124laps
    No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 123laps
    No.95 AF Corse - Ferrari F430 GT 123laps
    No.79 BMW Team Schnitzer BMW M3 123laps
    No.76 IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR 123laps
    No.91 CRS Racing Ferrari F430 GT 122laps
    *上位6位まで

    5月8日
    ●LMSスパ-フランコルシャン予選 セバスチャン・ブーデェのプジョーがポールポジション

    Photo:Sports-Car Racing

     土曜日になってもスパ-フランコルシャンの気温の低さは変わらない。しかし、雨が止んで午後になると大陽も顔を出して、完全なドライコンディションで予選は行われることとなった。
     昨日走り始めた時、アウディはノーズ左右に2枚ずつカナードウイングを装着していたが、ドラッグが多き過ぎたようで、午後になるとカナードウイングを1枚減らして走行した。残念ながら、その程度の変更では、圧倒的なプジョーとの差を縮めることは不可能だった。しかし、セッティングの方向は正しいと判断されたようで、土曜日になると総てのアウディR15+は1枚だけカナードウイングを装着して走るようになった。
     アウディは、2週間前ポールリカールで30時間耐久テストを実施しており、スパにやって来た際も、ルマンスペックの延長線上で走行することを計画していた。具体的に何処がルマンパッケージであるのか?正確には判らない。しかし、スパにやって来たR15+のノーズ内側には、以前は存在しなかった、大きなフラップが取り付けられていた。
     ルマンのテストと言う意味では、カナードウイングを2枚装着するより、1枚の方が相応しかったかもしれない。

     逆にプジョーは、昨日1枚だけカナードウイングを装着して走り始めた。しかし、午後になるとカナードウイングを2枚に増やして、よりダウンフォースを増やして走行している。土曜日朝行われた3回目のプリープラクティスでは、ORECAを含む4台総てが2枚のカナードウイングを装着して走った。
     セッティングを変更しても、2回目と3回目のフリープラクティスでは、時折アウディが上位に顔を出すことはあっても、プジョーの圧倒的有利は変わらなかった。特にセバスチャン・ブーデェは常にトップタイムを記録した。

     LMSの予選は、たった20分間しか行われない。しかも、予選で使用したタイヤを履いて決勝レースをスタートしなければならなっため、ほんの数周しかタイムアタックは行われない。
     プジョー勢ではセバスチャン・ブーデェの乗り組んだNo.3 908が真っ先にコースインした。そして、たった4周のアタックで圧倒的と言える1分57秒884を叩き出し、ポールポジションを獲得した。
     2番手以降は、アウディとプジョーは熾烈なタイム争いを展開することとなった。様々な改良によってアウディは、少なくとも一発のタイムであれば、プジョーと遜色ない速さを発揮することが出来るようだ。最終的にティモ・ベルンハルトが乗り組んだNo.9 R15+が2番グリッドを獲得した。3番グリッドにNo.2プジョー、4番グリッドはORECAプジョーが獲得した。3列目グリッドは、残る2台のアウディとNo.1プジョーが争った。予選開始早々トム・クリステンセンが乗り組んだNo.7 R15+は、ラ・ソース・ヘアピンでダニー・ワッツのストラッカHPDと接触してしまった。しかし、プジョーを押しのけて6番グリッドを獲得した。

     トム・クリステンセンのアウディと接触したダニー・ワッツのストラッカHPDは、とてもLMP2クラスとは思えない素晴らしい速さを発揮しており、シグナチャのアストンマーティンDBR1-2(ローラ)を上回るラップタイムを叩き出して、LMP2クラスのポールポジションを獲得した。シグナチャのアストンマーティンDBR1-2(ローラ)は、常にローダウンフォースで走行しており、予選でさえノーズ左右のアタッチメントを取り外しただけで、一切カナードウイングが取り付けなかった。そのため、ディーゼルエンジンカーを上回る305km/hの最高速度を記録している。
     HPDエンジンは相当強力であるようで、LMP2クラスの2番手はRMLローラ/HPDが獲得した。OAKレーシングのペスカロロ/ジャドや期待されたASMザイテックは、その後ろからスタートすることとなった。OAKレーシングのペスカロロは、ジャドV8を搭載するが、相変わらずマツダのステッカーが貼られている。

    LMP1
    No.3 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 1分57.884
    No.9 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 1分58.519
    No.2 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 1分59.421
    No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 1分59.623
    No.8 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 1分59.707
    No.7 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 1分59.795
    *上位6位まで

    LMP2
    No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 2分03.135
    No.25 RML  Lola B09-80/HPD 2分05.681
    No.24 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 2分07.159
    No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 2分07.342
    No.29 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分08.309
    No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分08.398
    *上位6位まで

    GT1
    No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 2分17.316
    No.60 Matech Competition Ford GT 2分18.730
    No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6R 2分19.377
    No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 2分19.595
    No.66 ATLAS EFX-TEAM FS Saleen S7R 2分21.110
    No.61 Matech Competition Ford GT 2分21.422
    *上位6位まで

    GT2
    No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 2分20.336
    No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分20.416
    No.91 CRS Racing Ferrari F430 GT 2分20.811
    No.94 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分20.941
    No.90 CRS Racing Ferrari F430 GT 2分21.095
    No.88 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分21.173
    *上位6位まで

    5月7日
    ●LMSスパ-フランコルシャン開幕 プジョーがアウディを圧倒

    Photo:Sports-Car Racing

     いよいよLMS第2戦スパ-フランコルシャンが開幕した。今年アウディとプジョーの2大ワークスチームはシーズンを通じてLMSやALMSには参加せず、インターコンチネンタル・ルマン・カップの参加条件やルマン24時間レースのテストを目的として、それぞれ2つずつしか参加しない。そのアウディとプジョーが、インターコンチネンタル・ルマン・カップでないにも関わらず、共に参加を表明したのはLMSスパ-フランコルシャンだけだった。
     残念ながら、今週末アルデンヌ地方は雲に覆われ、時折雨が降るだけでなく、今朝の最低気温は+1℃まで下がる等、寒い中レースは行われることになりそうだ。

     スパ-フランコルシャンは、アルデンヌ地方の山間部に、その地形を活かして作られたサーキットであるため、非常に激しいアップ&ダウンを最大の特徴とする。そのため、テクニカルサーキットであるにも関わらず、独特のセッティングが要求される難コースだ。有名なオウルージュは、激しい登り坂の右コーナーだ。つまり、速いスピードで進入すると地面に押しつけられる縦Gが加えられ、より速い速度で通過することも可能となる。つまり、大きなダウンフォースより、ダウンフォースを減らしてドラッグを少なくした方が速く走ることが可能となる。しかし、一旦登った後は、再び下りなければならないため、下りコーナーではそれなりのダウンフォースが要求される。

     通常一般的なテクニカルサーキットより、多少ダウンフォースを少なくしたセッティングで走る場合が多い。プジョーとアウディは、それぞれ少々違うセッティングを施して、スパを走り始めた。
     プジョーは、昨年のルマンで使用したスポーツカーノーズではなく、ノーズ左右に大きな開口部が存在するフォーミュラノーズを使用した。しかし、ノーズ左右のカナードウイングは1枚だけだった。
     今年アウディは、空力コンセプトを大幅に変更したR15+を開発している。しかし、アウディはノーズ左右に2枚のカナードウイングを取り付けて登場した。
     似た様な空力パッケージと考えられたが、実際は大違いで、あらゆる面でプジョーがアウディを圧倒する結果となった。

     午前中1回目のフリープラクティスは濡れた路面の中で行われたため、昨年のルマンや“プチ-ルマン”がそうだった様に、アウディが速さを発揮すると思われた。ところが、4台のプジョーが素晴らしい速さで走り回ったのに対して、アウディはプジョーを追うことさえ出来ない状況だった。何とトップタイムを記録したORECAプジョーよりも、アウディの中で最速だったNo.7(アウディのエースカー)は4秒も遅いラップタイムを記録しただけだった。
     今回ACOは最高速度のデータを公表したが、プジョーの方がアウディよりも速い最高速度を記録していた。しかし、プジョーの中で最高速度が公表されたのはORECAだけで、決して充分なデータとは言えないが、少なくとも、プジョーの方がロードラッグであることは間違いないようだ。
     ちなみに、ガソリンエンジン勢は、アウディやプジョーの様なディーゼルエンジンカーより遙かにダウンフォースを削ってドラッグを削減している。そのため、最高速度のトップはアストンマーティンとレベリオンローラ/ジャドが争った。

     午後になってコースは乾いたが、夕方行われた2回目のフリープラクティスも低い気温の中で行われた。アウディ勢の挽回が予想されたが、3台のワークスプジョーがトップ3を独占する結果となった。4位にアウディNo,8、5位にORECAプジョー、その後ろに残る2台のアウディがつけ、ガソリンエンジンカーのトップは、No.12レベリオンローラ/ジャドの8位だった。レベリオンローラ/ジャドとアウディ勢のラップタイムは大きな違いはなく、プジョーの速さが際立っている。
     ちなみに、午後になるとアウディの最高速度も公表されなくなった。

     LMP2クラスはASMザイテックが、GT1クラスはアストンマーティンがトップタイムを記録した。GT2クラスもアストンマーティンがトップタイムを記録した。予想されたことだが、GT1クラスのラップタイムが伸び悩んだのに対して、GT2カーが素晴らしい速さを発揮して、たった1秒差のラップタイムを記録している。

    LMP1
    No.3 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 1分59.826
    No.1 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 2分01.365
    No.2 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 2分02.771
    No.8 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 2分02.894
    No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 2分03.313
    No.9 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 2分03.394
    *上位6位まで

    LMP2
    No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 2分08.488
    No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 2分08.881
    No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 2分08.950
    No.24 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 2分09.503
    No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分11.346
    No.29 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分12.196
    *上位6位まで

    GT1
    No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 2分20.044
    No.60 Matech Competition Ford GT 2分20.806
    No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 2分21.652
    No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6R 2分22.780
    No.61 Matech Competition Ford GT 2分23.355
    No.50 Larbre Competition Saleen S7R 2分23.675
    *上位6位まで

    GT2
    No.92 JMW Motorsport Aston Martin V8 Vantage 2分21.318
    No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分21.561
    No.94 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分22.021
    No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 2分22.128
    No.95 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分22.660
    No.76 IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR 2分22.804
    *上位6位まで

    5月7日
    ●ペスカロロが正式にルマン24時間レースのエントリーを取り消し アレジとフィジケラのフェラーリが格上げ

    Photo:Sports-Car Racing

     今日ACOは、LMSスパーフランコルシャンで記者会見を行い、新たに3つのチームが、今年のルマン24時間レースのエントリーを辞退したことを発表した。2つはLMP1クラスのペスカロロとSORAで、噂通りペスカロロは最悪の結果となった。3つ目はGT1クラスへコルベットC6RでエントリーしたベルギーのPekaレーシングだ。
     ACOは、LMPクラスからエントリーの取り消しがあった場合、LMPクラスのリザーブリストから格上げして、GTクラスから取り消しがあった場合、GTクラスを格上げすることを決めている。しかし、既にLMPクラスのリザーブリストにはKSMチームしか残ってなかったため、LMP2クラスのKSMローラを格上げする一方、GT1クラスのMatechフォードGTを格上げすることを決定した。
     GT1クラスのコルベットC6Rに代わりは、ジャンカルロ・フィジケラとジャン・アレジが乗り組むAFコルセのフェラーリとなった。このチームは、元々当然エントリーが受け入れられると思われていたチームだったが、ドライバーを明記してなかったため、リザーブリストに回されていた。

    Photo:Sports-Car Racing

    4月7日
    ●Sports-Car Racing Vol.19発行


     長い間発行が遅れていましたSports-Car Racing Vol.19が完成しました。4ページ増えますが、価格は従来と同じ2,310円(本体2,200円)に据え置きました。スポーツカーレースの話題満載の1冊です。4月16日から発送となります。
    詳しくは下記をご覧ください。

    Sports-Car Racing Vol.19のISBN番号:ISBN978-4-925254-14-4

    問い合わせ:ask@sports-carracing.net
    *当方から直接通信販売を希望される場合、上記アドレスまでEメールにて申し込んでください。販売店からの通信販売を希望される場合、連絡頂ければ、通信販売を行っている販売店をご紹介いたします。
     販売については、当ホームペイジのShopを参考にしてください。

    CONTENTS

    ■The Story of the Porsche 956 / 962
      Part.1 Why was Group C wanted ?  グループCが求められた理由
     歴戦の908で激動の1970年代を闘ったポルシェ



     いよいよグループCを巡る特集が始まります。グループCのために作られた最初のクルマはポルシェ956です。そして最もポピュラーなグループCカーは、956の発展型である962Cでした。そのため、ポルシェ956と962に至るストーリーが展開されます。今回は、その第1回として「グループCが求められた理由」と題した特集を掲載いたします。
     1971年限りで、グループ5(当時)スポーツプロトタイプカーの排気量が明確に3ℓ以下に制限された結果、ポルシェは917をヨーロッパのスポーツカーレースから引っ込めて、北アメリカのCanAmに送り込みました。しかし、ヨーロッパでの活動を諦めた訳ではなく、911RSRによってGTクラス(グループ3とグループ4)で走らせました。
     CSIがロードカーと同じカタチのプロトタイプカーレースカーを構想し始めると、ルールが出来上がってないにも関わらず、ポルシェは911カレラRSRターボを開発して、マトラやアルファロメオの正真正銘のプロトタイプレースカーが走るグループ5カテゴリーに送り込みました。911RSRターボは480馬力を発生する2.1ℓのフラット6ターボエンジンを搭載していました。このエンジンは、そのまま正真正銘のプロトタイプレースカーに積むことが可能だったため、ラインホルト・ヨーストやマルティニレーシングは、歴戦の908/3に911RSRターボの2.1ℓターボエンジンを搭載して走らせるようになります。このクルマは908/3ターボとか908/4と呼ばれますが、1976年グループ5がグループ6に名前を変えるのに併せて、リニューアルされて936の名前を与えられました。
     この時代最大の関心事はオイルショックだったため、1975年、ACOは最初の燃費を制限するルールを設けました。1975年のACOの燃費ルールは非常に厳しく、1回の給油で20ラップを走ることを求めました。それまで優勝争いを行っていたグループ5プロトタイプレースカーは12ラップか13ラップしか走ってなかったため、ヨーストは903/4のフラット6ターボエンジンを古いフラット8に積み替えてルマンを走りました。
     もちろん、1975年のルマンでは、燃費を節約するため、非常に不可解なレースが行われました。
     この頃CSIの技術委員だったのが、あのポール・フレールです。20ラップルールは非常に過酷だったため、プロトタイプレースカーを走らせるレーシングチームは、1976年以降ACOが20ラップルールを継続しても、戸惑うことがないよう、CSIに対して、燃料タンクの容量を拡大するよう要求しました。その時調査を行ったのはポール・フレールです。
     この時からグループCルールが構想されました。しかし、1976年ルノーがルマンをターゲットに定めると、それを阻止するため、ポルシェとの間で3年間に渡って熾烈な闘いが繰り広げられるようになりました。
     やっと落ち着いてグループCが構想されるのは1979年まで待たなければなりません。
     グループCに至る、激動の1970年代のスポーツカーレースのストーリーが展開されます。
     
    ■ルマンに勝つ方程式を求めて

     当Sports-Car Racing最大のテーマは、ルマンに勝つ方程式の追求です。2004年ルマンは新しいルールを導入しました。最初ルールを解明するだけで精一杯だったコンストラクター達は、2007年頃から、ルールを解明するだけでなく、2004年ルールを活かした開発を追求するようになりました。新時代のルマンに勝つ方程式は、従来考えられていたものとは相当異なっているようです。しかも2009年、ACOは幅1.6mの小さなリアウイングを導入しました。
     童夢の全面的な協力によって、最新のルマンに勝つ方程式を追求します。

    ■AUDIの戸惑い

     2006年アウディは最初にディーゼルエンジンのLMPカーを実現しました。しかし、2006年に登場したR10は、重さ260kgの巨大な90度V12ディーゼルターボエンジンを積むため、情けない操縦性を持つだけでした。プジョーが登場すると、アウディは防戦一方となったため、2011年に新しいルールが施行されるにも関わらず、アウディは2009年安全に新しいR15を開発することとなりました。V10エンジンを積むR15は、それまで登場した、どのLMPカーとも違うアイデンティティに基づいて開発されました。しかし、総てが上手く行った訳ではなかったようです。

    ■2009年の正解は何だったか?

     Chapter.1 ACOの目標は3分30秒だった
     1999年トヨタとBMWが激戦を繰り広げて、メルセデスが空を飛んだ時、あまりの過当競争に驚いたACOは、3分30秒のラップタイムをボーダーラインとすることを決定しました。ところが10年後アウディとプジョーが開発競争を繰り広げた結果、3分30秒どころか3分20秒を超えるラップタイムを記録するようになりました。2009年ACOは、幅1.6mの小さなリアウイングを採用する一方、それまで圧倒的に有利だったディーゼルエンジンの性能の引き下げを目論みました。同時にGT1カーのエンジンを積むLMP1カーのルールを整備しています。どのようにルールが変化しているのか?現在のLMPカーの性能指針の特集です。


     Chapter.2 2009年のルマンでプジョーが成功した理由
     2009年ついにプジョーがルマンで優勝しました。2008年でもプジョーの方がアウディよりも速かったため、当然の結果のように考える方々も多いようですが、2008年秋リーマンショックの勃発後、プジョーはLMPプロジェクトを棚上げにしています。2009年のLMPプロジェクトが正式に認可されるのは、ルマンの4ヶ月前のことです。そのため、プジョーの面々は、非常に巧妙な開発とレース戦略を行うことを要求されていたようです。
     プジョーが2009年のルマンで成功するまでのストーリーです。


     Chapter.3 アストンマーティンの登場
     2009年ルマンでの大きな話題は、アストンマーティンの復活でした。しかし、アストンマーティンのLMPプロジェクトは、プジョーやアウディとは少々違うようです。復活したアストンマーティンの秘密に迫るストーリーです。


     Chapter.4 完全にレギュレーションを使い切る方法
     優秀なエンジニアは、レギュレーションを使い切ることを目標として、開発を行っています。しかし、ミッドシップである以上、どうしても前後の重量配分がリア寄りとなってしまいます。前後に履くタイヤの容量の比と前後の重量配分が一致することが、理論上ニュートラルな操縦性を可能とする条件です。そのため、ルール上フロントにもリアと同じ大きなタイヤを履くことが可能でも、前後の重量配分に併せた結果、従来のLMPカーは、リアよりも小さいタイヤをフロントに履いていました。2009年このタブーに挑戦したコンストラクターが現れました。アキュラのLMPプロジェクトを任されていたニック・ワースは、レギュレーションを使い切ることを目標としたARX-02aを開発しました。
     数字の上では素晴らしい出来事と思われますが、速さと言う意味とは、少々違うようです。


     Chapter.5
     2010年ACOは、本気でガソリンエンジンとディーゼルエンジンの性能を整えようと考えたようです。ガソリンエンジンを使うコンストラクター達は、5年ぶりに訪れたチャンスと判断して、マシンの開発に取り組みました。童夢が期待された理由もここにありました。
     また、ニック・ワースの挑戦は、何かの実験だったかもしれません。しかし、2011年以降すべてのコンストラクターが、ニック・ワースと同じ苦労をすることとなります。早くも2011年に成功する方法を追求します。

    ■フェラーリの最後のターゲットはSuperGTだ!

     昨年SuperGTでは、ACO/FIA-GT2レギュレーションのマシンはGT300クラスで活躍しました。中でもダイシンが走らせたフェラーリF430GTCは衝撃的でした。フェラーリF430GTCは、ミケロットによって開発されたGT2レーシングカーです。2006年に最初のマシンがデリバリーされ、現在ではバージョン6にまで発展しています。現在最強のACO/FIA-GT2カーですが、日本では、ほとんど知られてないようです。昨年JAF-GT300ルールに基づいて独自にフェラーリF430GTレースカーを開発して、現在ACO/FIA-GT2のF430GTCも走らせるJIMGAINERの全面的な協力によって実現した、フェラーリF430GTCのストーリーです。

    ■我が道を歩むニッポンGT

     SuperGTで夢を見ることは出来るか?
     現在の日本でサーキットを満員に出来るレースはSuperGTだけです。しかし、SuperGTで夢を見ることが出来るのでしょうか?もし、1億円を自由に使えたら、レースで夢を見ることが出来るか?をテーマとしたストーリーです。


    3月20日
    ●2010 INTERCONTINENTAL Le Mans Cup

    Logo:ACO

     昨日ACOはインターコンチネンタル・ルマン・カップについて、再度概要を発表した。LMP1カーだけによるシリーズで、マニファクチュラーとチームのタイトルが設けられる。ヨーロッパ、北アメリカ、アジアの3つの地域で行われ、ヨーロッパは9月12日のLMSシルバーストーン、北アメリカは10月2日のALMS“プチ-ルマン”、そしてアジアは11月の早い時期に中国で行われるアジアンルマンシリーズのレースが対象となる。しかし、中国のレースは現在に至るも未決定で、2ヶ月前に噂となった上海は確定していない。4月末に中国のレースの場所と日程を確定することを発表した。

     エントリーは3月30日から5月31日の間受け付けられる。インターコンチネンタル・ルマン・カップに参加する条件は、上記のインターコンチネンタル・ルマン・カップのタイトルがかかった3つのレースだけでなく、ルマン24時間レースを除いた、ルマン格式のレースに2つ、つまり5つのルマン格式のレースに参加することだ。
     既にアウディはインターコンチネンタル・ルマン・カップへの参加を発表しているが、プジョーは中国で行われる場合に参加する等、決して足並みが揃っている訳ではない。11月初めのカレンダーから推測すると、既にDTMが上海でのレースを決定しているため、上海でDTMとのダブルタイトルで行われる可能性が高い。
     しかし、ACOがプジョーの意向を重視するなら、当初見込まれた日本でのインターコンチネンタル・ルマン・カップの開催は無くなるだけでなく、昨年ACOがWTCCと共にサーキットを借りることで、岡山でのアジアンルマンシリーズが開催されていることを考慮すると、ACOが中国に集中する場合、日本でのアジアンルマンシリーズの開催も危うい。


    3月16日
    ●AUDI R15+登場

    Photo:Audi

     昨年末アウディが明らかとした予定によると、2月末のALMSセブリングテストか、3月初めのLMSポールリカールテストでR15+は公開されることとなっていた。ところが、この2つの合同テストのどちらへもアウディはやって来なかっただけでなく、現在に至るも、アウディ社外のサーキットでは走っていない。ライバルのプジョーが、既にORECAに908を手渡して様々なテストを行っていることを考慮すると、少々心配な状況だった。

     昨日(15日)アウディは、やっと新しいR15+を公表した。R15+は昨年登場したR15の発展型で、信頼性の向上と空力性能の向上を中心として開発が進められている。2010年ACOのレギュレーションは、ディーゼルエンジンのパワーを約25馬力削減している。プジョーより2気筒少ないアウディにとって、パワーが減ることは有利な条件だっただろう。しかし、R15のコンセプトそのものが、ドラッグ削減よりも大きなダウンフォースの獲得を優先したものだったため、空気抵抗(Cd)の削減とより大きなダウンフォースを求めて、慎重に空力の開発は行われていたようだ。

     元々R15は、開発の最初の段階で、以前のBMWのF1GPカーの様にノーズレスであったと言われている。その後ノーズが追加され、そこに疑惑の対象となった2つの隙間が設けられて、ウイングとしての機能が付加されたようだ。
     新しいR15+のノーズは中心部分が短縮され、公開された写真を見る限り昨年問題となった隙間は見あたらない。ノーズ左右の部分は前に突きだしているが、ノーズ中央部分をウイングと見立てると、翼端板の様な機能を発揮するのかもしれない。ノーズ下面に相当大きな開口部が設けられているが、公開された写真のクルマは、ノーズ下面中央のカバーが取り付けられてない(銀色のサスペンションかパワステの機械部分が見える)ため、どのような機能を目指しているのか?現在のところ判らない。たぶん、ノーズ下面中央部分に特殊なデザインのキールが設けられるのだろうが、このキールが、ノーズから床下に入った空気を、メインフロア直前で、ボディ外側に排出するポイントなのだろう。
      ノーズと左右のタイヤハウスの間の開口部は、高さが大きく低められている。エンジンパワーが少なくなることによって、要求される冷却能力が少なくなるだけでなく、アウディがドラッグ削減に気を使っていることが判る。

     予定より大きく遅れてR15+は、3月3日アウディ社内のヌウスタッドのテストコースでシェイクダウンテストを行っている。その後寒波に襲われていたポールリカールへ送る計画をキャンセルして、セブリング(とホームステッド?)に送られて2週間テストを行っている。しかし、今週末セブリングで行われるALMS開幕戦セブリング12時間へは参加しないで、既にインゴルスタッドに戻されている。
     今後ヨーロッパでR15+の開発は続けられる。4月にLMSポールリカール8時間、5月にLMSスパ-フランコルシャン1000kmに参加するのもテストの一環であるとしている。そしてルマン24時間へ参加する。

     同時にアウディは、TAGホイヤーとパートナーシップを結んだことを発表した。グループC時代を知っている方々は、ボッシュでモトロニックを開発したウーヴェ・ツァッカーがTAGに転職したことによって、メルセデスが、ボッシュとの契約を解消して、新たにTAGと契約した事件を思い出したかもしれないが、この契約は、時計のTAGホイヤーとの間のパートナーシップであって、エンジンマネージメントシステムについてではない。


    3月8日
    ●LMSポールリカールテスト ORECA01EVO/AIMがトップタイムのまま終了


    Photo:Sports-Car Racing

     気温が低いだけでなく、非常に強い風が吹いているため、南フランスとは思えないコンディションの中テストは行われている。午後2時になっても気温は4℃に過ぎない。想定外の気温であるため、ほとんどのクルマは、暖機運転の際ラジエターへのダクトを完全に塞ぐ一方、走行する際も70%を塞いで走っている。最新のLMPカーは、ラジエターを通過する空気によって、ノーズ床下の空気を吸い出しているため、空力性能にも大きな影響を与えていることだろう。

     昨夜BMWはエンジンに問題があることを確認したため、問題を特定するため、シュニッツァーはドイツ帰ってしまった。ポールリカールにはACOの記者会見に出席するドライバーだけが残された。
     BMWの撤退によって、GT2ではジャンカルロ・フィジケラやジャン・アレジが乗り組むAFコルセのフェラーリF430GT2勢に注目が集まったが、トップタイムを記録したのはポルシェだった。ポルシェ勢は二強の一角であるIMSAパフォーマンスはドライバーの練習走行に終始して、一方のフェルベマイヤーに至っては、昨日走行開始直後エンジントラブルによって、最初のセッションを棒に振ってエンジンを交換しなければならなかった。二強チームを差し置いてGT2のトップタイムを記録したのは、耳慣れないProsppeed Competitionの997GT3RSRだった。

     LMP2クラスは、ASMザイテックが相変わらずの速さを披露した。しかし、HPD勢を引き離すことは出来ない。ストラッカが走らせるHPD ARX-01cは、2008年のARX-01bにARX-02aのスワンネックでマウントする1.6mリアウイングを取り付けたもので、リアフェンダーの金網は申請を行うことで、そのまま使われている。たぶん、トップクラスのコンストラクターの中で金網を使用するのはHPDだけだろう。

    Photo:Sports-Car Racing
    右のストラッカHPDは、昨年のARX-02a用と思われるスワンネックでマウントされる1.6mリアウイングと、リア周りのパーツを備えて登場
    した。素晴らしい最高速度を記録してASMザイテックを破った。
    左が新しいボディを装備してやって来たOAKペスカロロ。サイドボディに注意。ラジエターをクリアするだけで、リアホイールアーチ手
    前の部分がローラB10-60と同じ様に大きくえぐられている。既にペスカロロを引き継いでコンストラクターとして活動していることの証明。
    ジャドエンジンを搭載するが、マツダの名前とマークを新たに描いているのは?

     ストラッカのHPD ARX-01bとHPDエンジンを搭載するRMLローラは素晴らしい最高速度を記録している。ザイテック勢が、ザイテックがマイレッジ保証したカスタマーエンジンであるのに対して、HPDエンジンは事実上のワークスエンジンであるため、当然の出来事かもしれない。HPDエンジンを使う2チームは、ストラッカはカスタマーと割り切っているが、ローラシャシーを使うにも関わらず、RMLはホンダからの仕事を期待しているようで、非常にピリピリしている。
     昨年末ローラが一生懸命HPDに売り込んでいたが、その仕事をRMLが獲得した訳ではないらしい。第一RMLが走らせたシャシーは噂されたB10-80ではなくB08-80の09アップデイトバージョンであって、RMLが期待しているだけだ。

     既に事実上のペスカロロと考えられているOAKレーシングは、新しいボディを組み合わせたペスカロロP01を持ち込んだ。ペスカロロの状況を考慮すると、せいぜい小改造されているだけと考えられたが、リアカウルだけでなく、サイドボディも新しいデザインとなっている。今年OAKペスカロロはジャドエンジンを搭載するが、どういう訳か、新しいボディには、マツダフランスと書かれている。

     LMP1ではORECA01EVO/AIMがプジョーを圧倒する状況が続いた。午後になってミストラルストレートで追い風となると、早速タイムアタックを行って、プジョーとの差を0.7秒まで広げた。トップタイムを記録した時ORECA01EVO/AIMの最高速度は303km/hに達した。空力開発が成功していることの証明だろう。
     アストンマーティン勢は空力テストに終始したため、見るべきタイムを記録することはなかった。少々驚きだったのは、アストンマーティンを差し置いてプジョーと対等の速さを発揮すると思われたレベリオンローラのタイムが、思ったほど延びなかったことだった。最新のシャシー、期待のドライバー、700馬力のレベリオンジャドエンジン等、総てが素晴らしい内容と思われたが、ORECA勢に対抗することは出来なかった。

    Photo:Sports-Car Racing
    マンセル親子のザイテックは、予想以上の速さを披露した。
    女性ドライバー達が操ったMatechのフォードGTはダークホースとしての資格充分のパフォーマンスを示した。
    問題はGT1クラスがシーズンを通して存在するのか?と言うことだ。

     代わってORECA勢を追ったのは、マンセル親子のザイテックだった。ナイジェル・マンセル自身はほとんどドライブしないで、主に2人の息子達がザイテックをドライブした。
     ザイテック勢は、1.6mウイングに合わせて、リアフェンダーの左右後端が盛り上がったボディを使ったが、現在空力開発真っ盛りということで、1ヶ月後に行われるポールリカール8時間までに、フィン付きのリアボディを完成させる。

     終始ORECA01EVO/AIMが、2010年パッケージのプジョーを圧倒して、トップタイムを記録したため、今回のテストを見る限り、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの差が無くなっているように見える。本当にこの通りだろうか?

    2日目
    LMP1
    No.6 AIM Team Oreca Oreca 01EVO/AIM 1分42.963(PM)
    No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 1分43.756(AM)
    No.12 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分44.025(PM)
    No.13 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分44.264(PM)
    No.5 Beechdean Mansell Motorsport Ginetta-Zytek 09S 1分44.633(AM)
    No.008Signature Plus Lola Aston Martin DBR1-2 1分44.502(PM)
    *上位6位まで

    LMP2
    No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 1分46.174(AM)
    No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 1分46.584(PM)
    No.25 RML  Lola B08-80 HPD 1分47.313(PM)
    No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 1分49.061(AM)
    No.30 Racing Box Lola B09-80/Judd  1分49.063(PM)
    No.29 Racing Box  Lola B09-80/Judd 1分49.335(PM)
    *上位6位まで

    GT1
    No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 1分57.711(AM)
    No.61 Matech Competition Ford GT 1分58.111(AM)
    No.68 Marc VDS Racing Team - Ford GT 1分58.597(AM)
    No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 1分58.819(PM)
    *4台のみ出走

    GT2
    No.75 Prospeed Competition Porsche 997 GT3 RSR 1分59.213(AM)
    No.91 CRS Racing  Ferrari F430 GT 1分59.272(PM)
    No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 1分59.754(PM)
    No.95 AF Corse  Ferrari F430 GT 1分59.651(AM)
    No.89 Hankook Team Farnbacher Ferrari F430 GT 1分59.865(AM)
    No.94 AF Corse  Ferrari F430 GT 1分59.898(AM)
    *上位6位まで


    3月8日
    ●LMSポールリカールテスト アストンマーティンの本当の目的は空力テスト?

    Photo:Sports-Car Racing
    左がアタッチメントを取り外して走るSignatureのNo.008、右がアタッチメントを取り付けながら、カナードウイングを取り付けて走るAMRのNo.009

     アストンマーティンにとって、セブリングテストとポールリカールテストの両方に参加する最大の目的は、2010年レギュレーションの700馬力エンジンと駆動系の耐久テストであると考えられていた。つまり、出来る限り多くの距離を走ることが重要であると考えられていた。実際セブリングでは、アストンマーティンは、そう発言していた。
     しかし、昨夜耐久テスト中のエンジンを搭載しているNo.009アストンマーティンDBR1-2は走らなかった。耐久テストが目的であるなら、多少コンディションが悪くても走るはずであるため、次々とアストンマーティンに質問が飛んだ。そしてアストンマーティンは、耐久テストと共に空力テストが、ポールリカールテストにおける大きなテーマであることを認めた。

     1.6mリアウイングを装着したDBR1-2は、高速コーナーでバランスを崩した場合、非常にナーバスな操縦性を示す場合がある。2009年の2度の大クラッシュや2週間前のセブリングでのクラッシュは、この高速コーナーでのナーバスな操縦性が原因であると考えられている。
     今年金網のルールが撤廃された結果、リアのタイヤハウス後方には、従来の金網に代わってフィンが設けられている。AMRでは、新たにフィンを取り付けたリアボディをデザインする際、1.6mリアウイングを手なずける方法を模索している。どのような効果を発揮するのか?判らないが、ほとんどのマシンのフィンは上向きに取り付けられているのに対して、アストンマーティンだけは下向きだった。1.6mリアウイングの苦しめられているAMRの苦労の秘密が隠されている。

    Photo:Sports-Car Racing
    エンジンルームの内側からタイヤハウス後方のフィンを見たもの、
    下向きにフィンが取り付けられているのが良く判る。

     ポールリカールでは、昨日からAMRのNo.009は頻繁に空力パッケージを変更しており、Signature PlusのNo.008とAMRのNo.009はまったく違う空力セッティングで走ることが多かった。
     この違う空力セッティングとは、単純にハイダウンフォースとローダウンフォースのことを指す訳ではない。ポールリカールで試みられた空力パッケージは基本的にローダウンフォースだった。Signature PlusのNo.008はスポーツカーノーズ付きのプジョーを圧倒する317km/hの最高速度を記録しているほどだ。

     DBR1-2のノーズ左右には、取り付けるとスムーズなノーズになり、取り外すとノーズ左右をえぐられたようなカタチとなって、タイヤハウスから床下の空気を吸い出すことが出来るアタッチメントを装着することが可能だ。一般的にアタッチメントを取り付けるとローダウンフォース、取り外すとハイダウンフォースパッケージとなる。
     アタッチメントを取り外して、そこにカナードウイングを取り付けると、ハイダウンフォースパッケージとなるのは言うまでもない。しかし、アタッチメントを取り付けてカナードウイングを取り付けた状態と、アタッチメントを取り外してもカナードウイングを取り付けない状態の2つの空力パッケージも選択肢として存在する。この2つの空力パッケージは、ダウンフォースの大きさやドラッグの量と言った空力性能に大きな違いはないと言われている。

     困ったことに、この2つの空気パッケージは、ダウンフォースの大きさやドラッグの量は大きく変わらなくても、ボディ側面の空気の流れに大きな差が生じるのだ。
     以前からAMRは、様々な空力パッケージの組み合わせによる空力バランスの違いのテストを頻繁に行っているが、どうやら、今年のポールリカールでも、様々な組み合わせによる空力バランスの差のテストを行っていたらしい。
     Signature PlusのNo.008が、終始ノーズ左右のアタッチメントを取り付けるか、取り外しすだけの状態で走ったのに対して、AMRのNo.009は、1日目ノーズ左右のアタッチメントを外して、さらにカナードウイングを取り付けて走った後、2日目になって、ノーズ左右のアタッチメントを取り付け、その外側にカナードウイングを付け替えながら走った。

     同時にAMRのNo.009は、700馬力エンジンと駆動系の耐久テストを行っていたため、速いラップタイムを記録することは出来なかった。もちろんタイムアタックも行ってないため、どの空力パッケージがベストだったのか? 我々には判断出来ないが、ORECAやOAKペスカロロ、そしてローラが、新しい空力パッケージを持ち込んでいるため、もしかしたら、1ヶ月後のLMSポールリカール8時間の際、新しいボディと共に現れるのかもしれない。

    3月8日
    ●LMSポールリカールテスト2日目 プジョーはフォーミュラノーズを投入 トップタイムはORECA01EVO/AIMのまま

    Photo:Sports-Car Racing
    右が昨日のスポーツカーノーズ付きのORECAプジョー。左が今日フォーミュラノーズ付きで走るORECAプジョー

     2日めになっても気温は上がらない。午前9時テストが再開された時の気温はたった2℃で、1時間が過ぎても気温が上がる気配はない。しかし、昨日の朝と違ってコースは完全なドライコンディションであるため、総てのクルマがセッション開始と同時に次々と走行を開始した。

     昨日ORECAプジョーは、2週間前プジョーが発表した2010年スペックのスポーツカーノーズ付き908を走らせた。ミストラルストレートでは314km/hを超える最高速度を記録して、スポーツカーノーズのアドバンテージを見せつけた。しかし、今日になると一転してフォーミュラノーズを装着して走行を開始した。
     フォーミュラノーズと共にリアウイングの迎え角が大きくされて、ハイダウンフォースとなっているが、最高速度は大きく遅くなった。現在ミストラルストレートは迎え風となっていることもあるが、296km/h程度の最高速度で走っている。昨日の午前中、同じ様にミストラルストレートが迎え風だった時、スポーツカーノーズ付きのプジョーは310km/hを記録している。約14km/hも最高速度は遅くなっているがラップタイムはほとんど変わらない。

     逆にORECA01EVO/AIMは、カナードウイングを1枚取り外したローダウンフォースパッケージで走行している。セッションが始まった後しばらくの間プジョーがトップタイムを維持したが、1時間後ORECA01EVO/AIMが連続走行を開始すると、あっさりとトップタイムを更新してしまった。ちなみにローダウンフォースパッケージのORECA01EVO/AIMの最高速度は、フォーミュラノーズ付きのハイダウンフォースパッケージのプジョーと同じ296km/hだ。
     最高速度の違いから、相変わらずディーゼルターボエンジンの方が大きなパワーを発生していることが予想出来るが、ラップタイムを見る限り、2010年ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの速さに大きな差があるとは思えない。

    Photo:Sports-Car Racing
    プジョーは、金網のルールが禁止された後、リアフェンダー後方の
    開口部にフィンを設けるのではなく、完全に塞いでしまった。もちろ
    んロードラッグ/ダウンフォースを優先させた選択だ。同時にリアカ
    ウル後端中央部分が盛り上がったリアカウルをデザインしている。


    3月7日
    ●LMSポールリカールテスト ORECA01EVO/AIMの速さは本物 ORECAが01EVO/AIMとプジョーで1-2

    Photo:Sports-Car Racing

     午後2時頃雨が降り始めた。一時強い風によって嵐の様な状況となったが、午後2時30分2回目のセッションが開始されると直ぐに雨は止んで、直ぐにコースも乾いた。ほとんどのクルマはしばらくの間様子を見ていたが、コースが乾いていることが確認されると、次々とテストを再開した。しかし、気温は朝からほとんど上がらず、午後3時の時点でも4℃に過ぎない。強い風(マルセイユ名物のミストラルではないそうだ)が吹いているため、体感温度は氷点下だ。

     午後のセッションの初め、ORECAはO1EVO/AIMは走らず、プジョーだけが走行した。そのため、ORECAプジョーが、午前中ORECA01EVO/AIMが記録したトップタイムを破ってタイムボードの一番上に躍り出た。午後のセッション前半、2番手には午前中ほとんど走らなかったNo.12レベリオンローラ、3番手にNo.009アストンマーティンが走った。

     今年LMP1のガソリンエンジンは700馬力以上を発生するため、アストンマーティンは耐久テストの目的で、セブリングテストと今回のポールリカールテストで同じエンジンを使用している。そのため、2週間前セブリングでクラッシュしたマシンからエンジンを取り外して、エンジンとトランスミッションだけをフロリダから空輸してポールリカールで使用するシャシーに積み替えている。午前中クラッシュしたエンジンのチェックのため、全開で走行することは出来なかった。ルマンで使用するギアレシオを組み込んでいるようで、トランスミッションの耐久性のテストも行われているようだ。エンジン同様セブリングでもルマン用ギアレシオが組み込まれていたらしく、パワーアップしたにも関わらず、ラップタイムが伸び悩んだ理由は、ここら辺にもあったかもしれない。

    Photo:Sports-Car Racing

     午後5時過ぎ再びORECA01EVO/AIMが走り始めた。そして、ほんの数周でプジョーのタイムを1秒も短縮する1分43秒259を叩き出してしまった。改良型01EVO/AIMの速さは本物であるようだ。
     夕方バックストレートで追い風となったため、プジョーは314km/hの最高速度(午前中の最高速度は310km/h)を記録したが、ラップタイムは逆に落ちてしまい、日が暮れてもタイムアップ出来なかった。3番手と4番手にはNo.12とNo.13の2台のレベリオンローラB10-60/レベリオンジャド、その後ろに本格的に走り始めたNo.009アストンマーティンが付けている。アストンマーティンの後ろには、マンセル親子のザイテックが上がってきた。
     ナイジェル・マンセルは日暮れ直前、最初のドライブのためコクピットに乗り込んだが、他のマシンがそうであるように、低温のためエンジンの始動性が悪く、一旦クルマから下りた。日が暮れてからテストを開始することとなるだろう。

     LMP2クラスは、夕方までNo.42ストラッカレーシングのHPD ARX-01cがトップに君臨していたが、日が暮れた後No.40Quifel-ASMのザイテックに抜かれた。HPDとザイテックも、空力開発を一新しており、様々な空力デバイスを取り付けてポールリカールに現れた。HPDはLMP2クラスの中でダントツの287km/hの最高速度を記録している。

     GT2クラスは、予想通りフェラーリF430GT2バージョン6がトップタイムを記録している。ポールリカールには6台のフェラーリF430GT2がやって来たが、その総てが新しいバージョン6だった。完成したばかりのマシンも多く、カーボン地剥き出しで走っている。AFコルセは3台のF430GT2を持ち込んだが、その中の1台、No.95のF430GT2にはジャンカルロ・フィジケラとジャン・アレジが乗り組む。AFコルセのNo.96 F430GT2がGT2クラスのトップタイムを記録している。トップタイムを記録したジェイミー・メローは2週間前のセブリングテストの際Risiフェラーリでトップタイムを記録した、現代のフェラーリ使いだ。

    Photo:Sports-Car Racing

     シュニッツァーは1台のBMW M3を持ち込んだが、ほとんど最後尾のタイムしか記録出来ない。ポールリカールの様な高速コースにおいて、前面投影面積が大きいセダンでポルシェやフェラーリと闘うのが難しいことを痛感しているようだ。
     今日のテストは真夜中の12時まで行われる。夜中まで走るチームは、耐久テストを目的としているため、より速いラップタイムが記録されることはないだろう。明日は午前9時にテストは再開される。

    *午前9時30分〜午後7時までのタイム

    LMP1
    No.6 AIM Team Oreca Oreca 01EVO/AIM 1分43.259(PM)
    No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 1分44.292(AM)
    No.12 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分45.069(AM)
    No.13 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分45.171(PM)
    No.009Aston Martin Racing Lola Aston Martin DBR1-2 1分46.177(PM)
    No.5 Beechdean Mansell Motorsport Ginetta-Zytek 09S 1分46.700(PM)
    *上位6位まで

    LMP2
    No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 1分47.072(PM)
    No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 1分47.378(AM)
    No.25 RML  Lola B08-80 HPD 1分47.555(PM)
    No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 1分49.340(PM)
    No.41 Team Bruichladdich Ginetta-Zytek 09S  1分50.063(PM)
    No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 1分50.697(PM)
    *上位6位まで

    GT1
    No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 1分57.390(PM)
    No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 1分58.132(PM)
    No.68 Marc VDS Racing Team - Ford GT 1分59.517(PM)
    No.50 Larbre Competition Saleen S7R 1分59.546(PM)
    No.61 Matech Competition Ford GT 1分59.582(AM)
    *5台のみ参加

    GT2
    No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 1分59.391(PM)
    No.92 JMW Motorsport Aston Martin V8 Vantage 1分59.649(AM)
    No.89 Hankook Team Farnbacher Ferrari F430 GT 2分00.175(AM)
    No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分00.215(PM)
    No.95 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分00.243(AM)
    No.76 IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR 2分00.381(PM)
    *上位6位まで


    3月7日
    ●LMSポールリカールテスト 最初のセッションはORECA/AIMがプジョーを抑えてトップタイム

    Photo:Sports-Car Racing

     今年のヨーロッパは春が遠いようで、例年であれば既に昼間は半袖で過ごすことが可能なマルセイユも、今朝の最低気温は氷点下だった。マルセイユの東の丘の上に位置するポールリカールでは、明け方小雪が舞う状況だった。午前9時30分最初のセッションが開始された時も気温は2℃に過ぎなかったため、コースが乾くまで、最初の1時間ほど、総てのクルマがレインタイヤを履いて走り始めた。

     今年のLMPカーのレギュレーションの中で、ボディ形状の変更を必要とするルールは、金網のルールが撤廃されたことだった。しかし、2011年には新しいレギュレーションが施行されるため、たった1年のためだけに、新しいボディを作るのは難しいとして、ACOは、昨年10月20日までに申請を出したクルマについては、従来通り金網を取り付けたまま2010年も参加出来ることを認めた。ほとんどのコンストラクターが申請したため、新しいボディを作るチームは少数派と考えられていたが、2週間前のセブリングテストで明らかになった様に、トップクラスのコンストラクターの総てが、新しいボディをデザインしているようだ。ポールリカールでは、ORECAが走らせるプジョー、ORECAオリジナルの01EVO/AIM、OAKレーシングが走らせるペスカロロP01EVO、ローラB10/60等、やって来たほとんどのLMPカーが新しくデザインされたボディを装着している。
     中でもOAKレーシングが走らせるペスカロロP01EVOとORECA01/AIMは、空力開発を一新した様で、大きな変更が加えられている。そのORECA01/AIMが、最初のセッションのトップタイムを記録した。
     2番手にレベリオンレーシングのローラB10-60/レベリオンジャド、3番手にORACAプジョーが付けている。レベリオンレーシングのエンジンは、ジャドのGV5.5S2のバッジエンジニアリング版で、ヘッドカバーにはジャドではなくレベリオンの名前が入れられている。

    Photo:Sports-Car Racing





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